2015
03.29

♪さぁ~くぅらぁぁぁ~ 咲ぁ~くぅなぁぁぁ~(笑)

 


 な~んてこと言ってっと、桜!桜!って大騒ぎのここニッポンじゃぁ怒られちゃいそうですけどね(笑)



 でもまぁ、桜なんて。

 みんなして「わぁ~」だとか、「きれいぃ~」だとか言ってますけど、実際のとこは、花見で食うもん飲むもんの方が楽しみだったり。
 あと、花見ついでのナンパとか…。
 はたまた、ブログネタが目的だったりっていうのが、ホンネだったりするわけじゃないですか。

 実際のとこ……

 あなただってそうでしょ?(笑)





 な~んて、花見をめぐる「大人の事情」は、まぁともかくね(笑)


 そういえば、先週の日曜日。

 ま、彼岸ってことで、墓参りに行ったんわけなんですが……


 なんとまぁ桜がお咲きになってやがりまして(爆) 

K0010021.jpg




 ずいぶんと気の早ぇ桜だ、なぁ~んて。

 だから、そういう早咲きの桜なんだつーの(笑)

 
 齢を取ると気が短くなるとは言うけど、
 墓の住人たちともなると、さらに気が短くなるもんかね?

 なぁ~んて、罰当たりなこと思っちゃったり(爆)

 夜ともなると、みんなして、
 ♪夜は墓場で花見だぜ 楽しーな 楽しーな
  オレたちゃ 死な~ない~

 な~んて、ギャハハ笑いで楽しくやってんのかなぁ~。いいなぁ~(笑)







 とまぁ、そんなこんなで一週間後の本日日曜日。

 都内はもぉ満開か!なんてことになってますけど、ウチの辺りは、まだまだ全然。
 いいとこ2分咲き、3分咲きくらいで。


IMG_2845.jpg

               ま、見頃は来週末辺りかな?


 先週は声だけだったツバメも、今週は大っぴらに飛び交ってたりと、まぁホント春だぁ~ね~。


 とはいえね、春って季節は昔っからどーも苦手でして(笑)

 子供の頃は、春になると桜の木の下で、

 ♪さぁ~くぅらぁぁぁ~ 咲ぁ~くぅなぁぁぁ~

 なんて、よく歌ってたなぁ…(笑)
 暑いんだか、寒いんだかハッキリしやがれ!なんてね(爆)



 でもまぁ春って。
 つい1ヶ月くらい前とは全然違う、陽の光の強さとか。

 あと、春のよく晴れた日の、夕方のあの独特の雰囲気っていうのは、ミョーに堪らないものがありますよね♪
 
 “春はあけぼの”って、な~んてセンスないんでしょ、清少納言(爆)





     この人って、春になると時々街で見かける系の人っぽいとこが好きです♪





 ま、春っていうのは。
 (関東の南部に住んでる私にとっては)とにかく雨が多い季節ってイメージがあって、そういう意味でもイマイチ好きになれない季節なんですね(爆)

 とはいえ、八百屋に売ってるもんの種類がやたらと増えて。
 しかも安い!って面では、ホントいい季節だな~♪なんて(笑)


 そういえば、秋は「食欲の秋」とか言ったりしますけど、春はなんでその手の食い気のキャッチフレーズがないんでしょうね。

 旬が春の食材って、えぇーと、タケノコ。それから、春キャベツ…。

 あとは、うーん……

 あれ?
 春が旬の食べ物って、もしかしてほかの季節と比べてイマイチぱっとしないとか?(笑)



 そういえば。
 春って、いかにも「春ーっ!」っていうメニューをパッと思いつかないような…?

 ま、寿司は比較的春っぽい?とも思わないでもないですけど、寿司って家じゃ作りませんもんねー。

 サンドイッチなんかも春っぽい気がしますけど、でも、夕食にサンドイッチっていうのもなぁ…。
 私はご飯派なのっ!(笑)

 てことで、いかにも春ーってメニュー。
 なんか思いつきます?



 ま、つまり。
 春っていうのは、「働け!」「勉強しろ!」って季節なのかもしれませんね(笑)


 
 あー、だから春ってキライなんだよ!(笑)

 早く夏来~い! 


 *Lliberty Horses - Colours of Spring
https://www.youtube.com/watch?v=919LlDa-7KQ&list=PLY6zJ3bIjc6pEgyBqjljyj78RLojK6eKu



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2015
03.29

「なんで“ピンク”じゃなく“白”い表紙なんだよ!」って。読んでる最中、それが気になって仕方なかった『ハーモニー』/伊藤計劃著

Category: R&R

 その、「ハーニモ―」、じゃなかった『ハーモニー』。
 いや。最後まで読んだら、やっぱ“白”でいいのかな?って。

 とはいえ、最後の章の前までは、ずっーと「これは、真っピンクの表紙にして欲しかったなー」って(笑)
 もー、そのことばっか頭を占めちゃって、ストーリーなんてもぉそっちのけ……

 …なぁ~んてことはあるわけもなく、楽しく読んでました(笑)


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 真っピンクっていうのも悪くないと思うんだけどなー(笑)


 

 いや。実はお話の中で、“ピンク色の軍隊”っていうのが出てくるんですよ。
 なんだか、そのインパクトが強くてミョーに気になっちゃったのと。
 あと、私、ピンクって、昔からミョぉぉ~に好きな色なんですよねー(笑)

 ピンク色の軍隊っていえば、イギリス軍にピンクパンサーって車両がありましたよね
 http://www.tamiya.com/japan/products/35076pink_panther/index.htm




 で、その『ハーモニー』。

 まぁ感想を言うと。

 いっやー、面白かったーっ!(笑)


 実は前作が、個人的に「うーんちょっと…」だったんで ←ゴメン!(笑)

 いや。その前作の『虐殺器官』。
 確かに、“スゴかった”とは思うんです。
 思うんですけど、(あくまで私個人の感想として)「お話」としては、どーも単調だったなーなんて(笑)

 ただ、『ハーモニー』を読み終えた、今になってみると。
 もしかしたら『虐殺器官』は、いわゆる“ワンダー”が足りなかったからなのかな?と思うようになりましたね。

 つまり、『虐殺器官』は一応ジャンルはSFってことになってるわけですけど、でもそのSFの“S”って。
 Sienceの“S”というよりは、むしろSociology (社会学)の“S”だったんじゃないかって(笑)

