2016
07.31

Book!Book!Book!(つづき)

Category: R&R

 もらい本の感想、つづき。
 ま、例によって、感想というよりは、へらへらと思ったことって言ったほうが近いですかね(笑)


 てことで、吉田修一の『悪人』

悪人IMG_3086

 これは、有名ですよね。
 最近、齢をとるっていうのは、巷で流行ってる映画がわからなくなるってことなのかなーって思うんですけど、そんな私でもこれが映画になってたのは知ってたくらいですもん(爆)

 もっとも、作者の名前までは知らなくて。「あー、あの映画の原作書いた人って、吉田修一って人だったんだー」と初めて知りました。
 しっかしまぁ吉田修一って。
 小学生の頃は友だちから絶対「ヨッシュー」って呼ばれてたろうなーなんてことを思うわけですが、ま、それはさておき(笑)

 あらすじは、えーと。
 なんだろ?ま、ネタがバレちゃったらつまらないというお話ではないんで。
 というか、ネタバレ…、結末がわかっちゃったからと言って、つまんなくなっちゃうタイプのお話でもないし。
 てことで、結末までのあらすじを書きつつ(多少のネタバレを含みつつ)、ちょこまか感想を入れてきます。


 主人公は祐一という、九州の海岸沿いにある集落で祖父祖母に育てられ、今は叔父の土建屋で働いているクルマだけが趣味のような青年。
 祐一は、子供の頃母親に捨てられた経験があり、また現在は現在で周りにいる人は叔父の会社のずっと年上のおじさんばかり。
 そんな祐一の日常は、おじさんばかりの土建屋と、祖母と祖父の家の往復をのぞけば好きなクルマだけ。
 祐一はその日常のはけ口を、最初は風俗店に。次に出会い系サイトで知り合った、“つまらない女性”…、つまり、祐一を恋愛対象としてみない(逆にいえば、祐一の恋愛対象にならない女性)とのセックスにもとめている。

 ある時祐一はその出会い系サイトで、やっぱり九州の地方の町出身の女性と知り合う。
 その女性は、祐一とは全くかみ合わないタイプ。ちょっと前に知り合った温泉旅館の御曹司との恋愛の妄想を膨らませている。
 それが、自分とは相いれない女であること、そして自分が求めているものがセックスではないという2つのことに気づかない祐一。
 一方、その女性は女性で、祐一のことなんて何とも思ってないのに。
 でも、自分の日常のわびしさと友人たちに見栄をはるために、祐一(とのセックス)でそれをごまかしている。
 つまり、祐一も出会い系サイトの女性も。
 程度の差こそあれ、誰もが若かりし頃に一度や二度(あるいは何度も)やってしまう、若気の至り(というか、若気の迷路?)の真っ最中ってとこなんでしょう(爆)

 ある夜、その女性と会う約束を取り付けた祐一が待っていると、たまたまそこに通りかかったのがその御曹司。女性は祐一との約束をすっぽかして御曹司のクルマに乗って行ってしまう。
 実は、その御曹司。その時はムシャクシャしていて、誰彼かまわず怒りをぶつけたかった。
 ま、それも若い時には誰でもありがちなことなのだが、その時は出遭った相手が悪かった(どっちにとっても)。

 女性の方は、たまたま憧れの御曹司とドライブするはめになって舞い上がってしまったのか、はたまたそれが地だったのか。
 そこにうまいパン屋があるだの、そこのそば屋で一度食べてみたいといった、つまんない話を延々しゃべっている。
 一方、そんな男がいかにもイライラしてきそうなことをピーチクパーチク言ってる助手席の女に怒髪天を突いちゃった御曹司。
 山ん中の道で女性に「ここで降りろ」と言ったのみならず、後ろから蹴っとばして立ち去っちゃったと(あぁ~あ)。

 一方、助手席から蹴とばされた女性はガードレールに頭ぶつけるは、夜中に山ん中に取り残されるはだったのだが、実はそれを見ていた人物がいた。
 それは、その女性と会うのをすっぽかされた祐一。
 祐一はムカついて御曹司のクルマを追いかけてたのだが、後ろから蹴り飛ばされたその女性(蹴りとばされるのは見えないと思うけどなー)を助けようと傍に寄ったのだが、間が悪かった…、というよりもこの二人って根本的に相性が悪いのだろう。
 その女性は、御曹司にクルマから蹴り出された自分を見ていた祐一を「追いかけてたのね」と怒り出す。

 フラれた、しかもクルマから蹴り出されたという場面を見られた恥ずかしさ。しかも、それが自分が見下していた祐一だったという屈辱。
 一方、祐一はそんな女性をなぐさめようと、助けようとするわけですが、もぉ頭にカーッと血が上っちゃった女性は祐一にあたり散らすと。
 その過程でちょっとしたハプニングがあった結果、女性はさらにヒートアップしちゃって。言葉の勢いで、祐一に「乱暴されたって警察に言ってやる」と言っちゃったのが2人の運の尽きだったんでしょう。

 つまり、そこまでは、どれもこれも、誰もの青春にでも転がってそうな出来事だったのに(笑)
 その言葉で、頭がカーッとなってしまって。
 わけがわからなくなってしまった祐一は、その女性を殺してしまう。


 一方、もう一人の主人公である光代。
 光代も九州の地方都市に在住。双子の妹とアパート暮らし。
 紳士服の店で働いていて、最近店長から「カジュアル品は若い子の店員の方がいいから」とスーツコーナーに移動させられた、そんなキャラクター。
 同僚の中年の女性とは親しくて、雨の時などはクルマでおくってもらったりしている。
 そんな光代は、以前出会い系サイトで祐一と短いながらメールのやり取りをしていた。しかし、祐一が「会おう」と誘ったことで連絡を絶ってしまった。

 何を思ったのか、そんな光代が久しぶりに祐一にメールをしたタイミングは、祐一があの女性を殺してちょっと経った頃だった。
 しかも、前は祐一が誘った途端連絡を絶ってしまったのに、今度はすんなり逢ってしまう。さらに、会った途端「ホテルに行こう」という祐一の誘いを断ろうとしない。

 一方、祐一は光代を知ったことで、自分が何を求めて欝々悶々としていたのかやっとわかる。
 そう。これも、青春ってヤツにありがちな「こと」なんですよね。
 男ってヤツは誰しも。青春のある時期から性という厄介なものに悩まされることになるわけですが、それが大きくて戸惑うだけに自分が必要とするものが見えなくなっちゃうんじゃないでしょうか。
 あるいは、厄介なソレはそれとして必要とするものはあって。
 その厄介なソレを満たすだけでは埋め合わせることの出来ない“ナニカ”が、やっと見えてくる時期っていうのがあるってことなんですかねー(笑)

 家に2度目に警察が来た(のを知った)時、祐一はそれを光代言うわけです。
 「もっと早く光代に会ってればよかった。
  もっと早く会ってれば、こんなことにならなかった」と。


 かくして、祐一と光代の逃避行が始まるわけですが、最初は光代は祐一が人を殺したことを知らないわけです。
 だから、デートの延長…、といっても都会にあるようなデートではないわけですが、それでも光代は(祐一の様子が変とは思いつつも)前に逢った時と同じように過ごしていて、あるタイミングで殺人を知らされる。
 もちろん、光代は衝撃を受けつつも、「自首する」という祐一に、「警察までついてってあげる」と言う。
 しかし警察のすぐ前まで来て、そこが以前あることが起こった場所だったと気づいた時、光代は祐一に「一緒にいたい」と言って。
 さらなる逃避行の後、お話はラストシーンの場所である灯台で終わり、さらに2人(+1人)の独白が余韻として描かれる。


 読み終わって思うのは、いっやー、上手いなーって(笑)
 それこそ、ストーリー自体はそんな際立ったお話ではないし。特に驚くような展開があるわけではない。
 殺したのが誰かは察しはつく。

 ただ、そこに配される人物が、ホンっトどこにでもいるような人物で。それこそ、事件のきっかけを作ることになる旅館の御曹司なんか、どこにでもいるどころか御曹司のステレオタイプみたいなヤツで、あぁこんな人いるよなーというか。
 主人公の祐一とん光代も、特に誰ってわけじゃないんだけど「あー、こんなヤツいたなー」だし。
 出会い系サイトの女性にいたっては、恋愛ってエサ目の前にぶら下げられたら、(男だって)100人中100人こんなもんなんじゃないでしょうか(笑)
 え、そんなことないって? だから。それは自分の行為に目を瞑ってるだけじゃな~い?(爆)

 そんな風に。登場人物の行動を自分がやってきたことに置き換えて、無茶苦茶イタかったりもするわけですが(爆)、それだけにお話が生々しく迫ってくるんですよね。

 いや。これを他人事とさらっと読んじゃう人も多いんでしょうけど、それは幸せだなーって。
 でも、自分の後姿が見えちゃう時って、誰にでもくるもんなんじゃないでしょうか。


 ま、それはともかく。
 お話が終わってみてふと思うのは、タイトルですよね。
 え、悪人?
 悪人って、結局……

 それは、最後の光代の独白で祐一のことを「悪人だったんですよね」と言うせいもあるんでしょうけどね。
 ただ、それを読んで、祐一のことをすんなり「悪人だよね」と思う読者も少ないでしょうし。
 じゃぁ、例えば女性が殺されるきっかけをつくった御曹司が「悪人」かというと決してそうでもない。
 そしてそれは、祐一との約束を無視してその憧れの御曹司のクルマに乗った女性も違う。

 いや。無っ茶苦茶嫌なヤツだなー!だとは思いますけどね(爆)
 でも、「悪人」というのとはちょっと違う。
 
 ていうか、御曹司もその女性も普通にいる人ですよね。
 それこそ御曹司なんて、旅館の後継いで4~50代になっちゃえば地方の名士とか呼ばれてそうですし。
 女性の方だって、適当な時に結婚しちゃえば、あとは普通の主婦ですよね。
 そんな人たち、いくらでもいます。
 ていうか、それが「世間」の人ですよね。
 じゃぁ「悪人」って何なのか?

 実は私、このお話って、所々ゾ~っとしながら読んでたんです。
 というのは、お話に出てくる登場人物を非難する言葉が、読む前にネットで見たいろんな人の感想と重なるから……

 それこそ、お話の中で評論家が、人を殺した祐一と、その祐一と一緒に逃げ回っている光代の二人をテレビで憎々しげに非難する場面があるんですけど、それなんかネットにあった感想にそっくりだったくらい。


 この、吉田修一という作家。
 読んでてまず感じたのは、なんか妙な文章を書く人だなーって。
 言葉(単語)の並びが、なんだか妙にひっかかって。
 なんか、しっくりこないんですよね。
 座りががわるいって言ったらいいのかなぁ…。

 でも、場面場面に出てくる「物」の使い方、登場人物の思いを「物」に託すのが、すんごく上手くて。
 例えば、祐一が光代に初めて人を殺したことを語るシーンでの、テーブルの上の(料理された)イカがうごめくところとか。
 ホント所々、「うわっ。すっご…」って。その心情とかスパーンと伝わってくる感じで、もぉゾワゾワしないながら読んじゃいました。

 この人は、恋愛モノを読んでみたいかなーって思いましたね。うん(笑)



 でもって、次は『沈黙の果て』シャルロッテ・リンク

沈黙の果てIMG_2965


 これは、よかったー!
 もぉやたらめったら(笑)

 作者はドイツ人らしいですけど、舞台はイギリス、ヨークシャー。
 そこに別荘(館)を持っている夫婦を交えた三夫婦の休暇中に、起こった惨劇。
 さて、犯人は?そして、それはなぜ起こったのか…

 と、まぁそういうとこなんでしょけど、でもまぁコレ、ミステリ小説であって、ミステリ小説じゃないんで(笑)

 犯人は…、それっぽい人はそれなりに出てくるものの、まぁあの人よねってなんとなくわかるし。
 なぜそれが起きたのかも、読んでく内に出てくる人、出てくる人、みんなヤバい人なんで、あぁまぁー、たぶんそういうことよねーって感じで。
 ゴリゴリのミステリ小説ファンなら「あー、つまんない」でポイなんでしょけどね(笑)
 古本が安いのみても、ミステリ小説ファンからはそっぽ向かれたんだろうなっていうのは察せられますwww

 でも、これはイイ!

