2017
02.26

怪談:17.2.26『姉弟掛け合い怪談-その6』


 そんな頭の奥の奥のそのまた奥のどこかにしまい忘れてしまった記憶を思い出すことになったのは、去年のことだった。
 その時は、春の彼岸で実家に行って。俺は、たまたま来ていた叔父さんと話をしていた。

 叔父さんによれば、従兄弟のT雄クンも去年クルマの免許をとったとかで。そんなわけで、夜になると友だちと叔父さんクルマであっちこっちフラフラしているんだとか。
 いや、「やること同じなんだねー」って。俺は、思わず笑い出してしまった。
 「ホントだなぁー」なんて笑っていた叔父さんも笑っていたのだが、ふと真顔になった。
「いやさ。それでさ、ついこの間だよ。
 朝起きたらさ、居間に電気が煌々とついててさ。
 なんとT雄の野郎、友だちと2人で酒飲んでやがったのさ。
 さすがに怒鳴りつけたんだよ。」
「へぇー。あのT雄クンがねー。」
「朝っぱらから、真っ赤な顔しやがってさ。
 それでT雄が言った話ってぇーのがさ……。」

 T雄クンのその話というのを、しゃべっている叔父さん。
 だが、それを聞いているうちに、俺はなんとも言えない変な感じを覚えていた。
 というのも、なんだかどこかで聞いたような話だなーって。
 俺がそれに気がついたのは、叔父さんの話の途中だった。

「でな、その夜中にクルマに乗っけたっていうその男。
 どうもありがとうございましたって、クルマから出てったら。
 助手席に乗ってたT雄の友だちがすごく酒臭かったらしいって──」
「ちょ、ちょっと待った、叔父さん。
 なぁーんだ。叔父さん、それ、たぶんT雄クンの作り話だよ。
 あ、作り話じゃないんだけどさ…。
 でもー、俺、その話、T雄クンに話した記憶ないんだけどなー。
 でも、T雄クンが話したってことは、話したんだろうなぁー。」
「何言ってんだよ、N…。」
 話を途中で折られたが不満だったのか、叔父さんはちょっと不満そうな顔をしている。
「いや。それさ、オレの大学時代の話なんだよ。
 夜中、国道のあの交差点のとこで変なヤツ拾って。
 S駅まで乗せてやったって、うん。まるっきり同じだよ。
 だって、運転してた俺は、ソイツが酒臭いって気づかなくって。
 助手席の友だちだけ気がついたってとこまで同じだし…。
 で、あれでしょ?
 その男、友だちが言うには、クツを片っぽ履いてなくて。
 おまけに、ズボンが破けてたんでしょ?」
 俺のその言葉に、叔父さんが驚いた顔をした。
「えぇっ!元はNの話なのか?
 てことは、なーんだ。アイツ、朝になっても飲んでたから、
 そんな話して誤魔化しやがったってことなのか!?」
 叔父さんは、そう言って首を傾げていたのだが。
「いやー、でも、なんかそれもちょっと変だなぁ…。」
「うーん。確かに全然意味ないですよねー。
 でも、その話は間違いなく俺の話ですよ。
 ただ、すっかり忘れてたけど…。
 T雄クン。しっかし、よくそんなこと憶えてたなぁー。」
 懐かしがっている俺とは対照的に、叔父さんはなにやら納得いかない表情。しきりと首を捻っている。
 
「そうか…。
 で?Nはどう思うんだ?その男のこと…。」
「えぇっ。ソイツのこと?」
「うん。」
「思うって、何を?
 たんに終電に乗り遅れた酔っ払いでしょ。」
「違うって。後をつけたんだろ?」
「え、なに言ってるの?後つけるって、ソイツの後ってこと?」
 そう言うと、叔父さんはいきなり目を見開いた。さらに、口を半開きにして咽喉から変な音を出している。
「ちょ、ちょっと、叔父さん。どうしたの?大丈夫?」
 俺は、叔父さんが何か咽喉につまらしたのかともぉ大慌て。背中擦ろうと、立ち上がりかけた時だった。
「お、おい。そしたら、ソイツって、ソイツって…。
 いったい何なんだ?
 ずうーっと、そうしてるってことなのか?」
「…?」
「違うぞ、N。T雄はお前の話をしたんじゃねーよ。
 やっぱり自分でソレを見たんだ…。」
「いや、だから──。」
「T雄とその友だちは、その男の後をつけたっていうんだ。
 だから、その男が降りた後。
 クルマを走らせてたら…、ほら、俺んとこのマンションって、
 S駅から線路沿いに行って、右に曲がると近道だろ。
 だから、クルマをそのように走らせたらしいんだ。
 ところが友だちが、ずっと酒臭いの我慢してたから、
 ちょっと外の空気吸いたいって、クルマ停めたっていうんだよ。
 でな……。」


 商業施設の建ち並ぶS駅の周りだが、そうはいってもそこは地方都市。駅から200メートルも離れると、辺りはシーンと静まりかえった住宅街だ。
 あと30分もすれば一番電車に乗る人も歩いていたりするのかもしれないが、今はどこを見ても人っ子一人いない。
 そんな中、ヒッチハイクで乗せたヤツが酒臭くて気分が悪くなったと、友人のU二はクルマの外で煙草を吸っていた。
 いや。俺は、特に酒臭いとは特に感じなかったんだけど…。
 でも、U二が言うもんだから、この寒いのに前も後ろも窓を全開にして空気の入れ替え。やはり、運転席で煙草を吸っていた。

 と、いきなり、U二がクルマの中に入ってきた。
「おい、T雄。ドア閉めろ!
 さっきのヤツが来るぞ。面白いから後つけてみようぜ。」
「え?」
 見れば、バックミラーにさっきのアイツの姿が。
「えぇっ!?アイツ、何やってんだ?帰ったんじゃないのかよ。」
 ちょっとそっくり返ったような、その姿は、まるでさっきの後ろに座っていたそのまんま。よたよた、フラフラこっちに歩いてくる。
「また乗せてくれとか言ってきたら嫌だからさ。もう帰ろうぜー。」
「大丈夫だって。いざとなったらクルマ出しちゃえば──。
 わっ!やべっ!」
 後ろを見ていたU二だったが、いきなり頭を下げた。
「なんだよ?どうしたんだよ。」
 変なヤツだなぁって見たオレに、U二は尖ったヒソヒソ声を出した。
「横、横…。今、アイツ。横、歩いてる…。」
「えぇっ!?」
 慌てて見てみれば、フロントガラスの右端によたよたフラフラ歩く後姿が。それは、間違いなくさっきのアイツ。
 通り過ぎたのをいいことによくよく見てみれば、確かにズボンがあちこち破けている。
 おまけに、左足は靴を履いていない。
「ゲっ!ホントにクツ片っぽ履いてねーよ。」
「なぁ。アイツってさ。
 酔っ払ってるのはいいんだけどよ。でも、どこで飲んでたんだ?
 あん時アイツ、田んぼの方から歩いてきたじゃん。
 でも、あっちに店なんてないぜ。それどころか家だってないぜ。
 こんな時間まで、どこで飲んでたっていうんだ?」
 そう言って、オレはU二の顔を見たんだけれど。でも、U二ときたら。まるでとり憑かれたかのように、前方を歩くアイツにじっと目を合わせたまま。
「うーん…。そういやそうだよなぁー。
 あ、ヒッチハイクしようと、向こうに渡ったってことか?」
「そんなわけないだろ。それじゃS駅とは逆方向だもん。」
「あ、そうか…。おっ、右に曲がる。おい!クルマ出せ。」
 いや。オレはどっちかといえば、もぉ帰りたかった。でも、U二のその言葉につられるように、ついクルマを出してしまったのだ。


 道を右に入ったクルマのフロントガラス越しに、アイツの後姿が見えた。
 アイツまでは、大体50mくらいか。クルマがこの速度で後をつけている分には、アイツに気づかれることはなさそうだった。
「おっ、また曲がったぞ。」
 オレは、わずかにアクセルを踏んで、ハンドルを左に切った。
 左に曲がると、そこは今の道よりやや幅の広い道が屋並の中を真っ直ぐ突き抜けていた。
 点々と連なっている、うす暗い街灯の下を歩いているアイツの後姿。その歩き方は、あいかわらずよたよた、フラフラ。ちょっとそっくり返っているような、変な歩き方だった。
「おっ、今度は右に曲がるぜ。」
「えぇっ、右?
 右って、右に曲がってちょっと行ったら、もぉ国道だぜ。
 なら、駅に行く必要なかったじゃん。
 駅の入り口の所で降ろしてくれって言えばいいじゃん。」
「酔っ払ってて、そこまで頭まわんなかったんじゃねーの。」
 U二はそう言って笑ってたのだが…。
 でも、今度はオレの方が無性に興味が湧いてきてしまったのだ。
 クルマを降りた後、すぐに帰らないでこうしてフラフラしてるのも変なのだが…。
 そう。この寒い中、アイツは何でセーターだけの格好、おまけに片っぽ裸足で平気なんだろう?

 気づけば、道の向こうに見えてきた国道の街灯。
 時間のせいか、さっきより行き交うクルマは増えているようだ。
 そんな光景をバックに、アイツのシルエットが黒くクッキリと見える。
「やっぱ国道出たよ。で…
 あー、左に曲がるのかぁ…。」
「あぁ~あ。国道出ちゃったんじゃ、後つけるの、もぉ無理だな。
 しょうがない。帰るとしようぜ。」
 あくびでもするように、U二はそう言った。
 でも、オレは好奇心が、もぉどうにも抑えられなかった。
「クルマ置いて、ちょっとあとつけてみようぜ。」
 国道の手前まで、アクセルをぐっと踏んだ。

 クルマを停め、サイドブレーキを引いたオレ。それを見て、U二はウンザリした顔をした。
「マジかよぉ。寒いぜぇー。」
「じゃぁオマエはここで待ってろよ。オレだけ見てくるからさ。」
「な、何なんだよ?どうしたんだよ?」
「わかんねぇ…。
 わかんねぇんだけど、なんか気にかかるんだ。だって変だろ?
 オレ、ちょっと見てくるからさ。」
 そう言って、ドアを開けて外に出ると。
 見れば、クルマの向こうにはU二が立っていた。そして、オレを見て、ニヤっと笑った。
「ヘヘヘ。実はよ、オレも妙に気になるんだよな。」
「ばぁ~か。」
 オレはその笑みにうなずくと、すぐさま駆け出した。

 国道を左に曲がると、2、30m先にある歩道橋を登っているアイツが見えた。
 例のあの歩き方だ。ちょっとそっくり返ったように、よたよたフラフラ。一段一段登っていく、その後姿。
「国道の向こう側なら、ますます駅に行く必要なかったじゃねーか。
 駅の入り口の交差点で降りて、横断歩道渡った方が全然近いじゃん。」
 まさか、すぐに歩道橋を登るわけにもいかず。オレたちは、少しの間、国道こちら側で歩道橋を向こう側に渡るアイツのシルエットを見つめていた。
 そのアイツは、今、歩道橋を渡りきったところ。次は、こっち向いて階段を降りてくるはずだった。
 だって、それ以外に行くところはないのだから。
「えっ!?」
「き、消えた?うそぉ。」
 歩道橋を渡りきる所までは、確かにずっと目で追っていた。
 しかし、アイツの姿は、渡りきって階段を降りるところで、フっと見えなくなって…

「この歩道橋って、向こう側に階段なかったよな?
 こっち側だけだよな?」
 慌てた口調でこちらを見るU二に、オレは唾を飲んでうなずいた。
「と、とにかく、あっち…。ちょ、ちょっと行ってみよう…。」
 一段抜かしで階段を駆け上がって。オレたちは歩道橋を向こう側まで突っ走った。
 でも、やっぱり階段は一方にしかなくって…。
 もちろん、下を見てもアイツの姿はどこにも見あたらない。
「あっちか?」
 そう言って、階段と反対側を見ようとした瞬間、オレは思い出した。
 そっち側のちょっと先にあるのは…、そう。そこは大きな霊園。
 あらためて見るまでもなかった。そこは、いまだ明けない冬空の下、四角いデコボコが延々広がっているばかり。
「うっそだろ…。」
 首から背中にかけて、急になにやらかゾワゾワっと上がってきた。
 気がつけば、顔を見合わせていたオレとU二。
 真冬の夜明け前。4車線が通る国道の歩道橋の上。
 なのに、寒いなんて全く忘れていた。
 でも、ゾワゾワと粟立ってくる触感は、すでに背中からじわりじわり。体全体へと回り始めていた。


「でね。Nさんの従兄弟のT雄クンとその友だち、
 その後、ファミレスに行ったらしいのよ。
 寒いのより何より、とにかく人のいるとこにいたくって…。」
「あー、なんかわかる、それ。」
「そのS駅の近く…。あ、だから、その謎の男を駅で降ろした後。
 T雄クンの友だちが、クルマの外で煙草吸ってたって言ったでしょ。
 そのファミレスって、そこの道沿いにあったらしいの。」
「…?」
「でね。暖かいとこで、暖かいもの食べて落ち着いた頃…。」


 こんな時間だというのに、店はそこそこお客が入っていた。
 そこは明るくて、とっても暖かった。
 いつもだと、眠いこの時間に耳にキンキンくる、店員の「いらしゃいませ!」という声が今日は不思議とホッとさせてくれた。
 腹に暖かい食べ物が入ると、あのゾクゾク感はどうにか薄らいできた。
 でも、意識してソレの話題を避けているせいだろう。オレもU二も、どうも会話が続かない。
「コーヒーのお代わりいかかがですかー!」
 ウェイトレスの声に我に返ったオレ。
「あ、お願いします。」
 U二は、むすっと。ただ、テーブルのカップをウェイトレスの方にずらすだけ。
 じょぼじょぼと、コーヒーを注ぐかすかな音。
 はぁー
 なぜだろう。つい、ため息が出た。
 外は、少しは明るくなってきたのか。
 道には、駅に向かって歩いている人もちらほら。
 誰もが厚手のオーバーコートにマフラーをして。それでもみんな、背中を丸め気味に歩いている。
 外は寒いんだろうなぁーって見た窓の外。
 道行く人はみんな駅に向かっているのに、逆方向に歩いているヤツが1人…
「っ…。」
 それは、まるっきり一緒だった。
 ちょっとそっくり返ったような姿勢で、よたよた、フラフラ。
 やっぱり、靴は片っぽだけで……


