2016
03.27

ま、特にネタもないんで…



 ま、そんなわけで、ネタがない時は思い出しネタですね(笑)

 1ヶ月前くらいかな~。
 というか、今ってもぉ3月の終わり(ゲゲッ!)だから、もしかしたら2ヶ月くらい前か。

 休日に出かけて、夕方帰ってきて、家の傍まで来た時。
 側溝…、つまり昔風に言うとドブなんだけど、普段はコンクリートの蓋があるんで。その時あらためて、「あ、ここに側溝あったんだ」って認識したくらい。

 ま、つまり、家の傍まで来た時、側溝のドブ板(?)とドブ板がわずかに開いた隙間に、今まさにネコがもぐり込もうとしているのを目撃しちゃったわけです。

 そのネコ、スルスルスル~っと。
 そのわずかな隙間から側溝(だからドブね)に入ってっちゃったんですけど、ま、中が詰まっていたのか何なのか?
 中に入ってったものの途中で進めなくなったのか、ドブ板とドブ板の隙間からシッポだけがユ~ラユラ。

 例えて言うなら、ニョロニョロ(ムーミンのヤツね)が、ドブ板の隙間から1匹だけにょろしてるみたいな、そんな絵面(笑)
 でも、ソレはニョロニョロじゃないから、一見ドブ板の隙間からネコのシッポが生えているように見えると。

 そんな光景を見たら、ついイタズラしたくなっちゃっうのは、まぁ私だけではないですよね~(笑)
 その側溝から生えたシッポに、そぉーっと近寄って。
 シッポをつかむなり、軽く引っ張ってやったと(爆)
 いや。つかむのも、引っ張るのも、軽ぅ~くね。軽ぅ~くwww

 その途端、側溝の中から「ふんぎゃぁ~!」って。
 思わず、オマエはバケネコか!って言いたくなっちゃうような鳴き声がして、シッポは側溝の中に消えちゃったと(笑)

 いっや~、ネコって。ホンっト、楽しいですね(笑)




 というわけで、思い出しちゃったでついで(笑)

 会社の前の事務所は、東京の下町にあって。
 付近には個人の家も結構点在していて、その中には犬を飼っている家も多々あったんです。
 ま、私は犬好きな方なんで。
 大概の犬は問題ないんですけど、一匹だけ相性の悪い犬がいたと(笑)

 その犬ときたら、もぉとにかくその家のそばに近づいただけで、猛烈な勢いで吠えてくると。
 もちろん、つながれてはいるから、全然怖れる必要ないんですけど。
 でも、相手に1センチでも近づいて吠えてやろうと、前足が宙に浮いた状態になるまで鎖をピーンと引っ張って吠えるその様は、もう迫力のひと言。
 ましてや、いきなり「ワワワワンっ!」ですもん。思わず「わっ!」と飛びのいちゃいます。

 当時、夏冬それぞれに2回ずつ。計4回仕事を頼んでいた印刷屋さんがあったんですけど。その犬って、その印刷屋さんに行く細い路地の中ほどにある家で飼われてたわけです。

 最初の夏の2回は、とにかくそんな風にいきなり吠えられ、もぉビックリ。
 次の冬の1回目は、もう半年経っていたこともあり、そこにその犬がいたことすらすっかり忘れていたので、またもやビックリ。

 とはいえ、3回も驚かされればいい加減そこの家にはそういう犬がいると学習するわけですね。
 ま、一応こちらは人間なわけですから(笑)
 ということで、4度目に印刷屋さんに行く時、私は密かに復讐を胸に秘め向かったわけですよ。

 さて、いよいよ問題の犬がいる路地の入り口です。
 気配を悟られないように、とにかくそーっと近づいていく私。
 しかし敵もさるもの。こんなにそーっと近づいたのに、何やら獲物の気配を感じたみたいで。
 そう。聞こえてきたのは、あの犬が鎖を引っ張るガシャっという音。

 ここで先に吠えられたら、また私の負けになっちゃいます。
 犬ごときに負けるものかと私、もぉツツツーと、その犬のいる家のところまで足を早めましたよ。
 それは、その犬が今まさに吠えんと体を躍動させようとした、その瞬間でした。

「ワワワワンっ!ワワワワンっ!」
 もぉ思いっきり吠えてやりましたよ、私。その犬に!


 まぁそんなわけで、「ザマアミロ!」と(笑)
 もぉほんとスッキリだったわけですが、「えぇっ!?」というようなことが起きたのはその直後でした。

 たぶん、その犬。いつものように吠えようと構えていたんでしょうけど、まさか人から吠えられるとは予想だにしなかったんでしょう。
 よっぽどビックリしたとみえて、なんと、その場に固まっちゃったんです。

 いや、ホントホント(笑)
 その犬、何度も「ワン!」と吠えようと口を開きはするのですが。
 でも、そのたんび「ワン!」が、のどのところに詰ってしまうみたいで。
 目ん玉、もぉ真ん丸に広げちゃって、シャックリでもしているみたいに首から上をビクン、ビクンって動かすばかり。
 いやもぉ「ワン!」のワの字も出てきやしません(爆)

 それを見た私は、もう「ヤーイ!ヤーイ!」って。
 大笑いだったわけですが、でも、いきなり、カラカラカラーっと音がして。
 その家の窓が開いたんで、もぉビックリ。
 思わず、ヤバイ!逃げようかと(笑)

 ま、そこの家の人も、自分の家の犬がやたら吠えてうるさいっていうのは、やっぱり知っていたんでしょうね。
 だから、(ま、たぶん)吠えてうるさい時は、時々窓を開けて注意してたんじゃないかと思うんです。
 ただ、その家の人も、毎度毎度のことでいい加減イヤになってたんじゃないでしょうか。
 たぶん、窓だけ開けて。犬のことなんか見もしないで注意してたんじゃないかと思うんです。

 アルミサッシの窓が開くカラカラカラという軽快な音がして。
 中から聞こえてきたのは、の~んびりとした口調のオバサンの声。
 いやもうそれこそ、コタツに入ってお茶菓子でもつまみながら、口もぐもぐ状態で声出してるって感じの声です(笑)
「うるっさい!ぺス。静かにしなさい。」
 その声、終わるより早く、カラカラバッチン!と窓、閉まっっちゃったと(爆)


 しかしです。
 それって、私、ちょっと納得いきません。
 吠えたのは私です。でも、私はペスじゃありません。
 「オ、オレはペスじゃねーよ…」って思いながら、ふと、犬(ペスくん)を見たんです。

 どこか悲しげな表情で、開いた窓の方(飼い主のいる方)を見ていた、その犬(ペスくん)。
 私の方に向き直ると、おもむろに顔をつきだして「えぇーっ!?」っていう表情で口をアングリ。

 いやホントホント。一切作り無しです。
 犬(ペスくん)ときたら、視線を飼い主のいる部屋の方と私の方を、何度も行ったり来たり。
 「なんだよそれ?全然納得いかねぇーんだけど…」って感じのその表情ときたら。

 いっや~、イヌって。ホンっト、楽しいですね(笑)
 


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2016
03.27

怪談16.3.27②

Category: 怪談話-番外

 法事や葬式みたいな親戚が集まる時というのは、ご先祖さんにまつわる面白い話が聞ける時でもあります。
 狙い目は、酔っぱらっちゃって顔を真っ赤っかにしている叔父さんあたり。
 いったん話を向けようものなら、もぉ止まらない、止まらない。
 歴史上のあの人物とご先祖さんがつながっていたり、講談に出てくる豪傑みたいな人が登場してみたり。
 いやもぉそれは講談さながら、スんゴイ話がポンポン飛び出してくるものです(笑)

 もちろんそれらは、親戚が集まった酒の席で代々語り継がれてきた、原型を留めないくらい眉唾ベッタリの「お話」なんですね。
 ま、それはそれで楽しみではあるんですけど、でも…
 「ねぇ、その話。いつだったか聞いた時よりオーバーになってな~い?」なんて(爆)

 とはいえ。
 そんな真っ赤っかな顔の叔父さんが話す横から、「そういえば…」なんて出てくる話には、思わぬ拾い物があったりするものです。
 そこには、当然怪談めいた話もあるわけで……