 あ、「イイ!」とか言っちゃうと、「オマエはショッカーか!」とか言われちゃいそうなんで、無っ茶苦茶好き!に言い換えますね(爆)

 だから、ジワジワ感なんでしょーね。
 それが、もぉ堪らない♪

 上巻は、まず冒頭で惨劇があったことがことがまず描かれて。
 そこから一転、過去に遡って三組の夫婦、それぞれのヤバい人たちの紹介や、別荘でのそれぞれのヤバい言動等が描かれるわけです。
 もぉ延々(爆)

 ただ、その“延々”がいいんですねー。
 読む方としては、冒頭で惨劇があったことはわかってるわけですよ(ただ、誰が殺されたかはわからない)。
 つまり、ヤバい人たちのヤバい言動の一つ一つが、惨劇につながってるんじゃないかと、読んでいて、もぉドキドキ(ワクワク)。
 惨劇という収束点に向かって、一つ一つそれらがジワジワ迫ってくるのがホント「あ…、あ…、あ…」って、もぉ堪んな~い(笑)

 だから、アレですよ、アレ。
 ドリフのコントを見ている観客(ていうか子供)が、つい「志村っ!後ろ!」って叫んじゃうあの状況(爆)
 だから。つまり、上巻はほぼ丸々レンデルの『ロウフィールド館の惨劇』のパターンなんですね。

 下巻は、惨劇以降の解決編なわけですけど、ま、ホント、身も蓋もない言い方しちゃうなら、読者は「犯人はあの人よねー」なわけだし、またラストのドタバタなんて、ミョーに盛り上がらないしで(笑)
 もう一つ言っちゃうなら、最後の取って付けたようなハッピーエンドは「何だよ、それ…」、だし(爆)

 にもかかわらず、「こんなにもドキドキ、ワクワクしちゃうのは何でー?」って。

 いや。だから、意表をついたトリックとか騙しとか、密室殺人とか。その手を好むミステリ小説ファンだと、もぉ全然。おそらく、「はぁ?」で終わりになっちゃうタイプのお話だと思います。
 あと、派手な名探偵が出てくるミステリ小説が好きな人もダメだと思いますね。
 だって、コレ、やたらめったら地味ぃ~なんだもん。
 ストーリも、登場人物も。
 おまけに、お話は遅々として進まないときたもんだ(笑)

 でもね。そういうのが好きな人は、絶っ対おススメ(爆)



 『悪人』を読んでる時は、頭ん中でこれがひたすら流れてましたねー 
 だから。それって、ある意味ネタバレだろー(笑) 
 『沈黙の果て』の時は何だろ? パティ・スミスのグロリア? 違うか(爆)


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2016
07.31

怪談16.7.31

Category: 怪談話-番外
 

 「40年以上前だから、70年代のことだよ」と可笑しそうに笑ったAさん。
 当時、Aさんは、会社勤めをして何年目かだったらしいのですが、ひょんなことから社内の人間関係に躓いてしまってとかで。
 いや。それでもしばらくは頑張っていたらしいのですが、結局辞めてしまったんだそうです。

 なんでも、夏の終わりのことだったとかで。今でもその季節になると、不思議とあの時のことを思い出すらしいですが、これは、そんなAさんが会社を辞めた後、東北の方を1人で旅行していた時のことだそうです。


 東北を旅行していた時、Q岳に登ってみようと思いたったのは、学生の時に読んだある漫画を思い出したからだった。
 その漫画のあるエピソードが、Q岳のとある場所を舞台にしていたのだ。
 だが、地元の人に聞くと、Q岳はかなり険しい山だとかで。
 それを聞いて、どうしようか考えたのだが、ただ、私は学生時代に友人に山が好きなヤツがいて、誘われてよく登っていたのだ。
 今思えば、2000メートルにも満たない山なんて大したことはないと高を括ったのが間違いの元だったのだろう。

 いざ登ってみると、Q岳は大変険しい山だった。
 普通、地図に載っているコースタイムというのは、余裕を持って時間を多めに記しているものだ。
 つまり、ある場所からある場所までのコースタイムが1時間と記してあったら、普通そこは50分とか、40分で歩けるものなのだ。
 でも、Q岳ではたっぷりその時間だけ、いや、下手したらそれ以上歩かなければ目的地に着かなかった。
 そんなわけで、初日の目的地であるZ岳山頂近くにある小屋に着いたた時、私はもぉ青息吐息。その日、山頂に登る気すら起きなかったくらいだった。

 漫画の舞台になった場所にも行きたかったので、2泊3日の予定の山行だった。でも、初日の登りのあまりのきつさに、すんなり諦めた。
 いや。こんなだから会社も辞めちゃうのかなーと、自己嫌悪に陥ったのも事実だ。
 でも、こんなにもきつくて、しかも登山者の少ない山々を一人っきりであと2日も歩くのは不安で仕方なかったのだ。
 そんなわけで、次の日Q岳の山頂に登った私は早々に下山の途についた。

 昨日登ってきた道でない別の道を降りてみようと思ったのは、地図にZ旅館という鉱泉宿があったからだと思う。
 しかも、ガイドブックによれば、そこから出ているバスは、昨日登り始めた所から出ているバスより交通の便がいいらしかった。
 昨日登ってきた険しい道に、こだわりがあるわけではなかった。
 また、特に予定があるわけでもない。下りてみて、その鉱泉宿がよさそうなら今日はそこに泊まるのもよし、バスで街に出てもよしだった。
 

 ただ、険しいのはその道も一緒だった。
 もっとも、下りだったから体力的には楽で。私は、急な山道を落ちるようにどんどん下っていった。
 それは、周りの山が、いつの間にか自分よりずっと上に見えることに気づいた時だった。
 木の葉越しに見える風景に、何か違和感を覚えた。
「!?」
 立ち止まって目を凝らすと、それは赤いトタン屋根だった。
 歩いた時間からいっても、どうやら目指していた鉱泉宿のように思われた。
 実は、その時というのは、急な下り続きで膝が痛み出していた。
 でも、鉱泉宿に着いたらゆっくりお湯に浸かって、冷たい飲み物でも飲んで…と思ったら途端に元気が出た。

 しかしこの時、私は運に見放されていたらしい。
 なんと、鉱泉宿はその日、休みだったのだ。
 実をいうと、下りてきた道沿いに鉱泉宿の周りを歩いていた時から、なんとなく嫌な感じはあった。というのも、建物が妙に静まり返っていたのだ。
 それでも、まさか宿屋が休みなんて考えもしなかったから。玄関にあった「本日休業」の札を見た時は茫然としてしまったを憶えている。

 とはいえ、休みではどうしようもなく。私は、バス停のある集落を目指して、また歩くしかなかった。
 それは、そのZ旅館から続く林道のような道を真っ直ぐ、しばらく歩いて。植林なのだろうか、自然の森とは違う低い針葉樹が両側に広がるところを抜けた時だった。
 視界の端に、木々に隠れた赤いトタン屋根の建物が見えたのだ。

「うん!?何だ、あれ?」
「さっきのZ旅館に似た建物だけど…。」
 一人旅をしていると、独り言が多くなるものだ。ひどい時になると、独り言で会話していたりすることもある。
 その時もそうだった。
 なぜか、その赤いトタン屋根の建物が気になって、「なんだろう?」「何の建物だろう?」と呟きながら、私は辺りを見回していた。
 すると…
 「○○鉱泉→」
 目に入ったそれは、木に打ち付けられた小さな看板だった。
 古い物で、文字がかすれてよく見えないのだが「鉱泉」の文字と、赤いトタン屋根の建物の方を指している矢印はかろうじてわかった。
「あ、そうか。そういうこと?」
 たぶん、あの赤いトタン屋根の建物は昔の鉱泉宿の建物で。Z旅館という、今日は休業しているあの宿屋は新館なのだろう。

「そうだ。あっちは今日休みだから、
 こっちを開けてるってことはないかな?」
 その時、私はそんなことを呟きながら、その赤いトタン屋根の家屋の方に歩いていったんだと思う。
 でも、近づいてみると、建物はとても古くて。
 玄関の前に立つと、建物全体から沈むように静寂が伝わってきた。
「そうだよな。
 こっちで営業してるなら、そう書くよな。」
 私は、さっきの建物の玄関にあった本日休業の木の札を思い出しながら、やっぱり呟いていた。
 しかし、それでも玄関の戸を叩かずにはいられなかったのは、いい加減人恋しかったのだろう。

 ドンドン「すみませーん」
 ドンドン「すみませーん。どなたかいませんかー。」
 しばらくそうしていたのだが、建物からは、やっぱり何の音も返ってこなかった。
「ふぅー…。」
 それは、ため息を一つ吐いて。静まり返った玄関にくるりと背を向け歩き出した時だった。
「あれぇ。あんた、お湯に入りに来たんかね?」
「えぇっ!?」
 私は、背中でいきなり聞こえた声に驚いて振り返った。すると、私の目の高さよりもずっと下。私の胸くらいの高さに、お爺さんの顔がくしゃくしゃに笑っていた。

「っ……。」
 一瞬言葉が出なかった。
 えっ。ど、どこ、どこ、から…。このお爺さん、えぇー!?
「お兄さん。あんた、お湯入りにきたんだろ?
 お湯、沸いとるぞ。さぁ入ってけ。ほら。あっははは。」
「え?え?え?あ、僕は…。」
「さぁさぁ。いいから、いいから。
 今日は、あっちは休みなんじゃ。だから、こっち開けたんじゃ。
 だから、金はとらん。
 さぁ入ってけ、入ってけ。あっははは。
 いい若いもんが山から下りてきて汗臭いままだと、娘っ子に嫌われっぞ。
 あっははは。」

 お爺さんは、たぶんそんなようなことを言ったんだと思う。
 というのも、そのお爺さん、実はすごい訛りで。言ってること、よくわからなかったのだ。
 それは、ともかく。私は、そのお爺さんに背中を押されるように、玄関の中に入った。
「ほれ、リュックはここに置いて。
 風呂は、そこだぁ。あっははは。」
「あ、はい。あ、でも…、お金。入浴料は?」
「だぁから。言ったベぇ。
 今日は、向こうが休みだから、こっち開けたんだぁ。
 だぁから金はいらねぇ。あっははは。」
「え、でも…。」
「いいから、いいから。入った、入った。あっははは。」

「あっははは、あっははは……。」
 脱衣場で服を脱いでいても、頭の中でお爺さんが笑っていた。
「しっかし、田舎の人は親切だっていうけど…。」
 その時も私はひとり言を呟いていた。
 あっけらかんとよく笑う、あのお爺さんのことをつらつら思いながら。
 そして、ぼぉーっとした頭のまま、風呂場に通ずる木の戸に開けようと、手をかけた……

 それは、いきなりだった。
 だから、風呂場に通ずる木の戸を開けた、まさにその瞬間。
「わっはっはっは」
「きゃーははははー。」
「もぉ。やだよぉー。はひゃひゃひゃー。」
 いや。最初に飛び込んできたのは、裸の人の形だった。
 思わず、えっ!って。
 だって、戸を開ける前、風呂場に誰かいるなんて思わなかったから…。
 その時、私は戸を開けたままその場所で固まっちゃったんだと思う。
 でも、それは中にいた人たちも同じだった。
 戸を開けた途端飛び込んできた、笑い声、話し声がピタッと止んで――。そんな、中にいた人たちと私がお互いにポカーンと見つめ合っていた時間はどのくらいだったのか。
 でも、私はすぐそのことに気がついた。
 目の前で私のことをポカーンと見ている裸の人の体が、お婆さんだったことに…

「わっ!わっ!わっ! 
 す、すみませーん。間違えましたー!」
 私は、大慌てで回れ右をして、勢いよく戸を閉めた。
 えーっ。受付のお爺さん、風呂はここだって言ったじゃんよー。
 私はその時、もぉびっくりで。というか、慌てふためいていて、自分が素っ裸だったことも忘れていたくらいだった。
 すると、戸の向こうから声が聞こえてきた。
 それは、明らかに私に欠けられてる声で、ちょっと慌てた口調の男の声だった。
「お兄さん、大丈夫!大丈夫だってぇ。
 ここは混浴だよぉー。わっはっは!」
「え…。」
 振り返ると、いつの間にか戸は開いていて。中からこっちを覗くような恰好で、お爺さんがニヤニヤ笑っていた。
 風呂に入ってる人だ。当然まっ裸で、思わず私の目は上下に行ったり来たり。
 というのも、そのお爺さん…、いや。まぁそれはいい。

