2017
05.28

カールよ、お前もか…


 ポテトチップスはジャガイモがなくて販売縮小の中、今度はカールが終売なんだとかでー。

 しっかしまぁ相変わらず次から次へと騒ぐモン見っけちゃワーキャー、ワーキャー、いやはやヒマだなぁ~って(爆) ←ちなみに先週のコピペ


 カールって。
 「最後に食べたのいつだっけ?」ってくらいなんで、なくなっても別に困りはしないんでしょうけどね。
 ただ、終売と聞くと、さすがにちょっとさびしい気もします(笑)

 なんでも、ポテトチップスとの競争に負けたからというのが終売の理由らしいですけどー。
 個人的には、どちらもスナック菓子ながら、ポテトチップスが食べたい時、カールが食べたい時って、区別はあったけどなぁ…。

 思うに、ポテトチップスに負けたというよりは、スナック菓子全般、手に取る(おやつとして選択する)機会が、コンビニの生菓子等々もぉちょい価格の高いお菓子(スィーツ?)に取られちゃってる面があって。
 その小さくなっちゃった市場の中では、ポテトチップスの方が強かったってことなんじゃないですかね。


 カールはね。私の感覚では、スーパーで“いつもちょっと高い”んですよ(笑)
 他のスナック菓子が100円未満でスーパーで並んでいる中、カールは100円越えしてることが多いんです。
 その値段の差はわずかなんだけど、100円越えるか越えないかはこのご時世、やっぱり大きいんですよね。
 ま、メーカーとしては価格競争は避けたいところだろうし。買う方としては値段そのままだけど容量が少ないっていうのはシラケるんで。そこは毅然とでいいとは思うんですけどねー。

 でも、もうちょっとなんとかなんなかったのかなぁ…、カール。
 って気がしちゃいます。
 たまに100円以下で特売してると、喜んで買ってたもん


 ていうか、メーカーはポテトチップスに負けたとかもっともらしいこと言ってるけど、要はあのデカい袋が今のおっしゃれーな世の中に合わなくなってきた気がしちゃって。
 とりあえず終売にしちゃって、限定感煽っておいて。
 で、しばらくしたら、やたらめったら、おっしゃれ―なカップに入った、スティック状のカールとか出すつもりでいるんじゃないですかね。
 昔、そんなのなかったっけ?

 で、値段は100円だけど、容量は半分以下、みたいな(泣)
 見てくれ重視の関東(東日本)で終売、内容(容量)重視の関西(西日本)では引き続き販売っていうのをみても、な~んかそんな気がしてならない(笑)


 ていうか、ていうか、ポテトチップスの時もそうだったけど、カールも早々(8月で終わりだよね?)ネットの中古販売サイトみたいなところで売られてるみたいですけど、食品をそんな風に売り買いするのって法律的に問題ないの?
 個人的な感覚だと、衛生面でどうなのぉ?とか思っちゃうんですけどねー。
 100円くらいのカールを300円とか、もぉ理解不能!

 ただ、ま、今は、“食べたいから買う”ではなく、“ないものをゲットする”のが楽しいっていう方が大きいのかな?(笑)
 ま、つまり、本人が楽しいんなら、それで万事よしってことね。 ←結局、先週と同じ(爆)


 しっかしまぁ食への関心が異常に高い反面、あらゆる食べ物に飽きちゃった感もある今のニッポンで、消費者に選ばれる「商品」と造るっていうのは大変だろうなぁ…。
 ホントお疲れさまです

 とはいえ、例のポテトチップス騒ぎも、中古売り買いサイトで盛んに取引されてるのは、ピザ味のヤツだっていう話しだし。
 カールは、メーカーが商品開発をサボったって面も大きかったんじゃないの~?って気もしちゃうかな(笑)
 


 

 そういえば、カールって、子供の頃はとにかくカレー味!って感じだったのに、今は全然そうじゃないのはどうしてなんでしょうね。
 味覚は齢とともに変わるとはいえ、ちょっと極端なよーな?



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2017
05.28

階段には踊り場が付きものなわけで…


 ま、つまり、そういうことですね。

 階段に踊り場が付きものなように、怪談にもお休みが必要と(笑)

 いえいえ。
 いいとこまで追い込んだんです。
 
 でも、書いたのを、即、載っけちゃうのはねぇ…
 さすがに、一晩か二晩寝かせて読み返さないとコワいなーと(怪談だけにwww)

 ていうか、“踊り場が付きもの”ってキーボードパコパコしたつもりだったのに、
 “踊り場が憑き物”って、コワすぎです(笑)

 このパソコン、おかしいんじゃないかって。
 はぁ…。ここまで染まりたくないよなーとか思っちゃいました(爆)



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2017
05.27

オオミズアオ現る!


 朝、ゴミ捨てに行こうとしたら、壁に見かけないモノがあって。
 なんだこりゃ?って見たら… ←目がワルイ

 なんと、オオミズアオ!! 

 オオミズアオIMG_3287

 全然逃げないんで。
 というか、かれこれ、もぉ4、5日いる。一昨日、北からの風が冷たかったせいか、風のあたらないトコ移動したくらい
 間近でしげしげと見ちゃったんですけど、いやホント、まさに妖しい美しさ(笑)
 翅の前の赤紫のラインとか、その大胆なデザインにもぉビックリです。
 
 オオミズアオは、毎年一回くらい来るんですけど、5月に見たのは初めてですね(そのせいなのか、やや小さめ)。
 そういえば、今年は4月の下旬に早々とクワガタが来たりで。
 こりゃ、2010年の夏も真っ青(変な表現www)ってくらいの夏になったりして?

 オオミズアオ見て、熱中症に注意 ←今年の標語(笑)



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2017
05.21

暑い週末は、日本刀と冷やしうどん

 しっかし、暑いですねー。

 でー、世の中。なんでも日本刀がブームなんだとか(笑)

 なんでも(なんでもが続きますが)日本刀を男に見立てたゲームが女性の間で流行ったのがキッカケだとかで、しっかしまぁ相変わらず次から次へと騒ぐモン見っけちゃワーキャー、ワーキャー、いやはやヒマだなぁ~って(爆)

 ま、本人が楽しいんなら、それで全然OKなんですけどね(笑)
 ていうか、どーせ、そのうち、なんだらパティシエがプロデュースの日本刀とか、日本初上陸の日本刀とか。
 はたまた、日本刀のゆるキャラ、正むにゃんとか、ワケワカンナイ話になってくんでしょうけどね(笑)

 でも、ま、それも、本人が楽しいなら全然OKなんでしょう。
 ただ、日本刀の方としては、「あー、オマエら、ぶった斬りてぇ。ムズムズ…」なんて思ってるかもしれないんで、注意してね(爆)


 とはいえ、確かに日本刀って、じっと見てるとゾクゾクするカッコよさがありますよね。
 一振りくらい欲しいだなーなんて思いますけど、あんなモン、高くて買えません。
 ていうか、高い以前に、そんなモン、どこに飾るんだ?って話です。
 そーいえば、実家に本物の大砲、それもナチスドイツ軍の88ミリ砲…、というのはウソで、たぶん明の時代辺りの物(の模造?)だと思うんですけど、とにかく、何やらそういう代物があったんですけど、アレ、子供の頃、しばらく飾ってあったのは憶えてるんですけどねー。
 でも、もぉここウン十年と見てませんねー。

 まさにネコに小判、ブタに真珠を絵に描いたような状態なんですけど、ま、どこぞからミサイルが飛んで来たら、撃ち落とすのに使ってみようかな?なんて思ってる今日この頃です(笑)


 で、まぁそんなどこにあるのかわからない大砲はともかく。
 日本刀もいいんですけど、個人的には包丁って結構好きなんですよね(笑)

 なんて言うんですかねー。
 刃の部分を見てるとゾクゾクしてくると言うか、意味もなく振り回したくなると言うか(爆)
 ま、それはもちろん冗談(半分くらいはホント)ですけど、でも、包丁にもなんとも言えない魅力があるのも確かだと思うんです。

 そういえば、刀を好む女性を「刀剣女子」とか言うらしいですけど、包丁を好む男は、さしずめ「包丁男」になるんでしょうか?
 って、「包丁男現る!」じゃ、お巡りさん来ちゃいそうで(爆)

 いやはや。バカですね(笑) 



