2015
06.30

17話目『スゥィーーーツな怪談話~Episode-2:その4』

Category: 怪談話


17話目『スゥィーーーツな怪談話~Episode-2:その4』


 それは、梅雨も終わりが見えてきた頃。
 思い出したみたいに実菜さんの就職が決まった。

 ま、人間なんてものはつまり…
 犬も歩けば棒に当たるってことか、それとも急がば回れってことなのか?
 つまりはまぁ。
 もがいてるんでも何でもともかく何かしら動いていれば、人の運なんてものはそれなりに…、あるいは、いくらだってひらけてくるってことなのだろう。

 とはいうものの。
 実菜さんにとっては、そのケーキ屋さんでのバイトは楽しかっただけに、辞めるのは寂しい気持ちが強かった。
 また、自分の人生ってものを救ってもらったみたいな思いもあるだけに、うしろめたい気持ちもあった。
 ただ、実菜さんにも自分の人生というものがある以上、安定した生活というそれには代えられなかった。


 そして、いよいよ実菜さんがそのケーキ屋さんで働く最後の日。
 それは、お店を閉めた後。
 店主と奥さんが、実菜さんのために店の奥のキッチンスペースで開いてくれたささやかな──でもケーキだけは豪華な──送別会。

「ほら。これはよ、実菜さんのために特別作ったんだぜー。」
「わっ――。
 すっごーい!えー、ありがとうございまーす。」
「実菜さんがウチのケーキを食べること出来るのは、これが最後なんだからさー。
 よく味わって食べてよー。ケラケラ…。」
「そ、そんなぁー。
 お給料もらったら、真っ先に買いにきますってー。
 絶対っ!それも毎月っ!」
「あら。えー、今度はお客さまぁ?
 なーんか、シャクにさわるわねー。」
「もぉー。フフフ…。」
「そんなことより、実菜さんよ。
 それ、早く食ってみてくんねーかな。
 実はそれ、ウチの新商品として出そうかって思っててよ。
 若い子の感想が聞きてぇんだよな。
 ほら…。オレとこれじゃぁ…。
 な、わかんだろ?」
「だから、そんなこと言っちゃったら実菜さんだって、
 正直なこと言いにくくなっちゃうじゃないよー。ねぇ。
 でさ、どぉ?どうなのよ?
 早く言ってよ、もぉっ!じれったいわねー。」
「ちょ、ちょっと待ってくださいって。今、食べますから。
 でも、なんていったってケーキですからねー。
 まずは、見た目ですよねー。うーん…。」

 実菜さんと店主夫妻。店の奥で、お互いの暖かい気持ちをそんな風に楽しく味わっていた時だった。
 ガタン!ガターン!
 ガタガタン。ガタガタ、ガターン!
 やにわに外のドアが激しく鳴ったと思ったら。
 バン、バン、バン!バン、バン、バン!
 間髪入れずに、今度は店の表のガラスを平手で叩くような音。
「きゃっ」
「っ!」
「んっ!」
 実菜さんたち奥にいた3人は、もう声をあげたり、息を呑んだり。
 でも、それはそれだけだった。
 子供が騒ぎたいだけ騒いだら飽きちゃったみたいに、聞こえてくるのは前の通りを通るクルマの音……。 
「……。」
「……。」
「……。」
 音が止んでも、3人ともお互いの顔を見合わせているばかり。
 まるで尻が椅子に張り付いたように体が全然動けない。

 どのくらいそうしていたのか…
「か、風…。風が出たみたいですねぇー。
 ゆ、夕立、かなー。」
 最初に口を開いたのは実菜さんだった。
 でも、その口調は今だ動揺を隠し切れてない。
 音がした背後の店内の方を振り返りたいんだけど、その顔はわずかに動いただけ。それ以上は、どうしても振り返れない。
 それでも目だけは忙しく。ほんのわずか振り返ったそちらの端と、目の前に座る2人の顔を行ったり来たり。

 その時店主と奥さんが座っていたのは、店内からは完全に陰になったところだった。
 そんな店主が、ふっと口を開いた。
「まったく…。
 変なタイミングでお客さんが来ちまったもんだなぁ…。
 失敗したなー。シャッター…、閉めちまえばよかったぜ。」
 その「お客さんが来た」って言葉に、思わず反応してしまった実菜さんの体。
「え?あ、お、お客さん!?
 あぁお客さんですか…。」
 そう言いながら、がわずかに浮き上がった実菜さんの腰。
「実菜さん、座って!座ってってば!
 座りなさい、いいから。早く!」
「えっ。」
 立ち上がりかけ、さらに背後の店内の方を振り返りかけていた実菜さんの視線。
 それが奥さんの怒ったような声のする方に、あっという間に引き戻される。
 そんな実菜さんの目は、なんだか泣き笑いでもしているような奥さんの顔にぶつかった。
「座って…。
 うん。座ってればいいんだから…。ね。
 おかしなもん、わざわざ見たってしょうがないでしょ。」
「っ!……。」
 

「実菜さんさ…。」
「は、はい…。」
 実菜さんはそう声をかけられるまで、奥さんの顔をずっと見つめていたことに気づく。
「あたし、ずっとそうかな?って思ってたけど…。」
「…!?」
「そっかー、やっぱり気づいたのね。」
「うん…。そりゃそうだろう。
 一日中奥にいた俺たちですら、気づいてたんだから…。」
「え、なに?え…。」
「あれ…、まだ若い女の子よね。
 たぶん、実菜さんくらいの…。」
「みたいだよな…。」
「えぇっ…。ちょ、ちょっと…、えぇっ!?
 わたしくらいって…。それって、どういう──。」
「まぁな、実菜さんよー。
 俺なんかからすると、毎日していることだから、
 ケーキ屋なんて地味ぃな商売だって思うんだけどな。
 でも、傍から見たら華やかに見えるもんなのかなぁ…。」
「ケーキ屋?地味?華やか?……え!?」
「まぁもっともな。
 お客さんが見たくて見てるのは、あくまでケーキなんだよな。
 別に俺の仕事っぷりを見てるわけじゃないだけどな…。」
「……。」
 店主が何を言ってるのかさっぱりわからない実菜さん。
 そんな実菜さんを、なぜか諭すように奥さんが言った

「あのさ、実菜さん。
 人の往来の多い所で、こういう仕事をしているとね。
 こういうことって、時々あるもんなのよ。
 そうなの。前もあったのよ…。」
「ま、前も?前もって…。」
 呆気にとられるばかり実菜さんを無視するように、奥さんは店主に語りかけた。
「この前は、確か中年の女の人だったわねぇ…。」
「あぁ。あの女かぁ……。
 あの女は…、そう。長かったなぁ…。」
「ウチなんか、外から見るとさ。
 なんかこぉパーって華やかに見えちゃうからね。
 やっぱり、こう、ついつい覗いちゃうもんなのかねぇ。」
「まーなー。
 哀れっちゃぁ哀れなんだろうけどなぁ…。
 でもなぁ…。そうなっちゃったら、っぱり、あさましいと言うしかないよなぁ…。」
「……。」
「あぁ~あ…。
 人間って、いつまで経っても…、はぁ…。
 死んだ後ですら、人の哀しさってものから逃れられないものなのかねぇ…。」



 ホントのこと言うとね。
 あの時、店主さんと店の奥さんが言ってたことって、わたし、よくわからないの…。
 ううん。というより、全然わからない。
 だってさ。
 ああいう風に、夫婦2人だけで何十年って仕事してたらさ。
 あの2人だけが常識っていう世界があるわけだもん…。

 あのね。わたしさ、ホントのこと言うとさ。
 わたし、怪談とかって、全然好きじゃないのよ。
 ていうかね、わかんないのよ。
 怪談が面白いとか、楽しいってさ。わたし、全然わかんないのよ。
 だって、そういう怪談で起こった事っていうのはさ、死ぬしかなかった人の思いじゃない。
 そうでしょ?

