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2016
07.31

Book!Book!Book!(つづき)

Category: R&R

 もらい本の感想、つづき。
 ま、例によって、感想というよりは、へらへらと思ったことって言ったほうが近いですかね(笑)


 てことで、吉田修一の『悪人』

悪人IMG_3086

 これは、有名ですよね。
 最近、齢をとるっていうのは、巷で流行ってる映画がわからなくなるってことなのかなーって思うんですけど、そんな私でもこれが映画になってたのは知ってたくらいですもん(爆)

 もっとも、作者の名前までは知らなくて。「あー、あの映画の原作書いた人って、吉田修一って人だったんだー」と初めて知りました。
 しっかしまぁ吉田修一って。
 小学生の頃は友だちから絶対「ヨッシュー」って呼ばれてたろうなーなんてことを思うわけですが、ま、それはさておき(笑)

 あらすじは、えーと。
 なんだろ?ま、ネタがバレちゃったらつまらないというお話ではないんで。
 というか、ネタバレ…、結末がわかっちゃったからと言って、つまんなくなっちゃうタイプのお話でもないし。
 てことで、結末までのあらすじを書きつつ(多少のネタバレを含みつつ)、ちょこまか感想を入れてきます。


 主人公は祐一という、九州の海岸沿いにある集落で祖父祖母に育てられ、今は叔父の土建屋で働いているクルマだけが趣味のような青年。
 祐一は、子供の頃母親に捨てられた経験があり、また現在は現在で周りにいる人は叔父の会社のずっと年上のおじさんばかり。
 そんな祐一の日常は、おじさんばかりの土建屋と、祖母と祖父の家の往復をのぞけば好きなクルマだけ。
 祐一はその日常のはけ口を、最初は風俗店に。次に出会い系サイトで知り合った、“つまらない女性”…、つまり、祐一を恋愛対象としてみない(逆にいえば、祐一の恋愛対象にならない女性)とのセックスにもとめている。

 ある時祐一はその出会い系サイトで、やっぱり九州の地方の町出身の女性と知り合う。
 その女性は、祐一とは全くかみ合わないタイプ。ちょっと前に知り合った温泉旅館の御曹司との恋愛の妄想を膨らませている。
 それが、自分とは相いれない女であること、そして自分が求めているものがセックスではないという2つのことに気づかない祐一。
 一方、その女性は女性で、祐一のことなんて何とも思ってないのに。
 でも、自分の日常のわびしさと友人たちに見栄をはるために、祐一(とのセックス)でそれをごまかしている。
 つまり、祐一も出会い系サイトの女性も。
 程度の差こそあれ、誰もが若かりし頃に一度や二度(あるいは何度も)やってしまう、若気の至り(というか、若気の迷路?)の真っ最中ってとこなんでしょう(爆)

 ある夜、その女性と会う約束を取り付けた祐一が待っていると、たまたまそこに通りかかったのがその御曹司。女性は祐一との約束をすっぽかして御曹司のクルマに乗って行ってしまう。
 実は、その御曹司。その時はムシャクシャしていて、誰彼かまわず怒りをぶつけたかった。
 ま、それも若い時には誰でもありがちなことなのだが、その時は出遭った相手が悪かった(どっちにとっても)。

 女性の方は、たまたま憧れの御曹司とドライブするはめになって舞い上がってしまったのか、はたまたそれが地だったのか。
 そこにうまいパン屋があるだの、そこのそば屋で一度食べてみたいといった、つまんない話を延々しゃべっている。
 一方、そんな男がいかにもイライラしてきそうなことをピーチクパーチク言ってる助手席の女に怒髪天を突いちゃった御曹司。
 山ん中の道で女性に「ここで降りろ」と言ったのみならず、後ろから蹴っとばして立ち去っちゃったと(あぁ~あ)。