 A子さんの旦那さんの実家から訃報がきたのは、秋ももう押し詰まった頃だった。
 亡くなったのは、旦那さんの従妹にあたるZ子さんという人。
 受話器を置いた旦那さんから、それを聞いたA子さん。
「えぇっ。あの人って、わたしと同じくらいよ。」
「うん。自殺…。自殺だってよ。」
「えぇーっ!」
 旦那さんの実家には遠かったせいもあって、年に一回行くか行かないかという程度だった。
 当然、亡くなったそのZ子さんと頻繁に顔を合わせていたわけではなかった。
 ただ、A子さん。Z子さんは齢が近かったこともあって、向こうに行った時は話をしたりしていた。


 旦那さんのB男さんの実家は、東北の北の方にある山村だった。
 季節は晩秋。
 さいわい雪の多い地方ではなかったが、それでもかなり寒いんだろうなとA子さんは覚悟して出かけたらしい。
 しかし、東京で生まれ育ったA子さんにとって、その寒さは想像以上だった。
 ただ、それは、駅に迎えに来てくれた旦那さんの従兄弟のC雄さんから、その自殺の経緯を聞いたことも大きかったのかもしれない。

「の、農薬っ!農薬を飲んだのか。」
「農薬って、ほら――。」
「知ってる。とんでもないくらい苦しいんだってな。」
「いや、苦しいも何も…。
 農薬って、死ぬまで何日も意識がハッキリしてるらしいんだ。
 Z子も5日間、もう苦しんで苦しんで…。
 苦しみぬいて、やっと死んだらしい。」
「そんな…。あのZ子さんが…。」
「しかし何で?Z子は何で…。」
「うん…。」

 Z子さんの家は、旦那さんの実家から畑の中の砂利道を10分ほど行ったところにあった。
 季節柄なのか、鈍色の下、鳥の1羽すら飛んでいない寒々しい風景。
 そんな色が無くなったような光景の中。小さな林を曲がった所で、ふいに。
 お葬式の装いを纏った家の前に灯る提灯を見た時は、A子さん、思わず肌が粟立つものがあったと言う。
 後になって思えば、それは何かを察知していたのか…


 B男さんの実家の屋敷ほどではないにせよ、Z子さんの家も農家だったからそれなりに大きかった。
 B男さんの後から入ったそこは、裸電球一つのぼわんと暗い土間。
 障子がさーっと開いた座敷からこっちを向いた、知っている顔、知らない顔。
 挨拶するB男さんの後を、頭を下げながらそっちに行くと、それらの人越しに襖を取っ払った座敷が見えてきた。
 親戚たちがいる座敷の向こうに、襖を取っ払って続いている座敷。
 さらにその向こうに見える座敷の一番奥。
 顔に真っ白い布をかけられ横たわっていた、Z子さんの姿…

「この度はなんと…。」
「A子さんも、遠いとこよく来てくれたねぇー。」
「ずいぶん早かったなぁ、B男。えぇ、東京からだろ?」
「うん、朝一番の新幹線に乗った。
 C雄さんが新幹線の駅まで迎えに来てくれたから早く来れた。」
「そうかぁー。」
「さ、B男もA子さんも上がって。
 Z子にお線香あげてくれよぉ…。」

 そう言ってZ子さんのお父さんとお兄さんが、A子さん夫妻を奥まで導いてくれる。
 根太が傷んでいるのだろう。所々足が沈む座敷を静々と歩いていくと、Z子さんが眠っている所にたどり着いた。
「……。」
「……。」
そ れは普通に布団の中にいるのに、でも石のように絶対動かない。
 B男さんもA子さんも、もう何も言えなかった。
 ただただ、線香をあげて祈るだけ。
 今の今まで普通に話していたZ子さんのお父さんとお兄さんも、顔を伏せ、肩を震わせている。

「はぁー…。」
 大きくため息をついたB男さん。
 さらに思い切るように一つうなずいて、Z子さんのお父さんとお兄さんに向き直った。
「何で…。いったい何で…。」
「うん。」
 肩を震わせたまま、そう言いよどむ二人。
 二人のその様子を見て、A子さんは慌ててB男さんの袖を引く。
「ねぇ。今はそういう…。」
「あ、そう…、うん。」
「……。」
「すみませんでした、叔父さん。
 でも、俺、Z子とは子供の頃よく一緒に遊んでたもんだから…」
「あぁぁ…。そうだったっけなぁ…。」
「すみません。顔、見させてもらっても…。」
「っ!」
 うつむき加減に話していた二人の顔がさっと。
 上がったその顔にさっと浮かんだ、狼狽するような表情。
 でも、それはすぐに元の悲しげな顔になって。
 Z子さんのお父さんは、観念でもしたかのように口を開いた。

「話は聞いてるんだよなぁ?」
「ええ。ある程度は…。」
 そう言ったB男さんの目を、一瞬ぐいと覗きこんだZ子さんのお父さんの目。
「情けない話なんだけどなぁ。
 Z子はなぁ、おっかねぇ顔になっちまったんだよぉー。」
「え…。」
「うん。そうだったなぁ、B男。
 B男は子供の頃、Z子とよく遊んでたっけ。
 そうだよぉB男。お前からも、Z子にお別れの言葉を言ってやってくれよぉ。」
 そう言うなり、顔を向こうに嗚咽を漏らしているZ子さんのお父さんの背中。そんなお父さんの肩を抱くようなお兄さんの背中も、やっぱり震えていた。

「あなた…。」
「うん。俺、Z子とはさ、子供の頃よく一緒に遊んだんだ…。」
 そう言って、顔にかかる白い布をそっと上げたB男さん。
「うっ!」
 白い布の下にあったその顔は、Z子さんと仲が良かったB男さんでさえ声を上げるのを抑えられなかった。
 そんな旦那さん、たちまちA子さんの方に向き直って。
 まるで「オマエは見ない方がいい」とでも言うように、A子さんの両肩を掴んだのだが。
「っ!」
 それは、一瞬。それも、正面からではなかった。
 でも、「おっかねぇ顔になっちまったんだよぉ」というそれを、A子さんもはっきり見た。

 逆に声も出なかった。
 息を呑んだっきり、しばらくそのまんま。
 頭の中にその映像が張り付いたみたいに、別のものが一切思い浮かべられない。
 まさにそれは、Z子さんのお父さんが「おっかねぇ顔になっちまったんだよぉ」と言ったそのもの。


 お通夜も終わって。
 いや。お通夜というと、普通は意外と賑やかなものなのだが。
 でも、仏がまだ若くて、しかも死に方が死に方だけに、誰もが言葉少な目だった。
 それは、「おっかねぇ顔になっちまったんだよぉ」というそのことを、誰もが知っていたというのもあったのだろう。
 お通夜が終わった今、線香を絶やすまいと奥に行っても、誰もがすぐに足早に戻ってくるのをみてもそれは知れた。
 A子さん自身、申し訳ないとは思いつつ。でも、怖くて怖くて居ても立っても居られない。
 出来るなら、一刻も早くこの家から出ていきたい。
 そう。Z子さんは、そのくらい恐ろしい顔で眠っていた。

 そんな中…
「葬式に来る人に出す食事を作ったり。
 明日からは色々やってもらわなきゃならないんだからよぉ。
 今日のところは、女たちは子供を連れて家に戻ったらどうだぁ。」
 そう言ったのは、B男さんのお父さん。それは一族の長の言葉だけに、そこにいた誰もが「そうだな」とうなずくことになった。
 いや。というよりは、今夜一晩でも子供をここにおいといたらいけないと、誰もが感じていたのかもしれない。