「えぇー!
 な、何それ?どういうこと!?」
「Nさんね。一度だけ、そのT雄クンとそのことについて話したらしいの。」
「あぁー、うん。」
「いや。もちろん、結局なんだかわからないわけよ。
 そりゃそうよね。でもね…。」
「でも?」
「T雄クンが言った、その男を最初に見た時の印象の、
 昔のトレンディドラマに出てくるヤツみたいだって思ったっていうの聞いて、
 あっ!って思ったんだって。」
「昔のトレンディドラマぁ!?」
「それを聞いてNさん、自分も最初、
 その男って、やけに流行りっぽい服や髪型だなーって感じたのを思い出したらしいのよ。」
「あ、つまり同じヤツだと…。」
「ううん。それはわからないって。」
「えぇー、なんでぇ?
 だって、酒臭くて。靴、片っぽ履いてなくて。
 ズボンが破けてて、同じ場所でヒッチハイク――。
 あ、つまり、そこで交通事故で死んだヤツってことなんじゃない?
 霊園っていうのは、つまりソイツはそこに――。」
「だからっ!
 だから、ね。それは、NさんもそのT雄クンもわからないって。
 2人とも、そこは“わからない”ってことにしておきたい…。
 ていうか。そうじゃないとやってられないって。
 Nさんが言うには、特にT雄クンはそう思ってたみたいだって。
 だって、15分かそこら、一緒にクルマに乗ってたのよ。人、だと思って…。」


 夕食は、とっくに食べ終わっていた。
 ま、なんだ。怪談を語りながらの夕食っていうのも、それほどわるくない…、のか?
 弟なんか、いつの間にかビール飲んでて、もぉすっかりいい気持ちって顔になってる
 あぁ~あ。わたしも飲めたらなぁ…
 あー、でも、わたしが飲めてたら、絶対アル中になってるって気がするしなぁ…
 そーだ。久しぶりに中国茶でもいれよっか

 お湯を沸かしながら、後ろで弟がいろいろ言うを聞いていた。
 とりあえず、怪談は休憩。
 弟が話しているのを聞きながらふと思ったのは、探しているアパートのこと。
 わたしがそのアパートで暮らすその2年の間には、そう、弟はたぶんB美さんと結婚しているはず…
 そう考えると、こんな風に弟とのんびりバカ話が出来るのって、もぉそう何度もあることじゃないんだろう
 そっか。そうなんだなぁ…
「ねぇ。」
「えー、なに?」
「カレーは、わたしが作ったんだからさ。
 お皿は、アンタが洗いなさいよね。」
「えー、オレだって手伝ったじゃん。」
「なに言ってんの。あれっぽっち、手伝ったうち入らない!
 いーから、いーから。早くお皿洗っちゃいなさい。
 わたしはここで、さっき言ったもう一つのお話、話してあげるから。」
「ふふっ…。」
「なによ、またその笑い!」
「いやさ。ねーちゃんも、
 怪談を語る楽しさに、やっと目覚めたんだなーってさ。
 ねーちゃんのこと、長年躾けたかいがあったって思ったら、
 なんだか可笑しくなっちゃってさ。」
「な、な、な、なに言って――。」
「まぁまぁ。ハハハ。わかった、わかった。洗う。洗うよ。
 でもね。今度はオレ。」
「そーよ。アンタが洗いなさい。洗えばいーの。
 でね。これは、わたしの大学ん時の友――。」
「だからっ!」
「へっ…。」
 いやもぉ。そのいきなりの剣幕に。わたしはビクッと首をすくめて、辺りを見回してしまったくらい。
「だから、次はオレが話す番だろ!
 ねーちゃんばっか話してたら、つまんねーんだよっ!」
「は、はぁ?」

 いやはや。弟…、というか怪談が好きな人間というのは全くもってわからない。
 というか、まさに怪談だ。
 やたら、「怖い話、怖い話」って聞きたがるくせして。
 そのくせ、聞いたら聞いたで、自分も語らなきゃ気が済まないらしい。
 変なの…


「だからね。
 W辺って、高校ん時の友だちなんだけどさ。知らないよね?」
「うん。知らない。」
「なに怒ってんだよー。」
「怒ってるのはアンタでしょ。」
「まったくもぉ…。
 ねーちゃん…、ていうか、女っていうのは全くもってわからないよな。
 というか、まさに怪談だよ。」
「…!?」
 な、なに?なんなの、この既視感は!?
 血のつながってる人間というのは、これだからイヤなのだ
 あぁ…
 明日は、ちゃんとアパート探しに行くっ!行くったら行く!ぜぇ~ったい行く!

「W辺の家ってさ。ほら、Y町なんだよ。
 ま、Y町も、今はたんなる住宅街になっちゃったけどさ。
 W辺が引っ越してきたのは開発されたばかりの頃らしくって。
 建っている家なんて、数えるほどで。
 あとは、もぉススキ野原が延々広がってるみたいな……。」


 ススキは、年に1回か2回草刈りをするんだけど、でもみるみる間に背丈より高く伸びてしまう。
 そんなわけで、夏はザワザワ、冬はカラカラ。一年を通して見渡すかぎりのススキが風にそよいでいる、やけに寂しげな所だった。
 それは、僕が小学4年か5年の夏休み。
 もう寝ようと、歯を磨くのに洗面所に行った時だった。
 真夏だったから、洗面所の窓は網戸こそついていたものの全開で。
 外では、虫がジーっと、ちょっとうるさいくらいに鳴いていた。
 何気に網戸に顔を近づけると、外の様子が青黒く見えた。
 それは、向こうの林の黒々としたシルエットをバックに街灯やら、ススキの中の家々の灯りやら。

 窓の外は、すぐ隣の土地だった。
 当時、隣りはまだ家が建っていなかったから、当然、ぼうぼうのススキ野原。ただ、そこは夏に入る前、一度草刈りが入ったのでちょっとはススキの丈が短く、向こうが見通せた。
 いつもの平凡な夏の夜。歯を磨こうと、窓から目をそらしかけた時だった。
「っ…。」
 妙なモノを見てしまった僕は、その場に固まってしまったのだ。
 いや。妙なモノを見たと思ったのは、その後ちょっとしばらくたってからの認識だ。
 それを見たその瞬間は、「な、なに!?今の…」と言うしかなかったのが正しいと思う。

「人…、だよなぁ…。
 幽霊…、じゃないよなぁ…。でも、ホントに人なの!?」
 幽霊なんて見たことなんてないから、幽霊を見た時にどう反応したらいいのかわからない。
 映画なんかだと、見た途端「わー!」とか、「きゃー!」とか絶叫して。逃げ出したり、腰を抜かしたり、あとは気絶したりするのが普通だ。
 でも、その時。僕はそんな風にはならなかったのだ。
 いや、僕は怖がりの方だったと思う。夜寝る時なんか、布団を被って寝ないとダメなくらいなのだから。だから、幽霊なんか見たらショック死してもおかしくないはずだ。
 でも、それを見た時は、怖いとかそういう感情は一切湧いてこなかった。
「な、なに!?今の…」
 それだけだった。


                                        
                     ―― 『姉弟掛け合い怪談:その6』〈つづく〉

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2017
02.26

CD‐Rが欲しいんだけど…


 CD‐Rが残り少ないんで、買いたいんですけどー。
 でも、最近、アレ高いんですよね。
 近くの店で見ると、50枚のヤツが1580円くらいする。
 隣りでDVD‐Rは1000円前後で売ってるわけで、なんでCD‐Rの方が高いんだろ???

 ま、そんな時はアマゾンなわけで、見れば、やっぱり980円くらいのヤツ、ちゃんとあります。
 ただ、最近アマゾンは2000円以上買わないと、送料を取られますよね。
 なわけで、あと、1000円ちょっと何かを買わなきゃならないということで、「な~んかない?」って見てみても、特に必要なモノは見当たらない。
 CD‐Rも、今スグ買わなきゃなんないってわけでもないんで、「まぁいいか」って。

 ま、そんなことが先月あって。
 とはいえ、相変わらずCD‐Rはないわけで、「あー、そうだ。今月は買っとこうかな」と思ってたわけです。
 でも、相変わらず、それ以外に必要なモノ、特にないんですよねー。
 ということでCD‐R、結局、今月も買わなさそうなんですけど、でもまぁアマゾンの2000円以上じゃないと送料を取るっていうの、あれ、ホンっト不便です。
 “企業の便利に飼いならさちゃった消費者”なんでしょーね(泣)


 まぁーねー。
 昨今はネット通販全盛で。荷物が大幅に増え、しかも在宅率が低いとかで、再配達や再々配達は当たり前。時間指定配達でも在宅してない場合が多いっていう状況を考えると、2000円のシバリをかけたっていうのはしょうがない…、ていうか、むしろ、いいことなんでしょうねー(泣)

 なぁ~んて思ってたら、今週、ニュースによると、ヤマト運輸が荷物抑制、さらに値上げも検討とかで、これはますます配送料は上がってくことになるんでしょう。
 まぁサービスを受ける側としては、「使いにくい」というしかないわけですけどねー。
 ただ、今週の火曜だったかな?テレビ東京の番組で「その"便利"、必要ですか?」と題して、運送会社のドライバーがおかれてる過酷な(というか、今の社会の惨い仕打ちを実感しちゃうような)状況を見ちゃうとねー。
 いや、こりゃネット通販の配送無料って、どっかおかしいよ!とも思っちゃいますよね。
 *ガイアの夜明け(テレビ東京)
 http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber3/preview_20170221.html
 8時間労働として、単純計算だと荷物1個の配送に7分しかかけられないというのは驚きでした
 実際は、午後にまた新たな荷物を積むって聞いて(計150個)ので、うわっ!


 ただ、思うのは、AIだー、スマホだーって世の中で、もう少し巧い仕組みって出来ないもんなんなのかなぁ…。
 ドライバーの方のその日のスケジュールは、荷物の配送先の位置や過去の在/不在状況から本部のコンピュータ(AI?)がたてて。
 それをクルマのナビと連動させ、位置情報と組み合わせて本部経由で配送先に「今から行くよ」とスマホにメールを送って。それに返信がなければ、自動的に後回しにして、また本部のコンピュータが配送順を各クルマのナビに順次送って。
 ドライバーはそれに従っていくだけ、みたいなことって出来ないものなの?

 ていうか、ぶっちゃけ、「再配送は料金倍です」ってしちゃったら、それだけでドライバーの方の負担、相当減るような気がしますよね。
 そういう意味じゃ、サービスそのものが過剰で。消費者(ユーザー)と通販会社はそのサービスに甘えきってるという、その二つこそが問題なんじゃない?って思うんですけどねー。

 それこそ、通販会社は即日配送だ、翌日配送なんてやめて。
 配送のキャパシティに合わせて配送日を決めれば、また全然違ってくるんじゃないの?って話じゃないですか。
 即日配送とか翌日配送(が前提)って必要?狭いニッポン、そんなに急いでどこへ行く(笑)

 つまり、送料無料という通販会社のビジネスモデルに、そもそも他者(社)に負荷をかけすぎという「無理」があったということだし。
 無理があったという意味じゃ、運送会社の再配送無料というサービスにも「無理」があったということですよね。
 ただ、それは、それら企業のサービスに飼いならされちゃった我々消費者が、「お客さまは神さま」の大義名分の下、言いたい放題やりたい放題、運送会社と通販会社に「無理」を強いて。その「無理」の全てが、ドライバーの方にのしかかってたってことですよね。
 無理はしないで、その分サービスは多少いい加減っていうのがネット(時代の)企業の特徴なんじゃなかったっけ?(爆)


 いずれにしても、例のドライバーの方がブッキレちゃった動画じゃないですけど、通販会社、運送会社、消費者(ユーザー)からの無理をドライバーの方が全て背負わされてるという今の状況は変えないとヤバイ(おかしい)ですよね。
 だって、例の動画はまぁ(幸い)荷物だったわけですけど、それがいつ人に向かっても全然おかしくないというのが今の状況ってことですもん。
 思うんですけど、その循環(?)って、バスツアーを企画する旅行会社とバス会社の関係の中、ああいう事故が起きてしまったそれと近いですよね。
 変な話、事故(事件)を起こしてしまったら、それは事故(事件)を起こした側は法律で罰せられるわけですけど、でも、事故(事故)を被ってしまったらそれはその人の一生にかかわってくるわけじゃないですか。
 ここ日本ですら、法律が守ってくれるなんていうのはまやかしなわけです。
 だって、法律というのは事件や事故が起きて、初めて効力を発揮するものですもん。
 そう考えると、我々消費者(ユーザー)も十二分に想像(配慮)しないと、ちょっとヤバいってとこまで来てるんじゃないかなぁ…。




 アメリカのトランプ現象とか、あと、ヨーロッパで頻繁に起きているアラブの春2.0ともいうべき格差テロとか。
 実は、あれっなんかも、社会が一部の人たちに科した「無理」から始まってるのが大きいわけですよね。
 例のバノンさんの考え方の根本にあるものや、あと(最近の米国の)白人至上主義者の論理も、長年「無理」を科せられてきた人たち(白人労働者層)を救うという正義感じゃないですか。

 私たちニッポン人、特にマスコミやエコノミストは「日本は政治が安定している」などとどこか対岸の火事として見てるようですけど、個別で「死刑になりたかったから人を殺した」なんて事件は毎年起きてるわけで。
 日本でも、欧米のああいう風潮が当たり前になるのは、全然不思議じゃないように思うんです。
 それらが集団として行われるかは何とも言えないですけど、でも、日本だって60年代70年代は組織的なテロ事件が頻繁に起こっていたわけですもんね。
 ていうか、起こらないのなら起こしてしまおうと考えているかもしれない国だって、近くにいくつもあるわけでしょう。
 そういう意味でも、いろいろ考えないと(配慮しないと)、今の平和な暮らしって、実は相当危ういとこまで来てるのかも?って。
 なんだか、みょーなうすら寒さを感じてしまった今週でした。



