2014
12.31

盆暮れのツケ届けは忘れずにってことで、ドラマの『ぼんくら』の感想

Category: R&R


 いっや~、『ぼんくら』。
 よかったですねぇ~。

 あれは、所々で出演者一同がドリフっぽい演技をしちゃう演出っていうのが、まったよかったんでしょうねぇ~(笑)



 ま、宮部みゆきのこのシリーズは、謎解きとか真相なんてもんは、言ってみりゃ“刺身のつま”なんで(笑)
 お馴染みのメンバーが、笑って、騒いで、とぼけて、泣いて。
 あとは、おねしょして、うっへぇーって言ってくれれば、あとはもぉどーでもいい!みたいな。

 つまりは、「一連の出来事の中で人が1人殺されているのに、それでいいんかい?それだけの真相なんかい?」な~んてことは、間違っても思っちゃぁいけないわけですな(爆)

 ま、そんなわけで、ぜひ、この調子で『日暮し』と『おまえさん』もやってほしいなーって思っちゃいました。




 しかし、主人公の井筒平四郎って。
 登場する全員から慕われまくり、立てられまくりでいいよなーって(笑)

 つまり、ああいうのが人徳っていうことなんでしょうかねー。
 (見習って、来年はカラスにベロだしてみよっかな♪)


 お話では、その反対にいる人物として描かれ、最後は勘九郎にフンされちゃった湊屋さんですけど。
 でも、よくよく考えてみれば、あれはあれで、ま、大した人物ですよね。

 現代っていうのは、女道楽は絶対否定な価値観になっちゃってるから、その部分で“悪”とされちゃってますけど。
 当時は、“実力のある者の甲斐性”みたいな価値観っていうのはあったわけで、ま、言ってみりゃ宮部みゆきの価値観で、1人悪人にされちゃったみたいな部分もありますよね(笑)

 何より、長屋の店子を追い出す、あの意味不明な工作は、湊屋さんの都合というよりは、宮部みゆきの都合でしょーしねー(爆)



 ただまぁそんな湊屋さんに、最後にカラスにフンかけてもらいたくなっちゃう気持ちっていうのは、ま、歴史が始まってこのかた、ずっと貧乏で貧乏が染み付いちゃった日本人は、貧乏な方がまっとうに暮らせるもんなのかもなーなんて(笑)

 ま、最近の日本の世相を思いつつ、そんなことをつくづく思っちゃいましたね(笑)

 とはいえ、病気で死んでしまったおくめさんは、もしペニシリン等抗生物質があればたぶん助かったわけで、そーいう意味じゃ絶対貧乏でいいわけない!とか、強く思っちゃったり。
(ま、あの時代の日本にペニシリンが有無はともかくね)


 まーそんな、考えちゃぁ野暮!なドラマで、ミョーにいろいろ考えちゃった、2014年の年の暮れでしたとさ。

 めでたし、めでたし。










 上とダブるけど、なーんかつけたし(笑)

 あのドラマでは、おくめさんがミョーに好きでしたね。
 最後には、若気の至りでもらってしまった病気で結局亡くなってしまった(らしい)んですけど、でも、その儚げなところも、またよかったなーって。

 それとともに、湊屋総右衛門も、あれはあれでよかったかよなーって思うんですよね。

 ま、主人公の井筒平四郎からは、身勝手な女道楽的に、えらくご不興を買ってしまいましたけどね(笑)
 でも、湊屋総右衛門からすれば、あれは(今で言うところの)“純愛”であり、また“真心”ゆえに起きたことなんじゃないかって気がするんです。

 ま、確かに人は一人死んでしまったわけで、そこは責められるべきなんでしょうけど。
 ただ、船の中の話で「佐吉は男でございます。私とて、海のモノとも山のモノともわからぬ男でございます。ですが、私は自力でそれを乗り越えた。男はそうでなくては困ります」と言ったその言葉。
 身分が上である井筒平四郎にそうビシリと言える自信と気概は、清濁併せ吞んでのし上がった人物ゆえなのでしょう。

 そういう意味じゃ、あの船の中2人は毒にも薬にもならない人物と、毒にも薬にもなる人物なわけで、そもそも話が噛み合うわけがないんでしょうね(笑)

 ただ、そのあと井筒平四郎の「けどよぉ。男だって何だって、佐吉だって本当のことを知りたいはずだ。それが人情ってもんだろ」って言葉。

 ま、それも真ですよね。
 自力でそれを乗り越えられる、毒にも薬にもなる人物であればこそ、“人情”ってもんは忘れてはならないのでしょう。
 それこそ、湊屋総右衛門は、人が一人死ぬことになった“科”を、井筒平四郎の(鉄瓶長屋の住人への)“人情”で目を瞑ってもらったわけですもんね。

 つまり、自力でそれを乗り越えられる、毒にも薬にもなる人物が“人情”を忘れてしまったら、その人はいずれ“人情”から見捨てられてしまうってことなのでしょう。

 それは、かつての三越の岡田社長とか、最近ではナッツ副社長とか(ま、あれは毒にも薬にもならない人か?)、古今東西、まぁ枚挙にいとまがないですよね(笑)



 話は全然変わるようですけど、『ぼんくら』を見ていて、ミョーに思いだしたのが、いつだったか夜中にフジテレビでやってた『消えゆく秘宝館』ってドキュメンタリー。

 ま、秘宝館っていうのは、言ってみりゃ“性”がテーマの博物館みたいなもので。
 かつては、温泉地を中心に日本のあちこちにあったらしいんですが、今年(2014年)には3館になっちゃって。
 その3館のうち、2館は今年閉館しちゃったらしいんですけど、その今年閉館した「嬉野秘宝館」で働いていた受付のおばちゃんの言ってた話がミョーによかったんですよ。

 ま、秘宝館ですから。
 つまり、一歩中に入ると無茶苦茶エッチなわけです。
 ただし、陰にこもるようなエッチでなく、あっけらか~んとしたエッチ(笑)

 ある時、中を見た女の人(女性の客の方が多いらしい)が、そのおばちゃんに「あなただって子供がいるのに、こんなところで働いて恥ずかしくないんですか!」みたいなことを言ったらしいんです。

 そしたら、その受付のおばちゃん、その女の人に「あんただってこどもがいるんでしょ。やってることみんな同じでしょ!」って切り返したんだとか(笑)


 まーねー。
 その女の人も、秘宝館のめくるめく“性”の世界を一巡して。
 ドギマギしちゃって、つい口から出ちゃったっていう面もあるんでしょうけどね(爆)