 A子さんも、旦那さんの実家に戻ることとなった。
 内心ホッとする気持ちを抑えつつ。じゃぁと、Z子さんのところに線香をあげにいくと。
 来た時はただただ悲しいだけだった、布団で眠っているZ子さんの姿なのに。今は、自ら顔の白い布をとって起きあがってきそうで、気味が悪くて堪らない。
「Z子はなぁ、おっかねぇ顔になっちまったんだよぉー」
 蘇ってきた空耳に、体がぴくんとはねた。
「大丈夫?A子さん。
 朝早くからこっち来たもんだから疲れてるんじゃない?」
 見れば、それはC雄さんの奥さんのD子さん。
 その後ろ。D子さんの体に隠れるようにしてこっちを見ている、その子供たち。
 その怯えきった目でこっちを見ているのを見ればわかる。
 まさか直接は見てないのだろうが、それでも大人たちが話していることを聞いて何となくはわかっているのだろう。
 「おっかねぇ顔になっちまったんだよぉ」という、それを…


 家を出ると、そこは真っ暗。
 山村は、もうすっかり真冬の夜気に包まれていた。
 それは、まるで夜気が足を伝って体の中に入ってくるような…。
 A子さんは、それでも今いた場所よりまだいいと思った。
 それは、子供たちも同じなのだろう。
 中にいた時は、どの子もひとっ言も話さなかったのに。でも今は、子供同士ボソボソ何かおしゃべりをしている。
 もしかしたら、農村の夜というのは真っ暗でも意外と遠くまで見渡せるという、無意識の安心感もあったのかもしれない。

 その時その場にA子さんと一緒にいたのは、B男さんの実家の女性たちと子供たち。
 つまり、A子さんとD子さん。さらに兄弟の奥さんが三人と子供たち。
 子供たちの中には、Z子さんの家の子供もいた。
 そして、もう一人。まだ結婚してなかった、B男さんの兄弟の末っ子E子さんもいた。

 そんなE子さんが「あっ」と声を上げたのは、歩き出したから5分も経ってない頃だった。
「もうっ。驚くじゃない。急にそんな声あげて。」
 D子さんがちょっと怒ったような口調で言うと。
「あ、ごめん…。」
 そんな、みんなの視線に気がついたのだろう。E子さんは、子供たちを含めみんなに照れ笑いをしながら謝った。
「わたし、忘れ物しちゃった。
 ちょっと待っててくれない。さっと取ってきちゃうから。」
「そんな忘れ物なんて、明日でいいじゃない。
 どうせ明日も朝早くから行かなきゃならないんだから。」
 なにもまたあそこにもどることもないじゃないと、そこにいる誰もがE子さんを見ている。
「あ、そうか…。
 でも…、うん。さっと行って、さっと戻ってくるから。
 置き忘れた場所もわかってるし、すぐよ。
 ね?ちょっと待って!」
 そう言うなり、E子さんはさっと身をひるがえすように。
 みんなの返事を待つことなく、もと来た道を走って行く。

 桑畑の影に消えてしまったその後姿。
「ふふっ。E子ちゃん、さっすが若い…」と、A子さんが笑うと。
「もぉ…、ねぇ」と、D子さん。
 他のみんなも思わずクスっとしたその時だった。
「きゃーっ!」
 それはE子さんが今駆けて行った、まさに桑畑の向こう。
「っ!」
 この冬の夜に氷水でも背中に浴びせられたような感触に、そこにいた誰もが声にならない悲鳴をあげる。
「……。」
「……。」
 言葉が出ないまま、誰もが誰もの顔を見合わせた直後。
 目を見開いた顔のまま、D子さんが言った。
「A子さんは私と来て。あとは子供たちをお願い!」
 言うより早く、D子さんの手が伸びてきてA子さんの手をぎゅっと。
 「っ!」と、A子さんは再び声にならない悲鳴。
 気がついた時はD子さんと走り出していたのは、手を引っ張られたから体が動いたののか。それとも、「A子さんは私と来て」という声に体が反応したのか。

 D子さんに手を掴まれたまま走るA子さん。
 その手は、ぐっしょりと汗に濡れている。
 そう。D子さんだって、怖くて堪らないのだろう。

 そんな二人の目に飛び込んできた、道の真ん中で倒れている人の姿。
「E子ちゃんっ!」
 パッと離れたD子さんの手。それを追いかけるA子さん。
「どうしたの、E子ちゃん。大丈夫。」
「E子ちゃーん!E子ちゃーん!」
 E子さんを抱え上げた二人は、体を揺らしたり、頬を叩いたり。
 そんなE子さんが、「う、うーん」と唸る。
「E子ちゃんっ!」
「大丈夫?E子ちゃん。」
 二人の声にぼんやり開いたE子さんの目。
 でも、その途端「きゃーっ!」っと悲鳴。さらに、二人から逃げ出そうとするかのように、体を激しく揺する。
「E、E子ちゃん!わたし、わたしよ!」
「大丈夫だからE子ちゃん。ね、大丈夫。落ち着いて」
「きゃーっ!きゃーっ!」
 なおも狂ったように叫び、激しくもがくすE子さん。
「どうしたの、わたし、わたしよ。大丈夫、もう大丈夫」
「E子ちゃん!E子ちゃん!」
 二人だと、やっとわかったのか。
 ワーっと叫んだE子さん。そん途端、二人にぐっとかかってきたその重み。
し かし、「何があったの?」と聞いても。E子さんは、D子さんの胸に顔をうずめ、泣きじゃくるばかり。

「お姉さ…。ちょっと、お姉さん」
 それは、ちょっと離れた所から不安そうにこちらを見ていた、子供と待っていたはずの一人。
 聞こえてきた泣きじゃくるE子さんの声に、さすがに不安になったのだろう。
 D子さんは、そんな彼女に「子供たちの所で待つように」と。
 さらに、A子さんには「D子さんの家に行って、クルマを出してもらうよう頼んできて」と素早く言った。


 そんな不穏な夜も、やっと明けた。
 まだ雲も多かったが、今日は東の空に陽射しが見えた。
 雨戸を開けて。家の中に陽の光が入ってくると、やっと人心地がつく思い。
 そういえば、E子さん。
 あの後は家に戻っても、泣き叫んでいたかと思えばすすり泣き。すすり泣いていたかと思えば、今度は悲鳴をあげて泣き叫ぶ。
 何があったのか聞いても泣いて首を振るばかりで、何一つわからない。
 そんなE子さんも、さすがに泣きつかれたのか。今は、なんとか布団で眠っていた。

 その日は、Z子さんの葬儀の日だった。
 本当なら、誰もがすぐにでもZ子さんの家に行って、いろいろ手伝いをしなきゃならない。
 なのに、そこにいる全員、誰一人腰が上げられないでいた。
 もちろん、昨夜のその騒ぎということもあった。
 ただ、それ以上に、纏わりつくようにずっとある恐怖の感情がA子さんたちを動けなくさせていた。
 でも、それはA子さんたちだけではなかったのだ。
 そう、考えてみれば。
 葬儀の日の朝だというのに、Z子さんの家から「早く手伝いに来い」と言ってこないことに、その異常さが現れていた。


 A子さん、実はその後の経緯は、ハッキリ順序立てて憶えているわけではないと言う。
 ただ、その異常な出来事を最初に聞かされたのは、葬儀の日だというのに戻ってきたC雄さんとB男さんからだった。

 そのC雄さん。
 昨夜、クルマでA子さんたち全員を送って、Z子さんの家に戻る時。
 家の前を歩いていたZ子さんと、バッタリ鉢合わせしてしまったのだと。
 そのあまりの恐ろしさに。Z子さんの家の庭に粟食ってクルマを突っ込むように停めれば、もう一台のクルマから飛び出してきた弟も血相変えている。
 逃げ込むようにZ子さんの家に入った二人を待っていたのは、みんなの引きつった顔。
 さらに…
「お前らも見たのか」という言葉だった。

 その後。
 C雄さんたちは、D子さんたちにそのことを知らせるべきかずいぶん迷ったらしい。
 でも、あえて何も知らせない方がよいのではないかと。
 その夜は、それでなくとも誰もが理由のわからない恐怖を感じていた。
 それも、異常なくらいの。
 そんな夜にそんなことを聞かされたら、恐怖に囚われて何をしでかすかわかったもんじゃない。
 なら、まずは朝を待とうということになったらしい。