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2017
02.19

怪談:17.2.19『姉弟掛け合い怪談-その5』

 弟のそんな話を聞いていたら、鍋の中はちょうどいい具合。
 ルーを入れて、ひと煮立ちさせたらもう出来上がりだ。
「どうしようか。もぉ出来ちゃうけど、食べちゃう?」
 あー、でも、怪談を聞きながらの夕食っていうのもなぁ…
「だから、ねーちゃんさ。TVでこないだ言ってたんだよ。
 カレーは、一回冷やした方がウマくなるって。
 2日目のカレーがウマイのはそういう理由らしいよ。」
「冷やすぅ!?
 冷やすって、たぶん1時間や2時間じゃぁ冷えないよ。
 ていうか、アンタ。一回冷やした方がウマイって、いったい何の番組を見たのよ?」
「えー、だから料理番組だけどぉ…。」
「りょ、料理番組って…、えぇっ!?
 なんで、アンタが料理番組よ?」
「え…、あっ、あぁ。
 えーと、えーと、だからー、そぉ!たまたま…。」
 その急にしどろもどろになった口調と、何やら天井を見ている目の玉。
 つまり…、またもや、そういうこと。
 はぁー
 「あなた色に染まる」というのは、ついこの間までは女の専売特許だったと思うんだけど…
 いやはや。
 染まる楽しさを忘れた女――わたしのことだ――もどうかと思うが。
 染まる楽しさに目覚めてしまった男――弟のこと――というのも、これはこれで困ったものだ。
 うーむ…

 まぁそんなわけで。
 考えてみたら、まだそんなにお腹もすいてなかったし。弟の話も途中だし。何より、怪談とカレーって合わなそうだしで、とりあえず 弟の話を聞くことにした。
 そう。カレーだけっていうのも何だから、話を聞きながらサラダでも作るか…
 うーん…


 大阪までは長い道中だし、嘘をついてまでタクシーで大阪に行く理由を聞き出してやろうと思っていた。
 しかし、その若い男ときたら…。
 それは、高速にのっかってすぐ。話しかける間もなかった。
「すみません。いろいろ考え事をしたいんです。話しかけないでもらえませんか。」 
 その強い口調。取り付く島もないとは、まさにこのこと。
 こりゃ長い旅になるぞーと、少々うんざり。でも、捨てる神あれば拾う神ありだ。その日の高速は意外にすいていた。
 それは、東名に入ってからも同じ。気がつけば、浜名湖SAの案内標識が見えてきた。
 浜名湖ねぇ…
 そんなことを考えていた時だった。
 ふいに、後部差席から声がした。
「運転手さん。すみません。次のSAで休憩してもらえますか?」
「えっ!あ、はい。
 あ、もしかしてトイレですかぁ?大丈夫ですか?」
「いえ。トイレも行きたいのは行きたいんですけど、
 でも、まだ全然大丈夫です。
 それより、ずっと座っていたせいか腰が痛くなってきました。」
「あぁーずっと同じ姿勢ですもんねー。
 SA着いたら、体伸ばしたほうがいいですよ──。」
 と、そこまで言っていて、なぜか会話に空虚なものを感じた俺はミラーを見た。
 そこにあったのは、頭を窓にもたれている男の顔。
 しかも、かすかに寝息の音まで。
 どう見たって、ずっとぐっすり寝ているとしか……

「えぇっ!?」
 思わず声が出てしまった。
 だって、たった今、会話してたと思ったのに…
 ヤバイ。全然気づいてなかったけど、俺、結構疲れてるのかも
 見れば、左に浜名湖SA入り口の案内標識が。
 とにかく入ろう。入って少し休まないと、これはマズイ

 ところが…。
 それは、SAの駐車場にクルマを停めた途端だった。
「じゃぁ昼食がてら、1時間ってことでどうですか?」
「はっ?」
 またもや、後部座席からいきなりかけられた声。
 後部座席の若い男はぐっすりと寝ているもんだとばっかり思っていた俺の背中は、ついビクンと跳ねてしまった。
「い、1時間!?」
「休憩ですよ、休憩。ほら、私さっき言ったでしょ。」
「えっ、あ…。あれ?お客さん。なんだ、そうか。そうですよねぇ。
 このSAで休憩したいって、さっき言いましたよねー。」
 …!?
「えぇ。言いましたけど…。
 え、なんですか?なんか変ですか?」
 後部座席の男は、そう言って短くクスっと笑っている。
 そのミラーに写る、意外に愛嬌のある笑い顔。
 狐につままれた思いでそれを見ていて、ふと背中に感じた、笑いの中の静かな視線。
「っ…。」
「おや。どうしました?」
「あ、いや。ええ。なんでもないです。」
「じゃぁ、1時間でいいですか?
 運転手さんがお疲れなら、もっと休んでもかまいませんけど。」
「えっ?あぁ、あぁ、はい。1時間で大丈夫です。」
「じゃぁ1時間くらいしたら、このクルマの所にいますから。」
 後部座席の若い男がそう言うなり、聞こえたドアを開ける音。
 と思った時には、バタンとドアの閉まる音がして、空気が密閉された。
 気がつけば、あの若い男の後姿がフロントガラスにごしに見えた。
「……。」
 何なんだろ?この変な感じ…
 いや、まさか、ホントにキツネかタヌキを乗せちまったってことはないよなぁ…


 そうだ。一応、アイツに連絡入れとこ…
 それは、軽く昼食を食べて。自販機で買ったいつもの缶コーヒーを飲みながら煙草を吸っていた時だった。
 一昨年、息子が生まれた妻は、それまで勤めていた会社を辞めて。今は、家で子育てと主婦業に専念していた。

「えぇっ!大阪ぁ?まった、ずいぶんと遠いとこねー。」
 なんとも心細い思いの俺の心持ちとは裏腹に、受話器の向こうから聞こえてきたのはいつも通りの脳天気な声だった。
「あ、でも大坂かー。
 美味しいものいっぱいあるんだよねぇー、大阪って。
 ズルいなー。自分だけ美味しいもん食べてぇー。
 あー、あたしも、何か美味しいもん食べたいなぁー。」
「なに言ってんだ。こっちは仕事だ、仕事っ!」
「あー、そうそう!ねぇ、ういろう買ってきてよ。
 大坂なんて聞いたら、なんだか久しぶりに食べたくなっちゃった。」
「う、ういろぉ!?はぁ?
 なに言ってんだ?ういろうは名古屋だろ。
 はぁー。」
 思わずため息が出た。
「あれー、そうだっけ?なーんだ、つまんない。
 じゃぁ大阪って何あるの?たこ焼き?お好み焼き?
 あー、もぉ全然わかんないや。ハハハ。
 とにかくさ、なんかおいしそうなもん買ってきて。
 楽しみに待ってるからさ。ね?ハハハー。」
「あのな。俺は仕事なんだぞ。」
「はい、はい。じゃぁね。運転気をつけてね。
 あの子が起きちゃうから、もぉ切る。」
 ガチャ。
「えっ?お、おい…。」

 ったく…。
 何なんだよ。なにが、何がウマイもん買ってこいだ。
 あ、でもまてよ。大阪かぁ…
 そうだよなぁ。大阪っていやぁ、食い倒れの街っていうくらいだもんなー
 なんかウマイもん、食って帰るっていうのも悪くないよなー
 あーぁ…
 でも、なんだかほっとした
 なんていうかさ。そう、久しぶりに血の通ってる人間と話した気がしたっていうかさ…
 ほーんと、何だかそんな感じだ。ハハハ…


 結局、お客の若い男は、それからも同じだった。
 話しかけても、「眠いので話しかけないでください」と言って、あとは、すーすー寝ているばかり。
 そのくせ、いきなり「次のPAでトイレに行きたいです」などと言ってくる。
 「わかりました」と。少しは話が出来るかなと、なるべく愛想いい返事でミラーを見ると、たった今、口を開いたのが嘘のように後ろの座席で眠っている。
 それこそ、スースー寝息が聞こえてくる有り様だ。
 それは休憩前と同じ。何だか、このクルマにその若い男以外にお客がもう一人乗っていて。そのもう一人が言ってるようで、何とも薄気味悪い。
 ただ、この長い道中だ。俺もそれに慣れてしまったんだろう。
 この男は、極端に素早く寝入ることが出来るのかもしれないな、などと思うようになっていた。

 クルマが大阪市役所がある中之島の手前まで来たのは、日は落ちたもののまだ明るさが残るそんな時間だった。
 空気の色がだんだん濃くなってきて、通りや建物の灯りが目立つようになってきたそんな春の黄昏時。
 通りは買い物帰りなのだろうか、辺りは週末らしく家族連れやカップルが大勢歩いている。
 あぁーあ。やっと着いたぁー
 しっかし、後ろのお客ときたら…
 結局、休憩だの、トイレだのと言う以外は、この長い道中、ホントに何ひとつ話ししなかったなー
 そういう客なんだって割り切っちゃえば、別にどうってことないはずなんだけどなぁ…
 いったい何なんなんだろう?
 何かにのしかかられているような、そんな重い疲れが体全体にあった。

 交差点の信号は、なかなか変わらない。
 ちょっとイライラしながら、大きく息を吐いていると。
「あ、もぉここで降ろしてください。」
「え?市役所、まだですけど…。」
「いや、市役所って言ったのは目印に言っただけで。
 別に、市役所に用があるわけじゃないんです。」
「あ…。なるほど。
 そ、そりゃそうですよねー。言われてみりゃ、そうか…。」
 なんだか、最後の最後まで狐につままれたような、なんかそんな感じ。
 やけに丁寧な「運転手さん、本当にありがとうございました」という声を最後に聞いて、ドアを閉めた。
 見れば、フロントガラスの向こう、ゆっくりした歩調で橋を歩いていく、つい今まで後ろに座っていたあの若い男。
 俺はハンドルにもたれながら、その後姿をなんだか見るともなしにぼーっと見ていた。
 そうかー。ここって、あの有名な御堂筋なんだよなぁー
 まだ明るさの残るその空には、浮かんでいる青黒い雲の下が金色に染まっている。
 そんな、いかにも春って感じの穏やかな夕暮れ。
 でも、外は少し風があるのか。あの若い男が右手に持つ赤い風船は、しきりと左右に揺れていて……
 …!?
 ふ、風船!?
「えっ?あの男…。
 えぇぇー、あんなもん持ってたかぁ?」
 それは、自分ながら、なんとも素っ頓狂な声だった。

 しかし、橋を歩いていくあの若い男のすぐ上でふわふわ揺れているのは、どう見たって赤い色の風船だ。
 その糸こそ見えないが、赤い風船の真下にはその男の肘から先を上に向けた右腕があって。その手はしっかり握られているから、宙に浮かぶその赤い風船の糸を持って歩いているように見える。
 しかも、心なしか、男の頭はそれを見上げているようにも…。
「えぇーっ!?」
 慌てて辺りを見回した。ても、そんな風船なんて配っている人なんて見あたらない。
 じゃぁ、あの赤い風船っていったい…!?

 まったく…
 最後の最後どころか、その最後のさらに後まで、全てが狐につままれているようだった。


「でさ。I島が乗せた、その若い男。
 なんと、そのまま失踪しちゃったんだって。」
「えっ、失踪ぉ!?ホントに?」
「それ以来、行方不明らしいんだよ、その男。
 つまり、失踪しちゃったってことなんだろ。」
「えっ、でも…。」
 そう。なんか変だなーと思ったのだ。だって、なんで失踪したってわかるんだろう。
「あ、だから。
 ほら、I島がその男を乗せた時、一緒にいた女の人がいたじゃん。
 その女の人って、その男の彼女でさ。I島のクルマのナンバー、憶えてたらしいんだよ。
 その彼女が、警察に失踪届けを出した時にそのこと言ってさ。
 それでI島、いろいろ聞かれたんだって。」
「あっ、そういうこと。ふーん。
 でも、なんだろ?なんだか都市伝説みたいな話ねー。」
「あ、そうそう。I島が言うには、
 他の運転手に聞いたら、他にもそんな話があったんだって。
 やっぱり、長距離の客を乗せたら、そのまま失踪しちゃったとかなんとか…。」
「ふーん。まさに、タクシー怪談、かー。
 あ、そういえば、わたし、その逆は聞いたことある!
 長年、失踪してた人が、タクシーに乗って帰ってくるって…。」
「えー、何それ?どういうことだよ?」
「うん。あー、でもさ。そぉっ!風船よ。
 風船っていうのは何なのよ。」
「うん。それがわかんないんだよね。
 I島が言うには、その客って、何も持ってなかったらしいんだ。
 まーさ。大阪まで行くのに手ぶらっていうのも変なんだけどさ。
 ただ、風船なんて持ってなかったのは確かだって言うんだよ。
 だって、赤い風船なんだもん。
 車内にそんな派手な色の物があったら、絶対気づくはずだって。
 それにさ。I島が言うには、その客、歩きながら風船を見上げててさ。
 なんだか、風船と会話してるように見えたって言うんだよ。」
「は、はぁ?風船と会話ぁ!?
 えー、つまり、ヤバイ人だったってこと?
 ほら、最近は結構いるらしいじゃない。物と話が出来ちゃうヒト。
 やーねー、変なヒト…。」
「だからっ!今って、そういう話をしてるんじゃないだろ!
 ねーちゃんの情緒欠損症!」

 いやはや。弟にからかわれてわたしが怒りだすというのがいつものパターンなのだが、その時は珍しく弟が臍を曲げてしまった。
 とはいえ、そこは姉弟。しかも、わたしは姉なわけで。こういう時の弟のあやし方は、子供の頃からすでに完全にマスターしてるわけだ。
 つまり…