 “ワンダー”の部分が、サイエンスというより社会学(というより、世界史の“S”かも?笑)であるため、文系の私にはストンとわかりやすすぎちゃって。
 ゆえに、SF小説の肝である“ワンダー”という部分に、物足りなさを感じちゃったっていうのはあるのかもなぁ…って。


 ま、それはさておき。
 とにかく、『虐殺器官』がミョーにイマイチってイメージがあったんで、この『ハーモニー』は手を出しかねていたんです。

 ま、古本が高かったっていうのもあるし。

 古本って。いかに安く、いかに状態のいいもん買えるか、運試し!みたいなとこがあって、ハマるとミョーに楽しいんです(笑)

 あと、主要登場人物が少女3人ってことで、どーせまたニッポン人が大好きな、アニメっぽいアキバ系・カワイイ系「みんなで!みんなで!」みたいなお話なんだろーなーって(笑)

 私は、反アキバ、反カワイイです(爆)

 というのも、アマゾンでその3人の名前が「トァン」、「キァン」、「ミァハ」と知った途端。
 うっわぁ~、じんましん。あちこち痒ぃぃ~っ!って(笑)

 ったく、「ハーニモ―」だか、「ファインディング・ニモ」だか知らねーけど、もぉ伊藤計劃はぜってぇ読まねーぞー!って。

 な~んて、思ってたんですけどねー。
 たまたまある日、たまたま入った本屋の本棚で、それがたまたま目に留まって。
 「あ、変態じんましん本だ…」なんて ←ひっでぇ~言い方(笑)

 ただまぁその時っていうのは、私も変態じんましんな気分だったんでしょうね。
 なんとなく手に取って、ペラペラとページをめくっちゃったんです。

 いや、リアルに例のトァンキァンミァハって文字を見た時は、思わずあちこち痒くなりましたよ。
 でもまぁ季節柄、花粉症かなぁーなんて。

 ちなみに花粉症、私は1日だけ症状が出るタイプです(ま、どーでもいいやね)


 まーね。
 そんなけちょんけちょんに言ってんなら読まなきゃいいじゃん!
 とか怒られちゃいそうですけどね。

 でもね。けちょんけちょんに言うっていうのは、それに“何かしら引っかかる”っていうのがあるからなわけで(笑)

 つまり、愛情の裏返し(な~んてwww)

 パラパラめくって、裏をひっくり返して。
 何気にあらすじに目を走らしていて、それが目に入ったんですね。

「人類は大規模な福祉厚生社会を築き上げていた。
 医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、
 見せかけの優しやさ倫理が横溢する“ユートピア”。」



 って、何だよ、オイ!
 それって、今のほとんどの日本(人)に対する皮肉じゃん!

 うっわ。なんともパンクだなぁ~って(笑)
 
 伊藤計劃(=Project Itoh)って、あぁ!そういう意味だったのね(イヒヒ)


 いや。言い方は無茶苦茶悪いっていうのは重々承知なんですけど、つまり伊藤計劃っていうのは。
 自分の生を盾に。言ったらヤバい(かもしれない)、でもどうしても言っちゃいたいこと(どうしても言わなきゃいけないこと)を言っちゃぇーっ!っていうのがつまり「Project Itoh」。すなわち伊藤計劃だったのかと、やっと合点がいったと。 

 遅いっ!(笑)



 ま、そうとなった日にゃぁ、ハーニモー。

 …じゃなかった、この『ハーモニー』。
 読むのは“今でしょ!”って。 ←古っ!ダサっ!(笑)

 こうなったらダサついでに、読むか読まないかはあなた次第です、とか?



 とはいえ。
 冒頭から始まる、「女子高生のわたしといえば、おとなになるなんてまっぴらだった」とのたまってしまえる、ありがちなナルシシズムなひとり言の羅列に、うっわー、やっぱり手を出しちゃイケナイ系だったかも?なーんて(笑)

 今思えば、本屋でたまたま手に取ったそれが、アニメのおねーちゃん表紙の新装版ってヤツじゃなかったのは、なんてラッキーだったんだろって(爆)

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伊藤計劃

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 なんでこんなダサい表紙にしちゃうんだろ? え?最近の若者の好みだから? あ、そ…(爆)
 


 でもまぁ、その辺は覚悟の上っていうのもあったんで。
 だけど、その後もそのおねーちゃんが大人になって、医療軍なるものの一員になってニジェールで働く展開とその会話に、なんだか某アニメに出てくるおねーちゃんそっくりだよなーなんて、かなりゲンナリ(笑)

 とはいえ、伊藤計劃。
 サハラの砂の黄色い光景なんて、行ったことあるわけないのによく知ってたなーなんて感心もしてみたり。

 もしかして、伊藤計劃も砂漠オタクだったのかなぁ…

 あと、1章の例のトァン(あぁ力抜ける…)のレストランの場面なんかも、何の因果かずっとアホバカ系ホラーに迷ってきた私としたは、なんでこういうウケ狙いっぽい描写にしちゃうかなぁ…なんて。
 
 ただ、後になって思えばあの描写も「Project Itoh」の一環だったのかもなぁ…

 なーんてことブツクサ言いながらも、2章以降は妙に引き込まれちゃって。
 もぉ一気に最後まで読んじゃう面白さがありましたね。


 いや。読みながら、ツッコミどころはイッパイ出てくるんです。

 それこそ、お話の根本である“意識が消滅した”っていうのが、全然イメージ出来ないですしね。
 
 これ、完全にネタバレなんですけど、でもネタバレとして全然成立しないんじゃない?


 漠然と、人間とゾンビの間みたいなもんってこと?とも思うんですけど。
 ていうか、本来のゾンビは生きている人間なわけで、まさにそんな感じ?とも思うんですけど、個体としてはともかく、それが一つの民族となると、それは科学的理論云々以前に状況的にあり得ないですよね。
 
 たぶん常に裏付けの理論やその描写をする作者が、こと“意識が消滅した”に関してはそれだけなんで。
 そこは、たんにお話の設定としてすっ飛ばしたんでしょうね。


 最後の主人公2人の対決…、というか再会シーンにしたって、その主人公の行動は、女性がそんなことするかなーって。
 いや。結局それをしたとしても、なによりまず引っ叩くっていうのがあるような気がするんだけどなぁ…!?

