2014
11.30

67話目-5

Category: 怪談話


~O城 その4


「で?結局O城って、何があるんだよ?」
「なんでも、滝があってよぉ~。そこで、みんな死んじまって。
 だから、そこに出るって聞いたぜぇぇ~。」
「滝ぃー?」
「おい、絶対ヤバイってー。」
「しっかし暗ぇーなぁー。」
「バカっ!おめぇくっつくなよぉっ。暑っちーじゃんよ!」
「オバケ出るぞぉ~。う~らぁ~め~しやぁぁぁ~!」
「こんバカ!やめろっつーんだよ!エイチっ!」
「よぉエイチぃ~。おめぇよぉ~、
 黙んねぇ~と、その辺の木にふん縛って、オマエだけ置いてくぜぇぇ~。」
「ヒモもねーのにどうやって縛んだ。バーカ!」
「おい、絶対ヤバイってー。」
「うるせっ。黙れ、この霊感ヤロー!」
「よぉ~スギタぁよぉ~。おめぇ、頼むから黙ってろよぉ~。
 おめぇがなんか言うと怖ぇ~んだよぉぉ~。」
「ところで、カオルぅ~。いや。カオルさ~ん。
 合コンってさ、やっぱ試験明けか?」

 そんな、やたら騒々しい詠一クンたちのO城探検。
 もし他のグループが来てたら、ソイツら全員に総スカンくらいそうなくらい。
 関係あることないこと、とにかく言葉が途切れず、常に誰かがなにかしゃべっているそんな状態。
 しかも、その声もいつもよりデカくて……

 というのも。
 詠一クンたちは、合コンをエサにやっと歩き出したものの、実は全員、内心は怖くて怖くて。
 だから、怖さを少しでも紛らわそうと、常に何かしゃべってたというわけ。
 そんな中、一行は開けた場所に出た。


「お、なんかすげーなー。」
「なんかよぉ~、カッコイイじゃんよぉぉ~。」
「確か、ここ行くと橋があるって聞いたけど…。」
 つぶやいて歩きだした薫クン。
「お、おい!カオル!
 オマエ、1人で勝手に先行くんじゃねぇーって…。」
 三鷹クンが、いきなり叫んで慌ててドタバタ駆けだすもんだから。
 残り3人も、「うぐっ!」とか呻きながらやっぱりドタバタと。
 一方、薫クンは薫クンで、やっぱりドタドタ戻ってきて。
 その慌てた様子をみると、1人で先に行っちゃってたとは気づかなかったらしい。

「バ、バカぁ~。
 おめぇら、ちゃんとピッタリついて来いよなぁ~。」
「そんなこと言ったってさ、カオル。
 オマエ、1人でスタスタ行っちゃうんだもん。」
「オマエらな。
オレが幽霊にさらわれちゃったら、合コンできねーんだからな。
 そこんとこは忘れんなよ!」
「あ、そうか。ヤッベー!」
「おい、よぉ~スギタぁ~。
 オマエ、ずっと黙ってんじゃねぇ~ぜぇ~。
 オマエがずっと黙ってっと怖ぇ~んだよぉぉ~。」
「そーだよ!全くもぅー。怖ぇーなー!」
「そんなこと言ったって…。
 さっきは、怖くなるから黙ってろって言ったじゃん。」
「バカかオマエは?
 まったく世話がやけんなー。
 怖くねぇことをしゃべりゃいいだろーが!」
「そーだよ、おめぇ、そのくらい気ぃーきかせろってんだよ。」
「おい、よぉ~スギタぁ~。
 オマエだって4年後は就職すんだろぉ~。
 そのくらい気をきかさねぇ~と就職出来ねぇぜぇぇ~。」
「心霊スポットに来て、何で就職出来るとか出来ねぇーとかって話になるんだよ!」
「るっせぇなぁ~。
 とりあえず怖い話以外なら何でもいいんだよぉぉ~。」
 そんな、どこにいてもどんな場合でもバカやらなきゃいられない、そんなおバカ連中。


 その時、先頭を歩いていた薫クンが振り返った。
「な、おい…。
 見ろよ…。
 橋だ……。」
 その言葉に、妙に驚いたのは薫クンのすぐ後ろを歩いていた三鷹クン。
「な、なんだよ。
 おどかすんじゃねーよ。」
「別におどかしてねーだろ。橋があったって言っただけだろ。」
「だって、カオル。おめぇ、話す時に変な間をいれたじゃんよ。
 あれが怖ぇーってんだよ、コノヤロ。」
「ま、間ぁ…?
 間って、知らねーよ。バーカ。
 なんだよー、おいカンベンしろよー。
 ミタカってこんなに怖がりだったのかぁ…。」
「怖ぇーなんて言ってねーだろ。
 だから、ほら…、暑いんだよ。
 暑いとよ、ほら、頭がぼーっとすんだろ?
 だからビックリしたんだよ。」
「えっ?そんな暑いかー。
 オレ、クルマ停めた所と比べると、
 ずいぶん涼しくなったなーって思ってたんだけど…。」
 と、言ったのは3番目くらいのところを歩いていた詠一クン。
「おぉ~、そうだぜぇ~。
 ミタカぁよぉ~、今はずいぶん涼しいぜぇ~。」
 それは、詠一クンからはちょっと後ろ。杉多クンと並んで歩いていた遠山クンもそう言うもんだから、三鷹クンは大弱り。
「うるせーよ!暑いって、そういう意味で言ったんじゃ――。
 あれ?そう言われてみりゃ、ずいぶん涼しい…!?
 な、なんでだよ…。えっ…。」
「そう、そうだよな。
 オレも、さっきからそんな気がしてたんだけど…。
 そうか。やっぱ気のせいじゃなかったんだ…。」
 先頭の薫クンまで怪訝な顔。

「おぉっ!
 いよいよかぁー!」
 そう言った詠一クンの顔は、何だかちょっと嬉しそう。
 でも、たちまちみんなから睨まれて。
 そんなみんなの視線。
 それは、やがて自然と霊感があるという杉多クンの方に……

「な、なんだよ…。
 あ、だから…、そう。やっぱ合コンはさ、バイト休まなきゃならないからさ。
 決まったら1週間前に教えて…、
 くれる…か、なぁーなんて…。
 ハハハー。」
「よぉ~、スギタぁよぉ~。
 そういうこっちゃねーだろぉ~!」
「そーだよ!なんでこんなに涼しくなったんだよ!
 おめぇ、何か感じねーのかよ!」
「えぇぇーっ。
 だって、さっきそういうことは言うなって…。」
「よぉスギタぁよぉ~。おめぇはバカかよぉ~。
 ホントにヤバイ時っていうのはよぉ~、やっぱ言わなきゃダメじゃ~ん。」
「そーだよ。あのな、ここで幽霊に呪われちまったら、
 オマエ、合コン出来なくなっちまうんだぜ。
 つまり。言ってみりゃ、合コンはオマエにかかってるとも言えんだぜー。」
 それを横で見ている詠一クン。
 あぁ~あ…。遠山と三鷹のクセモノコンビ相手じゃ、いくら何でも杉多がカワイソウだよなぁーなんて。

「いや、うん。そうだなー。
 涼しいっていうのは、確かにオレも感じてたんだけどさ。
 でも、特になんかいるとか、そういうのは感じないなー。」
「ふぅー…。それを聞いて安心したぜ…。」
「よぉ~、頼りにしてるぜぇ、スギタぁよぉ~。」
 霊感がある人が心霊スポットなんかに付き合わされるとろくなことはないっていう、まさに見本のような杉多クン。


 そんな中。詠一クンは、さっき薫クンの言ってたことを思い出した。
「そういえばよ、カオル。
 さっき言ってた橋ってなんだよ?」
「あぁ…。
 詳しいことは、オレも知らない。
 城の中心部にある橋らしいんだ…
 実は…、
 うん。そこが、結構ウワサがある……
 らしいんだよな。
 で、その橋が……
 ほら…。見えねぇか…
 すぐ、そこ……」

「バ、バカヤロ、カオル!
 は、話す時に変な間を入れんじゃねーって、い、い、言った…、
 だろ……。」

 夜気の中、青黒く静まりかえったO城。
 三鷹クンのいつもの怒鳴り声は、そんなO城に吸収されるようにすぅーっと尻すぼみ。
 見れば、なるほど確かに薫クンの言うように前に橋があった。
 しっかりした木の手すりの橋が真っ直ぐ、すぅーっと奥の暗闇に伸びていて……

「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや……。
 そ、それ…。
 おい、ヤバイって!」
 それは、詠一クンのすぐ後ろ。
 いきなり大声あげた杉多クン。
「わっ!
 な、なんだよ、杉多ぁ。脅かすなよな…。」
 つーか、オマエ。霊感あるとか言ってるくせして、
 トーヤマやミタカより怖がりじゃん!」
 そんなウンザリ顔の詠一クンとは対照的に、杉多クンは血相変えた顔でしどろもどろ。
「バ、バカ…。
 ち、ち、違うって。は、橋、橋、橋の真ん中…。
 だ、だ、だ、誰か…、誰かいるんだよ!」

「っ!」
 杉多クンのその言葉に、もう誰もがこみ上げてきたきたものが喉の奥で詰まった状態。
 そして、見た。
 闇を透かすように……
 その木の橋の向こう側は、青黒い暗がりに溶け込むように、すぅーっと。
 しかし、じっと見ていると、だんだん奥まで見えるようになって。
 橋の向こう側…、さらにその奥にある土塁の真っ直ぐな線が、暗闇にぼわぁ~んと浮かび上がってきた。
 でも、杉多クンの言う“誰か”なんて、どこにも…。

「バ、バ、バカかよぉぉ~、おめぇぇっ!
 な、何もいねぇ~じゃんよぉぉ~。」
 全員の沈黙を破り捨てるように言ったのは遠山クンだった。
 しかし、遠山クン。そこで止めておけばよかった。
「そ、そんなこと言ってんじゃねぇよぉぉ~。
 こ、こ、怖ぇ~べぇ~!」

 そう。後から思えば、確かに遠山クンの声は最初っから声が裏返っちゃってた。
 つまり。遠山クン、その時は相当怖かったのだろう。
 最後につい出ちゃったそれは、お国訛り。

 暗く、重苦しく静まりかえった夜気の中の一瞬の静寂。
 でも、その一瞬後。
 その前までの状況が状況だっただけに、もぉみんな、堪ったもんじゃなかった。
「ぷっ」
「ぷっ」
「ぷっ、ぷっぷぷぅー。ハハハハハハハハー。」
「こ、怖ぇ~べぇ~…?
 怖ぇ~べぇ~って…。
 ハハハー。
 おい、勘弁してくれよぉー。トーヤマぁー。
 ハハハー。」
「おい、杉多!オマエ、怖ぇ~べぇ~。
 変なこと言うんじゃねぇべぇ~。オレは何にも見えねぇべぇ~。
 そう言ってるトーヤマは何か見えるかべぇ~。」
「てめぇ~、ミタカぁ~。うっせぇぜぇ~。」
「うっせぇべぇ~!
 ぷっ。ハハハー。」
「よぉエイチぃ~。
 おめぇ、ここぞとばかり言ってくれるじゃんよぉぉ~。」
「そんなこと言ったって…。
 ハハハー。あー腹イテぇ。
 だって、トーヤマ。
 オマエ、あの場面でべぇ~はねぇだろー。
 べぇ~はよ…。
 ハハハー。あー、ダメだ。
 また可笑しくなってきた。ヒー、ヒー、苦しいぃー。」
 気がつけば、遠山クンに思わずべぇ~を言わしちゃった当の杉多クンまでもが、ヒーヒー苦しみながら笑っている。
 それは、ある意味阿鼻叫喚……


 それは、みんなの笑いがやっと収まってきた頃。
 やっと薫クンが口を開いた。
「あぁー。腹痛くて死ぬかと思ったぜー。
 なんだよー、これってやっぱ一種の祟りか?
 ぷっ…。
 ダ、ダメだ…。またぶり返してきた…。あー、苦しい…。」
 薫クンが笑い出すと、それはまたみんなに伝染して。
 結局、笑いはまだ終わらない。

「はぁー、はぁー、はぁー。
 あぁー、苦し…。
 いいじゃん、もう。このまま行こうぜー。
 笑ってっと、怖くなくなってくるからちょうどいいや。
 ぷっ…。ヒヒヒヒヒー!」
 怖がりのはずの三鷹クンがヒーヒー笑いながら。1人で橋の方に向かって歩き出せば、つられてみんなも歩きだした。


 橋は、何だかちょっと意外すぎるくらい立派だった。
 歩くにつれて、前方の土塁と石垣の斜めのラインが夜目にもハッキリ見えてきた。
 いや、その時はさすがに笑いは収まっていた。
「うわ。すごい立派な城なんだなぁー。
 なぁカオル、O城って戦争とかあったのか?」
「なんだよ、エーイチ。
 オマエ、クルマの中で話し聞いてなかったのかー。
 なんでもな、壮絶な戦があったらしいぜ。」
「へぇー、そうなんだ…。
 でも、これじゃ攻める方だって大変だろうなぁ…。」
「よぉエイチぃよぉ~。
 オマエだったらよぉ~、どっちをとるぅぅ~?」
 気がつけば、「べぇ~」からやっと立ち直った遠山クンがすぐ後ろにいた。
「何だよ、どっちって?」
「バァ~カ。攻める方ぉと、守る方ぉ。
 どっちがいいかってことに決まってんじゃんよぉぉ~。」
 そんな会話に、たちまち割り込んできたのは薫クン。
「これだけの城だろ。絶対守る方だろー。」
「おめぇよぉ~、
 O城は落城して皆殺しにされたんだぜぇぇ~。」
「それは、攻める方があまりに多すぎたからだろ。
 本来ならそう簡単には落とせないだろー。」
 今度は三鷹クンも話しに入ってきた。
「オレは、攻める方だなー。
 性格的に言ってよ。」
「おっ。面白れぇぜぇ~。
 守るカオルぅに、攻めるミタカぁかぁ~。
 カオルぅもしんどそうだけどよぉ~。
 でも、ミタカぁもしんどそうだぜぇぇ~。」


 遠山クンが言っているのを聞いていた詠一クン。
 なるほど、遠山って面白いことを考えるなーなんて、不思議なくらい感心してしまった。
 確かに、一見おっとりしてそうで、その実何を企んでいるかわからない薫クンが城を守って。
 やることなすこと、全てが支離滅裂。その先が全然読めない三鷹クンが攻めたら相当面白いんじゃないかって。
 そんなことを考えていたら、詠一クン、気持ちがちょっと大きくなっちゃったのだろう。
「なぁ、オレたちって、いつもバカだけどさ。
 でも、戦国時代とかに生まれてたら、意外にスゴかっり?
 はっはは…。」



 しかし、そこはO城。
 そんな脳天気なことを言ってられるのがあとわずかだってことは、 誰一人わかっていなかった……




 ── 本日これまで!
           67話目-5〈了〉/ 67話目-6続きます
____________________________メルマガ配信日:2010.8.24



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2014
11.24

67話目-4

Category: 怪談話

 ~O城 その3


 クルマが停まっても、しばらく誰も何も言わなかった。
 きき過ぎのクーラーに慣れすぎちゃって、乾いたひんやり感が纏わりついた体。
 そんなクーラーの風に溶け込んだ芳香剤の匂い。
 煙草の匂い……

 そんな現代的、かつ人工的な空気が当り前の車内。
 しかし、わずかにでもドアを開ければ…
 それは、圧倒的な夏の夜の気配。
 蒸しーっとくる熱気。
 辺り一面の木々の匂い。
 間断なく聞こえてくる虫の鳴く音。
 そして、なぜかザラついたように見える、変な夜の色。