「あー、だからさ。今、アンタが言ってた、
 タクシーの長距離の客がそのまま失踪しちゃったっていうのの逆の話。 
 つまり、失踪してた人がタクシーに乗って帰ってくる話だけどさ…。」
「……。」
 弟の顔は、やっぱりぶすっとむくれてた。でも、その目は確実に話に食いついていた。

「あっ…。
 でも、その話は後。一つ、話、思い出しちゃったからそっちを話す。」
 ううん。別に意地悪したわけじゃない。たんに流れだ。
「えー、何だよぉもぉっ!」
「いいじゃない。話したいんだもん。
 あっ!ていうか、夕飯は?さすがにお腹空いたよねー。
 せっかくサラダも作ったんだしー。」 
 気づけば、カレーが出来て、かれこれ小一時間経っていた。
 ま、結局怪談と夕食が一緒になってしまうが――しかも、わたしが話し手――まぁ。毒食らわば皿までというか、夕食を食べるなら怪談まで…、だ。


「職場にね、Nさんっていう人がいるんだけどさ。
 あ、男の人ね。」
「おっ、もしかして?」
「なによ?」
「ヘヘヘー。ねーちゃんの彼氏、とか?」
「ば~か。結婚してる人っ!
 ったく、アンタって、最近は口を開くとそっちね。
 35回くらい死んだらいいんだわ!」
「さ、35回って…。」
「フフッ。でね。そのNさんが大学3年の冬。
 ほら、男の子って。友だちと夜中にふらふらクルマで走ってるの、好きじゃない。
 Nさんも御多分に漏れずでさ。
 免許を取って以来、夜中に友だちとクルマを走らせてたらしいのよ…。」


 その夜は、中学校からの親友のO野と2人、いつも通りR山のクネクネした山道を走っての帰り道だった。
 そこは、2、300mも走ったところにある交差点を左に曲がれば自宅のある住宅街ってあたり。クルマは、その交差点の1つ手前の信号にひっかかっていた。
 その夜は、国道を走るクルマが少なくて。その信号でも、停まっていたのはオレたちの乗るクルマだけだった。

 真冬の4時くらいの時間だ。
 一日で一番寒い時間のはずで、動くものなんて信号の明滅くらいだった。
 助手席の窓の向こうこそ住宅街の明かりが点々と連なっているが、対向車線の向こう側は田んぼが広がるばかりのそんな場所。
 はるか彼方にポツンポツンと光がみえる以外は黒く深く沈んでいる。
 そんな、寒さでキーンと静まり返った深夜の国道。

「なんだ、アイツ…。」
 助手席のO野が、ぼそっとつぶやいた声に、オレはそっちに目をやった。
 見れば、横断歩道を歩いているヤツが1人。
 よたよた…、フラフラ…。
 上下4車線分ある広い横断歩道を、ソイツは対向車線の方からのったらのったらと歩いてきた。
「アイツ、寒くねーのかな?」
 暗くてよくわからないが、上着を着てないように見えた。
 その変なヤツは、対向車線の真ん中くらいまではよたよたフラフラ歩いてたのに。なぜか、ふいにペタペタって感じの歩き方になった。
「なんだよ、アイツ。こっち来るぜ。」
 その変なヤツ、横断歩道を真っ直ぐ渡るというには進む方向がやけに斜め。なんだか、このクルマに近寄って来るみたいだった。

 ソイツはオレたちの乗るクルマの右側1メートルくらいまで来たと思ったら、今度は体を屈ませて。このクルマを覗き込むように何か言っている。
 何かあったのか?と、オレは慌ててウィンドウを降ろした。
「どうしたんです?」
 見れば、よくいる感じな20代前半の男。
 流行っぽい髪型に、これまた流行っぽい感じのセーター。
 この寒いのに、やっぱり上着は着てなかった。
 ソイツはさらに近づいてきて、苦笑いしながらこう言った。
「すみません。S駅まで乗せてってもらえませんか?」

 なんだか、絶妙な呼吸みたいなものがあった。
 その場所からS駅までは、クルマなら15分ちょっとくらい。オレたちの住んでいる所はすぐそこだから、明らかに寄り道になる。
 そんな見ず知らずのヤツをS駅まで乗せなきゃならない理由は別にない。でも、なぜか「ま、いいか」と思ってしまったのだ。
 別に親切心がわいたとか、この寒空にと同情したとか、そんなことは全くない。
 その時オレは、ただただ、「ま、いいか」って思ってしまったのだ。

「こっちの後ろは散らかってるからさ。向こうまわってくれる?」
 そう言って、オレはソイツを助手席の後ろに回らせた。
 そう。その時に乗っていたクルマが、親父の4ドアセダンだったというのもあったのだろう。
「S駅の北口んとこでいいよね。」
 走り出してすぐ、オレはやや強い口調でそう言った。
 というのも南口だと、今走っている国道からぐるっと回り込まなければならないからだ。さすがにそれは面倒だと思ったから、そう念を押した。
「はい。それで…。」
 どこかポカーンとしたような声が、後ろから聞こえた。

 走りながらミラーを見ると、ソイツは後ろの席でなんだかそっくり返るような姿勢で座っていた。
 両手をシートにつけるように座っているのか、両側に広げるような感じで。顔は前を見てるのか?天井を見てるのか?
 オレは、帰る手段が見つかってホッとしたんだろうなと思った。

 S駅までの間、クルマの中は誰もしゃべらなかった。
 話題をみつけるのも面倒くさい気がして。
 といって、隣に座ってるO野とだけ話すというのも気が引けた。
 もっとも、それはO野も同じだったのか、顔を窓の外に向けたままずっと黙っていた。
 そんなことを思っていたのもつかの間、クルマはもうS駅への入り口。
 国道を左折して100メートルほども走れば、そこがS駅北口のロータリーだった。
「ほい。着いたぜ。」
 クルマを停めて、そう言うと。
 後ろのソイツは、ちょっとウトウトしてたのか?
 わずかな間があって、またあのポカーンとしたような声が聞こえた。
「どうもありがとうございました。」
 ソイツは、それだけ言うとドアを開け外に出ていった。
 その途端、ドアの閉まるバタンっていう音がして。
 なんだかやけにあっさりだなーって。ちらりと振り返った後ろの窓から、ソイツの腰とその上辺りが見えた。

 それは、クルマを出してすぐだった。
 O野が、溜っていたものを一気に吐き出すようにまくしたててきたのだ。
「オっマエ、よくあんなの乗せたなぁー。勘弁しろよ、まったく。
 いやさ、アイツ。すっげー、酒臭ぇーの!参ったよ、もぉー。
 おまけに靴、片っぽ履いてねーし。ズボンも破けてるし。
 いったい何なんだ、アイツ?」
「うっそ、マジ?えー、全然わかんなかった。」
「オマエさ、あんなの乗っけてさ。
 後ろでゲロ吐かれでもしたら災難なんてもんじゃないぜー。」
「ゲゲっ!それはマジやばい。」
 オレがその時運転していたのは親父のクルマ。そんなことになったら使用禁止にされかない。
 O野の話を聞いて、オレはあの変なヤツを乗せたことをあらためて後悔したのだが、そうは言ってももぉ終わったことだ。
 何ごともなかったことだし、まぁ親切には違いないしって。そんなこと、あっという間に忘れてしまった。

 しかし、そんな出来事を、まさか10年後に思い出すことになるとは……


 
                     ―― 『姉弟掛け合い怪談:その5』〈つづく〉

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  断りなく転載されるのは非常に不愉快です。やめてください
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2017
02.18

謎の桜本イサム


 この、桜本イサム。
 20代半ばくらいの京本政樹似。
 ただし、メタボ体型。
 フリンジのついたプレスリー風のジャンプスーツ姿で、おもむろに体全体を揺らしながら、「♪す、す、す~だらたった、さ~くらもっといさむ」、「♪す、す、す~だらたった、さ~くらもっといさむ」、「♪す、す、す~だらたった、さ~くらもっといさむ」と3回歌う。

 …という夢を見たわけですが、いやもぉその桜本イサムのインパクトのスゴさといったら!
 おかげで、その前後をサッパリ忘れてしまったってくらいの強烈さでした(笑)



 しかし、桜本イサムとははたして何者なんだろうか?
 それは、桜本イサムの歌う歌詞でわかる。

 そう。♪す、す、す~だらたった、さ~くらもっといさむ の「さ~くらもっといさむ」の部分だ。
 「さ~くらもっと」、つまり「桜(を)もっと(植えよ)」と人類に働きかける、新手の桜の精なのだ。

 何よりの証拠に、この夢を見てからというもの、私は何かというと「♪す、す、す~だらたった、さ~くらもっといさむ」とくちずさんでいる有り様だ。
 桜本イサムは人類の夢に現れ、「♪す、す、す~だらたった、さ~くらもっといさむ」と歌うことで、意識にそれを植え付け洗脳し、桜を多量に植えさせようとしているのだ。
 おそらく、あと何ヵ月もしないうちに、日本中の自治体の議会で議員たちが「♪す、す、す~だらたった、さ~くらもっといさむ」口ずさむようになるだろう。
 そして、日本中に桜が溢れるようになっていくのだ。

 いや。もしかしたら、あなたは桜が増えるならいいじゃないなんて思っているかもしれない。
 はたしてそうだろうか?
 確かにニッポン人は桜オタクだから、桜が増える分には全然OKと思う人が大半かもしれない。
 でも、桜がこれ以上増えると、自治体による桜の害虫駆除が追い付かなくなる可能性があるのだ。

 つまり、桜本イサムが「桜の精」というのは、あくまで表向きで。
 本当は桜の木につく毛虫、アメリカシロヒトリの化身なのだ!
 そう考えると、桜本イサムのあの衣装に納得がいく。
 あの衣装はどこかアメリカシロヒトリ(成虫)を思わせるし、フリンジは幼虫である毛虫の毛を表しているだ。
 そう。桜本イサムこと、アメリカシロヒトリの化身による陰謀は着々と進んでいるのだ。

 恐るべし、桜本イサム。
 恐怖の大王、桜本イサム。
 ♪す、す、す~だらたった、さ~くらもっといさむ
 


 桜本イサムなんて知らない!と、あなたは言うかもしれない。
 そう言えるあなたは幸せだ。
 なぜなら、桜本イサムは、数日中にあなたの夢に現れるはずだから……







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2017
02.12

野良白鳥


 実は、ウチの近所には、野良白鳥がいるんです。

野良白鳥IMG_3231

 あ、いえいえ。
 普段は、水の中にいるんですけどね。
 でも、寒い日に限って、なぜか陸に上がって、ムシャムシャと草を食ってるんです。

 今日は2羽だったんですけど、いつだったかは5、6羽、あのデッカイ図体でウロチョロしながら、ムシャムシャを草を食ってるもんだからビックリしましたねー(笑)
 なんだか、一種異様な光景だなーって。



 
 そうそう。
 デカくてビックリといえば、トンプラさんのフロリダの別荘。
 126室って、なんじゃそりゃぁ!
 
 トンプラさん、なんでも、年内に日本に来るそうですけど、変な話、ひと目見てみたい!って思っちゃいました(爆)




 で、まぁそんなトンプラさんはともかく、今週火曜日はチョコレートの日ですね(笑)
 そんなわけで、最近お気に入りのチョコレート、Best3!

 第一位!
 クランキーIMG_3213

 クランキーのビター、コレ、すっごくお気に入りなんですけど、最近どこにも売ってないんだよなー(泣) 

 第二位!
 チョコっと効果IMG_3216

 チョコレート効果の素焼きクラッシュアーモンド
 これは、ホンっトウマイです。高級っぽい味がします(笑)
 ただし、高い!量が少ない!(泣)
 普通のチョコレート効果みたいにやたら苦くないから、高くて量が少ないのに、つい2枚食べちゃうのもマイナスポイント(笑)

 第三位!

 ガーミルガーブラIMG_3238

 チョコレートといえばコレ!
 基本的にガーブラ派なんですけどね。
 でも、久しぶりにガーミルを食べたら、あ、これはこれでねっとりとウマイなーって。
 バレタデー前で84円で売ってるもんだから、ガーミル、ガーブラともに買い溜めしちゃいました(笑)

 いやもぉバレンタインデー万歳!ですね(爆)

 そんなわけで、めでたし、めでたし。





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2017
02.12

怪談:17.2.12『姉弟掛け合い怪談-その4』


「ふふっ…。」
「な、なによ。その鼻で笑う感じはー。」
「ねーちゃんってさー。
 いや、意外と小者なんだなーと思って。ハハハっ。」
「アンタねっ!」
「だってさ。100万円ってなんだよ?
 その、びっみょーな金額…。
 ぶぶっ!ハハハ!」
「うる、うるっさい!」
 いや、わたしだって、100万円って言っちゃった直後、しまった!って思ったのだ。
 とはいえ、そういうのって、子供の頃にさんざん言ってた金額がつい口に出ちゃうものなのだ。
 
「ていうかさー。
 向こうの、そのサークルの部長って、ちょっと変だよね。」
「へ、変?な、なんでよ?」
「だってさ。なんでまた、ねーちゃんのこと、好きになっちゃったわけ?」
「どーいう意味よ?」
「ほら。ねーちゃんのサークルの人たち、
 一回、ウチに遊びに来たことあったじゃん。」
「あった…、けど?」
「あん時、オレ、結構びっくりしたんだけどさ。
 すっげーキレイな人ばっかなんだよな。」
「あー、そぉ?あー、まぁそうかなー。」
「ならさ。キレイな方、選べばいいじゃん。
 よりによって、なんでねーちゃんなんだよ。
 オレ、そこはスッゴク納得いかない。はっはっは!」
「ア、ア、ア、ア、アンタ、アンタねーっ!」
「はっはっは!」
「そ、そ、そもそも。
 わたしは、アンタが頼むから話してあげたんでしょぉ。
 それを――。」
 ブォォォーン!
 ふいに鳴動したテーブルの上のケータイ電話。
 振動がテーブルに共鳴する大きな音に、思わず言葉を止めてしまったわたし。
「あれ?ウチのかーちゃんだ。え、なんだろ?」
 わたしの顔をちらっと見て、話し出した弟。
 しっかし、さっきのB美さんからのは着メロだったのに。
 母親からだとバイブレーションになのは、はたしてそういう設定なのか?それとも、わたしがさっき冷やかしたもんだから、慌ててマナーモードにしたのか?
 ま、いずれにしても、男のくせに細かいヤツだ。
 ふふっ…。
 なによ。どっちが小者よ。
「えっ!なに?」
 見れば、とっくに電話を終えて、わたしに何か叫んでいる弟。
「だから、何度言わせるんだよ。
 ウチのおふくろさん、今日、親父と向こう、泊まるってっ!」
「あ、またH叔父さんにお酒、勧められちゃったんだぁ。」
 両親は、朝からクルマで隣町のH叔父さんの家に出かけていた。
 ところがそのH叔父さんという人物、なんとも勧め上手で。
 というか、ウチの父がお酒に目がないというのもある。

