2014
08.31

ネットとか見ると、小難しいことイッパイ書いてあるんだけど…

 


 ネットとか見ると、小難しいことイッパイ書いてあるんだけどさ。

 でも、あんがいさ。

 中学林間学校の時、

ずっと片想いだったレイちゃんがクラスの誰かとイチャイチャ楽しそうなところを

偶然見ちゃったのが、ずっとトラウマになっていて。


 いまだに毎夜悶々としながら、

「レイちゃんは僕のものだぁぁぁぁーーーーっ!」って大絶叫したくなっちゃう自分に、

どっかで聞いたような知識を強引にくっつけちゃった結果出来たのが、

つまり、エヴァンゲリオンなんじゃないのぉ~?(笑)



 いえいえ。
 小難しい解釈、それはそれでそうなんだとは思うんです。
 だって、読むとなるほどなーって思いますもん。

 でも、それはそれとして、そもそもはそんなとこから始まったんじゃねーのーって。
 思わずそんな下衆の勘繰りをしちゃった、金曜の夜(爆)

 
                   注:正しくは録画したのを見たんで土曜の夜です




              ま、1人くらい、そーいうファンがいたっていいやね(笑)






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2014
08.31

怪談話-番外:その7

Category: 怪談話


0:隣町の最終バス


 Aさんの住む街の隣りにQ町という町があった。
 Q町というのは、文字通り「町」で。
 また、鉄道もちょっとローカルな私鉄が通っているのみで、昔ながらの農村の風景を多く残したところだった。

 もっとも、それも今は昔。
 現在は新しい住宅の立ち並ぶ、東京近郊の月並みな風景になっているのだが、この話はそんなQ町がまだ昔ながらの風景を残していた80年代の頃のことだ。


 AさんにとってQ町というのは田んぼや畑ばかりというイメージだったから、特に馴染みのあるところではなかった。
 まぁ夏休みに、カブトムシやクワガタを捕りに行くくらい。
 Aさんたち子供らは、Q町のその場所を「カブト山」と呼んでいた。

 山とはいうものの、そこは森というか、林というか…。
 そこを「カブト山」と呼ぶのは、子供らに受け継がれる伝統のようなものなのだろう。
 連れて行ってくれた上級生が「カブト山」と呼んでいたから、Aさんがそう呼んだように。その上級生だって、初めて連れて行ってもらった時に年上の子が「カブト山」と呼んでいたそのままだったのだろう。

 その「カブト山」。
 Aさんの家からは、(小中学校当時)自転車で40分くらいの所にあった。
 ということはクルマだったら、ものの10分前後の場所。つまり、本来なら「すぐ近く」と言っていい場所だった。
 ただ、Aさんにとっては子供の頃はるばる自転車で行ったイメージが強かったのだろう。
 また、カブトムシに興味がない年頃になってしまえば、もうそこに行くことはなくなって。
 そんなわけで。Aさんにとってそこは、物理的には近くても、イメージとして「近い」場所ではなかった。


 そんなQ町のある話を聞いたのは、Aさんが高校生の時だった。

 それは、Q町を通るあるバス路線のことだった。
 そのバス路線。なんでも、最終バスの時刻がどんどん早まっていって。
 ついには、最終が7時台になってしまったんだとか。
 それというのも、運転手がその路線の夜の勤務を嫌がるからなんだとか……

 いや。バスというのは公共性が強いのモノなわけで。
 そんな運転手が嫌がるみたいな理由で、はたして最終バスの時間を繰り上げられるものなのだろうかという疑問が湧いてくるし。
 さらに、それがあったのは、周囲よりは遅れていたとはいえQ町も宅地開発が進みだし、転入者が増えだした時期だった。
 それを考えると、最終バスが7時台ってありえるのかなーと思ってしまうのだが…。


 ただ…。
 なんでも、そのバスが通る道というのは、Aさんが子供の頃行っていた例の「カブト山」のちょっと先。それこそ500mくらい先を左に曲がった所を行くそんな道らしいのだが。
 Aさんは、その話を聞いた時。
 ふっと、
「あぁ…。
 あの辺だったら、そんなこともあっても不思議じゃないかもなぁ…」と思ったんだと。

 と言っても、具体的に何がどうということではないらしい。
 ただ、Aさんに言わせると。
 「カブト山」に行っていた子供の頃から、その辺りっていうのは、何とも言い難い、不思議な雰囲気のある場所だと思っていたという。




── 本日これまで!
        怪談話-番外:その7『0:隣町の最終バス』〈了〉 
                         / 番外:その7-1に続きます



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2014
08.23

74話目-その6

Category: 怪談話


 尾宮の体の感触が一瞬で消えたというのに、そこは何の音もなかった。
 ただただ、真っ黒なだけ。
「はぁー、はぁー、はぁー…。」
 ドク、ドク、ドク……

 もちろん、廊下にいたアレへの恐怖はあった。
 それは、耐え難いくらい。
 ただ、その瞬間は尾宮がどうなっちゃたんだ?って思いの方がわずかに強かった。

「お、おい…。
 お、尾宮、尾宮ったら。おい…。」
 まるで、真っ暗闇が顔に張り付いちゃったみたいな部屋の中。
 つい今の今まで抱き合っていた尾宮の体の感触を探そうと、オレは両手を夢中で振り回していた。
 だけど、その右手も左手も、何にも触れることはなく。
 いや、それどころか。
 その真っ黒な部屋は、目の前で振り回しているはずのオレの両手すら見させてくれない。
 そのうち、今オレは立っているのか、転がっているのか、いや逆さになっているんじゃないか?ってくらいわからなくなってきて。
 それでもオレは、必死な思いでまわりを知ろうと……

 いくら目を凝らしてても、暗闇しか見えない。そんな、五感の触感全部がどこかに行ってしまったような中。
「わぁぁーっ!わぁぁーっ!わぁぁーっ!」
 暗闇の中、オレの耳に聞こえてきた、オレの絶叫。
「わぁぁーっ!わぁぁーっ!わぁぁーっ!」
 それは、まだ続いていて。
 それでも、オレは何も見れない、何も触れない、何も出来ない。
 その、発狂しそうな怖さ……


「わぁぁーっ!わぁぁーっ!わ──。
 っ!うぐぐ…。」
 ソレは、何の前触れもなかった。
 その気が狂いそうな驚きに、突然断ち切られたオレの絶叫。
 でも、その信じたくない触感に気がついたら。
 その途端、オレは前にも増して大きく叫んでいた。
「うぅぅわぁぁーっ!!」

 それは、オレの後ろ…、頭の後ろ。
 オレの髪の毛を、毟るように引っ張っているソレの触感。
 カタカタカタカタ…。
 カタカタカタカタ…。
 それは…
 そう。間違いない。確かに2つある。

 
 カタカタカタカタ…。
 カタカタカタカタ…。
 いや。決してそんな音を聞いてはいなかった。
 カタカタは音でなく。触感として、オレの頭に直接伝わってくる。 
 その硬質な触感。
 そして、変に不器用に感じる動きの気持ち悪さ。

 ソレはオレの後ろから、オレの髪の毛を、カタカタ、カタカタと。
 頭の上かと思えば、今度は耳の後ろ。かと思えば、後ろから顔の方にも伸びてきて。
 今度は、右耳の上の髪の毛を掻き毟り、同時に額の左側からも。
 間違いなかった。
 やっぱりソレは2つだった。
 カタカタ、カタカタと、間断なくオレの頭を掻き毟ってきて…
 その蠢きの、あまりの気持ち悪さにオレは──。

「うぅわぁーっ!!や、やめろぉーっ!」
 いや。オレはそれを払いのけようと、両手をむやみやたらと振り回しただけだったのだ。
 なのに。
 こともあろうに、オレの右手はソレの一つをギュっとつかんでしまったみたいで…。

「っ!?」
 その一瞬。オレは、目の玉が飛び出くらい真ん丸に見開いているオレの顔を見たような──

 骨……
 骨だった。
 この、不気味なまでの細さ。そしてひんやりした硬さ。
 今、オレの右手がつかんでいるモノ。それは、骨。
 ほ、骨の手首っ!
「うわぁわぁわぁわぁわぁーっ!!」

 
 な、な、なんなんだよっ!これっ!
 オレは慌てて、それを放るように離す。
 いや、もちろん。
 人の手首の骨なんて、つかんだことなんてあるわけない。
 でもオレは、それをつかんだ瞬間、オレの右手に伝わってきたその触感を骨の手首だと感じた。
 その信じられないくらい気味の悪い細さ、硬さ…。
 間違いなくそれは骨だった。
 人の、骨になった手首……

 それが右腕だか左腕だかは知らない。
 オレがその骨の手首をつかんだ時も、もう片っ方の手はオレの髪の毛を掻き毟るのをやめなかった。
 カタカタ、カタカタ。
 オレの頭やたら掻き毟っていた。
 
 オレの右手がソレを離すと、それは再びオレの頭にやってきたのだろう。
 カタカタ、カタカタ…
 カタカタ、カタカタ…
 その意味不明な恐ろしさ。
 その恐ろしさは、骨をつかむのが気持ち悪いなんて、そんなのを遥かに通り越していたのだろう。
「うぅぅわぁぁーっ!!」
 気がつけば、オレは叫びながら両手を振り回して、必死にその2本の腕を近づけまいとしていたのだが…。

 今度は逆だった。
 オレの右腕は、その骨の手首の先にあるモノに、ガッチリと握られてしまったのだ。
 オレの右腕に絡みついてくる、その冷たく硬いモノ。
 それは、あの骨の腕よりさらに不気味に細く。
 そして、ぎりぎりとレの腕を締め上げてくる。
 その、絶望的な怖さ。
 そんなオレは、暗闇すら見えなくなって……