 よく思うのよ。
 幽霊とか霊とかって言っちゃえば、人とは全然違うもののようになっちゃうけどさ。
 でも、それってさ。
 あの頃の…
 あの頃のわたしと、何がどれだけ違うんだろうって。

 そういえばね。
 あの時、奥さんが「あれ、若い女の子よね。実菜さんくらいの」って言っているのを聞いてたらさ…。
 わたし…
 あ、わたしは、もぉここには来ない方がいいんだな。来ちゃいけいんだなって…。
 ふっとね、気づいたの…。

 その時って、なんだかさ…。
 なんだか、わたし自身のことを言われてるような気がしちゃったのよ…。

 だって、わたしもそうだったんだもん。
 あの、貯金がなくなりかけてるのに、仕事探しもどうにもならなかったあの時……
 やっぱりさ。わたしもそんな風にさ、
 なんの用もないのに、用なんてあるわけないのにさ、
 わたしもそんな風に、街を歩きながらいろんなお店を覗いてたの……

 うん…
 同じだったの…
 わたしも同じだったのよ。
 そう。覗くだけで、お店の中には入れなかったの。
 わたしも……

 あ、ゴメンね。
 でもさ、わたしみたいに一度死んじゃうとさ…。
 フフ…
 生きてるのが苦しくて、もぉ死んじゃおう。もぉいいよ、わたし…って思ってるのにさ。
 なのに、死んでからもそんな風だなんて聞いちゃったらさ。
 そんなのやってらんないよ……

 ううん。ゴメン…。
 そんなのわかんないよね。
 



── 本日これまで!
  17話目『スゥィーーーツな怪談話~Episode-2:Bitter Bitter Sweets』〈了〉
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2015
06.27

17話目『スゥィーーーツな怪談話~2話目-3』

Category: 怪談話


スゥィーーーツな怪談話~Episode-2:その3


「うん。こんなもんだろー。」
「あのさー、ウチはケーキ屋なんだからさー。
 お客さんがケーキ買って、店を出ようとした途端、
 ドアがドーン、ケーキがバシャーンじゃ、すみませんじゃすまないでしょ。
 もぉー。」
「俺だって、そんなことわかってらい。
 しっかし、なんでこんなに強くしちゃったんだろなぁ…。
 ま、最近、また変なのうろついてるしな。
 無意識にやっちゃったってことかなぁ…。」

 それは、あのおしゃれっぽい若いお母さんとその子供が帰ったすぐ後の店の出入り口。
 珍しく奥から出てきた店主が、首を傾げながらドアのバネを調整している横。ブツクサ文句を言っているのは、店の奥さん。
「実菜さんもさー、こういうことは気がついたらすぐ言ってよぉ。
 もぉさ。お客さんのこと、バッチャーンなんて挟んじゃってからじゃ遅いんだから。」
「すみません。
 お店の休みの後、なーんかドア閉まるの早くなったなーって
 思ってはいたんですけどねー。」
「まぁね。幸い田中さんの奥さんだったから…。
 びっくりくらいで済んでよかったけどね。」
「あ、あの方…。
 あの方って、よく来るお客さんだったんですか?」
「あら、実菜さんは初めてだった?
 たしかね。この前の通りずっと行ったとこに住んでてね。
 ちょくちょく買いに来てくれるのよー。
 あの英太ちゃんと一緒にね。フフっ。
 しっかし田中さんの奥さんって、
 子供生んでもぉずいぶんだけど、全然変わんないわねぇ…。」
「そうそう。なんだかモデルみたいな人ですよね。
 それと、あの子。あの子もかわいいですよねー。
 ドアの音にびっくりしちゃって。
 もぉ目ぇ丸くしてお母さん見上げてて、
 なーんか、思わず笑っちゃいそうになっちゃいました。」

 まぁそんな、かわいくもある出来事だったせいだろう。
 実菜さん、その日視界の端に感じた些細な違和感のことはすっかり忘れてしまった。



 毎日、グレーの絵の具を流したような空の季節になっていた。

「あ、また…。」
 それは、あの時と全く同じ。
 目の一番外側、視界のギリギリのところで感じられる違和感。
 いや、違和感というより。その頃には実菜さん、それは店の外から誰かがこっちを見ているのだと確信するようになっていた。
 でも、誰かって、誰…。

 実菜さん、それは店のすぐ外ではなく、むしろ道の向こう側なんじゃないだろうかって。
 手が空いている時なんかは、道の向かい側を見回してみたりもしたんだけれど。
 でも、結局。そのたんび「うーん…」って。
 首を傾げるくらい関の山。

 ただ…
 人間の五感というものは、日々そういうことが頻発していると研ぎ澄まされてくるものなのか。
 それとも、たんにそのことに慣れてきて、それなりに対応が出来るようになるものなのか。
 その時っていうのは実菜さん、ケーキのガラスショーケースに背を向けて紙ナプキンを折っていた。

 そして、やっぱり右の目の端ギリギリの所に入ってきた、あの感覚。
 まただ…。
 実菜さん、いつもならそれを感じるや否や、キッとばかりにそっちに視線を走らせていたのだが。
 その時はふっと。
 そう。これって、そのまま放っておいたらどうなんだろう?って。
 そんな、今すぐにでも振り返りたい気持ちと、ドキンドキン鳴っている心臓を懸命に押さえつつ、背中に全神経を集中していると…。

 それは一瞬。実菜さんの背中をスーッと上から下に走っていった。
 その粟立つ触感に。
 脇から肌をつーっと流れるものを感じた、その直後。
 視線があたるその感触がすぅぅーっと消えて…。
 …!?
 いや…
 ある。
 その感覚は、まだ確かにある。
 いつものようにサッと視線を走らせれば、それは完全に感じれなくなってしまうはずなのに。
 それは、今もかすかながらまだ確かにそこにあった。

 カタカタカタカタカタ…
 目を落とせば、それは折りかけの紙ナプキンの上で小刻みに震えている、実菜さんの両手の指。
 その間も続いている、その感触。
 うん…、見てる…
 今も…
 でも、わたしのことじゃない…
 と、思う……。

 その感じは、冬の夜換気に開けた窓を閉め忘れたいたみたいな感じ。
 いつまでもそれをそのまんまにしていたら、部屋の中で凍えてしまう。
 そう。ソレをそのままにしておくのは、もう限界。
 何より、悲鳴が…。
 今にもワーっと口から飛び出しちゃいそうで。

 せーの、せっ!って、一気に振り返った。
 そこは、ドアのすぐ横のガラス窓の向こう。
 狙うように一気にそこに走らせた、実菜さんの視線……


 うん…。
 わたし…。
 それってさ、どうやってみてもね、うまい言葉に出来ないの…。

 だってね、そのことって絶対気持ち悪いことなの。
 でもね。
 わたし、その時ってそこ(バイト)辞めるわけにはいかなかったのよ…。

 それはわかるでしょ?
 経済的にもさ。そして、それと同じくらい精神的にもね。
 そこ辞めちゃったら、またあんなへたり込みたくなるくらい怖い夜を過ごさなきゃならないんだもん。

 だからね、そのことって無視しよって…。
 だってさ…。ソレってさ…。
 そんな風に気持ち悪かったとしてもね。
 それを感じたら、すぐにそっちを見ればなくなっちゃう、そんな程度のものなんだもん。