 もっともそれは未来の人の心理なんで。そこは現代人にはわからないのかもね(笑)



 と、まぁそんなツッコミどころはありつつ。
 でも、読み終わった後に「面白かったー」と素直に言えちゃうのは、この『ハーモニー』に、それら全てに目をつぶっても耽溺して読めちゃう「お話」のパワーがあったんだと思うんです。

 いっやー、そういう意味じゃ次なる「Project Itoh」をぜひ読みたかったですねー。
 40歳、50歳くらいになった、作家としても人間としても脂ののった、というか脂の落ちた(力みのない)伊藤計劃を読んでみたかったなー。



 そういえば。
 『ハーモニー』を読み終わって初めて、あっ、伊藤計劃ってどんな顔してたんだろ?って思ったんです。

 イメージとしては、なんとなく細身で神経質そうな、いわゆるオタクっぽいそんな風貌を想像してたんですけど…。

 でも、目が強くって。
 どっちかといえば、そんな感じじゃないような?。

 でも、自分のサイトでナイン・インチ・ネイルズの全曲レビューって、なんだよ、やっぱオタクじゃん!(笑)って?

 …って、そうか。
 ナイン・インチ・ネイルズとか好きだったんですね。
 ふうーん…。
 なんだか、ミョーに親近感湧いちゃったり(爆)
 
 ちなみに、私はナイン・インチ・ネイルズ好きじゃないなぁ(笑)



 あと、妙に気になったのは、“ハーモニー”という言葉をネガティブな言葉として使っていたこと。

 ま、“ハーモニー”って英語にどこまで意味(ニュアンス)があるのはともかく。
 日本語だと合唱とか演奏のように、合わせることでより素晴らしくなるみたいな意味もあるわけじゃないですか。

 その辺は、伊藤計劃としては、どんな風に考えたんだろうって。
 ま、解説にあったインタビューでは、『ハーモニー』は“ある種のハッピーエンドだった”と言いつつ、その先の言葉を探していたけど見つからなかったってことじゃハッピーエンドじゃなかったみたいなことも言ってるわけですが。

 いや。今の日本人全部が醸し出している…、というか、優しやさ倫理(正義)に溢れた「ユートピア」に合わせないと生きにくくなっちゃう、そんな世界を。
 「Project Itoh」としては、“ハーモニー(=調和)”とは唾棄したい(orとりあえず唾棄しなきゃいけない/やってらんない)概念だったっていうのはあるんだとは思うんです。

 でも、それは空に向かって唾すると同じだって、伊藤計劃が100%確信していたのは間違いないですよね。

 ただまぁ、その矛盾(葛藤)こそが伊藤計劃という生身の人間の「Project Itoh」だったのかなぁーって。

 つーか、それ以前に、男(男の子)たるもの、「優しさや倫理(正義)に溢れた“ユートピア”」なんて、断固否定しなきゃダサいだろ!っていうのもありますよね(爆)

 やっぱね、それは絶対否定なきゃ~♪

 今の日本(というか先進国?)っていうのは、ま、内面や実際の行動はともかく。男(男の子)が、「優しさや倫理(正義)に溢れた“ユートピア”」を臆面なく口にしちゃうから人や社会が歪んじゃうわけじゃないですか。

 たぶん…(笑)

 でも、それは、第二次大戦の敗戦という大きな失敗に打ちのめされちゃって。
 「戦争」と「戦前の日本(人)」が全て悪だったんだと思い込むことで、あるいは思い込みたくて行った行為が、去年発覚したあの新聞社(と「進歩的文化人」と呼ばれた知識人たち)のやったことじゃないですか。
 現在、日本(人)が隣国から謂れのない誹りを受けて大損をしているのは、彼らの “優しさや倫理、正義に溢れた”カッコつけが報道を歪め、その結果事実が歪められたゆえでしょ。


 そりゃ、「優しさや倫理に溢れた“ユートピア”」って、字面がカッコイイから。
 そう言ってりゃ、とりあえずカッコつくし、まとまっちゃうから小ギレイ見えるんで、誰もがつい口にしちゃうわけですけど(爆)

 でも、その「優しさや倫理、正義に溢れた“ユートピア”」よりも、エゴや自我を優先しちゃうのが人間っていうのは絶対的なわけで、そこはまず認めなきゃダメなんじゃな~い(笑)

 ね!だからこそ、男(男の子)は。
 美しい「優しさや倫理、正義に溢れた“社会”」を守るために、「優しやさ倫理、正義に溢れた“ユートピア”」を否定しなきゃいけないわけですよ(笑)

 現在の世相っていうのは、とかく“小ギレイにまとめちゃう”のがやったら好きですけど。
 でも、“まとめる”ってことは、それは“まとめ”た時点で、それは「過去」なわけでしょう。
 「過去」(の価値観や概念)ってもんが、現在および未来において“正しい”とは限らない、というのは日本人がここ数年何より思い知らされたことなんじゃないのかな。
 
 だって、キレイなことや、正しいっぽいこと言ってる人たちって。 
 言っていたことが間違ってたって、絶対責任とんないんだよ。むしろ、信じたヤツがバカなんだよ。


 世の中、情報、情報って大層なようだけど、情報なんて、情報になった時点で所詮過去って?(笑) 



 もっとも。そんなことまで「Project Itoh」に含まれていたのかどうかはわかりませんけどね(笑)

 でも、ま、繰り返しになりますけど。

 そんな風な意味でも、次、読んでみたかったなぁ……って思いますね。







 ま、ロックなんて。言ってみりゃ、究極の「見せかけの優しやさ倫理が横溢する“ユートピア”」だよなぁ…
 ほら、Uナンチャラのボノ氏とか、ナンチャラ・レノンとか…(爆)




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2015
03.22

67話目-16

Category: 怪談話

 ~ 呪い その3



「コタローっていうんだ…。」
 その胸の高鳴りに詠一クン。何か言うでもしないと、自分が自分でなくなってしまうようで、なんとも落ち着かない気持ち。
「うん。」
「よし、コタロー。こっち来い!」
 でも、コタローは、しゃがんで同じ高さになった詠一クンの方をちょっと見ただけ。
 それどころか、頭を撫でようと手を伸ばした詠一クンに、ちょっと警戒気味。

「ふふっ。7年ぶりだもんねー。
 コタロー、エーイチくん見るの…。」
「え…。」
 たまたま、その瞬間大庭さんの顔を射した陽の光。
 その、いよいよ赤味がかってきたオレンジ色の光に、眩しそうに目を細めている、思いっきり笑顔の大庭さん。
 そんな大庭さんは、手のひらで光を遮りながら。
「あー、もしかして、憶えてない?
 ほら、中一の…、あれはいつ頃だったろう…。
 わたしと兄貴とコタローで散歩してたら。
 たまたま、エーイチくんの家の前を通って――。」
「あーっ!」