 ガッツーン!
 そう、あの時。
 全身にそんな衝撃を感じたことだけは憶えている。
 でも、何があったのか…。
 たぶん、アレがオレの手首をつかんだ状態のまま、オレのことを下に思いっきり叩きつけたんじゃないかと思うのだけれど。
 ただ、オレにそこから先の記憶はない。


 
 気がついた時には、部屋の中が明るかった。
「えっ!?」
 周りを見回すオレの視線……
「っ!」
 すぐ傍。視界の端。そこに何かが座っている!
 あの瞬間っていうのは、とにかくそれから逃げようと飛びのいたのは憶えている。

 それは意外にも尾宮だった。
 尾宮が座って、ただ煙草を吸っていた。
 思わずオレは尾宮に声をかけようと…
 でも、不思議とそれが出来なくて…
 というよりは、それを躊躇させる何かがあったのだろう。
 
 何も言わずに、ただただ煙草を吸い続けている尾宮。
 そんな尾宮から視線を外したオレが、部屋の中を見回せば…。
「…!?」
 そこにあったのは、二組の布団。
 それは、まるっきり敷いた状態そのままで……

 唖然としたまま、視線をさらに動かす。
「え…。」
 入口近くに寄せたテーブルの上。
 そこには、缶ビールの空き缶が何本も立っていた。
 それは、まるで何もなかったみたいに見えた。

 さらに視線を走らせるオレ。
 その時はむしろ慌てていた。
 そして…
「っ…。」
 それは、出入り口に寄せたテーブルの向こう。
 そこにあった、くしゃくしゃになった掛け布団。
 それは、まるで投げ捨てられたまま……


 でも、それだけだった。
 五月の朝の光が射し込んでいる窓。
 その、鮮やかさ、さわやかさは…。
 まるで昨日の朝に戻ったような錯覚さえ覚えた。


 視線を戻しても、尾宮は煙草を吸っていた。
 その目は何を見ているのか…
 そして。オレは、やっとそれを言えた。
「な、な、なぁ…。」
 こんなに気持ちのいい朝だっていうのに。
 出てきたオレの声ときたら、ついさっきまでのように震えているのだ。

「な、な、なぁ…。
 あ、あ、あれ、あれって。
 ほ、本当にあ──。」
 それは、ゆっくり、ゆっくりと、オレの方にを向いた尾宮の顔。
 その尾宮の顔にあったのは、なんとも言い難い目の中の色。
 そんなものを見てしまったオレは、もう黙るしかなくて。

 尾宮は、煙草をくわえたその顔、その目のままで。
 しばらくオレの目をじっと見つめていた。
 やがて、静かに目を閉じて。
 そしてゆっくり、ゆっくりと首を横に振って。
 そして、目をつぶったまま、ボソっとつぶやくように言った。
「なぁ…。
 このことは、誰にも言わないようにしよう…。
 たぶん、言わない方がいいんだと思う……。」
「……?」
「だって…。
 言ったからって、どうなるっていうんだ?」

 なんだろう?
 尾宮のその言葉を聞いた時の衝撃っていうのは。
 よくわからない。
 尾宮の言葉を聞いた途端、オレの目の前が「くらん」と大きく傾くのを見たような…。
 でも、それはすぐに止った。
 すぐに止って、そしてオレはそこにある部屋の、今までと変わらない光景を見ていたはずだった。
 だけど、どこか今までとは違うものを見せられているような、そんな感じを覚えて仕方がなかった。

 後になって思えば、たぶんその時オレは、そのことの衝撃に打ちのめされてしまったのだろう。
 この世には…。
 そう。オレが昨日まで何の不安もなく、ただ無邪気に過ごしてきたこの世には、とんでもなく恐ろしいことがある。
 それは、その何気ない日常の中で、何の予兆もなく突然出現する。
 そう、そうなのだ。
 昨夜、オレと尾宮はそのことを知ってしまった……


「な、なぁ…。
 オ、オレたち、これからどうするんだ?」
 やっとそれだけ言えた。
「うん…。
 これから?
 これからって…、つまり、今日これからってことか?」
 尾宮のその醒めた声。その声の内容を理解した時、オレは初めてそのことに気がついた。
 そして、愕然とした。
 そう。今日…。
 今日、これからオレたちは旅行を…。
 昨日から続いている旅行を今日も…。
 いや、そんな…
 こんなことがあったっていうのに!

「とにかく…。なんとかして旅行を続けるんだ。
 それしかないだろう?
 あんなこと…、あんなとんでもないこと…。
 オマエは未名子さんに言えるのかよ!」
「だ、だからって…。」
「そんなこと、していいわけないだろう。
 オレは、そんなこと絶対出来ないよ…。
 出来るわけないだろう。
 今だって、必死でやっと耐えてるんだぞ…。」
 そう言った途端、ぷいと向こうを向いてしまった尾宮の背中は…。
 見れば、小刻みに揺れていた。


 それからどのくらい時間が経ったのか。
 その何も言葉がなくなった部屋に、「朝ご飯食べに行こうよー」って、陽気に入ってきた二人の若い女性の姿。
 その、なんの屈託もない笑顔を見た時だった。
 オレは、この二人には何もなかったのだと、ちょっとだけほっとした。

 そして。
 オレは自分がそのことを──昨夜、二人の部屋にアレは現れなかったのだな…。少なくともそれはよかった──思えたことに気がついた。
 それに気がついた時。
 「このことは誰にも言わないようにしよう」って言った、痛々しいまでの尾宮の気持ちが初めてわかったような気がして…。
 ハッとして見た尾宮の横顔は、ただただ夕美さんを見て、屈託なく笑っていた。
 まるで昨日に戻ったかのようなその尾宮の顔を見たオレは、そこにいるはずの未名子のことを見ようと──。

 でも、尾宮の体が、一瞬ふわっと浮いたように見えて、「うん?」って思ったその直後。
 それは、スローモーション映像のようにゆっくり、ゆっくり倒れていく尾宮の体。
 どこか遠くから二人の女性の悲鳴が聞こえている中。
 憶えているのは、駆け寄って触った尾宮の体がとんでもないくらい熱かったこと……


 それからのことは、断片的にしか憶えていない。
 大慌てで入ってきた、宿のおじさんの姿
 そう、おばさんもいたか…。
 医者へは行ったんだか、呼んでもらったんだか?
 バックミラー越しに見た、宿のおじさんとおばさんがずっと心配そうにオレたちが乗ったクルマを見送っている姿……

 そう。あと、あれは帰り道だったのか?
 クルマの後部座席から、うわごとを言う尾宮の声が聞こえた記憶があるような…。
 ホントそのくらい。
 あの後って、いったいどうやって家まで帰ってきたんだろう?って思ってしまうくらい、尾宮が倒れてからのことは憶えていない。




 ……店内の喧騒は相変わらずだった。
 でも、多古山さんと大場クンの座るテーブル。そこだけは音がなくて…

 そんな二人のテーブルの横を忙しそうに。
 注文のビールやつまみを持って飛び回っている店員さんたち。
 そんな店員さんを呼ぶ声…
 呂律の回らない会話…
 わざとらしい嬌声……

 全て自分のいいように考えるタイプな多古山さんだったはずなのに。
 大場クンのその話には、いつもの自分のペースを忘れてしまったのだろう。
 大場クンが話している最中、いつものように茶々を入れなかったし。
 それどころか話が終わっても、しばらく何も言わなかった。
 というか、言えなかったのか…

「そ、それで…。
 それで、オマエは大丈夫だったのかよ?」 
 やっと口を開いたその多古山さんの顔は、まるで、さっきまでの大場クンとそっくりそのまま入れ替わってしまったかのよう。
 そう、そうだった。大場クンの顔は、反対にスッキリサッパリしちゃって。
 つまり。まさにこういう状態を“憑き物が落ちたような…”と言うのだろう。


「うん。ホントに、ホントに…。
 ホントに怖かった……。
 こっちに帰ってきてからも、ずっと…。
 いつまたアレが現れるんじゃないかってさ。」
「あっ、ほら!お祓いとかは?
 寺?神社?それとも、エクソシストぉー…。
 違う?そう、教会!」
「お祓いとかっていうのはさ、嫌なんだよ。
 そういうモノがあるんだってことを認めてしまうみたいでさ…。
 いや、ていうよりさ。
 たぶん、とにかく怖かったんだと思う。
 あのことを話すのが…。
 話すことで、思い出すのが怖くて嫌だったんだと思う。
 そっか…。
 そういうことだったんだな。
 尾宮が誰にも話さないようにしようって言ったのは…。」
「ううーん、でもさ、彼女…。
 その尾宮ってヤツ、彼女にそんな忌まわしいことを教えたくないっていうのも、
 やっぱりあったんじゃねーのかなぁ…。」
「……。」
「だってよ。
 それは、そんなことがあった後の朝に、オマエだって思ったんだろ?」
「……。
 うん…。」


「ふぅぅぅー……」
 それは、煙草の煙を吐き出すのにかこつけて、やたら辛気臭く、そして深いため息を吐いている多古山さん。
 しかも、吸殻を灰皿にグリグリ押し付けながら。
 いや。それは、時々やるみたいに気取ってポーズをつけているわけではなかった。
 だって、その時の多古山さん。
 煙草の火はとっくに消えてるっていうのに。それでも、これでもかこれもかと吸い殻を押し付けて。
 その吸い殻は、茶色の葉っぱがバラバラと灰皿に散らかりはじめたっていうのに、まだやめようとしない。
 そんな多古山さんが何かを感じて、ふっと視線を上げた、その先。
 そこにあったのは、いつの間にか涙をぽろぽろこぼしていた大場クンの顔。
「オマエ…。」
 それは、多古山さんが初めて見た、大場クンが泣いている顔だった。