 そんな風にね。
 そのことは、心の奥に無理やり押し込めちゃおうって。
 気にしないようにしようって、忘れちゃおうって……。

 もちろんね、それは本当に気持ち悪いことなの。
 あの時、一気に振り返ったそこにほんの一瞬だぇ見えた、人の姿みたいな形の空白なんてさ…。
 そんなモノ見ちゃったら、気持ち悪いに決まってるじゃない。
 まるでさ。そのガラスの向こうでさ、今の今までソレが立って店の中をじーっと覗いてたのにさ。
 わたしが振り返った途端、パッと消えちゃって。
 で、そんな人の形の残像みたいな空白だけが一瞬見えたなんて、気持ち悪い以外なにものでもないじゃない。

 でもねー、ホント何度も言うようだけどさ。
 夜、布団に入る前にさ。
 必ず「もし夜中に目が覚めちゃったら、その時は絶対起きて水を飲みに行くんだからね。行かなきゃ絶対ダメなんだから…。行かなかったら、わたし…、死んじゃうんだから…」なんて言いきかせてから寝るような毎日を思えばさ…。
 うん。だからさ。それ思えばさ。
 それって、まだマシだったのよ……


 そういえばね。
 学生の頃、中学の友だちのお葬式に行ったことがあるの。
 うん。彼女も自殺だった……

 あ、“も”って…。
 だから、わたしは別に自殺したわけじゃないけどね。
 ふふ…。

 だから…、そう。中学校ん時の友だち、自殺したのよ。
 学生の頃…。

 そりゃびっくりしたわよー。
 でもね、わたしも他のみんなも。
 悲しいって気持ち…、全然なかったの。
 今思考えても、ちょっと不思議なくらい。

 中学の時の友だち、みんなでお葬式に行ったの。
 みんな、とりあえずはしおらしい顔をしてお焼香したらさ。
 後は、もう完全に同窓会になってた。
 それも、彼女の部屋で…。

 みんなであの頃のこと話してさ。
 みんなでケラケラ、大っきな声で笑ってた……


 ううん。それがいいとか悪いとかって言ってるんじゃないの。
 あの時って、誰もが来年の1月になったら成人式ってそんな頃だもん。
 死ぬなんてこと、たとえ昔の友だちが本当に死んじゃったんだとしても、全然実感として迫ってこないのよ。

 もしかしたらさ、今だってそんなものじゃないかって思うよ。
 だって。わたしだって、みんなだってさ。
 自分で自分の人生を生きてんだもん、それでしょうがないじゃない?
 だからね。それこそがさ…。それこそが生きている人と死んじゃった人の違うとこでしょ?

 でもね。確かにそうなんだけどさ。
 それって、わたし達が生きている側たから、そう言えちゃうんだろうなーとも思うの。
 ていうか…、わたしが思いたいだけなのかもしれないけどね。

 それこそね、死んじゃった本人からしたらさ…。
 うん。まぁね。死んじゃったら、そんなこと関係ないんだろうけどね。
 それが…、うん。だから、つまり、それが死ぬってことなんだろうしね。
 その人の存在どころか、その人の気持ちや思いまで、生きてる人たちの勝手にされちゃう……

 死ぬってさ…。
 結局、そういうことなんだなーって思う。



 実菜さんは、そんな違和感に付き纏われる毎日だったけれど。
 でも、ソレに気がついて気持ち悪かったとしても、振り返ればソレは消えてなくなってしまうわけで…。

 そう。ソレなんて、所詮そんな程度のモノ。
 ……と、思ってしまうならば、それはそんな程度のコト。
 そんな些細なストレス、誰しも日々普通に抱えていた。



 低く垂れこめる雲と雨の色が、そのまんま街の色みたくなった頃。
 実菜さんの家のポストにあった、一通の封書。
 それは、まるで思い出したみたいに舞い込んできた、ある会社からの採用通知だった。




── 本日これまで!
  17話目『スゥィーーーツな怪談話~Episode-2:その3』〈了〉
____________________________ メルマガ配信日:13.2.25
                   *このお話は「Episode-2:その4」に続きます



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2015
06.21

必ず“笑ってしまう”…。 もしかしたら、それが“コワい”のか?(笑)



 やにわにyoutubeの貼り付けで、何ですが……
 しかも、コレときたもんだ(爆)





      いやもぉコレ。見ていたら、思わず、

      えーっ!小学校の歯科検診!?って。

      やっぱり吹き出しちゃいましたとさ(笑)



 ていうか、この顔。
 あらためて見ちゃったら、たぶんナマズの顔真似してる人なんだろうなーなんて(笑)

         オバケは瞬間勝負!決してじっくり見てはいけない…
 




 ていうか、ていうか。
 ま、その辺りも狙ってつくってるってことなんでしょうねー。

 つまり、
「文科省推薦PTA推奨夏休みにお友達と連れ立って行くホラー映画」

 みたいな……


 子供:おかーさん。明日、友だちと映画見に行っていい?
 母親:いいけど、何の映画?
 子供:呪怨…
 母親:あー、いいわよ。楽しんでらっしゃい
    呪怨かー。あたしも小学校の時、友だちと行ったわね―
 子供:えー、お母さんもー
 母親:そーよ。みんな、呪怨見に行って大っきくなるのよー

 みたいなー(爆)








 たまには、“ちゃんとした”ホラー見たいんだけどなぁ…… 




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2015
06.21

17話目『スゥィーーーツな怪談話~Episode2:その2』

Category: 怪談話

 そのケーキ屋さんは、東京の下町を走る私鉄のとある駅の近くにあった。

 それは、下町によくある高架の駅。
 高架といっても、そんな高くはない。それこそ、下を行き来する人々のすぐ頭の上にガードがあるような高さだ。
 当然、上を電車が通れば、その下では話す声も聞こえないくらいの騒々しさ。
 ただ、その下を通るゴチャゴチャと狭い道もクルマ通りが多く、やはり騒々しかった。

 件のケーキ屋さんは、そんな道を南の方に2、3分歩いて始まる、商店街の中ほどにあった。
 そこは、下町らしい狭くて、緩くうねった通り。
 小っちゃな店がごちゃごちゃと並んでいる商店街だけに、当然その店もそんな大きな店ではなかった。
 それでも、店は全面ガラス張りで。
 ショーケースに並ぶケーキやその他お菓子が外からでもよく見える、オープンな雰囲気の明るい店だった。

 店の中から見て、右側には濃い茶色の木の枠の上下にガラスがはまったドア。
 ドアの左側は、外から中を見るのに邪魔にならない高さに、様々なディスプレイをする、やっぱり濃い茶色の棚。
 その棚は、店の左側の焼き菓子等を並べてある、幅の狭い3段の棚にそのままつながっていて。
 その3段の棚が終わったところからは、ケーキを並べてあるガラス張りの保冷ショーケースがLの字形に、奥に続いていた。

 ケーキが並ぶ、そのL字型のショーケースの内側は、さらに奥のケーキやお菓子をつくるキッチンスペースに接していた。
 そこは、丸見えってほどでもなく。でも、外からも、それとなく見えるようになっていた。

 そんなウナギの寝床みたいなケーキ屋さんでの実奈さんの仕事は、お客さんの応対。
 見た目50代にいってるかいってないかくらいの店主と、やはり同じくらいの店の奥さんは、最初は実菜さん一人に店を任すのが不安だったのだろう。
 やたらせわしそうに、キッチンスペースと店内を行ったり来たり。
 でも、3週間目くらいだったか?
 実菜さんが店に慣れてきた頃からは、2人とも奥でケーキやお菓子作りに没頭していることが多かった。