 なんでなんだろう?
 全然忘れていた、そんなこと。
 確か…。
 うん、そう。オレは家の前で自転車を修理していた。
 そしたら、人の気配を感じて、顔を上げたそこ。
 道をこっちに向かって来る、犬を連れたオレと同じくらいの女と、そのすぐ後ろを歩いていた大人びた感じのする…、でもオレとそんな齢の違わなそうな男。
 そう。それを見止めた瞬間気がついていた。
 オレも、大庭さんも。
 その犬を連れているのが…、そこで自転車を修理しているのが…、この4月から同じクラスになった生徒だってことに……

「あぁ…。
 思いだした。4月ぐらいじゃない?
 中学に入って、ホントまだ間もない頃…。」
「4月…?あぁ、そうだ…。」

 二人とも、結局何も言葉を交わさなかった。
 お互いに驚いた顔をしたまま。
 でも、オレはこっちに向かって来て、そしてその前を通り過ぎていく、大庭さんをずっと見ていたし。
 大庭さんは大庭さんで、オレのことをずっと見ていた。
 それだけ。
 それだけなんだけど、でも、何でオレはを完璧に忘れていたのだろう。
 それだけのことだからか?
 ううん。たぶん……

「そうだね。わたしも思いだした。
 4月のさ、ううん。4月のいつだったかはわからない。
 でも、日曜日。だって、わたし。次の日学校でエーイチくんに聞いたんだもん。
 家、あそこだったんだって。」
「えぇっ!」
「うん。さすがにそれは憶えてないと思う。
 ほんと、ちょこっとだったし。
 えーとね、休み時間だったかなー。
 あー、でも掃除の時だったかもしれない…。
 たまたま、エーイチくんが近くにいてさー。」

 クラスの女子の中で。オレが大庭さんを意識するようになってのは、その時からだったんだろう。
 でも、その距離…。
 ううん。好きとか、恋愛とかそれ以前。
 勉強でもスポーツでも、その他みんなの注目を集めるような何かを持っていて、いつもクラスの中心にいた大庭さんと、何もなかったオレ。
 その距離感は、1学期より2学期。2学期より3学期と、どんどん遠くなっていく一方。
 なのに、オレはあの時オレを見てくれた、オレのことを気がついてくれた大庭さんが忘れられなくて…。
 オレはそれがみじめで悔しくって。
 だから……


「うわっ!」
 いきなり感じたべチャッと生暖かいその触感に、慌てて手を引っ込めた詠一クン。
 そんな詠一クンのすぐ隣りでした、大庭さんの声。
 それは、思わず振り返り、そして見つめてしまった笑い声。
「ハハハっ。もぉなにー、エーイチくん。
 コタローは噛まないから大丈夫だってー。」
 見れば、はしゃぐように振っているコタローの顔がすぐそこに。
 頭を撫でようと詠一クンが手を伸ばすより早く、コタローは伸びあがるようにその手をペロペロ、ペロペロ。
「よしよし、コタロー。よしよし。ハハハっ。」
「コタローったら、エーイチくんのこと、やっと思いだしたみたいね。
 よしよし。やっと思いだしたかー、お前。ふふっ。
 コタローはね、一度見た人はたいがい憶えてるみたいなの。」
「へぇー。頭いいんだー。
 そうか、そうか。お前、オレのこと憶えてくれてたのかー。
 ハハハっ。」
 その、気がどっかにいっちゃいそうな鮮やかさ。
 それは、詠一クンが初めて味わった青春の煌めき。
 なのに…


「そういえばさ、宮間クン…。」
「み、宮間ぁ…!?」
「あ、ほら、さっきの話。」
「あぁ、あぁ。線香をあげに行こうって…。」
 詠一クンは、無意識に立ち上がっていた。
「あ、うん。それもそうなんだけど…。
 だからさ、宮間クン。5月に会った時に言ったんでしょう?
 エーイチくんに。
 オマエちゃんと学校行けよって…。」
「うん。……!?」

 意識してこと無げに言った返事。
 詠一クンは、尻尾を振ってジャレついてくる犬――コタローか――のを撫でることに夢中なフリをしながら、大庭さんの視線の気配に感覚を研ぎ澄ます。
「そう言ったんでしょ?エーイチくんに。
 相変わらず、あのメガネで。
 あの、いつものクソ真面目ぇーって顔で。」
「う、うん…!?」
 いつの間にか見ていた大庭さんは、もう笑ってなかった。
 宮間クンの、あのいつもの顔なんかより、よっぽどクソ真面目ぇーって目をしていた。
「だから、そんな風に思っちゃっうのも無理ないんだけどさ…。
 でもね、違うのよ。宮間クンがそういうことを言う時って。」
「違う?違うって…。」
「ほら。あの人って、努力努力の人じゃない?
 先生もクラスの誰も無謀だって噂してたO大に、
 努力努力、ひたすら努力で合格しちゃうような人でしょ。
 そうやって、自分の努力で自分ってものを作り上げてきた人だからこそ、
 つい、そういうこと、兄貴面っぽく言っちゃうのよ。
 あ、うん。言っちゃうんじゃないかな。
 たぶん…。」
「……。」

 そこまで言って、目を伏せた大庭さん。
 そして、そんな大庭さんを、じっと見つめている詠一クン。
 いや。詠一クンが、そんな風にじっと見つめていたことに気がついたのは、その時大庭さんの目がパッと上を向いたからだった。
「確か、宮間クンも妹がいるんだけどね。
 ウチもそうなの。ウチの兄貴…。
 まーね。宮間クンとは比べものにはならないけどさ。ふふっ。
 でも、そんなウチの兄貴も、やっぱりそういう口調でわたしに言う時あるもん。
 もっともねぇ。宮間クンのあの口調って…。
 やっぱり……、ねぇぇ?」
 その大庭さんの凛とした表情とは裏腹に。言葉の最後に、どこかクスっと笑いを感じた詠一クンは、ちょっとだけホッとしていた。
 あんな真顔って…、しかも女の…
 おまけにムッチャクチャ綺麗で……
 真剣っていうのは、どうも苦手なんだよなぁー
 なんて詠一クン。ここは、わざとふざけて強い口調をすることで、お茶を濁そうと。
「そう、そーだよーっ!
 アイツはね、やっぱゼーッタイ変っ!」