 ま、“性”だけに大っぴらにすればいいってもんではないのは確かなんでしょうけど。
 ただまぁ毒にも薬にもならない、ただ“カワイイ”と表現されるだけのモノや、子供っぽい価値観のキレイごとばっかりが蔓延っちゃった世の中っていうのは、待ち往く人の顔がどれもこれも変に酷薄に見えちゃって。

 『ぼんくら』に出てきたおくめさんが、やけに魅力的だったのは、そんなこともあったのかもしれないなーって(笑)




 https://www.youtube.com/watch?v=LNnC8hYOmlw


 
 ま、そんなこんなで、
 来年もこの調子でしょーけど。

 それでもよろしかったら、来年もよろしくね(爆)




スポンサーサイト
Comment:0  Trackback:0
2014
12.21

ボブ・ディランのコンサートに行っちゃいました(笑)






 
 
 ボブ・ディランのコンサートに行っちゃいました。





 
    へっへっへー。
    うらやましいでしょう。









 あれ?ボブ・ディランって来日してたっけ!?な~んて。
 そんな、冷静な人もいるかと思いますが…










 いやだなぁー。
 夢の話ですって(爆)




 
 いやね。土曜の朝方でしたね。
 
 街の図書館に行ったら(もちろん、夢でねwww)。
 「本日、ボブ・ディランのコンサート」って(笑)

 でね、私の街の図書館ですから。
 会場なんて、学校の教室くらいの大きさ。
 観客なんて、私を含めて10人ちょっと。

 (なんという贅沢なんだーっ!) 




で、そこに現れた、ホンモノのボブ・ディラン(!)


 ただ、今のボブ・ディランじゃなくって。
 最近出た、ブートレッグシリーズの『ベースメント・テープス』のジャケットのディランなの(笑)

 もしくは、『セイブド』のジャケ違い。ほら、ディランが俯き加減にハーモニカ吹いてるイラストのジャケットのヤツがあるじゃないですか。
 あれに近いイメージもあったかな。

 つまり。現れたのは、70年代くらいのディランってことなのかな?




 いやもぉ、全員大熱狂なんてもんじゃなくって。
 みんなでディランと一緒にコーラスしちゃったり、ハーモニカを吹くヤツまで現れちゃったり。


 でもね。
 どんな曲やったかは全然憶えてな~い(爆) 






      も、か、ょっ







 で、この夢の話。
 人に話すと、「しょーがねー夢」って笑われるんだけど。

 でも、よくよく考えてみると、夢とはいえボブ・ディランのコンサートを“ホント”に見て熱狂しちゃったって、案外コレより全然スゴくねーかーって(爆)

 NEXT WORLD 私たちの未来
 http://www.nhk.or.jp/nextworld/#/about
 http://www.nhk.or.jp/nextworld/symphony/

 いや。もちろん、そっちも楽しみにしてますよー(笑)




Comment:7  Trackback:0
2014
12.21

67話目-7

Category: 怪談話


 ~夜明け前に その1


 O城からの帰り道っていうのは、いろんなことが変だった。
 ただ、それはあくまで、後になって思えば…ということだ。
 その時は、その場の誰一人、そんな変だとか感じなかった。

 その時の記憶っていうのは色々残っている。
 その時の情景とか、話していたこととか、そしてもちろんどんなことがあったとか。
 ただ、その時々の俺の感情っていうか。あの時俺が何を考え、何を思っていたかというのが妙に朧なのだ。
 やっぱり、O城のあの門で不可解なモノをみてしまったことで、感情が異様に高ぶっていたってことなんだろうか。

 うん…。
 ま、ああいうような体験をした後なんだから恐怖の感情に苛まれ、それこそ心身が喪失してたってことなのかもしれないんだけど…。
 でも、あの時のクルマの中は、ホント、みんな普通だった。
 もちろん、オレも。
 きっと、人っていうのはその手のモノを見ると、驚きの方が強すぎて。怖さよりは、むしろあっけらかんとしてしまうのだろう。
 実際、その手のモノを見た後っていうのは、その時は何とも思わなくて。しばらくしてから、「あれって何だったんだろ?」と不思議がる人の方が多いと聞くし…。


 あのO城からの帰り道っていうのは、いろいろ大変だった。
 というのも、杉多の様子が変だったからだ。
 いや、自分の意識はちゃんと保っていた。
 杉多自身も大丈夫だって言うんだけど、なーんかこう目が座っちゃってって。
 杉多が言っていた先輩の話じゃないけど、それこそ事故かなんか起きそうで、とてもじゃないけど運転は任せられなかった。
 しかし、その時免許を持っていたのは、杉多を除けば薫だけ。

 その、薫。
 何でも、あの時はもうずいぶん運転してなかったとかで。
 しかも、免許取った後に運転したのは親父さんのオートマのみ。
 一方、杉多のシティ・ターボ2はマニュアル車。
 薫は、マニュアル車なんて教習所以来運転してないって、しきりと嫌がってた……




 そんな、薫クンの運転は、もぉ緊張しまくり。
 背筋がピーンと伸びた状態で運転席に座った薫クンだったが、その緊張が逆によかったみたいで。
 エンストもガックンガックンもなくスルーっと動き出した愛車に、助手席で目をすわらせていた杉多クンも「フー」っと大きく息を吐いて。
「なんだ、薫。運転久しぶりなんて脅かせてー。
 全然余裕じゃん。」
 ところが、薫クン。
 そんな杉多クンに言葉を返すどころか、視線すらよこさない。
 硬直したように、ただただ前を見ているばかり。
 それは、さっきの石段の上での杉多クンが、そっくりそのまま薫クンに憑りついちゃったよう……


 一方、後部座席では。
 何がどうなってそうなっているのか?またもや、右に三鷹クン、左に遠山クンという、クセモノコンビに挟まれて座っている詠一クン。
 なのだが。
 行きとは違って、クセモノ2人はさっきからひと言もしゃべらない。
「え!?。」
 怪訝に思った詠一クン見ると、2人は目ん玉は真ん丸。おまけに背筋もピーンと張り詰めっ放し。
 そんな2人を見て詠一クン、あぁやっぱり怖かったのかな?オレもアレには驚いたもんなぁ…なんて。
 とりあえずは、そっとしておくことにしたのだが、それにしても酷い緊張ぶりに、
「おい、大丈夫だって。もうクルマに乗っちゃったんだしよ。」
 と言うと。
 いきなり右から伸びてきた腕に、詠一クンの首はむんずと巻き付かれ。
 「うぐぐ…。」
 引き寄せられたそこは、三鷹クンの膝の上。
 これでもかと抑え込まれた詠一クンの首に、三鷹クン、鋭いヒソヒソ声を浴びせる。
「バカヤロ、エイチ。だから緊張してんだろ!」
 さらに、遠山クンまで顔を寄せてきて、やっぱりヒソヒソ声。
「おめぇはよぉ~、鈍感だぜぇぇ~。
 このぴーんと張りつめた緊迫感わかんねぇのかよぉ~。
 おめぇは、ホント勇気あるぜぇぇ~。」

