2015
10.31

ハロウィーン馬鹿 ~その2



 花見だと「ゴミは持ち帰りましょう」とか言わないのに

 なんでハロウィーンだと、「ゴミを散らかすな」とか言われちゃうんだろう?(爆)



 つまり、
 花見は公園で行政が片付けしてくれるけど、
 ハロウィーンは街中だから、市民が片付けしなきゃいけないから?(笑)

 それとも、
 花見は酔っぱらいだからしょうがないけど、
 ハロウィーンは素面だから、ちゃんとゴミ持ち帰れってこと?(爆)



 いいじゃん。
 仮装グッズ売って、お金イッパイ入ってきたんだから(笑)

 ていうか、来年はハロウィーン期間中は、
 渋谷では「全ての商品に掃除費用として10%のせる」とかしちゃえばいいんじゃない?

 その分物価も上がって、安倍さん、麻生さん、黒田さん大喜び!
 な~んちゃって(爆)



 ほらほら。
 そんなにゴミ散らしてると、どこぞのお隣の国が、
 「なんだ。日本人だって、ゴミはポイ捨てじゃん!」って笑ってるよ(笑)






    ハロウィーン(前夜)といえば、経団連の提灯持ちと化したWBSが、
    「ハロウィーンは今やバレンタイン以上にお金が動く」
    な~んて、したり顔で解説してるのは、無茶苦茶気持ち悪かったなぁ…
 
    あの手合いは、
    お金さえ儲かれば、自分たちの街がゴミ溜めでも全然OKなんだろうな♪(笑)



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2015
10.31

ハロウィーン馬鹿(笑)



  ハロウィーン馬鹿

         でもって、ハロウィーンといえば、やっぱりコレですよね。
                     ↓
         https://www.youtube.com/watch?v=zmTRq73g-nk
                        
             それは、ヘロインっ!(笑)



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2015
10.26

怪談15.10.26 -仮題「山伝説」中編

Category: 怪談話-番外


 怪談15.10.26 -仮題「山伝説」中編


 そんなAさんが「なんか変じゃないか?」と思うようになったのは、次の日のお昼前くらいだった。

 いや。もちろん最初は、そんなこと気がつかなかった。
 変だと思うようになったのは、Q岳より先にあるX岳を超えた先にある、やっぱり危険個所のあるPコルという場所。

 Pコルは、岩壁のヘリをへばりつくようにして進んで行く場所。
 そんなルートの上部にある岩に座っていた赤いバンダナを頭に巻いた人に気がついて、Aさんは違和感を覚えた。
 あれ?あの人って、前にもいたよな…

 それは、Q岳からX岳の間にある…、そう、やはり岩稜帯だった。
 下が切れ落ちた岩稜帯を抜けて、ホッとしてふと見上げたその先。
 やはりルートからちょっと外れた岩の上で休んでいた人…、あの人と同じ人なんじゃないだろうか?
 どこかの山岳会のユニフォームっぽい、紺の山シャツとニッカーボッカーに見覚えがある。
 なにより、そう、頭に巻いている赤いバンダナ…
 Aさん、そのことを思い出したら、その人(と似た人?を、他の場所でも見ていたことを思い出した。
 それは、同じような滑落の可能性のある岩場。
 やっぱり、ルートからちょっと外れた岩の上にいた。

 ただ、山を歩いていて、何度も同じ人に出くわすということは普通にあること。
 なぜなら、休憩を入れる場所というのは、誰も同じような場所を選ぶからだ。
 つまり、同じルートを同じようなペースで歩いていれば、抜いたり抜かれたりと前後はあるものの、1日に何度も顔を合わせるものなのだ。

 しかし、Aさんが見たその人の場合は違った。
 なぜなら、Aさんは先ほどの岩稜帯であの人が岩の上にいるのを見ながら、そこを通り過ぎたのだ。
 でも、あの人はAさんがここに来る前からそこにいた。
 道は縦走路の一本道だ。しかも岩稜帯が多かったから、追い抜かれれば絶対わかるはずだった。