 で、話は変わりますけど、ライフスケープマーケティングの食MAPによれば、「そうめん」の1000食卓あたりの出現数は2012年が約13回。13年12.5回、14年12回15年13.5回、16年12回。
 「冷やしうどんが」、12年約4.5回、13年5.5回、14年5.5回、15年6.5回、16年6回。
 回数は、いずれもテレビに出てたグラフの目盛りで見たのでいずれも大体

 つまり、家庭において、そうめんは横ばいなのに対し、冷やしうどんは微増傾向にあるんだとか。
 ちなみに、TVではそうめん減少、冷やしうどん増加としてましたけど、個人的に修正しました

 その理由は、そうめんは茹でるのに火を使うのに対して、うどんは冷凍物があるのでレンチンでOKと。
 つまり、暑い時の調理によいからではないかということで、なるほどなー。最近は、そういううどんがあるのねーなんて、TVを見て感心してたら。
 冷やしうどんの上に、ちゃっかり肉がのっていて、おい、おい。その肉って、どうやって調理したんだよ!って思わずツッコんじゃいましたとさ(笑)

 ていうか、考えてみたら、暑い時こそ、こってりアツアツのもんが食べたい方なんで。
 冷やしうどんがレンチンで出来ても、あんまり関係ないかなーなんて(笑)

 そうそう、そういえば、
 最近、鶏ムネ肉が高いらしいんですけど(確かにそういえば高いかも?)、それは例のブラジルの鶏肉の衛生問題もありつつ、低カロリー高タンパクで鶏ムネ肉がもてはやされてるからなんだとか。


 しっかし、何年だったか前にあったバナナがやたら高くなっちゃったブームとかもそうですけど、ブームっていうのはホンっト迷惑ですよね。
 でも、冷やしうどんはどんはみんなが買い占めて値上がりしても、私は別に好きじゃないから関係ないんで、どんどんブームになって欲しいなーなんて思いました(笑)
 ていうか、鶏ムネ肉が上がった分、モモ肉の値段を下げてほしいですね。

 ていうか、ていうか、じゃぁレンチンでOKなそうめんが発売されたら、冷やしうどんはどうなっちゃうんだろ?って。
 ガンバレ!香川県(笑)
 (もちろん、奈良県も小豆島もガンバレ!)


 ていうか、今週は前半のひんやりとは裏腹に、週末になってやたら暑くなりましたねー。
 土曜は暑いとはいえ、まぁまぁそんなもん?って感じだったんですけど、今日(日曜)は昨日までの熱が残ってるせいか、ウワウワウワー!って感じの暑さです。

 いやはや。まさに、冷やしうどん(業者)もそうめん(業者)も大喜びーっ!って暑さなんですけど、日本刀はどーなんですかねー。
 あー、でも、「抜けば玉散る氷の刃」って言うくらいですからね。
 日本刀(業界)も、暑いと活況なのかもしれませんね(笑)
 ていうか、日本刀の場合、あんまり暑いと意味もなく振り回しちゃう人が出てきちゃうから、そっちの方で活況なのかもしれませんけど(爆)

 って、そんなどーでもいい話はともかく、この暑さ(と湿度)で、ついに近所にある、個人的に勝手に「梅雨の木」と呼んでる巨大クチナシの花が咲きましたねー。
 梅雨入りも、いよいよカウントダウンなんですねぇ…。
 あー、いやだ、いやだ(泣)

 
 
                            早く夏、来~~~い!(笑)



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2017
05.21

怪談:17.5.21『姉弟掛け合い怪談-その18』

 
 妙臨寺の中に入ってからも、不思議な感覚は続いていた。
 それは、やっぱり、ふわっと落ち着くようで、その反面、心のどこかがざわっとするような、そんな感じ。
 なんでそんな感覚を覚えるのかわからないのと、時々視界の中に、何かこう違和感を覚えるモノを見て…、あ、いや。それは具体的にはわからない。
 何気に見ている風景の中のソレを見て。その0.何秒か後にソレが発する違和感に気づいて、「あれ?今の…」って、慌てて視線を戻しても、もはや何を見てそう思ったのかすらわからない、みたいな。
 そう。それは、まさにZ海岸の駅を降りた時から、ずっと同じことの繰り返し。
 妙臨寺に来る道すがら、4年のD子さんに「なにボーっとしてるの?」って言われたように。事あるごとにボーっとしている自分に気づいちゃぁ、ハッとして。周りのみんなの顔を見て、ひとり苦笑いなんかして、それをごまかしていた。

 そんな中、その変な感じを起こしているものが何なのか掴めそうになったことがあった。
 ううん。本当に掴めそうになったのかはわからない。
 その時は、ちょっとそんな気がしたのだ。
 それは、講義で使わせてもらっている大広間からトイレに行こうとした時だった。
 ゼミの講義に使う部屋といってもお寺だから、そこは当然座敷だ。
 広い部屋で、そう、確か40畳とか言ってたような。
 ゼミ生は、3年4年ともに12人の計24人+先生で、その全員がゆったり座っても、半分くらいは空いている感じだった。

 実は、わたしたち女子の部屋からそこに行くまでも、ずっとそんな感じがあった。
 建物と建物をつないでいる回廊というのだろうか?周りを囲んでいるわけではないから回廊ではないのか?
 いずれにしても、屋根のある、板張りの床の建物と建物をつなぐ廊下のようなものだ。
 いや。そんなに大げさなものではない。そこは、海辺の小さな町のお寺だから、京都や鎌倉にあるような大規模なものではない。
 ただ、外を隔てているものは木の手すりだけだったから、庭がよく見えた。
 そこは、駅からここまで歩いてきた時に見た風景のように、棕櫚やソテツ、照葉樹が多くて、緑の色がやたらツヤツヤしている庭だった。

 そんな中、ゼミの講義に使う大広間のある部屋の手前に竹林…、いや、孟宗竹のような太い竹ではない。細い竹がわさわさ植わった小さな林なのだが、それを見た途端、頭の中に形にならない何かがウワーっと去来したのだ。
 その時後ろにフラッとしかけたわたしを支えたのは、たまたま後ろを歩いていたD子さんとA沢クンだった。
「お、お、お、おっと!えー。ど、どうしたの?大丈夫。」
「あ、すみません。ちょっとフラッとしちゃって…。」
 必死に笑ってごまかした。
 って、別にごまかす必要もないんだけど…。
「Bちゃん、やっぱり調子悪いんじゃない?」
「えぇー、そんな。ちょっとよろけただけだけですって。ふふふ。」
「え、調子悪いって、どうしたの、Bちゃん。
 あ、さては、もうハラ減ったとか?
 ダメだってー。さっき昼メシ食ったばかりだろ。アハハ。」
「ち、違う…。もぉぉ。」
「Bちゃんはガタイがいいからなー。
 他の人より燃費わるいんだろうね。ぶぶっ。アっハハ。」
「ちょぉっと!」

 わたしは、どうも男の子からすると、からかいやすいタイプみたいで。
 それは、A沢クンの言うところの「ガタイがいいから、ちょっとくらいからかっても全然大丈夫って気がしちゃって、つい…」ってことなんだろう。
 同じ背が高くても、これでD子さんぐらい高いと、普通の男子なんかじゃちょっと見上げるくらいだから違うんだろうけど…。
 ていうか、D子さんの場合は、やっぱりあのキリッと切れ長の目がモノを言っちゃうんだろうなぁ…

 そう。そうなのだ。その時も、わたしはそれを一瞬掴みかけたと思って、その途端フラッとしちゃったもんだから、その後D子さんとA沢クンに話しかけられて、結局わからなくなってしまったのだ。
 そういう意味で言うなら、このお話の出来事というのは、まさにタイミングで起きたってことなのかもしれない。
 後になって考えてみれば、講義の最中にかかっていた、あの母からの電話に講義の後ですぐにおり返ししていれば、もしかしたら何もなかったかもしれないわけで…。
 あぁー、そうだ。
 あの時。講義の後、ケータイに母からの着信があったのに気づいた時、わたしはなんだろうと、何かちょっと変な感じがして。
 すぐ母に電話をしようと思ったのに、誰かから声をかけられて…。
 うーんと、あれは誰だったっけ?
 えぇっ。でも、あの時、あの場にいたのって…
 確か、大広間での講義が終わって。すぐ、ケータイを見たのだ。無意識に。そしたら、母からの着信があったから、わたしは立ち上がって部屋の外へ…
 うん。そこまでは確かに憶えている。そして、その後も。
 部屋の戸の所から回廊を見て、やっぱりあの不思議な感じが甦ってきて、頭の中がウワーっとなっていた時だった。
 その横、本堂に伸びている回廊の方から名前を呼ばれたのだ。
 そう。あれは、わたしの名前だった。
 わたしは、それに「え?」ってそっちを見て…
 あれ?でも、その呼ばれた名前って…
  