 しかし、この大庭さんという女のコ。そんな詠一クンのペースに合わせてくれるような生易しいシロモノじゃなかったみたいで。
 あっという間に、あの真面目すぎな、とんでもないくらいの綺麗な顔に戻って。ぐいぐいと、詠一クンの目の奥の奥にまで視線を突っ込んで来る。
「宮間クンってさ。
 時々、親しい人だけに…、あ、親しい人っていっても、
 あの人なりに親しみを感じる人だけに…、ね。
 そんな風に、アドバイスみたいなことを言うのよ…。
 それがさ。あの人…、
 あ、宮間クンの言い方って、こうしたら?っていうんじゃないのよね。
 いきなりさ、こうしろ!って感じなの。ふふっ。」
「ちょ、ちょっと大庭さん。
 し、親しみって…。
 宮間がオレに親しみぃ?で、アドバイスぅ?
 いやー、それは違うって。ハハハっ。」
 詠一クンが言葉の最後を笑いで終えたのは、大庭さんも言葉の最後に笑いがあったからだった。
 というよりは、今この瞬間、この大庭さんという女のコと笑って話をしたかったから。
 でも、その瞬間。大庭さんの顔に笑いは全然なかった。


「大庭さん…。
 大庭さんはさ、そこはやっぱりわからないと思うよ。
 オレみたいなのと宮間の間には、絶対的な壁みたいなものがあるんだって…。
 あの頃宮間は、間違いなくそれを意識してオレと接してたと思うんだ。
 それにさ…。
 それは、たぶん、大庭さんだって、無意識に持ってたと思うけどな…。」
 そう言いながらも詠一クンは、大庭さんが詠一クンのその言葉を必死に否定するものと思っていた。
 というより、否定してくれることを前提で言ったつもりだった。

「……。」
 それは、詠一クンのその言葉を避けるように。
 さっと横を向いた大庭さんの目。
 その口から洩れたのは言葉だったのか、ため息だったのか。
 それに気がついた詠一クンは、慌てて何か言おうと、一瞬、全く無防備になった感情。
 そんな目に、大庭さんの言葉がすーっと入ってきた。
「うん…。
 でも、無意識じゃなかったな。
 意識はしてた、と思う。」
「え…。」
「宮間クンが意識してたようにね、わたしも…。
 うん。でもね、それは他のみんなもそうだったと思う…。」
「え、え…。ちょっと。ハハハ…。」
「だってさ、そんなこと当り前じゃない?
 違うかなー?」
「あ、うん…。」
「でもね、聞いて。
 わたしも、宮間クンも。それから他のみんなも、
 だからこそ、いろいろ一生懸命やってたのよ。あの頃も、そして今だって…。
 だって、自分のためでしょう?」
 それは、詠一クンには美しすぎた。


 だって、自分のためでしょう?
 その言葉のズーンという重さ。
 大庭さんや宮間、その他誰だって、みんな自分のために頑張っている。
 そう、そうなんだよな…
 そうなんだよ…
 なのに…
 オレって……

 ちょっとだけ相手に痛い思いさせてやろうとして。
 そして、ちょっとだけ優しい言葉でなぐさめてもらいたくって言った、詠一クンのその言葉。
 でも、それは相手にちょっとだけ痛い思いをさせるどころか、そして、ちょっとなぐさめてもらうどころか…。
 いつの間にか崖っぷちに追い詰められていた自分に気がついた詠一クン。
 それは、詠一クンにとって初めての経験だった。

「舟橋クン…。
 あのね。
 わたしが、さっきから舟橋クンってわかってないって、
 ずっと言っているのは、そこ。
 わたしは、宮間クンが舟橋クンに、
 オマエちゃんと学校行けよって言ったその気持ち、何だかわかるような気がするの。」
 崖っぷちに追い詰められた詠一クンに見えるものといったら、もはやその綺麗な顔だけ。
 そしてそれは、さらに目の前にばーんと大きくなって。
 思わず身を引いてしまった詠一クンは、あっという間に崖の下。
 それは、今まで経験したことのない、痛み……。

「舟橋クンって…。
 そうかぁ…。
 結局…、ええカッコしーなのかなぁ。
 あの頃はわたし、よくわかんなかったけど…。
 そう。いっつも、だるそうにしててさ。
 でも、それって結局カッコつけてただけでさ。
 自分から自分のこと、やろうとしなかっただけなのかな…。」
「……。」
「あの頃、わたし、よく思ってたの。
 何でだろ?って。いろんなこと出来そうなのにって。
 きっと宮間クンだって、そう思ってたんじゃないのかな。
 宮間クンは、それこそずっと…、
 中1の一緒のクラスだった時からずっと、
 それを舟橋クンに言いたかったんじゃないのかな。
 オマエ、もっと頑張れよって。
 ちゃんと学校行けよって。
 ちゃんと学校行って、ちゃんとしたヤツになれよって。
 でね…。」
「え…。」
 微かに浮かんだ笑みは、何だか整い過ぎちゃって。まるで、買ってきたばかりの人形みたい。
 でも、表情はあった。
「たぶん…、たぶんよ。
 たぶん、そんなちゃんとしたヤツになって、友だちになろうぜって。
 友だちになって、いろいろ話そうぜって、
 言いたかったんだと思う。
 そういう意味だったんじゃないのかなって思うの。
 わたし…。
 だって、それならわかるのよ…。
 理解できるのよ…。
 舟橋クンが見たっていう、そのこと……。」
「あ…。」


 いつの間にかはるか前を歩いていた犬は――そう。コタローだっけ…――さっきと同じようにあっち行ったりこっち行ったり。
 その、やたら元気で、やたら楽しそうに跳びはねている様子。
 それを見ていた、長い長い刹那……
「ー……。」
 それは、どういう気持ちから出たため息だったのだろう。
 気がつけば…。
 前を行く犬につられたように、再び歩いていた二人。
 ただ、「エーイチくん」と呼んでくれる大庭さんは、もはやそこにはいなかった。

「うん…。
 じゃぁさ。大庭さんは、アレ…
 あの夜にオレが見たアレは、宮間だったって思うの?
 宮間の、宮間の幽霊だって…。」
「だっからー。わかんないよー、そんなこと…。
 だって、わかるわけないじゃない。」
 苦笑している大庭さんの顔は、やっぱりとっても綺麗で、そして綺麗だからこそ、やっぱりムッチャクチャ怖かった。
 いや、ムッチャクチャ怖いからこそ綺麗なのか。