 店内は相変らずの大賑わい。
 その屈託のない騒々しさは、さっきよりも大きくなったのか?
 そんな喧騒の中で、多古山さんは大場クンの親友二人はずっと飲んでいた。
 その夜は二人、どのくらいそうやって飲んでいたのか?
 ふと…。
 声をあげて笑っていた自分に気がついた大場クン。
 見れば、いつも通りゲラゲラ笑っている親友の顔がそこにある。
 うん。なんだか以前の自分に戻れそうな…。

 
 その後二人は、ビールを注文するふりして、あのバイトの女の子に電話番号を聞こうとしたんだけど…
 でも、軽ぅ~く無視されちゃって。
 つまり、それも以前に戻れたってことだったのか……




 ──── 74話目終わり。フっ!
              第74話目「誰しもの日常に、それはふいに起こる……」
                           メルマガ配信日:11.5.14



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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 あとがき

 やけにド派手なモンが出てきちゃうお話(しかもありがちなパターン?)で、大変失礼しました(笑)

 一応書いときますと、このお話を聞いたのは、もうずいぶん前。
 それこそ90年代のホラー・怪談ブームが起こる以前のことなんで、その辺りは多少割り引いていただけるとありがたく思います。


 このお話の元ネタは、多古山さん(仮名)から聞きました。
 
 私は子供の頃から怪談好きでしたけど、とはいえ、その頃ってそんなに意識して好きでもなかった頃でして。
 何の脈絡もなく始まった多古山さんのこのお話を聞き終わった時は、いやもぉ素直に「すっごい話だなぁー」って思ったのを憶えています。

 ただ、今になってみると…。
 ありがちなパターンと言ってしまうなら、まぁその通りですし。
 また、出てくるソレも、90年代の怪談ブームを経た今となってみると、ド定番、かつド派手なだけに、もしかしたら元となる他のお話があったのかもしれないなぁと思ったりもします。
 ま、そこまではわかりません。


 ただ、そうは言っても、数々の怪談に接するようになった今だからこそ、気になる部分っていうのもあるわけでして。
 つまり、それが廊下に現れた鎧兜の主が持っていたという、刀身が3本放射状に突き出している刀というヤツです。

 
 ちなみに、多古山さんが私に話してくれた時っていうのは、話をしながら、その刀の絵を描いて説明してくれたんです。
 思うに、多古山さんが絵を描いて説明してくれたってことは、たぶんそれを直接見た大場さん自身も、絵で描いて説明したんじゃないかって思うんです。
 だとしたら、直接その刀を見た(らしい)大場さんの描いた絵と、多古山さん描いた絵は同じなんじゃないかって気がするんです。

 その時多古山さんは、放射状に伸びた刀身を3本とも右側に反らせて描いていました。
 つまり、刃先は3本とも左側を向いた状態ですね。

 とはいえそんな変な刀、見たことも聞いたこともありません。
 というか、刀はどんな名刀でも引くか突くかしなければ、たんなる鉄の棒だと聞きます。
 刀身が3本同じ方向に並んでいても意味はないし、それが放射状というならなおさら武器としての用を成しません。
 つまり、常識的に考えれば、そんな刀があるわけないのです。
 あるとすれば、古代の「七支刀」のような贈答用の刀。あるいは、祭祀で使われた刀ということでしょうか?


 もちろん、夜中の廊下にそんなモノが現れた状態で、どこまで正確にそれを見ているのか?ってことは当然あるでしょう。
 ですから、鎌槍や十文字槍みたいな枝分かれのある槍の穂先を、とっさに刀と見間違えたってことは充分に考えられるでしょう。

 ていうか。
 そこを大真面目に考察する前に出てきたオバケって何なんだよ?という至極真っ当なツッコミは、とりあえず横に置きます(爆)


 ただ、このお話で大場さんがやけにその刀について詳しく語っているのは、たぶんその刀が特にインパクトがあったからなんだと思うんです。
 それは、刀については詳しく述べているのに、その鎧兜の主の様子については、鎧兜姿だったこと以外何も語ってないことをみてもわかります。

 つまり、このお話が大場さん(仮名)の作り話であるのなら。
 そんな、ワケのわからない刀を、わざわざ持ち出すこともないよなーって思うわけなんです。


 それと。
 メルマガ配信日時を見るとわかると思いますが、このお話はそんな時期に書いたお話です。
 「あの時」というのは、とにかくもう驚きと怖さしかなくて、ずっと続けていたメルマガも中断せざるをえませんでした。
 でも、中断しっ放しというわけにもいかなくて。
 そんな時ふと思ったのが、ずっと前に多古山さん(仮名)に聞いたその元ネタをベースに、「あの時」に思ったことを織り込んで書けないかということでした。
 今またあの時のようなことが起こっている時に、もしかしたらそれは不快に思われる方もいらっしゃる方もいません。
 でも、タイトルの『誰しもの日常に、それはふいに起こる……』というのは、「あの時」にとっても思ったこと、そのままでなんです。

 思えば、インフルエンザに罹った時。
 仕事を休むのがルールやマナーになったのって、ここ10年くらいのことですよね。
 それこそ90年代だったら、インフルエンザで仕事を休むなんて言ったら怒られる会社だってあったように思います。
 そんな風に、今までの意識や常識を根本から見直すことが必要な気がします。

 



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2014
08.20

今日は…って、あ、もう昨日か…



 今日(昨日)は、ホンっトあっつかったですねー。

 でもまぁあんだけあっけらか~んと晴れちゃうと、

 いかにも、夏ーっ!って感じでキモチいいような(笑)

 とかなんとか脳天気なことばっか言ってると、大雨のとこもあるみたいなんで怒られちゃいますよね。


 まったく今年の夏は、出来損ないな太平洋高気圧のせいで、

 天気がやたら変だったり、剣呑だったりで…

 この際、やる気のない太平洋高気圧にはさっさとご退散願って、

 錦秋の秋ってぇ~ヤツを満喫したいもんだなぁ…


 ……って、つっまんねー記事。

 犬も食わんってとこですかねー(爆)


 ま、世の中なんて、そんなもん(笑)






 最近、Celebrationなことないよなぁ…なんて(爆) ま、世の中なんて、そんなもん(笑)



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2014
08.17

花火大会ってさ…





 花火大会の終わりを告げる、最後の音だけの花火。

 あれって、やけに物哀しいいだけど、

 意外とそれが無性に好きだったりするかなーって(笑)







④_IMG_2427
       ちなみに写真は去年のヤツの使い回しでーす!






 

      夏なんて、たぶんそんなもん…









                         うっわぁ~。なんだか詩人みたい。
                                        ↑
                                   痴人レベルが何を言うぅ~(笑)







  夏というと、ビーチボーイズが聴きたくなるように。
   秋を感じると、ケイト・ブッシュが聴きたくなるっていうのはあるかな?(笑)



 
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2014
08.15

家族なんて食えねーもん狩るよりは、梨、ぶどう、桃、イチゴ、リンゴ等々、食ってウマイもんでも狩った方がよくね? ←最後は若者風イントネーションで読むこと(笑)

Category: R&R


 いやー、もぉ読んじゃいましたよー。

 イノシシ狩り。

 じゃなかった、角刈り。

 でもなくって、寿司のガリ。

 のわけもなくって……、
 ま、もぉ特に思いつかないんで、書いちゃうと『家族狩り』


 あ、シラけましたぁ?(笑)



 そうそう、そういえば。

 「家族狩り」と聞くと、
 「天城越え」の節回しで、 ;">♪かぞくぅぅがぁぁ~りぃぃぃ~~~

 って、つい歌っちゃうのは私だけ?




 ♪ふん ふん ふん ふん ねっこのふんんん~~ 
        ↑
     最近、これ口グセになっちゃって…




幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)
(2004/01/28)
天童 荒太

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 で、その『家族狩り』

 「あ、面白かった?」って聞いてくれる方は、たぶん毎週ドラマを見てる方なのかなぁ…。

 いや。すんません。
 ドラマはまだ見てないんです。
 録画はずっとしてるんですけどねー。


 というのも、本を読み終わってから見ようって思ってて…
 まぁ読み終わったんなら、見りゃいいんでしょうけどねー。




 とか、そう思っちゃうのは、やっぱり読み終わって、「うーん…」だったからなんでしょうね(笑)

 いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや…。 ←稲川淳二か!

 いやね。
 面白いのは面白いんですよ(笑)
 だって5冊、スルッと読んじゃいましたもん!

 読もうかどうしようか迷ってる方いたら、とりあえず読むのをおススメします。

 ネットで感想見ると、“残酷な場面や描写”表現とか書いている方も多いんで、読むのを躊躇しちゃう人もいるのかなーと思いますけど。

 って、実は私も躊躇したクチなんですけどね(笑)

 でも、その場面はなんだかんだで2回(だったかな?)ですしー。
 ていうか、そんな躊躇しちゃうほど残酷には書いてないですね。
 最近のサスペンス映画とかドラマとか、ミステリー小説とかに普通に接してる人なら、十分免疫の範囲内なんじゃないかなー。


 あと、“暗くて重い”って思う人も多いみたいですけど、それは1巻の印象を最後まで引きずっちゃったのかなーって気がするかな?