 C雄さんとB男さんがそのことを話す部屋には、A子さんとD子さんがいた。
 そして、もう一人。その部屋の隅では、E子さんが眠っていた。
 C雄さんもB男さんも、やっと眠ったというE子さんを気遣って、小さな声で話していたのだが…

 C雄さんが話すその異常な出来事を、半ば茫然と聞いているA子さんとD子さん。
 そんな二人の耳に入ってきた、微かな声。
 秋も終わりとはいえ、窓からは意外に強い日差しがそそいでいるというのに。途端に怖気立った背中。
「え…」
 まさか、そんな…と、辺りを無意識に見回していた四人の目が合った時だった。
 わーっと。
 叫ぶように泣き出したE子さんの声に、4人は飛び上がった。
 そして、しゃくり上げながらE子さんが語ったこと…

 それは、やはりそうだった。
 そう、あの時。
 E子さんが忘れ物を取りに戻った時…

「うん。さっと行って、さっと戻ってくるから。
 置き忘れた場所もわかってるし、すぐよ。
 ね?ちょっと待ってね!」
 D子さん何か言う前にと、駆けだしたE子さん。
 そんなE子さんの目に映るのは、今は葉のない桑が広がる畑。
 その剪定されごつごつした幹が、夜より黒くカラカラと連なる様。
「わっ」
 つまづきかけたE子さん。駆けるのを止めて歩こうと、ふと見た道の向こう。
「…!?」
 真っ暗な空の下、黒々と見えてきたZ子さんの家。
 やっぱり黒く沈んでいる生垣の横を、向こうに歩いて行く人の姿…
「あれ?え、誰…」
 E子さんの口が、ぽつりとつぶやいた時。
 すぅっと振り返った、人の姿。
 それはその家…、そのZ子さんの家の人。
 小さい頃からよく知ってる……
「えっ。Z子さ――。」
 そのことに気がついたのが早かったのか、それともその振り向いた顔に目がいったの早かったのか。
「きゃーっ!」
 それは、奥の座敷に眠っていたZ子さんにかかる白い布をとったあの顔。
 そして、ソレは一瞬E子さんの方にどーんと寄ってきて。
 でも、急に踵を返すように。暗がりの向こうに駆け去っていった、その白い後姿……



 その後。
 A子さん、旦那さんの実家には10年以上足が向くことはなかったと。
 もう怖くて、怖くて、怖くて、怖くて…
 あんなに怖いことがあるものかというくらい、とにかく怖くて行けなかったんだと。

 でも。あれから何十年も経った今は、怖いというよりは、むしろ哀しい気持ちの方が強いと言う。
 それはもちろん、亡くなったZ子さんのこともそうなのだが…。
 というより子を持つ今では、あの時、Z子さんのお父さんが口にした「Z子はなぁ、おっかねぇ顔になっちまったんだよぉー」という、あの言葉。
 あの言葉が哀しくて堪らないんだと。
 自分の娘をそんな風に言わなければならないその胸の内を思うと、今でもやるせない気持ちでいっぱいになるという。



                             ―― 『山村にて』〈了〉


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2016
03.27

怪談16.3.27➀

Category: 怪談話-番外
 昔、昔の3月、友人と北八ヶ岳に行った時のこと。
 それは、白駒池にベースキャンプを張って。
 近くの山小屋でクロスカントリースキーの板を借りて、3日間くらい辺りを楽しんで。その後は、黒百合平に移動して天狗岳を目指すというご機嫌な計画だった。

 しかし、その冬は大雪で。例年だったら膝下程度という雪が、深いところでは胸の上までくる始末。
 そんなわけで、時間を大幅にオーバー。やっと白駒池畔にテントを張ったのは3時半くらいだったと思う。
 
 そんな大変な1日だったが、夕食も終わって。お茶を飲みながら友人とおしゃべりの後、寝ようかとなったのは9時半頃だったか。
 テントの外に出れば、雪はいつの間にか止んでいて、風もない。
 空には、真っ白な月が冴え冴えと輝いていた。
 凍って雪原となった白駒池は、その光を受けて真っ青。
 その周りに広がる針葉樹の森は、藍色から闇のグラデーション。
 そのファンタジー映画さながらの光景に、私と友人は声もなく、ただただ突っ立っているばかり。
 冬の八ヶ岳だというのに、ホンっト何の音もなかった。

「なんか、妖精でも出てきそうだなー。」
「うん。いまにも雪の女王の歌声とか聴こえてきそうだよなー。」
 まさに、そんな冗談を言っていた時だった。

 ♪Uhu~~~~ ♪Uhu~~~~ ♪Uhu~~~~ 
 それは、どこからともなく。
 女性の歌う声が聴こえてくる……

「へっ!?」
「えっ!?」
 思わず顔を見合わせてしまった私と友人。でも…
 ♪Uhu~~~~ ♪Uhu~~~~ ♪Uhu~~~~ 

 耳を澄ますと、間違いない。それは聴こえてくる。
 それは、どうやら目の前の雪原と化した白駒池の向こう岸、その針葉樹の森の奥から聴こえてくるような…
 そう。木と木の間にある藍色の闇の彼方から……

「な、何だ、アレ!?」
「ゆ、ゆ、雪の女王!?」
 しかも、その歌声。だんだんハッキリ聴こえてきているような。
 えっ。もしかして、こっちに近づいて来てるということか……

 厳冬期の北八ヶ岳の夜。
 おそらくマイナス10度ほどの気温だったはず。
 しかし、私も友人も寒さなんてこれっぽっちも感じなかった。
 ♪Uhu~~~~ ♪Uhu~~~~ ♪Uhu~~~~
 恐怖の歌声は、やむことなく続いている。
 それは、この青に染まった白駒池とその周りの森で、何かを探すようにひたひたと……

 たぶん、今までの人生で一番ヤバイ状況であるのは間違いない。
 そんな時、思い出したのはそこから十分くらいのところにある山小屋。
 一刻も早く人がいる場所に逃げないとヤバい!と考えていた時だった。

 ♪Uhu~~~~ ♪Uhu~~~~ ♪Uhu~~~~

「…!?」
「うん!?」
「はぁ?」
「な、なんじゃこりゃ?」
 三たび顔を見合わせる私と友人。
 その表情には、お互い「?マーク」が無数に浮かび上がっていた。

 だって、その歌を知ってるんだもん。
 気がつけば私も友人も、思わず一緒に口ずさんでたくらい。
 それは、なんとその頃流行っていたアイドル歌手の曲だった。
 雪の女王は、たぶん…、いや、絶対っ!アイドル歌手の歌なんて歌わない。


 事件の全貌が明らかになったのは、次の日、山小屋にスキーを借りに行った時だった。
 聞けば、昨日の昼間に小屋の掃除をしていたら、壊れたラジカセが出てきたんだと。
 夜になって、いじっていたら、ちゃんと鳴りだした。
 山小屋の親父さんは、そこではたと思いだした。
 あー、そういえば、今夜は対岸にテントの学生さんが2人いたっけ。
 この寒空にテントで2人じゃ、さぞ寂しい思いをしてるだろう。
 そうだ!
 というわけで、山小屋の親父さん。あの寒い中、わざわざ窓を開けて。
 対岸のテントの私たちに向けて、ラジカセを大音量でアイドル歌手の歌声を流していたんだとか(笑)

 そう。あの時のあの光景っていうのは、そんな山小屋の親父さんの(意味不明な)サービスですら、雪の女王の歌声に聴こえてしまうほどファンタジックだったのだ。


 そうそう。
 そういえば、私たちが黒百合平に移動する前の晩のこと。
 親父さん、「泊まってけよ。タダでいいから」と小屋に泊めてくれたのは、その一件のせいもあったのか?(笑)
 とはいえ、あの大雪の夜、小屋の中で暖かい布団にくるまって寝れたのにはホントありがたかったです。
 実は、次の日の朝、雪降ってる最中にテント撤収するイヤだなぁ~って結構憂鬱だったんです。
 ま、今さらですけど、あらためてお礼を言わせてもらいます。



              ―― 『オレと雪の女王(あと、山小屋の親父さん)』〈了〉


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   ちょっと剣呑で、ゴメン(^^;)
 