 そう。そうだった。
 三鷹クンの腕からやっと逃れた、詠一クンが窓の外を見れば。
 それは、いくら夜で真っ暗とはいえ、あまりに変わらなさすぎる外の風景。
 えっ。いったい今って何キロなんだ?って。運転席を見れば、メーターの針は20キロにも届いてない。
 いくら夜道だからって、ここまでノロノロ走っているクルマって不気味極まりない。
 しかも、両手でハンドルをガッチリ握り締め、やや前かがみにガチンガチンに固まっている薫クンの後姿を見ればなおさら。
 まったく、走り出してからこのかた、クルマ1台通ってないっていうのに…。
 20キロ以下で走ってたら、まず事故なんて起きないだろうし。
 また、起きたとしても大したことにはならないだろう。


「まぁよ。カオルのこったから大丈夫だって。
 それよりよ、オマエらは大丈夫なのか?」
「なにがっ!」
「よぉ~、エイチィ~。オメェ、何が大丈夫なのか?なんだよぉぉ~。」
 例によって同時に言葉を返してくる三鷹クンと遠山クンに、詠一クンは思わずため息。
 まったくこのクセモノコンビっていうのは、どうしてどんな時でも息がピッタリなのだろう?

「オマエよ、何ため息なんかついてんだよ!」
「そうだぜぇ~、エイチぃ。
 おめぇ、O城に行く前は、あんなにデカい口たたきやがったくせによぉ~。
 ったく何なんだよぉっ。あの変な悲鳴はよぉ~。
 おめぇ、ホントふざけてんじゃねぇぜぇぇぇ~。」
「えっ…!?」
 詠一クンは怪訝な顔。
 変な悲鳴?何だそれ!?って。2人が何を言っているのか、さっぱりわからない。

「オマエがあんな薄気味悪ぃー悲鳴あげるから、
 みんなビックリしちまったんじゃねーかよ。
 オレなんてよ、心臓がどっか飛んでっちまうかと思ったくらいなんだぜ。」
「よぉ~、エイチぃ~。何なんだよぉ~、おめぇ…。
 何であん時、あんな声あげたんだよぉ~?
 言ってみろっつぅ~んだよぉぉ~。」
「薄気味悪い声…?
 オレが…?
 …って、悲鳴はオマエらだってあげてたろ!」
「バッカヤローっ!
 それは、最初にオマエがあんな声出したからじゃねーか!
 しまいにゃぶっ殺すぞ、このヤロー…。」
「よぉエイチぃよぉ~。
 おめぇ、どうやってあんな奇妙奇天烈な声、出しやがったんだよぉ~、あぁ?
 おめぇっていうのはよぉ、もしかして妖怪かぁぁ~。」
 と、右を向いても、左を向いても、詠一クンを見つめる目はやたらキビシイ。
 でもそんなこと言ったって、いきなりあんなモノを見てしまったら…。
 とはいえ…。
 アレはいったい何だったのだ?
 あの門の上に並んでいたモノは……。

「えっ、だって…。
 オマエらだって見たろ。アレ…。」
「アレっ?アレって何だ、このバーカ!」
「おめぇよぉ~、門くらいでビビってんじゃねぇぜぇぇ~。」
「違うって。オマエらも見たろ…。あの首……。
 アレにはオレ、マジ焦っ──。」
「首だぁ?バカかオマエは?
 おい、トーヤマ。オマエ、そんなもん見たか?」
「よぉ~、エイチぃよぉ~。
 おめぇ、ふざけんのもいいかげんにしろよぉぉ~。」
「えぇぇー!?
 あっ、そうだ!なぁ杉多。オマエは見たろ?
 あの門の上の首…。」


 あの時…。
 杉多クンは、「首が門の横木の上に並んでいる。」と、しゃがれた声でつぶやいた後。
 ゆっくりと、すぐ下にいる詠一クンたちを見おろして。
 あの、強張った気味の悪い顔…。
 その視線に、金縛りにかけられたように動けない詠一クンたち4人。
 そんな詠一クンたちに、杉多クンは言った。
「く、首が…。
 斬られた生首があの門の上にいくつも…、いくつも並んでいる…。
 み、みんな、こ、こっちを見、見、見ている……。」

 そう。杉多クンは、あの時確かにそう言った。
 言ったはずなのに……
「いや、ゴメン。エーイチ。
 確かに、あの時はそう思った…。
 いやぁー、うーん…。
 そう。思っちゃったってことなんだろうなぁー。
 きっと…。」
「えっ。何だそれ?」
「うん…。今になって思うと、アレはオレの錯覚だな。
 きっと…。
 あの時はさ、そうイメージが湧いてきちゃってよ。
 そのイメージと現実がごっちゃなっちゃった…、
 …ってこと、なんじゃないのかなーって。」
「お、おい…。何だよ、それ。おい…。」
 思いもよらなかった杉多クンの言葉に、詠一クンはただただ唖然。
「うん…。ほら、あん時。確か、エーイチだったよな。
 処刑場がどうのこうのって言ってたの…。
 たぶん、それなんじゃないかなって思うんだよ。
 それを聞いて、なんかこう…、
 そういうイメージが頭の中で出来ちゃった気がするんだよなぁ…。」
「ち、ち、ちょっと待てよ、杉多。おい…。」
 何だよ?それ!結局悪いのって全部オレなわけ?って。
 いや、実は「処刑場云々」を言ったのは遠山クンだったのだが。
 とはいえ、たまたま流れなのか何なのか。悪いのは全部ひっくるめて詠一クンってことになってしまった。

「なぁ~んだよぉ、おいぃぃ~…。
 結局、またエイチぃの一人騒ぎってことかよぉぉ~。」
「まーな。オレもよ、そんなところじゃねーかと思ってたんだ。」
 それは、詠一クンを挟んで、アメリカ人のように肩をすくめてお互いを見ている遠山クンと三鷹クン。