 そこにいる誰もが、煙草を吸おうと思ったのだが…
 でも、そのために窓を開けるのを、なぜか躊躇ってしまう……


 そんな、誰もが何を言うでなく、何をするでもなくなったクルマの中。

 最初に声をあげたのは杉多クンだった。
 手持無沙汰だったのだろう。意味もなくドアをちょっと開けて。
 でも、たちまち入ってきた蒸しっとした夜気に、「うげっ!」ってひと声。
 バタン。
 慌ててドアを閉めながら、杉多クンは助手席の薫クンを見た。

「おいー、外。スっゲー蒸し蒸しだぜー。
 ホント行くのかぁ…。」
「ふーん…。蒸し蒸しかぁー。
 で、おい!オマエら。どうすんだ?
 行くのか?それとも帰んのか?」
 詠一クンたち3人の座る、後ろの座席を振り返った薫クン。
 一方、杉多クンはといえば、ハンドルにもたれて。バックミラーでチラッチラッとそれとなく後ろを見ている。

「蒸し蒸しかぁ…。
 はぁー……。
 まーなぁ…。トーヤマがションベン洩らすとこは見たいんだけどなぁ…。」
「オレもよぉ~。
 エイチぃが呪い殺されるとこぉ、見たいんだけどよぉ~。
 でも、蒸し蒸しなんだろぉぉぉ~…。」

 そんなわけで、みんなの視線は必然的に三鷹クンに。
「な、なんだよ、オレかよ…。
 あのなぁー、オマエら知ってんだろ。
 オレが暑いの大っ嫌いだってこと。
 とはいえなぁ…。せっかくここまで来て帰るってーのもなぁ…。」
「ミタカよー。オマエ、今さら隠さなくたっていいじゃん。
 オマエがオバケ怖いの、もう全員にバレちゃってんだぜ。」
「何だよエイチ。
 何だかんだ言ってよ。オメぇも怖ぇんじゃねーのか?」
「ばぁーか。
 オマエらのため思って言ってやってんだろ。」
「おい、てめぇ、エイチぃ~。
 オレは、オマエにそんなお情けかけてもらう筋合いねぇ~んだぜぇぇ~。」


 後ろの3人が、そんな愚にもつかないことを――例によって――グダグダ言っていると。
「じゃぁよ、ちょっくら行ってみるか!
 まぁ暑いけどなぁー。でもせっかく来たんだしな。
 ミタカも、せっかく来たんだしって言ってるしなー。
 うん!じゃ、2対3で行くの決定な。」

 そんな薫クンに、慌てて反応したのは杉多クンだった。
「な、なんだよ、それ?
 行くって言ってるヤツ、あと誰なんだよ?」
「えっ?だから…。ミタカが、せっかくここまで来て帰るっていうのもって言ったろ?
 あと、オレも今せっかく来たんだしって言ったろ?
 だから、それで2対3じゃん。」
「いや、わかんねー。
 それって、2対3で“行かない”じゃねーの?」
「だって、オマエら3人は、行くとも行かねーとも言ってねーじゃん。
 でも、2人はせっかくここまで来てって言ってんだから、
 なら、多数決で“行く”ってこったろ。」
「いや、わっかんねー。なんだその理屈?
 えぇぇーっ!?」
 って、ただのデタラメなのに。薫クンの言ったことを必死に理解しようとしている杉多クン。

「いいんだよ。そんな小っこいこと…。
 じゃぁよ、行ってみようぜ。
 せっかく来たんだしよ、まぁいいじゃん。
 ちょっと行ってみて、暑かったらすぐ帰っちゃえばよ…。
 別によ、ユーレイ見たいってわけでもねーんだろ?」
 何だか今日の薫クンはやけに積極的。
 いつもなら、どっちかと言えば煮え切らない態度をすることが多いのだが。

「えぇぇー!暑いぜぇぇー…」
 って。まるで遠山クンみたいな口調は、何事にも面倒くさがりの詠一クンだった。
「バカヤロ、エーイチ。
 オマエ、あんだけ大口叩きやがったんだからな。
 ここで怖ぇーとか絶対許されねーんだぜ。」
「なんだよ、カオルぅー。
 オマエ、今日はやけにオレにつっかかってこねーか?」


 …って、結局詠一クンたちのいつものパターン。
 つまり、何するにも、とりあえずは不毛な文句をぐだぐだたれてからじゃないと動けない。
 そんなこんなで、やっとクルマの外に詠一クンたち。
 しっかし、その蒸し蒸しの暑さときたら…。
 そしてもう一つ。
 クルマの中でもうっすら感じられた、あの変にザラついた空気感。


「うぇっ!な~んか歓迎されてないって感じ…。」
 この暑さだっていうのに。杉多クンは、両手で自分を抱きかかえるように辺りを見回している。
「よぉ~スギタぁ~。
 オマエよぉ~、霊感あるとか言ったヤツが、そういうこと言うんじゃねぇ~よぉ~。
 気になんだろぉがよぉぉ~。」
「おっ、トーヤマ。もう洩れちゃいそうか?」
「おめぇーもおめぇーだよ、エイチぃぃ~。
 いつまでも、そんなこと言ってんじゃねぇ~よぉ~。
 蹴り入れんぞぉぉ~。」
「おい、トーヤマ。それとエーイチ。
 そんな騒いでっと、怒って落武者来んぞ!
 ハハハー。」
「てめぇっ、カオルぅっ!
 おめぇはよぉ~、さっきから一人でエラそーでムカつくぜぇ~。
 そもそもこれはよぉ~。おめぇーが彼女に自慢したいからって頼んできたから、
 始まった話じゃねぇ~のかよぉぉ~!」
「はいぃぃ!?」
「か、かのじょぉぉ!?」
「な、なんだ、その話!?」
 オバケが出てくるより早く現れた、オバケなんかよりよっぽど面白そうな、その話。
 詠一クンたち3人の視線は、もう遠山クンと薫クンを行ったり来たり。

 そんな――あの心霊スポットO城で――睨みあっている2人と、それを楽しそうに見ている3人。
 やがて…
 三鷹クンが言った。
「なんだよー。な~んか変だとは思ってたんだよー。
 O城行って、エイチのことビビらしてやろうぜなんて、
 怖がりのトーヤマが言ってくるからさ…。
 そうか。つまり、カオルがトーヤマに頼み込んで、
 それにオレたちは付き合わされたってことか…。」
「ま、まてよ、ミタカ。
 ち、違うって…。」

 カラクリがバレちゃった薫クンは、もうあたふた。
「全然違わねぇーだろぉ~、カオルぅぅ~。
 おめぇ~がよぉ~、彼女に自慢したいんだけどぉ、1人じゃ怖いから。
 みんな一緒に行ってくれって頼むからよぉ~。
 じゃぁせっかく行くんだからってぇ、
 ついでにエイチぃ~をビビらそうぜってことになったんだろぉがよぉぉ~。」
「あのな、トーヤマ。
 オマエがカオルの頼みきいてやるのは勝手だけどな。
 そこに、何でオレをビビらすことが付け加わんなきゃなんねーんだよ!」
「バーカ。
 あのなぁ、エイチぃ~。オレはよぉ、怖がりなんだぜぇ~。
 O城に来るのぉ、怖ぇえんだぜぇぇ~。
 だぁからよぉ~、そのくらいの楽しみがねーと、やってらんねぇ~だろぉがよぉぉ~。」
「そんなもん、楽しみにしてんじゃねー、このバカ!」
「うっせぇ~ぜ~。こんタコぉっ!」


 結局、その後は小学生レベルの悪口の言い合い。
 もう延々……
 ただ、それは別にケンカしてるんではなくて。
 実は、それこそが詠一クンたちの密かな楽しみだった。
 よって、ひとしきりみんなで低レベルの悪口の言い合いをした後は、みんなでゲラゲラひーひー笑って。
 で、スッキリした後は、彼女が出来て1人でいい思いをしているらしい薫クンをネチネチいびってやろうと、誰もが舌なめずり……


 …のはずだったのだが。
 今夜は異分子が一人紛れてるもんで、いつもとはちょっと勝手が違った。
「えっ、てことはさ、つまり。
 カオルが、O城に行ったって彼女に自慢するのに、
 O城まで行く足が必要だってことになって。
 それでクルマを持ってるオレが呼ばれたってこと?」
 いや、もちろん。それは、杉多クンの言う通りなのだが…
 ただ、それはそれ。ホンネがあれば、タテマエだってあるというのが、この世の習いなわけで。

「いや。違うぜぇ~。違うんだって、スギタぁぁ~。
 オマエぇ、誤解すんじゃねぇ~ぜぇぇ~。」
「そーだよ、杉多。
 大体な、オマエは学校来なさすぎなんだよ。
 そんなこっちゃ、友だち出来ねーぜ。だから、トーヤマが誘ったんだって…。
 ほら。トーヤマって、見た通りのバカだけどさ。
 あれはあれで、いい所もあるんだって。」
 さすがクセモノコンビの遠山クンと三鷹クン。お互いのフォローは、こんな時でも息がピッタリ。
 てことで、詠一クンもどさくさ紛れに二言、三言フォローすることに。

「そうそう。そうだぜ、杉多。
 トーヤマはさ、バカだし、根性曲がってるし。
 ハッキリ言って、顔も見たくねーようなヤツだけどさ。
 でも、あれで意外と面倒見よかったりするんだぜ。」
「よぉ~、エイチぃ~。
 おめぇに言われっと、すっげームカつくのは気のせいなのかよぉぉ~。」
「バーカ。褒めてんだろ。
 って、そんなことはどーでもいいんだって。
 だって、この場の主役はカオルだろ?」
 てわけで、やっと話の流れを軌道修正出来た詠一クン。

「なぁー、カオルぅー。ふぅぅーん、彼女できたんだー。
 大学生最初の夏休みから、やけに楽しそうじゃんよー。
 おまけにみんなを騙して、こんなとこに連れてきてくれちゃって…。
 ありがと。いい夏の思い出になったよ。」
「おー、それ!忘れてたぜー。
 ナイス、エイチ!へへっ。」

 普段は詠一クンの天敵でも、こういう時はさっと味方になるのが三鷹クンのいいところ。三鷹クン、そこからは声に――地の――凄みが入った。
「おい、カオルぅっ!
 オマエよ、なんでそんな楽しそうなこと、トーヤマだけ教えて、
 オレたちには教えてくれないわけぇ?
 あぁ~、あぁ~、そうか、そうか。つまり、まずトーヤマに相談して。
 うまく合コンをセッティング出来てから、
 オレたちに教えてくれるつもりだったってことなのかなぁ?
 いっやー。別にそこまでしてくれなくたって…。
 なぁー、エイチ。」
 と、ここで三鷹クン。詠一クンと目を合わせ、2人でドスのきいた笑みをニタ~リ。

「でも、まぁな。カオルは友達甲斐のあるヤツだからな。
 親切は素直に受けないと…。
 なぁー、エイチ――。
 ぶっ、はははー!」
「えぇっ、合コン?
 オレ、まだ合コンしたことねーんだよー。」
 そんな、この期に及んでも相変わらずズレまくりなことを言っているのは杉多クン。
 さすがの詠一クンも、ほとほと呆れ顔。
「なんだよ、杉多ぁ…。
 オマエ、合コンもしたことないのかよー。ダッセーなぁ…。」
「おい、よぉ~エイチぃ~。
 オマエ見栄はってんじゃねぇ~ぜぇ~。
 おめぇだって、合コンしたことねぇくせしてよぉぉ~。」
「るっせー、トーヤマ。
 オマエもないくせして黙ってろ!」
「おっ!聞いたかよぉ~。
 “も”だってよぉ、エイチぃのやつぅ~。
 オマエ“も”ないくせしてって、自分からないって白状してやがるぜぇぇ~。
 きゃきゃきゃ、バーカ!」
 って。
 薫クンに向けたはずの矛先が、いつの間にか詠一クンに向かっていたのはいつものこと。


「まぁ、いずれにしてもよ。
 ここでいつものバカやってても、しょうがねーしな。
 彼女が出来て幸せイッパイなカオルに、みんなで寄ってたかって協力するとしよーぜ。
 だってよ、カオルは友だち思いだからよ。
 ここで恩売っとけば、あとでターップリとお返ししてくれるって。
 だよな、カオルぅっ!」
 そんな三鷹クンのニタニタ顔とは対照的に、薫クンは渋い顔。
「あー、あー、わかった、わかった。わかりましたよ。
 まぁ夏休み明けだな。
 オマエら、夏休み中に少しお洒落っぽい服買っとけよ。
 合コンの相手はO女子大なんだからな。」
「おぉぉぉー!O女子大…。」
「えっ!ホントかよ、カオル。ホントにO女子大なのか?」
「杉多ぁ~。オマエはおメデタイなぁ~。
 O女子大だからって、カワイイとはかぎらねぇだろぉ~。
 そもそもよぉ、付き合ってる相手の男がカオルぅだってこと忘れんなよぉぉ~。」
「まぁまぁ、トーヤマ。
 それは合コンの後のお楽しみってことでよ…。
 まずはカオルがよ、その彼女とうまくいかなきゃ
 オレたちの合コンにこぎつけられねーんだからよ。
 とりあえずはこのO城だよ。
 このO城をじ~っくり探検して、カオルが彼女に自慢出来なきゃダメなんだぜ。
 な!そうだよな、カオル!ハハハー。」
「てめぇー、エーイチ。オマエ、覚えてろよ。」
「はい、はい。でもよ。
 先にやたら突っかかってきたのはオマエだってこと、忘れんなよな。
 ほんで、本日の先頭は当然カオルだよな。
 やっぱよぉー、彼女に勇敢なところ見せないと…。」
「おっ!そりゃ、そうだぜぇぇ~。
 おい、よぉ~カオルぅぅ~。
 ユーレイ出たらよ、そん時はよろしく頼むぜぇぇ~。イヒイヒ…。」


 そんな中。
 見れば、杉多クンだけは浮かない顔。
「どうしたんだよ、杉多ー。」
「いや…。ホントに行くのか?」
「だって、行かないと合コン出来ないぜ。」
 そう言った三鷹クンをはじめ、みんなもウンウンうなずきながら杉多クンを見ている。
「いや、実はさっきからさ──。」
「いや、スギタぁ~。オマエよぉ~。だから、それ、やめろよぉぉ~。
 せっかくバカ言い合って。あと、合コンを目の前にぶら下げて。
 そんで、なんとか行く気になってんだからよぉ~。
 また怖くなっちまうだろ~がよぉぉ~。」
「うん。いや、さ。さっきクルマのとこでバカやってた時もさ、
 なーんか城の方から見られてるっていうかさ……。
 あ…。」
 城の方を不安げな面持ちで見ながら、そう言っていた杉多クンだったのだが。
 ふと、詠一クンたち4人を振り返ってみれば。
 なんと、4人揃って両手で耳をふさいで。わざとらしい軽蔑顔で杉多クンを見ていた。

「杉多さ。オマエって、合コンと幽霊どっちが大事なわけ?」
 三鷹クンが言うと。
「いや、そういう問題じゃ──。」
「えぇー。そうなのかぁー。
 杉多って、女より幽霊の方が好きなんだぁー。
 ふぅぅーん。変わってるね。杉多って…。」
 と、詠一クンが言えば、薫クンまでもが、
「まぁな…。別に男は少なくてもいいしな…。」なんて冷たい顔。
「だから、さっきオレのバイト先の先輩の話言ったろ。
 それに、オレはちょっと霊感あるんだって…。」
「だぁ~からよぉ~、スギタぁ~。
 オマエよぉ~、もう一度聞くけどよぉ~。
 オマエさぁ~、O女子大との合コンと幽霊。
 どっちが大事なんだぁぁ~?」
「いや、だからそういう──。」
「そうじゃねぇ~んだよ~。どっちが大事なんだよぉ~?
 まず、それだぜぇぇ~。」
「そ、そりゃ、合コンの方が大事だけどさ…。」
「だろぉ~。
 じゃぁ、行くっきゃねぇ~だろぉがよぉぉ~。
 オレだって、怖いの我慢してるんだぜぇ~。
 おめぇも我慢すんだよぉ、スギタぁぁ~。」
「なぁ、杉多。オマエはさ、O女子大との合コンのことだけ考えてりゃいいんだよ。
 どんなカワイイ子がくるのかなーって。
 そうすれば幽霊なんてもん、いたって見えねぇって。」
「幽霊なんてもんはな、見えようが何だろうが気のせいって思えばいいんだよ。
 それでも出てきちゃったら、そん時はそん時だよ。
 ワーワー怖いよーとかなんとか言って、みんなで、あたふたしてりゃいいんだって。」
「いやー…。」
「うっせっ。行くぞ、杉多!
 それ以上言うと蹴りぶっ込むかんな。」


 とまぁ、なんだか詠一クンたちの間だけで通用する屁理屈で、嫌々O城探検に付き合わされることになった杉多クン。
 いや。実は変な感じというか、気配というか。
 そんな何だかわからない感覚っていうのは詠一クンたち他の4人もなんとなーく感じていた。
 それも、クルマを停めた時から。
 ただ、このO城探検にいたる薫クンの企みがバレちゃったことで、詠一クンたちの仲間のいつものノリがついつい入ってきちゃって…。


 とはいえ、そこはO城。
 つまり、“あの” O城であり、“関東最凶の” O城であるわけで。
 そんなO城で、いつものノリのままで無事済むわけもなく……




 ── 本日これまで!
           67話目-4〈了〉/ 67話目-5に続きます
__________________________ メルマガ配信日:2010.8.23



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2014
11.19

もしかして、また?