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2016
03.21

あー…



   春ですねー

   ポカポカですねー

   ウグイス鳴きまくってますねー

   桜なんてもんも咲きましたねー

   そうそう。

   ついでに花粉症も咲いちゃっいましたねー


   あー…





      春になると、なぜかポテトチップスが食べたくなります。
      いや。それは今年だけの衝動なのかもしれませんけど、
      とりあえず今はポテトチップスと食べ食べブログしています。

      だから、キーボード。
      後で掃除しないと、絶対ヤバいと思います(笑)

      あー…


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2016
03.21

怪談16.3.21

Category: 怪談話-番外

 それは、終電かその1本前くらいで帰宅し夜のこと。
 とりあえず風呂に入って、頭を洗おうとしていた時だった。
 シャンプーを泡立て頭をゴシゴシしだしたら、急に怖くて堪らなくなった。

 どういうことなんだか、さっぱりわからない。
 とにかく、ただただ堪らなく怖い。
 そのわけのわからなさに、慌ててシャワーで泡を洗い落として、周囲を見回した。

 何にもなかった。
 自分の家だ。そんな不穏な何かがあるわけない。
 目が見える状態になって辺りを確認してみれば、つい今感じていた怖さなんてどこへやら。きれいさっぱり胡散無償。
 型板ガラス(型模様のついたガラス=曇りガラス)の窓も、外の暗さを透かして、ただ真っ黒なだけ。
「何だったんだ。今のは…」

 ところが、また目を瞑って頭をゴシゴシやりだすと…
 怖い!
 もう堪らなかった。
 言いようのない怖さが、次から次へと湧いてきて、気持ちがどうにも押さえられない。
 もう、シャワーをかけるなんて、まどろっこしいことやってられなかった。
 風呂のお湯を適当にザバザバ何杯かかけ、風呂から飛び出して。
 脱衣場で着替えとバスタオルをひっつかむと、びしょ濡れのまま一目散に台所に逃げ込んだ。

 台所でホッと一息ついていると。
 振り返れば、それは風呂から続く廊下の濡れた足跡。
 相当慌てていたのだろう。
 風呂の電気は点けっぱなし。さらには、風呂の戸まで開けっぱなしで、その薄暗い廊下に湯気が明りにモワモワ照らされていた。

「あー、ヤバイなぁ…」
 濡れた足跡は、そのままにしておくと染みになる。
 風呂の戸だって閉めないと湿気てしまうのでマズイのだが、今すぐというのはちょっと…
 風呂場に行くのが、なぜかどうしてもイヤだった。

 とりあえず、落ち着こうと。椅子に座って、冷蔵庫から冷たい飲み物を出して。それを飲みつつ、タオルで頭を拭きながら「何なんだろ?今の感覚は?」って思っていたら。
 ふっと。なぜか台所の窓が気になった。

 台所の窓は、風呂の窓と同じく家の裏に面していた。
 当時住んでいた私の実家は、丘の斜面にひな壇のように広がる住宅街の一番下にあった。
 だから、裏の家はウチよりも一段高くなっているのと、また、庭木やら物置やらもあって、そこは夜になると真っ暗だった。
 ちなみに、裏の家は、泥棒に何度か入られているのだが。
 どうも、泥棒はまず私の家の裏に忍び込んでから、裏の家の様子を窺った上で侵入していたふしがあるくらいだった。
 あの怖さの正体って、えっ!もしかして泥棒!?
 げげっ!
 そぉーっと窓のそばに移動した私は、何か物音がしないかと耳を澄ませる。
 しかし、窓の向こうからは真夜中の静けさが伝わってくるばかり…

 その時、窓に虫が…、そう、ちょっと大きめ蛾か何かが、貼り付いたような気がした。
 型板ガラスみたいな模様入りのガラスは、遠くは見えないんだけど、それが窓に貼りついたり近くにくるとボンヤ~リと見える。
 だから、その虫を追い払おうと窓を叩いたのだ。
 こぶしで、結構力入れて、ドン!と。

 その途端。
「ギィェェェーーーーーっ!」
 窓の外から上がった女の絶叫。
 それは、女の声にしてはやけに野太く、その野太さゆえにとても野卑に聞こえた。

 そんな予想だにしない展開に、その場に固まってしまった私。
 しかし、その後の展開は、さらに予想を超えていた。
 台所の型板ガラスがはまった窓のすぐ向こうにボンヤ~リ見えたのは、額のところでまっすぐ髪を切りそろえた日本人形。
 それが、中空で長い髪と着物の袖を振り乱して、のたうちまわっているのだ。
「っ!?」
 それは、何がそんなに苦しいのか。中空でのたうちまわりつつ、窓ガラスにカツンカツンとぶつかってくる。
 そうやって窓にカツンカツンと音をたてながら当たる度、人形の表情がガラス越しにハッキリ見える。
 それは、もう表情というより形相と言ったほうがぴったりな、苦しそうな、そして憎々しげな表情で…
 さらに、そうしている間にも続く、野太い野卑な女の絶叫。

 いや。ここから先は、ちょっと話しにくい。
 が、しかし、まさかここで終わらすわけにもいかないだろう。
 窓ガラスの向こうの、その到底信じられないような異常な事態に、私はもう堪らず大声をあげていた。
 それは、ホント無意識だった。
「わぁぁぁーーーーーっ!!!」
 その自分でもビックリするくらいの大きな声。

 そのあまりの大声に、飛び起きちゃったと。
 それこそ、布団を剥いで立ち上がっていたくらいだから、その声がいかに大きかったかだ。
 つまり、あんなにリアルに怖い夢をみたのは、後にも先にもあれっきり…というお話。



 そんな、禁断の夢オチの後に、また就寝中の怪異を語るというのは大いに気がひけるのだが、それはある蒸し暑い夏の夜のこと。夜明けまであとわずかという時刻のことだった。

 寝ていて、ふと意識が半覚醒した。
 いや、ふとというのは間違っているかもしれない。
 半覚醒したのは、明らかに異常を感じた…、というよりは、身の危険を感じたからと言ってもいいかもしれない。
 さっきから、冷たい何かが私の顔を撫でてる。
 ぬらぁ~、ぬらぁ~、ぬらぁ~っと…
 そして、それはこうしている今も撫でて続けている。
 ぬらぁ~、ぬらぁ~、ぬらぁ~っ。

 手だった。
 顔に、のったりと力なくあたるその触感でわかるのだ。
 ぬらぁ~、ぬらぁ~っと冷たいそれが、私の口元、鼻、目、額へと力なく撫でていくその度、一本一本の指が顔の輪郭に纏わりつくように動いているのが感じられる。
 しかし、怖くて目を開けられない。
 でも、開けないと何をされるか……

 意を決した私は、顔を撫でるその手から逃れようと、体を横に素早くスライドさせた。
 そして、勇気を奮い起こして目を開けようと…
 でも、何も見えない。
 だって、そのぬらぁ~、ぬらぁ~っと顔を撫でる手は、顔にペタンと貼りついて。私のことを逃すまいとくっ付いてくるのだ。
「うっぅぅぅー。」
 もう怖いなんて言ってられなかった。
 反射的にその手を右手でパッと払った。
 しかし、ソレを右手でを触れた時の、その何とも表現のしようもない冷たさときたら…
 
 ソレからやっと逃れたと思った私だったが、でも、それは甘かった。
 ソレは顔からは離れたものの、今度は私の左肩をガッチと掴んできたのだ。
 その、左肩にズッシリと感じられる重み。
 重さからいって、それは手だけの重さではない。
 おそらく腕も…、いや、もしかしたら、その上もくっついているのかもしれない。
 不気味に笑った顔が、私の目の前に今にも……

 あまりの恐怖で声なんか出やしない。
「ハぁあーっ、ハぁあーっ」って。声にならない声が喉の下の方で擦れるばかり。
 左肩を掴むその冷たい手からなんとか逃れようと、壁の方に逃げる私。
 しかし、その冷たい手は、左肩とガッチリ掴んで離さず、私の動きにピッタリついてくる。
 背中が壁について、もうこれ以上逃げられないと知った時、私はおそらく観念したのだろう。
 もう逃げていてもしょうがない。その追ってくるソレをきっちり見極めようと、カッと目を開いたのだ。