 いや。だからって、そんなに“暗くて重”かったっけ?って、あらためて1巻を思い出してみても。
 うーん、特にそんな“暗”“重”場面あったっけ?(笑)


 重く感じさせるのはね、たぶん登場人物!
のせいなんでしょう。

 というのも。
 お話に出てくる人、出てくる人もぉ全てが、
 ホンっトもぉ“嫌んなるくらい普通の人-っ!”
なんだもーん(笑)

 どのくらい“嫌んなるくらい普通”かっていうとー
 それはもう、“心底ウンザリ”ってくらい!!(爆)



 とか書いちゃうと、「うっわー、そういうの読みたくなーい!」って思っちゃうかもしれませんけど。
 でもね、違うんですよ。

 “嫌んなっちゃうくらい普通の人”っていうのは、つまりそれらが本当に「普通の人」ってことなんです。

 私もそうだし、たぶん今これを読んでいる人もそうだし。
 そんな、ごくごく当たり前の「普通の人」が、登場人物全員なんですよ。

 つまり、それは登場人物全員が、
いい面を持ってる反面、もんのすごぉ~く嫌ぁーな面も持ってると。
          ↑
     ね?ホント、普通の人でしょ(爆)


 さらにいえば、それらの人たちは「普通の人」であるがゆえに、
日常生活に何かしら(家族に関わる)の“ウンザリ”を抱えていると。 

          ↑
     ね?まさに普通の人でしょ(爆)




 でね。その普通の人っていうのが、どのくらいいい面もあれば嫌ぁーな面も持ってるかっていうと。

 登場人物に、ある子供がいるんですけど。
 その子っていうのは、実の父親がヤクザでDVで。
 その父親に大けがをさせられたことがあるっていう、小説上そういう性格付けされたキャラクターなんですけど。

 そんな子が、ある場面では自分より弱い者に対して、これまった嫌ぁーなことをしでかすわけなんですねー。

 ま、なんて言うか。
 この『家族狩り』にたびたび出てくる、“私たちが今こうしている間にも、世界では紛争やら貧困やらで生きるか死ぬかの状態になっている人が大勢いるんだ”というその弁を借りるなら。
 第二次大戦でナチスに迫害されたユダヤ人は、いまやイスラエルとしてパレスチナで人殺し行為をしている…
的な「嫌さ」(人というものの嫌な面)って言ったら、いくら何でも不適当ですかねー。

 え?なに?
 たった今、このブログ書いているヤツの「嫌ぁーさ」を思い知ったわ!って?

 そーんなー。
 みんな、そんなもんですってー!(爆)




 うん。
 そういう意味でも、この小説に出てくる人たちっていうのは、たぶん“現実にそこら辺にいる人たち”なんでしょうね。

 そういう、“現実にそこらへんにいる”な登場人物の中に、スッゴク“非現実的”な「事件」が起きるわけなんですが……

 確かにソレは、スッゴク“非現実的”に思えるんですけど。
 その反面、過去の不幸な出来事を悔やむあまり、宗教的ともいえる使命感をもってソレを行ってしまうと考えるなら、やっぱり“ウンザリするくらい現実的”とも言えるんでしょう。



 ただ、思うのは…
 この本って、 “問題作”とか、“不朽の名作”とか。
 はたまた“考えるきっかけ”みたいなことが言われてるみたいですけど。
 私は、そこが「うーん…」だったんですよねぇ…。


 というか、考えるのはいいことんでしょう。
 でも、この本を読んでそれを考えるってことは、それはどうしたって、この天童荒太が書いていることに沿って考えることになっちゃうわけじゃないですか。

 そこが、ちょっとどーんだろうなぁ…って思うんですよー。


 ていうのは。
 私は、この天童荒太って人の物の考え方?物の見方?思想?
 それが何なのかはうまく言えないんですけど、とにっかく大っ嫌いだからなんですね(爆)

 そういえば、原作5冊読み終わって、あらためて本人の顔見たら。
 まさに、こういう辛気臭い顔したヤツが書きそうなお話だったな…
みたいな…(笑)
(いや、失礼www)



 “ヒト”っていうのは。
 やっぱり、それぞれが主体的に生きてこそ、“幸せ”と感じるように出来てるんじゃないのかなーって思うんです。

 もちろん、助け合いや思いやりは絶対必要だし。
 また、それが“ヒトの幸せ”の要素だとは思います。
 さらに言えば、主体的に生きるために他の人の助けを必要とするということだって当然あるでしょう。

 このお話の中には、もぉしつこいくらい“今こうしている間にも世界では不幸な目にあっている人がいる”みたいな話が出てきます。
 それこそ、登場人物全員がそのことについて自問自答しています。

 でも、その不幸な目にあっている「その人」は、「その人」を助けたいと思う人に助けてもらっただけでは幸せにはなれないわけでしょ。
 「その人」自身が主体的に生きることで、初めて幸せだと思えるわけでしょ。

 もちろん、この天童荒太もそれは重々承知だとは思うんです。
 でも、それを考えすぎるあまり、結局本来目指すべき着地点からズレちゃってるような気がしてしょうがないんですよねー。

 だって、この本に出てくる人の中で。
 少なくとも“幸せ”に思える人って、たぶん一番“考えてない”ケートクですよね。

 でも、ケートクの場合は人生において選択肢が少ないがゆえに、シンプルにソレしかないと行き着いたのかもしれないし。
 その反対に、犯人や犯人に殺された家族たちは、人生の(様々な)選択肢に恵まれ過ぎたがゆえに、ソレ以外のモノも求めてしまったのかもしれない。

 それに、いくらケートクのような生き方が“幸せ”だからって、日本人の誰もがケートクのような生き方を目指しちゃったら、それこそ戦前にあったような「貧しい日本」に逆戻りですよね。

 だって、ケートクよりは、絶対殺されちゃった家族の旦那さんの方が稼いでるわけですもん。
 稼いでるってことは、それだけ税金治めてるわけだし、また、それだけ消費活動をしているわけですよね。
 極端なこと言っちゃえば、ケートクが幸せに暮らせてるのは、殺されちゃった家族の旦那さんみたいな人たちが“お金が儲かるように仕事をしているからだ”という考え方だって出来るわけです。


 家族が病気になっても薬を買う金がないとか…。
 天候不順や災害が起きたら、生き延びるために家族を売るしかないとか…。
 日本人がそうでもしなきゃ生きていけなかった時代っていうのは、何も歴史のかなたの出来事ではないわけですよね。
 それは、ついこの間。それこそ、高度成長期か、もしくは見方によっちゃ80年代に入る前後くらいまでは、普通にあったりしたわけです。

 そんなことをしなきゃ生き延びれなかった時代が“幸せ”であるわけないし、また、たんなる郷愁や疲れでその時代を目指していいわけありません。

 でも、だからって、天童荒太の書くこの本に出てくるような不幸に陥ってしまう、ごくごく普通の家族たちを肯定していいわけもない。

 つまり、“正しい”なんてもんは存在しないのだから、その場その場で“間違えながら少しでもベターを探す”しかないんだろうなぁ…みたいな。
 ていうか、 “正しい”ってことこそがある意味諸悪の根源なのだから、“間違い”を後悔しながらし続けていくしかないってことなのか?
 その反面、強烈な“正しい”がないと、その“正しい”が間違ってることがわからないがゆえに、その“正しいゆえの間違い”をなんとなくし続けてしまうんだろうなーとか。


 ていうか、ていうか。
 そーこー考えさせてくれるって意味じゃ、天童荒太ってスゲーや!
って?(爆)




 ってまぁ、このブログ読んでこの本読もうって人、絶対変な人だろーなーなんて思いつつ(爆)
 でね、この『家族狩り』。
 この本を読むにあたって間違ってもしちゃけないのは、犯人捜しのミステリー小説として読んじゃうことですかねー。

 だって、犯人すぐわかっちゃうんだもん!
 (ていうかわかるように書いてあるんですけどねーwww)

 ただ、ストーリーそのものはとても面白いんで、ちょこっと5冊ばっか(笑)、読んでみるのも悪くないかと…。




 そういえば。
 この本って主人公と言える人は3人いるんですけど。
 そのうちの、馬見原警部。 ←あれ?警部だったっけ?(笑)

 その人は、警察の仕事に熱中するあまり、家族を顧みなくなって。
 息子さんが亡くなったのは、そのことが遠因になっているのでは?
 とか、奥さんが精神を病んだりっというような、日々のウンザリ(つまり、心の重荷)を抱えていて。
 かつ、例のDVヤクザの旦那によって暴力を受けてた女性に心の安らぎを求めたり、求められたり(「不倫」と、ひと言で簡単にくくっちゃえる関係ではない)という状況なわけなんですが…。

 精神を病んでいる奥さんとの大事な約束の場面になると、馬見原警部の元にその女性の子供から電話がかかってきて。
 その結果、奥さんとの信頼関係、さらに娘との家族関係がこんがらがっていくというパターンが、確か2回くらいあったんだったかな?

 1回目はね、まぁともかくなんですよ。
 それが2回起こると、逆に喜劇になっちゃうんですよー(笑)

 いや。申し訳ないんですけど。
 (サスペンス小説として読んじゃうと)妙に間の抜けたラストのサスペンス的展開と相まって、これなら奥田英朗の方が全然ウマくね?(←若者風イントネーションで読むこと)とか思っちゃったかな?(笑)



 ただ、なんて言うか。
 主人公と言える人物の3人の名前……

 いや、実は最初から違和感があったんです。
 浚介に游子って…
 …???

 だって、名前に使う文字としては、ちょっと妙な文字ですよね。

 それに対して、馬見原だけは、光毅ってやけに立派な名前なんですよ。


 それを考えたら、もしかしたら作者の意図としては、主人公は浚介、游子、馬見原の3人ではなくて。
 実は、馬見原一人だったのかなーって。

 そうなると、この本を読んで単純に思っちゃう、ぶっちゃけ、平成のプロレタリア文学ぅ?的な思想で書かれた本ではないのかなーなんて。

 うーん…
 天童荒太って、もしかしたらやっぱりスゴイとか……


 (笑)






        大人が脳天気にバカやれない社会こそが、子供にとっても不幸なんだと思うな。
            だって、子供なんて、嫌でも大人になるしかないんだもん(爆)


        よかったらどーぞ!(ただし、こっちはオトナだけね)
        https://www.youtube.com/watch?v=TMCNhRmye2w



 しっかし困ったのは…

 ドラマ、録画してあるのはいいんだけど。
 なーんか、絶対見なさそーだなぁ…(爆)



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2014
08.14

お盆のオバケ番組って、なんつーかさー(笑)




 なんつーかさー。

 ビデオ映してたら、偶然映っちゃって、げっ!