「いやー、間違えて女風呂に入っちゃったんじゃないかって…。
 もぉびっくりでしたよー。」
「あたしも、驚いたよぉ。
 だって、いきなり戸が開いたと思ったら、
 目の前にお兄さん“の”、があるんだもん。
 もぉお兄さん。風呂に入る時は、前は隠すもんだぁー。
 きゃーははははー。」
「だ、だ、だから…。誰も入ってないのかと思ったから…。」
「もぉヨネさんったら…。
 ダメだよぉ。若い人をからかっちゃぁ。はひゃひゃひゃー」
「お兄さん。こぉの若い娘にそんなもの見せちゃったんじゃぁ、
 こりゃ責任とってもらわなきゃなんねぇなー。
 わっはっは!」
「……。」
「きゃーはははー。」
「とんだ若い娘だ。はひゃひゃひゃー。」

 それからは、もう大変だった。
 2人のお婆さんと1人のお爺さんからからかわれたり、笑われたり。
 しかも、3人とも全然隠そうとしないから、目をどこに向けて話したらいいやらで。
 とはいえ、風呂に浸かって。その、裸のお年寄り3人と世俗からかけ離れた話をしていたら、昨日と今日の険しい山に一人でいた緊張感をすっかり忘れてしまった。
 何より、会社を辞めたことの後悔や、みんなが働いているのに一人こんな風に旅行していることのうしろめたさも……


 そんなこんなで、つい長湯をしてしまったのだろう。私も、3人も。
 鉱泉の沸かし湯で、比較的ぬるかったというのもあったのだろう。
 それは、私自身、かなり汗をかいていることに気がついた時だった。
 ヨネさんと呼ばれたお婆さんが立ち上がったかと思ったら、途端にぐにゃりと倒れてしまったのだ。
「だ、大丈夫ですか。」
「ヨネさん。ヨネさんったら。」
「あっ。こりゃ湯あたりだべぇ。
 早いとこ、涼しいとこに出してやんなきゃだめだぁ。
 お兄さん、ちょっと手伝ってくれ。」

 そんなこんなで、急いで涼しいとこに運んで。
 しばらく寝かせていたのだが、ヨネお婆さんはまだぐったりしていた。
 もう一人のお婆さんがそばに着いて、団扇で仰いだり、受付のお爺さんが沢から汲んできた冷たい水で体を湿らしたりしても元気にはならなかった。
 私はさすがに心配になって、受付のお爺さんに言った。
「医者、呼んだほうがよくないですか?」
 すると、受付のお爺さんもうなずいて言った。
「うん。そのほうがよさそうだな。
 なぁお兄さん。すまねぇけど、一つ頼まれてくれねぇか。」
「え?」
「ここ、電話ねぇんだよ。
 だからよ、下の集落まで行って、先生、呼んできてくんねぇかな。
 お兄さんの足なら、たぶん15分もあれば着くからよぉ。」
「あぁ。それがいい。
 ご苦労だけど、頼むよぉ。お兄さんよぉ。」
「申し訳ないねぇ。せっかくの旅行なのにねぇ。
 ホント、申し訳ないねぇ。」
「わかりました。じゃぁ行ってきます。
 ヨネお婆さん。お医者さん連れて、すぐ戻ってきますからね。」
 
 
 そんなわけで、私はそこを出るとさっきの道を駆けだした。
 ただ、村には思ったより早く着いた。というより、呆気なく。つづら折れを何回か曲がったら、そこが集落の外れだった。
 たまたま、すぐそこで畑仕事をしていた人がいて。
 これこれこういうわけでと医者がどこなのか聞くと、事情が事情だったのだろう。その人も血相を変えて。
「そりゃ大変だ。医者は下の町まで行かなきゃいないから、
 俺が、今からクルマでお湯まで行って運んでこよう。
 お兄さん、ありがとうな。助かったよ。」
 そう言って、その人はたちまちクルマに乗り込んだのだが、私はその瞬間思い出した。荷物をあそこに置きっぱなしだったことを。
 慌てて、運転席に駆け寄って。結局、その人に頼んで私もクルマに乗せてってもらうことにした。
 
 それは、クルマが走り出してすぐだった。
 運転していたその人が「えぇっ!?」と変な声を発した。
 そして、怪訝な目を私に向けてきた。
「あれぇぇ!?
 変だなぁー。今日はお湯、休んでるはずなんだけど…。」
「あ、だから、それは新館でしょ?
 私が言ってるのは、古い方です。
 古い方の“お湯”、って言うんですか?
 だから、新館からちょっと下にある、古い建物の方――。」
「古い建物?新館?
 あんた、一体なに言ってんだ?」
 そう言うと、その人はクルマを急停車させた。

「あ、だから、そう。新館とはいわない…、のかな?
 私、昨日Q岳に登って、今日下りてきたんですよ。
 そしたらZ旅館、休みで…。
 で、歩いてたら、古い建物があって、お爺さんがいて。
 あっちが休みだから、今日はこっち開けたんだって…。」
「……。」
 いろいろ説明したのだが、運転席のその人は怪訝な表情のままで。しばらく、何も言わず、ただ私をじっと見ていた。
 でも、急にその顔がニヤぁっと。
「…っ!」
「そぉーか。なんだ、そぉーいうことか。
 あっははは。」
 その人は、そう言って急に大笑いすると。ポケットをがさごそさぐって、そして私に煙草を差し出した。
「お兄さんよ、とりあえずは一服しなよ。」
「え…。」
「あれ、吸わないのかい?」
「いえ。吸いますけど…。」

 何だかさっぱりわからなかった。
 でも、とりあえず1本取ったら、運転席のその人は、またポケットをさぐって。ライターで火も点けてくれた。
 いまだ何が何やらの私だったが、それはふぅーっと煙草の煙を吐き出した時だった。
 運転席のその人は、「ぶっ」と吹き出して。そして、また大笑い。
「あっははは。狸だよ、狸。
 お兄さん、狸に化かされたんだよ。あっははは。」
「た、た、たぬき?
 たぬきって…。」
「だから、狸…。ぶぶっ、あっははは。
 狸だよ、狸。お兄さんは狸に化かされたんだって。あっははは。
 そうだ。思い出した。お湯の下だろう?
 お湯の下は、昔っから狸がいるって話があるんだよ。あっははは。」
「えぇ?いるって、何が…。」
「だから、狸だって。あっははは。
 もぉ。あっははは。あっははは…。」

 「だから狸だよ」って言われたって、そんなこと信じられるわけない。
 というか、信じる方がどうかしてる。
 だからその時、私はその人に、「ヨネお婆さんが湯あたりなんだから、急いでそこに行ってくれ」と強く言ったのだ。
 でも、その人の笑いは「あっははは、あっははは」ととどまることを知らないかのようで。
 もっとも、その人は笑いながらもクルマを出してくれた。
 しかし、驚いたことにというか、案の定というか、さっきまで私がお年寄りたちと湯に浸かって場所は森と沢があるばかりだった。
 
 唖然としている私を見て、その人はいまにもまた吹き出しそうな顔をしていた。
 が、ふいに「あ、そうだ」と言って私をクルマに乗せると、また走り出した。
 着いた所は、あのZ旅館。
 あの玄関に、私のリュックサックがぽつんとあった。


 まぁ“田舎の人は親切”、ということなのだろう。
 その後、その人は私を乗せたまま、街まで行くバスの本数が多いバス停まで送ってくれた。
 車中、私はもぉわけがわからなくなって、ずっと黙っていたのだが、その人は村のいろんな出来事を話してくれた。
 でも、走ってる間中、何度も何度も「あっははは」「あっははは」「あっははは」と思い出し笑い。
 その笑いに、私はわけがわからないやら、くやしいやらだったが、お陰で、その「あっははは」という笑いがすっかり耳について離れなくなってしまった。

 それは、乗ったバスがやっと大きな街に着いて。バス停の近くのビジネスホテルに入って。
 いや、「あっははは」という笑い声は、風呂に入っている時も耳について離れなかった。
 それでも、冷たいビールを飲んで。やっと落ち着いた時だった。
「あっ…」
 クルマで送ってくれたあの人の「あっははは」という笑いが、受付のお爺さんの笑いと同じだったことに、やっと気がついたのは。



                              ―― 『狸温泉』〈了〉


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2016
07.30

やたら、整っちゃった花火

Category: guchitter
 今週、(TVで)いろいろ見た中で、さっぱりわからなかったのが、花火のプロジェクションマッピングってヤツ。
 アレ、どこが面白いんだろう???

 いやまぁキレイっちゃぁ、キレイなんでしょうけどねー。
 でも、ぶっちゃけ、ただのCGアニメだと思うんだけど…(笑)


 で、ただのCGアニメっていえば、最近の映画とかドラマでよく出てくる桜吹雪!
 アレも、どこがいいのかわからないですねー。

 木の方も満開のなのに、画面が見えなくなるくらい花びらが散ってるって変だろー!(爆)
 あと、おそらくソメイヨシノなのに、色がショッキングピンクだったりさ(笑)


 な~んかさ。最近の美の基準ってどっか変…、ていうか、よくわかんな~い(笑)
 わかんないっていえば、そう、ダイヤモンド富士。
 あれも、何であんなにもてはやされるのもわかんないんですよねー。
 ヘンな構図、としか思えないんだけど…(笑)

 いや、洒落だっていうのはわかるんです。
 でもさ、洒落は繰り返したら野暮になっちゃうと思うんだけどな♪(笑)


 ていうか。
 何か、そんな、何でもかんでも整わしちゃう、今の世のそんな価値基準が、ああいう事件を生んじゃうってことはないんだろうか?
 とか、思っちゃいましたね。





       で、そう。
       無駄に整ってるといえば、パワーポイントの資料ですよね(笑) 
       いやもぉ整いすぎちゃって。
       どれも同じに見えちゃうんだよなぁ…(爆)


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2016
07.24

怪談:16.7.24

Category: 怪談話-番外

 Aさんが高校2年の時、クラスにB美さんとC子さんという女の子がいたんだそうです。

 2人ともいつも笑顔で明るく性格もいい。学校の成績は良すぎず悪すぎず普通の上くらい。
 特に得意なスポーツがあるってわけでもないけど、普通にはひと通りこなせるってタイプ。
 当然、2人は男子女子問わず誰からも好かれていたし、彼女ら同士もとても仲がよかったそうです。
 2人とも、まぁ美人って部類に属する顔立ちだったそうですが、心の中では誰もがB美さんの方が綺麗だと思っていたんじゃないかなとAさんは言います。

「いや。たんに綺麗って言ってしまうと、ちょっと違うのかなーって思う。
 なんだろ?雰囲気?品?
 とにかく、B美が醸し出す特有の何かなんだと思うよ。
 とにかく、B美の前では誰もが丁寧になってしまうみたいな、
 そんな独特の何かがあったんだよな。
 でね。そのことっていうのは、実は、C子が一番わかってたのかもしれないなーって。
 もっとも、俺。その時はそんなこと、わからなかった…、
 ていうか、思いもしなかったんだけどさ。」


 Aさんたちの高校は、東京近郊にあるごくごく普通の公立高校。
 進学校というほど秀才が集まっているわけでもなく、かといって暴走族や不良(ヤンキー)ばかりというわけでもなく。
 当然、B美さんもC子さんもごく普通の高校2年生だった。
 毎日学校に行って、授業を受けて。
 受験や恋愛や友だちのこと、自分のことで悩んだり、夏休みの旅行の為にファストフード店でバイトしたり。
 親しい友人と延々おしゃべりを楽しんだり…。
 まぁ誰しもの高校時代と同じ、退屈なんだけど楽しい、そんな毎日だったらしい。

「B美もC子も、同じ仲のいいグループでさ、よく遊んだな。
 夏休みにキャンプ行ったり…。
 うん、そういえばみんなで心霊スポットに行ったりもしたよ。
 もっとも、当時は心霊スポットなんて言い方はしなかったけどね。
 高2でさ。受験っていう重いものはあるにせよ、一番楽しい時だったんだろうなー。
 高3の時はクラス替えないからさ。
 これから2年間、ずっとみんな仲良くやってくんだろうなーって
 誰もが思ってたと思うよ。」