 いっやー、安倍さん。

 まった、いきなり辞めちゃったりして?

 (爆) 






     この曲がチャート1位!?ていうのも寝耳に水だったけど…(笑)


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2014
11.19

もぉずーっと見てたかった。ていうよりは、もぉちょっと見たかったか? ~『MOZU』(笑)

Category: R&R


 例の、ドラマ『MOZU』。

 アナタは、「大っキライ!」って思う方?
 それとも、「大スキ!」?
 はたまた、「うん。まぁ好き」って思う方?




 ちなみに、私は「まぁ好き…。かな?」って感じかなぁ…


 ま、「大っキライ!」って人(+「大好き!」って人)はともかく。

 「まぁ好き」って人なら、「まぁ好き…。かな?」の“かな?”の、このニュアンス。
 「百舌の叫ぶ夜」編を見てそう思った人なら、とってもよくわかってもらえると思うんですけど…(爆)



 ただ…
 『幻の翼』編を見終わってみたら。

 「結構よかった…。
 というか、かなりよかったんじゃない?」
って(笑)


 ま、確かにね。
 現代のこのゆるキャラなご時世にハードボイルドって、アナクロの極地というか…(爆)

 だって、そうでしょ?
 今や、ラーメンでも、カレーでも、何でもかんでも入ってるのは、ぷるるんっとした温泉卵でしょ?

 今どき、固ゆでのゆで卵なんてもんの存在が大っぴらに許されているのは、もしかして箱根の大涌谷くらいじゃないのかなーって(笑)

 キオスクとかって、今でも売ってるんだろうか?


 でもさー。
 ペチャペチャの温泉卵じゃぁ、ハラ溜まんないんだよねー。

 ハラ溜まんなきゃ、力も出てこないわけで、つまり男たるもの、(こんな猫も杓子もゆるキャラなご時世だからこそ)ハードボイルド食べなきゃ!(笑)


 そういう意味じゃ、『MOZU』。
 もし、70年代にやってたとしたら、もの凄い視聴率取ってたんじゃないでしょうか。

 そもそも、ツッコミどころ満載な点、一つとっても、70年代向きって感じですよね(爆)



 そう。確かにツッコミどころ満載でしたよねー。

 MOZUっちはじめ、登場人物全員が不死身というか、いやはや頑丈な体だなぁ~って呆れ果てちゃうっていうか(笑)

 だって、撃たれようが、刺されようが、クルマにぶつかられようが、次の回では元気に走り回ってるんだもん!(笑)

 あと、やっぱりMOZUっちはじめ、みんな、どうやってその時そこでそれが起こるってわかってその場面に現れるんだよ!?っていう辺りも相当でしたしね。

 特に、津城さん!(爆)
 あと、現場に現れはしないんだけど、鳴宮クンも何でもかんでもわかっちゃいすぎだろー!

 その他、ツッコミどころをあげればキリがないってくらいなだけに、何かで気に入らないことがあった人は、あれはもう100%見てらんないだろーなーって思います。


 ただね。

 ま、その手のツッコミどころは何とか目をつぶって、じーっくり見てると…

 あれ?意外と細かいとこまで気ぃ~配って作ってんだな~って。


 いや。ホント、じ~っくりと、見ないとわかんないんじゃないでしょうか?

 ま、私は、それほどドラマを見る方じゃないんで。
 だから、じっ~くり見ないとわかんないだけなのかもしれませんけどねー(泣)

 ちなみに、私は「百舌の叫ぶ夜」編の再放送を見ていて初めて気づいたんですけど、倉木さんと明星さんはじめとする出演者の一瞬の表情の変化が、とにっかく“凄い”んですよね。

 それが、セリフ以上にセリフになってるっていうか、それこそストーリーの骨格になってるっていうか。


 なんでも、明星さんの演技(セリフ)が批判されまくってるみたいですけど、私としては「いっやー、明星さんスッゴイわ~」って感じでしたかねー。

 いやもぉ、思わずファンになっちゃったくらい(爆)



 で、その『MOZU』。

 最初の「百舌の叫ぶ夜」編は、前半のとにかく謎、謎、また謎…って展開にムッチャクチャ魅かれて見はじまったんです。

 ただ、謎、謎、また謎…な展開が面白かっただけに、中盤、MOZUっちの記憶が戻って一気にいろんなことがわかった辺りから、なーんかシラケてきちゃって。

 さらに、その前辺りにあった、やたら元気な殺し屋さんvs倉木さん、殺し屋さんvsMOZUっちの闘いも、背景に陰謀を企む秘密の組織があるだけに、「これじゃ仮面ライダーだよなぁ…」なんて(笑)

 「百舌の叫ぶ夜」編は、中盤以降そんな風にシラケ気味に最後まで見ちゃった(最後の貞子さんなMOZUっちも含め)んですけど、でも、夜中にやってた再放送と「幻の翼」編を見終わると……

 むしろ、これって、かつての仮面ライダーに夢中になった人ほど、面白がれるドラマなのかなーって(笑)

 考えてみれば、原作はまさにその頃に書かれたわけですもんね

 な~んか、そんな気がしちゃいました。



 ただ、つくづく残念だなーって思ったのは、「幻の翼」編が5回と短かったことですね。

 5回しかないだけに、“今回の悪い人”であるはずの池沢さんの悪さの印象がものすごく弱いんですよね。

 悪さの印象が弱いから、そのラストの印象も弱くなっちゃう…。

 それと同じで、面白いキャラクターであるはずの名波さんも、そんなに出番があるわけじゃないから妙に影が薄くなっちゃってて。

 出てくると、「あ、そう。この人いたじゃん」って、あらためて思いだすみたいな…

 というか。

 5回しかないことで、やけに陳腐になっちゃったのは、例の「本当の真実」ですよね(笑)

 (ちなみに、私は、あれは文法的に全然間違いじゃないと思うけどな!笑)

 あの「本当の真実」っていうのは、実は登場人物2人にとっての「本当の真実」になってたわけじゃないですか。

 そもそも、『MOZU』は、あの「本当の真実」こそがドラマの骨格ですよね。

 なら、「本当の真実」を求めてきた、その2人心の葛藤。
 さらに、その2人に対する2人がそうせざるを得なかった「まさにその場面」がなければ、どうしたって陳腐(竜頭蛇尾)になっちゃうのは当たり前だと思うんですよ。

 だって、どっちの「本当の真実」も、すでにお話の中で別の人の口から語られているわけでしょ?

 その点は、ちょっと…、というか、かなりガッカリだったなぁ…(泣)



 ただ、ラスト。

 あの明星さんが倉木さんの煙草を奪って、自分でパッと吸って、煙を吐いて。
 「健康に悪いからやめたら。奥さんならそう言うと思う」
 って立ち去るのと、それを言われた倉木さんの一瞬の顔。

 あのシーンの前。明星さんの想いが叶う“事”が、はたしてあったんだろうか?とか、思わずニカニカ想像しちゃいましたねー(笑)
 

 もっとも、もう1回見てみたら、あれはやっぱりまだなさそうだなぁ…って(爆)
 ただ、明星さんとしては、前に進む決心をつけたってとこなんでしょうね



 あとは、倉木さんと大杉さんが飲んでいて。
 倉木さんが大杉さんに「聞いてもいいか?」って聞いた途端、大杉さんが「断る!」って強い口調で言った時の倉木さんの一瞬の顔。

 あれは、ホントよかったかなーって。


 「あぁ…。とりあえずは終わったんだなぁ…」と、ホッと実感させてくれる、いいシーンだなぁって(3人の演技も演出も脚本も)思っちゃいましたとさ。


 めでたし、めでたし(笑)









 ちなみに、例の「ダルマ」って。
 あれ、やっぱり津城さん…、なんですよね?(笑)

 だって、あのダルマの絵って、小日向さんそっくりだし(爆)

 ていうか、「百舌の鳴く夜」編の再放送を見ていて。
 「ダルマ」の顔と津城さんの顔を一瞬ダブらす場面には、思わず「うぐ」とか言っちゃいました。



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2014
11.16

えー!霜柱って、どこにでもあるもんじゃなかったのぉ!?




 ……なんだそうです。

 霜柱……

 な~んだか、ちょっと茫然……


 


 今朝のニュースで何がビックリしたって、「霜柱」が全国的に普通のものではないって話は、ホント驚きました。

 なんでも、気象予報士南さんの話では、西日本(というか関西?)では「霜柱」はほとんど見られなくって。

 気象予報士の南さんは、東京に来て初めて見たんだとか。

 なんでも、土壌の土(砂)の粒の大きさで出来たり出来なかったりするらしいんですけど、つまりウチの辺り(関東南部)で冬に霜柱が当たり前なのは、例の関東ローム層ゆえってこと?

 だとしたら、火山の多い九州なら「霜柱」って普通なんだろうか?とか思ったり…。


 って。いやもぉ、それこそキツネにつままれたみたいな話ですけど、まさかNHKのニュースで“ウソ”なわけもなく(笑)
 いや、実際は情報操作的な“嘘っぱち”ばっかだったりもするんですけどねー(爆)


 でも、
 それが本当(西日本の人は霜柱を見たことない)なんだとしたら、
 「霜柱」って、もしかして観光に使えない?


 なーんて(笑)



 なんてこと言うと、「バーカ!」って笑われそうですけどね。

 でも、最近のTV界で流行ってるネタじゃないですけど、“(外国の人に)意外なものが面白がられたり”っていうのもあるわけで。

 「霜柱」なんて珍しくもなんともないはずの私自身、以前奥多摩で見た10センチくらいある「霜柱」にはビックリしましたしねー。


 それに、ほら、「霜柱」って。

 一面「霜柱」の立ってる原っぱを、ザクザク音をたてて歩きながら霜柱をつぶしていく、あのなんともいえない心地よさっていうのは、確かにあるじゃないですか!(笑)
 (後ろを振り返って、つぶしたトレースを確認したりしてさwww)



 もしかして、何年か後。

 「霜柱ツアー」なんてーのが、大流行りになっちゃって。

 みんなして、ツイッターやブログに写真載っけて、「霜柱なう」。

 なーんてなこと、やってたりして?(爆)






http://www.youtube.com/watch?v=HLDA3GQpYJ4

 ほら、東京から新幹線で西に向かって行くと、名古屋駅を過ぎた途端、窓の外の風景がなーんかいきなり変わるじゃないですか。

 それは、どこがどうとは説明出来ないんですけど、でも醸し出す何かがガラッと変わるんですよね。


 そんな風に、私たち日本人が日々体感している「日常の風景」って、実は土地土地で微妙に異なっているっていうの、意外と知らないみたいなんですよね。

 いや。もちろんね、頭ではわかってるんだと思います。
 でも、体感として、あるいは経験則としては、意外なくらいわかってないように思うんです。

 例のケンミンショーじゃないですけど。もしかしたら、地方の復活・復建っていうのは、もしかしたら一人一人がそんなことを(体感的に)気づくってことにあるのかなーって。

 いや、だからってね。例の「里山資本主義」みたいな、ファッションに寄っちゃったものとは、また違うように思うんだよなぁ…。




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2014
11.16

67話目-3

Category: 怪談話


~O城 その2


 杉多クン目がけ、その話聞かせろと奇声をあげる遠山クンと三鷹クン。
 …って。ついさっきは、あんなに怖がってたくせに。

「何なんだよ、オマエら。
 オバケは怖いくせして、話は聞きたいのかよ?」
「黙れってぇんだよぉ~。エイチぃぃ~。」
「そうだよ。それとこれとはまた別なんだよ。」
「あのなエイチぃ~。女がよく言うだろぉ~。甘い物は別腹ってよぉ~。
 それと同じようなもんなんだぜぇぇ~。」
「そーだよ。そんなこともわかんねーのかよ、エイチ。
 だからオマエはいつまでたっても彼女できねーんだよ!」
 それはまるで機銃掃射。
 詠一クンがひと言しゃべろうもんなら、間髪いれず両隣からその倍の言葉が飛んでくる。
 つまり、これがクセモノ2人の十八番。
 一見理路整然としているようで、よくよく考えると100%デタラメ攻撃。


「エイチみたいなタイプはよ。
 絶対、O城で落武者の霊にとり憑かれてよ。
 そんで、呪い殺されるって気ぃーするよな。」
「そうそう。エイチぃは、落武者にとり憑かれて呪い殺され、決定ぇぇ~え!
 おい、よぉエイチぃぃ~。
 オマエぇ~。今夜ぁ、オマエのアパート帰ったら、出ぇ~るぜぇぇぇぇぇ~。
 オラオラオラぁぁ~~。」
 なんて遠山クン、両手を頭の上でヒラヒラさせながら詠一クンに迫って来る。
 そんな時、いつもの詠一クンなら「ガキかオマエは」的な、ワンパターンな対処しかしないのに。なぜか、今夜の詠一クンは妙に頭がやたらよく回る。
 ふいに「えっ!?」って驚いた顔してみせたかと思うと。
「うわぁっ!なんだ!オマエの後ろ…。
 ウワァーっ!!」
 なんて、急に大声あげたもんだから、オバケが苦手な遠山クンは堪らない。
「うぐっ!」
 うめくなり、その場で飛び上がっちゃって。
 半分だけ後ろを振り返ったまま、詠一クンの方に逃げてきた。
 その慌てぶりの可笑しさときたら…。
 前の席の二人はおろか、三鷹クンまでもがゲラゲラ大笑い。


 そんな車内の大爆笑も、やっと収まってきた頃。
 声のどこかに未だ笑いを残して、薫クンが言った。
「あんまり可笑しくって忘れてたけどさ。
 なぁ杉多ー。先輩の話っていうのは、どうなったんだよ。」
「え?あぁ、そうだった、そうだった。
 しっかしオマエらって、ホント仲いいんだなぁー。
 一緒にいるとホント楽しいよー。」
「別にぃ~。仲いいなんてことねーぜぇ~。
 ただよぉ、エイチぃはよぉ~、今夜呪い殺されことになってるからよぉ~。
 可哀想だから、仲よくしてやってるだぜぇぇ~。」
「まだ言ってるよ…。
 なぁトーヤマ。オマエ、今日はどうしたんだ?
 いつものキレが全然ねーじゃん。
 あ…。
 もしかして、オマエこそ、なんかにとり憑かれてるとか…。
 ぶぶっ!はっはっは…。」
「るせぇ…。黙れぇ~。エイチぃぃ…。」
 そう言うなり、プイと窓の外を向いてしまった遠山クン。
 詠一クンは、この時とばかり追い討ちをかけようとしたんだけど…。
 あ、そうか、杉多の話だっけな…と思い出して、慌ててやめた。