 なんてーのばっかじゃなくってさ。



 ビックフットを撮影したら、

 偶然、ビックフットの後ろに、髪の毛が長い女が映ってて。

 その後、ビックフットはUFOにさらわれちゃって、

 キャトルミューチレーションされちゃった!?



 みたいな、新機軸な動画ってないのーーーーーーっ!












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2014
08.14

74話目-その5

Category: 怪談話


「いや、今さ…。
 うん…。
 今さ、誰か通った……。」
「はぃぃぃ?
 誰かぁ~?
 …って、誰…!?」
 そう言って顔を上げたところにあった、尾宮のその視線。
 それが、オレのずっと後ろ──つまり出入口の向こうの廊下──で止っているのに気がついたその瞬間、オレは反射的に振り返っていた。
 でも、すぐに目を戻して、そして言った。
「って、どぉこをぉっ?」

 そこは、やっぱりストーンとあの廊下が伸びているだけ。
 オレの目は、まずぼんやりと廊下の全体を眺めて、それから一気に奥の突き当たりまで行った。
 さらに今度は、目を手前から奥へ奥へと進めて行く……

 しかしまぁ。
 その深くて濃い静けさ…。
 今こうしてあらためて見ていると、天井の明かりが点々点々…と小さくなってく分、なんだかよけいに奥が深くなったような気がする。
 その奥の奥、突き当たりの天井には、例の非常口の緑色のランプが。
 そのやけにくっきり現代的な色が、逆にこの廊下ではちょっと幻想的に見えていた。


 廊下を奥からこちらまで。やっと目が帰ってきたオレは、再び部屋の尾宮の方を向いた。
 しかし、尾宮の目は廊下のどこかにいったまま。
「お、おい。
 どうしちゃったんだよ?」
「……。
 ほら、あそこ…。
 突き当たりのとこに、非常口の緑色のランプがぶら下がってんだろ。
 今さ、あの前を誰か通ったんだよ…。」
「えぇぇ…?」
 思わず、また振り返ってしまった。
 が、オレの目に映ったのは、やっぱりまっすぐなあの廊下だけ。

「誰かが通ったみたいにさ、あの緑色のランプが一瞬翳ったんだよ。
 右から左にさ…。」
 尾宮はそうは言うものの、廊下はただただ深閑としているばかり。
 誰かがいる気配なんて微塵もない。
「中のさ…。
 中の、蛍光灯が切れかかってんじゃねーの?
 だってさ、あそこはこっちの廊下から行っても、
 向こうの廊下から行っても突き当たりなんだぜ。
 あの前を、右から左に通り過ぎれるわけないだろ。
 中の蛍光灯が一瞬切れてさ、そう見えただけだろ…。」


 ここは旅館。
 こんな時間でも、当然客がトイレに行くことはあるだろう。
 でも、そうだとしても、非常口のランプはこちら(オレたちのいる新館)の廊下からも、右からきている向こうの廊下(本館)からも突き当りにあるのだから、ランプが右から左に翳って見えることはないはず。
 もし、人がランプの前を通ることで右から左に翳ったんだとしたら、尾宮は、この部屋に真っ直ぐ来ている廊下のどこかで、人の姿を見ていなきゃおかしい。

「うぅーん、そうだよなぁ…。
 向こうの館の廊下って、あの非常口のランプのとこで、
 こっちに直角に曲がってるんだもんな。
 右から左に行ったら、壁にぶつかるしかねぇもんな。
 でも、ヘンだなぁー。
 確かに誰か通ったように見えたんだけど…。」
 そう言って、尾宮はいまだにしきりと首を傾げてる。
 オレは、そんな尾宮の疑問を吹っ切るように言った。
「そんなことより、なんだかよ、オレ、完全に眠気が覚めちまったよー。
 そう。ビールって、もう残ってなかったっけ?」 
 そう言って、オレがテーブルの上に並んでいるビールの缶を探り始めると。
 幸い、まだ空けてない缶が1本。
「へへ…。あったぜ、ラッキー!」
 オレは、ビールの缶を顔の横で振って。尾宮におどけてみせてからプルタブに指をかけた。


 プシュっ──。
 その音は、何だか、久しぶりに現実の音を聞いたようで…。
 そんなオレは、尾宮のグラスにその缶ビールの半分を注ぎながら言った。
「今のプシュって音…。
 なんだかさ、それ聞いた瞬間、妙にホッとした…。
 ハハハ…。」
 尾宮は、その言葉に疲れたような苦笑い。
 そんな尾宮は何か言おうとしたのか口を開きかけ……た、その瞬間、いきなり表情が豹変した。

「えっ!えっ?
 えぇーっ!?」
 いきなり変わった尾宮の顔と切迫した声に、オレはもちろんびっくりした。
 でも、すぐにそれが、尾宮がまたあの非常口の蛍光灯が切れて瞬いたのを、人が通ったんだと勘違いしたんだって気がついた。

「だっからさー。あの非常口のランプ。
 きっと蛍光灯が古くて切れかかってるんだって。
 ほら、この旅館古いだろ?
 だからさ、あの非常口のランプも、
 江戸時代からずっと使ってるんだって。
 ハハハっ。」
 オレは、そんな風にバカ言ったものの。それでも、尾宮の表情が表情だけに、無意識に廊下を振り返っていた。
 ただ、もちろんそこにはあの廊下が黒く伸びているだけだった。


「だってさ、オマエ、
 アレ(非常口のランプ)の前を横切るってさ。
 アレは、天井のすぐ下にぶら下がってるんだぜ。
 そんなデカイ奴いるかよ?」
「あ…。
 そっか…。
 そう言われてみればそうだよな…。」
 それは、やっと腑に落ちたって表情の尾宮。
「あの前を通ってアレが翳るくらいデカイ奴…、
 いねぇこともねぇだろうけど、まぁジャイアント馬場とかぁ?ハハっ…。
 でもよ、普通いねぇよなぁ。」
「そうだよ、オマエー!
 ジャイアント馬場が泊まってたら、
 この宿のあのおじさん、絶対教えてくれてるって。」
「だーから。
 ジャイアント馬場が泊まってるわけねーだろ。
 ハハハ…。
 でも、変だなぁ…。
 さっきはさ、右から左に翳ったように見えてさ。
 今度は、左から右に翳ったように見えたんだよ。」
「だーから、もーいいじゃん。
 そんなことよりよぉ、オレ、今思ったんだけどさ。
 明日ってどうすんだ?
 さっきは、4人でバカやっててあんまり楽しかったもんだから、
 スッパリ忘れちまってたけどさ…。」

 今日のオレたちは、ホントに行き当たりばったりでここまで来ちゃって。
 そのくせ、意外なくらいうまくいったんだけど…。
 いや、もちろん明日もそれでいいといえばそうなのかもしれない。
 でも、何か適当な案があれば、出足で無駄な時間を使わなくてすむというのもあった。

「あっ…。
 そうか。そういえばそうだよな…。
 なんだよ大場ぁー。
 オマエ、今日は何だかやけに冴えてんじゃん。」
「この夜中に人のことおだてて、小バカにしてんじゃないのっ!」
「そういえばさ、下にロープウェイのポスターが貼ってあったぜ。
 なんか、すっげーいい景色だったし、
 地名からするとここの近くみたいだったけど…。」
「ロープウェイ?
 あ、いいじゃんよ、それ!
 あとさ、明日はさ、せっかく旅行に来たんだしよ。
 温泉に泊まんねぇ?なぁー。」
「うん、うん。温泉!それ、いいなー。
 大場ぁ。ますます冴えてんじゃん、オマエ。ハハッ…。
 そう。確か貰ってきたパンフレットに載ってたはずだけど…。」

 そう言って、バッグをゴソゴソ探り始めた尾宮。
 パンフレットを引っ張り出すと、テーブルの上に広げようと……、したその手がふっと止まった。

 見れば、また廊下の方を見ている尾宮。
 やっぱり、つられてオレも廊下を振り返った。
 でも、それはチラッと目を走らせただけ。すぐに尾宮の顔に視線を戻して言った。
 そう。その時のオレは、ちょっとイラついた声で言ったと思う。
「なんだよ。またかよ。
 だから、蛍光灯が切れ──」
「ハハハ…。わりぃわりぃ。
 目ぇ、疲れてんのかなぁ…。
 でも今日ってさ、ほとんどオマエが運転してたよなぁ……。
 うん。でさー。
 あっほら、載ってんじゃん。ロープウェイ…。
 な、景色いいだろ?
 ふーん…。上がったとこにホテルがあるんだな。」
「ロープウェイで、上がったとこにホテル?
 あ、それって、こないだテレビやってなかったか?
 うん。あれ、すっげー景色よかった。
 うん。行こうぜ、行こうぜ!明日、絶対!」
 それは、半分夢見心地で言ったオレの言葉……
 でも、それは尾宮のいきなりの大声に遮られてしまった。
 それを最後まで言ったのか、言わなかったのか。
 そんなこと、憶えているわけない。