 一方、助手席から蹴とばされた女性はガードレールに頭ぶつけるは、夜中に山ん中に取り残されるはだったのだが、実はそれを見ていた人物がいた。
 それは、その女性と会うのをすっぽかされた祐一。
 祐一はムカついて御曹司のクルマを追いかけてたのだが、後ろから蹴り飛ばされたその女性(蹴りとばされるのは見えないと思うけどなー)を助けようと傍に寄ったのだが、間が悪かった…、というよりもこの二人って根本的に相性が悪いのだろう。
 その女性は、御曹司にクルマから蹴り出された自分を見ていた祐一を「追いかけてたのね」と怒り出す。

 フラれた、しかもクルマから蹴り出されたという場面を見られた恥ずかしさ。しかも、それが自分が見下していた祐一だったという屈辱。
 一方、祐一はそんな女性をなぐさめようと、助けようとするわけですが、もぉ頭にカーッと血が上っちゃった女性は祐一にあたり散らすと。
 その過程でちょっとしたハプニングがあった結果、女性はさらにヒートアップしちゃって。言葉の勢いで、祐一に「乱暴されたって警察に言ってやる」と言っちゃったのが2人の運の尽きだったんでしょう。

 つまり、そこまでは、どれもこれも、誰もの青春にでも転がってそうな出来事だったのに(笑)
 その言葉で、頭がカーッとなってしまって。
 わけがわからなくなってしまった祐一は、その女性を殺してしまう。


 一方、もう一人の主人公である光代。
 光代も九州の地方都市に在住。双子の妹とアパート暮らし。
 紳士服の店で働いていて、最近店長から「カジュアル品は若い子の店員の方がいいから」とスーツコーナーに移動させられた、そんなキャラクター。
 同僚の中年の女性とは親しくて、雨の時などはクルマでおくってもらったりしている。
 そんな光代は、以前出会い系サイトで祐一と短いながらメールのやり取りをしていた。しかし、祐一が「会おう」と誘ったことで連絡を絶ってしまった。

 何を思ったのか、そんな光代が久しぶりに祐一にメールをしたタイミングは、祐一があの女性を殺してちょっと経った頃だった。
 しかも、前は祐一が誘った途端連絡を絶ってしまったのに、今度はすんなり逢ってしまう。さらに、会った途端「ホテルに行こう」という祐一の誘いを断ろうとしない。

 一方、祐一は光代を知ったことで、自分が何を求めて欝々悶々としていたのかやっとわかる。
 そう。これも、青春ってヤツにありがちな「こと」なんですよね。
 男ってヤツは誰しも。青春のある時期から性という厄介なものに悩まされることになるわけですが、それが大きくて戸惑うだけに自分が必要とするものが見えなくなっちゃうんじゃないでしょうか。
 あるいは、厄介なソレはそれとして必要とするものはあって。
 その厄介なソレを満たすだけでは埋め合わせることの出来ない“ナニカ”が、やっと見えてくる時期っていうのがあるってことなんですかねー(笑)

 家に2度目に警察が来た(のを知った)時、祐一はそれを光代言うわけです。
 「もっと早く光代に会ってればよかった。
  もっと早く会ってれば、こんなことにならなかった」と。


 かくして、祐一と光代の逃避行が始まるわけですが、最初は光代は祐一が人を殺したことを知らないわけです。
 だから、デートの延長…、といっても都会にあるようなデートではないわけですが、それでも光代は(祐一の様子が変とは思いつつも)前に逢った時と同じように過ごしていて、あるタイミングで殺人を知らされる。
 もちろん、光代は衝撃を受けつつも、「自首する」という祐一に、「警察までついてってあげる」と言う。
 しかし警察のすぐ前まで来て、そこが以前あることが起こった場所だったと気づいた時、光代は祐一に「一緒にいたい」と言って。
 さらなる逃避行の後、お話はラストシーンの場所である灯台で終わり、さらに2人(+1人)の独白が余韻として描かれる。


 読み終わって思うのは、いっやー、上手いなーって(笑)
 それこそ、ストーリー自体はそんな際立ったお話ではないし。特に驚くような展開があるわけではない。
 殺したのが誰かは察しはつく。