 それは、2学期の期末試験も終わったある放課後。
 来年の今頃はどんな気持ちでいるんだろうと、誰もがモヤモヤしたものを抱えつつも、クリスマスや冬休みやらの楽しい予定を話していた時のこと。
 Aさんたちと仲のよいD雄さんがそこにやってきて。最近買ったという一眼レフをバッグから取り出して、Aさんたち仲良しグループを撮りだした。

 最初は、みんな並んでチーズって写していたのだが、D雄さんは、それではつまらないなぁーと。
 「みんなの自然な表情が撮りたいんだよなー」と言い出した。

「いやさ、そんなこといきなり言われたってさ。
 どうしていいかわからなくってさ。
 しばらくは、みんな、ぎこちなく話してたんだと思うんだ。
 でもさ、いつものメンバーだろ。
 すぐにいつもみたくワイワイ騒ぎだしてさ。」

「その時さ。たまたまクラスの女子に一番人気のあったE太ってヤツが、
 そこに乱入してきてさ。
 ふざけてB美をからかったわけ。
 B美、最初は笑ってるだけだったんだけどさ。
 E太が、あんまりしつこいもんで。B美は、いきなり怒りだしちゃってさ。
 誰かの竹刀持ち出して、E太のこと追っかけ回しちゃったわけ。
 いや。フリ、フリ。
 オレたちは、B美のソレがフリだって、すぐわかったんだけどさ。
 でも、E太はわからなかったみたいでさ。
 E太って、ちょっと不良っぽいヤツだったんだけど、
 B美のその様子に、なに思ったかマジ焦っちゃってさ。
 両手で頭抱えて逃げ回ってたわけさ。
 あれは、みんなもぉ大爆笑だったよ。」

「そんな絶好のシャッターチャンス、D雄が逃すわけないわけさ。
 あとで現像した写真を見た時、あの頃ですら、
 あー、これがキラキラした青春の1ページってヤツなんだなって、そんなこと思ったな。
 だって、クラス一の美男と美女だぜ。
 もぉドラマや映画の世界さ…。」

「たださ。その写真のことで、
 みんなの仲がなんだかヤバくなってきちゃってさ…。」


 Aさんによると、その写真というのは、画面中央には今まさに竹刀を振り下ろそうとするB美さんの姿があって。
 そのすぐ左側に、頭を抱えて首を竦めているE太さん。
 2人の後ろには、Aさんたちのグループの面々がゲラゲラ笑っているというような構図だったそうです。
 Aさんの言う通り、まさに青春の1ページって感じの構図なのですが…
 問題なのは、E太さんのすぐ左上。
 頭を抱えているE太さんの左横のちょっと上くらいに写っていたC子さんだったそうです。
 つまり、そのC子さんの表情というのが、それを見た瞬間、誰もが思わず言葉を詰まらせてしまう顔をしていたと……


「うーん…。
 例えばさ。その写真を、俺たちのことを知らない第三者が見たらさ。
 誰もが、この左端の女の子(C子)は、真ん中の女の子(B美)のことが嫌いなんだろうね
 って言うだろうなっていう表情なんだよ。
 うん、まぁ…。
 わかりやすく言えばそういうことなんだけど…。」

「まるでさ。
 普段からC子が、B美のことを憎む感情を抱き続けていて。
 なんかの拍子に、その感情のまま睨んだ時に、
 たまたまシャッターが切られて、
 そのまんま写真に写っちゃったっていう風に見えるんだよ。
 うん。俺もそんな風に思ったし、みんなもそんな風に思った。
 たぶん、それはB美もだろうし。
 そして、C子だってそんな風に思ったんじゃないかな。」

「でもさ、そんなことは絶対なかったんだよ。
 写真なんて一瞬のことだろ?
 たまたまそんな風に写っただけなんだよ。
 そうなんだけどさ…。
 誰もがそう思ってるはずなんだけどさ…。
 なんか、変なことになっちゃたのは、写真のピントが、
 真ん中のB美とE太。それと、なぜだか端のC子の3人だけにバッチリ合ってんだよ。
 後ろで笑っているオレたちにはピント合ってないのにさ…。」

「いや、B美とE太にピントが合ってるのはわかるんだよ。
 D雄は、2人を撮ったわけだから。
 でも、2人より後ろにいたはずの…、あ、だから、
 俺たちと同じ位置にいたはずのC子にもピントが合ってるって、おかしいだろ?」

「まるでさ。
 それは、なんだか、あとからC子の姿だけ切り貼ったみたいにクッキリ写ってててさ。
 そんな風に、C子の写り方が変なとこにもってきてさ。
 実は、C子はE太のことが好きらしいっていう噂が前々からあったこともあってさ。
 B美とC子の、その関係の微妙な部分っていうのかな?
 そういうとこが、みんなの心の中で急に形を成しちゃったんだよ。」


 Aさんによると、その写真を見たクラスのみんなは、B美さんとC子さんの、ある意味微妙といえる関係について、何のかんの陰で噂してたそうです。
 とはいっても、一方の当事者であるB美さんはまったく気にしない風だったし。
 Aさんたち仲間も気にしなかった。
 というより、そんな写真のことなんてすぐ忘れてしまったんだそうです。
 ただ、それ以来C子さん一人が、何か変わってしまった……

 それは、少しずつ、少しずつ、Aさんたちの仲間から離れていく感じ。
 そして、気がついた時、C子さんはAさんたちとは違うグループで楽しそうにしていることが多かったといいます。


「でさ、まぁここまでは思い出話さ。
 苦い思い出っていうヤツ。
 これから先は、その十何年後の話なんだけどさ…。」

「実は俺、何年か前に都内のある場所でC子とバッタリ会ってさ。
 確か、30歳か31歳か…、そのくらいの頃。
 場所は…、うん。あえて言いたくない。
 とにかくさ、顔を見た途端、あ、C子だって。
 すぐわかったんだけど、でも変わったなぁーって…。」

「着てるもんとか、化粧とか。
 外見は、そこらにいる20代後半から30前半くらいの普通の女って感じだし。
 話し方だって普通なんだけどさ。
 目なんだよ、目。
 目の中が、何か違うんだよな。
 なんかこぉー、潤んでるっていうような感じでさ…。」

「色気のある目つき?
 うーん。たんに色気っていうんじゃなくって…
 そう。仇っぽい?仇っぽいって感じかな?
 近くに寄ると、化粧の匂いでむせちゃうような…。
 いや。だからって、そういう匂いがするわけじゃないんだけどさ。
 わかるだろ?
 普通の会社に勤めて、普通にOLしてるって感じがしないわけさ…。」

「近くでさ…。うん、ちょっと話してさ。
 そしたら、ふいにC子が、その写真のこと言い出したんだよ。
 あの写真ってどう思う?って…。」

「うん。だからさ。
 オレ、C子のことは憶えてても、
 写真のことは頭のどっかにいっちゃてた感じだったからさ。
 そういえばそんなことあったよなぁーくらいのこと言ったんだよ。
 そうしたらC子、ちょっとムッとした顔してさ。
 それ見たら、C子、今でもあのこと引きずってるんだなぁーって。
 C子のこと、ちょっと可哀相になっちゃったんだけどさ。
 でも、女の執念みたいなものも感じてさー。
 なんか、ちょっとゾクッときてさ…。」

「C子、その潤んだような目を、こう上目遣いにしてさ。
 俺のこと、しばらくジーっと見てたんだけど…。
 その目が、ふいにスーっと変わった時は何だか怖かったな…。」

「でさ。その後の言葉っていうのがさ、何なんだろう?って。
 俺、よくわからないんだよな。
 冗談なのか?それともホントのこと言ってるのか…。
 いや。冗談に決まってるんだろうけど、でも何だかさ…。
 まぁこういうことを言うってことはさ。
 もしかしたら本当なんじゃないかって気持ちがあるから言うわけなんだけどさ。
 ただ、冗談じゃないならいったいどういうことなんだろうって…。」


 その時のC子さんの言葉というのは、以下のようなものだったそうです。

「あぁ、やっぱり…。
 みんな、わかってないんだなぁ…。」

「あの時の、あの写真のあたしの表情…
 憶えてるよね?どんな顔してたか…
 あたしね、あの時、本当にあんな顔してたんだと思うのよ。」

「だってさ、憎らしかったんだもん。
 B美のこと…
 そう。ずっと憎かった…
 でもね。あの時くらい憎らしいと思ったことはなかったと思う。
 E太のヤツ、あの時、あたしのこと、一瞥もしなかったの。
 ドアの所で、B美の姿を見つけると、
 もうまっしぐらにB美の方に向かってったのよ…」

「よくそこまで見てたなって言うんでしょ?
 見てたわよ。
 だって、あたし、あの時D雄の後ろにいたんだもん。
 D雄がカメラ構えて写してる後姿とか、E太が教室に入ってきたのとか、
 E太がB美のことからかって、B美が竹刀振り回してるのとか、
 あたし、ずっと見てたんだもん。」

「わかったでしょ?
 あの写真…
 あの写真に写ってたあたし…
 アレは、あたしじゃない。あたしのわけないのよ。
 絶対…
 だって、カメラをかまえているD雄の後ろにいたあたしが、
 そのカメラに写るわけないじゃない。」

「あの写真のあたしの顔…
 あれは、ホント怖かった…
 自分の顔なのに、何でだろうと思うくらい怖かった。
 あの頃、あたし。
 人に見られてないと、B美のこと、いつもあんな目つきで見てたんだろうなって。
 あの頃、いつも2人で楽しく笑い転げてたのにさ。
 でも、心の中では、いつもあんな顔でB美のこと見てるんだろうなって…」

「でもね。
 それよりも何よりも、あの時はB美のことが怖かったというのもあったの。
 B美はね、あたしにあんな風に見られてるって、
 たぶん、あの時よりずっと前から気がついてたんだと思うの。
 それで、あの写真を見た時に確信を得たんだと思うの。
 あたしが、B美にそんな気持ちを持っているんだって…
 でもね。B美ったら、あたしに対する態度、全っ然変わんなかったのよ……」

「そりゃそうよね。
 あの頃はみんな、あたしとB美を比べちゃ、B美の方が上って思ってた。
 そうでしょ?A…、さんだって、そんな風に思ってたでしょ?
 あの頃、あたしのこと…」

「ふふっ。
 うん。まぁそれはいいの。
 でもね。それ…、みんなが思っていた、あたしとB美を比べてB美の方が上っていうのは、
 B美自身も思ってたのよ。
 だから、B美はあの写真を見た瞬間、心の奥底でほくそ笑んだのよ。
 クラスの誰もが比べてるB美とあたし、その比べられてる当の相手であるあたし自身が、
 自分から負けを認めてるんだってわかったわけだもん。
 B美は、だからこそ自ら自分より下と認めたあたしに、
 いつもと同じ風を装って笑いかけたのよ……」

「ううん。そんなことも、もぉいいの。
 今となっては…、ね。
 だって、いつまでも、あの頃みたいな高校生じゃないんだし…。
 ていうか、そんなことより、っとドロドロしたことや醜いこと、いっぱい見てきたしね。
 うん。今だったら、普通に仲良く話せると思うよ、B美とも。
 あの頃みたいに、さ……」

「だからね。そんなことよりね。
 今はさ。今は…、あの写真のわたしの顔がさ…
 なんだか頭ん中にこびりついちゃってさ。
 それが、どうしても忘れらんないのよ。
 あの、あたしの怖い顔がさ…」

「なんかの拍子に、ふーっと、あの顔が目の前に浮かび上がってくるのよ。
 それはね。彼とデートしてて、キスする瞬間とかさ、決まってそんな時。
 彼の後ろとかにさ、ふーっといるのよ。
 あの怖い顔が…」

「あたしね。忘れたくってさ。今まで、色々無茶もしたの。
 でもね、何やっても忘れられないのよ。
 あの写真に写ってた、あたしのあの怖い顔がさ…」

 もちろん、Aさんはその時、C子さんに「それは気にしすぎだよ」って言ったそうです。
 さらに、「B美だって、C子のことそんな風に思ってたわけないだろ」とも。
 でも、C子さんは静かに首を振って。
 そして、一瞬ふっと笑って、こう言ったんだそうです。

「最近はね、こう思うの。
 あたしは、あの顔と死ぬまでずっと一緒なんだろうなーって……」



                      ―― 『あたしのわけないのよ…』〈了〉


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2016
07.24

大暑というわりには…


 いやー、金曜日(7/22)。
 “大そう暑い”どころか、いやもぉ涼しいのなんのって(笑)
 それこそ、夜は布団かけちゃっいました。

 今日は太陽が(多少)出たんで、今は少し蒸してきましたけどねー。
 でも、風が北から入ってくるんで、まぁ快適な気温?ってとこでしょうか。
 でも、大暑ですよ、大暑!  正しくは大暑の2日後
 ホント、これで大丈夫なだろうか!?