 とはいえ、ま、そこはなんといっても街のケーキ屋さん。
 実菜さん一人で対応しきれないほどお客さんが並ぶなんてことは、ほとんどなかった。
 でもまぁ味はいいし。お店の雰囲気もよいこともあり、お店のファンも多いのか、日々それなりにお客は来ていた。
 そんなお店で、実菜さんは忙しい毎日をおくっていた。


 そもそも店の全面をガラス張りにして、外から中の様子がよくわかるようにしてあるせいだろうか。
 それとも、ケーキという誰でも心がワクワクする商品を扱っているせいなのか。
 店の前を通る人は、歩きながらそれとなくお店の中を覗いていくことが多かった。
 実は実菜さん、バイトを始めたばかりの頃は、道行く人たちのその視線にちょっとドギマギしてしまったくらい。
 もっとも、店の奥さんはそのことがすぐわかったのだろう。
 やり場のなさそうな顔をしていた実菜さんに、ケラケラ笑って教えてくれた。

「大丈夫よー。いくら実菜さんが美人でも、ウチのケーキには敵わないからぁー。」
「え…!?」
「あたしもね、この店始めたばかりの頃は、
 外を歩いている人の視線が気になっちゃってね。
 なんだか恥ずかしくってねー。
 ほら、その頃はあたしもまだ若くてキレイだったから…。」
「……。」
 どう反応しようかと実菜さん。戸惑っている間もなかった。
「ケッケラケラ…。
 いやぁーねー、実菜さんって正直で。
 失礼しちゃうわ、ふん!ケラケラケラ…。」
「いえ。そういうわけじゃ…。」
 そんな慌て顔の実菜さんを、店の奥さんはしばらくイタズラっぽい目で睨んでいたのだが。
「ねぇ実菜さん、ちょっと外に出てさ。
 向こうから歩いてきて、店の中を見てみてよ。
 あたしは、ショーケースの内側にいるからさ。
 さ、早く、早く!」
「は、はい…。!?」
「もぉいいからぁー。早く外に行って。
 歩きながら中を見てみなさいって。ほら、ね。
 ケラケラケラ…。」

 ワケがわからないながら実菜さん。追い立てられるように外に出たら、すぐに奥さんの言っていたことを理解した。
 外から見た店の中は、ショーケースに並んでいるケーキは一つ一つよくわかるのに。
 でも、ショーケースの内側にいた奥さんの顔は陰のようになって、ほとんど見えないのだ。
 実菜さんは、やっと気がついた。
 あ、そっか…
 店の前を通る人はケーキを見てただけなんだ…

 実菜さんが店に戻ると、奥さんはやっぱりケラケラ笑っていた。
 なんでも、店主である旦那さんがそういう風になるように設計してもらったとかで。
 そのことを自慢顔で嬉しそうに話す奥さんを見ていたら、実菜さんまで何だか嬉しくなってきて。
 奥さんと一緒にケラケラ笑っていて、ふと気がついた。
 あ…。わたし、こんな風に笑ってるの久しぶりよね…



 そんな風に楽しく、そして心地よい忙しさのある毎日。
 そして、待ちに待ったバイト代も入って。
 とりあえずは明日の心配をすることもなくなった実菜さん。
 夜だって、ぐっすり眠れるようになって。
「今度バイト代入ったら、なんか服買いたいなー。
 あ、あと、少し髪も切りたいな…。」
 そんな、やっと人心地がついた頃。
 実菜さんがそれに気がつくようになったのは、最初のバイト代をもらって2、3週間経ったそんな頃だった。


 最初は、視界の端の違和感だった。
 そこは、ガラス張りのショーケースの内側。
 いつものように立っていて、ふと感じた何か。
 それは、左目の視界のギリギリのところでチラっチラっと…。
 「っ!?」って。
 実奈さんが視線を向けても、お店の正面の大きなガラスがあるばかり。
 ガラスの向こうの昼下がりの商店街を通り過ぎていく人たちは、時間が時間だけにのんびりした歩調の人が多かった。
 でも、どちらかといえばケーキより和菓子であろうお年寄りが多いせいか、ケーキに視線を向けてくる人はあまりいないようで…。

「……!?」
 首を傾げながらも実菜さん。
 そんな違和感にいつまでも付き合っているわけもなく。
 そうそう。
 暇な時に、箱とラッピングペーパーを整理しておいてって奥さんに言われてたんだった…。
 そんな、実奈さんがガラス張りのショーケースに背を向けて作業していると、また…
 今度は、右目の端に入ってきた違和感。
「え…。」
 慌ててそれを感じた方を見ても、さっきと同じ。
 そこには店の大きなガラスがあるばかり。
 実菜さん。今度は、しばしそこを見つめていて、ふと。
 あっ。もしかして、小っちゃな子供が店の壁のとこに隠れて中をのぞいているとか?
 ショーケースの外に出た実菜さんは、歩きながら外をキョロキョロのぞくように。
 さらにドアを半分だけ開けて。首だけ出して右左と見るも、そんなような子供の姿はなく。
 ただただ商店が、うねった道に沿って並んでいるばかり。

「変ねぇ…」
 実菜さんは、ドアから首だけ出したままひとり言。
 とはいえ、ずっとそうしているわけにもいかず。あきらめてドアを閉めようとして、それに目がいった。
 はす向かいのお肉屋さんの店先の赤いのぼりが、やけにせわしくはためいているのに気がついた実菜さん。
「あ、風が出てきたんだ…」と、またひとり言。
 つられるように空を見上げれば、空のあちこちに重々しい濃いグレーの雲があちこちに浮かんでいる。
 あれ?朝は全然青空だったのに…
 すぐにも天気が変わりそうなその空を、一瞬何もかも忘れて見入っていた実菜さん。
 そして、気がついた。
「あ…」と、大きくため息を一つ。
 いつの間にか、そんな季節になってたんだ…
 そっかー。もぉ春なんだなぁ…
 そんな、何より大事なはずの自分の時間を無駄にしていた、つい昨日までを思い返していて、ふっと。
 あ、なんだ、風だったってこと…?
 空気の色が急に違って見えた。


 そう思って店の中に戻った実菜さんだったのだが。
 でも、気になってしょうがない感覚はまだ残っていた。
 妙に。
 ただ、それはさっきの違和感のことでなくて…。
 実菜さん、それはわかっていた。
 外がなんだか、無性に、気になる…
 自分が今、とっても大事なことを放っぽりだしているような…
 でも、それが何だかはわからない。
 そんな、妙に気が急くような思いにとらわれ実菜さん。
 ケーキの並ぶショーケースの内側に戻ったものの、作業の続きを出来ないでいたそんな時だった。
 ほんの一瞬、実菜さんとソレと視線が合った。

 それは、表のガラスのこちら側。
 飾り付けをする棚の一番端、淡いベージュ色の塗り壁とくっついた所。
 そこにあったのは、壁に寄りかかって座っていたロンドンの兵隊さんみたいな──赤い上着に黒い帽子の近衛兵──ギョロ目の人形。
 あれ、こんな人形あったっけ?
 ……。
 あ、あったか…。
 そう。あれは、店の定休日の次の日。
 店に入ろうとして、店頭のガラスの手前の棚の飾りつけが変わっていて…。
 そう、あの時からあったけ…。
 えっ。なら、さっきの誰かが見ていたみたいな違和感って…。
 人形に引かれるように近寄っていく実菜さんの足。
 その40センチくらいの人形は近くで見れば、傷やら、汚れやら、思ったよりもあった。
 なんだろ?アンティークなのかな。
 でも、なんなの?このギョロ目…。
 あんまりカワイクないなー、フフっ。
 あっ…。
 ううん、違う。
 さっきの変な感じって、これじゃない……