 さっきも言ったように、わたしは背が高いせいだからなのか何なのか、からかいやすいタイプのようで。中高生の時のクラスでも部活でも、あと大学に入ってからも、気がつくとみんな「Bちゃん」と下の名前で呼んでいるんだけど、それはゼミでも同じだった。
 それは先生も一緒で、つまりその時、ゼミのみんなや先生がわたしを呼んだのだとしたら、当然「Bちゃん」と言ったはずなんだけれど、でも、えぇぇっ?
 あの時、わたしを呼んだそれって「Bちゃん」ではなかったような…
 だからって、「B美」と呼ばれたかどうかっていうのは全然わからない。
 でも「B美」と呼んだのなら、普通はその後に「さん」とか「ちゃん」とか付くはずだ。
 というか、その時というのはわたしが最初に部屋を出たのだから、部屋を出た横から声をかけてくるとしたら、それはお寺の人のはずだ。
 そう、だって、声をかけられたのは回廊の本堂の方からなんだから、それはお寺の人のはずだ。
 でも、お寺の人だとしたら、わたしの名前なんて知らないわけで…

 しかし、わたしって、ホンっト話がヘタだなぁ…
 変な感じを起こしているものが何なのか掴めそうになった時のことを話してるつもりが、いつの間にか、その前にもあった同じような時のことを話していて。
 それを話しているつもりだったのに、またいつの間にか、母からの着信に気がついた時のことを話している。
 そう、だから、話は、変な感じを起こしているものが何なのか掴めそうになった時のことに戻るわけだけど、考えてみれば、それはもうすでに話したようなものだ。
 つまり、わたしが、講義で使わせてもらっている大広間からトイレに行こうとした時。
 それは、午後のゼミの講義…、講義といっても、みんながそれぞれの研究テーマについて話したのを先生やみんなが質問したりアドバイスしたり。はたまたツッコんだりみたいな感じなのだが、そんな中、トイレに行こうとした時だった。
 みんなの声が喧々諤々聞こえるのを背に、あの大広間の使ってないスペースの畳の上をなんとなくボーっとして歩いて、出入り口の戸のところまで…。

 出入り口の引き戸は、最初から開けっ放しだった。
 部屋にエアコンは付いていたが、でも海風なのだろう。窓と出入り口の戸を開けっ放しにしておくと、いい風が通り抜けるのでエアコンなんか全く必要なかった。
 広すぎて使いきれない、そんな大広間の畳の上を歩きながら、その出入り口の向こう。そこは、回廊の屋根で一瞬だけ暗いのだけれど、でもその向こうにある庭に植わってる棕櫚やらソテツやら照葉樹といった葉っぱに反射した緑がかった光に溢れていて、わたしは歩きながら、思わず伸びをしていた。
 そんなわたしが大広間から回廊に出た、その時だった。
 外があまりに明るいから暗く感じてしまう回廊の左側。そこは回廊の右側とは違って、細い竹がわさわさ植わった竹林になっている。
 お寺の庭に棕櫚やソテツが植わってるというのはエキゾチックに感じてしまうわたしからすれば、それはいかにもお寺らしく見える光景だった。
 そこに、先ほどはなかった白い軽トラックが停まっていたのだ。
「え…。」
 わさわさと密集して植わってる竹林。その中に鼻を突っ込むように停まっている白い軽トラックを見た途端、思わずハッとしたのだ。
 大広間に入る前と同じように頭の中がウワーっと、形にならない何かでいっぱいになって。
 あれ?そう。わたし、こんな風景、前にも見たことある…
 ううん。違う、違う。
 見たっていうより、わたし、ここ、来たことあるような…
 えぇ!?でも、そんなことあるわけないよね。
 Z海岸なんて、ていうか、わたし、Q県はおろか、関東の南の方って東京くらいしか行ったことないもん。
 でも、この風景…、竹林、それもこんな細い竹が植わったところに白い軽トラックが停まってるのを、間違いなく前に見たことある…
 そう!そうだ…。
 やっぱり、あの時も、こんな風に回廊みたいなとこから見たんだ。
 左側に竹林があって、軽トラックがこんな風に停めてあって…
 回廊の廊下が右の方に斜めに曲がっていて…
 あっ、そう。確か、雨が降ってたんじゃなかったっけ?
 それもかなり強く…
 わたしはこんな風に、回廊から雨を見ていて…
 確か、もっと暗かったような…
 雨が降ってたからかなぁ…
 でも、もっと暗かったような…
 そうか。夜だったのかも…
 夜で、雨が降ってって、こんな風に回廊をボーっと見ていたのよ。
 そしたら…
 あれ?何だっけ
 うわっ!何だろ?これって…
 きゃっ…
 気持ち悪い――。

「お、おい。大丈夫かよ。おい!Bちゃん。おい!」
「え…。」
 見上げたそこにあったのは、ゼミの幹事のC瀬さんの顔。
「何だよ、大丈夫か?
 歩いてたら、いきなりしゃがみこんじゃったのが見えたから、びっくりしたよ。
 どうしたんだ?立ちくらみか何かか?」
「え…、あぁ。えーと…。うん、だから、その…。」
「なんだよ。全然いつも通りじゃん。おどかすなよー。
 Bちゃんはさ。デカくて元気なとこが取り柄なんだからよー。
 もぉ頼むぜ!ハハハッ。」
「ちょ、ちょっと、C瀬さん。
 デカくて元気なとこが取り柄って、なんかそれじゃぁ――。」
「まぁまぁ、まぁまぁ。ハハハッ。
 いいじゃん。いいじゃん。そういうのは、人それぞれなんだからさ。
 持ち味、持ち味。ハハハッ。」
「もぉー。なにが持ち味ですかぁー。」
「ハハハッ。」
 笑いながら部屋の方に歩き出したC瀬さん。それを、くるっと回るように見送っていた時だった。
「そう。C瀬さん。」
「あぁん?」
 足を止め、わたしに振り返ったC瀬さんの顔。それは、こう言っちゃなんだけど、ちょっと間の抜けた変な顔で、当時、わたしはC瀬さんのその顔が妙に好きだった。
「わたし、駅に着いた時、C瀬さんに言ったじゃないですかー。
 このZ海岸に来たの、初めてだって。」
「あぁ、うん。そういえばそんなこと言ってたかも…。」
「何ですか、それぇ。
 それじゃぁわたしの話、ちゃんと聞いてないみたいじゃないですかぁ。」
「あぁ、だから聞いてたって。ちゃんと。ハハハッ。
 ていうかさ。あの時って、確か、そう。
 同じ関東なのに南にあるQ県の海は来たことないって、言ってたんじゃなかったっけ?」
「だから…。もぉっ。
 大体ですよ、大体。大体、そういうこと言ったんですっ。」
「ハハハッ。なるほど。うん。まぁそれで?」
「あ、だからぁ。ここ、ここなんですよ。」
「ここぉ?ここって…、えぇっ。ここのことか?」
 おもむろに顔を上げて、回廊の屋根に沿って視線を這わせているC瀬さんの横顔。わたしはそれを見ながら、同じように上を見上げた。
「そう。そうなんですよ。
 この回廊を見てたら、思いだしたんですよ。
 わたし、ここに来たことあるって…。」
「はぁ?なんだそれ!?ハハハッ。」
「だから、この回廊から見た風景に記憶があるんですって。
 この竹林にも、そこに停まってる軽トラックにも。
 あと、この回廊がここから見て右に曲がってる感じとかも…。」
「そうなんだ。ふーん!?」
「だから、ホントですって。見覚えあるんですって。ホントに…。」
「うーん。でも、それはどうだろう…。
 あ、いや。ハハハッ。だからさ。
 別にBちゃんの記憶にイチャモンつけるわけじゃないけどさ。
 寺に竹林は付きものだし、回廊だって普通にあるんじゃない?
 変な話、この回廊ってオレの家の菩提寺にあるヤツにソックリだぜ。
 ていうかさ。実は、今トイレ行ってきてさ。
 しっかし似てるなーなんて思いながら歩いてたくらいでさ。
 軽トラだって、寺は庭の手入れとかいろいろ作業があるから、
 大体どこにでもあるんじゃない。」
「うーん、そう言われてみればそうなんですけどねぇ…。」
「うん。まぁさ。
 オレは、別にBちゃんがここに来たことがあろうがなかろうが、
 どっちでもいいんだけどさ。」
「ちょっと、何ですか。その言い方ぁ。
 まるで全然どうでもいいみたいじゃないですかぁー。」
「あぁ。だから、別にオレはBちゃんの記憶にイチャモンつけてるわけじゃないんだって。
 ハハハッ。
 Bちゃんがさ。ここに来たことあるって気がついて、もぉビックリしちゃって。
 驚きのあまり、つい気絶しかけたみたいだから、いやー、そんなことないんだよって。
 優ぁ~しく諭してるわけで…。」
「なんなんですかー、もぉー。
 人のこと、まるで子供みたいに…。」
「ハハハッ。まぁまぁ。
 だからさ、既視感なんてそんなもんだって。」
「え?あ、既視感…。」
「あ、?知らない?
 ほら、よくデジャブとか言うじゃん。既に見た感じって書くの…。
 見てる風景とかいろんなもんを、頭が勝手に過去の記憶と結び付けちゃってさ。
 そこに来たことあるって思ったりしちゃうんだって…。」
 