 なんだろう?あの人は…
 妙な気味がわるさがこみあげてきたAさん。
 岩の上で遠くを眺めるようにたたずんでいるその人。
 ルートは、その人が座る岩の10メートルほど下を通っていた。
 幅30センチほどのルートの左側は一段ガクンと落ち込んだ後、はるか下まで一気に落ちるガレ場につながっている。
 いや。いくらなんだって、上部の岩にいるあの人が石を落としたりするなんてことはないのだろうけど…と、Aさんの目はその人から下に。
 そこは、すぐ下に一段落ちたところのガレ場が見える分昨日のZ岩稜ほど高度感はない。
 でも、滑落した場合、もしガレ場で止まらなかったら谷底まで一気に転がっていくだろう。
 ごくっ…。
 思わず立ち止まってしまったAさん。
「どうした?」
「っ!」
 驚くほど近いその声に、ビクッと振り返れば。
 それは、言いようのない怖さに張り詰めたAさんとは対照的に弛緩しきった友人の顔。
「なぁA、Pコルってこんなもんだったんだな。
 オレ、もっとスゴイのかと思ってたよ。」
「え?」
「うん、だからPコル。」
「あぁ。あぁあぁ…。」
「なんだよAぇー。オマエ、眠いのかぁ?
 いくらなんでもちゃんと目開けてないとヤバイぜ。
 ほら、早く行けよ。」
 そう言って、Aさんのザックを叩いた友人。
 それに促されたのか、意思とは関係なく歩き出すAさんの足。
 それは、あの男がたたずむ岩の下に向かって降りて行くルート。
 今や真っ直ぐ、Aさんの目と同じ高さに座っているあの男。
 その横顔は、ぼうっと遠くを見ているようにも、下のルートを行く人々を睥睨しているようにも見える。
 その下に近づいていくにしたがって、あの男の顔はAさんの目の高さより上へ、上へ。
 横顔は下から見上げるようになり、そして座るその姿へ…。
 はぁ…、はぁ…。
 つーっと汗が脇から下につたっていく。
 ふいにドキリとして上を見れば、もはや男の姿は覆いかぶさる岩の向こう。
 今、まさにAさんはあの男の真下にいた。
 はぁ…、はぁ…。
 ♪~~ ♪~~~
「え…。」
 それは、ふいにAさんの頭に流れ出した、あの「木綿のハンカチーフ」。
 汗が、またつーっと。
 その瞬間Aさんの目に飛び込んできた、夏の太陽に照らされたガレ場から一気に落ちた先にある谷底の光景。
 それは、Aさんが今いる岩陰で日の当たらない場所とは対照的に光り輝いている。
 歌のバックには、聞こえるはずのない、その谷底に流れる沢の音。
「うっ…。」

 Aさん、Pコルの後半はどんなだったかよく憶えてない。
 ただ、あの男の横顔と下から仰ぎ見た姿。そして、スポットライトに照らされたかのような谷底の光景が、「木綿のハンカチーフ」をBGMに鮮明に残っていた。



 ところで。今の時代にこの話を聞くと、その人がバンダナを頭に巻いていたという時点で、ほとんどの人は、その「木綿のハンカチーフ」の話にまつわる人ってこと?と思うのではないでしょうか。
 ただ、Aさんはその時そうは思わなかったらしいです。
 というのも、今の時代、頭にバンダナって格好の目印のように思うかもしれませんが、当時は山のファッションとして流行りだったんだんだとか。
 それこそ、その時のAさんのパーティーにも同じようにバンダナを巻いた友人がいたそうです。
 また、夏でも長袖の山シャツにニッカーボッカ―というのも、普通に見かける服装だったそうです。



「なぁ。さっき。Pコル…。」
「Pコルぅ?」
 それは、Pコルを通り過ぎて、しばらく歩いた所。
 Aさんは顔を1/3だけ振り返らせ、後ろを歩く友人に声をかける。
「さっきPコル通った時、上の岩場に座ってたヤツいたろ?」
「座ってたヤツ?えー、どの辺?」
「だから、ほら、オマエがオレに声かけてきたとこ。」
「オレがオマエに声かけたぁ?えぇっ。どこで?」
「だから、Pコルだって言ってるだろ。」
「Pコル?Pコルのどの辺?」
「なんだよ、憶えてないのかよ。だから、えーと、あそこは…。
 そう、Pコルの一番下に降りたとこ。道が岩をへつるようなってる…。」
「あぁ…。で?」
「だから、あそこ通る時、上の岩場に座ってたヤツ。」
「えー、上の岩場に座ってたヤツ?いやー、憶えてないなぁ…。
 で?ソイツがどうした?」
「だから、上の岩場に座ってたヤツだって。
 いたろ?紺の山シャツに、赤いバンダナを頭に巻いた…。
 な、おい。いたよな?」
 Aさん、今度は列の前を歩く友人に声をかける。
「知らねー。」
 Aさんの話を聞いていたのだろう。その友人の笑い声は無邪気そのもの。

「知らねーって、オマエ。いたろう?
 あ、ほら、そう、そうだ。あの場所に降りてく時、
 ちょうど目の高さにアイツいたじゃん。岩に座ってさ。」
「いっやー、気がつかなかったけどなー。」
「気がつかない?そんなわけ――。」
「なぁー、A。」
 それは後ろを歩く友人の声。
「あ、思いだしたか?」
「だからさー、ソイツがどうしたって?
 ていうかオマエ、なにムキになってんの?
 変なヤツ、ハハハっ。」
 そう言って後ろの友人が笑いだすと、前を行く友人も笑いだした。
 その呑気な笑い声に、カッとなったのか。気がつけば、怒って声をあげていたAさん。
 しかし、それにはさすがにラストを行くリーダーも黙ってられなかったのだろう。
 先頭のサブリーダーに停まるように声をあげると。パーティーの最後尾から、つかつかとAさんのところまでやって来た。