 大丈夫なんだろーかといえば、都知事選挙ですよね。
 都知事なんかになったって、どーせ1、2年したらあることないこと、クソミソのように責められて辞任するだけなのになーなんて思ってましたけど、いやもぉ今回は選挙前からクソミソ(笑)

 鳥●さん。参議院選挙の結果みて危機感持って立候補って、そりゃ動機が不純すぎでしょう。国政と都政をごっちゃにしちゃぁいけませんぜって、でも、小●さんは顔が薄気味悪すぎだしなーなんて(笑)
 ま、増田さんが一番マシな気がするんですけど、自●党の都議会連が推薦してるわけで、実は一番サイアクなんじゃない?なんて。

 前の前の知事だった猪瀬さんが、最近自●党都議連との確執をネットでバラしちゃってるらしいですけど、やっぱりオリンピック利権をめぐるゴタゴタに付き合わされただけなんだなーって。
 えっ。てことは、マスコミと世論は自●党都議連の味方だった…、とか!?(笑)
 *ヤフーニュース
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160716-00000002-wordleaf-pol
 
 とかいって私、都民じゃないんで。
 ま、関係ないんですけど、オリンピック予算の見直しをするみたいなこと言ってる小●さんが一番いいのかもしれないですね。
 ただ、そんなこと言ってると、たちまちクソミソ扱いで辞めされられちゃう気もするんだけど(爆)


 そう。関係ないといえば、ポケモンGOですかねー。
 だって、いまだにスマホ持ってないんだもん(爆)

 いや、しかしTVニュースで、並んでポケモンGOしてる人たちの横顔見てたら、なんだか古のインベーダーゲームのTVニュースを思い出すなぁなんて。
 そうそう。
 考えてみれば、あの時も全然しなかったんだっけ(笑)

 ていうか、巣鴨でお婆ちゃんが「何か変わったねー。ついてけない」とかインタビューに答えてましたけど。でも、たぶん来年の今頃は、あのお婆ちゃんも「これ、楽しい」なんてポケモンGOしてんじゃねーのー(笑)
 って、何かそうな勢いですよね。
 だって、今日買い物行ったら、ウチの地元の住宅街の中をスマホ片手に歩きまわてる人いたもん。 ←もっといそうなとこ行ってやれ!www

 ま、いつかスマホにしたらやってみたいかな?なんて(爆)
 バカモンGOなヤツでスミマセンwww

 ていうか、ポケモンGO的な小説ってないわけで(たぶん)、そういう意味じゃ企業の創造力ってスゴイですよね。
 世の作家たち(および、その卵たち)は、今頃、ポケモンGOに着想を得てせっせと書いてるんだろうなーなんて思ってみたり。
 来年の今頃が楽し~み(笑)

 あ、そうなると、たぶんポケモンGOにまつわる怪談とかも出てくるんでしょうね。
 某所で捕まえたポケモンは実は悪霊で。捕まえた人は呪われるみたいな(爆)
 しっかし、生者を怖がらすためには、オバケさんも流行を取り入れるのに余念がないなぁ…。
 私なんかより、よっぽど先行ってます(笑)


 てな繰り言書いて、気づけば7月ももぉ最終週なんですねー。
 そういえば、大暑の次は立秋なわけで、あぁかくして一年は過ぎてゆく…な~んて(笑)
 あっという間に終わっちゃう夏を楽しむって意味じゃぁ、ポケモンGOは街歩いたり、海や山に行ったりでいいのかもなーなんて思っちゃいましたとさ。
 めでたし、めでたし(笑)




    最近でたらしいシスター・スパロウのライブCDが欲しーっ!なんて言ってるヤツ、
     もはや時代遅れなんでしょうね

    だって、CDですよ、CD!そんなもん、今時、犬も食わないって(笑)



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2016
07.18

あぁ~あ。買っちゃった…


 今週、本屋で見かけた時からヤバイなぁーと思ってたんですけどねー。

 今日、買い物の後、呼ばれるように本屋に行っちゃって。
 結局、買っちゃいました(笑)

ジョイランドIMG_3090

 
 積読本が壁のようになってるというのになぁ…
 とはいえ、この魅力には抗しがたかった(笑)

 あぁ…
 感涙したい(爆)






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2016
07.18

怪談:16.7.18

Category: 怪談話-番外
 
 これは、ある年の7月下旬。南風の強い夜のお話です。

 ウチのパソコンはベランダへの出入口にもなっている大きな窓のすぐ脇にあります。
 だから、パソコンをたたいている時でも外の光景がよく見えます。

 その日は深夜までパソコンをパコパコしてたわけですが、夏ですから当然窓は全開でした。
 お世辞にも涼しいとはいえないものの、南風が直接吹き付けることもあって、うだるぅ~って感じでもなく…

 窓の外は漆黒の闇…といいたいところですが、こんな郊外にまでマンションは建っていて(とか言って、私の家もマンションですがwww)。
 視界の3、40メートルくらい向こうに、中規模のマンションがひとつあって、通路側がこっちを向いて建ってますから、もぉ一面の光です。
 まったく情緒もへったくれもないわけですが、ただひとつ風に吹かれて広がるカーテンの動き、これはなんとも不思議な動きをしていて…

風 に押されて全体がふわーっと広がるのならわかるのですが、下の1/4くらいだけが、小刻みにポンポンポンって膨らんじゃ戻る、膨らんじゃ戻るを延々繰り返していたかと思うと、今度は縦に波打つように揺れてたりと。
 まるでカーテンの向こうに子供がいて延々イタズラをしてるようです。
 そんなことを横目で見つつ、パソコンの画面を睨んでいた時でした。

 メラメラメラ!メラメラメラ!

 視界の端を、何か白いものが横切ったんです。
 といっても、人影とかそんな大きい物ではなく、手のひらくらいか、もうちょっと大きいかくらい。

「げっ!なにっ!」
 恐る恐る網戸を開けて外を見ても特になにもありません。
 風こそ強いものの、いつもの平和な夜です。
 私は首をかしげながら、またパソコンに向かいます。
 そして、またしばらくパコパコしていたら…

 メラメラメラ!メラメラメラ!
 またもや視界の端を何か白いものが横切っていく。

 手のひらぐらいか、もうちょっと大きい位で。
 それこそ手のひらを上にむけて指を小刻みに動かすような、そんな風に見える。
 で、白い…!?

 えっ!なに?人魂!?                 

 人魂って、さすがに見たことないんですけど、見た人の話を聞いたことはあります。

 ポーンって感じで、家の屋根の上高くを飛ぶんだとか…

 ふと窓の向こうを見れば、道を挟んだ向いの家の屋根のシルエットが黒ーく沈んでいる。
 シーンと静まりかえった街並み。
 ついさっきまで向こうの線路をうるさいくらいに電車が走っていたのに、今はシーン。

 意を決して、ドキドキしながらまた網戸を開けて外を見ます。
 でも、なぜか右手にはデジカメ(笑)

 でも、やっぱり何もありません。さっきと変わらないいつもの夜の光景だけ。
「何か、確かに見えたよなぁー。」

 ベランダに出ると、昼間の熱がこもりまくった室内と違って、全然涼しいんです。
 あまりの快適さに、エアコンの室外機に腰かけのーんびり。
 あんなにうんざりだった強い南風が、すーっと体の熱を下げてくれます。
 平和な夜です。人魂なんて出るわけありません。

 その時でした。
 サァーッと。
 ひときわ生あったかーい風が吹いたかと思うと──。

 メラメラメラ、メラメラメラ、メラメラメラ、メラメラメラー!

 ベランダの端の方から、さっきのアレが、私目がけてものすごい勢いで吹っ飛んでくる!
「っ!!」
 もうビックリで、思わず体をのけぞらしソレをよけます。
 あまりの驚きで声すらでません。
 もう必死です。
 ソレは、私の目の前をすごい勢いで横切って向こうへ!
 そして急に止まったかと思うと!

 カタン。
 何やら、みょーにシケた音。
「うんっ!?」
 そこにあったのは……、

 一枚の雑巾。
 さっき私が物干しロープに干したやつです。

 思い出しました。
 ついこの間、物干しロープが擦り切れかかってたんで、新しいのと交換したことを。
 特に考えもせず、物干しロープなんて何でもいいだろって百円ショップで買ったんですけど、表面がつるつるすぎて風が強い時なんか洗濯物が全部風下に寄っちゃうことが多々あって……


 つまりはまぁ、布巾が風に吹かれて、物干しロープを行ったり来たりしてただけだったのかなーと(笑)

 たぶん、一反木綿の正体ってこれなんだろうなーって……
 違うか?


 ま、こんなお話ばっかやってると、「バッカじゃない!」とか言われちゃいますよね(笑)
 いや。実は、この間の怪談会で無茶苦茶おバカなお話しちゃったら、やっぱりそんな白ぉ~い目が……

 あぁ人間って、怖い(爆) 
 って、芸のない怪談師(誰とはいいません)がよくやるオチで、本日は話を終えたいと思います(爆)



                              ―― 『人魂?』〈了〉                   


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2016
07.16

でー、梅雨明けは?


 今週、水曜と木曜は、いっや、蒸し暑くって!  
 もぉホント、あれは死にましたね(泣)  

 死にましたねって、ホント、あの2日間(正しくは火曜の夜から)殺人的な蒸し暑さで。
 特に木曜は、地獄の釜だってこんなに熱くはないんじゃないかってくらい(笑)

 いっやー、こらぁ、地獄以下だわ……
 うん!?地獄以上か?
 以上?以下?どっちが適当なんだ!?
 なぁ~んて(笑)

 あれだけ蒸すと、バカさ加減も増すというものです(爆)


 とか思ってたら、金曜日はバカ涼しい!と(笑)  

 いや、まーね。
 木曜の蒸っし蒸っしを思えば、全然OKなんですけどね。

 ただ、この時期でこの涼しさって、かなりヤバイんじゃない?
 なんて。

 だって、今日、八百屋さんに行ってきましたけど。
 うん。まぁひところに比べるとずいぶん安くなってた(夏価格になってた)んですけどー。
 でも、キューリがたっかい!
 ブタQ(キューリとブタ炒め)大好きなのにーっ!何が好きってカンタンなのがイイ!(笑)


 そういえば、天気予報の解説なんか聞いてると、ついこの間までは「猛暑!」「猛暑!」だったのに。
 ここ最近は、“今夏はオホーツク海高気圧の張り出しが強い”とかなんとか…。

 うん。確かに、この時期でも梅雨前線は日本の南海上にあるわけで、こりゃ猛暑どころか、冷夏かもなーって(泣)
 実際、北日本は日照時間が例年より少ないとか?