 人というのは、そこに何かしら納得出来ちゃう言葉なり、説明なりがありさえすればそれで安心して、そこで考えるのを止めてしまうということなのだろう。
 今になって思えば、あの時わたしは、その既視感というもっともらしい言葉で自分を無理やり納得させてしまったのだろう。
 というよりは、無理にでも納得してしまいたかったということなのか。
 そう。だって、それがあまりに怖かったから…
                                            
 

                   ―― 『姉弟掛け合い怪談:その18』〈つづく〉


注!無断転載禁止
  断りなく転載されるのは非常に不愉快です。やめてください
  ブログの記事は全て「著作物」であり、著作権法の対象です
       ↑
   ちょっと剣呑で、ゴメン(^^;)

 *のらない時、話をやたら込み入らせてごまかすのは、うーん。困ったものだ(爆)



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2017
05.14

喫緊の課題(笑)


 喫緊の課題なんていうと、大したことのようですけど、まぁこの手のブログとかその類にありがちな、いい加減やんないとなー的なあれでして、つまり、コタツ、早くしまわないと!って話です。

 実は先週までその手がもう一つありまして、それは冬物衣料と夏物の入れ替えだったんですけど、それは昨日の朝、やっとやっつけたんです。
 だって、先週、暑い日多かったですしねー。
 でも、入れ替え終了と同時に暑くなくなっちゃったりで(泣)
 まぁなんともなわけだったんですけど、とはいえ、気温、先週の暑い日ほどではないにせよ、今やもぉかなり蒸すんでー。
 まぁ片付けられてよかった、よかった(笑)


 で、コタツですよね。
 例年だと、連休前か、遅くとも連休中には片付けられるんですけどねー。
 今年は、連休がなぜかちょっとバタバタしてたりで、片付けそこなっちゃったんですよねー。
 コタツは、ほら、片付ける前に洗濯するモノと干すモノがあるわけですよ。
 しかも、コタツだけにどっちも大物と天気の加減が関わってくるわけで、まぁホントもぉいい加減早く片付けたいんですけど、まぁなんというか。これ読んでる人からすれば、心底どーでもいい話ですね(爆)

 とはいえ、ま、どーでもいいことこそがブログの本質だったりもするわけで、どーでいいことが書いてあるからブログなのか、ブログだからどーでもいいこと書くのか、これいかに?なんて(笑)


 ってまぁホンっトつまんない話ですけど、昨日(土曜)の雨には参りました。
 近所にちょっと買い物出ただけなのに、もぉびっしょ濡れで(泣)
 しかも、まぁ明日洗濯できるからーなんて思ってたのに、今朝起きたら微かな雨が降ったり、止んだり。
 もぉヤケで(怖々)干しちゃったんですけど、さっき見たら、まぁなんとか乾いたみたいでホっとすることしきりでした(笑)

 まぁ考えてみれば、ゴールデンウィークの翌週なんて毎年こんなもんだったりするのかなーなんて。
 気がつけば、ついこの間まで葉っぱのなかった木が、いつの間にかわさわさと体全体揺らして笑ってたりで。
 そういえば、あと3週間もしたら梅雨なんだなぁ…。
 あぁ~あ、憂鬱(笑)


 

 そうそう。
 先週、ゴールデンウィーク最終日、もつ鍋の食い放題に行ったんですけど、もぉ食いすぎちゃって(笑)
 しつこいもんが一切食べたくなくなっちゃって、メニューの変更にやたら苦労した一週間でしたね。

 というかー。
 もつ鍋を食べ終わって、「あれって、やっぱり脂が多いからかな?いきなりハラいっぱいになったなー」って言ったら。
 「あぁそれ。そうじゃなくてもぉ年ってことじゃない。あんまり大食いしない方がいいよ」ってツッコまれて。
 な~んか、無性にハラたったという笑い話(爆)
 


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2017
05.14

怪談:17.5.14『姉弟掛け合い怪談-その17』

 
「ねーちゃん。ねーちゃん。ねーーーちゃんったら、ねーちゃん。
 あぁーあ。もしかして、コワレちゃったのかも。
 そうだよなぁ。なんだかんだいって、もぉ中年だもんなぁ…。
 ねーちゃん。美人のねーちゃん。ステキなおねーさま。
 ありゃ。こりゃ、いよいよホントにダメか?
 あー、でも、美人とかステキは、普段聞き慣れてないだろうから、
 自分が呼ばれてるって思わないのかもなぁ…。
 そうだ!バカねーちゃ――。」
「聞こえてるわよ!ったく…。
 人が黙ってりゃなに言ってもいいと思って、好き勝手に。
 美人もステキも充分聞き慣れてますぅっ!
 こないだも、隣りのお婆ちゃんが言ってたもん。
 L子ちゃんは、いつもキレイねぇーって。
 それをバカねーちゃんとか、そう!アンタね。ふざけんじゃないわよ。
 こんな素敵なお姉さまに向かって、中年とはなによ!中年とは!
 今や女の平均寿命は80代半ばなのよ。
 それを思ったら、わたしなんてまだ全然…。
 ていうか、それでいったら、アンタなんてまだまだガキじゃない!
 それも、クソガキで、バカガキで、アホガキで…。
 えーと。あとはなに?ゴミガキ?」
「まぁまぁ。アハハ。
 人は気にしてること言われた時に一番ハラが立つって言うしね。
 ていうか、コワレてなくてよかった、よかった。
 アハハー、って、なんだよ!クソガキに、バカガキに…。」
「アホガキ、ゴミガキ。」
「そういうこと、平板に言うなよ!すんごくハラたつんだよ!」
「イヒヒー。」
「なんなの、その憎々しい笑い。あー、このクソ姉、ハラ立つ!」
「クソなんて、まぁなんて下品。育ちの悪いオトコって嫌ぁーねぇ。」
「育ちは一緒だろ。姉弟なんだから。」
「なのに、何でわたしだけお上品なのかしらぁ~。」
「って、ねーちゃんだってクソは言ったよね。」
「言ってないぃ!言うわけないでしょ。」
「じゃぁクソガキはぁ?」
「あ…。」
「ほらみろ。ったく…。
 って、あーっ、もぉっ!そういう話じゃないだろ。」
「じゃぁどういう話よ。」
「だから…。えーと。そう。
 そうだよ。ねーちゃんがコワレてなくてよかったって話だろ。」
「壊れるわけないでしょ!
 ったくもぉ人のことだと思ってぇーっ。
 っていうか、えー、なんなんだろ?
 全く記憶になかったことが、次から次へと浮かんできちゃって…。
 まるで、現在進行形で体験してるみたいにさ。
 語ってるそばから、その次、その次って頭に浮かんでくのよ。」
「怪談を話してるとさ。
 確かに、今まで全然忘れてた体験とか話とか、
 ふいに思いだして驚くことって、時々あるんだけどさ。
 でも、今のねーちゃんのは、ちょっと極端と言うかー。
 なんだろ?頭ん中で、なんか繋がっちゃったんだろうね。」
「ううーん。全く記憶になかったことが、
 まざまざと蘇ってきちゃったのにも驚いたんだけどね。
 でも、それより、その彼女のことがさ…。
 まぁねー。あの頃は親が急に転勤とか普通だったから。
 病気と引っ越しがたまたま重なったのかもしれないけどねぇ…。
 ただ、それにしても…。」
「まぁ気にしたって、どうにもなるもんじゃないんだしー。
 たまたま引っ越しで、今は普通に暮らしてるって。
 気休めだけど、そう思って済ましちゃうしかないじゃない。
 だって、あのトイレを使うのは男子からすれば、普通のことなわけだし。
 ていうか、あれは、そもそも学校の怪談だよね。」
「うん。まぁそうなんだけどね。
 でもなぁ。うーん…。
 ほら。彼女の姿形とかさ、いまにも思いだせそうな気がするのよ。
 喉元まで出かかってるって言うかさ。
 だから、なぁんかキモチワルイのよねぇー。」」
「うん、まぁそれはそうだろうと思うんだけどさ。
 気づいて見りゃ、もぉ3時すぎてるし。
 そろそろ…、っていうのもあるわけでさ。
 ただ、ねーちゃんじゃないけど、ひとつ思い出しちゃったんだよね。
 だから、オレがそれ話して終わりってことにしない?」
「えぇー。また、アンタの話ぃ?」
「だって――。
 えぇー!だって、今、ねーちゃん話したよね。それも2つ続けて。
 なら、次はオレだよねぇー。」
「ううん。いいんだけどね。それで。全然。
 でもさー。」
「なにが、でもだよ。」
「べっつにぃー。
 ただ、アンタが自分の話で終わりって、勝手に決めたのがムカついただけ。」
「な、な、何なんだよ、それぇ。」