「なにやってんだ、A!それからオマエらも!」
 山ではリーダーは絶対的存在。ましてや大学の山岳部。Aさんのそのサークルも上下関係は結構厳しかった。
「すみません。でも、Aが変なコト言うもんだから。
 Pコルで誰かを見たとかなんとか…。」
「うん。それは俺も聞こえてた。
 で、A。それが何なんだ?」
「だから…。」
 リーダーに怒鳴られて、頭が冷めたのか。
 自分が何であんなにカッカしていたのかと不思議な気もしつつ、AさんはPコルで見たあの男のこと。さらに、その男のことを前も見たような気がしたことをリーダーに話し出した。

「ねぇ、リーダー。リーダーは見たでしょ?
 今、そこのPコルで…。」
 そう言って、Pコルの方を見るAさんのそれは、何だか気味悪そうな表情。
 つられて、思わずリーダーもそっちを見たのだが、もちろんリーダーも知るわけない。
 それでもリーダーは、一応パーティーの全員に聞いたのだが、もちろんみんな首を横に振るばかり。
「オマエ、何でそんなにムキになってんだ?
 なんか変だぞ。」
 その頃には先頭のサブリーダーもそこに来ていて、Aさんを叱るように言った。
 それを見ていたリーダーが口を開いた。
「なぁA…。」
「はい。」
「それって、もしかしたら山岳指導員じゃないのか?
 いや。俺は全然気がつかなかったけどな。
 でも、オマエが見たのって、Pコルをはじめ、みんな岩場の危険個所だったんだろ?
 紺の山シャツっていうのは、たぶんユニフォームだろ。
 バンダナは、まぁどうだか知らんけど、
 でもオマエだって、どいつもバンダナしてたって確信があるわけじゃないだろ?」
「は、はい…。」
 不承不承うなずくAさん。
 でも、確かに山岳指導員の可能性はあった。
 そういえば、去年白馬岳の大雪渓で見た山岳指導員も雪渓脇の岩場に座ってたし、そんな服装だったような…。

 Aさんが、そんなことをボーっと考えていると。
 パンっ!
 勢いよく肩をはたかれて慌てて振り返れば、それは怖い顔のサブリーダー。
「オマエな。山歩いてる時に他のこと考えてると転んで怪我するぞ!
 今からオマエは、オレの後ろ歩け。いいな!
 どうです?その方がいいですよね?リーダー。」
「うん。そうだな。
 Aのヤツ、ちょっとぼーっとしてるみたいだからな。」


 つまり、リーダーの言うように、Aさんがボーっとしてたってことだったのか。
 その後はそんな男の姿を見ることはなかった。
 ただ、Aさんの頭の中では、あの「木綿のハンカチーフ」のループは前にも増してひどくなっていた。
 それは、幕営地に着いてからも、テントを張る時も。
 夕食を作っている時も、無意識にそれを口ずさんでいるAさんの口元。
 それは、まるでその歌にとり憑かれてしまったかのよう。




── 本日これまで!
  怪談15.10.26 -仮題「山の怪談」中編〈了〉 /後編に続きます


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2015
10.19

怪談15.10.19 -仮題「山伝説」前編

Category: 怪談話-番外

 怪談15.10.19 -仮題「山伝説」前編 


 怪談界の七不思議に、「山の怪談」というものがある。

 …というのは全くのウソなんですが、ただ、個人的には“山の怪談って、なぜ人気があるんだろう?”って、かねがね不思議に思ってました。


 だって、山ですよ、山。
 山といえば、私が学生の頃は“ダサい”、“キタナい”、“死ぬほどかったるい”と、若者がやりたがらないコトの最たるモノだったじゃないですか(笑)

 とはいえ、現代では、なにをとち狂っちゃったのか、山ブームだとかで、それこそ「山ガール」なる珍奇なモノまで現れる始末で。
 いや。今じゃ、さすがに「山ガール」も廃れたのか?

  
 ま、山ブームの話はともかく、その山ブームに便乗したのか、何なんか。
 怪談の世界まで「山の怪談」ときたもんだで、怪談オタクが辛気臭い顔して、何かといえば「山は異界…」なんてのたまっていたり(笑) 
 いや、ね。
 その怪談心というか、怪談ロマンティズムみたいなのはスッゴクわかるんです
 でも、ホントに山が「異界」なら、“槍ヶ岳だの白馬岳だののテッペン近くにあんなにバカデッカイ宿泊施設建てて、せっかくの景観台無しにしちゃえるわけねーじゃねーか”なんて。
 ま、昔々にコキタナイ恰好で山に行った私なんかは思っちゃうわけなんです(笑)


 ただ、思うんですけどね。
 「山の怪談」っていう言い方は、ちょっと変な気がしません?
 妙に違和感があるっていうか…。

 例えば、ほら、「水(辺)の怪談」という言葉はあるにはあるわけですけど、でも、それほどよく耳にする言葉ってわけではありません。
 それこそ、お話はたくさんあるのに。

 ましてや、「駅の怪談」とか「マンションの怪談」なんて、特に言いませんよね(ま、駅の階段、マンションの階段なら普通に言いますけど)。
 また、(実話)怪談で一番多い系統のお話というのは、金縛り等の就寝中の怪談じゃないかと思うんですけど、もちろん「就寝中の怪談」という言葉も聞きません。