 杉多クンは、そんな詠一クンを待っていたのだろう。やっと話し始めた。
「あのな。これはバイト先の先輩が、
 去年の夏に実際に体験したことなんだけどな。
 先輩たち、やっぱりこんな風に友達と、クルマでO城に出かけたらしいんだよ…。
 でも、行っても特に何もなくて…。
 とにっかく暗くってさ。蚊ばっかだったらしいんだ。」
「えぇ~、蚊ぁ?まぁ~じぃ~。」
「るせー!黙ってろ、バカエイチっ!」
「痛っ!てめっ、ミタカっ!」
「うるせーよー。エーイチも、ミタカもー。
 杉多が話せねーだろー。
 ホント、心底バカだよな、オマエらって…。
 なぁ。」
 助手席の薫クン。振り返るなり、さも迷惑っていう風に顔をしかめて言った後。「なぁ」って、杉多クンに同意を促すように言うもんだから、杉多クンとしてはもう大弱り。
 薫クンには、苦笑いで何となく頷いたり、振り返って愛想笑いをしてみせたり。
 でも、その内落ち着いたのだろう。
 続きを話しだした。

「でさ。先輩たちはさ、
 ウワサほどじゃねーなーなんて言いながらクルマに戻ったらしいんだ。
 その時は、4人で出かけたってことなんだけど、
 その中の1人が霊感強かったとかでさ。
 クルマに戻った時は誰も気がつかなかったんだけど、
 その霊感強いって人、実はO城にいる間、ひとっ言もしゃべらなかったらしいんだよ。
 でさ、クルマを出してからもその人以外の3人は、
 つまんねーとか話してたらしいんだ。
 あ、だから…。
 当然、その時点は、その霊感強い人がずっとしゃべってなかったのは、
 他の3人は気がついてないわけね。
 でさ、クルマ走らしてた時だったらしいんだ。
 後ろに座ってたその霊感がある人が、
 いきなり、 “オマエら全員殺してやる”って叫んで。
 後ろの席から身を乗り出してきて、
 運転している人の首を絞め出したんだって。
 他の二人は何とかしようとしたらしいんだけど、
 その人はすごい力でどうにもならなくて。
 結局クルマは森の中に突っ込んじゃったらしいんだ。
 先輩たち、気がついた時は病院だったって…。
 先輩は、まぁそんな酷い怪我じゃなかったらしいんだけど、
 運転してた人と霊感のある人は1ケ月以上入院してたっていうから、
 まぁ相当な怪我だよな。
 でさ、これは後で聞いたことらしいんだけど。
 O城はその時何もなくても、
 帰り道とかで何かあることが多いらしいんだ。
 どーもさ、後をついてきちゃうことが多いらしいんだよ…。
 だから、O城を出る時は絶対振り向いちゃいけないって言われてるらしいんだけどさ。
 先輩たちはそんなこと知らないから、
 振り返るどころか記念写真撮ったりしながら帰ってたっていうんだよなー。」

 それは、その杉多クンの話が終わるやいなや。
「なんだよ。殺してやるって言ったんなら、ちゃんと殺せよなー。
 そういう話っていうのはよ、いつもそうだよな。
 殺すとか言うくせして、だいたい死ぬなんてことねーよな。」
 と、詠一クン。いきなり吐き出すような口調。
 そのいつもの詠一クンらしくない口調に、杉多クンはまたもや愛想笑い。
「ハハハ。確かにそりゃそうなんだけどさぁー…。
 あ、エーイチって、こういう話信じない方なんだー。」
「あ、いや。ゴメン、杉多。
 実はさ、オレ、昔っからダメなんだよなー。そういう話…。
 な~んか理屈に合わない気がしちゃってさ…。」
「おめぇはよぉ~。バカかよぉ、エイチぃぃ~。
 幽霊によぉ、理屈も何もあるかよぉぉ~。」
「おい、エイチ!
 ていうかよ。幽霊に理屈がねぇー以前に、オマエが一番理屈ねーじゃん!」
「なんだよ、ミタカ。それにトーヤマも。
 オマエらって、幽霊のこととなるとホント不思議なくらい頭が回らねーな。
 幽霊だって、理屈がないわけねーだろ。
 だって、例えばそのO城には出るわけだろ?
 でも、ここには出ねーよな?
 つまり、O城には出るのは、なんらかの理由があるから出るわけだろ?
 理由があるから出る、理由がないから出ないって、
 それって立派な理屈じゃねーか。」
「っ…!?」
「それにさ…。
 あ、杉多、ゴメンな。あくまで例え話だぜ。
 これは、杉多の話のこと言ってんじゃないからな。
 そもそもさ、殺すってーのがわかんねーんだよ。
 オレ達は生きてっから、死んだヤツが怖いわけだろ?
 殺されちゃったら怖くもなんともねーわけだろ。
 だって同じ死人だもん、完全対等じゃん。
 なら、殺したヤツんとこ行って、なんでオレのこと殺したんだってケンカ売ったら、
 一番困るのはその幽霊じゃねーのかよ。」


 つまり…。
 こういうのを、空気がよめないヤツと言うのだろう。
 これから心霊スポット…、しかもそこは、頭に必ず“関東最凶”という枕詞の付く、あのO城に行くというのに。
 それは、はち切れんばかりに高まった、みんなのワクワクドキドキな期待にバケツで水をかける行為。

 それこそ、ぶっちゃけ言っちゃうなら。
 誰だって、これから行くO城にオバケが出るなんて、これっぽちだって思っちゃいないのだ。
 “あの”O城。“関東最凶の”O城というブランド力で、ゾクゾクさせてもらって。あとは、ちょっとした物音かなんかにみんなしてワーキャー騒げれば、それでもう十分満足なのだ。

 なのに…
 詠一クンが、一気呵成にそんなことを言っちゃったもんだから、もうみんな、しらぁーっと。
 いや。実は、詠一クンだって、言い出した瞬間「シマッタ」と思った。
 とはいえ、いったん口から出始まっちゃった言葉は急には止まらない。


 詠一クンのひと言でしらーっとなっちゃったクルマの中は、もうシーンと。
 そんな中、口を開いたのは薫クンだった。
「なぁ、エーイチ…。
 つまりさ、だから殺さなかったとも言えるんじゃねーの?」
「あぁ?」
「だからさ、殺しちゃったら、何で殺したんだってケンカ売られて困るわけだろ?
 なら、死なない程度にケガさせて苦しませてやれば、
 幽霊にとっちゃ、それが一番ハッピーってわけじゃん。」
「っ…。」
「あとさ。
 エーイチは、こういう怪談話っていうのは大体死なないって言うけどさ。
 うん。それはその通りなんだけどさ。
 でも、死ななかったからこそ話が残ってるとも言えるわけだろ?
 つまり、逆に言えばよ。
 もしかしたら、誰も知らない、知りようのない、
 呪われてホントに死んじゃった話があんのかもよ…。」

 薫クンの言葉に、たちまちつまってしまった詠一クン。
 詠一クンの両脇のクセモノ2人――でもオバケはコワい――はもう大喜び。
「そう!そうだよー。 だから殺さねーんだよー。
 幽霊、賢ぉーい!」
「エイチぃぃ~。
 やっぱオマエ、今夜呪い殺され決定ぇぇ~!」

「知るか、バァーカ!
 呪い殺されるわけねーだろ!」
 詠一クン、そんな強がっているものの、もはや敗色はあきらか。
 それは、あの常にうるさい両脇のクセモノ2人が何も言わず、ただただニヤニヤ笑いを浮かべているだけなのを見てもわかる。
 そんなきっかけを作った薫クンは、何を考えているのか?
 クールに煙草を燻らせ、フロントガラスの向こうをずっと見ているだけ。
 そんな沈黙の後、口を開いたのは杉多クンだった。

「なぁエーイチ。オマエ、何だか今日は散々だよなぁー。
 ところでさ。実は…。
 うん。実は、オレもちょっと霊感あるんだけどさ…。
 うーん…、そう。ずっと黙ってたんだけどさ…。
 あのさ、エーイチさ。
 オマエ…、今日のオマエってさ。
 だから、ほら、今日のオマエ…。
 何かさ、変じゃないか?」
「何なんだよ?それ…。」
「いや…。
 何が変なんだかわかんねーんだけどさ。
 ほら、カオルのアパートにオマエが来た時…。
 ドアが開いてオマエが入ってきた時だよ。
 よくわかんねーんだけど、なーんか変な感じしたんだよなぁー。
 いつものエーイチと、なんか違うっていうかさ…。
 なんか妙な気配――。」
「なんだよ、それー。
 あのよー、杉多。オレ、オマエとケンカするつもりないけどよ。
 でもさ、オレ、そういうのって好きじゃねーんだよ。
 オマエが何を感じたって、当のオレが感じなきゃ、それはオレには関係ねーんだよ。
 そうだろ?」
「だーから、エイチ…。」

 杉多クンへの詠一クンの口調は、傍から見てもちょっとキツかったのだろう。さすがに見かねて、三鷹クンが口を挟んだ。
「オマエさぁ。いくらカオルに言い負かされちゃったからって、
 杉多にあたってしょうがねーだろ。」
「いや、別にあたってるわけじゃないし、怒ってるわけでもないんだよ。
 だから杉多、気に障ったら謝るけどさ。
 でもさ、ワケわかんねーのは、オレ、ダメなんだよ。
 感じるとか、感じないとか…。
 だってよ、感じる人は、感じたから、それが本当のことだっていうんなら、
 感じない人にとっちゃ、感じないなら、それが本当のことだとも言えるわけだろ?
 だって、どっちが本当かは誰もわかんねーんだもん。」

 ここで会話が途切れちゃうと、また雰囲気が悪くなってしまうのだが。
 その辺りの呼吸っていうのは、クセモノ2人、やっぱり抜かりがないようで。
 詠一クンが言い終わるより早く、遠山クンの例のだらだらしゃべりが始まった。
「ふん…。
 まぁ~よぉ~。もういいじゃんよぉぉ~。
 実はよぉ~、オレ、なんかよぉ~、
 エイチぃの今言ったのってわかる気ぃ~、すんだぁ~。
 いや、スギタぁ、悪ぃ~。ゴメンなぁ~。
 ただよぉ~、今エイチぃに言われてよぉ~、
 あっなるほどぉって思ったんだけどよぉ~。
 確かによぉ~。なぁ~んかわかんねぇ~んだけど、
 今日のエイチぃって、なんか変じゃねぇ~?
 なぁ、ミタカぁよぉ~。そんな気ぃしねぇぇ~?」
「…???」
「そぉかー。エイチだろ?いつだって変じゃん。
 だって、バカだもん。」
「てめっ、みた――。」
「だぁ~からよぉ~。そういうことじゃねぇ~って。
 そりゃエイチぃはいつだって変だぜぇ~。
 でも、そうじゃなくってよぉ~。
 今日のエイチぃって、いつものエイチぃと、どこか違う感じがすんだってぇぇ~。
 わっかんねぇかぁぁ~?」

 真ん中に座る詠一クン越しに三鷹クンと話していた遠山クンの目。
 その視線の先が、後ろにすっと引いたそこは、ちょうど詠一クンの目。
 詠一クンの目に映る遠山クンの顔は、それこそキスを迫るような超至近距離。

「オエっ!オエぇぇー!
 オレ、今、トーヤマと見つめ合っちゃったよ…。
 あー、キモチわりっ!」
 思わず仰け反った詠一クン。
 一方、遠山クンは例のあのダラダラ声を一際大きくして。
「なぁ~にぃぃ~、エイチぃぃぃ~。
 人がせっかく味方になってやったのにぃ、そういう態度とるわけぇぇ~!」
「あのな、ハッキリ言っとく。
 オレは、オマエだけには味方になってもらいたくない!」
「コイツぅ、絶対ムッカツクぅぅ~!
 こうなったらよぉ、今すぐO城行こうぜぇ~。
 行ってエイチぃのこと、絶対呪い殺してもらおうぜぇぇ~!」
「面白ぇー!行こうじゃねーか。
 でもよ、トーヤマ。
 オマエ、そのO城に行ったはいいけど、おっかなくてションベンとか洩らすなよな。
 ぶっ!ハぁ~ハハハーっ!」

 かくして、杉多クンのシティ・ターボ2は、いよいよO城を目指して走り出した。
 その悲鳴を思わせるエンジン音は、詠一クンたちにこれから起こるであろうあることを予言しているのか?
 はたまた、大学生のデカい図体の男が5人も乗っていることへの抗議の表れなのか?

 いや、そんなことよりも…。
 実は詠一クンには、杉多クンに、そして遠山クンに、「今日のオマエはなんか変」と言われたことを思い知るような出来事が待ち受けているわけなのだが、でもそれはまだまだ先のこと……




 ── 本日これまで!
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2014
11.16

怪談って何?(その何回目か) ~怪談とSFの境界線:その3



 2回に渡って書いてきた(というか、つい書いちまった)怪談とSFの境界線ですけど…

 
 まぁ何と言うか?
 基本的には、SFっていうのを、ある意味“高級なもの”、“高尚なもの”として、それを書いてきたんですね(笑)


 ま、高級、高尚って言っちゃうと何ですけどねー。

 ただまぁ名作と呼ばれるSFには、確かにエンタメ小説を遥かに超えちゃった、“高尚”なお話が多々あるのは事実ですし。

 というか、怪談に高級だったり、高尚だったりするものは、少なくともないわけで(爆)、そういう意味じゃ当たらずともいえども遠からずみたいなとこかなーって。

 ていうか、ていうか。
 高級な怪談とか、高尚な怪談って、たぶんムッチャクチャつまんないと思います(笑)




 で、まぁ、そんなSFなわけですが。


 「SFと怪談の境界線」のその1を書いてから、かれこれもう1ヶ月になるわけで、まー、つまり…。

 そんだけあると、実際にSFに接したり、SF好きな人のブログとか見たりして、SFってもんがおぼろながらにも見えてくるわけですよ。


 でね。そんな1ヶ月で見えてきた、私なりのSFのイメージっていうのが……

 SFって、案外チョロくない?

 みたいな…(爆)


 てことで、「怪談とSFの境界線:その3」では、SFを大いにコケにしてみようかと(爆)



 いやね。
 前にも書いたように、名作と呼ばれるSFは、ホント高尚なテーマだったり、世の中を鋭く隠喩してたりと、感心することしきりなんですけどー。

 でも、それを好む人たちって、案外とたんなる屁理屈好きだけなんじゃねーのーっていうかー(笑)

 ていうか、魔法だとか、理力(フォースの70年代語)だとか、サイエンスの対極にあるものでも、そこに屁理屈原理がくっついてさえいれば万事OK、大喜びみたいなー。

 つまり、怪談の世界が長かった私なんかに言わせると、それって“霊感”とか“霊能力”みたいな世界観を信じ込んじゃってる人と、どこがどう違うのか全然わかんなぁ~い!
 魔法やフォースならよくって、霊感はダメって、それってたんに好き嫌いで言ってるだけじゃ~ん!

 みたいなー(爆)



 いや。SFっていうもんの“凄さ”みたいなことっていうのは、完璧、120%認めてるんです。

 少なくとも、怪談に“凄さ”なんてもんは、完璧ありませんしね。
 (だって、怪談の面白味は、何より“凄さ”がないところにこそあるわけですから)

 何より私、SFのその“凄さ”ってもんを認めてるからこそ、今、かなり夢中なわけです(笑)


 でも、それを“好き”と語る「屁理屈」に、ファンタジーに出てくる“魔法”や、スターウォーズの“フォース”は認めちゃえるのに、“霊感”や“霊能力”は認めないっていうのは矛盾してない?