「いや、うん。アイツから聞いた話なんだけどね。
 ねーちゃんも知ってると思うけど、アイツ、オバケとかユーレイとか、
 コワい話はとにかくダメなわけ。
 ていうのはさ。実は子供の頃――。」
「ちょ、ちょっと待ってよ。そのアイツって誰?
 ねーちゃんも知ってるとか言われても、
 わたし、誰のことやら全然チンプンカンプンなんだけど。」
「だ、だから、なにヘソ曲げてんだよぉー。
 B美だよ、B美ぃ。
 言うだろ。普通。彼氏は彼女のこと。アイツって。」
「なんだ、B美さんのこと?
 そんなら、ちゃんと名前で言いなさいよね。
 アイツじゃ、アンタの小学校ん時の野良友だちみたいじゃない。」
「な、なんだよ、野良友だちってぇ。新しい言葉作んなよなぁ。」
「だってさ。いかにもそんな感じの子、いなかったっけ?
 ううん。別に舌出して、はぁはぁうろついてたわけじゃないのよ。
 でも、なんかそんなイメージがあるっていうかさ。アハハ。」
「ぶぶっ。わかった。それ、誰のこと言ってるか。
 なるほど。野良友だちね。うん、まぁ。ハハハ。
 って、だから、そういう話してんじゃないだろ。
 アイツ…、じゃなかった、えーと。
 だからさ。B美って、ダメなわけ。オバケとかユーレイとかが。」
「それは、もぉ聞いた。」
「いや、だから…。あー、もぉメンドくせ。」


 駅を出た瞬間だった。なんとも言えない、不思議な感覚を覚えたのは。
 それは、心がふわっと落ち着くようで、その一方で、ざわざわするような。
 駅の周りの風景を、あぁいい所だなーって見回していたら、その風景の中にある一つ違和感に気づいて。でも、たまたまそのタイミングでかけられた声に気を取られ、そのまま忘れてしまった、みたいな…。
 そう。まさにそんな感じだった。

「なんだ、Bちゃん。Z海岸って、来たことあった?」
「え…。」
「ここ、来たことあったの?」
「えー、初めてですけど…。」
「ふーん。でも、キョロキョロして、何か探してるみたいだったからさ。
 てっきり…。」
「いえ。初めてですよ。
 ほら。わたしと、あと、えーと、誰だったかなぁ、あれは?まー、いいや。
 だから、その人と合宿の場所を決めてる時に話してたじゃないですか。
 同じ関東なのに、南にあるQ県の海って一度も行ったことないよねーって。」
「あぁあぁ。そういえば、そんなこと言ってたっけ。ハハハ。
 でー、そう。A沢はどこ行った?
 妙臨寺の行き方知ってるの、アイツだけなんだけど…。」
「A沢クンですか?A沢クンなら、さっき…、あぁ、ほら。あそこ…。」

 A沢クンは、わたしと同じ3年で、ゼミの副幹事。わたしが話していたのはゼミの幹事の4年のC瀬さんだった。
 わたしたちのゼミは、今日から2泊3日の予定で、ここZ海岸にある妙臨寺に合宿に来たのだった。
 お寺で合宿なんていうと、なんだか座禅や朝の勤行が目的みたいだけど、そこはなんていったって大学のゼミ合宿。合宿はあくまで名目で、近くでコートを借りてテニスをしたり、あとは夜のコンパと、遊んで親睦を深めるのが目的らしい。
 今年の3年はわたしも含めて半分が女子だったから、4年の男子がやたら張り切っちゃったらしくて。
 例年なら大学のセミナーハウスを使うらしいのだが、もっとオシャレな所でやろうってことになったのだ。
 で、決まった場所が南関東Q県のZ海岸、しかもお寺って、その辺の感覚はやっぱり東京辺りの大学生とは違うということなのだろう。
 とはいうものの、合宿先としていくつか候補があがった中、ここZ海岸のお寺に決まったのは、わたしたち女子の主張が大きかったというのはある。
 だって、わたしたち女子としても、例の新島とか、はたまた清里のかわいすぎるペンションというのは腰が引けちゃうわけで…
 そうそう。わたしたち女子が、新島や清里のペンションという案に「えぇー」と難色を示したら。その案を出した男子たち全員、思わずホッとした顔をしていたのはとっても可笑しかった。

 そんなZ海岸だったが、ま、まだ小中学校は夏休み前ということもあるのか?
 それとも、平日だからか?例年より早く梅雨が明けたというのに、海辺のこの町はやけに閑散としていた。
 今は、東京からちょっと離れるとどこもこんな感じみたいだけど、それにしても誰も歩いてない。
 前に、そう、わたしがまだ小さい頃、家族で海水浴に来たことがあって。あれはやっぱりこんな町だったけど、あの時は海水浴客でもっと人が沢山いた気がするんだけどなぁ…

 元々漁師町なのだろう。通りから別れる路地は人一人がやっと通れるような狭さで、家と家の間をずっと奥まで通じている。
 所々にある塀をめぐせた広い家は、昔の網元の家か何かなのだろうか。
 塀の中に堂々とした棕櫚の木が覗いてたり、あと、枇杷や照葉樹のやけに大きな木がやたらと目立っている。
 それと、なにより駅を降りた時からずっとある、海の気配。
 それは、辺りになんとなく漂ってる潮の匂い?音なのか、振動なのか、どっちにしても知覚出来ない波の振動?
 それとも、たんに日差しが違うのか…

「なんかさ。同じ関東なのに、エキゾチックぅ~って感じよね。」
「え…。」
 見れば、いつの間にか4年のD子さんが横を歩いていた。
「景色、がさ。なんか全然違うのよね。」
「景色?」
 D子さんの視線を追っても、特に何を見てそう言ってるのかわからない。
「Bちゃん。さっきからずっとボーっとしてるけど、どうしたの?」
「えぇ、ボーっとしてる!?
 いいえぇ。全然普通ですよぉ。ふふふ。」
 D子さんは背が高い。わたしは中高とバレー部で、女の中では背の高い方だと思うのだけれど、D子さんはさらに高い。そう、頭一つくらい。
 見上げるようにしてそう言ったわたしに、D子さんはきょろっと目を返してきた。
「さっきから何をキョロキョロしてるのかなーってさ。
 気になってそっちを見てみたら、あぁそういうことかって思ったんだけど。
 でも、違うみたいだし…。」
「えぇっ。どういうことです?」
「うんん…。」
「なんですかぁ。D子さんの方が、よっぽど変ですよぉ。
 もぉっ。ハハハ。」