 なのに、「山の怪談」という言葉は、普通に流通している。
 怪談オタクが言うように「山は異界」なら、“異界ならわざわざ「山の怪談」ってカテゴライズする必要ねーじゃねーか”なんて、つい毒づいちゃうのは、ま、私が学生時代よく山に行っていたってことで、たぶん意識しすぎなだけなんでしょうね(笑)


 ま、それはさておき。
 人が集まる「都市」に“都市伝説”があるように、実は、山にも都市伝説みたいなものがあります。

 でも、それは当然なんですね。
 だって、山に行っている人たちはみんな、町(都市)で“都市伝説”を形作っている「都市(町)の人」が山に行くんですから。
 都市と同じように、“都市伝説”が生まれるのは必然なわけです
 ただ、ま、山で“都市”というのも変なので、ま、「山伝説」とでも言いましょうか。

 そんな「山伝説」でよくあるのが、“霧の中歩いていると足をつかまれる”というパターンです。
 これは、ホントあちこち無数にあります。

 それこそ、ありすぎて紹介する気にもならないくらいですが、それと並んで多いのが、“○○岳の××沢では△△という歌を歌うな”というパターンです。
 確か、山岳小説で有名な新田次郎も、そんな「伝説」をテーマにした――確か“♪おー寒む こ寒む 山から小僧が飛んできた”だったか?――短編があったはずです。

 そんな「山伝説」、歌はやっぱり「雪山賛歌」が多いんですかねー。
 ただ、「伝説」の中身は、その場所で歌っちゃうと、“雨が降る”から、“吹雪く/嵐になる”といった天気が変わるみたいなのが多いようです。
 でも、中には“遭難死する”や“雪崩が起こる”みたいな不穏なのもあったはずです。


 ただ、そういうジンクス系の「山伝説」っていうのは、古い話のような気がするんですよねー。
 思うに、60年代か50年代、もしくは戦前に流行ったパターンなんじゃないですかね。
 だって。私がよく山に行ってた頃、山で「雪山賛歌」歌うようなそんなベタ人、まずいなかったもん(爆)
 もっとも、最近は情報先行ですから。逆に“山に行ったらそれは歌うもの”みたいになってたりして?(笑)


 「山の怪談」って。
 いや、別にいいとは思うんです。
 というか、全然いい。それというのも、山が好きな人っていうのは、大体において怪談も大好きだからです。

 ただ、その山の怪談に(いまだに)「雪山賛歌」出すのは、ちょっと勘弁してほしいかなぁ…。
 だって、山で「雪山賛歌」って、いつの時代の話だよ?って。
 よっぽど、そっちの方が“異界”って気がしちゃいます(笑)





 と、まぁそんなながーい前振りはともかく(笑)
 
 そんな、“どこそこ山では○○を歌うな”という「山伝説」のひとつに、“北アルプスのQ岳の近くにあるZという岩稜では「木綿のハンカチーフ」を歌うな”というのがある…、んだそうです。
 
 だそうです、っていうのは、つまり、そんな「話」、私は聞いたことがないからなんですが、ま、「山伝説」というか、「山の怪談」というのはそういうものなんですね。

 荒天で行動を取りやめ、山小屋やテントで停滞(山用語で“沈殿”、略して“チンする”と言います)していて、暇な時。
 誰からともなく始まる話、それが「山の怪談」なんです(もしくは「山の猥談」)。
 同室になった人や山仲間からから聞いたその話。
 それが、あるものは、やっぱりそんな荒天時に話されることで人伝えで広まり(当然尾鰭眉唾ベッタリ)、あるものは消えていく。
 「山の怪談」っていうのは、そういうものです。


 で、ま、その「木綿のハンカチーフ」の話です。
 歌が「木綿のハンカチーフ」なだけに、70年代の中頃か後半頃の話らしいのですが、面白いのはその内容です。
 というのも、“Q岳のZという岩稜では「木綿のハンカチーフ」を歌うな”と、それだけなんだそうです。
 つまり、その後の“歌ったらどうなる”という部分がない。
 しかし、その代わりにこんな「話」がついているんだそうです。
 
 当時は、北アルプスに行くとなれば、新宿から夜行の急行列車アルプスに乗っていくのが普通だった。
 シーズン中は混雑するので、新宿駅のアルプス広場で出発の何時間も前に並んでいた。
 当時、並んでいる時に友人知人、あるいは山岳部のOBや後輩等が差し入れをするという習慣があった。
 物は、ウィスキーだったり、菓子だったり。
 その時も、あるパーティーに差し入れがあった。
 差し入れの主は、会社帰りらしい若い女性とその友人。
 実は、その女性はパーティーのある男性と付き合っていた。
 女性は、パーティーには山で飲むためのウィスキーを差し入れし、男性にはその頃流行っていたバンダナをプレゼントしていった。

 翌日。その男性はそのバンダナを頭に巻いて登った。
 嬉しそうに笑って、当時流行っていた「木綿のハンカチーフ」を歌いながら。
 パーティーのみんなはそのことを冷やかしたが、男性は照れながらも、でもちょっと得意気だったらしい。