「うん…。
 ホントのこと言うとね。
 わたし、そういう風な出来事を感傷的に擬人化するのって、あまり好きじゃないんだ。
 うん…。
 大人の人とかには、生意気って言われちゃうかもしれないけどさ。
 でもさ。だって、キリがないじゃない?」
「…。」
「ううん。残された者の心の整理とか、癒しとか…。
 人には、そんな風に思いでもしなきゃ
 どうにもならない時があるっていうのはわかる…、ううん。わかるような気はするの。
 わたしでも…。
 でもね。わたしは、そういうこと、まだ実感出来ないの。
 だって、わたしたち、まだ20年ぽっちしか生きてないのよ。
 経験なんて全然ないんだもん。人生のいろんなこと、わかるわけないじゃない?
 それならさ、わたしたち。わからないことをわかったフリして、一人前面してないで。
 今、自分のやらなきゃならないことをやれば、いいんじゃないかって…。」
「えっ?うん?あ、わたし…、たち?
 えっ…?」
 それに気がついて、大庭さんを見つめなおした詠一クン。
 しかし、軽く目を閉じて、ほんのわずかすっと肩を落とした大庭さん。
 それは、詠一クンの耳に聞こえるか聞こえないかってくらいの、ホント小さなため息。

「舟橋さん…。
 舟橋さんって、まだわかってないんだと思う。
 宮間クンが、5月に駅で舟橋さん見かけた時にわざわざ声をかけたこと…。
 それから、別れ際にちゃんと学校行けよって言ったこと。
 宮間クンのその思いを…。」
 大庭さんの目は、もはや詠一クンの方にはやってこない。
 それは、ただただ前を歩く犬にだけ向けられていた。

 それでも詠一クンは必死になって言った。
 大庭さんの横顔をグッと見つめながら。
「宮間の気持ちって…。
 えー、わかんないよー。そんなこと…。
 それこそ、わかるわけないじゃん。」
 そう言った詠一クンに、大庭さんはやっと半分だけ視線をくれた。
「宮間クンはね、話しかけてきたのよ、舟橋さんに。
 その5月の時…。
 それはね、話しかけたかったから。
 懐かしさからじゃないし、ましてや、あの頃仲が良かったからでもない。
 それは、宮間クンにとっては、
 そこにいた舟橋さんが話しかける価値のある人だって思ったから。
 そして、それはね。
 たぶん、中1のあの時。舟橋さんと同じクラスだった、あの時にも思ってたのよ。」
「な、何で…。
 何で、そんなことわかるのさ…。」
 詠一クンがそう言って見ている大庭さんの横顔。
 そこには、さっきまでは確かにあった詠一クンへの親しみの感情はもはやなかった。
 でも、それでも詠一クンにとってそれは憧れだった。
 そう。それはあの頃とまったく同じ……

「わかるわ。
 だって、それは、わたしも同じだから…。」
「え…」
「さっき、舟橋さんのこと見かけた時、わたしもそう思ったからよ。
 そして、やっぱりあの頃もそう思っていたことを思い出したからよ。」
「え?それって…。
 それって、大庭さんにとって、オレが、価値…、がある…。
 え?そういう意味?
 オレが…。うん!?」
 喜んでいいのか?落ち込んだらいいのか?
 何が何だか。もはや詠一クンにはさっぱりわからない。

「ごめんね、言葉が悪くて…。
 価値なんて、言われた方はいい気はしないよね。
 でも、なんか巧い言葉が浮かばなくって…。」
「え?あぁ、うん。まぁ全然いいんだけど…。
 だって、それって。たぶん…。いや、うん…。」
 そう言いながら詠一クンは、隣りを歩いている大庭さんの顔を盗み見るように見た。
 そんな詠一クンの視線の先には、ついさっきまで大庭さんが見せてくれていた笑顔が浮かんでいた。
 そう。あの心が躍り出してくるような…。


「舟橋さん、あのね…。
 今日、さっき。
 あそこで会ったのが、もし舟橋さんじゃなくて、
 例えば、中1の時舟橋さんとよく一緒にいた人だったとしたら、
 わたしは知らん振りして、そのまますれ違っていたと思う。
 そして、1分もしないうちにそんなこと、忘れていたと思う。
 でもね。今日舟橋さんのことを見た時、わたしは、すっごく話しかけたいって思ったの。
 あの頃も…、そう。中1のあの頃だって話してみたいって、
 わたしにとって話す価値のある人だって、思っていたから。
 ほら、わたし。舟橋さんのこと、何か雰囲気変わったよねって言ったでしょ?
 それはね、今の舟橋さんが、中1のあの頃よりももっと話してみたいって
 思わせてくれたからよ。
 あ、誤解しないでよ。
 恋愛とか、そういうことじゃなくってね――。」
「っ…。」
 わかっていた。
 そんなこと、もちろんわかっていた。
 わかっていたはずなのに……

 そんな詠一クンの心の中なんて知らない大庭さんは言葉を続けていた。
「巧く言えないんだけど、信頼感?安心感?
 うーん。何て言ったらいいのかな。
 自分と同じ人間の匂いを感じたっていうのかな…。
 あ、そう。あの頃よ。中一のあの頃。
 クラスメートとして認められる…、ていうか…。
 同じクラスなことが嬉しい…、
 ていうと、またちょっと微妙に意味合いがズレちゃうかな?
 でも、そんなニュアンスにとってもらったらイメージしやすいのかもしれない。
 あ、うん。
 なんかさ、すごく上から目線な言い方なんだけど…。」
 やっと詠一クンの方を向いた大庭さんの顔。
 それを体の右半分で感じた詠一クンは、とにかくボールを返さなきゃと。
「同じ…、同じ人間…?
 うーん…。大庭さんさ、
 オレ、よくわからないんだけどさ…。」

 わからないと言いながら、詠一クン。実は大庭さんの言おうとしていることを完璧に理解していた。
 それは、あの頃詠一クンは、大庭さんや宮間クンといった人たちから発せられる、そんな軽蔑を感じていたからこそ…。
 さらに、その軽蔑に対し様々な思いを抱いていたからこそ、詠一クンは大庭さんの言ったそれを即座に理解できたのだろう。
 そして。何よりその理解できるってことこそが、大庭さんの言う「同じ人間」ってことだったのだろう。