 そう言ったわたしだったけど、確かにその時わたしは何だかボーっとしていた。
 ううん。ボーっとというのはちょっと違うような…
 そう。だから、Z海岸の駅を出た時からずっと覚えている不思議な感覚を、今も引きずっていたということなのだろう。
 つまり、それはこの景色の中にある、気づいているのにわからない、何かしらの違和感なんじゃないだろうか。
 でも…
 辺りを見回してみても、そこにあるのは、ふわっと落ち着く海辺の町の風景ばかり。
 それは、家と家の間を通る、人一人がやっと通れるような路地だったり、塀の上から覗く大きな棕櫚の木や枇杷、つやつやとした大きな葉っぱを茂らせてる照葉樹だったり。
 民宿やお土産の看板をあげてる建物や、その軒先で揺れてる「氷」の布きれ。その横に並ぶ浮き輪や水中眼鏡や麦わら帽子。
 そして、それら全てを覆うように漂う海の気配、それだけだ。
 そこにあるのはそれだけなはずなのに、なぜか心のどこかがざわっとする違和感が視えてしまう。
 ううん。わたしは霊感なんかない。
 お化けとか幽霊は大嫌いだ。なぜかはわからないけど、わたしは小さな頃からそういうものが無性に怖い。
 だから、霊感みたいなものは絶対ないし、持ちたくもない。
 ということは、わたしが今ずっと覚えている違和感は、お化けや幽霊のようなものではないということだ。
 でも、じゃぁそれって…
「ほら。やっぱりボーっとしてる…。」
「え…。」
 見上げると、逆光の中、そこにあったのは真っ黒いD子さん輪郭の中からわたしを見ていたきょろっとした目。
 その時、前で誰かの声がした。
「ここでーす。ここが今日からオレたちが泊まる妙臨寺でーす。」
 日差しに目が眩んだ青い風景の中で、一人A沢クンが飛び上がっておどけていた。

 妙臨寺。
 その夜、わたしはそこで、ゼミのみんなにとんでもない迷惑をかけることになる…



                   ―― 『姉弟掛け合い怪談:その17』〈つづく〉

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2017
05.06

怪談:17.5.6『姉弟掛け合い怪談-その16』


「その男の子のことは、実はすでに何人かの先生が見てたらしくって。
 その服装から、ちょっと前に学校前を通る国道の1キロほど向こうで
 あった交通事故で亡くなった男の子なんじゃないかって。
 先生たちは秘かにウワサしてたって、そういう話。」
「えぇっ。これってさ。お話の元は、結局2人だったってこと?」
「あー、だから。学校の怪談よ、学校の怪談。ふふっ。」
「えー、どういうこと?」
「学校の怪談っていうのは、言い伝えが基本でしょ。」
「あ…。なるほど。確かに。
 そういえばさ。ほら、オレらの小学校の…。」
「あぁあぁ、あれ?講堂の写真でしょ。」
「そうそう。歴代の校長先生の写真が夜中になると踊ってるってヤツ。」
 わたしと弟の卒業した小学校は古かったこともあって、体育館にあたるものが講堂と呼ばれていた。
 そこの劇場で言う桟敷席みたいなところに、歴代の校長先生の写真がずらっと並んでいて。
 夜中になると、それらの写真が下に降りてきて、講堂の真ん中で踊っているという話があったのだ。

「でもさ、あれよね。
 それ、今あらためて聞いてみると、バカというか、何それ?というか。
 なんで踊るのよ?ホンっト笑える。
 しかも写真が踊ってるって何なのよ。アッハッハ。」
「踊ってるトコ想像すると、もぉなんなんだー!の世界だよね。
 逆に見てみてみたいっていうかさ。
 しかも、それがあのいかめしい顔の校長先生の写真って。」
「アハハ。もぉやめて。おなか痛くなってきた。」
「そんなのでキャーキャー怖がって楽しんでた頃が懐かしいね。ハハハ。
 なんていうのかな?安上がりでいい時代だったなー。」
「そうねぇ。ホント、ちょっとしたことがさ、スゴク楽しかったのよね。
 あの頃って。ふふっ。」
「あれは知ってる?講堂の前の校舎にあったトイレの話。」
「あぁあぁ、うんうん。
 作ってる時。羽目板をはる前、中に子供が入り込んじゃって。
 それに気づかなかった大工さんは、羽目板を子供ごと釘を打ち付けちゃって。
 子供は死んじゃって、以来、夜中になるとその板から子供の泣き声が聞こえて、
 見ると板から血がでてるって、そんな話だっけ?」
「そうそう。オレの時と全然一緒。
 それでさ。5年の時だったかなぁ…。
 ほら。講堂の前の校舎、取り壊したじゃん。」
「えぇ?あー、知らない。へー、そうなんだ。
 え?てことは、あのトイレも壊しちゃったんだ。
 えー、それ、なんかちょっとさびしいなー。
 だってさ。あの頃、そのトイレの話って、
 学校の怖い話の中でも、とっておきみたいな感じだったじゃない。」
「そうそう。そうだよね。ハハハ。
 いや、だからさ。講堂の前の校舎、壊しちゃったんだけどさ。
 あの校舎のトイレの部分だけ、壊さないで残してあってさ。
 トイレとして使ってたんだよ。」
「へぇー。なんでだろ。
 あっ、そうか。講堂にトイレがないから…。」
「うん。今考えれば、そういうことなんだろうけどさ。
 でも、当時はさ。あの板の向こうには、
 今でも子供の死体が残ってるから、トイレは取り壊せないんだよ、
 なんてさ。ハハハ。みんな、ウワサしててさ。アハハ。」
「あぁあぁ、そうそう。そうだった。
 子供の死体はそのまんまって話、確かにあった。
 うわぁ~。なんっか懐かしっ!
 ほら。その場所ってさ。男子トイレだったじゃない。
 だからさ。女子は話には聞くけど、まさにその場所は見ること出来ないわけ。」
「え?あぁそうか。それは考えたことなかった。」
「ある時…、あれは何年生の時だったのかなぁ…。
 そうか。U未が一緒だったんから、4年か5年の時か。
 夏休みの水泳の時。何人かで見に行ったのよ。こっそり。」
「えー、男子トイレにぃ?ウフっ。もぉねーちゃん、スケベ。」
「うん。そうそう。今思えばさ。
 みんな、学校で一番怖い話の現場を見たいというのはありつつ。
 でも、その裏では、男子トイレをのぞき見しちゃえ!的な?
 ちょっとエッチなスリルを楽しみたいっていうのがあったんだろうね。」
「なんだよ、それぇー。アハハ。」
「だって、せっかくの夏休みじゃない。
 まぁ今の子だったら、原宿や渋谷に行ってナンパに引っかかってみたり。
 それこそ、出会い系サイトとか登録しちゃったりなんだろうけどさ。
 あの頃、そんなのないしね。」
「まー、そう考えるといい時代だったね。アハハ。」
「そうそう。見つかっても、先生に怒られるくらいで済むもんね。」
「えっ。てことは、見つかったってこと?」
「ううん。すんなり入れちゃったのよ。
 夏休みの水泳の時間だから、先生もあまりいなかったしね。
 あ、そう。プールに来てる生徒もあまりいなさそうな、お盆の直前を狙ったのよ。」
「うわっ。用意周到ぉ。で?」
「うん。入るまでは、もぉドキドキだったんだけどさ。
 中入っちゃったら、まぁ別にぃ、よね。
 小の方が4つ並んでてさ。あの一番左の便器の左横の羽目板、よね。」
「うん。そう。ハハハっ。」
「なんだ、こんなもんなのぉって感じだったなー。
 あ、そぉ!思い出した。」
「な、なに。どうしたの?」
「えーと。あれは誰だったかなぁ…。
 あの時って、U未がいて…。あと、あの子とあの子…。」
「つまり、ねーちゃん含めて4人で男子トイレのぞき見したと。」
「ううん。違う。もぉ1人いたのよ。
 なんでだろ?その子だけ顔、思い出さない。」
「思い違いじゃない。
 そういう時ってさ。メンバーは4人っていうのが定番じゃん。」
「ううん。その時さ、わたしとその3人で待ってたのよ。
 だから、その子含めて絶対5人だったはず…。」
「えぇー、どういうこと?」
 
 記憶というのは、何なのだろう?本当に面白い。
 だって、完璧に忘れていたはずの出来事を、なんかの拍子に、こんなにもハッキリ思い出すのだから。
 ううん。あれは、特にどうということもない出来事だった。
 だから、忘れていても全然おかしくない。というか、小学生の時のそんなとっくに忘れてた記憶がまざまざと蘇ってくることの方が不思議な気さえする。
 そう。記憶というのは、縦に細く長いものなのかもしれない。
 だから、その記憶の一端でもつまむことが出来れば。あとは、それを辿っていくことで、忘れていたその時のことを次から次へと芋づる式に思い出していくのだろう……