 目に映ったのは、障子から透けるぼんや~りとした外の光に青黒く浮かび上がった部屋の中。
 その青黒いモノトーンの中に浮かぶのは、グシャグシャになった布団、そして暗く沈んだ部屋の隅。
 部屋の中は、意外なくらいシーンと静まり返っている。
「…!?」
 あの冷たい手の主は、いったいどこに……
 その時、何気に私が右手で左肩に触れたのは、あの冷たい手にずっと掴まれていたそこを庇う無意識の行動だった。
 しかし、そのひんや~りした冷たさはいったい……

 しかも、右手は左肩から腕を触っているというのに、その感覚がまったくない!?
「えぇっ!?」
 慌てて見ると、左腕はちゃんとある。
 私の右手が、私の左腕をちゃんと触っていた。
「…!?」


 ま~、一言でいうなら、寝相が悪かったということなのだろう。
 たぶん、寝ているうちに左手がずっと体の下になっていて。その結果、左手の血が止まった状態になっていたんじゃないかと。
 そんな血が止まって感覚が無くなるくらい冷えきった左手が、体が仰向けになって自由に動かせるようになったことで、勝手に動いていたのだろう。
 それは、恐らく動くことで、血の流れを戻そうとする体の反射的な動作なのではないだろうか。

 何やらわかりにくい話で申し訳ないが、どうもそういうことのようだ。
 とはいえ、これで寝ぼけ半分で金縛りもセットだったりしたら、恐怖度レベルの相当高い「怪談」になっていたのは間違いない(笑)

 そんなわけで、怪談っていうのは腕の血が止まっただけでも起こるもんなんだなぁ~と感慨にふけってしまうわけだが…。
 とはいえ、世に出回る「怪談」の中には、この手のネタに尾鰭をつけて、チョー怖くしちゃったお話が相当あるはずだ(爆)



                      ―― 『あれも怪談。これも怪談。』〈了〉


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   ちょっと剣呑で、ゴメン(^^;)


 
 子供の頃。怪談を話してくれる親戚の叔父さんがいて、よく従兄弟と一緒に聞いたものでした。
 その叔父さんは怪談を話す時、ちょっとしたクセがありまして。
 それは話す前、一瞬目玉をギョロっと上にして。ちょっと凶悪に、ニヤリと笑ってから話し出すんです。

 あの表情って、今思えば、話そうとするソレを脳裏に思い返す中で、自然と出る表情だったんでしょう。
 ただ、そればかりではなくて。
 「さぁどうやってこのガキどもを怖がらせてやろうか」と、自分の話で怖がらせるのを、それこそ舌なめずりするように楽しんでいたその気持ちがつい顔に出ちゃったんじゃないのかなーって気がするんです(笑)

 怪談の本質って。
 もしかしたら、まさにソコにあるんじゃないかって気がするんですよね。
 つまり、聞き手を楽しませてやろうとする、語り手の“悪意に満ち満ちた好意”という余計なお節介(笑)
 
 って、それ。
 一歩間違えたらストーカーになっちゃいそうで、とってもコワい(爆)
 


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2016
03.19

ファンタジーって。実は現実に帰るためのお話だったり…、する!? ~『裏庭』

Category: R&R


 最近、春の気配に誘われ、ファンタジーに惑ってる私ですがー(爆)
 
 って、なんか、“春の気配でファンタジーに惑う”なんて、まさにファンタジーな表現だー!なんて自画自賛していたら。

 それは、ファンタジーというより、メルヘンだろー!
 って(笑)
 ファンタジーというと、やっぱり“冬”のイメージが強いですよね

 まー、なんだ。
 怪談好きなんていうのは、SF読んでもファンタジーを読んでも、おバカから逃れられないようで、「どーもすみません」(笑)


 ま、そんなわけで、『裏庭』(梨木果歩著)読んじゃいました。


 一番外の「庭」は、現実の世界のはずですよね?
 なのに、町は何でその中にあるんだろ?何で、町だけ歪んでるんだろ?



 で、『裏庭』読んじゃったわけですけど、でも、正直何を書いたらいいんだろ?って。
 なんだかネットでよく見る、宿題の感想文に困っちゃった中高生状態です(笑)
 あ、そうそう。個人の感想ですので、ストーリーや結末を読んでない方に向けた配慮はしてません

 いや。うん。面白かったのは、面白かったし。
 また、読み終わった後「あー。よかった」って思いました。
 中盤くらいからは、結構夢中になって読んじゃいましたしね。

 でも、じゃぁ感想は?と聞かれると、妙に出てこない。
 というか、後半の現実のパートで引っかかったのを感じたんで、そのパートからその前を振り返った感想はあるんです。
 でも、ネットにある他の人の感想のように、「裏庭という異界」での出来事を読み解くことが(何故か)ほとんで出来ないですよねー。


 「裏庭」って。
 私風に解釈しちゃうなら(私がわかりやすくするために私の言葉で解釈しちゃうなら)、たぶん「インナースペース」のことなんだろうなーって思うです。
 つまり、それが実際あるにせよ、ないにせよ。
 ソコは、“寂しい”という傷を負った子供たちが、ソレから逃れるために(ソレを癒すために)存在するものなんでしょう。
 文字通り、子供の遊び場になっていた実際の「庭」の「裏」として存在しているわけですよね(たぶん)。

 そのことは、異界パートを読みながらも薄々は感じてはいました。
 でも、「あぁやっぱりそういうことなんだな」ってハッキリしたのは、最後(11章以降)の現実のパートに入ってからなんですよね。
 というか。その最後の現実のパートを読みだして、初めてこの「お話」に対して橋頭保を築けた気がしたんですよね。

 いや。前にも書いたように、裏庭異界パートが面白くなかったわけではなく。というより、むしろ面白かったのは間違いないんです。
 でも、それは、中途と最後の現実パートを読むことで、初めてストーリー(裏庭?)に入り込むことが出来た、というのも間違いないんですよね。

 うん。だから、ホント身も蓋もない言い方しちゃうようですけど、つまりこのお話って。
 異界でいろんな目に遭ってみると。傷を負わされていた現実の見方が変わって。それって、実は(裏側は)そんなに悪くないんじゃない?(=それこそが幸せだったりするのかも?)みたいなことが結末(結末とは微妙に違うが)なんだと思うんですけど。

 それに気がついた途端、
「あ、それって、例の『青い鳥』じゃん!なるほど。つまりこれってファンタジーなんだ!」なんて(笑)

 いえいえ。
 何だか茶化すような書き方ですけど、全然そうじゃなくって(笑)
 普段、茶化してばかりだと、こういう時苦労しますね(爆)
 読み終わった後「なんだろ?」ってくらい、変に納得しちゃったんですよね。
 その感覚が、「なぁ~んか不思議ぃ~」って(笑)

 つまり、思ったのは、「ファンタジー」って。
 異界で遊ぶ物語というよりは、異界に遊ぶことで現実に帰るお話なのかもなーなんて思っちゃいました、
…とさ(笑)


 あと、このお話って、読んでいて文章がところどころ佐藤さとるを思い出させるものがあるんですよね。
 それが、ミョーに懐かしいのと、そのせいもあってお話(作者)に親しみが湧きました。
 そうそう。
 親しみという意味では、作者の現実の社会に対する“毒”もちゃんと描かれていたのも、すっごく親しみ湧きました(笑)



 で、ファンタジーといえば。
 コメントで勧められた、戸川昌子の『黄色い吸血鬼』。

 これは、「なるほど!確かに“ファンタジー”だ!」みたいな(笑)
 というよりは、読んでいて、昭和の“あの頃”の小説の“匂い”がプンプン漂ってくるのが「すっごくファンタジぃっ!」って気がしちゃいました。
 個人的には、『蟻の声』の“美(?)の世界観”って、実は意外とスキだったりします(爆)

 あと、小野不由美の『魔性の子』も読んだんですけど、そっちはうーん…みたいな(笑)
 小野不由美は、やっぱり『屍鬼』に限る!なんて思っちゃいましたね。
 それこそ、ファンタジーの『十二国記』はどうなのかなぁ…
 ちなみに、今はタニス・リーに挑戦中(笑)



 そう。「ブルース」って言葉と50’sは、男(の子)にとっての永遠のファンタジーなのかもしれません(爆)



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2016
03.13

いや、だから…(その2)


 トイレットペーパーを買うのに、某ドラッグストアに行ったら。

 「アロマの時間って…」
 は、はいっ!?