「ちょ、ちょっと、待てよ。
 だってオマエらだって見たろ?
 あの時の…、ウン…。な?」
 本人がいる車内で、まさか杉多クンのあの時の薄気味悪い表情や、意味深な仕草とも言えるわけもなく。そこは詠一クン、両脇に目くばせしながら、
「そう!それに、オマエらだって、ムチャクチャでっかい声で叫んでたじゃんよ。」と言ったんだけど。
「だぁ~からよぉ~、エイチぃ~。
 オレたちが叫んだのはよぉ、あん時おめぇが、
 いきなりとんでもねぇ声あげて駆け出してったからなんだぜぇぇ~。」
「えぇっ?ちょっと待てって。
 だ、だって…、オレ、見たぜ。
 杉多の言ってた、門の上に並んでた首…。
 えぇ?オマエらは見てないって言うのかよ!?」
 詠一クンがそこまで言った時。また、杉多クンが顔を半分だけ振り返らせた。
「だからエーイチ、ごめん。
 アレは、やっぱりオレの幻なんだって…。
 今思うと、霊を見た時のあの独特の感覚っていうの、
 あん時はなかったような気がするんだよ。
 ま、そんなこと言うとエーイチは嫌がるだろうけどさ。
 でも、こういうことっていうのはさ。
 感じれる人間にしかわかんねーもんなんだって。
 そう考えるとさ。やっぱりアレは錯覚…?幻…?
 たぶん、そういうことだと思うんだよなー。」


 詠一クンの頭の中は、もう真っ白…。
 確かに、あの時は悲鳴か絶叫かわからないが、大声を上げて逃げ出した記憶がある。
 だけど、ホントに最初に声を出したのって、みんなの言うように自分なのか?
 うーん…。
 少なくともそんな記憶ははない。
 そう、それよりなにより、あの門の上の横木に並んでいた首。
 あれが幻だの錯角だのって…。
 幻だの、錯覚だのって、あんなハッキリと見えるものなのか…?
 あんなにハッキリ見えるモノが幻や錯覚なのだとしたら、いったいどこまでが本当で、どこからが幻や錯覚なのだろう?
 石段の上の方で、杉多が気味悪くつぶやいていたところは?
 その前の、杉多のあの妙にひっかかる目つきや、行動は?
 橋のところで杉多がいきなり駆け出したのは?
 その前のあの時…
 その前のその時…
 その前は…
 ていうか、なら今は…
 そう。オレが今年やっと大学生になれたのって……
 え?
 錯覚だったり!?


 頭の中が真っ白になるくらい混乱してしまった詠一クン。
 でも、幸か不幸か、それはいきなり起こった。
 ふいに、足元から伝わってきた、激しくキュルキュルいう音。
 と、思う間もなく、体がグワーンって持っていかれ──。
 スローモーションになった車内の中。あーって思った時には衝撃が来て、意識がスっと暗くなっていた。

 でも…
 意識が暗くなったと思ったら、気がついていた詠一クン。
 クルマは停まっていた。
 窓の外はススキの葉っぱ?
 あっ、事故った…!?
 慌てて辺りを見回そうとして、脳裏にふわっと浮かんだ、真っ暗な道路を走る自分たちの乗るクルマがいきなり急カーブ。飛び出すように、道路わきの草むらに突っ込んでいく光景……。

 そんなこと、見ているはずもないのに。
 でも、現にクルマはススキの生い茂る草むらの中で停まっていた。


「ひゃーっ!」
 助手席からいきなり発せられた異様な声。
 その変な声に、ギョッとそっちを見た運転席の薫クン。
 でも、そっちを見たと思った時には、薫クンはたちまちクルマの外に追い出されていた。
 薫クンを追い出すと同時に運転席に座った杉多クン。
 その杉多クンは、後ろの席に座っている詠一クンたち3人が何を言っても全く聞こえないようで。
 「ひゃー!」だとか、「えぇー!」「うぼっ!」など奇声を発しながら、クルマをあちこちいじっているばかり。
 まるで何かに憑りつかれちゃったんじゃないかってくらいの、その鬼気迫る様子。
 それは、詠一クンはもちろんのこと、その両脇のクセモノ2人も声をかけるのとはばかられるほど。

 そんな中、ふいに響いたエンジンがかかる音。
 つづいて何秒かのアイドリング音がクルマから伝わってきたと思ったら。
 いきなり、フロントガラスの向こうがパーッと眩しくなって。
 ライトに照らされた、やけに生々しく見えるススキと、その右端で必死に腕で光を避けている薫クンの姿。
 ぐぁーーーん!
 音とともにいきなりきた衝撃。
「えっ!」
 そのインスピレーションは、詠一クンも両脇のクセモノ2人も同時だったのだろう。
 でも、そんな3人が杉多クンを止めるより何より、とっくに動き出していたクルマ。
 わーっ!なんてこと…
 心の中で目を閉じちゃった、そんな3人の耳に入ってきた薫クンの慌てふためく声。
「わーっ!す、す、杉多っ!
 ちょ、ちょっと待――。」
 クルマが何かに乗り上げたようなガタンという衝撃があったのはまさにその瞬間。
「っ!」
 詠一クンたち3人が声にならない悲鳴をあげたまさにその刹那、キュッと停まったクルマ。
「カオル…。
 ったく。早く乗れよ。」
「ひゃー!
 ゴメン。ホント、ゴメン、杉多…。」
「もういいよ…。
 早く乗れよ。いい加減帰るぜ。ちっ…。」
「ホントゴメン、杉多。
 オレさ。杉多、オマエ怒っちゃって。
 今、オレのこと、クルマで轢く気なのかと思っちまったよー。」
「……。」
 目は開いているのに、全然状況がわかってない後部座席の3人。
 耳に入ってきた杉多クンにしきりと謝っている薫クンの声に会話にやっと我に返ってみれば。
「うん!?」
 それは、夜道を飛ばしているクルマの中。
「だから、ホント、ゴメンって、杉多…。」
「……。」
「よくわかんねーんだよー。オレも…。
 何で道から飛び出してたか……。」
「……。」
「ホント、悪かった。」
「もういいって言ったろっ!」
「っ!」
 その杉多クンとも思えない声に、薫クンは元より後ろの3人も飛び上がった。



 いやまぁなんとか。
 幸いなことに、杉多クンの愛車シティ・ターボ2は何ら異常はなかったようなのだが。
 しかし…。
 その車内のキーンと張り詰めた空気ときたら。
 遠山クンなんか、柄にもない猫なで声で、
「そ~いえばよぉ~。スギタぁが、O城は帰り道に何かあることが多いって言ってたのぉ。
 これって、まさにそれなのかもなぁ~。
 なぁ、スギタぁ~~。」
 て言ったんだけど。
 でも、杉多クン、遠山クンが言い終わるより早く。
「そんなわけねーだろ!」
 キッパリひと言。
 その冷た~い響き……