 事故が起こったのは2日目のお昼過ぎだった。
 場所は、Q岳のZ岩稜。
 霧で見通しがきかない中、滑落したその男性に上から仲間が声をかけた時には確かに応答があった。
 なのに、救助隊がそこに着いた時、男性はこと切れていた。
 その手にぎゅっとあのバンダナを握りしめて。

 男性は、滑落する直前にも「木綿のハンカチーフ」歌っていたらしい。
 そのパーティーの中には、男性が歌っていたその歌声がしばらく耳を離れなかったという人もいたくらい。

 それ以来。その場所、つまり“Z岩稜では「木綿のハンカチーフを歌うな”と言われるようになった。



 とはいえ、「歌うな」と言われると、逆にそれが気になってしまうもの。
 山に行く前、大学の山岳部の先輩から「こういう話があるからZ岩稜では木綿のハンカチーフを歌うなよ」と話を聞かされたAさん。
 それこそ、夜行急行に乗っている時から、「木綿のハンカチーフ」が頭の中で延々ループ状態。
 登っている時っていうのは、頭が何も考えない状態になることがあるが、そんな時につい口ずさんでいるような有り様。
 そのたんび、「あー、ヤバいヤバい」と。

 いや。Aさん、別にその話を信じたわけではなかった。
 信じたわけではないが、ただ、そのZ岩稜では過去滑落による死亡事故が何度か起きているのも事実。
 そんな場所で「歌うな」とされている歌を歌うのは、やっぱり嫌ぁな感じがあった。

 とはいえAさん、次の日の朝には不思議とそれは頭から消えていた。
 なのに、その日のお昼前。
 Z岩稜に差し掛かった途端、Aさんの頭にそれが流れてきて…

 そのたんび、Aさんは「ヤバい、ヤバい」と。それこそ、声を出して別の歌を歌ってみたり。

 それは、Z岩稜でも特に危険といわれる場所を超えた、あるピークで休んでいた時だった。
 頭の中でそれがずっとループしていたAさんに、友人が「オマエ、今木綿のハンカチーフ歌ってたろ」と言ったのだ。


 実は、それを言った友人自身も、ずっと頭の中から「木綿のハンカチーフ」が離れなかったらしい。
 それこそ、つい口から出てしまうのを、やっと抑えているような有り様だったと。
 AさんがZ岩稜でそれを歌っているのに気づいた時なんか、つい一緒に歌ってしまいそうで。
 「何だか、呼ばれてるんじゃないかって。変に気味が悪かった」と言った友人。

 いや。そんな友人たちも、別に本当にそう思って言ったわけではなかった。
 「オマエ、勇気あるなぁ」的に、冗談にして笑っていただけ。
 なのに、Aさんはその時、不思議なくらい笑えなかった。
 それどころか、ふいにゾクっときて、思わず振り返った後ろ。
 そこは、ずんと何十メートルも切れ落ちた空間。
 霧が次から次へと昇ってくるばかりで、ただただ真っ白なだけだった。




── 本日これまで!
  怪談15.10.19 ― 仮題「山伝説」前編〈了〉/中編に続きます


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2015
10.12

もぉ、朝っぱらからー(笑)



 朝起きて、ベランダに出たら、赤とんぼさんがカップルで休憩中でした(笑) 

IMG_29633.jpg


          もー、赤とんぼさんったら。

          昨夜は、よっぽど感極まっちゃって。

          相当激しかったんですかねー。



               だから、羽を乾かしてただけだっていうの。
               勝手に人間の生態(性態?)当てはめてんじゃねーよ!

          https://www.youtube.com/watch?v=H5Kw_s9NfuA


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2015
10.12

怪談話 -15.10.12

Category: 怪談話-番外
 

 私は、「栗ごはん」が大、大、大ぃ~好きっ!なんですがー。


 でも、「栗ごはん」って。
 作ったことある人はわかると思いますけど、“栗”剥くの、大変なんですよね。


 もちろん、作業的にも大変なんですけど、ま、私、好きだけあって、毎年栗の出回る頃は一日おきで作ってるんで(つまり、2日に1ぺん栗を剥いてるんで)。

 まー、さすがに慣れちゃったというか、というよりは「栗ごはん」を食いたい一心で、大して苦にもならないというか(笑)

 じゃぁ何が大変なんだ?って話ですけど、それは精神的に大変なんですね。


 ただ。
 精神的に大変っていうのは、“必ずではない”んです。

 ある場合において、とっても精神的に大変…、
 というか、“イヤんなる”と言った方が適当なのかなぁ…。

 そう聞いて、「あー、それわかる!」って言う人は、栗を剥いていて実際に経験があるんだと思うんですけど、つまり、その“ある場合”っていうのは、「虫が多い時」なんです。