 ていうか。
 それって、ぶっちゃけ、科学“的”ごっこじゃな~い?

 みたいな…(笑)


 だって、“魔法”や“フォース”は、100%フィクションでしょ?
 その物語の中でだけ通用する“現象”ですよね。

 ま、そりゃーね、“霊感”や“霊能力”だって、フィクション(妄想)だという考え方もあるでしょう。

 でも、それは“霊感”や“霊能力”をフィクション(ていうか妄想)と考える人だけに通用する話であって。
 “霊感”や“霊能力”が自分にあるとする人にとっては、たとえそれが実際には妄想であったとしても、それが妄想だと理解出来ないかぎり、それは(その人にとっては)100%現実なわけじゃないですか。


 いや。“霊感”とか“霊能力”といったものをコケにする気持ちは、とってもわかりますよ(爆)

 その、場当たり的な発言…
 自分の都合のよいとこだけ持ってきた拡大解釈に次ぐ拡大解釈…

 ホント、ウンザリですよね(笑)
 (よーくわかりますwww)


 ただね。それを“合理的な否定”するってことは、現代の科学(サイエンス)では出来ないわけでしょ?
 (おぼろながらの否定なら、そろそろ出来そうな気もしますけどね)

 ていうか。
 科学の基本っていうは「再現性」なわけですけど、でも科学の歴史…、それも近代科学の歴史っていったら、それこそ150年くらいなわけじゃないですかですよ。

 つまり、科学っていうのは、150年くらいの間に“再現”が確認された「事」にすぎないとも言えるわけでしょ?

 でも、“幽霊を見るという現象”は、おそらく何千年、何万年と人類が経験してきた現象ですよね。

 前に、チンパンジーの研究者が、あるチンパンジーが滝の前を通るたび立ち止まって。必ずその滝をじーっと見つめるのは、そこに“神”のような存在を見ているのではないか?っていう仮説を言ってましたけど。

 もしそれが本当なら、人類はオルドバイ渓谷のルーシーの頃には、すでに幽霊のようなものを見ていたのかもしれません。

 だとしたら。
 それは、400万年前~200万年前までから続く、「再現性」とも言えるわけじゃないですか。

 いや、もちろん、それは科学的な再現性ではないわけですけどね。

 ただ、そこまで“経験上の再現”が起きている現象を単純に否定するのは、少なくとも合理的な否定が出来ない以上、「サイエンス」ではないですよね。

 むしろ、それは、“幽霊なんてもんはいない”という「迷信」に基づいた否定とも言えません?(笑)
 (そもそもさ、“幽霊はいない”とする、その“幽霊”って何なのー?その「定義」を教えてよwww)


 つまり、それって。
 自分に“霊感”や“霊能力”があるとする人が言ってることと、どこが違うのー

 みたいな…(笑)



 ていうか。
 “魔法”や“フォース”を肯定しちゃうというよりは、むしろ、それらを要素にして紡ぎ出す「壮大な世界観」(大風呂敷広げた世界観とも言うwww)を、こよなく愛するのがSFファンなんですよね。

 たぶん…(笑)

 うん。そこは、とってもわかるなーって(爆)


 わかるからこそ、いやー、SFって面白いなーって思っちゃうわけですけど。

 でもさ、たぶんSFファンが好きなんであろう、最近のSF小説の表紙にやたら多い、アニメチックな女の子の絵!

 あれって、何とかなんねーのかよ!(爆)



 あれ見てると、つくづく思っちゃうんですよねぇ…

 SFってさ、なーんかダサくない?

 って(笑)






SFファンが80年代を「冬の時代」と呼ぶのは、もしかしたら音楽がSFの創造性を超えちゃった時代だからなんじゃない?(笑)


 http://www.youtube.com/watch?v=Bf5uWKA4fUA  
 http://www.youtube.com/watch?v=eNV2HM5GxeQ 
 SFっていえば、11/13のさいたま市の放射霧の光景は、まるでSFの一場面のようでしたよねー
 あれ、タワーマンションに住んでて、部屋がたまたま霧の下だった人は、さぞ悔しかったろうなーって(笑)
 もしかして、夫婦喧嘩しっちゃったり、挙句の果てにはマンション販売会社に「値下げしろ!」って電話しちゃったりとか



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2014
11.15

果報は寝て待て…、じゃーない!?



 果報は、練って待て


 なんだそーな(笑)


 いや、これ、テレビの『100分で名著:菜根潭』で、伊集院光が言ってた話(笑)なんですけどね。

 でも、なるほどなーって。
 (ま、個人的には、寝て待つ方が性に合ってたりしますけどーwww)


 http://www.nhk.or.jp/meicho/
 どーせ、ヒマなお年寄向け番組だろーとあなどるなかれ。この番組、意外(ホント意外!)に面白いです(笑)



 でもね、そういう意味じゃーね。

 案外、“果報はテレビ見て…”、なんだろーね(笑)
 “ネット見て待て…”、じゃなくってさ。

 ほら、だってネットだと、つい興味のおももくままに…って、なりがちでしょ?(爆)



 だからね、果報は(興味外のことばかり流れている)“テレビ見て待て”、なのかもなーってさ(笑)






 ただまぁ、えてして“阿呆はテレビ見て待つばかり”になりがち…、ではありますよね(爆)



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2014
11.15

今くらいの季節って…



 今くらいの季節って、寝る前が寒く感じるんで、つい、厚い布団をかけちゃうんだけど。

 でも、寝ていると布団の中が暖まってきて。

 結局、暑くなっちゃって、目が覚めちゃうなんてことがありがちですよね(笑)


 まぁ起きて、布団を替えればいいんでしょうけど。

 でも、眠いもんだから面倒くさくって。

 布団替えたい、ても眠い…

 でも暑いから布団替えたい、ても眠いと悶々。

 結局、なーんかよく眠れなかったなーなんてことになりがちなんですけど、一昨日がまさにそれでした(笑)


 そんなわけで、昨夜は布団を薄いのにしたんですけど…

 今度は、ちょっと寒くって(泣)

 でも、眠いもんだから、布団替えるのメンドくさい…

 結局、2夜連続でよく眠れなかったなーなんて(爆)





 まーそんな、2夜連続でよく眠れなかったときは、スターウォーズネタですよね(笑)


 というのも。
 スターウォーズを評して、これは、名言と言うか、いや、もはや格言の域に達してるかも!と、感じ入っちゃった言葉があって。


 それは…

 アナキンも、オビ・ワンみたいな辛気臭いヤツじゃなくて。
 ハン・ソロみたいなさばけたヤツが傍についていれば、
 ダークサイドなんてもんに落ちることはなかったんじゃないのか…


 いや、コレ。
 実は、アマゾンにあった、どなたかのレビューなんです。
 注:あくまでニュアンスです。一字一句その通りではありません


 いや、たぶんね。

 『スターウォーズ・シスの復讐』を見終わった後にふと思った、その方の正直な感想なんでしょう。

 でも、思わず、「そうそう!その通り!」って叫びたくなっちゃうっていうかー。
 もしくは、「いやー。真理をついてるわー。それ…」と、なんだかしみじみしちゃうっていうか…(笑)


 つまり、何が言いたいかっていうと。

 エピソード1から3までの、見てい感じる、なーんかこう、うざったいと思ってしまうあの感じっていうのは、結局のところ、ジェダイの連中の辛気臭さだったんだなぁ~

 と、やっと腑に落ちた。

 みたいな…(笑)
 (つーか、アナキン役のあの人!あの人も、顔がどーも辛気臭いんだよなぁー)



 いや、ね。

 どっちかといえば、ストーム・トルーパーよりは「機動歩兵」。
 フォースよりは「理力」(←もはや憶えている人いない?)
 って言った方が、しっくりくる世代なもんでー(爆)

 つまり、後から見た、いわゆる「エピソード1~3」は、どうしたって「4~5」と比べて見てしまうのが人情なわけですね(笑)


 ただねー、そうは言っても、思ってしまうのが……

 まずは、やっぱ、あのエピソード1!

 あれって、一つの“エピソード”にするほどのネタ(お話)だったのー!って思っちゃうのは、やっぱりイケナイことなんでしょうか?(笑)

 つまり、あれはどう考えたって、今風に言うところの、いわゆる“ビギニング”ってヤツじゃーないですか。

 別になくてもよかったっていうか、つくるんでも例のアニメ版で充分だったんじゃいのかなーって(笑)


 ていうか、アレに鳴り物入りで出てきた、ダース・モールとクワイガン・ジンって結局何だったのー???

 みたいな…(笑)



 でもってね。次は、エピソード2のテーマだという“悲恋”。

 “悲恋”って、スターウォーズのファンで、“悲恋”見たい人、いないでしょー(爆)

 スターウォーズのファンっていうのは、ぶっちゃけ、ダースベイダーはフーハー、フーハー言って、ライトセイバーぶん回して。
 あとは、機動歩兵がゾロゾロ、ウジャウジャ出てきて。
 でもって、ブォーン、ブォーン。ピー、ピー、バコン、バコン、びゅおーん、びゅおーんと、光やら音やら爆発やら宇宙船やらが、やたらいっぱい飛び交って。

 それを、「すごい映像だー!」って思えれば、
 それで万事OKなわけでしょ?


 いや、ぶっちゃけた話…(笑)


 ま、個人的には、
ハン・ソロとチューイーくん、C3PO、R2D2、「2人+2体の掛け合い漫才」こそが
スターウォーズだ!
って思うんですけどねー(爆)



 そんなスターウォーズなのに。

 よせばいいのに、悲恋だの、小学低学年の学級委員会みたいなジェダイとか出しちゃうから……


 そうそう、小学低学年の学級委員会ジェダイといえば。

 ジェダイが治めていた宇宙(新三部作)より、帝国が治めていた宇宙 (旧三部作) の方が、なーんかいろいろ楽しくて暮らしやすそうだったよなーなんて(笑)

 エピソード2と3によく出てきた首都とか、あんな人工に人工を塗りたくったような街に住んで。
 毎日、ジェダイ連中の辛気臭い顔見ていたら、そりゃあの議長だって帝国つくって、「汚濁な世界って楽しいよね?」とばかり、好きなことやりたくなりますって!

 ね、思うでしょ?(爆)


 ていうかさ。
 あの「帝国」って、どこがそんなに悪いんだろう?って(笑)

 あのシスの枢機卿なんか、悪の権化のように描かれているけど。
 でも、それこそ私腹肥やして、1人贅沢三昧ってわけじゃなかったようじゃない?

 よっぽど、「自由」を掲げて、一部の人の金儲けのために、世界のあちこちで自国の都合のいい紛争起こして。
 そのあげく、世界同時不況の原因作っちゃった某国(政府)の方とか…

 あと、無邪気を装って勢力拡大しまくって。
 ある国が怒ると、途端にみんなで固まって悪者呼ばわりしている某連合体とか…

 それとか、あるサービスシステムを構築して。
 ソレをが便利であるがゆえに、いつの間にかソレを社会インフラに組み込んじゃって、それがなければ(実質)生活出来ないようにしちゃって。
 どんな貧乏人からも、月々決まった料金を請求出来る、いわゆる「ビジネスモデル」を作っちゃった企業たちとか…
 (問い合わせしても、○○だったら1.××だったら2…って、延々20分くらい聞いてなきゃなんないあの会社!)

 あと、(たぶん、今のままだと自分の懐に入る金がヤバそうだから)消費税引き上げの為なら、なりふり構わないで何でもしちゃう某国の中枢の方々。
 あるいは、ホットケーキミックスみたいな経済政策でっち上げたはいいけど、全然ホットケーキみたいフッカフカ膨らまなくって。
 それでも消費税上げろとせっつかれてるもんだから、選挙垂れ流すことにして(選挙と言えば、選挙オタクなマスコミは消費税の是非を言わなくなることはお見通し)。
 でもって、消費税引き上げ後の不況の責任逃れ(だって、選挙で政権政党に投票したのは国民でしょ?的に)しようとしてる某国与党とか…


 そっちの方が、よっぽど悪辣って気がしちゃうけどな!(爆)



 ていうかさ、スターウォーズで描かれている世界観って、所詮は“ジェダイは絶対正しい”みたいな、たんなる「ジェダイ史観」だよね?

 …みたいな(笑)

 って。
 たんなる冒険活劇ファンタジーに、マジメなツッコミ入れる馬鹿もいないもんだ!(爆)




 ただ、思うのは、ルーカスって人は。

 たぶん、今となっては、映像をやりたいだけなんじゃないのかなぁ…。
 「お話」(ストーリー)そのものには、そんなに興味がないんじゃないのかなーって。


 個人的には、スターウォーズは、「エピソード1」は無しか、もしくは「2」の“悲恋”部分とまとめて「1」にして。

 で、「3」をエピソード2にして、でもって主人公たるベイダー卿が大暴れの巻~エピソード4の冒頭シーンまでで、「エピソード3」として見たかったって思うんだけどなぁ…(笑)

 ていうか。
 エピソード7~9って、なんで30年後なのー。
 なんで、ベイダー卿が大活躍(しているはず)の、エピソード3と4の間じゃないんだよー!(笑)


 ってまぁ。
 時は流れて。
 もはや、映画と見紛うばかりのゲームを楽しんだり、ネット等でつながったり仮想現実を楽しんだりする現在。

 それは、ある意味、36年前の最初のスターウォーズなんか遥かに超えちゃった「現在」なわけで、そんな「現在」となっては、たんなる「スターウォーズ」的なスターウォーズなんて、誰も望んじゃいないのかもしれませんね(笑)








 エピソード8のタイトルはさ、いっそのこと『アナキンと雪の女王』にしちゃえばぁ~(爆)
 (あ、でもアナキン死んじゃったか…)





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2014
11.10

そっかー。そういえば、またスターウォーズやるんだよなぁ…



 でー。

 新しいスターウォーズのタイトルが、なんでも『Star Wars : The Force Awakens』で。
 つまり、『スターウォーズ:フォースの目覚め』ってなるんだとか。

 http://www.youtube.com/watch?v=m5ilUcLRiBc
 え!?この映像は正式なモノなの?こんな、ゲームのアニメーションみたくなっちゃうの?





 いや。わかってはいるんです。

 だって、今までもう6回も、そんな思いをしてきたんですから。

 スターウォーズ。

 新しいのが始まると、もぉあっちゃこっちゃで大騒ぎなもんだから、こっちもつい大興奮しちゃって。

 でもって、その興奮のまま、つい見ちゃうと(爆)

 
 でも、見終わると……

 ま、まぁまぁだった…、かな?

 みたいな…(笑)


 しっかしまぁ。
 78年の、いわゆるたんなる『スターウォーズ』から、05年(だったか?)の『シスの復讐』まで。
 実際見ちゃうと、「TVの情報番組等で興奮しまくってるほどには面白くねーんだよなー。スターウォーズってさ…」と、わかりきっているのに(爆)

 ぶっちゃけ、いつも、たんなる映像博覧会なんだよね(爆)

 なのに。
 つい、見たくなっちゃうところはウマいよなーって(笑)



 なんだろ?お祭りみたいなモノなのかな。

 あのテーマが流れてきて、お馴染みのキャラクターが出てくると、つい心が躍っちゃうみたいな(笑)



 来年の12月、どんな気持ちなんだろ?って。
 今んとこは、そこが一番楽しみだったりしてね(爆)


 http://www.youtube.com/watch?v=TKQaSZXEK2s





 しっかし、『フォースの目覚め』って、なんだかミョーにツッコミを入れにくいタイトルですよね。

 ふーん。目覚めるんだぁ…みたいな(笑)


 ぶっちゃけ、フォースより、ホースでも目覚めっちゃった方が、意味不明で怖くね?(注:語尾は若者風イントネーションで読むこと)とか。

 もしくは、『フォースの目覚め』よりは、『フォースの寝覚め』の方が、ちょっとアンニュイな響きがあって、今までにない感じでいいよなーとか。

 あと、『フォースの湯冷め』とか… ←風邪ひくなよ!♪あ、ビバノンノン

 
 『フォースのホオジロザメ』とか… ←ジョーズか!