 とはいえ、杉多クンが怒っちゃったのも無理もないのだろう。
 それまで言いたい放題、やりたい放題だった詠一クンたち4人に我慢に我慢を重ねていた部分もかなりあったろうし。
 というか。そもそも、どうも今夜はO城までの足の確保のために呼ばれたんんじゃないかっていうのもあった。
 それが、薫クンが愛車を事故らしっちゃったことで爆発。
 結局、杉多クン。
 薫クンのアパートで降りた詠一クンたち4人が、「スギタ、今日はゴメンな」って謝っても、「うむ…。」とうなずただけ。
 誰にも視線を向けないで、急発進で行ってしまった。



 とまぁそんな後味悪い結末になってしまったのだが。
 ただ、詠一クンたち(もちろん杉多クンも含めて)にとっては、その後味の悪さゆえに気持ちをO城でのことから切り離したのも事実だった。

 そう。確かに気持ちは切り替えられた。
 みんな。
 なのに……

 それは、詠一クンが自分のアパートに帰ってから。
 明け方間際のことだった。




 ── 本日これまで!
           67話目-7〈了〉/ 67話目-8続きます
__________________________メルマガ配信日:2010.9.12




注!無断転載禁止
 断りなく転載されるのは非常に不愉快です。やめてください
  ブログの記事は全て「著作物」であり、著作権法の対象です。
                ↑
          ちょっと剣呑で、ゴメン(^^;)





Comment:0  Trackback:0
2014
12.14

ネス湖といえば…




 ネス湖といえば……






 ネス湖といえば?







 ネス湖……

 やっぱりネッシー!?






 ブー!ハズレ(笑)

 だから、ネス湖といえば?








 やっぱり、ロマネスコでしょ!








 いえいえ、あながちおバカジョークでもなくって。

 ロマネスコは、ロマ、つまりジプシーが、ネス湖のあるスコットランド北部で栽培したのが、世に広まるきっかけなんだとか。



 ていうのは、まー、まったくのデタラメですが、とはいえ。


 ほら、ロマネスコのこの部分なんか、ネッシーっぽいって言うか、ぶっちゃけネッシーというよりは、レッドキングの頭っぽいよなーなんて(笑)

IMG_2826.jpg

          ギャァオォォォ~





 そんなロマネスコですが、「今更ロマネスコかよ。おっくれてるぅ~!」なぁ~んて上から目線の方も多いのかなーなんて思ってみたり(笑)


 ってね。
 いや、もちろん前から知ってましたよ(エッヘン)

 知ってはいたんだけどー、
 八百屋で実物も見てはいたんだけどー、
 あぁ食べてみてーとも思ってたんだけどー。

 ま、買ってはいなかったんですね。


 つまり、値段が高い!と(爆)



 そんなロマネスコですが、今年の冬はあの手の野菜の出来がいいのか、カリフラワーやらブッコロリやらが安いんですよね。

 その流れなのか何なのか。
 土曜日、八百屋に行ったら、(憧れの)ロマネスコも127円で売ってたもんだから迷わず買っちゃいましたよ(笑)


 ちなみにその日は、カリフラワーが105円。

IMG_2827.jpg


 ブッコロリは84円と。

IMG_2833.jpg





 おかげで今週の夕食は、ロマネスコだの、カリフラワーだの、ブッコロリだの、毎日似たようなもんばっかだなぁ…(笑)


 ま、どれもウマイんで。
 全然OKなんですけどねー。

 ブッコロリはともかく、カリフラワーだのロマネスコだのは“腹にたまる”っていうところが好きです(笑)






 で、そのロマネスコ。

 肝心の味の方はというと……


 ドリル状な形はともかく、色はカリフラワーの白とブッコロリの緑の中間みたいな色ゆえなのか、味もカリフラワーとブッコロリの中間みたいな感じですね。

IMG_2825.jpg


 つまり、カリフラワーみたいな優しい味なんだけど、でもブッコロリっぽく、ちょっと青っぽいクセがあるみたいな(笑)

 ただ、甘みは、もしかして一番あったりする…、のか?




 というか。
 カリフラワーやブッコロリと同じく、このロマネスコも、どう料理したらいいのか困る野菜ですよね(爆)


 ぶっちゃけ、下手に料理するよりは、マヨネーズつけて食べるのが一番ウマイかもなーなんて(笑)

 例の投稿レシピサイト見ても、結局サラダばっかですもん。
 あー、結局みんなソコに落ち着くんだなーって(笑)

 とはいえ、夕飯のおかずがサラダっていうのも寂しいんでー。



 そんなわけで、他のサイトを見ていてあったのが、ロマネスコのエビマヨ

 あー、確かにエビは合うかもなーって思ったんですけど、エビなんてあるわけもなく(爆)
 夏だったら、裏にカエルがいくらでもいるんだけど…

 …と、思ったら。
 あっ!小エビならある!!って。
 (正しくは乾燥オキアミ)


 そんなわけで、小エビ(乾燥オキアミ)と塩でか~るく炒めたら、なんだかやけにウマかったなぁ~!(笑)




 思ったんですけど、ロマネスコって魚介系の“臭い”もんと合うのかな?って。

 裂きイカと炒めたらウマイかも!って密かに企んでるですけど…



 ただ、ロマネスコ、
 今度の土曜も安く売ってるかだよなぁ……









 ロマネスコといえば、そういえばカリフラワーって、今は嫌われモノの野菜なんですってね。

 「あんなウマイもん、なんでー?」とかビックリしちゃうわけですけど、上にも書いたように、確かにどう料理したらウマいのか困る野菜ではありますよね(笑)

 結局いつも、鶏肉かソーセージを炒めて。
 クリームシチューのルーか、コンソメの味のスープにカリフラワーを入れる、シチューもどきかポトフもどきみたいなのばっかなんですけど。

 でもそれって、ウマイのはウマイんですけど、でもやっぱり茹でてマヨネーズっていうのが一番ウマイよなーって(笑)

 ま、それはわかってるんですけどね。
 でも、この寒い季節に冷たいおかずっていうのも、なーんか寂しいんだよなぁ……



 みなさんは、どんな風に食べてますぅ~? 