 栗っていうのは…

 ま、大体において実の中に「虫」がいるものらしいんです。

 ネットで見ると、本来7~8割は虫がいるとあります


 でも、私みたいに秋になると毎週栗を買っていると、虫が多い時と、ほとんどいない時っていうのがあるんですよ。

 ま、それは、 “収穫~買って食べるまでの期間がたまたま長くて、生まれ育っちゃった”から、虫が多いのか…。

 それとも、たまたま“虫が多い木”というのがあったりすものなのか…、
 ま、その辺はよくわからないんですけどね。


 もちろんね、虫がほとんどいない時は全然OKなんです。

 問題は、“虫が多い時”。


 ま、もっとも。
 虫が多い時っていうのは、栗を冷蔵庫から出した瞬間わかるんですよ。

 虫が多い栗(ネットに入った)というのは、木くず(実くずというべきか?)みたいな粉がイッパイついてますから。


 そう書くと、「じゃぁ、その木くずみたいなのがついてない栗を買えばいいじゃないか」と思う方もいるかもしれませんけどー。

 いや、もちろんチェックはしてるんです。
 それこそ、買う前に一袋(ネット)、一袋手に取っちゃぁひっくり返したりして、かなり念入りにチェックします。


 でもね。たぶん、あの木くずみたいな粉は店の方もちゃんとチェックしてるんでしょう。

 店でチェックしてよさそうなのを買うんですけど、実際はまったくあてにならないです(笑)

 大丈夫そうだなと思ったものが、虫が多かったり。
 反対に、見た目がちょっと悪くて、これは虫いるかもなーなんて思ったやつが、意外なくらいいなかったり。

 ま、とにかく、不思議とあれは“一晩おいてみないとわからない”(爆)



 で、ま、それはともかく、やっと本題に入るわけですけど、虫の多い栗は“精神的に大変”というか、“イヤんなる”って話ですよ。

 つまりそれは、虫が食っちゃった栗は食べられない!ってことなんです。

 ま、ちょっと食われたくらいなら、その部分だけ捨てて食べますけどね(笑)

 ま、それは、“虫がいるからキモチ悪い。よって、食べられない”っていうのもあるんですけど。

 何匹もの虫に食われまくっちゃった栗の実の中は、結構グロな状況です(笑)
 ていうか、虫に食われまくっちゃった実は、真っ黒く腐ってることも多いです。

 ていうか、ていうか。
 虫もキモチ悪いんですけど、たまーに鬼皮を剥いた渋皮の下に卵がびっしり産みつけられていることもあって。
 あれは、一瞬「うっ」となるくらいグロな光景です(笑)


 あ、ちなみに。
 栗は、皮を剥きやすくするために一晩水につけるんで、虫は(基本的には)みんな溺れ死んじゃってます。 ←ザマーカンカン!

 とはいえ、虫が食べて腐っちゃった栗は食べられませんよね。



 つまり。
 栗ごはんを作るためには、栗を剥かなければならない。
             ↓
 剥きやすくするために、作る栗ごはんの量だけ一晩水につける。
             ↓
 でも、その栗は虫が入って腐ってることが多々ある。
             ↓
 腐った栗は捨てるしかない。
             ↓
 捨ててしまえば、栗ごはんに入る栗は当然少なくなる。


 もう、わかりますよね?

 栗は、虫が多くてたくさん捨てちゃったとしても、“足らない分を補充”ってわけにはいかないんですよ。

 なぜなら、剥きやすくするために水に浸けておいた栗は“数が限られている”わけですから。

 つまり、虫が多いと、それは必然的に“栗の少ない栗ごはん”になっちゃうんです!(泣)



 栗ごはんが食べたい一心で、面倒クサイのを厭わず“しこしこ栗を剥いてる”っていうのに。

 なのに、肝心の栗が少ないなんて、これから何を信じて生きたらいいのか? ←もはや、栗ごはんオタク(爆)



 ちなみに、栗を剥きやすくするのには、熱湯をかけるという方法もあるんですがー。

 個人的には栗のホクホク感が少なくなるような気がして、イヤなんですよねー。 ←このこだわり。もはや、完全に栗ごはんオタク(笑)

 あと、燻蒸して虫を殺した栗っていうのも一度買ったことあるんですけど、あれも妙に味が落ちるような?



 結局、「虫がいませんように」と、栗ごはんの神さまにお祈りするしかないのかなーと思うわけですけど、でね。

 ほら、このタイトルって「栗怪談」じゃないですか。

 つまり、ここからが「本当の本題」だと(爆)


 それは、栗も剥き終わって、炊飯器にセットした後。

 その日の栗は、やけに虫が多い栗だった。

 おそらく7割くらいに虫がいて、腐っていて丸々捨るしかなかった栗も5つくらいあった。

 そんなわけで、ご飯に入れられる栗が少なくなってしまって、ちょっと意気消沈気味の私だったが、それでももうすぐ栗ごはんが食べられる期待に胸を膨らませていた。


 そんな中。
 ホッとして辺りを見回せば、栗を剥いた時に落ちたのであろう、台所の床には栗の皮の破片がいくつか落ちている。

 それは、その一つを拾った瞬間だった。

 指の先でつまんだ栗の皮の破片が、いきなり身をよじったのだ。

「ゲッ!生きてるーっ!」


 いや。栗の虫なんて、5ミリ位の小さいもので、別にそんなグロなものではない。

 でも、その時は、栗の皮ほ破片と思ってつまんだものが、栗の虫だったので驚いてしまったのだろう。

 というか、あれだけ水に浸けておいたのに、しつこくまだ生きてやがったのかよ!