 『フォースのジンベエザメ』とか… ←スクリーンに入んねーだろ

 『フォースの振り込め詐欺』とか… ←もはや原型を留めてない


 あとは、そうですねー。
 エピソード7が『フォースの目覚め』で、きたんなら。
 エピソード8は、やっぱり『フォースの二度寝』。
 エピソード9は、結局『フォースの寝坊』か、『フォースの遅刻』みたいに、なんかこう関連性を持たせてほしいかなー。

 ま、なんてことは夢にも思ってませんので。
 ガンバって、面白いの作ってね♪
 (個人的には、ハン・ソロとチューイくんと、C3PO、R2D2の掛け合い漫才の復活を希望!)



 しっかしまぁ、来年12月の映画だっていうのにさ。
 思わずブログネタにしたくなっちゃうんだから、やっぱ偉大だわ。スターウォーズ…




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2014
11.09

今週のトピック




 …って。

 まぁ、私ごときの今週ですから。

 “トピック”なんて、わざわざ横文字で書くほどのもんでもないんでしょうけどねー(笑)


 ただ、まぁ久々に自転車乗ってって、すっ転んじゃって(爆)
 (hacooちんの、お風呂でスッテーン笑えないよー、もぉ~www) 

 いやね。ぼーっと考えごとしながら、自転車乗ってたんです。

 そしたら、いつの間にか自動車侵入禁止のとこ走ってたらしく、道の真ん中に棒が立っていて。

 「わー!」って慌ててよけようと思った時には、もう自転車は倒れていて、なぜか私は、その斜め前にくるりと立っていたと(笑)
 いやもぉ、あれは何がどうなって、どうなってたんだか…


 まー、人間。
 いざとなったら、ウルトラCだっておちゃのこさいさい?

               ↑
             ムリムリ(笑)












 トピックといえば、そうっ!
 なんともビックリだったのが、
 100円ショップ(ちなみにダイソー)で売っていた「肉まん」(笑)

      なんとね、2個(!)入って108円(ワオ!) 

108円肉まん



 いや、「どーせ味はイマイチだろーな…」って(笑)
 ま、失礼ながら、「話のタネに買ってみるか…」と買ってみたんですけど……

 *一応言っときますけど、あくまで“話のタネ”ですからね。
  “ブログネタのために”とは、夢にも思いませんでしたからね(爆)



 でね。家に帰って、さっそく食べてみたら。

 えっ!なにこれ?結構イケるじゃん♪ 


 ま、少々小さい(一回りくらい?)のはともかく。
 また、中の“あん”が少ないかな?っていうのもともかく。

 甘辛目(あとからちょっとピリっとくる?)の“あん”のウマさもさりながら、
 周りの“まん”の部分(いや。“饅頭”の部分って言うと違う食べ物みたいでしょ?だから“まん”www)が、やけにふかふかしていて。
 あと、それのほんの~り甘い感じが、やけにイイよねーこれ!
 なぁ~んて(笑)

 そう。肉まんの“まん”というよりは、むしろ「あんまん」の“まん”の味に近いような…???



 しまった!
 こんなにウマイなら、一つと言わずもっと買っとけばよかった!


 な~んて思っても、まぁあとの祭り。


 ただ、こんだけウマいってことは、
 午前中の早い時間に行かないと、売り切れちゃうかもなぁ…(泣)



 でも、この肉まん。
 安いだけに、メーカーか原材料生産者が泣かされてるんじゃないかって、最近はそういうのが気になるよなぁ…










 拍手ぅぅぅ~(笑)
   ↓
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2014
11.09

67話目-2

Category: 怪談話


 ~ O城 その1


 そんな5月のエピソードはやっと終わって。話は、俺が大学に入って、最初の夏休みに戻る。
 あの時俺は、夏休みになってもしばらく実家には帰らなかった。
 家まで2時間強っていう距離は、帰ろうと思えばいつでも帰れるわけで、つまり、何か帰る理由でもない限りわざわざ帰ろうって気にならなかったのだ。
 ま、何よりバイトもあったし。
 また、友人たちも同じようにぐずぐず残ってたのもあったのだろう。

 その夜、俺はバイトが終わるなり、友人の佐崎薫のアパートに向かった。
 というのも、バイト先に友人の三鷹守一から「バイトが終わったら、カオルのアパートに来い」って電話があったからだ。
 もっとも、それはいつものことだった。
 あの頃、オレたちは毎晩そんな風に誰かのウチに集まっていた。



 詠一クンが、薫クンのアパートについたのは夜中の1時前だった。
 アパートの前には、見慣れないクルマが一台。
 その懐かしい形に何となく気になりながらも、いつものごとく特に深くは考えない詠一クン。
 というのも、外から見る薫クンの部屋は、そこだけが一際明るく、しかもかすかな笑い声すら聞こえてくる有様。
 どうやら、みんなもう集まっている様子。
 つまり、そこに一人だけそこにいないといってことは、好き放題ワル口を言われてるってわけで…。

 例によって、鍵なんてかかってない薫クンの部屋のドア。
 その安っぽい化粧板のドアを開けた途端、詠一クンを襲ってきたのは、もわぁ~っとした一面の煙草の煙。それと、あの齢くらいの男が発する臭い。
 そりゃまぁそうだろう。
 この蒸しーっとクソ暑い夜。6畳一間の部屋に、大学生の男が3人もいるんだから…と思ったら、今夜はさらにもう一人いた。
「あ、なんだ、杉多ぁ。
 ……!?
 へー、珍しいじゃん。」


 杉多亘クンは、バイトばかりしていて大学に来ないタイプ。
 そのせいもあって、詠一クンたちとは、普段特に仲がいいってわけではなかった。
 ただ、アパートが詠一クンたちの仲間の一人遠山廣治クンのアパートの近いせいなのだろう。時々思い出したように仲間に紛れている、そんな仲だった。

「もー!遅ぇーよ、エイチー。せっかく杉多がクルマ買ったんだぜ。
 そーいう時くらい、察して早く来いよな。
 相変わらず使えねーなー!」
 詠一クンの顔を見るなり、そう言ったのは三鷹良夫クン。
 三鷹クンというのは、とにかくしゃべりたがりだ。
 頭より何より、とにかくまず口が動いちゃうタイプ。
 今だって煙草の煙を吐いていたんだから、煙を吐き出してからしゃべればいいのに。でも、三鷹クンはそれが出来ない。
 しゃべりたいって思っちゃったら、煙草の煙を吐いている時でも何でもとにかく脳がそれを命令しちゃうのだろう。
 そんなわけで詠一クン。モワモワ煙まみれの三鷹クンの顔に言った。

「使えねーのはオマエだろ。そうならそうって電話で言えよ。」
「そのくらい言わなくても、わかれっつーんだよっ!
 いつものことだろうが。」
「よぉ~、エイチぃぃ~。
 オマエよぉ、ミタカぁの言う通りだぜぇ~。
 そのくらい察しなきゃダメじゃぁ~ん。」
 話に紛れ込んできた、語尾をダラダラとだらしなく引きずる、耳障りなしゃべり方。
 口元に浮かんだ、何かを企むことが楽しくって仕方ないっていうような笑み。
 つまり、それが遠山廣治クンだ。
 ただ、この時、詠一クンとしてはちょっとだけ違和感があった。
 普段なら、詠一クンが現れた途端、真っ先に口を開くのは遠山クンだって決まってはずなのに…。

 とはいえ、遠山クンと三鷹クン。この2人が一緒になったら、詠一クンにとってそれは最悪以外何物でもない。
 そんなわけで詠一クンの一瞬の違和感なんてものは、2人のおしゃべりにたちまち雲散霧消。
 だって、この二人のクセモノの言うことときたら、100%デタラメなくせして、一見妙に理路整然としているから絶対言い負かされてしまうのだ。
 よって詠一クン、その2人をプイと無視して、杉多クンと話すことにした。

「へー、杉多。クルマ買ったんだ。いいなぁー。」
「うん。中古だけどなー。」
「中古でもいいじゃん。 あー、オレもクルマほしいなぁ…。」
「おいよ~、エイチぃぃ~。
 そんなこと言って、オマエ免許取れんのかよぉぉ~。きゃきゃっきゃ…。」
「杉多はバイトばっかだからなー。
 クルマ買う金だって貯まるよなー。」
 って。ダ~ラダラ五月蝿い遠山クンにひたすら無視を決め込む詠一クン。
 付き合いだして3カ月ともなると、それなりに対処法は会得していた。

「で、なに買っただよ?」
「シティ。
 なんと、ターボ2だぜぇー。」
「へっ…!?」
 いやもぉ詠一クン、「何ソレ!?」って、もうちょっとで言っちゃうところだった。
 

 21世紀の現在となっては、「シティ」っていって、クルマのこととわからない人も多いのかもしれない。
 いや、その当時でも「ずいぶんと懐かしいクルマだなぁー」って感じだった。
 ある意味一世を風靡したクルマだけに、「懐かしい」っていうイメージが倍加されるのだろう。

 ただ…。
 それがまた、妙に杉多クンのイメージに、ピッタリと合っていた。
 しかも「なんと、ターボ2だぜ」って、わざわざ自慢気に付け加えるズレさ加減が、まさに杉多クンって感じで、もう堪らない。
 詠一クンの顔に思わずこぼれてかけて、なんとか堪えた、ニヤっという笑み。
 ふと見れば、それは杉多クンの後ろ。
 やはりそんな、ニヤっとした顔をしている薫クンに、詠一クンは、やっぱりみんなそう思うんだなぁ…って。
 そう思ったら、もう可笑しくてたまらない。
 当の本人である杉多クンが目の前にいるというのに。
 詠一クンの口から、笑いが出かけたその瞬間。
 詠一クンに、いきなり後ろからスリーパーホールドをかけてきたのは、まぁ例によって遠山クンだった。
 つまり。詠一クンにからむのが大好きな遠山クンとしては、その相手が来たのが嬉しくって仕方ないってわけ。

「なぁ~にぃ~、エイチぃぃ~。
 オマエさぁ~、スギタぁのクルマに、なぁ~んか文句あるわけぇぇ~。」
 いや。もちろん遠山クンだって、やっぱり思うところは一緒。
 くっく、くっくと忍び笑いしているのが、スリーパーホールド越しに伝わってくるのがその証拠。
 しかし、それはそれ。それでなくとも、このクソ暑い部屋の中。詠一クンは、首周りから背中までピッタリ密着している遠山クンの体の熱に死ぬ思い。
「うぅわっ!バカ!トーヤマ!暑いっ!離れろっ!
 ったくガキか、オマエは!」

 そんな詠一クンの声。それは、薫クンの安アパートではちょっと大きすぎた。
 思わず体をビクッとさせた薫クン。何を見るでなく辺りをきょろきょろした後、鋭いヒソヒソ声で言った。
「オマエら、静かにしろよっ!
 大家に怒られんのはオレなんだからな!」
「まったくエイチがくると、いつもこうだもんな。
 イヤんなるぜ、まったくよ。ほら、大人しくしろ、エイチ!」
「うるせー、ミタカ。
 よりによってオマエが言うか!」
「はっはは。いーんだよ。
 とりあえず、オマエをワルモノにしとけば、それでみんなハッピーなのさ。
 …って、あっ。もうこんな時間じゃん。
 おい、そろそろ行こうぜー。バカのエイチも来たことだしよ。
 なぁ杉多。まぁコイツってこういうヤツだけどさ、なんとか我慢してくれよな。」
 何やらいきなり仕切りだした三鷹クン。
 一方、コイツ扱いされちゃった詠一クンは、ムカついてしょうがない。

「てめっ、ミタカ!そろそろ行こうぜって、どこ行く気なんだよ。」
「はぁ?エイチ、オマエ、バカか?
 このクソ暑い夜に男ばっか5人で行くトコってったら、O城に決まってんだろ。」
「はぁぁー!? O、O城ぉぉー!?
 O城って、あのO城?
 んなとこ、何しに…。」


 O城は、O市の郊外にある城跡だが、関東地方の城跡としては遺構がいろいろ残っている所で。歴史上の有名な舞台になったこともあって、歴史ファン、城ファンに人気がある場所だった。
 さらに、いつの頃からか、「関東最凶」という枕詞が付く心霊スポットとしても知られていた……

 んだけれど。
 歴史に興味がなく――当然城も興味ない――、また怪談や幽霊なんてもんにも興味のない詠一クンにとっては、かろうじて近くにそういうトコロがあるって程度のもの。
 当然、いきなりO城に行く――このクソ蒸し暑い夜に男ばっか5人で行くトコといったらO城――と言われても何が何やら……



 かくして、舞台は5人がO城へと向かう杉多クンのクルマ「シティ・ターボ2」の中に移る……
 のだが。
 というのも、杉多クンのそのクルマ。
 ターボ2――杉多クンに言わせれば「なんと、ターボ2」――だっていうのに、その走りは無茶苦茶トロい。
 いや。それは、もしかしたらクルマのせいではないのかもしれない。
 だって、その小っこいクルマに、デッカイ図体の男が5人も乗っているから……。

 そう。前の2人――運転手の杉多クンと薫クン――はいいのだが、後ろのシートに並んで座っている詠一クンたち3人はもうキッツキツ。
 しかも詠一クンは真ん中。
 よりにもよって、右には三鷹クン、左には遠山クンと。
 ある意味、心霊スポットなんかに行くより、よっぽど最低スポット。
「ワァ~オ!最高ぉぉ~!」
「なんだよっ、エイチっ!
 ノリが悪いんだよ、ノリがぁーっ!」って、三鷹クン。いきなり詠一クンの頭の後ろをぱっこーん。
 その一発もさることながら、両脇二人の騒々しさときたら…
 それは、薫クンのアパートを出てから、もうずっと。


 そんな中。
「みんな楽しそうだから、オレもうれしいよ。」
 なんて、絶対本心じゃないことを、言って運転している杉多クン。
 その、ひきつった笑い。
 そんな杉多クンに、薫クンが耳打ちしたのはなぐさめ?思いやり?
「なぁ杉多。オマエ、後ろの連中、いちいち相手してたら体もたないぜ。
 あんなもん、背後霊かなんかと思ってさ、
 適当にうなずいて、あとは無視してりゃいいんだって。」
 とはいえ、その薫クンの耳打ち。
 大騒ぎの後ろの3人(2人?)に聞こえるような大きな声だから…
「なぁ~にぃ~、カオルぅぅ~。
 背後霊ぇって、誰ぇのこと言ってるわけぇぇ~。」
 たちまち叫んだ遠山クンのその変に甲高い声。
 それでなくたって五月蠅いっていうのに、この密閉空間。しかも、隣りでそれを聞かされる詠一クンはもう堪らない。

「あのなっ!
 オマエら2人は前の席だからゆったりだけど、
 オレたちは死ぬほどキツキツなんだからな!」
「煩い背後霊だなぁ…。」
 なんて言いながら薫クン。カーステボリュームを後ろのスピーカーだけ上げたもんだから、後ろの3人は堪らない。
「ぐわぁーっ!
 うるせ!馬鹿ヤロー!おい、カオルぅっ!ボリューム下げろっつーんだよ!
 ぶっ殺すぞ、テメェっ!」
 今度は、三鷹クンまで地の暴力団声――元族――で騒ぎ出して。
「カオルぅぅ~。オマエよぉ~、O城に着いたら覚えてろよなぁ~。」
 って。まったく頭の後ろガンガン鳴るスピーカの音にも耐えられないが、両脇の2人の騒々しさにはもっと耐えられない。
 さすがの詠一クンも、一気にぶっキレた。
「あああーっ!もうっ、カオルぅっ!
 オマエ、この2人の間にいるオレの身にもなれよ!」
 それは、詠一クンがそう言いながら、無理やり前のシートの間に上半身を突っ込み、カーステのボリュームに手を伸ばした時だった。
「うわっ!うわぁーっ!!」
 何がどうして、そうなったんだか。
 いきなり、とんでもないような声をあげた杉多クンが体をよじれば、その勢いでハンドルが右に切られ――。
 ガッツーンと。
 いきなり激しく体が左に引き寄せられる感覚に、詠一クンは一瞬気が吹っ飛んだ。
 いや。その瞬間っていうのは、クルマの中にいた全員、気が吹っ飛んでいた。
 そして。
 気がついた時には、クルマは停まっていた。