「うん。あれ、すっげー景色よかった。
 うん。行こ──。」
「ヤバイっ!こっちに来るっ!」
 いきなりだった。
 それは、尾宮が発した悲鳴のような声。
 声とともに、飛び上がるように立ち上がった尾宮に、オレはもうとんでもなく驚いてしまって。
「え?え?え?
 な、何?
 え、何?
 え?え?」
 その間中、オレの目は、ずっと尾宮の目に吸いつけられていた。
 その、尋常でない目の玉に。
 しかし、その目はオレのことなんかまったく無視。
 ひたすらオレのずっと後ろを見るばかり。
 尾宮の視線をたどるように後ろを振り返ったオレは、部屋の開けっ放しの戸が開いた先にある廊下に視線を走らしていく。
 いや。後ろで尾宮が、「早く戸ぉ閉めろ!」って叫んでいたのは聞こえていた。
 でもそれは、もはやオレの頭で意味を成していなくて…


 それは、天井や梁、その他諸々の線がズーンと延びるあの廊下。
 そんな中、こっちに向かって来るソレのシルエット。
 そう。それは歩いていた。
 こっちに向かって…。
 
 するするする…
 するするする…
 するするする…
 少しずつ、少しずつ。
 廊下の右の端を…。
 かと思えば、今度は左の端を…。
 ソレは、まるでこちらを窺いながら進んでくるように。
 廊下をジグザグに、右に行ったかと思えば、今度は左。
 そうやって、するする、するするこっちに向かって歩いてくる。
 
 まるで、こちらに来るほど広がっていく廊下の線に合わせているみたいだった。
 ソレは、こちらに近づいてくるにしたがって、徐々に大きくハッキリ姿を成してきて……

「……!?」
 えっ!?宿の余興か何かってこと…?
 そんなことを一瞬思ってしまったのは、ソレっていうのが、今現在この世には存在しえない姿形をしてたもんだから…。
 でもすぐにオレは、こんな夜中に宿の余興なんて絶対ありえないってことに気がついた。
「…っ!?」
 でも、こちらに歩いてくるソレが、宿の余興じゃないっていうんなら…
 じゃぁ、いったい何だったっていうんだ?
 

 ソレは頭には兜、その下は鎧で身を固めていた。
 右手には、刀身が3本放射状に突き出した刀。
 その刀を持った右手を、頭の高さで振りかざして。
 するするする…
 するするする…
 するするする…
 少しずつ、少しずつ。
 廊下の右の端を…。
 かと思えば、今度は左の端を…。
 するする、するすると、こっちに向かって歩いてくる……

 オレは、その時悲鳴をあげたのか、叫んだのか。
 そんなこと全然わからない。
 こっちに向かって来るソレの姿に、気持ちが完全にぶっ飛んでいた。

 その点、尾宮はそんな状態でもしっかりしていたし、動きも素早かった。
 部屋と廊下の境である、開けっ放しの戸に飛びつくようにその戸を閉めたかと思うと、さらに鍵をかけて。
 すぐにオレの手をつかみ、敷いてあった掛け布団も引っ掴んで。
 そのままオレを連れて部屋の隅に転がり込んで、明かりも消して……



 気がついたら、オレは尾宮と2人、布団を被って震えていた。
 そこは、真っ暗になった部屋の隅。
 たぶん…

 カチカチカチカチカチ……
 歯が、そんな風にずっと鳴っていた。
 それ以外は何の音もしない、真っ暗な空間。
 そんな中で、オレと尾宮は布団を被って震えていた。
 二人とも、そうやって抱き合って感じられるお互いの体の感触だけが頼りだった。

「な、な、な、な、何、何なん──。」
「しーっ!」
 耳元で聞こえた尾宮のそれもやっぱり震えていた。
「へ、へ、部屋には、は、入ってきてないと思う…。
 で、で、でも。も、もう少し…、様子みよう……。」
 尾宮のささやきに、オレは何とか答えたつもりだった。でも、それは声にはならなくて、頷くことしか出来ない。
 しかし、それは体を通して尾宮に通じていた。


 それは、何の前触れもなかった。
「っ!」
 もちろんその瞬間っていうのは、何がなんだかわからない。
 いきなり、上の方からグイっと暴力的な力を感じたかと思ったら。
 かぶっていた布団が、ものすごい力で上に持ってかれたと感じた時には、もうその感触はどこにもなかった。

 真っ暗しか見えないって感じた、その一瞬の間…。
 そんなほんのわずかな間の後、それは聞こえた。
「うわぁぁーっ!や、やめてくれぇぇーっ!」
 オレの耳貫いた、この世のものとも思えない尾宮の絶叫。

 それっきり。
 今の今まで抱き合っていた尾宮の体の触感は一瞬で消えた。




 ── 本日これまで!
                    74話目-その5〈了〉 /その6に続きます
                             メルマガ配信日:11.5.13

                                         



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2014
08.10

74話目-その4

Category: 怪談話

 
 4人でお茶を飲んだ後、オレたちは町に観光に出かけた。
 Q旅館には夕方に戻った。
 再び、宿のおじさんとおばさんの愛想のいい笑いに出迎えられたオレたちは、まずは風呂にのんびりと。
 その後は、うまい食事とゆっくり楽しんだ。

 夕方、宿に戻ってきた時は、やっぱり疲れていたのだろう。オレもみんなもどこかとろーんとしていた。
 でも、風呂入って夕飯食べてゆっくりしたら、いつもの調子に戻っていた。
 食事の後は、未名子と夕美さんもオレたちの部屋に来て、結局4人でずっとワイワイおしゃべりをしていた。
 そんな楽しい時間が終わったのは、0時をとうに過ぎた頃。
 未名子と夕美さんの声が聞こえなくなったオレたちの部屋は、妙にぼわーんとうら寂しかったのを憶えている。


「あぁーあ…。
 オレたちも寝るか?」
 さすがに眠くなっていた。
 オレと尾宮は、なんとなく誘うように歯磨きとトイレに行って。
 部屋に戻ってきて、初めて部屋のその酷いニオイに気がついた。
 夜になって涼しくなったこともあり、窓をずっと締め切っていたからだろう。
 煙草の匂い、ビールの匂い、つまみの匂い。その他なんだかわからないが、とにかく部屋はすごい匂いで充満していた。

「うわっ。なんだこりゃぁ?
 オマエ、こんなとこで寝たら、髪の毛とかに匂い染み付いちまうぜ。」
「いや、もうそれ以前。
 オレ、なんか気持ち悪くなってきた…。」
 ただ、ここは山の中。5月とはいえ、夜に窓を開けるのはさすがに寒いんじゃないかって、とりあえず部屋の出入口の引き戸を開けておくことにした。

 前にも話したように、この部屋は廊下の突き当りにあった。
 だから、出入口の引き戸を開けてしまうと、部屋の中が丸見えなのだが、まぁこんな時間。他のお客は寝ちまったろうって。
 それに、どうせオレたち男2人しかいない部屋。別に誰に見られたところで、どうってこともないって思ったのだ。

 ただ…。
 今になって思うのだ。
 あの時、戸を開けっ放しにしておかなければ…って。



 歯を磨きに行く前はとにかく眠くて。
 頭もぼわ~んとしていたのだが、部屋に戻ってきたら眠気はすっかり覚めていた。
 それに、戸を開けっ放しで寝ちまうわけにもいかない。
 そんなわけで、気がつけば、オレも尾宮も、布団をひくのに出入口の前に寄せたテーブルの両脇になんとなーく座っていた。
 そんな風に、なんとなーく座ってしまえば、あとはなんとなーく煙草に火を点けていて。
 やっぱり、なんとなーく、また話しを始めていた。

 廊下から入ってくる、そのひんやりした空気をオレは背中で感じていた。
 ビールを結構飲んだからなのか。それとも、さっきまでみんなではしゃいていた興奮が醒めやらないのか。
 体が火照った感じがあって、廊下から入ってくるそのひんやりした空気がとても心地よかった。
 一方、オレと向かい合わせに座っていた尾宮は話しながらも、ぼーっとドアの外に視線を向けていた。

「どうしたぁ?」
「うん…。なんだか目が回るみたいっていうかさ。
 しっかしすごい廊下だよな。
 オレやオマエの家じゃ、絶対考えらんない。」
「あぁーぁ…。」
 オレはそう言って振り向くと。
 その途端、ストーンと真っ直ぐ目に飛び込んできた、廊下のあの光景。
 それは、中心に向って収縮していく床と天井の4隅の線。
 さらに、鴨居や転々と連なる各部屋の戸や柱……


 昼でも外の光がほとんど入らないその廊下は、夜になっても雰囲気はあまり変わらない。
 それでも、夜になって…、気持ち暗くなったか?
 というよりは、天井に点々と並ぶ赤っぽい明かりに照らされ、飴色めいた黒が濃さを増したのだろう。
 それは、天井の両端とか、柱や梁で影になる部分がぼーんやりと仄暗くなった分、艶めくように浮き立たせている。

「なんだろ?
 天井の両端とか薄っ暗くなったからかな。
 なんだか、昼間より目が回る気がする。」
「しっかし、スゴイよな。
 そのうち、重要文化財とかになったりして。」
「まぁよ。そん時はみんなに自慢しようぜ。
 ヘっヘー、重要文化財に泊まっちまったんだぜーってさ。
 ハハハっ。」
 ついさっきはあんなに眠かったのに。
 今は眠くなるどころか、ますます冴えまくっていく……


 しかし。こんな夜中になってもバカなオレたちとは裏腹に、それにしても静かだった。
 この旅館の中も、そして外も。
 ホっント何の音も聞こえない。
 ここは山の中だから、夜になって風の音でもしそうなものだが、それすらなかった。
 それは、まるでこの旅館全部のシーン…という音が、この部屋に集まってきたような……

 じんわりと、ふんわりと。
 いつしか、そんな静けさがこの部屋にも漂ってきて、気がつけば、オレも尾宮も言葉が止っていた。
 2人とも、ただただ煙草をふかして…。
 そんな時だった。

「あれっ!?」
「うっ。
 な、なんだよ、いきなり…。」
 この深閑とした空気の中。
 いきなり声をあげた尾宮の声に、オレはちょっとばかし驚いていた。
 そんなオレが、目をパチクリさせながら尾宮の顔を見上げると。
「うん…。いや…。
 えぇぇー!?」
「なんだよオマエ、それー。」
 尾宮のそのきょとんとした顔に、オレは思わず噴出してしまった。

「いや、今さ…。
 うん…。
 今さ、誰か通った……。」




 ── 本日これまで!
                    74話目-その4〈了〉 /その5に続きます
                             メルマガ配信日:11.5.9


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2014
08.09

あぁぁぁ~、涼しぃぃぃ~。極楽だぁぁぁぁ~



 昨日の夜から、風が北からの風に変わったもんだから、もぉ~涼しいのなんのって(笑)
 (昨日の夕方までの地獄の蒸し暑さが、まるでウソ!)