 横を歩く大庭さんは、かすかにため息をついていた。
 それ感じている詠一クンは、そんな大庭さんが今は変にさばさばした表情をしていることにも気がついていた。
 それは、何かとっても大事なことが終わってほっとしたような、そんな目。

 大庭さんは、その後も何か言っていた。
 ただ、大庭さんが何を言っているのか、もはや詠一クンにはよくわからなくて。
 ただ…。
「…?」
 それは、何とも言えない違和感を覚えて。ドキッとその横顔を見てしまった時だった。
 それは、さっきまでとは全然違う、不思議な光を帯びていた大庭さんの目。
 気がつけば、さっきまでのオレンジ色に染まった町並みではなく、辺りは深い青のモノトーン。
 陽が沈んだせいかと、空を見上げたんだけど…。
 でも、それとは何か違う。
 そう。その大庭さんの顔は、さっきまでの真剣すぎて怖い顔っていうんじゃなくて。
 それは、お化けみたいな笑みをとってつけたみたいな…。
 そんな、変にぺろーんとした顔だった。
 大庭さんは、そんなお化けじみた表情のまま、詠一クンの目の奥をずんずんと。
 ずんずん見つめてくるのに、なぜか大庭さんのその目がグーンと高いところにいっちゃったような…

「宮間クンはね。たぶん、舟橋さんに呪いをかけたのよ…。」
「の、のろい!?」
「そう。呪い…。
 オマエ、ちゃんと生きろよぉぉーって。
 オレは、こんなに頑張ってやってきたのに病気で死んじまうんだぞー。
 なのにオマエは、何やってんだよ。
 ふざけんなよぉぉー。
 なんで、こんなに頑張ってきたオレが死ななきゃならないんだよ。
 だから、せめてオレのこの悔しさをわかってくれよ。
 わかって、オマエは頑張ってちゃんとしたヤツになれよ。
 じゃないと、まだ出てやるからなぁぁー、って。」
「……。」
 ポカーンと。詠一クンはその時、ただただ大庭さんのその口から出てくる言葉を見ていた。
「わかった?
 それが、宮間クンが舟橋さんににかけた呪い……」




 その時、大庭さんが言ったその言葉……
 それは、文字通り俺にとって、“呪い”になった。
 その後、俺はずっとその“呪い”に苦しんだ。
 それは、就職活動でなかなか内定が取れなかった時も…
 社会人になって、大人の社会の厳しさに打ちのめされた時も…
 他にもいろいろあった。
 その“呪い”は、そんな自分の不甲斐なさに嫌気がさした時には、さらに俺をギチギチ苛んだ。

 そのたんび心に去来してくるのは、
「なんで宮間みたいなあんな優秀なヤツが死んじまって、
 オレみたいなのがのうのうと生きてるんだろう。
 何で逆じゃないんだろう…」という思い。
 そのうしろめたさは俺には重すぎて。
 夜も眠れないその苦しさに、「もう死のう。もういいじゃないか…」と、何度思ったことか。

 でも、そのたんびに思い浮かんできたのは、あの夏の終わりに偶然会った大庭さんの顔だった。
 そう。「宮間がオレにかけた呪い…」と言って俺を見た、あの綺麗で怖い大庭さんの顔…
 怖いくらい真剣にオレを見つめてきた大庭さんの顔…
 それは、中1のあの頃からずっと思い続けていた憧れ…
 少なくとも自分には、それを憧れる価値があるんだと気づかせてくれた大庭さんの言葉を思い抱きながら頑張った。
 それこそ、あの宮間のように……
 いや。実際、宮間にはおよぶわけもないのだろうが、それでも俺なりに頑張った。


 そんな“呪い”が解けたのは…
 というより、そんな“呪い”や、大庭さんのことなんて、いつの間にか忘れていたことに気がついたのは…
 今思えば、自分が必要とされている、そして何より俺が必要としている、そんな存在を見つけた時だったような気がする。

 それは、俺みたいな普通の人間がつかまえるべき、普通の一番最良な“ナニカ”。
 それは、自分を必要としてくれる存在を知ったこと。
 それは、あの大庭さんみたいに完璧ではないし、ある意味愚かなことだっていっぱいあったりする。
 あんな風に、とんでもなく綺麗じゃないのかもしれないが、でも、それは日々素晴らしい表情で俺を見てくれる。

 人は…。
 ううん。俺は自分のためだけには頑張れない。
 いや。あの時はああ言っていた大庭さんだって、今ならきっとそう思うんじゃないだろうか。
 人は、自分を必要としてくれるそれらがいるからこそ、明日の朝も元気に起きることが出来る。
 そう。だから俺はどんなにしんどくとも、明日も仕事に行くことが出来るのだろう。

 あの夏に見た、あれが宮間の魂だったのかなんてことは、もちろんわからない。
 ただ、今になってみればわかる。
 俺に、あの“呪い”をかけたのは宮間じゃなくて、あの怖いくらい綺麗だった大庭さんだったんだと…
 そして。
 大庭さんにそれをさせたのは、もしかしたらあのO城だったのかもしれないと……


 さ、もう寝るか。明日も忙しい。





67話目終わり。フっ!

       ── 第67話目「O城の呪い」 メルマガ配信日:2010.9.30



 

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2015
03.19

小豆洗いな夜




 それは昨日の夜中。

 TVを見ていたら、いつの間にか寝ちゃってたんです(笑)


 気持ちよい眠りの中…

 それは夢うつつに、時々聴こえてくる奇妙な音。
 
 シャコーン…
 シャコーン……


 え!何の音?と意識がいった途端、パッと目が覚めて。

 どっから聴こえてくるんだろ?って、周りをキョロキョロ。

 うん、外?って。窓のところで耳を澄ましていると。

 確かに、あの「シャコーン」「シャコーン」が、前より大きく……


 何だ?何だ?と、慌ててベランダに出て音がするのを待っていると。

 またもや、シャコーン…。

 しばらくして、また「シャコーン」……

 それは、たぶん向かいの家のさらに向こう辺りから聴こえてくるようなんだけど、でも何がそんな音を発しているのかさっぱりわからない。


 そうしている間にも、その音は思い出したように、時々「シャコーン…」。

 しばらくして、また「シャコーン…」。


 えっ。何これ?もしかして、小豆洗い?なんて。

 思わず、ニヤニヤしちゃった時でした。

 *ウィキペディア:小豆洗い
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E8%B1%86%E6%B4%97%E3%81%84


 ふいに聞こえた、「ホボっ…、ホボっ…」って、低くよく通る鳴き声。

 うわっ!フクロウだよ!って。

 いやもぉ思わず一人ベランダで狂喜乱舞(笑)

 慌てて部屋にメガネを取りに戻ります。
 目ぇ、悪いんです!