 

Comment:2  Trackback:0
2014
12.14

67話目-6

Category: 怪談話


 ~O城 その5


 そんな中。
 気がつけば、会話の中にまた杉多クンがいなかった。

「あーれー、杉多は?」
 別にキョロキョロ捜すまでもなかった。橋の欄干にもたれるでもなく、ぼーっと突っ立っていたその姿。
 視線の先を追ってみても、特に何があるというわけでもない。
 ただ、暗がりがあるばかり。

「よぉ~、スギタぁよぉ~。
 おめぇ、なに1人で黄昏てんだよぉぉ~。」
「何やってんだよ、杉多。早くこっち来いよ。」
「なぁ杉多ぁ。オマエだったら攻めるのと守るの、どっち選ぶぅー?」
「なんだよ、杉多。煙草か?
 ないんなら、ほら、ある──。」
 それは、詠一クンが声をかけた瞬間。

 タンタンタンタンタンタンっ!
 まるで、バネではじかれたみたいな勢いだった。
 いきなり橋の向こう側に吹っ飛ぶように走っていった、杉多クンの後姿。
 詠一クンたち4人は、杉多クンがいきなり走り出したことにも驚いたのだが、それより何より、橋の上を勢いよく駆けていくその足音にビックリ仰天!
「うぐっ!」
「うぉっ!」
「っ!」
「ば…、馬っ鹿ヤローっ!」

 杉多ぁっ!オマエ、脅かすんじゃ……。」
 例によっての暴力団声になって、怒鳴りかけた三鷹クン。
 でも、そこまで言って、杉多クンが霊感があるっていうのを思い出しちゃったもんだから。
「あぁっ!
 おい!杉多、オマエ──。
 えぇーっ!ウソっ!
 えっ!なにっ!え?ヤバイのか?
 おい、杉多。えぇーっ!」
 いよいよヤバイ事態かと、大パニックに陥った三鷹クン。
「ワーっ!」
 なんて。絶叫とともに、やっぱり橋の向こう側に走りだしちゃったもんだから、残りの3人もは堪ったもんじゃない。
 つられてワー!ギャー!叫ぶなり、あとは橋の上をダダダーっと。


 はぁーはぁー…。
 はぁーはぁー…。
 はぁーはぁー…。
 そこは、橋を渡った石垣の前。
 詠一クンたち4人は、そこに突っ立っていた杉多クンを前に、はぁーはぁー息をついていた。

「はぁーはぁー…。
 おい、杉多ぁー、どうしたんだよー。
 はぁーはぁー…。
 な、何があったんだって…。
 もー勘弁しろよー。
 はぁーはぁー…。」
 詠一クンが荒い息でそう言っても、杉多クンも同じように「はぁー、はぁー、はぁー…」言ってるばかり。
「おい、よぉ~。ヤベぇーのかよぉ~、スギタぁ~。
 おめぇ、そのくらい言えよぉぉ~。」
 声が完全裏返っちゃってファルセットボイス状態の遠山クンは、目ん玉真ん丸で、もはや完全切羽詰っちゃった風。
 しかし杉多クン、そんな切羽詰った遠山クンの言葉にも荒い息を返すだけ。
 ただ。詠一クンは、焦れてきちゃって。
「あぁーっ!もう、だから何なんだよ。
 何言っても、はぁーはぁーって、変態のイタズラ電話じゃねーんだからよ。
 何とか言えってーんだよ。」
 薫クンが一瞬ギロリと睨んできたけど、詠一クンさらっと無視。

 そんな詠一クンたち4人が、目ん玉ひん剥いたような顔で見つめる中。
 やっと呼吸が整ってきた杉多クン。
 その杉多クンの目がいきなり下から来て、詠一クンの目とバッチリ合った。
「っ!」
 思わず息をのんだ詠一クン。
 でも、杉多クン、すぐに今度はきょとーんとした顔になって。
 そのあまりの変化に詠一クンが「はい!?」って思った時には、もうあっちを見ている。
「な、何だよ、杉多。いったい…。」
「い、いや…。ゴメン…。何でもない…。
 急に怖くなっちゃって……。」

 それを聞いて、何だか気抜けしちゃった詠一クンたち4人。
 何でもないと聞いて、ほっとしたのはいいんだけど、今まで緊張しまくってた分、今度は頭にきちゃって。
「オマっ──。
 おいぃぃーっ。オマエ、いい加減にしろよなぁー!」
「あー!まったく。オマエ、勘弁しろよっ!」
「オレ、今マジ死ぬかと思った…。」
「いや、ホントごめん…。なんだかわかんないんだけどさ…。」
 と、杉多クンは延々平謝りするばかり。
 そのうち、詠一クンたち4人もきまりが悪くなってきちゃって。

「まぁよぉ~、そういうことって、
 誰だってあるもんじゃんねぇのぉ~。
 いいじゃんよぉ~、もぉ~。
 スギタぁもよぉ~、もう気にすんなぁぁ~。」
「ま、トーヤマの言う通りだな。
 しっかし、オレ今マジ焦ってよー。
 ついにヤバイのかと思っちまったぜ…。」
「そうそう。ま、もう気にすんなよ、杉多。
 ていうか、オレたちも悪かったよ…。
 でよぉー。それもそうなんだけど…。
 なぁカオルよー、どうすんだ?まだ行くのか?」
 もうウンザリって顔で詠一クンが言えば。
「え?あ、あぁー。」と、薫クン。
「なぁ。もういいんじゃねーのー?
 何かオレ、今のでどっと疲れちまってさ…。
 どうだぁ?もう終わりにして、ファミレスでも行かねー。」
 見れば、遠山クンと三鷹クンもうなずいている。
「あー、そうだなぁー…。
 あっ!でもさ。その階段登った所が城主たちの居場所だったらしいんだよ。
 せめて、そこまで行ってみねーか?
 あ、いや。みんながもういいって言うんなら、
 オレももういいんだけどな…。」
「うん…(はぁ…)。
 じゃぁ、そこまで行ってみるかぁ?
 あ、そうだ。杉多は?
 どうだぁ杉多。オマエ、大丈夫そうか?」
 詠一クン、そう言って振り返れば。まるで待ち構えていたみたいに、ぶつかった杉多クンの目。
 その、様子を窺うような表情。
 でも、それが見えたのは一瞬。詠一クンが、それに気づいた時には、杉多クンはすでに目を反らした後。
 うん?な、なんだ…!?
 それは、強い違和感。
 しかし。
「ああ。うん。もう大丈夫だって…。
 さっきはホントごめん…。」
 そう言って先をスタスタ歩きだした杉多クンに、つられて薫クンも歩き出した。

 その妙な間。
 何がどうしてそんな気持ちにさせるのかわからない。
 でも、それは変にひっかかる。
 そんな詠一クンが首を傾げると。今度そこにあったのは、遠山クンの目。
「…!?」
 何か言っているようなその目に、ふと見れば、三鷹クンまでもが首を傾げて訝し気な顔。
「おい、オマエら!なに3人して愛し合ってんだよ。早く来いよ!」
 声の方を見上げれば、石段を登り始めた薫クンが立ち止まってこっちを見ていて。
 その2、3段上には、やっぱり立ち止まった杉多クンの姿。
 暗くて表情まではわからないのだが、やっぱりこっちを見ている様子。