 ま、冷夏なんていうと、「バンザーイ!」って喜ぶ人も多いですけど。
 でも、最近の冷夏って、“冷夏でも暑いっ!”んですよね(爆)
 つまり、暑くて、天気悪いっていう最悪のパターンが「冷夏」なわけで。
 ま、残暑はそれほど続かないっていうのはいいんですけどねぇ…

 特に今年、オホーツク海高気圧の張り出しが強いってことは、上空に寒気が入りやすいってことですから。
 つまり、ゲリラ豪雨の当たり年! 
 って可能性も?(泣)

 ついでに言えば、台風も心配ですよねぇ…。
 今年は関東北部なんかは降水量が少ないって話ですけど、でも降ってないってことはこれから降るってことですから。
 なぁ~んか、ちょっと不穏……


 とかいって、梅雨も明けてないのに、梅雨明け後のことを言ってると鬼に笑われちゃうわけで(笑)
 で、まぁとりあえずは梅雨明けなわけですよね。

 TVの天気予報(つまり気象庁)だと、7月の終わりまでずれ込む可能性(関東地方)とか言ってるわけですけどねー。
 ま、そもそも梅雨前線が南にあるわけで、うーん。そういうことかーとも思うわけですけどー。

 でも、意外と来週。平年通り、21日前後に開けちゃうなんてこと、ないかなーって。 ←かなり希望入ってます(笑)

 というのも、ウェザーニュースの週間予報(関東地方)、来週比較的いいんですよね。
 ま、ウェザーニュースって、アヴァンギャルドな週間予報をやるんで(爆)
 油断は出来ないんですけど、でも、今週末は気象庁系の予報だと日月は雨だったのに、ウェザーニュースは週の初めからずっと晴れ寄りの予報してたんですよー。

 とかいって、明日(日曜)の天気は明日になってみなきゃわからないわけですけど、気象庁系も雨マークは消したとこみると、ウェザーニュースの予報が当たりの可能性もあると。
 そうなってくると、来週の晴れ寄りの週間予報も、もしかして…と(笑)

 あと。
 ウチの近所に、私が勝手に「梅雨の木」と呼んでる木があるんですけど。
 いや、その「梅雨の木」。
 巨大なクチナシなんですけど、毎年、梅雨入りちょっと前から花が咲き始めて。
 そして、梅雨が明けた途端、ピタッと花が咲かなくなるんです。
 実は、それ、昨日今日って、ほとんど咲いてないんですよ。
 昨日なんて、あんなに雨が降ったにもかかわらず。

 まぁそんなわけで、密かに期待してるわけですが、さてはてどうなることやら(笑)




      なんで、こんな映像の表示になるかなぁ…(笑)


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2016
07.09

怪談:16.7.9

Category: 怪談話-番外

 現代の怪談において、電話というのは重要なアイテムですよね。
 ケータイが出現してからは、さらにオバケさんの方も手を変え品を変えあらゆる手段で怖がらせてくれています。
 ケータイにまつわる怪談話っていうのはパーソナルな物だけに、本人にダイレクトにつながる怖さがあります。
 ただ、その反面、固定電話にあるような、家の人だったり、同僚だったりの取次ぎの人が間に介在することで、「その電話って…」みたいに想像をかきたてる怖さみたいな面は薄れたようにも思うんですけど……

 このお話は、そんな固定電話しかない時代のお話です。



 わたしはその夜、相当イライラしていた。
 というのも、原因は彼氏のCクンだった。
 ううん。はたして彼氏といっていいのか?
 そう。わたしのイライラの根本は、まさにそこだったんだと思う。

 Cクンとは、バイトで知り合った。
 去年の夏に知り合って、はや10ヶ月。
 時々思い出したように電話がかかってきちゃぁ、3時間以上おしゃべりしたり。近くの喫茶店で、やはり4、5時間も話したりすることはあるものの、そこから先にいくこともなく次の約束をするということもない。
 特に話題があるというわけでもないのに、話だけで3時間も4時間も楽しく過ごせるっていうのは気が合うって証拠なんだと思う。
 でも、やっぱりちゃんと「つきあって」と言ってもらえば安心するし。
 というか、もっとデートらしいデートをするとかあってもいいんじゃないかと思うのだ。

 もっとも、わたしもCクンも、お互いバイトが忙しいっていうのもあったんだと思う。
 わたし自身、当時は2つから3つくらいバイトをかけもちしてたし。
 Cクンもバイトの休みは月に2日か3日ぐらいしかなくって、まる1日2人とも空いている日なんてほとんどなかったのだ。
 それこそ、現代のようにスマホやケータイでもあれば、メールしたり電話したりと、もっとスムーズなつきあいが出来たのかもしれない。


 話は冒頭に戻る。
 わたしがイライラしていたその日。
 その日は、Cクンの数少ないバイトの休みの日だった。
 わたしとしては、お互い昼間は学校があるので丸1日はムリにしても午後からどこかで待ち合わせして…とか思っていたのだが。
 でも、結局連絡もないままその日に……

 そして、あっという間に夜。
「せめて電話くらいかけてこいよーっ!この大バカヤローっ!」
 電話に毒づいてみても、電話はウンともスンとも言わない。
 もしかして電話が壊れてるのかも?って、受話器をとっちゃプーっていう音を確認してみたり、時報を聞いてみたり。
 はたまた回線のジャックを1度引っこ抜いてはまたしっかり入れてみたりしてみても、電話は鳴らなかった。


 そんな、ずっとイライラそわそわなわたしを見ていたのだろう。
 ニヤぁーという不気味な笑みを浮かべて部屋に入ってきたのは、妹のD子だった。
 そして、その不気味な笑みを浮かべたまま言った。
 「ねぇお姉ちゃん。例の彼からの電話待ってるんでしょ。」

 その後、D子と久しぶりにケンカした。
 といっても、それはほんの2、3分くらい。
 つまり、「うるさい!」とか、「黙れ!」とか、そんなそんな程度だ。
 というのも、エキサイトしかけたその時、D子は私に向かって「ちょっと待て」と。そして、思わずひるんだわたしに、妙な知恵を授けたのだ。
 それは、おまじない。
 D子の通う高校に代々伝わるらしい「彼氏から電話がかかってくるおまじない」という、思わず「他にどんなおまじないがあるんだ!」と言いたくなるような、やたら至れり尽くせりなおまじないだった。

 実は、それを聞いた時は、思わず笑った。
 というか、鼻で笑ってやった。
「はぁ?おまじない?ばっかじゃない。ケラケラケラ…」って。
 でも、D子の顔はいつになく真剣だった。
「実はね。わたし、こないだやってみたんだ…。」
「ふーん。で、どうだったのよ?」
 いや、確かに鼻で笑った。
 ただ、それは行きがかり上というか、売り言葉に買い言葉というか…
 まぁなんと言うか、鼻で笑っちゃったわたしも、実際にやったと言われると結果を聞かずにはいられないわけでー。
 というか、その時っていうのは、藁をもすがる…みたいな気持ちだったのだ。

「もぉさ。バッチリっ!!
 ちょっと待ってたら、かかってきちゃって…。
 もぉ、ウフフ。」
 そのD子の自信満々な表情を見ていたら、その時わたしは不思議と気が変わった。
 というのも、そのおまじない。その手でありがちな「緑色のボールペンで何回相手の名前を書く」とか、「消しゴムをどうこう」とかいうんでなかったのだ。

 なんでも…
 まず、ミルクで紅茶を沸かして(お湯でなくミルクだ)。
 そこにハチミツやらハーブやらその他諸々入れて飲むというもので、今思うと、あのムシャクシャした状況で少しは気休めになるかも?って思ったのもあったのかもしれない。
 とはいうものの、効果への期待ももちろん忘れてなかった。
 ウソかホントか、D子は効果があったというのだから。
 というか、ダメでもともと。さっそく下に降りて、わたしはD子とそのおまじないを台所でやってみることにした。


「ほらっ!お姉ちゃん、そこでハチミツ入れてっ!
 あー、もぉ手際わるいなぁー。
 そんなことじゃ彼とデートどころか、お嫁に行けないよぉ。アッハハハ…。」 
 しっかし、この時のD子の態度ときたら…
 今思い出しても、異様に癪に障るのだが、まぁそれはよしとして。なんでも、そのおまじない。ミルクが沸きあがってきたタイミングがポイントなんだとかで。
 聞けば、人には手際わるいとかなんとか言い放題のくせして、実はD子もそれをやった時も何度か失敗したらしい。

 そんなおまじないだったのだが…
 D子のヤツ、肝心なことを忘れていたのだ。
 それは、やっとその「おまじないのミルクティー」が出来上がった時だった。
「あっ!○○印のリップクリームがない!」
「なによ、それ?」
「だから。最後に○○印のリップクリームで、
 ミルクティーの表面をハートになぞらなきゃならないのよ。
 彼氏から電話がかかってくるようにってお願いしながら…。
 でも、○○印のリップクリーム、今ないよ。」
「えー、リップクリームでミルクティーの表面んをなぞるーっ!?
 うわっ。それ、なんかヤだなぁー。体にワルそーっ!」
「大丈夫だって。サッサッてやるんだから…。
 さ、お姉ちゃん、しょうがないから今から買いに行こ!
 早く!早く!」

 そんなわけで、わたしはD子にのせられるがまま、リップクリームを買いに出かけようとしたのだが。
 でも、間が悪いことに、台所を散らかしっぱなしなのをお母さんに見つかっちゃって。
 いやもぉ久しぶりにものすごく怒られた。
 何でこうなるのだろう?
 それは、D子にのせられてこんな意味不明なおまじないをすることになったからなのだが、そもそもそれは、あのバカヤロ―が電話の一つもかけてこないせいなわけで、わたしの頭はブッキレ寸前。
 とはいえ、こういう時のわたしの扱いはD子な手慣れたもの。
 まずは「まぁまぁ」と。さらに、D子は「わたしが片づけるフリをしてるからさ。その間にお姉ちゃんはコンビニに行って、リップクリーム買って来て」。
 というわけで、気づいた時わたしは夜道を一人、コンビニに向かっていた。


「もぉまったく面倒臭い。何でこんなことしなきゃなんないのよ。」
 なんてブツクサ文句言いながら、近くのコンビ二に入って。
 妹の言う銘柄のリップクリームを捜していると、幸いそれは売っていた。
 そんなわたしが、「ふー、あった、あった。あー、よかった」と。やはりブツクサつぶやきながら、その○○印のリップクリームを手に取ってレジの方に歩き出した時だった。
 ふいに、ささやくような声が後ろから。

「大丈夫、電話かかってくるわよ。」
「へっ!?」
 なにそれっ?って、振り返ったわたし。
「っ!?」
 そこに立っていたのは、全身緑色の服を着たおばさん――。
 いや、おじさん!?
 あ、でも、スカートはいてるんだから、たぶんおばさん……

 とにかく。振り返った瞬間思ったのは、ただただ上から下までひたらすら全部緑色─っ!だった。
 クロッシェのような感じの丸い帽子から、ジャケット、スカートまで、濃淡こそあるものの全部緑色。
 さらに、そのおばさんともおじさんともつかない声、顔、そして体型……
 そんな変な人がわたしのすぐ後ろで微笑んでいて、さらに追い討ちをかけるように、また…。
「大丈夫、電話がかかってくるわよ」と、ニヤぁ~リ。

 もぉ一瞬なにがなんだかわからなくなった。
 幸いレジにはお客が誰も並んでなかった。だから、お金を払ったら、あとは後も見ないで飛び出すようにそのコンビ二を出て。
 それからは走って、走って、走って……
 というのも、あの緑色の人が追いかけてきたらどうしようって、もう怖くって仕方なかったのだ。
 やっと家に着いて。D子が開けてくれた玄関のドアから中の灯りがさーっと目に入ってきた時は、わたしは、思わずその場にへたり込みそうになったくらい。

「もぉー!あんたのせいで、とんでもない目にあったんだからー。
 緑色の変な人が現れ──。」
 そう、まくしたてたわたしの言葉だったが、途中でお母さんの声に遮られた。
「B子。あんたどこ行ってたの?
 つい今、Bさんから電話あったのに…、って、どうしたの?
 そんな変な顔して…。」
「もぉどうもこうもないわよ!
 コンビ二行ったら、緑色の変な人がいてさ。
 もぉ怖くて、怖くて──、えっ?Bクンから電話あったのぉ?」
「うん、ほんの2、3分前。
 D子に聞いたらすぐ帰ってくるって言うから、そう言ったら、
 じゃぁまたちょっとしてかけてみますって言ってたけど…。
 でも、どうしたの?B子。あなた、顔が変よ。
 真っ青…。」

 娘をつかまえて「顔が変」とは何だ!ではあったが、というかその時は「真っ青じゃなくて、真っ緑よ!」と言いたかった。
 でも、その一瞬後にはそんなこと、キレイさっぱり忘れていた。
 なぜなら、わたしはニコニコしながらBクンの家に電話をしていたから。
「もしもし、○○ですけど──。」
「えぇーっ!ビーっクリ!Bちゃん?」
 世の中、ウマくいかない時はホントウマくかないが、ウマく行く時っていうのはそんなものだ。
 コール音が一つ鳴り終わらないうちに取られた電話から聞こえてきたその声はまさにCクンだった。