 ただ、そこに配される人物が、ホンっトどこにでもいるような人物で。それこそ、事件のきっかけを作ることになる旅館の御曹司なんか、どこにでもいるどころか御曹司のステレオタイプみたいなヤツで、あぁこんな人いるよなーというか。
 主人公の祐一とん光代も、特に誰ってわけじゃないんだけど「あー、こんなヤツいたなー」だし。
 出会い系サイトの女性にいたっては、恋愛ってエサ目の前にぶら下げられたら、(男だって)100人中100人こんなもんなんじゃないでしょうか(笑)
 え、そんなことないって? だから。それは自分の行為に目を瞑ってるだけじゃな~い?(爆)

 そんな風に。登場人物の行動を自分がやってきたことに置き換えて、無茶苦茶イタかったりもするわけですが(爆)、それだけにお話が生々しく迫ってくるんですよね。

 いや。これを他人事とさらっと読んじゃう人も多いんでしょうけど、それは幸せだなーって。
 でも、自分の後姿が見えちゃう時って、誰にでもくるもんなんじゃないでしょうか。


 ま、それはともかく。
 お話が終わってみてふと思うのは、タイトルですよね。
 え、悪人?
 悪人って、結局……

 それは、最後の光代の独白で祐一のことを「悪人だったんですよね」と言うせいもあるんでしょうけどね。
 ただ、それを読んで、祐一のことをすんなり「悪人だよね」と思う読者も少ないでしょうし。
 じゃぁ、例えば女性が殺されるきっかけをつくった御曹司が「悪人」かというと決してそうでもない。
 そしてそれは、祐一との約束を無視してその憧れの御曹司のクルマに乗った女性も違う。

 いや。無っ茶苦茶嫌なヤツだなー!だとは思いますけどね(爆)
 でも、「悪人」というのとはちょっと違う。
 
 ていうか、御曹司もその女性も普通にいる人ですよね。
 それこそ御曹司なんて、旅館の後継いで4~50代になっちゃえば地方の名士とか呼ばれてそうですし。
 女性の方だって、適当な時に結婚しちゃえば、あとは普通の主婦ですよね。
 そんな人たち、いくらでもいます。
 ていうか、それが「世間」の人ですよね。
 じゃぁ「悪人」って何なのか?

 実は私、このお話って、所々ゾ~っとしながら読んでたんです。
 というのは、お話に出てくる登場人物を非難する言葉が、読む前にネットで見たいろんな人の感想と重なるから……

 それこそ、お話の中で評論家が、人を殺した祐一と、その祐一と一緒に逃げ回っている光代の二人をテレビで憎々しげに非難する場面があるんですけど、それなんかネットにあった感想にそっくりだったくらい。


 この、吉田修一という作家。
 読んでてまず感じたのは、なんか妙な文章を書く人だなーって。
 言葉(単語)の並びが、なんだか妙にひっかかって。
 なんか、しっくりこないんですよね。
 座りががわるいって言ったらいいのかなぁ…。

 でも、場面場面に出てくる「物」の使い方、登場人物の思いを「物」に託すのが、すんごく上手くて。
 例えば、祐一が光代に初めて人を殺したことを語るシーンでの、テーブルの上の(料理された)イカがうごめくところとか。
 ホント所々、「うわっ。すっご…」って。その心情とかスパーンと伝わってくる感じで、もぉゾワゾワしないながら読んじゃいました。

 この人は、恋愛モノを読んでみたいかなーって思いましたね。うん(笑)



 でもって、次は『沈黙の果て』シャルロッテ・リンク

沈黙の果てIMG_2965


 これは、よかったー!
 もぉやたらめったら(笑)

 作者はドイツ人らしいですけど、舞台はイギリス、ヨークシャー。
 そこに別荘(館)を持っている夫婦を交えた三夫婦の休暇中に、起こった惨劇。
 さて、犯人は?そして、それはなぜ起こったのか…

 と、まぁそういうとこなんでしょけど、でもまぁコレ、ミステリ小説であって、ミステリ小説じゃないんで(笑)

 犯人は…、それっぽい人はそれなりに出てくるものの、まぁあの人よねってなんとなくわかるし。
 なぜそれが起きたのかも、読んでく内に出てくる人、出てくる人、みんなヤバい人なんで、あぁまぁー、たぶんそういうことよねーって感じで。
 ゴリゴリのミステリ小説ファンなら「あー、つまんない」でポイなんでしょけどね(笑)
 古本が安いのみても、ミステリ小説ファンからはそっぽ向かれたんだろうなっていうのは察せられますwww

 でも、これはイイ!