「まぁよぉ~。よくわかんねぇよぉ…。
 とりあえずはよぉ、行くっきゃねぇんじゃねぇぇ~。」
 遠山クンの声に、再び目を合わせた詠一クンたち3人。
 そう。明らかに杉多クンは何か変だった。
 ただ…。薫クンの様子も、どこかおかしいような…。
 3人は、そのことを、うなずくともうなずかないとも。ただ、お互いの目だけで確認してから、やっと歩きだした。

「しかし、結構急な階段だなぁー…。」
 石段を登り始めた詠一クンが、誰に言うともなくそう言うと。
「さっきの話しに戻るようだけどよ。
 全然暑くねーんだけど、いったい何なんだ?
 汗もかかねーし…。」
 詠一クンに答えるでもなく、そうつぶやいた三鷹クン。
「えぇーそうかぁ。
 ほら、今。杉多が走り出した時…。
 オレ、結構汗かいたぜ。」
「でもよぉ、エイチ。今はもうひいてねぇかー?」
「あ!そういえばそうだなぁー…。」

 それが聞こたのだろう。ずっと上を歩いていた薫クンが立ち止まって振り返った。
「なぁー。もしかして雷来んじゃねぇーか?
 かすかだけど、冷たい風が吹いてるよな。」
 確かにそう言われれば…。
 全然気がつかなかったけど、確かにわずかだけど風が吹いていた。
 しかも、それは夕立の前触れのようにやけに冷たかった。
 詠一クン、思わず空を見上げれば。
 確かに、空は一面厚く雲がかかっているようだけど…。
 でも、雷が近づいているようには感じられない。

「いや…。ほら、ここってよ、西側から北側がずっと山だろ。
 だから、わかんないだけかもしれないぜ。」
「カオルぅよぉ~。そうは言ったってよぉ、夜だぜぇ~。
 雷来てれば、音とか光とかあるだろうよぉぉ~。」
「うん。ま、そっかー。そうだよなぁ…。
 でもよー。この上まで行ったら早く帰ろうぜ…。
 だって…。ほら!ここからクルマ停めたとこまでって、かなり距離あるだろ?
 だろ?雷来たらヤバイだろ?
 それに…。
 ま、いいか…。
 今はとりあえず早く行っちまった方がいいな…。」

 その薫クンの変な物言い…。
 でも、誰もそれを口にすることなく、また石段を登り始める。
 なんだか、ついさっきまで馬鹿言って騒いでいたのが嘘のようだった。


 石段を上がるにつれ、ひしひしと迫ってくる圧迫感。
 それは、頭上の石垣の上にはしる影になった柵の連なりが、そう感じさせるのか?
「うっ…」
 詠一クンの耳に聞こえたのだから、声だったのだろう。
 見上げれば、石段の途中で立ち止まっている薫クンの姿。
 石段の上の方を見ているようなのだが、詠一クンのところからはそれが何なのかわからない。
「……。」
 詠一クンが、薫クンに何なのか聞こうと口を開きかけたら。
「なんだ、門か…。
 ふぅー。何かと思ったぜ…。」
 つぶやく薫クンの声。
 そんな薫クンはなぜかそこに立ち止まったまま。
 遅れて石段を上っていた詠一クンたちが薫クンに追いついた時、やはりそれを見上げて一瞬息をのんだ。


 それは、空の暗さ、それより深く沈んだ森の暗さよりもさらに黒く、そこにそびえ立っていた。
 両脇にすっくと立つ太い2本の角材。
 そして、角材上部で2本をつないでいる幅のある横木。
 それは、無骨で素朴な形あるがゆえに力強く、夜の暗さを圧倒するように立っていた。

「うわっ、なんだあの門。
 無っ茶苦茶怖ぇ……。」
 それは詠一クンの後ろ。三鷹クンのうわずった声
「な、なんかよ。スッゲーって感じだよな…。
 何だろ?処刑場とかにありそうな感じってか……。」
 それは遠山クンの声だっていうのに、いつものダラダラと伸ばす語尾がなかった。
 そんな時、そこに紛れ込んできた、また別の声。
 その、まるで雑巾でも絞っているようなしゃがれた声に、みんなギョッとそっちを見上げれば。
 そこは、詠一クンたちがいる場所から、さらに石段を10段くらい上がったところ。いつの間にか、立っていた杉多クンの後姿。
 ただ、杉多クンは杉多クンなんだけど、なんだかちょっと変。
 全身が変にしゃっちょこばってて、そして。
「く…。く、く、くび……。くびが……」
「…!?」

 誰も、最初は杉多クンが何を言っているのかわからなかった。
 もちろん「くび」という音は聞こえてはいた。でも、詠一クンたちの耳に意味のある言葉としては聞こえてなかった。
「え?何だって?くびぃー?
 杉多、オマエ、なに言って──。えぇっ!」
 杉多クンに声をかけた薫クン。そう言ってる途中で、杉多クンの言う“くび”が“首”だって気がついた。
「首!?首って、オマエ…。」
「く、首…。
 首が、い、いくつも…。
 いくつもあの上に並んでいる……。」
 しゃがれた声でそう言った杉多クン。
 今度は、ゆーっくり顔を動かして。そして、すぐ下にいる詠一クンたちを見下ろす。
 その妙に強張ったように見える顔の気味悪さときたら…。
 それはまるで、上でそびえているあの門の凄愴さが、そのまま杉多クンの顔にとり憑いちまったよう。

 詠一クンたち4人は、杉多クンのその視線で金縛りにあったように、ただただその顔に見入っているばかり。
「く、首が…。
 斬られた生首があの門の上にいくつも…、
 いくつも並んでいる…。
 み、みんな、こ、こっちを見、見、見ている……。」


 その言葉。その顔。その声。
 その瞬間、総毛立った詠一クン
 憶えているのは、背中一面にゾワぁーっと。ひやっと何かが広がっていく触感。
 胸の奥からバクバクせり上がってきた、感情の塊のようなもの。
 自分では、ワーっと大声を出しているつもりなのに、なぜか喉のところで砕けてしまう。
 そして…。
 そんなモノ、詠一クンは実際には見てやしないのに。
 杉多クンの言う、門の横木の上に並ぶ生首のイメージが、脳裏に次々と浮かびあがる。
「うっわぁぁーーーっ!」

 詠一クンの頭の中で、わんわん鳴っているその大きな悲鳴。
 耳を覆わんばかりの絶叫の中。
 断片的に飛び込んでくる、遠山クンや三鷹クン。薫クン、そして杉多クンが逃げ回る姿。
 さらに、O城の石垣や石段、橋。真っ黒な茂み、ぼかーんと開い黒い空……
 ふぉぉぉぉーーーーって。
 いや、何の音かはわからない。
 間断なく、ずーっと耳に入ってきた音。
 それが、急に途切れた時――。