「電話してくれたんだって?
 いやね、妹が変なこと言いだしてさ──。
 あっそれはこっちのことなんだけどね。」
「えぇっ、電話?いやー、してないけど…。
 だって、オレも今帰ってきたところだもん。
 いやー、Bちゃん、タイミングよかったよー!」
「えっ、ウソー!
 だって、お母さんがCさんから電話かかってきたって言ったよ。
 ちょっと待って。
 ねぇー!お母さん、Bクンから電話かかってきたんだよねぇ?」
 わたしは、そう言ってドアから顔だけ出して、お母さんにもう一度聞いた。
 でも、お母さんはTVに夢中みたいで、ケラケラ笑っているばかり。
 だから、わたしはもう一度「ねぇっ?電話あったんだよね?」と。すると、お母さんの横でTVを見ていたD子がクルリとこっちを向いた。
 そして、ウンウンうなずきながら、あのニヤぁーっという笑みを浮かべた。


 Cクンに、コンビニにリップクリームを買いに行って、緑色の変な人に出会ったことを話したのはたまたまだった。
 何だろ?とにかく、たまたまだった。
 だって、その時わたしは無茶苦茶機嫌がよかったから。
 ただ、Cクンは冬でもないこの季節にわざわざ夜にリップクリームを買いに行ったというのを変に思ったらしくて。
 そのことを説明しようとしていたら、結局、それは妹のD子が教えてくれたおまじないのためであり、そもそもおまじないをすることになったいきさつまで話していたのは、たぶん話の流れだったと思う。
 というか、そんな風にダラダラと話題をつなげていくのがわたしとCクンのいつもの会話だった。
 しかし、そこまで話したらCクン、いきなり黙っちゃって…。
 そして、いきなり「ゴメン」って。

 まぁその後の展開はこのお話の大筋とは関係ないので省くけど、その長い長い電話のおしゃべりの最後。何がどうなってそうなったのか、初めてのデートらしいデートを約束した後、Cクンがボソっとつぶやいた。
「ねぇ。もしかして、その緑色の変な人ってキューピッ──。
 いやぁ、まさっかなぁ。ハハハ…」



                            ―― 『おまじない』〈了〉


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2016
07.09

EUは、ドイツ人が旧連合国にかけた呪い!?(笑)


 イギリスの国民投票の結果がEU離脱になって2週間が過ぎたわけですけど、2週間経ってみると、あながち間違った選択でもなかったのかもなーなんて気もしてきましたね。

 あ、だから、短絡的な個人主義による「離脱しちゃえばいんだよ」みたいな。
 その場の勢いで離脱に突き進んじゃった世論と、それを扇動した人たちっていうのはやっぱりおかしいですよね。
 ていうか、その2つの熱狂っていうのは、国民が突き上げ国が煽った末に戦争に突っ走っていくあの状況と同じで、なんかゾッとします。

 ただ、それがおかしい反面、どうやらEUってモノ自体が相当おかしくい面があるようですね。
 確かに、難民の保護は大事なことだし。また、人的資源って意味でも移民は推進されるべきだと思うんです(それは日本でもwww)。
 でも、だからって、その理想のために、そこに元から住んでいる人々の生活が脅かされるのはどこか変ですよねー。
 それは、日本に旅行に来る外国人が増えるのはよいことだけど、だからって「民泊」みたいな責任の所在が曖昧な、あるいは何かあっても責任とりようがない仕組みが推進されちゃったら困るということと似ているように思うんだけどな(笑)

 イギリスって、何でもGDP世界第5位の経済大国…、とかいってたらEU離脱決定でフランスが5位になっっちゃったらしいですけど(アラ…)、まぁそれにしたって「経済大国」ですよね。
 そんな裕福な国に、お金の価値・感覚が大きく異なり、さらに言語も習慣も違うEUの他の国の人たちが自由に住むことが出来るっていうのは、やっぱりどこか無理があるんじゃないのかなぁ…。

 それは、住民によるゴミの分別がルール化されてる日本で、海外から来て住んでる人のごみの捨て方で軋轢が起きてるのを見たって明らかって思うんですよね。
 だから、軋轢やトラブルが起きないように、行政なり何なりが新たに住む人にルールを徹底させなければならないわけですが、おそらくEUはそこまで手が回ってなかったってことなんじゃないのかな。

 そう考えると、イギリスが「離脱」という選択したのは、たまたまイギリスが最初だったというだけで。それは、たぶん他の裕福な国々も続くことになるんじゃないですかねー。


 しかし、EUは何でそこまで理想主義になってしまったんだろうと思っていたのですが、どうも、それにはドイツが大きく関係してたようですね。
 つまり、第二次大戦で負けたドイツはホロコースト等の行き過ぎた全体主義の負い目もあり、難民移民に寛大な政策をとっていたらしいんです。
 そんなドイツの方針が、最大の経済大国というこもあり、そのままEUの理念に反映されていったという面があるんじゃないでしょうか。

 さらに、これはあくまで推測ですが、ドイツ(人)の合理性・合理的価値を域内の人に効率を押し付けるような形になっていたのが、今のEUだったんではないかなーと。
 その理想主義・合理性が行き過ぎちゃった結果、バナナは真っ直ぐじゃなきゃダメ、子供だけで風船を膨らませてはダメのような、幼稚園的なルールが出来ちゃって。
 その変なルール息苦しくなっちゃった人たちが爆発しちゃったのが、2週間前のイギリスの国民の離脱選択なのかなーって。


 で。
 話は、全っ然違うんですけど(笑)
 国民の不満が政治(家)を突き上げて、その不満を政治(家)が煽る。
 結果、国民の不満は形のある世論になり、さらに運動になることで政治(家)を突き上げ、その突き上げにのって政治(家)がさらに煽るというその流れって。
 なぁ~んかに似てるなぁ…。なんだろう?って思ってたら、そう!その流れって、今の怪談やホラーをめぐる状況とソックリなんですよね(爆)

 怪談好き・ホラー好きが「もっと怖く!」「もっと怖く!」と突き上げられた怪談・ホラーの作り手(この際、あえて作り手と言っちゃいますwww)がもぉ張り切っちゃって。
 もぉどうしたら連中を怖がらせることが出来るかと、さんざん知恵絞って「どぉ~だぁ!怖いだろー!」とばかり出す。
 でも、それを見た/聞いた怪談好き・ホラー好きは、さらに「もっと怖く!」「もっと怖く!」と突き上げる。
 それを聞いた怪談・ホラーの作り手はさらに張り切って知恵絞って「どぉ~だぁ!」と。
 でも、怪談好き・ホラー好きは、やっぱり「もっと怖く!」「もっと怖く!」と熱狂するばかり。
 怪談・ホラーの作り手も、その熱狂にさらに知恵絞って……
 その行きついた先が、貞子さんと呪怨さんがVSするお話って、なんじゃそりゃぁ~(爆)

 って、あれ、なんかカレーの激辛戦争みたいですよね(笑)
 美味かったはずの“辛い”も、「もっと」「もっと」と辛くしていけば、辛いだけで味も何もなくなっちゃうように。
 「もっと怖く」「もっと怖く」ってやってけば、逆に“笑い”になっちゃうか。もしくは、“幽霊は人を陥れようと常に手ぐすね引いてる”みたいに、まるでショッカーみたいになっちゃうってことなんでしょう(笑)

 ま、怪談やホラーはね。“ブームが去った”で済むわけですけど…。
 EUのような国と国の統合の仕組みというのは、違う国に住む人同士が仲良く暮らすのにやっぱり有用だと思うんです。
 まぁお金儲けをしたい人が、自分のお金儲けをしやすい環境づくりをしたのがEUだというのも確かなんでしょうけど、でもまぁそうは言ってもお金はとっても大事なわけで(笑)

 そんな風に考えていくと、ま、今回は毒出し(独出しじゃなくねwww)ってことで。
 EUとイギリス、というかEUと各国は大いにケンカして、なんなら一度ガラガラポンしたらいいんじゃない♪
 な~んて思っちゃいましたね(笑)

 とか言いつつ、スコットランドと北アイルランド(もちろん、ウェールズも!)は、イギリスから独立をめぐって大いにもめてほしいなーなんて思ってみたり?(爆)
 とか言って、アメリカで起こった一連の事件見たって、国民が対立分断する状況で損するのは何より国民なわけで。

 そう。だから、怪談だって、面白くない怪談やホラーで損するのは怪談ファンなわけで、そこは円満に巧い着地点を見つけないと!(爆)





 ていうかー。
 2週間経って、イギリスの人は今どう思ってるんでしょうね。
 ニュースでは、経済的見通しの悪化とか、親EU派の人の話はそれなりに出てくるんだけど、肝心の離脱派の人たち。
 いや、だから、煽るだけ煽って責任とらない政治家の人たちじゃなくって。
 たとえば、ほとんどが離脱支持だったという漁業にたずさわる人なんて、今どう思ってるんだろ?
 ニュースって、何でそういうのやらないのかなーって思ってたら、あっ!そうだ。オレ、最近まともにニュース見てないんだっけって(爆)
 だって、N●Kとか、ニュース全然ツマンナイんだもん(笑)



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2016
07.03

怪談:16.7.3-その2

Category: 怪談話-番外

 そんな、「誰も知らないクラスメート」ですが、実は私にもひとつありまして。
 ただ、どうなのかなぁー。
 似ているような気もするし、似ていないような気もする。
 ほのかに甘酸っぱい味わいの、そんな「記憶」のお話です(笑)


 もう何年も前のこと。
 特に見るともなくTVを見ていたんです。
 ちょっと見ては、すぐリモコンでチャンネルを変える、そんな見方です。

 ふと、あるバラエティ番組に目が止まって。
 それは、その頃売り出し中のタレントが何人かが順番に出てきて、司会のタレントに生い立ちや、いままでのエピソードを話す番組でした。
 チャンネルをかえていて、その番組に出ていたある女性タレントに目がとまった瞬間、思わず声をあげてしまったんです。
 だって、その女性タレント、昔の友だちだったんです。

「えぇーっ!このコ、(────じゃんっ!)」
 しかし、実際に声になったのは、「あれっ!このコ、」まででした。
 そこから先の「────じゃんっ!」は声にならなかったんです。
 口がアウアウ言うばっかりで。

 なぜなら、「────じゃんっ!」の「────」の部分、つまり名前とそのコとの記憶がどうしても出てこなかったんです。
 それは、たんにど忘れっていうにはあまりに鮮明な記憶で。
 そのタレントを見て、「あれっ!このコ」と言うまではその名前も記憶も確かに存在していたんです(はずなんです)。
 なのに、「あれっ!このコ、」まで言って、次にその人の名前を言おうとした瞬間、記憶がどこかに消えてしまった。そんな感じなんです。

 頭の中で、その記憶が保管してある引き出しがどこにあるかもわかっているのに。その引き出しの取っ手をつかもうとする度、なぜかその隣や上下、あるいは斜めにある別の引きだしの取っ手を掴んでしまう…、みたいな感じ。
 あるいは、こう言ってもいいかもしれません。
 ドーナッツの穴みたいに、確かに存在しているんだけど、でも無い。 ←!?


 いやもぉTV番組なんて頭に入りません。
 画面に映るその女性タレントを見ながら、頭から記憶を引っ張り出そうと七転八倒です(笑)
「ほら、あの時だよ。あの時、ほら、──。
 ……、えぇぇっ!?」
 何度やっても同じです。
 そのコの記憶は間違いなくあるのに、なぜか具体的な記憶が頭の中で形作られる瞬間、その記憶はスルリとどこかに行ってしまう。
 イライラすると言ったらいいのか、ものすごく気持ちがワルイと言ったらいいのか。
 気がついた時、番組はとっくに終わっていました。


 ところが…
 ふいにある記憶が蘇ったんです。
 それは、思い出すのをあきらめて、もう寝ようとした時でした。
「そうだ!
 いつだったか、夕方。
 あのコの家に借りていた本を返しに行ったじゃん。
 玄関のとこで、しばらく話しして…。」

 玄関の横の壁にもたれかかったあのコは、クリーム色のリブのセーターを着ていました。
 ということは冬だったのでしょう
 そういえば、その時の記憶にある夕陽の感じは、立春をすぎ春らしくなってきた頃の色合いのようです。

「そう、あの時だ。
 家を出て、道を左に行って。
 3軒隣の家の角を曲がった坂の途中にある家。
 ちょっと洒落た感じの家で──。」
 しかし、そこまで思い出して、ふいにかき消されるように薄れていく記憶……

 気がついたんです。
 家を出て道を左に行った3軒隣には、曲がり角が無いことに。
 曲がり角があるのはもっと先です。
 なら、その実際にある角を曲がって、坂をあがった所にそんな洒落た家があるのか?