 「アロマの時間」という名のトイレットペーパーって……
 うーん。なんかヤダ…

 いや、だから、“アロマ”ってどんなアロマなんだよ!
 みたいなー(爆)
 ま、自分のに限っては“アロマ”っていう人はいるんだろうけどさwww


 思うんですけど、
 最近、ネーミングセンスがビッミョー!っていう商品、なんか多くなってない?(泣)




 ちなみに、
 ズバリ「ウ○コの時間」だったら、絶対(大喜びで)買ったと思います!(笑)



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2016
03.13

怪談16.3.13

Category: 怪談話-番外

 今回も、怪談会用のメモがてら。

 それは、かれこれ10年くらい前。A美さんが、家族と夕飯を食べている時だった。
 A美さんのお父さんのB郎さんが、いきなり、
「隣りの女の子が亡くなったの憶えているか?」
 と言って、そっちにあごをしゃくった。
「隣り?隣りって…。」
 B郎さんのあごのさす隣りに、今人は住んでいなかった。
 でも、何年か前までは…
「C…、C田さん!?
 女の子が亡くなったっていったら、そうよね。」
 Aさんは訝し気な顔のまま、お父さんのB郎さんの顔を見ながら記憶を手繰りだす。
 隣りの女の子が亡くなったのって…、えぇっ!?いつだっけ?
 C田さんちがまだ住んでたわけだから…、えーと。C田さんちが引っ越しちゃったのって、そう。確か2年くらい前だっけ?
 その前だから…、あぁそう。確か、アメリカのテロ事件で騒いでた頃じゃなかったっけ?
「えぇっ!?なに、いきなり。そんな前のこと…。」
「あのお通夜の夜って憶えてるか?俺、暑くってなぁ……。」

 10月になったというのに、やけに蒸す夜だった。
 その暑さゆえだろう。真夜中に目が覚めてしまったB郎さん。
 もともと、いったん目が覚めてしまうと、またすぐには眠れないタイプで。とりあえずトイレに行って、あと冷たい水でも飲もうかと階下に降りて行った。

「はぁ…。」
 しかし暑かった。
 冷たい水を飲んでも、暑さは全然収まらない。
 外の空気を入れるかと、そのキッチンの窓を開けると、ちょっとは涼しくなったような。
 入ってくる夜気には、何の音もない。
 その夜は隣家のお通夜だった。つい何時間か前まで人の話し声がしていたが、今は真夜中。弔問客も帰ったか、さすがに寝てしまったのだろう。

 しかし、小学校6年で亡くなっちゃうなんてなぁ…
 B郎さんの家にも娘が2人いたから、他人ごとではなかった。
 しかし、その隣家の女の子が長く入院していたなんて、B郎さんは全く知らなかった。
 その女の子というと、もっと小さい頃、それこそ小学校低学年くらいだったか?隣りの庭で、よく友だちとはしゃぎまわっていた印象が残っているくらい。
 いや、もちろん隣りの子だから、挨拶したりされたりで顔は知っていた。
 ただ、思い返せば、最近はそういう記憶もないから、つまりはかなり長い間入院していたということなのだろう。
「ふぅ…。」
 まだ、暑かった。
 もうこうなったら少し外で涼んでこようと、B郎さん。庭に面した雨戸を開けて、縁側に座って。あとはぼぉーっと、庭を見るでなく、空を見るでなく…。


 そんな夜気の中、聴こえてきた「カチャン」という音。
「…?」
 B郎さんに耳に、それは隣りのC田さんの家の門扉が開いた音のように聴こえた。
 それは、B郎さんの家と隣家を仕切る生垣にほぼ接した場所にあった。
 ちなみに。
 そのC田さんの家というのは、その門を入って3、4段の階段を上がると、飛び石が点々と並ぶ通路になっている。
 その通路、B郎さんの家との境である生垣に沿って真っ直ぐ伸びていて。家に入るにはそこを通って、さらにその先、家屋が一段引っ込んだところに玄関があるという風になっていた。
 つまり、C田さんの家に入るには、B郎さんの家の生垣にそってずっと歩かなければ入れない。その生垣は腰の高さくらいのものだったから、隣りに来た人はそれこそB郎さんの家からは丸見えだった。
 ただ、そのせいもあったのだろう。目隠し代わりにと、B郎さんの家には生垣にに沿ってモミの木が等間隔に植わっていた。


 カチャン…。
 それは本当に微かな音。
 でも、この静まりかえった真夜中に、それはハッキリと聴こえてきた。
 聴こえた方向からいって、たぶんそれは隣家の門扉の開いた音。
 えぇっ!?いくらお通夜とはいえ、こんな時間に?
 不審に思ったB郎さんは、腰を半分浮かすようにそっちの方に首を伸ばした。
 門のとこに掲げられた提灯の灯りは見えないから、お通夜は間違いなく終わってるはずだけど…

 そんなB郎さんの目に入ってきた、階段を上がってくる人の姿。
 それは、足音もなく、すぅーっと。
 さらに階段の一番上に立つと、一瞬立ち止まる。
 え…
 その顔は間違いない。さっきお通夜でお焼香してきた時に正面にあった、まさにその顔。
 そして、やっぱりすぅーっと。
 それは、隣家との境である生垣の向こうを通り過ぎていく隣りの家の娘の姿。
 等間隔に植わるモミの木の間を見え隠れしながら通り過ぎていくその横顔。それは、妙に青白く見えるのをのぞけば、元気だったあの頃と全く同じで……
「っ……。」
 怖いとか、そんな感情は全く湧いてこなかった。
 とにかく、その姿をポカーンと追い続けることしか出来なかった。
 そんなB郎さんはいつしか立ち上がって、さらにその姿を追う。
 今やそれは後姿となり、やがて玄関のドアの前。
 まるで何か考えているかのように、じっとドアを見つめて立っていた後姿は…
 B郎さんがハッとした時には、すぅぅぅーっと。
 それは、ドアの向こうに吸い込まれていったかのように……、もぉ見えない。


「いや、あん時は俺、
 とにかく現れてから消えるまで、呆気にとられて見てるしかなくってな。
 とにかく、あのモミの木の間隔に見え隠れしながら
 俺の目の前を通り過ぎていったあの横顔だよ。
 2メートルくらい?3メートルくらい?
 そのくらいの距離だもん、人だったら、絶対こっちに気がついて見るはずだよな。
 それが微動だにしないで、真っ直ぐ前だけ見てるんだ。
 いっやー、あれはもぉ目にハッキリ焼き付いちゃってな。
 いまだに忘れられない…。」

 いや、A美さん。
 お父さんのその話には、驚いたなんてもんじゃなかったし、また何より気味が悪かった。
 だって、他でもない。それは、壁で隔てられているとはいえ、その時A美さんのいた場所から5メートルくらいのところであったことなのだから。
 でも、それより何より。
 そんなとんでもないことを、何年も経ってから。おもむろに、しかも何の脈絡もなく話し出したお父さんのことも変に気味わるかったとA美さんは言う。



                        ―― 『“想い”の帰るところ』〈了〉


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  ちょっと剣呑で、ゴメン(^^;)



 そういえば、学生の頃。木崎湖(長野県)で、人が溺れる瞬間を見たことがあります。
 湖のこっち岸から向こう岸まで泳いでいた人が、湖の真ん中あたりで急にバタバタしだして。えっ!と思った時には、ズボっと。それこそ穴にでも落ちるように沈んでいったので、もぉびっくり。
 あの沈んでいった人が水面に伸ばした片手が、何か掴むものがないかと探しまわっていたあの様は、今でもまざまざと浮かぶくらいです。