「うん。そうみたい。
 でさ。夕飯は適当に食ってくれってことなんだけどさ。
 どーする?」
「どうするって、雨ぇ、結構降ってるしねー。
 食べに行くのは、ちょっとイヤかなぁ…。」
「じゃぁなんか頼むぅ?」
「ピザはイヤよ、ピザは。2人じゃ、飽きるから。高いし…。」
「じゃぁ、どーする?」
「冷蔵庫にあるもので、何か作っちゃうんでいいんじゃない?」
「オレはいいけど…。」
「うん。じゃぁ何があるか、ちょっと台所見てくる。」

 料理は得意…、ていうか、食事を適当に作るのはわたし、得意だった。
 つまり、おいしいとか、栄養バランスとかは全然知らないけど。でもまぁとりあえずお腹は満足できるくらいのご飯をパッパッパと作るのは得意って意味。
 そんなわけで冷蔵庫や台所を見ると、ウチの母はいわゆる昔ながらの専業主婦なわけで3、4日はゆうに違うメニューを作れそうなくらい食材があった。
 これだけ食材があると、逆に何を作ろうか迷うわけで、さぁどうしよう?と考えていた時だった。
「ねーちゃん。オレ、カレー食いたい。」
「えー?」
 そう言いながら台所に入ってきた弟は、椅子にどっかと座った。
「カレーかー。
 うん。じゃぁアンタも手伝いなさいよ。」
「うん。」
 
 弟はちょっとだけ、そう、確か半年くらいだったか、一人暮らしをしたことがあった。
 大学を卒業して、会社勤めを始めて。しばらくしてから、わたしを真似てアパートを借りたのだ。
 ところが…
 バカな話だけれど、オバケを見ちゃったとかで。
 いや、見たのはアパートではなく会社帰りだったらしいのだが、その夜一人でアパートで過ごすのがどうしても嫌だったらしくて。
 実家に戻って、結局そのままズルズル今に至ってるわけだが、まぁそれはそれ。
 1人暮らしをしたということは、絶対カレーぐらいは作ったことがあるはずで、なにを思ったかその時は姉弟仲良く台所で夕飯を作ることになった。
 変なの。

 トントントン
 見れば、ニンジンを切る弟は意外に手慣れている感じ。
 ふーん。これなら、結婚したらB美さん、結構楽できそうね、なんて思っていた時だった。
「そういえばさ。
 I島っているだろ?高校ん時の友だちの…。」
「I島ぁ?えー、知らない。
 ていうか、知るわけないでしょ。アンタの高校の友だちなんかー。」
 いや。カレーを作るってことにしたものの。でも、カレールーってどこにあるんだろ?って、ちょっと慌てて探していた時だった。
 幸い、それはすぐに見つかった。だから、話にのってやった。
「そのI島って、男?女?」
「うん。男だけどー。
 あれ?ねーちゃん、ホント憶えてない?
 ほら、ウチに遊びに来た時、I島のバカ、ねーちゃんに一目ぼれしちゃってさ。
 紹介してくれ、紹介してくれって、もぉうるさくって。
 オレ、いろいろ大変だったんだけどー。」
「あのね。それはアンタとそのI島クンとの話でしょ。
 わたしが知ってるわけないでしょ。」
「でもさ。恋とかって、好きだと思うと、相手もなんとなくそれに気づくもんじゃん。
 だから、あん時、ねーちゃんも――。」
「は、はぁ?
 な、なに言ってんの、アンタ。
 ていうか、早くニンジン切っちゃいなさいよね。バカっ!」
「なんだよ、バカってー。
 ねーちゃんってさ。その手の話するとすぐ怒るんだよなー。」
「うるっさい!」
 弟があまりにバカなので、わたし、普段はそんなこと絶対しないんだけど、薄切りした玉ネギを炒めることにした。
 料理のいいところは、それに集中できることだ。そう、余計なことを考えずにすむのだ。


「で、そのI島クンがどうしたの?
 また、オバケでも見たって話し?」
 ニンジンを切った後、何をすればいい?と聞いた弟を無視して、わたしはひたすら玉ねぎを炒めていたのだが、さすがにちょっと反省。
 椅子でボーっとしてた弟に話を向けると、案の定、犬がシッポでもふるように喜んで話し出した。
 うーむ。しっかしB美さん。この男の操縦は、ホント楽だぞ…

「I島ってさ、今、タクシーの運転手やってるんだよ。」
「ふーん。」
「でさ。何年前って言ってたかな?
 春のことだったらしいんだけどさ。J百貨店の近くで客をひろったらしいんだ。」
「J百貨店って、えー、駅のそばの?」
「うん。」


 それは、木々の緑が日増しに濃くなって、なんだか陽気もポッカポカ。
 そんなよく晴れた土曜の午前中。
 俺は、いつものように市内を流していた。
 それは、J百貨店をちょっとすぎた所。手を上げた若い男に気がついて俺はクルマを寄せた。
 ドアを開けるなり、身体を車内に押し込んできた若い男。
 俺に行き先を言うように口を開いたのだが、でも、すぐに上半身を外に出して何か言っている。
 外からは、若い女性の声がした。
「ねぇ、Kちゃん、おかあさんなんでしょ?
 やっぱり、わたしも行った方がいいんじゃない?」

 うん?連れがいるのか…
 ミラーを見れば、やっぱり若い女性が歩道に立っていて、後部座席の若い男と話している様子。
「まだよくわかんないんだ。
 病院についたら、M子に電話するから──。」
 と、そこまで外の女性に言っていた若い男だったが、ふいにオレの方に向いて話しだした。
「すみません。出してください。」
「えっ?でも、お連れさんは?」
「いや、僕だけです。乗るのは。」
 そのくせ、外の女性は後部座席の若い男に向かって、まだ何か言っている。
「Kちゃん、それじゃ何が何だかわかんないじゃないの。
 いきなりで――。」
 俺は、外の女性の言葉を聞いていたのだが、しかし、後部座席の若い男は「さ、行ってください。早く!」と、そんな俺を急かすように自分でドアを閉めてしまった。
「ねぇKちゃん。ねぇったら――。」
 ほんのわずか、俺はクルマを出すのをためらっていた。
 でも、体が自動的にクルマを発車させてしまったようで、気づけば車内は外界の音から遮断されていた。

「どちらまで?」
「あー、遠くて申し訳ないんですけどー。
 そのー、お、大阪っ!大阪まで行ってもらえませんか?」
「は、はい!?お、おおさか?
 おおさかって、大阪の大阪ですか?」

 いや。バブルの頃は時々あったとは聞いていたけど…。
 昨今のシケたご時勢からすれば、そんな話は伝説にすぎないと思っていた。
 そんなことが脳裏に浮かんだわずかな沈黙の時間。
 俺は、無意識にアクセルを少し戻していた。
 タクシーでここから大阪なんて、とんでもないことを言い出した後部座席の若い男。
 見れば、若いといっても俺よりは年上そう。そう、30代前半というところか?
 痩せ型で、フレームのない眼鏡がちょっと神経質そうな雰囲気を醸しだしている。髪は長くもなく短くもなく、ブランド物っぽい春物のジャケットを着ている。
 どう見たって、普通の会社勤めしてる、普通の若い男って感じだ。
 ただ、ミラーで見るその表情は、そのくらいの世代の男にしては、変に落ち着き払い過ぎているような感じも受けた。

 クルマの速度が落ちたのに気がついたのか。
 後部座席の若い男は、運転席の方に身を乗り出してきてかと思うと、いきなり俺の耳元で財布から何枚もの一万円札を出して見せた。
「っ!」
「お、お金なら心配いりませんから。
 お、大阪まで、ぜ、ぜひお願います。」
 その慌てた口調は、さっきの落ちつき払った態度が嘘のよう。まるで、人が違っちゃったみたいで。
 でも、それよりなにより、視界の端に一瞬見えた、その一万円札の数に俺はたまげてしまった。その数、たぶん、30枚や40枚どころじゃない。
 その生々しさに、思いあたったのは…
 えっ、この男って、もしかしてヤバいヤツってこと?
 見れば、今ちょっと興奮しているようにも見えた。
 そう。こういうヤツはこういう時、落ち着かせないとマズイんだよ…
「は、はい。わかりました。
 でも、大坂って…。
 そりゃ、私も商売ですからお客さんから言われりゃ、どこへでも行きますけどね。
 でも、大阪なら、東京に出て新幹線で行った方がいいんじゃないですか?
 早いし、なにより安いでしょう。」

 そう。そういえば、この若い男が乗ってきた時、外の女性が、お母さんとか、病院とか言ってたっけ。
 そうか。てことは、ヤバイヤツじゃないってこと?うん!?
「いえ。僕は絶対行くんです!
 あ、いや、行かなきゃならないんです。
 だ、だから、このままお願いしたいんですよ。」
 その口調の何とも言えない違和感…
 いや、最後は普通の口調だったのだが、でも話しだしの口調は、俺に話しているというより、まるで誰かにそう宣言でもしているように、なんかやけにキッパリした感じがあった。
 でも、その誰かって…
 俺は、なにやら胸騒ぎにも似た違和感を覚えていた。
 その途端、体が反応するように、ミラーの中の男を見た俺。
 でも、その若い男の顔は、たった今、そんな熱っぽい口調で話していたのが嘘みたいに、ぼーっとした顔つきで窓の外を見ているだけだった。

「…!?」
 俺は、思わず、じろーりと。その若い男はもちろんのこと、ミラーのの端から端まで舐めるように見回していた。
 なんか、変な感じがして堪らない。
 なんというか、こう…、何かが違ってるような、そんな感覚があった。
 あれ?もしかして、女性の方も乗ったんだっけ!?
 そう。今、俺はこの男ではなく、別の人と話していたようなそんな感じを覚えたのだ。
 でも、そんなわけはなかった。
 動き出したクルマに呆気にとられたようにこのクルマを見ていた女性のミラー越しの面影の記憶が今でも残っていた。
 でも、なら…
 不安に駆られてミラーを見ると、そこにあった男の目。
「……。」
「大丈夫ですよね。行ってくれますよね。
 お願いします。僕を大阪に連れっててください。」
 まだ、何か釈然としないものはあった。でも、男の口調が落ち着いた風に戻っていたことに俺はホッとしていた。
 また、男の口調に何か切実なものを感じたというのもあったのだろう。
 だから、つい言ってしまったのだ。

「私の帰りの分も貰わなきゃならないですから、
 たぶん、20万や30万じゃすまないと思いますよ。
 本当にいいんですか?」
「はい。大丈夫です。なんなら先に払いましょうか?」
 ミラーに映っている顔はあいかわらず。
 何かを思っているようなぼーっとした表情で、見るともなく外の景色を見ているだけ。
 そのくせ、背後から聞こえてくる口調はやたらハッキリしっかりしている。

 いや、正直、気持ち悪かった。
 今すぐにでも男には降りてもらいたいくらい。
 でも…
 これが個人営業する前なら、間違いなく断っているんだろうけど…
 はたして、これって天の恵みってヤツなんだろうか?それとも…
 俺は、そんな風に考えを巡らしていたのだが…。

「わかりました。行きましょう。ところで、大阪のどこまで?」
「大阪市役所に。中之島の。」
「えっ?し、し、市役所ぉ!?
 病院じゃないんで――。あ、いや、市役所ですか?大阪の市役所?」
「あぁ。先程の話、聞こえてたんですね。
 実はあれ、嘘なんです。
 大坂にどうしても行かなきゃならないんで、
 彼女には仕方なく嘘をついたんです。」
「は、はぁ…。」

 そんな嘘をついてまで、わざわざタクシーで大阪に行く用って、いったい…?
 本当はそれを聞きたかったのだが、まさかそれを今聞けるわけにもいかず。
 まぁ大阪までは長い道中になるし、おいおい聞いてみるかな?なんて思いながら、俺はハンドルを高速の入口へ切った。



                     ―― 『姉弟掛け合い怪談:その4』〈つづく〉

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  断りなく転載されるのは非常に不愉快です。やめてください
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2017
02.12

『Another』、読んじゃいました

Category: R&R

 『Another』(綾辻行人著)、読んじゃいました。
 読もうか、読むまいか、かれこれ何か月も迷ってたんですけどねー。
 結局、読んじゃいましたね(笑)

 another_IMG_3226.jpg


 カンタンに言っちゃうと、面白かったー!です(笑)
 読もうか、読むまいか、さんざん迷ってたのは、表紙のイラストの印象から、ありがちなアキバっぽいお話なんだろうなーというイメージだったんですが、ま、それはあまり感じなかったよーな。

 読むのを迷っていた、もぉ一つの理由、“Another”、“感想”で検索すると上の方に出てくる、あるブログの「キャラクターがもろエヴァンゲリオン」とあったのも、読んでみれば、えー、そぉ!?って感じで。
 いや、ま、確かにそう言われてみると、あー、そういえばあてはまるかも?って気もするわけですけど…。