 そのロンドンの兵隊さんみたいな人形のギョロ目は、ギョロ目すぎちゃって逆に視線って感じにはならないのだ。
「うんん…っ。」
 その何だかわからないことへの抗議ともいえる、ため息ともつかない声をのどの奥から発した実菜さん。
 その直後。2歩3歩と、無意識に後ろに下がった時だった。
「っ!」
 右目の後ろに走った人影に大慌てで振り返ったそこはドアの外。
 ドアのガラスの端、奇妙に歪んだその人の姿。
 そんな、ドアのガラスの斜め向こう。それは黒っぽく、女の姿のように見えた。
 その黒っぽい女の姿がドアに手をかけたその途端、たちまち流れ込んできた外の音。
 通りを行き交うクルマの音やその他諸々の音は、実菜さんをたちまち仕事モードに引き戻す。
 店内に入ってきた、子供がヒソヒソ話す声。
 内側に開いたドアの隙間に見えた、ほっそりした手首。
 その下をくぐるように入ってきたのは、パタパタした歩き方の小さな男の子だった。
「ちょーっと。お店の中ではママのそばにいてよぉー。」
 そんな鼻にかかったような声も店の中に入ってきたと思ったら。
 今度はそれは、やけにスラーっと、おしゃれっぽい若いお母さんの姿になった。

「いらっしゃいませー。」
 ドアに手をかけたまま、笑顔の一歩手前みたいな表情でひょこっと頭を下げたそのお母さん。
 そのまんま、盗み見るような目で、実菜さんをチラリと見返す。
 そんなお母さんのすぐ後ろ。陰になってよく見えない女の人は一緒に来た友だちかなんかだろうか?
 そのお母さんの背がすらりと高いせいか、陰になってよく見えない。

「だから英太、先行かないでって!」
 パーッと駆け出しかけたその子の手をすんでのところで掴まえたからだろう。
 そのお母さんのもう一つの手がドアから離れた直後、その音はやにわに降ってきた。
 ドーン!
「きゃっ。」
 それは、やけに勢いよく閉まったドア。
 そのいきなりの大きな音に驚いたのだろう。そんな、小さく悲鳴を発したお母さん。
 手をつながれたままの男の子も目をまん丸。固まったようになってお母さんの顔を見上げている。
 そんなお母さんの顔は、さっと実菜さんを向いて。
「ご、ごめんなさい…。」
「いや、こちらこそ申し訳ありません。
 大丈夫でした?手を挟んだりしませんでした?
 ホントすみません。
 このドア、ちょっとバネが強いみたいなんですよねー。
 ボクぅ、ビックリしたぁ?大丈夫ぅ?」
 実菜さんがそう謝っていると、やっぱりドーンというその音にやっぱり驚いたのだろう。
 見れば、店の奥さんが奥から飛び出してきたところ。


 そのドアは、確かにバネがちょっと強かった。
 それは実菜さんも気づいていた。
 ただ、それにしても、その時の音は激しすぎたような……

 いや。実菜さんがそれを思ったのは、ずっと後のこと。




── 本日これまで!
  17話目『スゥィーーーツな怪談話~Episode-2:その2』〈了〉
___________________________ メルマガ配信日:13.2.23
                  *このお話は「Episode-2:その3」に続きます



注!無断転載禁止
  断りなく転載されるのは非常に不愉快です。やめてください
  ブログの記事は全て「著作物」であり、著作権法の対象です。
                ↑
          ちょっと剣呑で、ゴメン(^^;)






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2015
06.21

『海辺のカフカ』 ~ “世界はメタファーだ”、のわけねーだろー(笑)

Category: R&R


 村春氏は、たぶんジュブナイルを書きたかったんじゃないのかなぁ……

 な~んて(笑)


 ま、そんなことばっか書いてっと、村春ファンに怒られちゃいますよね(笑)
 
 コイツはウンチ…、じゃなかったアンチだ!って


 でも、『海辺のカフカ』。
 読んでいて、それはずーっと思ってましたね。

 これって、村春氏がティーンエイジャーに向けて書いたメッセージなんだろうなーって。

 青春とは…
 悩むもの、苦しむもの。
 何より、イッパイ考えるもの。
 もがきなさい、あがきなさい…って(爆)


 ただ…

 構成なのかな?それとも、お話のモチーフなのか?

 その辺よくわからないんだけど、「この話」って、意図的なのか意図的じゃないのか、この時代にマッチし(すぎ)ちゃった部分があって。

 その、読んで“いろいろ考える”が、ミョーっに「商品価値」になっちゃったようなところがあるような気がしてしょうがないんですよねぇ…。

 ま、村春氏。
 はたして、その辺って意識していたのか…
 それとも、さすがの村春氏もそこまでは意図してなかったのか…



 この『海辺のカフカ』は、その前に読んでいた『スプートニクの恋人』が好きだっただけに、そこがちょっと…、というか、かなり残念でした。

 うん。面白く読めるのは読めるんですけどねー。
 でも、読んでいて、な~んかイマイチ、拒否感が…、ある。


 ていうか。

 これって、私自身がティーンエイジャーの頃か、遅くとも社会人になる前に読んでいたら印象は相当違ってたろうなぁ…って。



 結局…
 主人公のカフカ少年って、何だかんだ言うわりには“たんなる子供”なんですよね。

 ま、子供からは、はるか遠くまで来ちゃった私みたいなのに言わせると…さ(笑)


 いや。それは、いわゆる上から目線で言ってるんじゃなくってね。

 カフカ少年って。
 よくよく考えてみれば、家出した以外は最初から最後まで、結局何もしてないし、また何一つ出来ないわけですよ。
 自分一人、では…。
 巡り合った人たちが作ってくれたレールの上を通っていただけ。

 まーね。
 お話上、メタファーだなんだくっついてくるから、何かとても意味のあることやってるように見えるんですけどね。

 よくよく考えてみれば、その場その場を気まぐれに流されているだけなんですね。

 つまり、どこにでもいる、当たり前の“普通の少年”なんですよ。



 これ。
 もしかしたら、「お話の主題」は、たぶんナカタさんパートの方にあるんでしょうね。

 つまり、お話の主人公はナカタさんで。
 カフカ少年というのは、「お話」全体の“狂言回し”みたいな役割なんじゃないですかねー。

 それとも、“あなたの人生は、今も誰かの行為の上に成り立ってる”みたいな意味もあるのか?

 だって、佐伯さんがカフカ少年の母親であるわけもないし。
 さくらだって、姉のわけないですもん(笑)

 だって、二人がカフカ少年の肉親なら、父親の示唆(呪い?)が現実になっちゃうわけですよね。

 そうなっちゃったら、ナカタさんパートとのつながりがなくなっちゃうわけですもん。

 ただまぁそういいつつも。
 あくまで、主人公はカフカ少年なんでしょう。
 
 といよりは、読者である若い世代の分身であるカフカ少年なんだろうなー

 そう考えるとね、ほら、「お話」の終わりがああというのが、ストンと納得できるんですよ。

 つまり、カフカ少年というのは、まだまだほとんどを“他”によって生かされている、(自分の可能性を特別と思い込める)“普通の少年”にすぎないと。



 そんな風に、カフカ少年をたんなる“普通の少年”として見ちゃうなら、村春氏は村春氏なりの『青春の門』を書きたかったんじゃないのかなーって思っちゃうわけです。



 だって、現実の世界に「メタファー」なんてあるわけないでしょ(笑)

 ここで描かれているのは、“人が世界にメタファー出来る”、村春氏特有の「異界」という考え方もあるんでしょうけどねー
 でも、だとしたら、私は、まだまだ「村春ビギナー」なんだろうなー


 メタファーが「隠喩」であるなら、ソレは“人が意図して”隠喩しているってことですよね。

 でも、人は現実の世界に隠喩出来ません。

 唯一あるとすれば、それは「子供時代」だけに存在する(or存在すると錯覚出来る)もんなんじゃないのかな?