 *ウィキペディア:フクロウ
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%A6

 *フクロウの鳴き声
 https://www.youtube.com/watch?v=22YX4F4Oj6c 



 フクロウはね、前にも来たんです。

 確か去年の6月か7月だったかな。

 夜中、暑くて開けっ放しだった窓から聴こえてきた「ホボっ…、ホボっ…」という鳴き声に、えぇっ!フクロウぉ?って、やっぱり大慌てでベランダに出てみたら。

 その気配に驚いたのか、それともエサを見つけたのか。

 通りの低いところを、さーーーっと。
 あっという間に通り過ぎて、見えなくなったシルエット。

 後に残ったのは、どこからともなく聴こえてくる「ホボっ…、ホボっ…」って鳴き声だけ。

 いやもぉ「うっわぁぁぁー」って。
 そのゾワッとくる存在感のスゴさに感動していたら。

 さっきとは違う方向から、また「ホボっ…、ホボっ…」って鳴き声が。

 え!?って思う間もなく、さっきのフクロウが飛んでった方向から「ホボっ…、ホボっ…」。

 え、2羽いる?鳴き交わしてる?って。
 ベランダから目を皿のようにして見ても、そこにあるのはいつもの家並ばかり。

 その内、「ホボっ…、ホボっ…」「ホボっ…、ホボっ…」と鳴き交わす声はどんどん小さくなっていって……。



 結局、その時っていうのは、フクロウの姿は飛んでいたシルエットしか見ることが出来なかったんです。

 でも、今回はもっと見ること出来るかもと、ワクワクドキドキ辺りを見回していた時でした。

 「ホボっ…、ホボっ…」

 え!?近い…
 えっ?もしかして、上?
 って、振り返るように上を見たら。

 それは、TVのアンテナにとまった、ふっくら丸い真っ黒なシルエット。

 また、「ホボっ…、ホボっ…」って。

 うっわぁぁ、近いぃぃ~、近すぎぃぃ~と、もぉ大興奮(笑)


 とはいえ、逃げちゃわないようにとそーっと。
 横にあるエアコンの室外機に座って、そのフクロウのシルエットを見上げていると。

 時折、「ホボっ…、ホボっ…」と鳴くんだけど、目が光るわけではないんで、こっちを見ているのではない様子。


 何やってんのかなぁ…と思いつつ、その「ホボっ…、ホボっ…」を聴いてたんですけど、気がついたら鳴き声はずいぶん遠くから。

 あれ?ずっと見ていたはずなのに、いつの間に飛び去ったんだろ!?なんて(笑)



 ふと体が冷えきってることに気がついて。
 まったく、いまだにカゼ治ってないっていうのに何やってんだか(爆)

 大慌てで家の中に戻ったんですけど、いっやー、それにしてもスゴイ存在感っていうか、迫力があったっていうか。

 あのリアルな生々しさっていうのは、今思い出してみてもゾワゾワ仰け反っちゃうような、そんな感覚がありますね(笑)





 …って、結局。
 「小豆洗い」みたいなあの音って、結局何だったの?(爆)






 https://www.youtube.com/watch?v=4IjawyE9YII
 ♪Hello my darkness my old friend~って




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2015
03.15

も~、ほとんど病気 ←古っ




 いやはや、もぉ、カゼがなかなか抜けなくって。

 ちょっと動いただけで、はーはー息が切れちゃってさー、もー(笑)



 こりゃも~、ほっとんど病気。
 すんごいですねぇ~って?(笑)

 …って、ま、病気か(笑)




 皆さんも、体だけはほっと大事にしてください

 どーも、どーも…
 ♪ダッダタタ ダッタタタ タタターン タタターン







    風邪っぴきなのをいいことに、暮れに録画しといた「戦後サブカルチャー史」ずっと見てたらさ。
    何だか頭ん中がトリップしてきちゃって…(爆)




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2015
03.14

今日って、えーっと…




 今日って、えーっと…。


 あ、oWhai-te day。




 な~んてこと、朝っぱらから書いてっと、
 この人って、よっぽどWaite dayとは縁がない人なんだろーなーとか思われちゃいそうだから、やーめた!(笑)







     そんなホワイトディなあなたには、ドワイト・ヨーカム♪




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2015
03.13

最近の趣味(笑)




 最近の趣味はカゼをひいて寝込んで、夢を見ることだったりします。

 人間って、こんなにもバリエーション豊かで、かつ支離滅裂に夢を見ることが出来るもんなんだなーって、ちょっと呆れてみたり(笑)


 そうそう。
 続き物で、一晩でスキーに三回行けたのは何だか得した気分だったなぁ…

 ただ、夢の中で行くスキーって。
 肝心の滑ってる場面がほとんどなかったり、泊まった部屋が心中のあった部屋だったりなんていうのはなぜ?(笑)


 あと、夢の中で朝の路上で寝ていたら、犬に吠えられて吠え返したなーんて夢を見ちゃった後は、

 まさか、オレってホントは犬で。
 ずっと“人になってる夢”を見てたんだけど、その夢の中で“犬になった夢”を見たなんてことはないよな!?


 なぁ~んて(爆)


 
 でもまぁ考えてみりゃぁ、それもまたいいかな…、なぁ~んてさ(笑)




            Coldplayって、日本語にすると“風邪遊び”?




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2015
03.01

何ごとも、おっくうな季節



 3月ですねー。

 私、実はこの春先って季節が一番苦手でして……


 というのも、厳冬期の寒さは全然平気で、というか、結構好きだったりするんですけどー

 この時期の気温は、てんでダメ。

 なんつーか、体が動きません。

 もぉ寒くって、寒くって…(笑)


 というわけで、雨降りな今日は朝起きたら、コタツに直行。

 結局、そのままズルズル、ズルズル……



 ま、お後もよろしいようで…(笑)






  キャロル・キングのお馴染みカバーかと思ってると、途中にわかに入ってくるチャカポコ音に思わず脱力…(笑)



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