 でもまぁこの登場人物の配置って、考えてみれば、昔っから漫画やアニメの定番ですよね。
 ていうか、あの手のお話を読みたい人向けの定番のキャラクター配置なのかなーと。
 ま、こう言っちゃうと、ちょっとトゲがあるようですけど、「キャラクターがかぶる」っていうのは、そのブログの方にエヴァンゲリオンの印象が強かったからなんじゃないかなーって気がしました(笑)
 今はアニメがあまりに当たり前すぎるから、それに強く影響されてることに気づかないじゃないのかなぁ…


 お話としては、中学生の主人公がある地方の町に転校してきて。
 ちょこっ、ちょこっと、大したことではないんだけど、でも違和感を覚える出来事が起きていく。
 しかも、クラスメートをはじめ、住んでいる祖母の家(だったか?)の人たちも主人公に何かを隠しているような…。

 そのひとつが、クラスにいる一人の女子生徒。
 体育の授業だというのにフラフラしてたり、しかもクラスメートたちはその女子生徒が見えないかのようにふるまっている。
 でも、主人公の目にはあきらかにその女子生徒は存在する。現に話しかければ、素っ気ないながらも返事をする。
 しかし、クラスメートたちはその女子生徒の存在を無視し、さらにそれと接触しようとする主人公に「近づくな」とまわりくどく警告。

 胸に異物を飲み込んだような日々の中、主人公といないように扱われている女子生徒の前で起こった事故。
 クラスメートの1人が学校で事故死。それは、その中学校の3年3組で時々起るクラスメートの死が連続するソレの始まりを意味した。

 やがて、いないかのように扱われる女子生徒とともに主人公も、クラスメートから存在を無視されるようになる。
 そんな中、主人公は、いないかのように扱われていた女子生徒(だったか?)に、その中学校の3年3組にまつわる秘密を聞く。
 つまり、必ずしも毎年ではないが、3年3組ではクラスメート、およびその家族が不可解な死をとげるということが連続して起こる年があるのだと。
 ソレは3年3組に一人の「死者」が紛れ込むことで起こる。
 でも、クラスの誰も、担任の先生も、その他の先生もその「死者」が誰かということはなぜか気づかない。
 30人(だったか?)のクラスの机がなぜか一つ足りなくなっていて、というか誰も気づかない(気づけない)「一人」が混ざっているがゆえに机が一つ足りなくなるという現象が起こると、クラスでは担任とも相談の上、クラスメートの1人を“クラスには存在しない者”と決めて。
 あくまでクラスは30人という状況をつくる、「おまじない」でしのぐのだと。
 「死者」が“普通の人”として意識を持ってる設定は、ちょっと奥さん作の『屍鬼』っぽいかもwww

 しかし、その年はその後事故死が連続したことで、もはや「おまじない」の意味はなくなった。
 そのことで、主人公といないものとしてあつかわれている女子生徒(以下ヒロイン)は普通にクラスメートして扱われるように。

 その後、ソレによる不審死が途中で止まった年があることがわかる。
 その時は、町にある山の神社にクラスのみんなが詣でたことが判明する。
 さらに、その年の生徒が偶然わかった、ソレによる不審死を止める(ことが出来るかもしれない)方法をも、主人公たちは知ることになる。

 そして、始まった神社に詣でるための、副担任とクラスの有志による合宿。
 はたした、主人公たちはソレを終わらせることが出来るのか?
 そして、クラスに紛れ込んだ「死者」は誰だったのか?
 へっへっへ…


 まー、とにかく、「ソレ」の設定が楽しいんですよね。
 もー、ワクワクしちゃう(笑)
 正直、クラスメートやその家族が死んじゃうシーンは、今時のスプラッターもどきの怖がらせっぽくてシラケちゃうんですけどね(ま、作者はその手が好きなんでしょーねwww)。
 だけど、その設定の面白さとそれが徐々に明かされていくワクワク感で全然許せちゃうみたいなー。

 よくよく考えれば、その設定って、そこが学校であるがゆえに絶対あり得ないんだけど、でも、学校であるからこそ(主人公たちが中学生であるからこそ)その設定が生きるわけで。
 いやもぉ作者のヤツ、これを書く時、心底楽しんで書いたんだろうなーって、なんだかニヤニヤしちゃいました(笑)

 ま、いわゆる、少年少女によるひと夏の冒険譚モノ(春~夏)なわけですが、いやもぉコレ、作者の性格なのかなんなのか、夏の気配、これっぽっちも感じません(爆)
 合宿があるんで、冬だといくらなんでも寒いだろうから、まー、夏なんだろうなーと不承不承思うわけですけど、お話の雰囲気は冬っぽい。


 お話は最後、ヒロインのちょっとした特殊な能力で死者がわかるわけですけど、ま、その超常的な能力やソレが合理的に解明されないっていうところで、拒否をしちゃうミステリー小説ファンは多いんでしょうね。
 その辺りが、否定的な評価をしちゃう人が多い理由なんでしょう。
 あと、作者が綾辻行人であるがゆえに、「館シリーズ」の延長(つまり、普通のミステリー小説として)読んじゃって。
 超常的な設定が、結局、超常で終わっちゃうことに拒否をしちゃう人も多いのかもしれませんね。

 とはいえ、ま、私は怪談好きのおバカなんで(笑)
 超常的なお話だよって納得しちゃって読めば、むしろ大好物なわけで、ていうか、変てこりんな館で連続殺人が起こる方がよっぽど超常現象だろ!って思っちゃう方なんで、これは好きだなぁー(笑)
 とは言うものの、この作者って、読者を怖がらせるのはヘタ、ですかねー(爆)
 うん。まぁその“怖がらせ”の部分は、作者の好みでスプラッター的場面を描くことで「怖いでしょぉ~」としてるのかもしれませんけどねー。
 でも、私の好みで言っちゃうなら、“怖がらせ”は(この作者の)奥さんの方が一枚も二枚も、いや、5枚くらいは上手、かな?(笑)


 ま、そういう意味でも、作者はあくまでミステリー小説の作家なんでしょう。
 ただ、やっぱりこれはあくまで「ホラー小説」だと思うんですよね。
 そういう意味で、「死者」の正体のトリックにシラケちゃうんですよねー。
 だって、そのトリックによって、「死者」の正体は読者は気づかない(気づけない)わけですけど、でも主人公はよく知っている人物なわけです。
 でも、このお話というのは、主人公の一人称語りの文章です。
 お話の語り手が、その人物が「死者」であった証拠を延々語っちゃう(回想しちゃう)って、変じゃん(笑)
 しかも、あんなにやたら切羽詰まった状況だっていうのにさー。

 いや。今思い返すと、それはそれでまぁアリかぁーとも思うんです。
 でも、読んでた時は、そのせいでせっかくのクライマックスが、ミョーに間延びしちゃった気がしたんですよねー。
 あらためて思えば、屁理屈的なトリックを仕込んどいて、「どぉ?スゴイでしょ?」的な。そんな小賢しい(ミステリー小説的)テクニックに、屁理屈こねてイチャモンつけてただけなのかもしれませんね(爆)


 ま、その辺りが、巷でやたら持て囃されてる「新本格」というジャンルの胡散臭くて、インチキ臭いとこだと思うわけですけど、まーそれはともかく(笑)
 でもまぁそんな胡散臭さや、表紙のイラストのウンザリ感はあったものの、これは一か八か読んでホントよかったなーって思いました。
 もちろん、ミステリー小説を読みなれてる人なら、「死者」が誰なのか途中でわかっちゃうでしょうし。
 最後、なんでそんな人が紛れ込んでくるの?的な展開(ある意味ドリフ的な)もなんだかなーっていうのもある。
 でも、ミステリー小説の作家が、超常的なオリジナルの世界観を設定して、その中でミステリー的展開をするお話を書くっていうのは、意外とありそうでなかったんじゃないかって。
 ていうか、ありそうな気がするんだけど思いつかない

 ま、そんな子供の頃、光瀬龍や眉村卓のSFジュブナイルが大好きだった私としては、もぉタマラナイお話だったわけですけどね。
 とはいうものの、あの頃のように主人公たち(の世代)に感情移入できないのは、まぁつまり齢のせいってことか?クソっ!(爆)
 ぶっちゃけ、「死者」の方に感情移入しちゃったい!www

 ま、なんだ。
 読んでみたいんだけど、でも、どうもライトノベルっぽそうで躊躇しちゃうって人には、背中押します(笑)




 『Another』を読むのを迷ったのは、(個人的に)表紙のイラストが幼稚に感じたことで、これはライトノベルなんじゃないかって思ったからなんですけど、いや、この表紙のイラストレーター。実は、今スゴく人気のある人らしいですね。
 正直、見てるとアチコチかゆくなってくる絵だなーとしか思えないわけですけど、まーね。それは、私が今の感覚についてけないってことなんでしょう。 
 ただまぁ、そんな今の感覚に別についてかなくてもいい齢になっちゃたのは、ホンっト楽チン、楽チン(笑)


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2017
02.05

ジョナサンで、カフェオレ4杯飲んじゃった話


 先週、人と話す用があって。
 どこか適当なトコないかと、たまたま入ったのがファミリーレストランのジョナサン。

 ハラが減ってたのと、あと、長々と話す予定だったんで。
 適当にウマそうなモノと、あと、ドリンクバーってぇヤツも注文したんですね。

 めでたく(?)注文も終わったんで、さー!飲み物だとばかり、ドリンクバーに行ったわけですね。
 いや。ドリンクバーってぇたって、別に飲み物の棒じゃなくって、要は「飲み物は好きなモノ、セルフサービスね♪」っていうことなんですが、あっ、でも。「バー」って、元々“とまり木の棒”みたいな意味があるんじゃなかったでしたっけ?って見てみたら、全然違ってて、大笑い!

 そんなわけで、話を戻しますけど、何を飲もうかなーって、ふと目についたのがコーヒーの抽出器、ていうか、エスプレッソ・マシン?(笑)
 ま、エスプレッソは、好きじゃないんでー。
 というか、すぐに飲み終わっちゃうから、話しながら飲むのには向かないわけですね。
 かといって、アメリカ~ン!は、なぜか思わず肩をすくめちゃいそうで(?)
 抹茶なんちゃらは、飲み終わった後にいちいち「結構なお点前でございました」って言わなきゃダメなんで、メンドクサイし。
 そんなわけで、「おっ!カフェオレがあるじゃん」とカフェオレにしたわけですが、あれ、意外にウマくって。
 あっという間に飲んじゃったんで、じゃぁ今度はカプチーノ飲むかって、飲んだら、うーん。
 なんか、こう、物足りない。
 カップの底に泡が残ってるんだけど、傾けても口に入ってこないのもなぁ~んかムカつくんだよなぁー(笑)

 あー、そーいえば。カプチーノって、飲んだ後、いつもなんだか物足りないって感じるんだよなーって思い出しちゃったわけですけど。
 でも、世の中、どっちかというと、カフェオレよりカプチーノの方が人気ありますよね。
 ていうか、チェーンのカフェだと、そもそもカフェオレがないとこが多いです。
 うーん。
 えー、もしかして、みんな、今大流行りのウソニュースに騙されちゃって。カフェオレより、カプチーノの方がウマいと思い込まされているとかぁ?(爆)

 いやまぁまさかそんなわけもなく。
 それは、たぶんコーヒーが苦手な人って意外に多くって。カプチーノの方が泡になってる分、たぶんマイルドに感じられておいしいからなんじゃないかと思うわけですがー。
 そういえば、スターバックスの店員さんも、ストレートコーヒーが売れないって言ってたんで。
 ま、当たらずとも遠からずなんじゃないないですかね。←結構、ウソニュースなみにいいかげん(爆)

 とはいえ。
 ここまでカフェオレの人気がない(ように感じる)と、やっぱり誰かがウソニュースで騙くらかしてんじゃねーのーって思うのも事実です。←しつこい
 だって、今時のニッポンでカフェオレ飲みたいなんて言ってるヤツ、原田知世くらいじゃないですか(笑)
 それって、やっぱりどこか変ですよね。
 実は、某国で秘かに大統領選令かなんか出ちゃってるんじゃないかって、ちょっと陰謀の匂いを感じます(爆)

 まー、つまり。
 ジョナサンでカフェオレが意外にウマくって、つい4杯飲んじゃったって、それだけの話でしたとさ(笑)
 ちなみに、カプチーノは1杯っきり


 で、ジョナサンといえば、昔、“カモメのジョナサンのお兄さんの名前はな~んだ?”っていうなぞなぞがありましたけど、今時そんなこと言ってる人、いないですよね(笑)

 あと、“顔中傷だらけで、やたらスゴんでいるカモメの名前はなぁ~んだ?っていうのもあったんですけど、ま、それもいませんかねー。
 ていうか、最近、なぞなぞってあまり聞かないですよね。

 え?もしかして、みんな。なぞなぞ…、キライとか!?(爆)


 って、長々書いていて。
 ふと、思い出したのは、「あっ!そうだ。ジョナサンは、入ろうと思ったら満員だったんであきらめて、近くにあったガストに入ったんだったっけ」って(笑)

 ふぅ~。
 危うく、ウソニュースを書いちゃうトコだったぜ~(爆)
 かくして、ネットはウソニュースで溢れていく……www



 

 そうそう、ウソニュースって言えば。
 今週の安倍さんの訪米の時、ピコ太郎さんも一緒に行って。
 トンプラさんの孫娘の前で例のPPAPを演るって話、あれ、ホントなんですかねぇ~(笑)