 いや。「メタファー」って、“現実の世界にもある”って言う人もいるんだとは思うんです。

 うん。確かにソレに似たものはあるとは思います。
 現実に見つけた、あるいは見つけている人もたくさんいるんじゃないでしょうか。


 でも、それは「メタファー(隠喩)」ではないですよね。

 だって、隠喩というのは、あくまで“人の行為”なんですもん。

 現実の世界でソレを「メタファー」だと感じるのは、つまり“現実の世界の中でなんらかを指し示す動きや兆候をとらえた”ってことですよね。

 でも、ソレは「メタファー(隠喩)」ではないわけですよ。
 だって、隠喩というのは、あくまで“人が喩を(意図して)隠すこと”なんですから。

 現実の世界で見つけたソレが、“人が喩を(意図して)隠したもの”のわけありません。

 だって、人は現実の世界に喩を隠す意味も必要性もないし。
 そもそも、人は現実の世界に喩を隠すことなんて出来ません。

 人がメタファーだと感じるソレは、あくまでその人が見た何かや、経験した何かを頭の中で結び付けたものですよね。


 いや、もちろん。ソレを“「メタファー」だと隠喩する”のは構わないと思います。

 でも、それはあくまでその人(メタファーを見つけた人)がソレをそう「隠喩」したものであって、「メタファー」(他者が隠喩したもの)ではないんですよ。

 その点は、キチンと認識しておかないと!

 もしかして、ゆえに村春氏はそれを認識できない人がいる世界のお話を書いたのか?



 『海辺のカフカ』はね、お話としてはとっても面白いとは思うんですけど、“そういう意味でツマンナイ”んですよ。

 ただ…
 『海辺のカフカ』を、メタファーというものを錯覚できるティーンエイジャーの頃に読んだら、 “そういう意味で面白い”だろうなーっていうのはすごく思いましたね。



 大人なんて…
 体面を守るために偉そうなこと言ってますけど、所詮は子供に毛が生えた程度の違いしかないんですけどねー(笑)

 ただ、そうは言っても、大人と子供って、微妙に(時には大きく)違うわけじゃないですか。


 いっやー、『海辺のカフカ』。
 “子供として読める(子供として読んだ)人は幸せだ”って思うなー。

 いや、ホント。
 そこは素直にうらやましいなーって思います。









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2015
06.20

蚊といえば…



 蚊かー。

 蚊ですよ、蚊!


 で、蚊といえば、最近のCMでなんかミョーに好きなのが金鳥の蚊取り線香のヤツ。

 ほら、蚊に“刺された”と“噛まれた”の境目は…っていうヤツです。

 http://www.kincho.co.jp/cm/html/uzumaki_sasareru/


 金鳥のCMっていうと、今は昔な“ハエハエカカカ”をはじめ、不可思議なバカバカしさが伝統ですけど、これも変なシュールさがありますよね(笑)

 裏の意味なんてあるわけないのに、ミョーに裏を考えちゃうみたいな…



 私は、ま、子供の頃から“刺される”だったように思うんですけど、“噛まれた”(というか“食われた”)と言うのは知っていました。

 というのも、ウチの親の田舎の辺りは“食われた”だったらしくて、よくそう言ってたんです。



 でね、ま、それはそれとして。
 面白いのは、蚊の呼び名。

 “蚊め”なんですよ、“かめ”(笑)


 いや。もちろん蚊は“蚊”なんです。
 “かめ”ではないんです。

 でも、蚊を呼ぶ(言う)時は“蚊め”。
 なぜか、いちいち“め”が付くんです(笑)


 “こいつめ”とか、“ヤツめ”みたいに。
 終わりに“め”つけるみたいな感覚なのかなーって思うんですけど、つまり、だから犬だったら、“犬め”。猫なら“猫め”になると(笑)


 ただ、“め”は何にでもつくってわけではないんですよね。

 たぶん。
 呼び名が、1音か2音の生き物だけなんじゃないのかなぁ…。

 おそらく、“め”をつけることで言いやすくなるみたいな、そんな感じなんじゃないですかね。

 方言って、そういうのが多いですよね



 ちなみに。
 “蚊め”じゃ、「亀と区別つかないじゃん」って思う人もいるかもしれませんけどー(笑)

 そこはご安心を。

 “蚊め”は、“蚊ぁめ”。あるいは、“蚊んめ”と発音するんで、亀(かめ)とは明確に区別出来るんですね。

 “蚊ぁめ”の“ぁ”は“ー”ではなく、あくまで短く“ぁ”。
 “蚊んめ”の“ん”も、小さく“ん”という感じに発音する。



 ちなみに、ちなみに。

 じゃぁ“亀”はなんて言うかっていうとー。

 うーん。“亀”はねー。
 “亀”に“め”を付けて“亀め”と発音するの、聞いたことがあるようなー、ないようなー。


 ……!?(笑)









 で、再び蚊といえば。

 最初に目撃したのは、確か今週の水曜の夜だったか……


 いやもぉやけにもっさもっさした蚊で。

 飛び方も、ふわぁー。ふわぁーみたいな…


 叩き潰そうと思ったんだけど、たちまち、すーっとどっかいなくなっちゃって…


 てことで、その夜はとりあえず蚊取り線香モワモワ……(笑)



 でも、敵は次の夜襲ってきた。

 いや。襲われた時の記憶はない。

 
 左膝の裏が何気に痒い。

 でも、特に気にもしないでTVを見ていたら…

 何気に痒いくらいだった左膝の裏が、無性に痒くなってきて!

 ひぃーっと掻きながら見たら、でっかく蚊に刺された跡。

 しかも、半径5センチくらいに3つ!


 テ、テメぇー!絶対ぶっ殺してやる!(笑)



 たちまち、蚊取り線香をパキパキ4つくらい折って。

 煙、モワモワどころか、部屋中もぉボワボワ。

 しばらく辺りを睨みつけてたんだけど……


 敵は蚊取り線香に恐れをなしたのか、それともたんに腹イッパイになったのか、姿かたちも見えない。


 と思ったら、今度は深夜の夜襲!

 キモチよく寝てる人の耳元を、プーンとばかり低空飛行。

 テ、テメぇー!火あぶり!火あぶりっ!
 見つけたら生け捕りにして、絶対火あぶりだーっ!(爆)


 って、真夜中、部屋を蚊取り線香で霞むくらいにして。
 布団の上で、辺りを虎視眈眈してたんだけどー

 いやもぉ眠くってー(泣)



 そんなことがあっても人間、前日の蚊のことなんていちいち憶えちゃいないもの(笑)

 蚊もそのことは織り込み済みなのか、やっぱり夕飯食べてTVを見ていたら、何気に右足のふくらはぎが痒い。

 そのうち、やっぱり堪らなく痒くなって見れば、それはまるで昨夜の左膝の裏がソックリそのままそこに移ったような、3つの跡(笑)

 またもやテメェーかーっ!


 …って、まったくそのまま前日の繰り返し。

 もちろん、深夜の夜襲も……(泣)



 人間とは悲しいもの…

 2日続きで蚊に襲われても、次の夜にはすっかり忘れている。

 ていうか、蚊は血を吸った後。
 もしかして、刺されたことを次の日には忘れてしまう物質を注入しているとか……!?