 助けを呼ばなきゃと立ち上がりかけた時、たまたまそこにボートがやってきたのが見えたんです。
 もっとも、ボートに乗っていたのはカップルで。まぁつまり二人は、この世界に二人しか存在してない状態だったのでしょう(笑)
 当然、たった今そこで人が溺れて沈んだところだなんて気づいてなかったみたいなんです。

 まさに今、溺れた人が沈んだ上にさしかかったそのボート。そして、その上の幸せそうに談笑しているカップル。
 そんなボートの横。いきなり水面からサバっと伸びたきた手。
 その手がバンっ!と。
 大きな音をたてて、ボートのヘリをガッチとつかんだんです。
 それに気がついた、ボートの上のカップルは「わーっ!」「キャーっ!」。もぉ大騒ぎ(笑)

 一方、 (溺れる者は藁をもつかむ思いで) 湖の底から手を伸ばした溺れた人は、それこそボートに纏わりつくようにズル、ズルっと体をボートの上に上がってくる。
 まー、つまり。
 ボートのカップルからすれば、ラブラブで幸せイッパイだったところに、いきなり湖の半魚人か溺死した人の死霊が現れたようなもんです(爆)
 もぉボートの上はワーキャー阿鼻叫喚だったわけですが、やがてそれが溺れた(かけた)人だって気づいたんでしょう。
 「だ、だ、大丈夫…、ですか?」なんて声が聞こえてきて。
 一方、湖の半魚人…、じゃなかった溺れかけた人は、水を飲んじゃって声を出せないのでしょう。咳をしたり、吐いているような声をしたり。
 やがて、「すみません」「ありがとうございます」とか声が聞こえてきて、ま、これにて一件落着。
 その後は、確か監視員のボートがおっとり刀で駆けつけてきたんだったか、ま、そこまではよく憶えていないんですけどね。

 いや、木崎湖って。そもそもそんな大きい湖じゃないんですけど、そこは特に狭くなっている場所なんで。その様子が手に取るようにわかったんです。

 まぁそんな一歩間違えたら、全然笑い話じゃない話なんですけど(笑)
 ただ、今でも思うのは、あの溺れかけた人のことです。
 水面の上のボートを見て、また水面の上に手を伸ばした、あの“生への思い”って一体どのくらいの強さだったんでしょう。
 だって、一度はズボっと沈んじゃったんですよ。
 いくら水の中とはいえ、引力に逆らって上がってくるって、ものすごいエネルギーなんじゃないでしょうか。

 たぶん人って、そんな風に生と死の間にいる時には、とんでもないようなエネルギーを発揮するものなんでしょうね。
 つまり、いわゆる「虫の知らせ」って、そういうことなんでしょうけど、ただ不思議なのは。人はその「虫の知らせ」の時、なぜ第三者に姿を見られたり、また公共の交通機関を利用するんでしょう。
 それこそ、第三者にはバッチリ姿を見せたのに、知らせたい親しい人は一切ソレを見なかったお話の方が多いくらいで、なんだかとっても不思議です。



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2016
03.13

名言?金言?富士山が低い!(笑)


 録画して見忘れていた「タモリ倶楽部」を見たら、最近、新大久保界隈ではネパール人の方々が増えているんだとかで。
 
 で、そのネパール人たち(5、6人)に、「日本に来てビックリしたことは?」と聞いたら、全員一斉に
 「富士山が低い」

 いやもぉ、思わず「そりゃそーだ」って。
 テレビの前で大爆笑しちゃいました。
 確かに。
 ネパール人からしたら、3776メートルであの(緩やかな)形は、近所の「丘」レベルなんでしょうねー(笑)


 でも、富士山って「火山」なんだぞー!
 ヒマラヤに火山ねーだろー!(ヘンっ!)
 なんて、火山オタクの端くれとしては声を大にして言いたいわけですが。
 火山オタク以前に山フェチな私としては、「うん。エベレスト、やっぱ憧れだよなぁ~」なんて(笑)


 まー、なんだ。
 最近の、TVやネット等で外国人旅行者がやたらと日本賛辞してるけど、あんなのは話半分(ていうか、話10分の1くらい?)で聞いとかないと。
 それこそ、バブル時の公共投資の二の舞になりかねないってことなんだろうなぁ…(笑)

 いやもぉ外国人旅行者が金を大量に落とすもんだから、官も民も欲の皮突っ張らかしちゃって。
 それに向けていろいろ金儲けのための投資をしているようだけど、ま、“あの時”誰も何も言わなかったように。
 つまり“バブルっていうのは、誰もがソレに気づかないからバブル”って言うわけで(笑)
 「民泊」なんて、みんなホントに正気で言ってんだろうか?

 ま、金儲けのネタがあるなら、それに飛びついてみるのも大事といえば大事なのかなぁ…。
 だって、人も国も先立つものがなきゃぁ、どうにもならないわけだしね(笑)
 とはいえ、またもや、今までにも何度か繰り返してきた“ニッポン人の大間違い”ってヤツになりそうな気がするなぁ…
 外国人観光客はともかく、そろそろ真剣に移民のこと考えたらぁ?

 あと、ほら、一億総活躍社会って、国からしたら「一億総所得税(自動)徴収社会」にすぎないこととかもさ(笑)
 そんなに税金払いたいかぁ?





 ところで、新大久保界隈に住むネパール人(約5、6名)に聞いた「日本に来てビックリしたこと」の2番目は、
 「カレーが甘い」でした(笑)

 そういえば、知り合いの中国人も日本に来て、麻婆豆腐が甘いのに「とんでもない国に来ちまった!」って。
 すごっく後悔したって言ってましたっけ(爆)
 つまり、“食い物の恨みは怖い”というのは万国共通?www

 で、話がくどいようだけど、カレーが甘いと言えば。

 友人のAクンがまだ中学生の頃。
 塾から帰ってきて、夕食食べようと皿のラップをとったら。
 皿のはしに、カレーがちょっとだけのってたんだとか。

 それこそスプーン2杯くらいの量しかないカレーに、Aクンは「なんだろ?このちょっとばかしのカレー!?」と。
 とはいえ、カレー大好きなAクン。
 ご飯に、スプーンでそのカレーをかけて、嬉々とご飯をかっこんだ瞬間。
 「な、なんだこれーっ!」と、流しに吐き出しちゃったんだとか。
 というのも、口に含んだ瞬間、そのおおよそカレーとは似ても似つかない味に、腐ってるのか?と体が絶対拒否しちゃったんだと。
 ところが、後で話を聞いたら、それはカレーでもなんでもなくて、カボチャを裏ごしした料理だったんだとか。

 まー、なんだ。
 男の子、それも口でなく胃袋で直接食ってるような育ち盛りの男の子には、高尚な料理を食わしたってムダ!ってことなんでしょうね(爆)



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2016
03.06

いや、だから…



 近所のスーバーでトイレに入ろうとしたら、何やら声が聞こえてくるんですよ。
 やたら甲高い声で…
 え?男子トイレに女がいる!?

 見れば、手を洗う所で、洗面台をのりだすように、顔を鏡に近づけて。
 「何やってんの!何やってんの!」と、延々叫び続けている太った男の子。

「な、なんだコイツ?」
 って、その男の子ったら、なんとお尻丸出し(笑)
 で、これまった、こきたねぇー尻なんだ!www
 おまけに、左手をお尻のアソコに突っ込んで。
 で、延々甲高い声で、「何やってんの!何やってんの!何やってんの!……」

 …!?

 私がトイレに入ってきたのに気づいたのだろう。
 こちらを一瞬振り返ったその男の子。いそいそとズボン(とパンツ)上げて出てっちゃったんだけど……

 いや、だから、よっぽどこっちが「何やってんの!」って聞きたい(笑)

 お尻丸出しだったってことは、つまりアレは洗面台の上でブ~ラブラってなってたわけで…
 あー、もっ、絶対あの洗面台使わない!(ていうより、絶対使えない!爆)


 ていうか、オマエ。
 まさか、その左手で、スーバーの物、触ってないだろうな!




        そういえば、あなたが今日の夕食で食べた食材…
        もしかして、彼が触ってたりして……


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