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2017
02.05

怪談:17.2.5『姉弟掛け合い怪談-その3』


「Eっ、Eぃ高原んんーっ!」
「なによ。どうしたのよ?」
「オレ、行くんだよ、E高原。来週。」
「なに、それ。ムカつくっ!」
「な、なんだよ。ムカつくって。」
「だって…、いいじゃないの、E高原に行けるなんて。
 雪質いいし、景色もいいし。
 あと、ほら、あの店。えーと、なんて言ったっけかなー。
 あそこのケーキ、すんごいおいしいのよ。
 あー、うらやましいっ!
 だから、ムカつく。ふんっ!」
「そんなこと言ったって、自分だってさんざん行ったんじゃねーか。」
「行ったわよ。
 行って、いいトコだって知ってるからムカつくんじゃない。」
「そんなの、知らねーよ。
 ねーちゃん、そんな行きたきゃ行けばいいじゃねーか。
 勝手にさ。友だちでも、彼氏でも誘――。
 あっ!ちょっと待った。
 行くにしても、来週は絶対ダメだからな!」
「行きませんっ!
 だって、わたし。最近、スキーは絶対北海道!って決めてるんだもん。」
「へっ、北海道…。
 いいねぇ、高給取りは。」
「行きたかったら、お金貯めて行けばいいじゃない。
 いいよぉ。北海道はぁ。ケラケラケラ。」
「つーか、どーでもいいよ、そんな話。
 E高原の話、早くしてくれよ!
 面白かったら、来週、夜、みんなに話すんだからさー。」
「ダメ。」
「は、はぁ?」
「アンタだけE高原で楽しいのに、
 なんで、わたしがアンタをさらに楽しませてあげるような話、
 してあげなきゃなんないのよ。」
「いや、もぉ、だからさぁ…。
 はぁー。
 疲れる…。」
「わかった、わかった。話してあげるわよ。
 だからさ、アンタ。E高原にあるんだけどさ。
 そばの大福とそば茶を使ったお菓子…。
 あれ、買ってきてよ。
 あ、ウチ用とは別だからね。わたし用に買ってきなさいよ。」
「わかった、わかった。
 だから、もぉっ!早く話せよっ!」
「なに怒ってんのよ。変なの…。」


 それは、合宿の2日目。
 午前中のサークル全体での練習の後の自由時間だった。
 わたしは、同じくらいの足前の友だち数人と、いわゆる「ダウンヒルコース」みたいな名称が付いているところを滑っていた。
 
 わたしが所属していた大学のスキーサークル。ま、いわゆる女子大の同好会だったのだが、妙に体育会系っぽいところがあって。
 メンバーもバリバリ滑りたい人ばかりで、とにかくもぉ朝イチからナイタースキーの最後の最後まで、食事の時間も惜しんで滑ってるようなサークルだった。
 だから、その時というのは午前中の全体練習と午後イチからのポールレッスンの間の、自由にガンガン滑ることが出来る楽しい時間だった。

 2月の信州にしては珍しい超ピーカンで。前日が雪だったせいもあって、真っ青と純白にどこまでも澄み切った風景の中、同じコースを何回滑った時だったか。
 リフトを降りて、みんなが自由に滑り出したのをなんとなく見送って、わたしも行くかと滑り出してすぐだった。
 2回か3回緩いターンをしながらコースの混雑具合を見て。さ、このラインでと滑り出した途端だった。
 ヒョイっと、前に黄色いウェアを着た人が入ってきたのだ。
 思わず、スピードを緩めたわたしだったが、ふっと気が変わった。
 というのも、その人、わたしの練習に丁度いい滑りをしていたから。
 わたしより、ちょっと上手いくらい。しかも、ちょうど好みのスピード。
 スキーをしたことのある人ならわかると思うけど、上手い人の後を意識してそのライン通りに滑るととってもいい練習になるのだ。
 そんなわけで、わたしはその人の後を追い始めた。

 同じようなウェアの人は他にも見かけていたので、おそらくどこかの大学のサークルの人なのだろう。
 背が高く、ごっつい体格の男の子で。技術志向というよりは、スピード出してガンガン滑るタイプ。
 ウチのサークルはどちらかというと技術志向なので、そういう意味でも練習にはいい相手だった。
 と、思っていたのだが、どうやらスキーの巧さでは彼の方が一枚上手のようで。
 斜面がキツくなったというのに、直線的に滑るライン取りを変えようとしない。
 それにしても飛ばす…
 スキーのエッジが雪面を切るシュバっ、シュバっという鋭い音が耳をつく。さらには、ウェアがバタバタバタっと激しくはためきだした。
 もはや、わたしにはストレスを感じるスピード。
 鼻の奥がツーンとキナ臭くなってくる、あの感じだ。
 この斜度、このスピードだと、わたしのスキーは彼のラインよりふくらんだ弧を描くことしか出来ない。
 一気に遠くなっていく、彼の背中。
「あー、もぉっ!」
 その瞬間、目に入ってきた、雪面の小さなコブ。
「あっ、ヤバっ!」

「はぁー。
 なに、やってんだか…。」
 転んだ時に下に飛んでったわたしの板を取ってきてくれたF子の目は、ゴーグルを通しても冷たかった。
 ていうか、冷たいといえば、顔っ!
 顔が冷たいよ~。ヒィ~
 頭から転ぶ、もろ顔面制動だったわけで、つまり、顔が雪まみれ。ニットキャップもゴーグルも吹っ飛んじゃって、いや、それどころかウェアの首元から雪が入り込んじゃって、もぉ冷たいのなんの。
「もぉさ。すんごい勢いであたしのすぐ横、かっ飛んでったからさ。
 あれはヤバいんじゃないのーって思ってたら、案の定よね。
 ハハハヒヒヒフフフ…。」
「うん。わたしもあれは絶対転ぶって思ってたからさ。
 L子のこと、ずっと見ながら滑ってたの。
 そしたらさ…。
 ぶぶっ!キャハハハー。
 やってくれる、やってくれる。
 ホンっトL子って――。」
「わたしたちの期待は絶対裏切らないよね。
 ハハヒヒフフフ…。キャハハハー。」
「……。」
 外れたスキーを下から持ってきてくれたF子には感謝してる。
 転んでいたわたしの後ろに点々と落ちていたキャップとゴーグルを拾ってきてくれたG実にも。
 でも…
「もぉっ!アンタたちさ、そこで笑ってないで、さっさと滑ってっちゃいなさいよ!」

 そんなわけで、下のリフト乗り場まで滑ったら、F子とG実が一部始終を話すもんだから、もぉみんな大爆笑。
 ケラケラ、ケラケラ、いったいいつまで笑ってるんだか。
 なにが箸が転んでもおかしい年頃だ!ふんっ!

 リフトはペアリフトだったから、今度は前と後ろでゲラゲラ。
 わたしと同じリフトに乗ったG実は、わたしだけ笑わないもんだから、わざわざ後ろのリフトに乗ってる2人とゲラゲラ笑ってる有り様。
 なんだか変に面白くなくて。ぷいっとゲレンデを見たわたしの目に入ってきた見覚えのある滑りとウェア。
 あぁっ!あのヤロ―…
 そうか。アイツ、わたしが転んだ後、またこのコース滑ってたんだ…
 見れば、あのウェアはやっぱりサークルのユニフォームで。アイツと同じウェアが何人か滑っていた。
 アイツ、またこのコース滑るのかなー
 よぉーし。今度こそ…


 そんなわけで…
 リフトを降りておしゃべりをしていたら、あの見覚えのあるウェアはすぐにリフトで上がってきた。もちろん、アイツもちゃんといた。
 しっかし、向こうのサークルって、ゴリゴリの体育会系なんだろうか?
 リフトを降りるなり、各自、勝手に滑り出すって、ちょっと普通じゃない。
「L子、滑んないの?」
「うん。先、行って。」
「じゃぁ、また下ね。」
 あっという間に小さくなっていくG実の後姿。
 ビュンと。そこに入ってきた、見覚えのあるウェア。
 アイツだ。
 よぉーし!
 ストックで思いっきり押して、さらにスケーティング。その後は、ロングターンで一気に加速した。
 やっと捉えたアイツの背中。それがグングン迫ってくる。
 アイツもさらに加速していく。
 でも、このくらいの斜度ならわたしも余裕だ。
 先に滑ってったG実の声が一瞬聞こえたと思ったら、あっという間にはるか後ろに飛んでいく。
 それはともかく、問題はこの先だ。コースがガクンと急になる。
 でも、アイツは今回もやっぱりスピードを落とさない。
 滑ってる人の少ないコースの左側を一気にショートターンで滑っていくその後姿は、ちょっとほれぼれした。

 それからは、ホンっトわたしの限界ギリっギリ。
 ていうよりは、完璧、無理して滑った。
 ツンと鼻の奥がキナ臭くなってくるのを無視して、とにかくアイツの背中を追って滑る。
 一度なんか、踏み替えを間違えて。危うくまた大転倒というところをコースの外にスキーを逃してやることで、何とか持ちこたえたり。
 ただ、不思議なことに。それだけの時間ロスがあったにも関わらず、滑り出すとすぐにアイツの後姿は見つかった。
 だから、また追いかけた。
 それは、結局コースの終わりのリフト乗り場まで。
 冗談抜きで、生きるか死ぬかっていう一本だったけど、ふぅー、なんとか滑りきった。
 はぁー、はぁー、はぁー。
 けっ!ざまぁみろ。
 はぁー、はぁー、はぁー。
 く、く、くうき…。空気がた・り・な・い…。

 一方、アイツはサークルの仲間を待っているのか。ゲレンデを見上げちゃって、なんだかのほのーんとしてるように見えて、なんか、スッゴくムカつく。
 こっちは、まだ息が上がっているっていうのに。
 アイツ、もぉ1本ここ滑んないかな?
 今度こそ、最後までピッタリ付いて滑ってやるんだけどなぁー

「ひぇ~。何よぉ、L子ぉ。今のクレイジーな滑りはさぁ~。」
「え?」
 妙に情けない声に振り返ると、それはG実が腰をかがめ気味にヨレヨレ滑ってくるところ。
「わたしのすぐ横、すんごいスピードでかっ飛んでくもんだからさ~。
 よしって追っかけたら、いやもぉ死ぬかと思ったぁ~。」
「あ、うん。あー、そう、だから…。」
「F子も、他のみんなもすぐ来るよー。
 みんな、アンタのクレイジーな滑りに触発されちゃったみたいでさ。
 抜きつ抜かれつ滑ってきたんだもん。」
「あー、そう…。」
「しっかし、どーしたの~?
 いきなり、あんな滑りしてぇ~。
 あ、来た。F子。」
「え?あ、ホント。
 もぉっ!早くっ!早くしないと行っちゃうよ。」
 わたしは気が気じゃなかった。
 だって、早くしないとアイツはリフトに乗っちゃう。
 今、リフトに乗られたら、もぉアイツの後を追っかけられない。
 あんなにいい練習台、そうそういないんだから、もぉっ!

 はやる気持ちで、ちょっと離れた所にいるアイツを見ると。
 サークルの仲間なのだろう。周りに7、8人集まって笑って話してるんだけど、でも、一人アイツはまだ上を見ている。
「おい!遅ぇーよ。早くぅっ!」
 その視線の先をたどれば、リフト上の斜面の中ほど、何人かのスキーヤーに混じって、アイツと同じウェアが一つ。
 よくよく見れば、それはなんとも律儀なターンで滑っている女の子。
 うわっ
 もしかして、あの子もあのサークルのメンバーってこと?
 うっそぉー
 そりゃいくらなんだってキッツイ…、ていうか、えー、なんでー?
 他にもっと楽しめるサークルないのかなぁ…

「はい!お待たせ。
 もぉさ。L子がいきなりバカ滑りするもんだからさ。
 つい、のって後追っかけたら、もぉ死んだ、死んだ。
 ケラケラケラ。」
「でもさ。意外と面白くなかった?
 いい練習になったっていうかさー。」
「そうそう。そうなのよ。マジ滑りしちゃったっていうかー。」
「よし!もぉ一本行こっ!」
 みんなに急かされるまま、リフト乗り場へとスキーを滑らせながら振り返ると、例の女の子はちょうど斜面の終わりの所にいた。
 さすがにもうターンはせずに、アイツたちの方にスーっと滑りながら「すみませーん、部長」って、なんだか泣きそうな声。
 アイツはといえば、何も言わずにその子の方をじっと見るばかり。
 へぇー。アイツって、部長だったんだ…
「どうしたのぉL子ぉ。エヘヘヘー。」
「あ、え?あ、うん。」
 F子に促され、わたしはいそいそとリフトに向かった。
 大丈夫。このくらいの間隔なら、アイツはすぐに追いついてくる…

 あんなにガンガン滑るサークルなのに、何であんなに律儀なターンの女の子がいるんだろう?
 リフトの上でも、そんなことを考えながらゲレンデを見ていた時だった。
「ねー、ねー、L子ぉ~。」
「えぇ?」
 それは、変な笑みを口だけで浮かべたF子。
 そぉ、思い出した。そういえば、F子はリフトに乗る前も妙にニヤニヤ笑っていた。なんていうか、ちょっとイヤらしい感じの…
「ねぇ、L子ぉ。アンタ…、あれでしょ?エヘヘヘー。」
「あれ?あれって…。」
「さっきリフト前にいた、
 たぶん、どっかの大学のサークルの部長かなんかみたいな男の子…。
 アンタ、彼、追っかけてたんでしょぉ?エヘヘヘー。」
「えっ、うそ。バレてた?」
「うん。彼、確かにちょっとカッコいいもんね。
 実はさ、わたしも目ぇつけてた――。」
「は、はぁ?
 ちょ、ちょっと待った。
 わたしは何もアイツがカッコイイとか、そういう――。」
「えっ、何よ。そのアイツって…。
 えぇっ!もぉ話、したってことぉ!?
 うっそぉー。えー、いつの間にぃ?」
「あー、もぉだから違うの。」
「L子ってさ。早い時は早いのよねー。
 もぉやーだー。エヘヘヘー。」
「やじゃない、やじゃない。
 だから、練習ぅっ!スキーの練習に追っかけてただけっ!」
「スキーの練習ぅぅ?
 えー、ホントぉぉ?
 だって、あんなに息ピッタリに滑ってたじゃなーい。」 
 いやもぉ。F子の誤解を解くのには、この長いリフトの終点までかかった。
 スキーでアイツの後を追うのは並大抵じゃないけど、女の誤解を解くのは青息吐息というか、変な汗かくというか……