「イッテー…」
 最初に声を発したのは詠一クンだった。
 ぶつけたのか、あちこちが痛い。
「おい、勘弁だぜー、杉多ぁー…。」
「いや、ゴメン。エーイチがいきなり後ろから出てきたから、
 オレ、もうビックリしちまってさ…。
 あ、ちょっと待った。車線戻すから…。
 このままだったらそれこそヤバイよ。」
 気がつけば、杉多クンのシティ・ターボ2は、つい今まで進んでいた方向とは逆向きに、対向車線を斜めに遮るような形で停まっていた。

「ち、ちょっと…。
 お、おい、杉多ぁぁ~、お、オマエ…。
 なぁ対向車来てたらよぉ~…。
 オレたち、いったいどうなってたわけぇ~。」
「いや、ホントごめん。
 ホント、ちょっと慌てちゃったんだよ…。」
 ひたすらみんなに謝りながら、クルマの車線を戻している杉多クン。
「ほっらー!オマエだよ。オマエ、エイチっ!
 オマエが、後ろから顔出すからだろ!」
 って、三鷹クン。詠一クン頭を、また後ろからぱっこーん!
「イっテーなミタカ、コノヤロ!
 ていうかよ。そりゃオレが身を乗り出したのが悪いんだろうけどよ。
 でもなミタカ、オマエとトーヤマはずっとうるさいし。
 カオルはスピーカーのボリューム目一杯上げるし…。
 オマエらだってふざけすぎだぞ、絶対!」
「だからさぁ~、エイチぃぃ~。
 ワリぃ~のは、オレたちみんななんじゃねぇ~のぉ~。
 確かによぉ~、ちょっとはしゃぎすぎてたって気ぃ~すんもんよぉ~。」
「うん、まぁそれはそう――。」
「だろぉ~。だからよぉエイチぃぃ~。
 それからミタカぁもカオルぅもよぉ~、スギタぁに謝ろうぜぇ~。
 ゴメンなぁぁ~、スギタぁぁ~。」
「え、ちょ…。えぇーっ!」

 いやもぉ詠一クン。何で遠山クンみたいなのが正しいっぽいことを言って全員を仕切るのか、全然納得出来ないところではあるのだけれど。
 そうは言っても、遠山クンの言う通り。
 だから…
「杉多、ゴメン。悪かったよ。」
「ゴメンな。なんか楽しくってさ、つい…。」
「そう。オレもさ、こんな風にみんなと夜中にドライブしてるって、
 オレもいっちょまえに青春してるじゃ~ん♪なんて思っちゃったらさ。
 なんだか、パーって舞い上がっちゃってさ。
 うん。だから、ゴメンな…。」
 やけにしおらしくみんなが謝れば、杉多クンとしては逆に慌てちゃうわけで。
「いや、運転ミスったのはオレだから…。
 でもさー、エーイチが後ろからにゅうって出てきた時さ、
 オレ、そんなの全然予想してなかったからさ。
 すっげー驚いちゃってさー。
 うん。いやさー、ちょっと前にさー…。
 あぁ、うん。バイト先の先輩の話…、なんだけどな…。
 それが…、それが、やっぱりO城にさ…、
 夜中に、クルマでO城に行った時のことだっていうのさ…。」


 そこは、クルマの全く通わない深夜の道……
 そんな道の端に寄せて停められている、詠一クンたち5人の乗ったシティ・ターボ2。
 その道を真っ直ぐ向かえば、O城まではあとわずか。
 そんな場所…。
 辺りには人家などなく音といえば、間断なく響いているエンジンの音。
 先程、あれほど騒々しかったカーステは、今はすっかりボリュームを落とされ、かすかに聞こえるくらい。
 それは、ブーン、ブーンと。
 近くの街灯に引き寄せられた甲虫の羽音の騒々しさが、逆に静けさを実感させられる。
 そんな中。
 ふと、後ろを振り返れば、窓ガラス越しに街灯の明かりが点々と…。
 路面のアスファルトに映っている、テールライトの赤。
 そう。それ以外は、真っ暗闇。
 気がつけば、そこはそんな場所……

「す、杉多…。
 な、なんだよ、その思わせぶりな話し方はよ…。」
「お、おめぇよぉ~。や、やめろよなぁ~。
 ふ、フツーに話せっつーんだよぉ~。」
 それは、詠一クンの両脇に座っている三鷹クンと遠山クン。
 2人のいつになく妙にオドオドした口調に、詠一クン、怪訝そうに二人の顔を交互に見れば。
 なんと、2人は目ん玉真ん丸。
 オイオイってな感じの表情で、運転席の杉多クンを見つめている。

「なんだよ、オマエら…。なにビビってんだよ?」
 詠一クンが言うより早く、両脇から言葉が飛んできた。
「オマエ、O城だぞ、O城!絶対ヤバイだろ。」
「そぉだぜぇ~、エイチぃぃ~。
 O城はよぉ、マジヤバイんだぜぇぇ~。」
 と、何だかいつになく、やたら切羽詰っているクセモノ2人。
 詠一クンとしては、普段が普段だけに2人のその様子が可笑しくってしょうがない。

「なんだよ、O城って…。
 城だろ?
 あ、あれか!つまり、オバケでも出るとかぁ?
 ぷっ…、ハハハ…。」
 特に何も考えないでそう言った詠一クンだったのだが。
 でも、その言葉には両脇の2人のみならず、前の2人まででっかい声で振り返った。
「えっ、なに、エーイチ。オマエ、O城のこと知らないの?」
 振り返った助手席の薫クンは、それこそオバケ見ちゃったみたいな驚愕の表情。
「なんだよ、カオルまで…。
 知らねーよ。だって城だろ?
 オレ、歴史なんて興味ねーもん。」
「おい、なぁ~、エイチぃぃ~。
 違うんだってぇ~。
 O城はよぉ、無茶苦茶ヤバイ心霊スポットなんだぜぇぇ~。」
「心霊スポットぉー!?」
「おい、エイチ。あのな、O城はな、落城した時にすっげーたくさん死んでんだぞ!」
「おいおい、ミタカよぉー。
 オマエ、勘弁しろよー。落城って、いつの話だよー。
 えっ!で、なに?
 ミタカとトーヤマってさ、オバケとかそういうの、ダメな人だったわけ?
 ホントかよー!
 えぇーっ、マジ?その顔で?オバケがダメ?
 いぃぃやぁー、すっげー可笑しい。」
 いやもぉ詠一クンはゲラゲラ笑いが止まらない。
 それに対し、いつもの精彩をすっかり欠いちゃった遠山クンと三鷹クン。
 いつもだったら、趣味のように二人で共謀して詠一クンをやり込めてニヤニヤ楽しんでいるというのに。


 助手席の薫クンが、きょとんとしたような声をあげたのは、そんな時だった。
「えー!? …ってなんだよ、ミタカにトーヤマ…。
 オマエらって、霊とかダメな人だったの?
 あのさ、何でそれでエーイチをO城に連れてって、
 怖がらせて楽しもうなんて計画になるわけ?
 変なヤツらぁー。
 あ、そうか。
 つまり、オマエらってさ、エーイチのこと、ホント大好き──。」
「馬鹿ヤロ、カオルっ。黙ってろって…。」
 一方薫クンから今夜の裏の事情ってヤツを聞いちゃった詠一クンは大喜び。
「あ、ミタカ。オマエ、つまり、そういう魂胆でオレのこと呼んだんだー。
 ハハハー。残念だったねぇー。ハハハー。
 トーヤマもねー。ハハハー。
 ふーん。そうか、そうかー。
 ボクぅ~、オバケ怖いんでちゅか?
 大丈夫でちゅよー。オバケなんていないから…。
 ぶぶーっ!ギャハハハー。」
 まるで小さい子でもあやすみたいに、遠山クンの頭を撫で撫でからかいだした詠一クン。
 そんな今夜の遠山クンは悔しそうな顔はするものの、何にも言い返さずに悔しそうな顔をするばかり。
 遠山クンと三鷹クンにいつもやりこめられている詠一クンは、思わぬところで仕返し出来て笑いが止まらない。


 そんな中…。
 一人前を向いてずっと黙っていた運転席の杉多クンが、ゆっくり、ゆーっくっり振り返って。
 何やら、じーっと詠一クンの顔を見ている。
「うん?なん――。」
「なぁ、エーイチ…。
 あのさ。O城がヤバイっていうのはホントなんだぜ…。」
「なんだよ、杉多。オマエもそういうの、ダメなのか?」
「違うんだって…。
 さっきの話しかけたことだけどさ。
 ホントにバイト先の先輩が体験したことなんだって…。」
「そう、それ!
 なぁ~、スギタぁ~。オマエ、それ聞かせろよぉぉ~。」
 クセモノ2人が、一斉に声をあげたのは、例によって全く同時だった。




 ── 本日これまで!
                    67話目-2〈了〉/ 67話目-3に続きます
                                               
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          ちょっと剣呑で、ゴメン(^^;)




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2014
11.03

いや、特にネタもないんだけどさ…



 特にネタもないんだけどねー。

 たださー、なーんかコレが聴きたくなっちゃってさー(笑)



 まーさ。イルミネーションなんてもんは関係ないんだけどねー(爆)
 でも、街の灯りがキレイな季節ですよね。



  https://www.youtube.com/watch?v=c5855-dtdHY
  ♪街はぁ~ いつでもぉ~ 後姿のぉ~ 幸せばかりぃぃ~~~って?(笑)

    農業陽水のヤツが気に入ってたんだけどなぁ…。消されちゃったみたい

 
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2014
11.03

怪談って何?(その何回目か) ~怪談とSFの境界線:その2



 前回「その1」で書いた、怪談とSFの境界線は、プライベートな怖さを描いたものは怪談で、パブリックな怖さを描いたものがSFという話(詳しくは、10/13の記事参照)。

 いや。まぁどーでもいい話なんですけどね(爆)

 とは言え。
 そんな、どーでもいい話だからこそ好き!っていう物好きな人の中でも、納得する人(してくれる人)、しない人。
 あと、どーでもいい人と、そりゃまぁ様々なんでしょう(笑)

 


 ま、そんな私個人の考える「怪談とSFの境界線」ですが。
 そのことを思いついたのは、何年か前。
 『墓地を見下ろす家』を読んでいた時でした。


 その『墓地を見下ろす家』。
 まぁ世間一般的には、ホラー小説の“名作”ってことになってるんですけど……
 うん。まぁ~ねぇ~(笑)

 読んだのは、もぉずいぶん前なんで、詳しくは忘れちゃいましたけど。
 読んでいて、いきなり途中でガクっときたのはハッキリ憶えています。

 ま、ハッキリ言ってあの本は好きじゃないんで、その部分のバラしちゃいますけど(笑)

 それは、怖い場面がズンズンズンと盛り上がってきたところ。
 そんな手に汗握っちゃったところで、呪いだか恨みの念だかまぁよくわかんないんですけど。
 とにかく、その手の「力」で、警備員だったか警察官だったかが、みんなが見ている目の前で一瞬にして殺されちゃうんですよ。

 いやもぉその時は、思わず「なんだそれ…」って(笑)
 ひしひしと近づいていた「怖さ」が、いきなり遠くにいっちゃった気がしてしらけちゃったんです。

 あの時は…
 ある意味あれは、夢オチよりしらけたかも(笑)


 警官はそれこそ「公」の人だし。
 警備員だって会社という組織の人ですから、厳密には「公」の人ではないですが、それでも「個人」ではありません。
 いずれにしても仕事として会社や警察に管理された状態でそこにいるわけですから、そこで死んじゃったとしたら、当然その経過や原因が明らかにされなければなりません。
 しかも、それは世の中の常識で納得出来る経過や原因でなければならないわけです。

 つまり…。
 わかりますよね?
 人が死んだというのに、“幽霊の仕業でした”という説明では、世の中は了解してくれないわけです。

 例えば、“スズメバチに襲われた”とか、はたまた、“特異的な状況で発生する集団心臓発作”とか(笑)
 世の中の常識に照らし合わせて納得できる原因を、世の中の常識の範囲内で納得もちろん、そうだと特定した世の中が納得できる経緯や理由も付けて公表しなければなりません。

 でも、そうなっちゃったら…
 それは、もはや「怪談」ではないですよね(笑)


 つまり、「怪談」には、“そこはかとない怖さ”が大事なんであって。
 警察や行政等の「社会」がソレさを認めてしまうような“怖さ”は、「怪談」の範疇に含めるべきでないように思うんです。
 なぜなら、「怪談」(ホラー)というものは、“もっと怖い”のニーズに答えれば答えるほど怖くなくなるからです。
 ハッキリ言っちゃえば、「喜劇」になっちゃうんですね。

 つまり、それをやっっちゃたのが、いわゆる「Jホラー」ですね。
 ニーズに答えまくっちゃった結果、作り手がシーズとニーズのバランスを見失っちゃって。
 怖くもなければ、可笑しくもなく、ただただ見ていて腹立たしいみたいな…(笑)
 (ある意味、どこぞの国の“モノづくり”そのまんまって?爆)



 話は、『墓地を見下ろす家』に戻りますけど(爆)

 ま、『墓地を見下ろす家』は、怪談というよりは怪談のテイストのある「ホラー小説」なんで。
 その世界観や設定をどうこう言うのは、所詮は読者の好き嫌いでしかないのかもしれません。
 ただ、個人的には、やっぱり「公」な場面で人が死んで、「公」がそのことを調べるとなったら、そのお話は「SF」の範疇に入るように思います。

 それは、主人公個人の周囲の中のお話だった『リング』から、ウィルスという社会全体に関わる解釈が加わった『らせん』。
 さらに、そのウィルスによって人類存亡の危機にまで話が進んだ『ループ』までの流れとそれぞれの物語で描かれる世界の大きさ。
 それらを、読んだ人の感想(アマゾンのレビュー)で見れば、ある程度は普遍な感覚であるように思うんだけどなぁ…(笑)







    怪談・ホラーの範囲として許されるのは、やっぱりこのくらいの集団までなんじゃないのかなぁ…。
      ていうか。
      SFテイストの権化のようなデペッシュモードに、こんなビデオがあるなんてビ~ックリ(笑)






 『リング』が何がスゴイって、日本人が思い描く「幽霊」というモノのビジュアル的なイメージを変えちゃったところがスゴイですよね。

 『リング』(映画の方)がヒットするまでは、日本人にとっての幽霊のビュジュアル的な代表例は「お岩さん」でした。
 しかし、『リング』がヒットして以降、それは「貞子」さんにとって代わっちゃったわけです。
 それは、お笑い(番組)に出てくる「幽霊」が、今ではどれも「貞子」さんになってしまったのを見ても明らかです。

 しかも。
 『リング』のヒットというのは、なんと(日本の)「実話怪談」に出てくる幽霊(霊)の姿まで変えてしまったのです。
 つまり、「実話怪談」のそれまでの幽霊の3大コスチュームである、“白いワンピース”、“おかっぱ頭”、“落ち武者姿”。
 『リング』のヒット以降は、その3大コスチュームに“貞子さんスタイル”が加わってしまったという事実(?)があるのです(笑)

 いやもぉ実話なんだか、実話じゃないんだか、とにかくまぁ「怪談」っていうのは、まさに“怪しいお話”ときたもんだ(爆)



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2014
11.03

67話目-1

Category: 怪談話



~ プロローグ


 夜が好きだ。
 最終電車が行って、歩く人もいなくなって。窓の灯りも数えるほどになった、そんな真夜中。
 真っ暗なベランダで一人、ただ煙草を吸っている、そんな時間が好きだ。
 ベランダにもたれて夜気を感じていると。それまで、気づいてなかったその日の気持ちの高ぶりがスーっと収まっていく、そんな気がするのだ。

 それは、煙草をゆったり1本か、2本の時間。
 たまーに3本吸わなきゃいられないっていう時もあるけど、それは決まって一日がしんどかった日の夜だ。

 そんな数分、あるいは十数分。
 その日あったことを思い返したり、明日の仕事のことなんかを考えているようで、でも特にそういうわけでもなく。
 そんな時間を、ただただぼーっと。真夜中の空気と一緒に煙草を吸っていると、その日に溜まった澱のようなものがスーッと抜けていく、そんな気がする。

 昨日、今日、明日。さらにその後と続いていく毎日。
 それは、ただただ煩わしいだけで、自分の無力さを実感させられるだけのような気がしてしまう。
 ただ、そんな毎日を、失敗しながらでも何とかでもこなしてさえすれば路はいつの間にか拓けているもんだって気がついたのって、いつ頃だったろう?