 あ、「イイ!」とか言っちゃうと、「オマエはショッカーか!」とか言われちゃいそうなんで、無っ茶苦茶好き!に言い換えますね(爆)

 だから、ジワジワ感なんでしょーね。
 それが、もぉ堪らない♪

 上巻は、まず冒頭で惨劇があったことがことがまず描かれて。
 そこから一転、過去に遡って三組の夫婦、それぞれのヤバい人たちの紹介や、別荘でのそれぞれのヤバい言動等が描かれるわけです。
 もぉ延々(爆)

 ただ、その“延々”がいいんですねー。
 読む方としては、冒頭で惨劇があったことはわかってるわけですよ(ただ、誰が殺されたかはわからない)。
 つまり、ヤバい人たちのヤバい言動の一つ一つが、惨劇につながってるんじゃないかと、読んでいて、もぉドキドキ(ワクワク)。
 惨劇という収束点に向かって、一つ一つそれらがジワジワ迫ってくるのがホント「あ…、あ…、あ…」って、もぉ堪んな~い(笑)

 だから、アレですよ、アレ。
 ドリフのコントを見ている観客(ていうか子供)が、つい「志村っ!後ろ!」って叫んじゃうあの状況(爆)
 だから。つまり、上巻はほぼ丸々レンデルの『ロウフィールド館の惨劇』のパターンなんですね。

 下巻は、惨劇以降の解決編なわけですけど、ま、ホント、身も蓋もない言い方しちゃうなら、読者は「犯人はあの人よねー」なわけだし、またラストのドタバタなんて、ミョーに盛り上がらないしで(笑)
 もう一つ言っちゃうなら、最後の取って付けたようなハッピーエンドは「何だよ、それ…」、だし(爆)

 にもかかわらず、「こんなにもドキドキ、ワクワクしちゃうのは何でー?」って。

 いや。だから、意表をついたトリックとか騙しとか、密室殺人とか。その手を好むミステリ小説ファンだと、もぉ全然。おそらく、「はぁ?」で終わりになっちゃうタイプのお話だと思います。
 あと、派手な名探偵が出てくるミステリ小説が好きな人もダメだと思いますね。
 だって、コレ、やたらめったら地味ぃ~なんだもん。
 ストーリも、登場人物も。
 おまけに、お話は遅々として進まないときたもんだ(笑)

 でもね。そういうのが好きな人は、絶っ対おススメ(爆)



 『悪人』を読んでる時は、頭ん中でこれがひたすら流れてましたねー 
 だから。それって、ある意味ネタバレだろー(笑) 
 『沈黙の果て』の時は何だろ? パティ・スミスのグロリア? 違うか(爆)

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コメント
どちらも面白そうな……
気になっちゃうじゃないですか!!

読んだことのない作家さんですが、探してみようかしら……
椿dot 2016.07.31 19:04 | 編集
椿さん、コメントありがとうございました

> 気になっちゃうじゃないですか!!

ていうか、気になってくださいっ!
椿さんに影響されて、ファンタジー読んだり、お漏らし鬼読んだり、にんぎょー館読んだり、
もぉ大変なんですから!(爆)
百物語ガールdot 2016.08.06 18:12 | 編集
私も十分影響されてる気がします(笑)

主に怪談方面。
椿dot 2016.08.20 20:11 | 編集
椿さん、コメントありがとうございました

> 主に怪談方面。

あっ!私も好きです。
階段。

短いのは煩わしだけなんだけなんだけど、長いヤツ!
あれは、な~んか萌えます(爆)

百物語ガールdot 2016.08.28 11:07 | 編集
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