 そんなわけで、堪らぬ痒みで見れば思いだす、あの3つの刺し跡(爆)

 もぉ怒るよりも、
 1ヶ所でいいだろー、1ヶ所でー!
 何で3か所刺すんだよぉーって。

 やれやれ…


 で、蚊。
 昨夜は2匹叩き殺しましたね。

 1匹なんて、“く”の字にひしゃげてやがってー!

 ざまーカンカン(爆)


 

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2015
06.13

信じるものは……




 ちょっと前なんですが、ひょんなことからストレッチにはまっちゃって。
 
 でね。それ以来、どーも「健康オタク」になっちゃったみたいで(爆)

 え、なに?ダセーって?(笑)



 そんな今日この頃。

 最近知って驚いたのは、「カフェイン中毒」なるものがあるんだとか。


 か、か、カフェイン中毒ぅ~!?

 …って、あ、あれか!

 「カフェ」に“in”せずにはいられない…、いわゆるス●バオタク的な、つまり「カフェ」に入り浸りの人のことか!?

 なぁ~んてわけもなく。


 いや、なんでも。

 カフェインを短時間に多量に摂ると、精神や身体に異常をきたして。
 カフェインの代謝が遅れると悪化。最悪、死に至る可能性もあるんだとか。

 注!上記は相当省略してるんで、気になる方はちゃんとお調べてね



 “最悪死に至る”なんてこと聞くと、健康オタク以前にコーヒーオタク歴ウン十年な私としては、思わずビックリしちゃうわけですが…。

 えー、でも、何週間か前。
 ニュースで、コーヒーをイッパイ飲む人は、“全死亡リスク及び心疾患、脳血管疾患及び呼吸器疾患による死亡リスクが減少する”って言ってたぞー!なんて(笑)

 http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3527.html



 まーねー。

 つまりは、何ごともほどほどが大事!ってことなんでしょーね(笑)


 しっかし。
 この手の「健康に関する情報」って、あっちとこっちで真逆の判決を下してるどっかの国の裁判所みたいだなぁ…なんて(爆)




 そうそう。
 健康オタクといえば、昔「あるある」、今「ガッテン」ですがー(笑)

 いや、最近は私も立派な健康オタクなんで、時々見るんです。
 「ためしてガッテン」(爆)

 いつも思うんですけど、あれ、20分番組になんないですか?



 そんなわけで、最近大いに“楽しませてもらった”のは「高野豆腐」!

 なんでも、“高野豆腐はお湯でも戻すと、今までのイメージが覆っちゃうくらいぷるぷるでウマイ!”んだとか。


 てことで、番組に出てた人たち、やたらめったら感動してたんですけどー。

 えー、そんな絶賛するほどかなぁ……

 なんて。

 つまり早速買って、試したわけですね ←まさに健康オタク!(爆)



 ていうか。

 高野豆腐って今までほとんど食べたことなかったんだけど、コレ、普通にウマイよなぁ~って(笑)


 だから、私としては、お湯で戻してぷるぷる云々よりも。

 番組の最後でやってた、高野豆腐を作ってるおじいさんが「みそ汁にはこれ(高野豆腐)じゃなきゃー」って言ってた場面に、とっても共感しちゃったと。


 高野豆腐はさ、やっぱり、あの“ごそごそした食感”がいいんだと思うなー(笑)

 

 ま、なんだ、この手の「健康番組」って。

 健康番組を1週間に1回見て
 健康にいいモノ、一つ食べるようになって
 で、次の週も、また一つ食べるようになって
 でもって、その次の週も、また一つ
 次の週も、次の週も……

 …って、1年経つと、毎日48種類のモノを食わなきゃなくなるわけですが、ま、そんな人、まずいないわけじゃないですか(笑)


 番組を見てそれを試す人は相当いるんだろうけど、普通はある程度続けて、その内やめちゃうわけですよね。

 そう考えると、「健康番組」とか「健康情報」って、
言ってみりゃぁ“庶民のレクレーション”なんだろうなーって。


 「ソレ」を知って、次の日買いに行ってみたり、試してみたりってことに“ワクワク”して。

 時々、売切れちゃったりなんてこともあったりで、そんな時は探してでもゲットする“達成感”。

 試した後は、「もしかして、効果あったかも!?」って“一喜一憂”。

 さらに、友人知人と盛り上がって“Let’sコミュニケーション”。

 1ヶ月もしたら「ソレ」のことなんてすっかり頭から消え去ってるんだけど、でもその頃には別の「ソレ」に“夢中”…みたいな(笑)


 そんな、日々の暮らしに“ささやかなイベント”を取り入れることこそが「健康の素」なのかもしれませんね(笑)








           ただ…

           信じるものは、救われてるんだか…

           救われてないんだか…

           うーん!?




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2015
06.09

つゆ、つゆって…



 なんでも、本日(6/9)関東地方梅雨入りだとかで……



 テレビでもネットでも、やたら“つゆ”、“つゆ”って、

 オマエは牡丹灯籠かっ!



 …って、それは露。お露さんっ!(笑)

 え?なに言ってるか全然わからないって。
 たくもぉ。そのくらい知らないと、2020年になったら困るぞ!(爆)




     ていうか、早く梅雨明けろ!今すぐ夏になれ! 





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2015
06.09

「スカイラブの恋人」じゃダメ?なーんてことは全然思わなかった『スプートニクの恋人』(笑)

Category: R&R


 まー、人の営みなんてねー。

 気がつけば、同じところをグルグル回ってたりっていうようなことってあったりするわけですけどねー。

 ま、スプートニクだけに(笑)


 だから、ほら、何かしていて…。

 「あー。そういえば、去年も、ちょうど今くらいにこれをしてたんだっけ…」と気づくこと、時々あったりしません?


 まぁ私なんかだと、音楽が好きなんで。

 季節毎、季節毎、気がつくと同じジャンルの音楽を聴いたってことがよくあります。

 例えば、ある日、ふっとあるCDが聴きたくなって。

 棚の奥から引っ張り出して聴いていたら、「あー、これって去年も今頃よく聴いてたんだっけ」なんて思いだしたり(笑)


 ま、それは、たぶん気候の変化による影響なんだと思うんです。
 陽の光の加減だったり、湿気だったり。

 そういえば、アイスクリームの売り上げが一番多いのは5月なんですよね。

 たぶん、それは、5月というのが誰もが一年で最初に“暑い”って感じる、あるいは最初に“日差しが強いと感じる”月だからなんじゃないでしょうか。



 ただ、時々。
 それとは違って、偶然同じような影響があって、その結果同じ時期に同じことをやっているということってありません?