 
 なぜか、やけに盛り上がっちゃって、わたしたちの小学校に伝わる一番怖い話のその男子トイレに忍び込んだわたしたち。
 でも、そこは木造の古いトイレということ以外、特に何がどうということもなかった。
 夏休みで、プールに来ている生徒以外いなかったし。ましてやお盆前で、プールに来ていた生徒も20人もいなかったくらいだったから、そこはガラーンとしていた。
 暑かったはずだけど、その記憶はない。
 どっちかといえば、涼しかったような…、そう。あそこは大きな木に囲まれ日陰だったから、そんなに暑くなかったのかもしれない。
 ただ、入った途端、何かこう、ムッとする何かに圧倒された記憶がある。
 ううん。トイレ特有の臭気ではなかった。
 ただ、今にして思えば、やっぱりそれは匂いだったのかもしれない。
 
 そこは、なんて言ったって男子トイレなわけで。女子のわたしたちが忍び込むっていうのは、相当な決心と勇気が必要だった。
 それを考えても相当盛り上がってたはずで、つまりかなり期待してそこに入ったんだと思うのだ。
 でも、期待って…
 そもそも、お話だって、子供の泣き声が聞こえて、壁の板から血出て来るのは真夜中に起きるということになっているのだ。
 昼間ではない。ましてや、あんな夏のカンカン照りの真っ昼間じゃ、セミの大合唱で子供の泣き声なんて聞こえるわけがないってくらいの蝉時雨だった。
 ていうか…
 この時間って、夏休みじゃなかったら男子は普通に使ってるわけで。
 って、それを言ったら、わたしたちも隣りの女子トイレは普通に使ってるわけで、やっぱり個室が並んでるだけの女子トイレと違うんだなーくらいが目新しいと言えばまぁ目新しいくらいだった。
 って、考えてみれば、それだって、いろんなところで目にしているわけでー。

 その思いはみんなも同じなのだろう。
 なんだか、変に手持無沙汰で。そのくせ、みんな、ぎゅっと口を結んでひと言もしゃべらなかった。首だけ回して、あっち見たり、こっち見たりしていた。
 でも、すぐに誰が言うともなく、「もぉ帰ろう」ということになって…。
 そう!そうだ。あれはその時だった。
 いや、その子のことは、こうしてあの時のことを思い出していても、未だに顔も名前も思い浮かんでこないので、とりあえずX子とするけど、その子が「おしっこしたくなっちゃた」と言いだしたのだ。

 ううん。そのX子のことは、やっぱり顔も名前も全く思い出せない。
 でも、X子が言ったことやその時の行動はハッキリ思い出せる。
 なんなのだろう?
 忘れ去っていたことが、こんな風に次から次へと…。
 しかも、こんなにもハッキリと、いろいろ思いだしてくるというのは、ちょっと気持ちわるささえ感じてしまう。

 せっかく意を決して男子トイレに忍び込んだのに。特に何もなくて拍子抜けしたわたちたちだったが、その中でも特にX子は落胆していたんだと思う。
 あの時、男子トイレに忍び込んだわたしたちは、最初こそ、件の場所である並んだ小の方の便器の一番左のその左側を見てはしゃいでいた。
 でも、それが何の変哲もないただの羽目板と知ってからは、トイレの真ん中であっちを見たり、こっちを見たりしていただけだった。
 なのに、X子だけはスタスタ歩きまわって。個室の方を順々に覗いてみたり、戸をトントン叩いてみたり。
 果ては意味もなく水を流してみたりと、そう、どこかイラついていたように思う。

 一方、もぉ帰ろうってことになったわたしたちは、一人、個室を順番に出たり入ったりしているX子に声をかけた。
「ねぇ。もぉ帰らろうよ。誰か来たら困るしさー。」
 すると、一つの個室から、X子がひょいっと顔だけ出したのだ。
「なんだか、あたし、おしっこしたくなっちゃった…。」
「うん。じゃぁもぉ行こ。面白くないし。」
「うふっ。ホント全然つまんない。もぉ行こぉ。」
「行こ、行こ。」
 わたしたちが、出口の方に歩き出そうとした時だった。
「ちょっと、待っててよー。」
「えぇっ!?」
 足を止めて振り返ると、そこいるはずのX子の姿がどこにもない。
「あれぇ!?」
「えぇー、どこ行っちゃったのよぉ?」
「X子ぉ?」
「えぇっ?トイレの中!?」
 半開きのドアの個室が並ぶ中。たった今、X子が顔を出していた個室のドアだけが閉まっているのに気がついたわたしたち。
 X子が言っていたことがどういうことなのか、やっとわかったわたしたちは思わず顔を見合わせていた。
 ただ、そうは言っても「本当にここで?」と思ったのも事実だった。

「ちょ、ちょっとX子。そこにいるの?本当に?ふざけてるんでしょ?」
「えぇー、X子。ちょっと…。えぇー!」
「ヤバいよー。男子が入ってきちゃったらどうするのよー。」
「もぉっ。早く出なよー。行っちゃうよぉー」
「ちょ!ちょっと待ってよー。」
 ドアが閉まった個室の中から、本当に聞こえてきたX子の声。
 どこかちょっと苦し気に聞こえるそれは、まさにしゃがんだ姿勢で出る声のようだった。
「な、な、なんなのぉ?トイレなら隣りにあるじゃない!?」
「だって、したくなっちゃったんだもーん。
 しょうがないじゃなーい。ふふふ。」
 わたしたちが「行っちゃうよ」と言った時は、中から聞こえるX子は焦った声を出していたのに。今は、やけにのんびりした声で。しかも、変な含み笑いをしたりしてふざけている。
 でも、外のわたしたちは、男子が入ってきたらどうするんだと、もぉ気が気じゃない。
「早くしなよー、もぉっ!」
「そうよー。」
「もぉそんな急かさないでよー。ふふふ。」
「ちょっと、何やってんのよー。もぉ早くしてよ。」
「もぉー、ちょっと。ふふふ。」
 そう。その時、X子は、ここに男子が入ってくるかもしれないというスリルを楽しんでいたんだと思う。
 ただ、今になってみれば、単純にそういうことだったのか?という気もするわけで…

 そんな時、個室の中からやっと聞こえた水を流す音。
 思わず、ほっと胸を撫で下ろしたわたしたち。
 しかし、ざわざわ衣擦れの音はするものの、X子は一向に出てこない。
「ちょっと、早くしてよ!」
「もぉっ。何なのよー。」
「ホント、行っちゃうよ。」
「お願いだから、早く出てきてよー。」
 カチャ。
 鍵の開く音がした時は、すーっと体中の力が抜けたくらい。
「あー、面白かった。」
「お、お、面白かったって…、もぉっ、X子!」
「だから、もぉそういうのは後。とにかく早く出よ!」
「そうよ、早く。もぉっ、早く!」
「ちょーっと、待ってって。みんなもすればいいのにぃー。
 ふふっ…。」

 トイレの外に出た時は、X子以外は思わずその場にヘナヘナ座り込んでいた。
「……。」
「……。」
 もぉ体中、イヤーな汗かいて。無性に蒸し暑いくせして、変な寒気があった。
「なによー、みんなぁ。どうしたのよー。」
「あんたさぁ…。」
「なに言ってんのよ。みんなで入ったんじゃない。
 今さらアセったってしょうがないじゃん。」
「男子が入ってきたらどうする気だったのよ!」
「大丈夫よぉ。だって、だからこそお盆前の今日にしたんでしょ。
 プールに男子、ほとんどいなかったじゃない。」
「ていうか、なんであそこでするのよぉ!
 隣りに女子トイレがあるんだもん。隣りですればいいじゃない!」
「ふふっ。わかんない。なんか急にしたくなっちゃったの。
 しょうがないでしょ。出物腫れ物所嫌わずってさ。
 でもさ、なんかさ。ホントすっきりしちゃった。アハハ。」
「もぉ。勘弁してよ…。」
「わかった。わかったわよ。帰り、みんなにアイスおごるって。
 それでいいでしょ。もぉー。アハハ。」
「うん。まぁそれなら…。」
「まったく…。しょうがないなー。」
「はぁ…。」
「格別のはからいで許す。」
「あ!ただし、棒のヤツよ。カップはダメ。」
「ケチ!」
「アハハー。」
「キャハハハ―。」
 イヤな汗まみれになるくらいのハラハラドキドキだったが、無事に終わってしまえば逆に楽しくなってしまうもの。
 一緒にスリルを味わった者同士。アイスを舐め舐め、箸が転んでも可笑しい年頃よろしく、みんなで帰ったのだ。
 あの時の光景は、今、ハッキリ思い出せる。
 アイスを買ったお店も、帰りの道も。それこそ、どんなアイスを食べたかだって思い出せる。
 なのに、彼女の顔も、名前も、いまだに出てこない。
 そう。これは、特にどうということもない出来事なんかじゃない。
 だって、あの日、彼女とバイバイしたW町の交差点での面影が、彼女の最後の記憶なんだから……