 そんな昔のことではないと思う。
 ただ…。
 ただ、現在それを自らの経験則として実感出来るのは、もしかしたら、あの夏の、あの出来事がなかったとしたら、俺は今でもわかってなかったんじゃないかって…。

 そう。あれは、やっぱり「呪い」だったのだろう。
 あの時、彼女が言っていたように……




 それは、舟橋詠一クンが大学に入学して、最初の夏。
 そういえば、詠一クンは二浪だったとかで、去年のその頃といったら予備校通いの毎日だった。
 まぁ二浪ともなると、さすがの詠一クンも真剣に受験勉強しなきゃヤバいって焦りがあったし。
 というより世間的に浪人といわれる身分で、大っぴらに遊べるわけもなく。
 そんなわけで、詠一クン。
 今年の夏こそ思いっきり遊ぶぞー!!
 …の、はずなのだが……


 いや、それというのも。
 詠一クン、はれて大学生になったまではよかったんだけど、でも、なんだかどうも地味ぃ~な大学生活。
 それは、もちろん詠一クン自身の性格が地味ぃ~だったことが大きいのだが、まぁつまりは、類は類を呼ぶということなのだろう。
 詠一クンの友人たちときたら、揃いも揃って、なんかこう、やっぱり地味ぃ~な感じ。

 そう。地味いえば、詠一クンが2浪して入った大学も、2年間は都心からは遥か彼方の山ん中と、やっぱり地味ぃ~だった。
 そこは、いやもぉ四方八方どこもかしこも見渡す限りの山また山…って、いやまさか、さすがにそれほど山奥ではなく。
 ま、つまりは、郊外のキャンパスにありがちな、ガサ藪の中に無機質な鉄筋コンクリートの建物が忽然と建っているみたいな…。
 いやもぉ詠一クン。初めて見た時には、その一種異様な光景――と、誰もが思わず言ってしまう。これはホントだ――に唖然としたものだった。

 そんな、異様な光景だったのが。
 詠一クン、気がつけば日々当たり前の風景になっていた。
 とはいえ。
 ある日、大学の構内を歩いていた時。植込みからデッカイ青大将が出てきて、ゆうゆう通路を横断していったのを見た時は、さすがに「ここは秘境か」と呆れた。

 もっとも。
 それからずいぶん時の経った頃…、つまりは仕事をさぼっていた詠一クンが、都心にある北の丸公園で日向ぼっこをしていた時。皇居のお堀端に同じくらいの青大将がいるのを見たことで、見解を改めた。


 詠一クンの家は、東京の近郊にあった。
 ただ、近郊は近郊でも、詠一クンの大学のある近郊の街O市とは、都心を挟んで正反対。
 つまり、家から通うとなると片道2時間以上はゆうにかかる。
 ということで詠一クン。晴れて大学生になった途端、親から離れて一人暮らしというウハウハな状況に、もうニヤニヤ笑いが止まらない。

 とはいえ、ウハウハしてられたのは最初の日までだった。
 次の日には、それまで一度もしたことがなかった炊事洗濯掃除等々、束になってのしかかってきて、たちまちげんなり。
 1年生だから学校は毎日あるし、バイトだってしなきゃならない。
 アパートでのんびりなんて、それこそ寝る時くらい。
 そんな毎日。

 そんな意外に多忙な詠一クンだったが、たまには実家に帰る時もあった。
 しかし、そのあまりの遠さに、家にたどり着く頃にはもうくったくた。
 確かに2時間以上といったら、東京から新幹線に乗ったら京都の手前くらいって辺りなわけで、ま、ある意味旅行みたいなもの。
 詠一クンがくったくたになったというのも、あながちオーバーとは言えないのかもしれない。



 ところが…
 そんな距離を、毎日通っていたヤツがいた。
 詠一クンがそれを知ったのは、5月も半ばを過ぎた頃。
 月曜の朝で、週末を実家で過ごした詠一クンは、都心の向こうにある学校に行くのに駅のホームに立っていた。

 まだこんな朝の早い時間だというのに…
 その朝の照りつける日差しは、思わず「馬っ鹿じゃねー」って文句つけたくなるくらい、やったら元気。
「はぁぁ…」
 そんな、初夏のあっけらかーんとした太陽の下。
 詠一クンが大きなため息を吐いた時だった。

 ふいに、後ろからポンっと肩を叩かれて。
 思わず後ろを振り返ったものの、あいにくと詠一クン、頭ぼぉー状態。
 その、(なぜか)ニカっと笑っている歯――じゃなくって顔――を見ても、すぐには名前が出てこない。
 それもそのはず、それは中1の時同じクラスだった宮間涼一クン。
 いや、仲のよかったヤツだったなら、名前くらいすぐ出てくるのかもしれない。
 でも、その宮間クンというのは、あいにくとあまり親しくしてなかったヤツ。
 というのも、宮間クンっていうのは、努力、努力、努力。ひたすら努力のいわゆる秀才タイプ。
 つまり、何ごとも中途半端、だらだらタイプの詠一クンにとっては、宮間クンみたいなのはウンザリな存在でしかなかったというわけ。

 天才っていうのは、その恵まれた才ゆえの余裕からくる大らかさがあるから、詠一クンみたいな超凡才でも対等に接してくれるんだけど、どーも秀才っていうヤツは…。
 まるで、日々努力しないヤツなんてオレは絶対認めん!オーラが後光となって射してるような。

 詠一クン、宮間クンとはそんな仲だったから、違うクラスになった2年以降は一切話すこともなくて。
 それこそ、どこの高校に行ったか知らなかったくらい。
 とはいえ、それはホント久しぶりの再会。


「……えぇっ。あぁ宮間ぁ……!?
 うわっ!え?宮間ぁぁっ!
 えぇーっ!すっげー久しぶりじゃん!」
「うん。久しぶりだな。
 で、舟橋。オマエ、今なにやってんだ?」
 いやもぉ詠一クン。
 宮間クンの、その相変らずの表情と直裁的な物言いに思わず苦笑い。
 これが二浪が決まって気が立っていた去年の今頃なら速攻でぶん殴ってたかもしれない……けど、今は(やっとこさ)大学生になって早2ケ月弱。
 弛緩しきった毎日が血肉と化してしまった詠一クンには、もはやそんな覇気はこれっぽちもなくて。
 つまり、それって、大人になったってことなのか?


「まーな。宮間なんかからすれば、笑っちゃうんだろうけどさ。
 オレさ、二浪して、今年からL大。
 で、オマエはぁ?」
 そう言った詠一クンに、なぜか驚いた顔をした宮間クン。
「L大?L大って、確か1、2年はO市だったよな?」
「へぇー、よく知ってんじゃん。」
「ふーん。じゃぁ、同じか…。」
「同じ?」
「オレは、O大。O大の医学部。
 あ、オレはストレートだから3年だけどな。」

 って、まぁ最後の余計な言い草はともかく。
 O大の医学部といったら、キャンパスは詠一クンの通うL大と同じくO市にある。
 驚いた詠一クンが、思わず「えー!同じなんだー」って笑ったら、宮間クンもやっぱり笑っていた。
 それは、すっかり夏めいた日差しが眩しかった駅のホーム。


 そんな宮間クンのその笑い顔を見ていた、詠一クン。
 宮間って、中学時代はとっつき悪いヤツだったけど少しは性格丸くなったのかなぁ…なんて思いつつ。
 頭の別のところでは、同時にこんなことも思っていた。
 O大の医学部って、あのO大の医学部かよー!
 へーっ、宮間のヤツ、スっゲぇなー。
 でもさ…待てよ。O大の医学部だろ?
 O大の医学部ったら、超名門、超難関だよな。
 いっやー…。
 いっくら宮間でも、ちょっとムリしすぎじゃねぇーのー…

「オマエも通ってるのか?O市まで…。」
「え?なに?」
 詠一クン、余計なことを考えていたから、宮間クンが何を言ったことを聞き逃した。
「オマエも、通ってるのか?はるばるとさ…。」
 最後に一瞬浮かんだそれは、宮間クンの苦笑。
「通ってる?
 あぁ…。
 いやー、あそこまではちょっと通えねーだろー。
 アパートは大学の傍でさー。
 えっ…。」
 そこまで言って詠一クン、宮間クンが「オマエも…」って言ったことに、やっと気がついた。
 オマエも?
 “も”って、えぇっ!宮間のヤツ、もしかして…。
「えぇっ!“も”?
 “も”って、オマエ…。
 もしかして、あそこまで毎日通ってんのか?
 マジかよ?
 えぇーっ。ウッソだろーっ!」

 思わず素っ頓狂な声あげちゃった詠一クン。
 そんな詠一クンを尻目に、例によってニカっと笑った宮間クン。
 それは、なんだかちょっとクール。
「うん。医学部だしな。なにかと金かかるし。
 あんまり親に迷惑かけられんだろ。」
 その、いかにもオレは正しいこと言ってんだぜみたいな物言い。
 もちろん、詠一クンとしては、カチンとこないではない。
 カチンとこないではないのだが…。
 毎日、2時間以上かけて、あそこまで通っているっていうのは、スゴい、スゴ過ぎる。
 それは、なによりこのオレが一番よくわかる。
 そう思ったら詠一クン、ムカつくよりは、むしろ感嘆の思い。
 やっぱりコイツは人一倍の努力家なんだなぁ…って、もはや素直に感服した。
「おい、宮間ぁー。オマエ、エライよ。エラすぎだよ。
 オレ、マジ感心したぜ…。」
 

 詠一クンはそんな風に感心しつつ。でも、表面上はふざけて、宮間クンの肩をポンポン叩いていて、ふと。
 うん!?
 その、叩いた肩の何とも言えない違和感。
 それを、ギョッとしたと言ってしまったら、さすがにオーバーなのかもしれない。
 でも、その瞬間無意識に探っていた、その違和感の元。
 そんな詠一クンの目の動きを気がついてないのか、目の前で笑いながらしゃべっている宮間クン。
「舟橋さ。オマエ、O駅の東口にある、あのラーメン屋知ってる……」
「……。」
 コイツ、ちょっとムリしすぎてんじゃねーのか…
 ったく、こんな青っ白い顔して……


 ま、それはともかく。
 電車に乗っている間中、宮間クンと懐かしい話をしてたせいなのだろう。
 いつもより全然早くO駅に着いたような、何だかそんな感じ。
 いつもなら体の奥にぐたーっとくる疲れがあるのに、今日は不思議なくらい体が軽い。
 その時詠一クンが、宮間クンを呼び止めたのには、そんなこともあったのかもしれない。

「おいっ!なぁ宮間っ。」
 それは、改札を出た所。
 「じゃぁな」とひと言、O大のある東口に歩き出した宮間クンの背中を追いかけるように声をかけた詠一クン。
 気がつけば、その場所で怪訝な顔で立ち止まっている宮間クンのところまで駆け寄っていた。

「うん!?何だ?」
 駆けてくるなりカバンをゴソゴソ、さらに手帳に何やら書いている詠一クンに、宮間クンはなんとも怪訝な顔。
「なぁ。これさ、オレのアパートの電話番号。
 ウチの大学まで来りゃ、すぐ近くだからよ。
 医学部なんていったらよ、実験やら実習やらで遅くなることもあんだろ?
 2時間以上も電車乗って帰んのはキっツイからなぁー。
 どうにもならない時とかは、電話しろよ。
 あ、ただよ。彼女が来てっ時はダメだけどな。ハハハー!」
 そう言って、宮間クンに自分のアパートの電話番号のメモを渡した詠一クン。
 よせばいいのに、照れ隠しに嘘バレバレの見栄を付け加えたもんだから、逆に照れくさくなっちゃって。
「はっはっは!うん。じゃぁまたな。」
 って、笑ってごまかしてたんだけど。
 当の宮間クンときたら、詠一クンから渡されたメモを、右手の親指と人差し指の先の先でちょこんとつまんで。それを、目の高さでじっと見ているばかり。
 気持ち首を傾げた宮間クンの、そのなんとも言えない不思議そうな顔。

 一方、詠一クンは、そのいきなりの流れが止っちゃう展開に、思わずつんのめりかけていた。
 ったく、秀才のリアクションっつーのは調子狂うぜ、なんて。
 仕方ないから、適当におちゃらけて宮間クンと別れようと口を開きかけた時だった。
 それは、手に持ったメモから、やっと詠一クンを見た宮間クンの目。
「……。」
「……!?」
 ふっと。あのニカっという笑みを浮かべた宮間クン。
 そして、「うん」って一つ頷いて、やっと言った。
「舟橋。オマエさ、ちゃんと学校行けよ。」
「え…。」
 その予想だにしなかった言葉に、詠一クンは思わずポカーン。
 なんだかタヌキかキツネに、見事煙に巻かれちゃったみたいな…
 やっと我に返った詠一クンの目に映ったのは、タッタッタっと大股に駆けていく宮間クンの後姿……

 その後姿。
 それは、詠一クンにとってウンザリな存在でしかなかった、中1の頃の宮間クンの後姿そのまま。
 確か、あれは朝礼の時だったか?
 そう。何かで表彰で壇上の校長先生に名を呼ばれ、みんなの拍手の中、颯爽と大股で小走りで前に向かっていく、あの後姿と全く同じ。
 そういえば今日だって、話していて何回カチンときたか。
「ふんっ…。
 アイツって、結局やっぱああいうヤツってことか…。」 
 思わずつぶやいていた詠一クン。
 沸き起こってくるそれが、堪らなく不快だった。



 もっとも、そんな詠一クンが学校に着けば。
 いつものメンバーが、いつものようにたむろしていて。
 すっかり肌に馴染んだ、だらけきったその空気に飲み込まれてしまえば、詠一クンの頭にもう朝の出来事はなかった。



                        

── 本日これまで!
      67話目-1〈了〉/ 67話目-2に続きます  メルマガ配信日:2010.8.20

                                                         


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          ちょっと剣呑で、ゴメン(^^;)




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2014
11.03

高すぎるのはもちろん困るんだけど。でも、安すぎっていうのも困るよなー



 いやね。野菜の価格。


 
 9月くらいまで、やったら高くて。

 10月に入ったくらいから、やっと安定してきたかなーって思ってたら。

 11月に入った途端、「サニーレタス、3つで100円」って…


 いやはや。
 サニーレタス、1人で3つ食い切るのは、さすがにキツイって…(爆)









 まーね。
 「3つ100円」っていうのを見て、「うわっ!安っ!!」って目の色変えて。
 後先考えないで買っちゃった私が悪いんですけどねー(笑)

 つーか、なんで一つにつき、もれなく虫1匹ついてんだよっ!



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