 そうなんです。
 おもむろに読み始めちゃった、村春の『スプートニクの恋人』

 読んでる最中、ふっと…。

 あ、そうか。
 去年も今頃、ブログで行き来してた人に影響されて、村春を読み始めたんだっけ……と(笑)


 とはいっても。
 実は私、村春は去年の今頃初めて読んだってくらいって人なんで。

 とかいって、思い返せば、ずいぶん前に『ノル森』は読んだし。
 デビュー作のなんとかっていうのも読んだことあるし、怪談が好きだった頃に幽霊の短篇集読んだことあったなぁーなんて(笑)

 なんて、実はそーとーいい加減だったりもするんですけど、
でもまぁブログって、みんなそんなもんですよね(爆)




 まぁね。3冊も読んでいたのに忘れてるくらいですから。
 村春氏って、基本的に私はファンではないんでしょうね(笑)


 てなわけで、読んでいても、読み始めた途端“ぼくは…”で、いい歳こいた男が“ぼく”って言うな!とか。

 つい最近も、村春の本によく出てくるペ○スという言葉に噛みついてみたりと。

 いや。だから、噛みついたのは言葉ね。村春氏のソレに噛みついたわけじゃないからね(爆)


 いやー、村春氏も大変だなぁ…(笑)





 ま、そんなひっでぇー読者もあったもんだってことなんでしょうけど、でもまぁこの『スプートニクの恋人』って、なかなかいいんじゃない?なんて(爆)


 いえいえ。
 だからって、去年読んだ『羊』と『ダンス』。あと『アフターダーク』と短編集2冊が決してよくなかったってわけじゃぁなくってね。

 ていうか、『アフターダーク』はかなり好きだったんですけど、そういう意味での“いいんじゃない?”ではないいんだなぁ…(笑)


 となると、じゃぁどういう意味の“いいんじゃない”なんだよ?って話になるわけですけど、実はそれ、私もよくわからなくって(笑)

 ただまぁ、なんだろ?
 もしかしたら、やっと私も“村春という「異界」”が少しはわかるようになってきたってことなのかもしれないなーと(爆)




 そう、「異界」なんですよね。
 村春氏の「お話」って。
 全部っ!


 この『スプートニクの恋人』にも“こっちの世界”と“あっちの世界”という言葉が出てくるんですけど、村春氏の小説っていうのは、言ってみれば全部「あっちの村春界」での出来事なんですよね?


 うーん。ただ、どうなんだろ?

 村春の本を読んだ人の感想をネットで見ていると、よく「メタファー」って言葉が出てくるじゃないですか。

 つまり、メタファーってことは、現実を「あっちの村春界」に例えているってことなるわけで、ということは「異界譚」ではないということになりますよね(?)

 つまり、異界だけど現実で、でも現実として読んだらワケわかんなくなっちゃうから、やっぱり異界…!?

 もぉい~かい?なんて……(爆)



 …って、まぁそんなことはどっちでもよくってね。

 小説(お話)なんてもんは、「物語」として面白いか、面白くないか(面白味があるか、ないか)。
 それにつきると思うんです。

 だから、そういう意味で言うなら『スプートニクの恋人』はとっても面白かったんで、ホントこれは素直に“よかったなー”と。

 そういうことかな?



 ただ。

 よくよく考えてみると、単純に“面白い”というのとはちょっと違うような?

 面白いor面白くないで言うなら、どっちかと言うと“面白くはない”かなぁ…。

 ただ、つまんなくはない。

 ……!?(笑)


 ていうか、読んでいて“気持ちよかった”って感じかな?

 いや、だから、あくまで“読んでいて気持ちよかった”ね。
 決して、読んでいて、“気持ちよくなってきた”じゃないからね(爆)



 ていうか、ていうか。
 村春氏の描く“その手の場面”って、ムクムク感(?)は全くないですよね(笑)

 もちろん、村春氏はそう意図して描いてるだと思うんですけどねー。

 実は『スプートニクの恋人』を読んでいて、すごく不思議だったのがそこでした。


 ま、話をわかりやすくするために、あえて「エッチっぽい場面」としちゃいますけど。

 ま、それは、つまり「エッチっぽい」…、といよりは「エッチな場面」なんですけど、でも、読んでいて全然エッチっぽい気分にならないんですね(笑)

 いや。別にそれを期待してるわけではないんで、全然OKなんですけどー

 それは、いい意味でも、よくない意味でもなんですけど、ただ、どっちかと言えばよくない意味で、かなぁ…


 村春氏って。
 なぜか、「エッチっぽい場面」になると、言葉(単語)が即物的になるんですよー(笑)

 あと、「エッチっぽい場面」では、他の場面ではやたら出てくる全然関係ないものを引っ張ってくる形容表現がなぜ一切ないんだろう?


 例えば、主人公の“ぼく”が、すみれが消えてしまったギリシアの島に上陸した場面なんて、その島の風景がまざまざと浮かんでくるのに。

 「エッチっぽい場面」だと、ほとんど何も浮かんでこないんですよね。

 しいて浮かんでくるものといえば、シーツと壁くらい!?
 どっちも、淡ーい水色とグレーの間みたいな色の…。



 「ソレ」って。

 あ、だから、「ソレ」っていうのは、エッチなその部位のことじゃなくって、“エッチな時”のことなんですけど、「ソレ」の時って誰しも性急な希求感があるものじゃないですか?(笑)

 いや。もちろん義務的というか、たんなる日常の作業手的な「ソレ」だって普通にあるんでしょうけどねー(爆)

 でも、村春氏のお話に出てくる「ソレ」は、登場人物にとって意味深い「ソレ」の場面も多いわけじゃないですか?

 え、違う?


 ていうか。
 つまり、それが村春氏が好んで描く(描きたい)、“孤独(感)”ってことなのかなぁ…???



 …って。
 村春氏の「異界」がわかってきたのかもしれないとか言って、逆にいろいろわからなくなってきちゃった気もしますけど(笑)



 その反面、“なーるほど。そーいうことだったんだ!”って、(トンチンカンに)わかっちゃったのが、村春氏の文体。

 あれって、「昭和軽薄体」の一種だよね(爆)

 というか、「昭和軽薄体」のはしり?「本家・昭和軽薄体」?
 いわゆる「昭和軽薄体」は、昭和ケーハク体?昭和おちゃらけ体?


 なーんてこと書いてると、村春氏ファンに怒られちゃいそうですけどねー(ゴメン)

 でも、『スプートニクの恋人』の冒頭!
 あれは、椎名誠の本に書いてあっっても全っ然違和感ないと思うけどなー!(笑)



 …って、そんな『スプートニクの恋人』。

 私は、“すみれは戻ってきてはいない……”って思っちゃったんだけど、どうなんだろう?


 つまり、これは“すみれ”のお話ではない…、と。

 すみれは脇役にすぎなくて、あくまでこれは“ぼく”のお話なんじゃないのかなぁ…!?






     アストラッド・ジルベルトじゃなきゃダメ!って人はこっちをどうぞ
               ↓
    https://www.youtube.com/watch?v=Vgo9av539gU

 そう。『スプートニクの恋人』って。
 どこか、『オルフェ』や『黒いオルフェ』を思い起こさせるのがよかったのかもしれないなー。





 でね。
 最初の、“偶然同じような影響があって、その結果同じ時期に同じことをしている”って話ですけど。

 つまり、それがニュースでカンヌ映画祭のことを見ていて、衝動的に買っちゃった
『岸辺の旅』(湯本香樹実著)。

 『スプートニクの恋人』の後すぐ読み始めたんですけど、その、どこかでつながってるようなお話には、ちょっとビックリしちゃいました(笑)


 あと、読んでいてスゴいなーって思っちゃったのは、時々ふっと入ってくる触感の生々しさ。

 それが思わず“ぞわ”っと感じちゃったりで、この『岸辺の旅』。
 ホンっト、おススメ!(笑)

 湯本香樹実は、大人が主人公の「お話」をもっと書いて欲しいなぁ…





 村春は、『岸辺の旅』で寄り道した後、『中国行きのスローボート』を読んで、今は『海辺のカフカ』を読んでる最中。

 うーん…。
 ま、『海辺のカフカ』はまだ途中ですから。
 最後まで読んだら全然変わっちゃうのかもしれないですけど……

 でも、その途中まで読んでいて思ったのは、私は村春氏の書く「お話(小説)」っていうのはやっぱり好きじゃないんだろうなぁ…って。

 つまり、村春氏の「本」は、たま~に読むのならともかく、“その世界”に耽溺してはいけない……、と。



 でもまぁそれって、ある意味、“最高の褒め言葉”……

 ですよね?(笑)



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