 ソレは、驚いてつまんでいた指を開いただけなのに。

 あらためて捨てようと周りを探しても、どこにも見当たらない。


 いや、かなり一生懸命探したのだ。

 後で思いがけない時に見かけてもイヤだし、ふんずけてもイヤだから。

 しかし、ソレはまるでそれっきり消えてしまって、結局見つけることは出来なかった。

 もしかしたら。
 あの時つまんだアレは、大量に溺れ死なせた栗の虫の恨みの念だったのかもしれない……


 …って、オマエは、何でもかんでも「怪奇な出来事」にしちゃう、心霊オタクかーっ!
 って?(笑)




 とか言って、土曜日に八百屋に行ったら、栗、もぉ売ってなくって。

 別の八百屋にはあったんだけど、値段見たら980円だって。あっほクサぁ~(笑)


 あれ。栗、今年はもぉ終わり? 

 ていうか、再来週末は、もぉハロウィーンなんだなー




             ―― 『栗怪談』〈了〉 ←え?これって“怪”談なの!?
                注!無断転載禁止 ←こんなの転載する物好き、いないやね(爆)




    生産されている栗につく虫って、おそらくはほぼ100%死んじゃう運命であるはずなのに、
     なのになんで毎年あんなに存在するのか、あれはまさに「怪談」…




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2015
10.11

ブログタイトルを変えちゃいました

Category: メモ・伝言


 というのは、先日「深川百物語怪談会」に言って来て、例の「怪談スィーツ」を食べちゃった、と(笑)

 *怪談スイーツ ~ダ・ヴィンチニュース
 http://ddnavi.com/yoo_mei-contents/92900/a/

 ま、上記の記事の日付を見るかぎり、『怪談Sweets』の方がちょっと早そうなんですけどねー(笑)


 
 ま、それはそれとして、私が「深川百物語怪談会」を知ったのは、「怪談Sweets」を検索したのがキッカケだったんです。

 ま、詳しいことは忘れちゃったんですけど、「怪談Sweets」で検索したら上記の「怪談スイーツ」なる記事が出てきて。

 確か、その怪談スイーツを考案した方が、「深川怪談百物語会」の関係者だったのかな?

 そういえば、百物語会の冒頭でもそんな話があったような…


 とはいえ。
 「怪談スイーツ」より、私の「怪談Sweets」の方が先なんで(エッヘンwww)。

 「なーにが、怪談スイーツだ。こっちは、“スゥィィィーツ”だもん。こっちの方が甘ぁ~いんだもんね」と(密かに)いばってたわけなんですがー。


 ところが、つい誘惑に負けちゃって「深川怪談百物語会」に行って来ちゃったら(軍門に下った?www)、「何だよ。面白いじゃん!」って(笑)

 てことで、ま、「深川怪談百物語会」に敬意を表して、
ここは一発「てやんでぇーい!ゆずってやらーい!」って。 ←深川だけに(笑)



 ていうかね。
 ま、負け惜しみを言うわけじゃないですけど(笑)、私としては、“いつまでも怪談やっててもなー”っていうのもあったにはあった……、の、かな?(笑)

 そもそも、たんに“禍々フェチ”なだけな、いちいち頭に「実話」のつく、最近の「実話怪談」ってヤツには、もぉいい加減ウンザリでしたしね(爆)


 まーね。
 怪談は怪談でぜんぜんOKなんだけど、でも、ここら辺りで「根も葉もない“お話”」ってヤツをちゃんとやってみたいなーってことですかね(笑)


 とはいうものの、「深川百物語怪談会」で“怪談心”にちょっと火が点いちゃったこともあって。
 https://www.youtube.com/watch?v=5-0bqonqooo

 ま、少しの間は、準備運動がてら怪談やるんでしょうけどね(笑)



 てことで、これからは「ひゃくんろーる・Café」で、
 “ろっくんろぉ~るぅぅぅ~っ!”って?(爆)


♪ You want to do whatever You want to do you can try
  Keeps on a・rollin’on Keeps on a・rollin’on ってさー
            ― Marc Beno / Scond Story Window

    https://www.youtube.com/watch?v=ygpAzi6w0Mo





          しっかし、この人は昔と全然変わらないなー(笑)                



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2015
10.05

怪談話 ~15.10.5

Category: 怪談話-番外


 その週末の夜、Aさんは友だち何人かとスカイプで怪談に楽しんでいた。

 自宅の2階の表の道に面した部屋。
 Aさんは窓際で、パソコンに向かって話していた。

 梅雨時で、外は雨がずっとしょわしょわ降っていた。
 窓の向こうからやってくる、しっとりした空気が心地よく感じられる、たぶん2時を過ぎたくらい。
 ちょうどAさんが話を終えた時だった。