 てことで、
 いやもぉ極楽、極楽(笑)



 とかなんとか言って、
 台風11号、マジ心配ですよねー。

 もちろん進路にあたってる四国・中国地方や九州、あと紀伊半島辺りも心配なんですけど。
 でも、日本海から北日本に前線も伸びてるんで、場合によっちゃ、そっちも大雨になる可能性がありますよね。


 ま、知ってるとは思いますけど。
 ウェザーニュースの「雨雲レーダー」とか、ヤフーの「雨雲ズームレーダー」とか。
 あと、つい今週稼働しだした気象庁の「高解像度降水ナウキャスト」とか見ると、
自分の住んでる辺りで降った雨がどのくらい強かったか、これからどのくらい降りそうか見ること出来るんで、
大いに活用してほしいですねー。

 ただ、鳴り物入りで登場した「高解像度降水ナウキャスト」は地図がプアすぎて、見てもよくわかんな~い!(泣)
 今んとこ、ヤフーの「雨雲ズームレーダー」の方がお気に入りかなー(笑)







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2014
08.03

パンツネタの翌日ってことで、当然…



 なんでも昨日8/2は「パンツの日」ということで、パンツネタだったんで、
今日はウ○コネタ」でいこうと思います。

 
 だからって、今日8/3が「ウ○コの日」というわけではありませんので、ぬか喜びで変にテンションあげないでくださいね(笑)


 それと!
 あくまで「ウ○コネタ」ってことで、
その手のお話がキライな人は、以下は絶対読まないでくださいね



 ていうか。
 ウ○コ、大大大、だ~い好きっ♪って人だけ、読んでほしいな♪



                

                

                

                

                



                ↑ ←今なら戻れます(笑)




 最近気がついたんですけど、ブログって、「備忘録的」な使い方っていうのもあるんだなーって。

 その時、その時で思ったことや気になったことを、メモ代わりに書いておくみたいな使い方っていうのは、ま、確かにいいですよね(笑)

 ただ、「備忘録」っていう使い方は、まだあまりしてませんね。
 基本的には、怪談話とか、アホバカ話の類ばっかです。

 ていうか、よくよく考えてみると、以前のブログを遡って見るなんてことは皆無なんでー。
 備忘録にはならないだろなーって気はしますね(笑)


 ただ、「備忘録」というのとはまた違うと思うんですけど、意外なくらい記事にしてるよなーって思ったのは、あまり人に話したことないような類のネタ。

 それこそ、一連のパンツネタ記事なんて、他人に話した記憶、あまりないですもん(笑)



 てことで、これもホント、誰にも話したことないと思うんですけど、幼稚園の頃ですから、ま、相当昔のことですよね。
 ま、ざっと、かれこれ12年前くらい?(笑)


 ほら、幼稚園って。
 時々近くの公園みたいなとこに行ったりするじゃないですか。

 いえいえ、遠足じゃなくって。
 遠足ほど、こうイベント、イベントしたんじゃなくて。
 午前中とかに、学年全部が先生に連れられて行くみたいな…



 で、まぁその場所。
 今となっては、その場所がどういうとこだったのか、景色の断片すら記憶ないんですけどね。
 ただ、その場所に行く途中の光景だけは、今でもハッキリ憶えてるんです。

 いや、なんでそんなハッキリ憶えてるかっていうと、
つまりは道の真ん中にやたらデッカイウ○コがあったからなんですね(笑)


 でね。そのウ○コ
 デッカイっていっても、長さはそれほどでなくて、まぁ10センチもないくらいだったように記憶してます。

 デッカイって思ったのは、たぶん太さなんだと思うんです。
 そう、たぶん5センチくらいはあったんじゃないかなぁ……



 もちろん、当時は(可愛い)幼稚園児ですから。
 そんな、センチなんて単位を知ってるわけないんですよ。

 なのに、そんな風に大体何センチくらいだったって言えるのは、そのウ○コって、色といい、形といい、大きさといい、いわゆる「いなりずし」にソックリだったから(爆)




写真と本文は関係ありません
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 だから、そのウ○コが落ちてる光景っていうのは、こんな感じです。

 クルマが、なんとかすれ違える…、それこそすれ違う時はどっちか一台が路肩に停まることで何とかすれ違えるくらいの道。

 道の片側は、町工場みたいな(ただ、工場ではなかったと思う)、なんかそんな、会社か施設のコンクリートの壁。

 その反対側は、たぶん空地だったような、違うような…

 道そのものは、舗装はしてあるんですけど、それこそ端がガタガタになってるような、ボロボロの道。

 そんな道の真ん中に落ちているのは、いなりずし……

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 …では、もちろんなくて…
 ウ○コ!! 






 ま、手っ取り早くイメージするなら、
 道の真ん中に「いなりずし」が一つ落っこちてる光景ですよ(笑)

 ただし、それはウ○コ
 誰が何と言おうと、絶対ウ○コ
 ウ○コったら、ウ○コっ!!
 ウ○コっ!ウ○コっ!ウ○コっ!ウ○コっ!ウ○コっ!

 (しつこいな!)







 で、そのウ○コ(まだ言うか)。
 色は、「いなりずし」ですから、当然油揚げの色。
 大きさは、ホントごくごく普通の「いなりずし」って大きさ。
 表面は、ちょっとデコボコしていて、てらてら光っていて……


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 その「いなりずし」…、じゃなかったウ○コ

 やっぱり、落っこちちゃったからなんでしょうか(?)
 中身を包んでいるアゲの口が開いちゃって。
 アゲが、ちょっとめくれた状態になってるみたいな……

 でもね、それはやっぱりウ○コ!(爆)
 (あー、何だか無っ茶苦茶スッキリするぅ~~)


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 いやね。
 なんでそんなハッキリ憶えてるかっていうとー。

 その、いなりず…、じゃなかったウ○コ。
 その後も、そこで何回も見たように記憶しているからなんですよ。

 とはいえね、それはあくまでウ○コですから(笑)
 その場所にずっとある…、なんてことがあるわけはなく……



 まー、なんですかねー。
 ビジュアル的に、あまりにインパクトが強すぎちゃったってことなんでしょうか?


 幼稚園の時の記憶なんて、今となっちゃ、ホント断片的にしか残ってないのに。
 そのウ○コだけは、今でも全く色褪せてないんですよねー(爆)

 今でも「いなりずし」を見ると、
あの道に落ちていたウ○コが脳裏にまざまざと蘇りますねー(笑)



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 いえいえ。大好きですよ、いなりずし。
 もちろん!!(爆)









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2014
08.03

74話目-その3

Category: 怪談話


 宿泊案内所のお爺さんも「静かなところ」と言っていた、そのQ旅館。
 実際、クルマをQ旅館に向けて走らせると、辺りはあっという間に山々に囲まれ変わってしまった。
 そんな谷沿いの道は、フロントガラスの上の木々の葉の緑が眩しいくらいの鮮やかだった。


 クルマの中では、「静かだっていうから、ゆっくりできそうだよねー」なんて、はしゃいでいたオレたちだったけれど。
 でも、そのQ旅館を見た時は、思わず言葉が止ってしまった。

 古色蒼然といったらいいのだろうか。
 「泊まる所」というと、リゾートホテルとかペンションみたいなイメージの強かったオレからすると、時代劇にでも出てきそうな旅館だなぁ…っていう印象だった。
 外から見ると木造2階建で、やけにこじんまり見えるのもその印象を強くしていたのだろう。
 もっとも、オレを除く3人、特に女性2人なんかは、「なんだかいいムード」とはしゃいでもいたんだけれど。


 ただ…。
 本当に驚いたのは、そのQ旅館の玄関の格子戸を開けた時だった。
 戸を開けた瞬間向こうにあった、その黒ずんだ色合いの深さときたら…
 そして、その飴色っぽい黒の色の柱や天井をはしる梁の太さ…
 それはもう、オレの家なんかをはじめとする、新興住宅地の家の柱や梁をそれと思っていたオレたち4人からすれば、なんだか圧倒されるような迫力で。
「うぅっわぁぁーっ!すっごーい!」
「なんか素敵…。」
 女性2人からは、しきりと感嘆の声があがっていた。

 そんな声が聞こえたのだろう。
 大きな暖簾をひらりと翻ったかと思ったら、50代くらいのおじさんとおばさんが微笑みながら出てきた。
「あぁお待ちしてました。
 今、案内所から電話あった方ですよね?
 どうぞ、どうぞ。まずお上がりください。」
 二人とも、とにかくニコニコ笑顔で愛想がいい。
 そんな愛想のよさと、宿泊案内所の話がちゃんと通っているらしいことに、すっかり安心したオレたち4人は、その圧倒されそうな室内を見回したり見上げたり。