 ま、そんな変な紆余曲折(?)はあったものの。おバカなF子のバカな誤解はなんとか解けたみたいで。
 結局、わたしはその後、アイツを3回追いかけ回した。
 うん、まぁ正しくは、追いかけ回したのは最後の1回だけ。
 ううん。もっと正確にいうと、追いかけ回すことが出来たのは最後の1回の後半だけ。
 2回は、なんとかかんとか後ろについてったって感じでー、ていうか。これは、3回目の後わかったんだけど、実はアイツ、わたしが追っかけてたの知ってたみたいで。
 ていうか、ていうか、同じ年位の女(わたしのことだ)があれだけ露骨に後をつけ回して滑れば、向こうだって気づくのが当たり前なわけで…。
 結局のところ、明らかにわたしの方がヘタなのにも関わらず、結構長いそのコースを5回も一緒に滑ることが出来たのは、アイツがわたしを意識して滑っていたからなのだろう。
 
 それがわかったのは、その5本目の後だった。
 5本目は最後、アイツのすぐ後ろ、それこそアイツのスキーが飛ばす雪がわたしにバチバチ当たるくらい肉薄して滑ってたくらいで。
 よっしゃぁ。次は、アイツが滑ってる横を、スイっばかしと抜かしてやるぞ!なんて思っていたのだ。
 ところが、リフト乗り場の所にウチのサークルの面々がいて。手招きしてるので、そっちに滑っていくと。
 「ちょっと早いけど、午後からはポールレッスンだし、早めにお昼を食べよう」との部長殿のご託宣。
 よっぽど、「昼抜きで練習してます」と言おうと思ったのだが…。
 でも、ポールくぐりはわたし、初めてだったし。ずっとやってみたかったんで、それに備えて休憩することにした。

 昼ごはんに行こうと滑り出したんだけど、やっぱりちょっと名残惜しい。
 ううん。恋愛感情とかは全くなかった。
 たぶん、力でガンガン行く彼の滑りがうらやましかったんだと思う。
 だって、わたしの体格じゃぁ、雪に負けてあそこまでパワフルに滑れない。
 あぁ~あ…って。
 何気に振り返ったら、彼もちょうど私を見ていて、なんとバッチリ目が合ってしまった。
 目が合ってしまったというのは、文字通り目が合ってしまったということで、というのは彼、その時はゴーグルを上にしていた。
 その顔を見たら、あー、なんだ。体格はゴリラかクマかってくらいごっついから。勝手に顔もそんなんなんだろうなって思ってたけど、意外や意外、ちょっとカッコよくって。
 そのイメージの違いに、ちょっとポカーンとしてたら、背中をストックで突かれた。
「イタいっ!」
 イラッと見れば、またもやF子のニタニタ顔。
 しかも、すーっとわたしの耳元に近寄ってきて、「どうする?彼、かなり名残惜しそうにアンタのこと見てるけどぉ~」って。
 さらに、ニタリニタリとイヤ~らしい笑いを浮かべてる。
 正直、世のロマンスってヤツが生まれかけた途端消滅していくのは、誰しもの隣りにこういう悪友がいるせいなんだな、と思わないでもなかった。
 とはいえ、向こうは向こうで、やっぱりそういう悪友がいたみたいで。
 彼はソレに手を引っ張られるように、またあのリフト乗り場にスキーを滑らしていった。


 そんなわけで、昼食後。
 わたしは初めてポールくぐりをしたのだが、その意外な難しさに午前中のことなんて、もぉキレイサッパリ。
 こんな緩斜面。そこにポールが立っているってだけで、なんで思い通りのラインを滑れないんだろう?
 そんなわけで、その午後。熱中しやすい性格のわたしは、ポールをひたすらくぐりまくっていた。

 そんな、ポールレッスンが終わった後。なにを思ったか、急に始まったムカデ。
 ムカデというのは、子供の電車ごっこみたいにみんなで連なって滑るスキーの遊びなのだが、たぶんリフトが終わっていてゲレンデがガラガラだったからだろう。
 今まで、ムカデなんて一度もやったことなかったのに。気づけば、ほとんど全員がそれに参加をしていた。
 ポールレッスンの時に撮っていたビデオテープが、まだ残っていたらしくて。最初5人くらいで始まったムカデを、ビデオで撮りながら滑っていたというのもあったのかもしれない。
 そんなわけで、わたしたちはまさに女子大生よろしく、きゃっきゃ騒ぎながら夕暮れせまるゲレンデを下まで滑った。


 そんな、楽しい思い出が暗転したのは夕食後。宿の食堂を借りて、みんなでポールレッスンのビデオを見ていた時だった。
 ポールくぐりは、自分でもびっくりするくらいまともに滑れなかったのはわかっていた。
 わかってはいたが、ビデオに映っていたわたしは自分が思っていた以上にダメダメだった。
 なんなのよ、そのへっぴり腰は?って、今まで多少なりともあった自信はもぉ粉みじん。
 なんだかもぉゲッソリしちゃって。
 明日からは基礎をみっちり練習することにしようかなーなんて考えていた時だった。
 ポールくぐりしていた画面が、いきなり夕方のムカデの場面に変わった。
 最初の5人がきゃっきゃ笑いながらムカデをしていると、みんなが次から次へとその後に連なっていく。
 やがて、その後ろにわたしの姿も混ざって、さらに誰かが――たぶんG実――後ろに。
 あぁーあ。あの時は、楽しかったのになぁ…
 画面を見るともなく、そんなことを思っていると。
 うん?
 なんだか、みんなの様子が変。
 なんなの?どうしたの?って。見れば、みんな、画面を指さしている。
 え?なに!?
「えぇっ。」
「誰よ、あれ…。」
「なんであんな子がいるのよ?」
「前にいるのは、えーと…。あぁL子よね。」
「はい?」
 え?なんで、わたしの名前が呼ばれるわけ!?
「後ろは誰よ?あ、G実?G実よね。」
「ええ。そ、そう。そうなんですけど…。
 えぇーっ!?」
 なぜか震えていたG実の声。
「あんな子、いたの?」
「いや…。えぇぇーっ!?
 あの時って…、そう。わたし、L子がムカデに入ったの見て、
 それで後ろについたんですよ。
 だから、わたしの前はL子のはずなんだけど…。
 えぇーっ、そんなことって…。」
「えー、じゃぁL子は?
 アンタの後ろでムカデしてる子って、誰よ?」
「誰って言われても、あの時は後ろなんて見なかったから…。」
 ビデオに映っていたそれは、見たことのない同じ齢くらいの女の子。
 黄色いウェアを着て…、あ、ていうか、そもそもこんなウェアを着ている子、ウチのサークルにいない。
 誰とも知れないそんな女の子が、ムカデを滑るわたしとB実の間。その手で、わたしの肩を抱くようにつかんでいた。

「L子さ。ほら、あの時って…。
 わたしもL子も、ポール、ウマく出来なくってさ。
 2人で、難しかったねなんて、言ってたじゃない?」
「あー、そうだ…。そう。G美とおしゃべりしながら滑ってた…。」
「そしたらさ。L子がムカデやってるって、急に声あげてさ。
 いきなり、そっちに滑ってたじゃない?」
「あー、うん。」
 そう。そうだった。
 あの時は、たぶんポールくぐりが全然ダメでガッカリだったのだろう。
 みんなが歓声あげてムカデをしてるのを見たら、無性にはしゃぎたくなったのだ。
「だから、わたしもL子の後、すぐ滑ってたのよ。
 だから、ムカデもL子の後ろに付いたはずなのよ。絶対…。」
「でも、あれはL子じゃないよねー。
 あの子ってさ。なんだか顔がよく見えないんだけどさ。
 でも、たぶんウチのサークルの誰でもないよねぇ。
 えー、なんなの?どういうこと?」
「うん。そうですよ。
 だって、あんな黄色のウェア着てる子、ウチのサークルにいないですもん。」
「あー、そうよね。
 えぇ。じゃぁ何なのよ、この子?
 え?L子もG実もホントに憶えてないの?
 だって、G実はこの子に抱き付いて滑ってるし、
 L子はこの子に肩、掴まれて滑ってるのよ。」


「えぇっ!?」
 そこまで話した時だった。弟が堪らずに声をあげた。
「なに、それ?」 
「うん。ていうかさ、気持ち悪いわけよ。
 みんなだって、もちろんそうなんだけどさ。
 その誰も知らない子に肩をつかまれているわたしと、
 その子に抱き付いてムカデしているG実からすれば、なおさらさ…。」
「うん。そりゃそうだよなー。で?」
「だから、2人でビデオのその部分を消してって言ったの。」
「でも、消したからって、どうなるってことでもないだろ。」
「そうなんだけどさ。
 でも、その時は気持ち悪くてさ。とにかく消してほしかったわけよ。
 そしたらさ。部長、明日OGが来るから、
 一応、それまでは残しておくって言うのよ。」
「何それ?OG関係ないじゃん。」
「うん。そのOGっていうのがさ。すごい面倒くさい人らしくてさ。
 とにかく次の日、そのOGに見せるまでは残しておくってことになっちゃったのよ。」
「ふーん。」
「でね。」
「え、まだ続きがあるの?」
「うん。次の日、OGが来てさ。そのビデオ、見せたらしいのよ。
 そしたらさ。そんな知らない子なんて、どこにも映ってなかったらしいの…。」
「えぇっ?」
「G実が言ってた通り。
 わたしの後ろにいたのは、間違いなくG実だったんだって。」
「え?ねーちゃんはそれ、見てないの?」
「だからさ。もぉ気持ち悪くってさ。
 二度と見たくないわけよ。」
「ふーん…。
 てことはあれかな?
 来週、オレがE高原で写真とかビデオ撮ったら、
 もしかして、その女が写ってたりして?」
「あ、それはない。絶対。」
「なに、それ。絶対って。」
「その後でね。あー、だから、帰ってからだけどさ。
 F子に言われたのよ。あれは生霊だと思うって。」
「い、生霊ぉ?何でまた!?」


「ねぇL子…。
 アンタさ、あのビデオに映ってた知らない子が着ていた、
 あの黄色いウェア。あれ、ホントに見覚えないの?」
「えぇっ?見覚えぇ!?
 うーん。知らない…。
 ていうか、知ってるわけないじゃん。」
「えー、ホントのこと言ってるぅ?」
 そう言ったF子は、何とも言えないしかめっ面。さらに、わたしの目を窺うようしばらくじっと見ていたが、やがてまた口を開いた。
「あの日さ、L子はあのウェアをさんざん追っかけてたじゃない。
 それなのに、アンタは憶えてないっていうのぉ?」
「追っかけてたぁ?わたしがぁ?はぁ!?
 だって、わたしが追っかけてたのは男の人よ。」
 その時は、ビデオに映っていたあの知らない女の子の記憶はおぼろだったが、それでも少なくともあれは男ではなかった。
 そもそも、あの日の午前中わたしがさんざん追いかけていたあの彼は身長がかなり高かった。でも、ビデオに映っていた子はわたしより小さいくらいだった。
「あー、なんだ。L子、アンタって、あの彼のこと、
 ホンっトに好きでも何でもなかったんだ。」
「あ、当たり前じゃない。だから、言ったでしょ。
 彼の後をずっと滑ってたのは、すごくいい練習になるから…。
 あーっ!
 うっそ……。」
「やっと思い出したのぉー。」


「えー、どういうこと?どういこと?」
 しかし、この弟。なんでこんなに露骨に物見高いんだか?
 いったい誰の血を引いたんだろう。
「もぉー。アンタもニブイよね。
 だから、同じウェアだったのよ。
 わたしが後を滑っていた彼が着ていたウェアと、
 ビデオに映っていた女の子のウェアがさ。
 つまり、サークルのユニフォームだったってことなんじゃない。」
「え、サークルのユニフォーム!?
 その2人が着てたのが?え…。」
「だからさ、F子が言うにはね。
 向こうのサークルに彼…、だからわたしが後を滑ってた彼ね。
 その彼の彼女か、じゃなければ片想いしてる子がいてさ。
 F子が、わたしがその彼にアタックかけてたと勘違いしたように、
 その子も勘違いしたんじゃないかって。」
「えー、それで生霊飛ばしちゃうの?女って?
 うわっ!怖っ!」
「そーよ。女の子はね、そういうトコはとことん怖いもんなの。
 だから、アンタもさ。男友だちとスノボばっか行ってると、
 写真にB美さんの生霊とか写っちゃうかもよぉ~。
 ケラケラケラ。」
「や、や、やめろよなー。
 B美はそんなことしないって…。」
「アンタ、なにマジでビビってんのよ。
 あっ!さては、来週のスノボ、女の子も一緒ってこと?
 アンタね。それはわたし、許さない。
 B美さんが許しても、わたしは絶対許さ――。」
「あーっ、もぉ!
 だから、いない、いない。いないって。
 もぉイヤんなるくらい男ばっかですぅっ!」
「ホントかぁ?
 B美さん裏切ると、アンタ…、まじヤバいよ。」
「だ、だから。ホント、マジやめろって…。」
 しかし、まぁこの弟。なんでここまで怯えるか?
 もしや、なんかうしろめたいことでもあるのか…

「そ、そうだよ。
 そもそもさ。生霊なんているわけないだろ。」
「あ、アンタ、甘い。」
「なんだよ、甘いって。
 じゃぁ何かよ。ねーちゃんは生霊がいるとでも言うのかよ?」
「はぁー…。」
「な、なんで、そこで溜め息なんだよっ!
 ったくぅ。そういう思わせぶりが一番怖ぇんだよっ!」
「生霊はね…。
 うん…。そういうことっていうのは、わたし、あるんだと思うよ。
 経験から言って…。」
「な、な、なに、それ、経験って…。
 え?つまり、他にもその手のヤバイこと、あったってこと?」
「うん。あった、な…。」
 いや、うん。思わず目が遠くなった。
「えっ!えっ!えっ!
 なに、それ?えー、どういう話んだよ。教えてくれよ。」
「ダぁ~メ!」
「だから、お土産買ってくるって言ってんじゃん。」
「ダメ。ダメったらダメ。この話だけは絶対ダメ!
 100万円くれるって言ってもダメ!」



                     ―― 『姉弟掛け合い怪談-その3』〈つづく〉


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