 ヘッドセットから聞こえてくる、Aさんの話について感想を言っている声を聞きながら、Aさんはマグカップのコーヒーをひと口。
 マグカップをパソコンの横に戻そうとして、ふと、その窓の向こうの人影に気がついた。
 いや。というよりは、視界にその人影を感じたから、窓を見たのか。

 それは、Aさんのウチから50mほどの所にあるマンションの、その転々と連なる明かりと四角いシルエットの上。
 最上階から、階段状になった3階下の部屋のベランダ。
 暗く垂れこめた夜の空をバックに、そのベランダに立っている人の姿。
 それは何だか、傘をさして踊っているような…

 一瞬、ポカーンと。吸いつけられるようにそれを見ていたAさんだったが、すぐに。
 ははーん、あの人、たぶん酔っぱらっちゃたか何かで。
 この雨の中「雨に唄えば」のジーン・ケリーの真似でもしてるっのかなぁ…と思わず笑いがこぼれた。

 でも、その笑いは止まってしまう。
 え…
 あの人、もしかしてオレに合図か何か送ってる!?
 いや、まさかそんなこと…

 それは、今Aさんが「合図を送ってるのか」と思ったことを肯いているかのように、動きが大きくなった人のシルエット。

 「えぇっ!?」
 思わずヘッドセットをはずしたAさん。
 もちろん、声が聞こえるわけはない。
 でも、その人のシルエットはAさんに「後ろ!後ろを見ろ!」と言っているような気がして。
 思わず振り返ったその途中目に入ったのは、飼っているネコが「フー」っと唸っている様。

 Aさんは、「え、何だ?どうした?」と猫に声をかけつつ。
 唸っているネコの視線をたどるように見た、そこにあったのは一本の折りたたみ傘。
 たたまれた折りたたみ傘が、しかしストラップではまとめられない状態で、床にバサッと。


 もちろん、ギョッとした。
 だって、それは普通その場所――部屋の床――にはないはずの物だし。
 また、さっき見た時――そう。トイレに行った時か?――には無かったように思うから。

 ただ、それは傘。
 しかも、そのチェック柄に見覚えがあった。
 そう。それは間違いなくAさんの奥さんの物。
 今日だって…、そうだよ。帰ってきた時に目にした記憶があるから…
「なんだ。たまたまアイツが置き忘れたってことか…」
 Aさんがその傘を取ろうとしたのは、たぶんそれを傘立てに戻してこようと思ったのだろう。
 しかし、傘を触れてそのことに気づいた。
「えっ!」
 ビッショリと濡れていたそれ。
 まるで、たった今外から帰ってきたかのように……


 もうスカイプも、向こうのマンションの傘を持った人のことも頭になかった。
 いきなり、ただならぬ不安に襲われたAさんは、駆けだすように寝室に向かう。
 突進するように明けたドア。
 壁を叩くようにいれた電燈の明かりのスイッチ。
 パッと、隅から隅まで明るくなった部屋。
「B、B美。B――。」
「きゃっ!」
 Aさんが奥さんの名前を言ったのと、跳ね起きた奥さんの驚きの悲鳴は同時だった。
「……。」
「……。」
 しばらく声の出ない2人は、お互いをただただ見つめ合っていた。
「ふぅー……。」
「な、何…。何よ?え?何なのよ…。」
 気がつけば、その場にヘナヘナと座り込んでいたAさん。
 そんなAさんが思わずこぼした安堵のため息とは対照的に、奥さん目はかっと開かれたまま。



「まったく、いい歳して夜中に怪談なんか話してるから、
 変な妄想するのよ!」
 Aさんに散々文句を言った後。最後にそう言って、トイレに行ってしまった奥さん。
 そんな奥さんがまた寝室に戻る足音を聞きながら、Aさんは先ほどの傘をかたそうと下に降りていた。
 ふぅー。
 また、ため息。
 と、同時に「あ、床っ。拭かないと」と思いだした。
 とはいえ、このびしょ濡れのまま傘をしまうのも…とAさん。
 何なのだろう?
 それにしてもその傘はぐっしょりと濡れそぼっていた。
 下にそえている片手に、時折雫が垂れてくるくらい。
 ただそれは、まだ新しい傘だから。開いて2、3回バサバサすれば水は飛んでいってしまうはずだった。

 それは、Aさんが水をはじこうと玄関の戸を半分だけ開けて、折りたたまれた傘を伸ばして開いた時だった。
 ビシャっと落ちた音に下を見れば、それは傘の袋。
 慌てて拾えば、やっぱりそれもびっしょり濡れている。
「……。」
 それをじっと。Aさんは、それをしばらく見て、またため息を一つ。
 傘の袋も2、3度降って傘をしまうと。
 足早に部屋に戻った。



 次の夜。
 奥さんと夕食を食べていて昨夜のことを思い出したAさん。
 食事の後、昨日の部屋から向かいのマンションを見てみたのだが、もちろんそのベランダに人の姿なんてなかった。
 というか、そこは、人が立っていて見えるのだろうかというくらい梅雨の夜空に黒く溶け込んでいた。




                               ―― 『傘』〈了〉


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    ちょっと剣呑で、ゴメン(^^;)




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