 いや、そんなものあるわけないのです。
 そこは、ずっと資材置き場になっているからです。



 人の記憶というのは、実は自分で思っているよりも全然あてにならないものなのだそうです。
 別の記憶を結合して憶えていたり、思い込みが全然別の記憶を創ってしまったり。
 時間が経てば経つほど薄れていくはずの記憶が、逆に細部にわたって鮮明に偽りの記憶を創りあげていくなんて、誰でも普通にあることなんだそうです。
 常識的に考えるならば、私のその記憶はそんな風に脳の中で別の記憶が結びついたりして出来てしまった偽りの記憶なのでしょう。
 とはいうものの、TVにその女性タレントが出てくると、今でも頭の中に形をなさない記憶のようなモノが蘇ります。
 それは、ほのかに甘酸っぱい味わいの記憶……

 …な~んて言った日にゃぁ、ちょっとアブナイ人になっちゃうか?(爆)



                 ―― 『誰も知らない、甘酸っぱい記憶(笑)』〈了〉


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2016
07.03

怪談:16.7.3-その1

Category: 怪談話-番外
 いろんなパターンがある都市伝説ですが、その中に「誰も知らないクラスメート」というのがあります。
 というか、ホントにあるかどうかはともかく、ま、個人的にスっゴク好きなんです(笑)

 それは、大人になって、あるいは卒業して何年も経ってから。
 学校でのあったある出来事を想い出していた時、その中にどうしても思い出せない友だちがいることに気づく。
 「あれ!?アイツって、誰だっけ?」と全然思い出せない。
 それどころか、「誰だっけ?」と言ってた時には、その思い出の中に何となく面影みたいなのがあったのに。思い出そうとすれば思い出そうとするほど、その面影すらぼわ~んと消えていく…

 思い出せないそのキモチ悪さに、その頃の友だちに電話してみると。
 最初は、「あぁあぁあぁ…」なんて懐かしそうな声を出していた友だちも。「名前、何ていったっけ?」と聞いた途端、逃げるように記憶が消えてしまう。

 2人でその思い出の場面にいたはずの友だちの名を1人1人あげていっても、なぜかその思い出せない友だちのとこにくると、そこだけなくなっている。

 そんな話を最初に聞いた(読んだ)のは、光瀬龍の本でした。
 光瀬龍というのは、もう亡くなってしまいましたがSF作家です。
 『百億の昼と千億の夜』の作者といえば「ああ…」と思い出す人も多いかもしれません。
 その光瀬龍の小説のひとつに『明日への追跡』というのがあったんですが、そのあとがきに書かれている光瀬龍本人の体験談がまさにそれだったんです。
 すごく面白いお話なんですけどねー。でも、『明日への追跡』は絶版でもぉ読めないんですよねー(泣)
 Kindle版はあるみたいですけど、はたしてあとがきもついてるのか?

 てことで、「あとがき」に書かれているあのお話が読めないのはもったいないってことで、ま、あらすじを書いてみようかと。


 
 光瀬龍が中学2年生の時、1人の男子がクラスに転校してくる。
 時、昭和19年。
 B29の編隊が東京をはじめ、あちこちに爆撃をするようになっていた。
 空襲を避けて田舎に疎開してしまった家も多いというのに、わざわざ東京の中学校に転校してくるというのも変な話だった。

 転校生は、無口で目立たないヤツだったが、ある日。光瀬少年は、何かの用事でその転校生の家に行った。
 中に入ると驚いたことに、「彼」の家の中はからっぽ。家具が全くなかった。
 空襲の激しかった頃だから、どの家も燃えやすい襖や障子、使わない家具などは外に出していたのだが、それにしても何もない。それこそ、台所に鍋や茶わんもないのだ。
 そんな何にもないガラーンとした家にあるものといえば、壁にかかった「彼」のカバンと帽子だけだった。

 11月の末で火の気もなくかなり寒かったのだが、光瀬少年は「彼」と20分くらい話していた時だった。
 突然、一人の少女が部屋に入ってきた。
 齢は13、4歳くらい。服装は他の人と同じモンペ姿だったが、とても美しい顔をしていた。
 そんな少女だったが、部屋に入ってくる時、奇妙なことに乳母車を押していた。
 もっとも、光瀬少年はそれが乳母車の形をしていたから乳母車と思っただけで、それが本当に乳母車だったのかは定かではないらしい。

 少女は「彼」の顔を見ていた。すると、「彼」が急に立ち上がって言った。
「もうじき空襲警報が出るから、早く帰った方がいいよ。」
 実は、光瀬少年はその時、突然現れた少女に驚いてポカーンとしていた。
 前にも書いたように、襖や障子は取り払われていた。だから、隣りの部屋は丸見えだった。なのに、少女は突然現れたのだ。まるで、その部屋と隣の部屋の境でパッと現れたかのように。

 そんな唖然としている光瀬少年に「彼」は言った。こんどは早口で。
「今日、この家に爆弾が落ちる。
 僕は学校をやめることになるかもしれないから、
 明日学校に行ったら、先生にそう言ってくれよ。」
 光瀬少年はわけを聞いたが、「彼」は答えようとしない。というより、時間が気にしながら、光瀬少年を追い出すように「さよなら」と言った。

 光瀬少年は心に引っ掛かるものを残しつつ自転車で家に向かったが、その途中で空襲警報が鳴った。
 その日の空襲は特にひどく、付近に何発も爆弾が落ちた。
 「彼」のことが気になってしかたなかい光瀬少年は、空襲が終わるとさっそく「彼」の家に向かった。
 しかし、そこには爆弾に破壊され崩れ落ちた残骸があるばかり。
 すでに、警察や消防団の人たちによって、遺体の収容作業が始まっていた。

 しかし、「彼」の遺体は見つからなかった。
 家の壊れ方からみて、爆発で体が四散するようなはずはないのだが、なぜか見つからなかった。
 どこかに避難したとも思われた。しかし、爆弾の落ちるちょっと前、縁側に立っていた「彼」を見たという人がいた。

 「彼」は、それっきり光瀬少年たちの前から消えた。
 近所で聞いても、長らく空き家だったその家に見知らぬ少年が出入りしてるなと思ってたと言うくらい。あの少女のことなど、当然知らなかった。

 光瀬龍は、「彼」の名前がどうしても思い出せないのだと言う。
 それは、同級生に聞いても同じ。誰に聞いても、「彼」という転校生がいたことは憶えていても、名前は「憶えてない」と言うばかり。
 まるで、記憶から誰かがそこだけ消してしまったかのように。

 そのあとがきの最後で、光瀬龍はこう書いています。
「私は時々思うのです。
 もしかしたらあの二人はまだ中学生で、
 どこかの中学校にもぐりこんでいるのではないだろうか?と。
 私たちには想像もつかないなにかの理由か目的で。
 それは、あなたのクラスかもしれないし、あなたのクラスの誰かかもしれません。」


 そんな「誰も知らないクラスメート」の記憶。
 まぁ~ね。
 ジュブナイルのあとがきのお話ですから、(サービスの意味で)不思議さを煽ってるみたいなとこもあるんでしょーけどね(笑)
 でも、「あ、それ、俺もある/わたしもある」っていう人、結構いるんですよね。
 それこそ、寄せ書きみたいな物的証拠もあるのに、誰に聞いても「この人って誰?憶えてない…」みたいに。

 それは、もしかしたらこれを読んでくださっているあなたにあるのかもしれません。
 あなたに記憶がなかったとしても、あなたの友人にはうっすらと記憶が残っているかもしれません。

 そして、今日もどこかで、彼らはふいに学校の親しい友人達に別れを告げちゃぁ、スルリ消息を絶っているのかもしれません。
友人たちから自分の記憶だけを消し去って……



                      ―― 『誰も知らないクラスメート』〈了〉


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2016
07.03

すてこて


 はぁ~…… 

 いやもぉ、あっづい………… 



 なんというか、今日は、ホント、「暑さに体がまだ慣れてない」っていうの、実感しちゃいましたねぇ……

 こぉ暑いと…、文字も、何かこう、スカスカにしたくなってくる、ていうかー。

 いや、ね。
 朝、起きた時は、それほど暑いとは、思わなかった、んですけどねぇ…


 それが…
 日が、昇るにしたがって、「うわっ!なんだこりゃ!?」って(はぁ~…)

 なんと言うか、まぁホント。
 先週の、イギリスのEU離脱、以来、ビックリしちゃった…
 みたいなー。

 はぁ~… 




 てなことばっか書いててもしょうがないんで、まぁ何ですよ。先週は、何故か頭がすてこてモードになってたみたいで。
 つい、しょーどー買いしちゃったんですけど、いや、すてこて。
 あれ、なかなか快適です(笑)
 この暑さを思えば、先見の明があったということか…

 薄地のコットンなんで肌触りがよくて涼しいのもさりながら、洗濯してもすぐ乾いちゃうとこがいいですねー。

 ただ、丈が膝下まであるんで。立ったり座ったりのたんびまとわりつくのがジャマで。
 この際、もぉちょっと短くしてくんないかなー。
 「短すて」とか、適当に名前つけちゃってさ(笑)


 すてこてといえば、昔、すてこてみたいな生地の下着のシャツ(おじーちゃんが着てたアレ)があったじゃないですか。
 アレも、今風に復活したらどうなんだろう?
 Tシャツはニットだから乾きが悪いけど、アレは早く乾くだろうからいいと思うんだけどなー。

 そうそう。
 そういう意味で言ったら、開襟シャツって、何で最近ないんでしょうね。
 最近流行りの襟の高いシャツって、あれ、襟が高いから熱がこもっちゃって。
 クールビズとかいって、全然クールじゃないんだよなぁ…(泣)

 その点、開襟シャツなら、首周りが解放されてるから涼しいし。
 下もウエストで切れてるから、さらに涼しいといいことずくめなのになー。

 ま、開襟シャツというと、昔の刑事ドラマに出てくる中年の刑事さんか、教頭先生(?)ってイメージが強いんですけど、すてこてみたいに今っぽい柄ならいけるんじゃない?(笑)

 今なんか某ユ●クロが売り出せば、たちまちそれがスタンダードになっちゃうんだからさ。
 来年あたりお願いできませんかねー、某ユ●クロさん(笑)
 あ。そーいえば、オレ。最近ユ●クロで買い物してないなぁ…(爆)



 で、買い物といえば、安物買いの銭失いというのが付きもの(憑きもの?)なわけですがー、またやっちゃいました(爆)

 洗濯バンカーが壊れたんで買わなきゃなーと思ってたら、たまたま行った店で安く売ってたんですよ。
 確か、100円弱…、というか、5、60円くらい安かったのかな?(笑)

 ピンチっていうんですか?
 いや、別に危機に瀕してたわけじゃなくて、あの、ほら、じゃらじゃらくっついてる洗濯バサミ。
 あれも42個ってあったんで、ならいいよねって買っちゃったんですけど、帰って見てみたら、「あれ!?これ、幅が狭くない?」って。

 比べてみたら、やっぱり狭くて。
 さらには、ピンチの場所によっては幅の狭いところもあったりで、そうそう!思い出した!前も、安さで買って。
 こんな風に幅の狭いとこがあったんで使いにくくて、結局買いなおしたんだっけって、後悔ひとしお。
 ていうか、もぉ大匙一杯くらい(笑)

 まー、とりあえず我慢して使ってるだけど、そうは言ってもこの季節だし。
 結局、買い直ししそうな予感だなぁ…(泣)

 毎度のことながら、買い物と国民投票はよく考えて!ですね(笑)

 ていうか、来週の参院選も、よくよく考えなきゃだぁーなwww
 え?都知事選挙もって? だから、それは都民の方だけ、ね♪(爆)







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