「……。」
 え?って、周りを見回せば…。
 そこは、杉多クンの愛車シティ・ターボ2の横。
 はぁはぁと荒い息でへたり込んでいた、遠山クン、三鷹クン、薫クン、杉多クンの姿。




 ── 本日これまで!
           67話目-6〈了〉/ 67話目-7続きます
___________________________メルマガ配信日:2010.8.24




注!無断転載禁止
  断りなく転載されるのは非常に不愉快です。やめてください
  ブログの記事は全て「著作物」であり、著作権法の対象です。
                ↑
          ちょっと剣呑で、ゴメン(^^;)



Comment:0  Trackback:0
2014
12.13

ちょっと意外な気がして、思わず見ちゃった『広がる“読書ゼロ” ~日本人に何が~』



 ……って。
 考えてみれば、日本人の“読書離れ”なんて、それこそ私が子供の頃からある話なわけで。

 ま、猫も杓子もスマホ見て。誰もがケータイキャリアやIT・ネット企業ばかり儲けさせちゃってる、今だからこそあらためてっていうテーマなのかなーって(笑)

 クローズアップ現代
 http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3592.html
 http://www.nhk.or.jp/school-blog/300/204703.html



 ただ、個人的には、読む本を選ぶのに。無数に書き込まれているアマゾンのレビュー。さらには、読書メーター等「本棚サイト」の書き込み、ブログの読書感想を参考にすることが多いもんで。
 “読書ゼロ”や“本離れ”っていうよりは、むしろ“(デジタル書籍を含めた)読書は復権している”みたいなイメージがあったんでしょうね。

 そういう意味じゃ。番組で言っていた、本を読まない学生の論文で自分の考察や意見がプアだったっていうのは、読書するしないしないじゃなく。
 それは、もしかしたら日本人全体、あるいは日頃ネットを利用している人全体に言えることなのかもなーって、大いに反省しちゃったり(笑)


 つまり、なんて言うのかなぁ。
 私を含め、目先にある「情報」だけで思い込んだ予断をしちゃうっていうか…。
 ひとたびそれが「情報」という“形”になっちゃうと、無条件に信じちゃうというか…。

 それこそ、かつての『書を捨てよ、町に出よう』じゃないですけど、自ら五感で体感することの方が絶対なんだろうなーって。


 だって、考えてみれば。
 松下幸之助だって、本田宗一郎だって。あるいは、スティーブ・ジョブズだって、(番組に出てきた)立花隆より本を読んだ量(数、時間)は圧倒的に少ないはずですよね。

 なのに、一から商品をつくって、社員を養って。そして、あれだけの企業をつくって、日本や世界に貢献したわけですもん。
 そーんな読書してるとかしてないとかで、人にそうそう違いが出てくるとも思えませんよね(笑)

 そういえば、あれは90年代の終わりくらいだったかなぁ。
 「日経ビジネス」かなんかの、年頭の恒例の各大企業の社長のインタビューで、愛読書のほとんどが『坂の上の雲』か、土光敏夫の本だったな~んてこともありましたし。
 (最近はどうなんだろ?さすがに『坂の上の雲』は流行おくれ?爆)


 ま、そういう意味じゃ。
 このネット時代において、本を読まないから弊害があるとはあながち言えないと言っていた立花隆って、やっぱりいろいろ考えている人なんだなーって。

 な~んか、ちょっと感心しちゃいました(笑)




 ただ、そうはいっても。
 それが、本を読むor読まないでそうなるのかどうかはわかりませんけど、昨今、その人なりの考えっていうのが、な~んかミョ―に出てこないような気がするっていうのはあるかなーって(笑)


 いえ。自分の意見を言わないっていうんじゃないんです。
 むしろ、誰もがいろいろ言うんです。

 ただ、それを聞いていて、(それを言っている人は)ホントにそれを欲しているの!?みたいな。

 ホンネとしての欲することじゃなくて、タテマエとして欲することなんじゃないだろうか?というか…
 ぶっちゃけ言っちゃえば、な~んかどっかで聞いたような…???というか……。


 いや。タテマエだろうと、どっかから持ってきたことだろうとね。それを一回、自分の中でグツグツ煮詰めてみたら、もっとグッとくる話になると思うんだけどなーって。

 そう。ボールが微妙にバットの芯からズレてるように感じてしまうって言うのかなー。
 最近の日本企業のコンシュマー向け商品って、空振りか、いいとこチップくらいで。エラーすら狙えないどころか、大きなファールで注目にすらならないっていうのは、そこら辺りが要因なんじゃないのかなぁ…(泣)



 でね。これは、「ネット」というものが絶対的な正義になってしまった今だからこそ、あえて書いてみたいんですけど。
 つまり、通勤の電車の中でスマホばかり見ている人に商品開発は出来ないんじゃないかなーって。

 いえ。いまだにスマホ持ってない人のひがみじゃぁなくってね(爆)
 スティーブ・ジョブズが自分の子供にデジタル機器の使用を制限させてたっていうことを、私たち日本人はもっと深く考えるべきだと思うんです。



 そう。だから、「本」っていうのは。
 “ネットで調べるより非効率で無駄が多い(というか、無駄ばっか!)”ところこそがよくって。
 だからこそバカで、楽しくって。
 そして、グッとくるんだと思うな!(笑)



 

 最近、「情報」って言葉を聞くと、なーんかミョーにイラっとくるのはなぜなんだろ…



Comment:2  Trackback:0
2014
12.12

同じ阿呆なら…

Category: guchitter



♪自民に入れる阿呆に 野党に入れる阿呆
 同じ阿呆なら投票しなきゃ損!損! 
 えらやっちゃえらやっちゃよいよいよいよい
 そーれそれそれどーしたどーしたどーしたどーした 



  ま、投票しても、結局国民は損だったりしてね(爆)




 しっかしまぁ、この選挙ってさ。
 結局、“消費税10%延期の信を問う”にかこつけた、安倍さんの趣味(憲法改正を4年かけてじっくりやりたい)のための選挙だよね(爆)

 ま、すんごい迷惑なんだけど、一応は付き合うからさ。
 ちゃんと景気よくしてよねー(笑)

 あっ、企業の景気なんてぇのはどーでもいいのよー。
 どーせ、今の大企業経営陣はため込むことくらいしか出来ねーんだから
 大事なのはね、国民1人1人の景気!



 個人消費のUPなくして、日本の景気の回復なし!!

 でしょ?(笑)

  https://www.youtube.com/watch?v=_3OnzNozNAA





Comment:0  Trackback:0
back-to-top