 次の日は、お盆前最後のプールだった。
 わたしたちは、あの男子トイレに忍び込むのをその日かその前日かと計画していたくらいだったから、その日もプールに行く約束をしていた。
 その日、彼女は来なかった。
 彼女が来なかったことに、みんな、「あれ?」くらいには思った。
 でも、トイレの一件でもわかると思うけど、彼女って、ちょっと気まぐれな子だったから…
 
 だから、お盆が終わって、またプールが始まった日、彼女が来てなくてもみんな、心配なんて特にしなかった。
 みんなも、お盆で親の田舎に行ってまだ帰ってきてないか、じゃなければ疲れたから来ないんじゃないのーなんて言っていたのだ。
 彼女の姿がないことに、さすがに「どうしたんだろう」?って。みんなで彼女の家に行ったのは、夏休みももう終わりって頃だった。
 
 玄関のドアが開いて出てきたのは、いつものようにお母さんでなくて、彼女のお祖父ちゃんらしき人だった。
 聞けば、彼女は体調を崩して入院しているとかで。それも、学校のプールから帰ってきて、お腹が痛いと言い出して。病院に行って、そのまま入院してしまったらしい。
 そんなわけで、お母さんは今日も病院に行っているのだと…。

 結局。彼女は、夏休みが終わって2学期が始まっても学校に来なかった。
 2学期は長いようで、行事がいろいろあるから、気分的には意外に早く過ぎていく。
 運動会、秋の遠足、文化祭…。
 気づけば、あの暑い夏がまるで嘘だったみたいに寒くなっていて。
 そう。そんな風に季節が移ろううちに、わたしもみんなも彼女の記憶をなくしていった。

 変なのは、普通、クラスの子が入院したら、担任の先生から話があって。順番に見舞いに行くとか、もしくはみんなで千羽鶴を折るとかするとはずなのだが、その記憶は一切ないこと。
 そして、もぉ一つ。
 あれは、まだ暑かったから、9月ごろだったと思う。
 朝、学校に行く道を歩いていたら、後ろからU未が駆けてきたのだ。

「ねぇねぇ。ねぇったら!」
「えー、どうしたの?」
「うん。昨日の夜、X子のこと、見たのよ。」
「X子ぉ?」
「うん。昨日の夜、塾の帰り。塾の友だちと歩いてたら…。」
「ふーん。じゃぁ病気治ったのかなぁー。」
「うん。どうなんだろうね。」
「えぇっ。会ったって、話したんじゃないの?」
「ううん。だから、会ったんじゃなくって、見たのよ。第一公園の前で…。」
「第一公園って、学校の前の道をちょっと行ったところの?」
「うん。ほら、わたしが行ってる塾って、あの道沿いじゃない。
 帰るのに歩いてたらさ。公園の中のベンチにX子が座ってたの。」
「えー、なんでそんなとこに?」
「知らなーい。
 声かけようと思ったんだけどさ。塾の友だちが一緒だったし…。
 あと、ほら、お祖父ちゃん?」
「お祖父ちゃん?」
「ほら、夏休みの終わり、みんなでX子の家に行ったじゃない。
 あの時、お祖父ちゃんがいたじゃない。」
「あぁあぁ。あのお祖父ちゃん。」
「うん。ベンチにさ、お祖父ちゃんと座ってたのよ、X子…。」
「へぇー、じゃぁ病気治ったんだね。よかったぁ。
 あ、そうだ。じゃぁさ。今日、学校の帰り、みんなで行ってみない?
 X子の家にさ。」
「うん。行く行く。」

 でも、彼女と会うことは出来なかった。
 出かけているのだろうか?
 インターホンを押しても、♪ピンポーン、ピンポーンと鳴り続けるばかりで。
 それは、次の日も同じ、その次の日も同じ、さらに次の次の日も同じだった。
 ただ、その後もそうだったかは定かではない。
 
 彼女の家の場所は、今でもちゃんと憶えている。
 行こうと思えば、たぶん行けると思う。
 なのに、彼女の名前と顔は未だに思い出せない。


                    ―― 『姉弟掛け合い怪談:その16』〈つづく〉

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2017
05.04

邪馬台国


 TVで邪馬台国のことをやっていて。
 あー、邪馬台国って、なんか久しぶりに聞いたなーなんて(笑)

 まぁ楽しく見てたんですけど、邪馬台国と言えば、つまり、どこなのか?ってヤツですよね。
 畿内説、九州説っていうのはフツーに知ってましたけど、番組で紹介された地図上のプロットを見ると、今や日本のあちこちに説があるんですねー。
 ていうか、日本列島を飛び出てジャワ島説というのもあるとかで、いやはや、なんともダイナミック!(笑)

 そんな中、千葉県民としては、やっぱり房総半島にあったプロットが気になるわけで。
 てことでネットを見てみたら、なんと!邪馬台国、千葉県の我孫子市布佐説というのがあるんだとか(爆)

 いや、もぉ一瞬目が点になりましたよ。
 「今の我孫子市の辺りにあったらしい」っていうんならともかくも。
 我孫子市の布佐って、そこまで細かいエリアに特定されてるなら、もはや近畿説、九州説の上をいってるじゃないかって(爆)
 そうそう。確か、房総風土記の丘だかなんだかっていう、古墳の博物館も近くにあったし、こりゃ意外と本命かも?
 なんてさ(爆)

 ていうか、我孫子市の布佐って、それ、もはや「国」ではないですよね?
 邪馬台“地区”というか、邪馬台“町内”というか(笑)
 女王卑弥呼というよりは、町内会長の卑弥呼さんみたいなー。
 「邪馬台国?あぁ。邪馬台国なら3丁目の角の向こうだよ」なんてねwww

 ていうか。
 邪馬台国が千葉県の我孫子市の布佐にあったんだとしたら、そんなもんいちいち記してた「魏志倭人伝」の著者って、よっぽどヒマだったんだろうなー(爆)
 もっと他に書くことないのかよ!www

 いやもぉ「こらこら。大人をからかってはいけませんよ」レベルな説ですけど、畿内説、九州説も意外にそんな程度だったりしてね(笑)
 邪馬台国オタクの人ってマジメそうだから、てなこと書くと怒られちゃうのかな?www


 ま、そんな邪馬台国ですけど。 ←そんなって、どんな邪馬台国だ?
 いやね。そんな邪馬台国の番組を見た夜、夢を見たんです。
 あ、別に邪馬台国の夢じゃなくってね。
 邪馬台国の「馬」つながり(かどうかは知りませんけど)で、馬が出て来る夢(笑)

 仕事をサボって、本屋に行って。
 そろそろ戻るかと、会社に戻るんだけど、またサボって本屋に行っちゃう。

 でー、今度は戻らずに。
 そのまま馬に乗って逃げちゃう(笑)

 馬は、もぉすんごいスピードで走ってる。
 辺りは見渡す限りの荒野。
 パカラン!パラカン!パカラン!

 やがて、前を走る馬が見えてくる。
 パカラン!パラカン!パカラン!

 グングン追い上げていくこっちの馬。
 パカラン!パラカン!パカラン!
 前の馬がたてる砂埃がすごい。
 パカラン!パラカン!パカラン!
 前の馬は、今や目の前。
 前の馬のいななきが聞こえてくる(音というよりは、いななきが感じられる、みたいな)
 と思った瞬間、引き離される。

 パカラン!パラカン!パカラン!
 また、あっというまに追いついたんだけど、追いついたと思ったらまた引き離されて、夢はお終い(笑)

 毎度のことながら、何がどうなってそんな夢、見るんだか?
 魏志倭人伝の著者をヒマと笑う前に自分を笑え!ですね(爆)






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