 それと中に入って驚いたのは、この旅館、実はかなり奥があったこと。
 ウナギの寝床っていうのか?
 表のこじんまりした様子とは裏腹に、階段の手前向こうに真っ直ぐな廊下がかなり奥まで伸びていて。
 そこは、元々あまり陽の光が入らないのか、それともこの壁や柱の黒の色が光を吸収してしまうのか、全然奥まで見通せない。


「お部屋、もう入れますんで、まずご案内しましょう。
 ただ、申し訳ないんですけど、
 キャンセルのお部屋なんで二つは離れちゃっているんですよ。
 それは、大丈夫ですかねぇ?」
 その宿のおじさんの言葉を聞いて、尾宮が振り返った。
「うん。別にいいだろ?」
「うん。ま、いいよな?」
 オレもそう言って、未名子と夕美さんを見ると、二人とも「うんうん」うなずいていた。

「申し訳ないですねぇー。
 じゃぁお部屋、ご案内しましょう。」
 宿のおじさんはそう言うと、相変らずのニコニコ顔で振り返り、振り返り、階段を上がりだした。
 つられるように階段を上るオレたち。
 何気に振り返ると、階段の下では宿のおばさんがやっぱりニコニコと笑って見送っていた。


 階段を上がったそこには、やっぱり下と同じように長い廊下があった。
 それは、1階と同じような静々とした暗さが、ずぅーっと奥まで続いていて。
 奥まで視線が届かないような、そんな錯覚を覚えるくらいだった。
「うわっ!すっごい奥…。」
 思わず出てしまったのだろう。ちょっと遅れて上がってきた夕美さんがつぶやくと。
 その声が聞こえたのか、また宿のおじさんが例のニコニコ顔で振り返って言った。

「みなさん、そうおっしゃるんですけどー。
 いえね。実際は、それほど長くもないんですよ。
 とにかく真っ直ぐなせいなんですかねぇ?
 こう、ずーっと線が延びている感じが、みなさんそんな風に思われるじゃないかって、
 ウチの者たちは言ってるんですけどね…。」
「あー、そう…。
 なんだかさ、2階に上がった瞬間、
 まるで遠近法の見本でも見せられてるみたいだって思ったんだよなぁ…。」
 その尾宮の言葉に、宿のおじさんはまた振り返って笑顔で答えている。

 遠近法の見本。
 それは、本当にそんな感じだった。
 廊下の両端の線。天井の両端の線。そして梁の線。
 等間隔で並んでいる部屋の戸が、奥に行くにしたがってそれらの線に従うように小さくなっていって…
 あと、柱や廊下の色がとにかく黒くて濃く、壁も濃い沈んだ色であるせいもあるのかもしれない。
 天井と廊下の四隅の線と、鴨居の線。さらに所々にある部屋の戸の線をずぅーっと目で追っていくと、何だか廊下の奥に吸い込まれてしまいそうな…
 そんな感覚さえあった。


 そんなことを、やっぱりみんなも思っていたのか?
 それとも、さっきまでの5月の太陽がウソのようにヒンヤリと暗い、この廊下の雰囲気に呑まれてしまったのか。
 つい今まではしゃぎまわっていたのがウソのように、オレたち4人は宿のおじさんの後ろを静々と歩いていた。
 それは、話す時でさえ、思わずヒソヒソ声で話しているような有り様。

 そんなオレたち4人とは対照的だったのが、宿のおじさんだった。
 歩きながら何度も振り返っては、例の笑顔でオレたちに話しかけてきた。
 それは、その廊下を3分の2も歩いたところだったか。
 おじさんが、またくるっと振り返ったと思ったら、今度は足を止めた。
「一つ目のお部屋は、ここになります。
 こちらは、どちらさまがご利用になります?」

 
 その声につられるように入っていった部屋は、意外に普通の部屋だった。
 もちろん、廊下や1階と同じように柱や梁は、太く黒ずんでいる。
 でも、壁や畳は新しかったし、窓からは5月の太陽の光が燦々とさしこんでいた。
 部屋の端の床の間のようになった所には、お決まりの100円を入れて見る小さなテレビもあって。
 そんな、どこにでもある旅館の、どこにでもある部屋だった。

「うん、いいよな。
 なんかさ、落ちつく…。」
 オレがそう言うと、宿のおじさんは「ありがとうございます」と言ってやっぱりニコニコ笑っていた。

「どうする?どっちが泊まる?」
 尾宮が女性二人を促すと。未名子と夕美さんは顔を見合わしていたが、「ねぇ、もう一つの部屋も見てから決めない?」
と夕美さんが言ったのを、宿のおじさんが素早く引き取った。
「あ、そうですね。そのほうが…。
 それじゃぁすみませんけど。先ほども申し上げましたように、
 もう一つのお部屋はちょっと離れちゃってるんですよ。
 ホントごめんなさいねー。」
「いえ、そんな…。空いてただけでありがたいんで…。」
「じゃぁ、ご案内しましょう。
 実はね、そっちは別棟でして。
 ま、一応新館ってなっているんですけど…。
 でもまぁお客さんたちみたいなお若い方からしたら、
 あまり新館って感じじゃないかもしれないなぁー。
 ハハハ…。
 いえ。すみません。じゃぁさっそく…。」
 宿のおじさんはそう言うと、招くようにオレたちをあの暗く長い廊下へと連れ出し、そしてまたあの廊下を歩き出した。


 その部屋から出てちょっと歩くと、そこは廊下の突き当たりになっていた。
 あれ?いつの間に…!?
 怪訝に思うより早く、その廊下が左に直角に曲がっているのに気がついた。
 宿のおじさんが言っていたように、この廊下は長く見えるだけなのかもしれないな…と、オレは見まわしていて。
 その時、ふと目がいったのは、天井からぶら下がっていた非常口ランプ。
 その、例の緑色の場違いな感じときたら…。
 その見慣れたモノがここではとても異様にさえ見えて、思わず見入ってしまったのを憶えている。

「ここから新館になるんですよ。
 お部屋は、この廊下の突き当たりになります。」
 宿のおじさんについて直角に曲がった廊下の先は、新館とはおおよそ名ばかり。
 そこは、今まで歩いてきた廊下――本館?――の古さと全く変わらない。
 いや。というより、いつの間にか今までの廊下に戻ったのか?と思ってしまうくらい、やっぱり遠近法の見本のような廊下が伸びていた。

 それは、曲がる前の廊下と同じく、天井と床の四隅の直線、その他の直線がすぼまるようにずぅーっと伸びていて。
 等間隔に並んでいる各部屋のドア、柱…。
 飴色を帯びた黒の柱や壁も、外の光が入ってこないのも、それらをじっと見ているとクラっとくる感覚があるのも、それはまったく同じ。
 さらには、あちこちキョロキョロさせながら一人遅れて歩いていた夕美さんさんが、「うわっ!まったすごい奥…。」ってつぶやいたのも、やっぱり同じだった。

「ハハハ…。
 ほんと、先ほども言いましたけど、
 みなさんがおっしゃるほどこの廊下って、長くはないんですよー。」
 そう言って、相変わらずニコニコ笑っている宿のおじさん。
 …って。
 考えてみれば、そのことまで同じだった。


 そんなことを考えていたら、前を歩いていた宿のおじさんが急に振り返った。
 そして、例のニコニコ愛想のよい顔で、オレの顔を見て言った。
「ほらっ、ちょっと後ろを振り返って見てください。」
「えっ!?」
 見れば、あの非常口の緑色のランプがぶら下がっている直角の曲がり角が、意外なくらいすぐ後ろにある。
「あれぇ!?」
「ね?」
 その声につられるように前を向いた途端ぶつかったのは、なんとも嬉しそうなおじさんの顔。
「えー、なんだろ?
 ずいぶん歩いた気がしたんだけど…。」
「いいえー。わたくしどもの旅館は、
 そんな大旅館ではございませんから。フフフ…。
 さ、お部屋はすぐそこですよ。」


 入った部屋は、先ほどの部屋とほとんど同じだった。
 しいて言えば、この部屋の方がちょっとだけ広いような。
「なぁ大場。オレたちがこっちの方がいいんじゃねぇかぁ。
 こっちの方が少し広いみたいだから、みんなで話するのにいいしさ。
 あと多少声が大きくなっても、ここって一番奥だしさ。」
 尾宮にそう言われると、オレも女性2人も特に異存はなかった。
 というより、部屋自体はほとんど一緒で、異存も何もなかったのだろう。

「お兄さん方がこちらになさいますか?
 それじゃぁ、私はお茶をお持ちしますんで。」
 そう言って、いそいそ部屋を出かけた宿のおじさんに、尾宮が慌てて声をかけた。
「あ、すみません。宿代って…。」
「あれ?案内所の人、言ってませんでした?
 すみません。お客さんたち飛び込みなんで、
 サービスさせていただいて5500円ってことでお願いしたいんですけど。」
「あ、いえ。聞いてはいたんですけど…。
 ただ、ここ、ずいぶん立派なんでー。
 ホントにそれで大丈夫なのかって、ちょっと心配になっちゃって…。」
「そうっ!そう。
 実はさ、オレもそれずっと心配だったんだよー。
 玄関入った時、回れ右しようと思ったくらい。
 ハハハ…。」
「そうそう。さっきね?」
「うん。」
 それは、うなずき合っている未名子と夕美さん。
「わたしも、夕美さんもそれ言ってたのよ。」
 なんのことはない。実は4人とも、この宿に入った時からずっとそれを心配していたらしかった。

「ハハハ…。大丈夫ですよ。お一人5500円で間違いないですよ。
 じゃぁ、わたしはお茶をお持ちしますんで。
 あっ。あと、お嬢さんたちを先ほどのお部屋にご案内しないと。
 じゃ、よろしかったら行きましょうか?」
「あっ、そうだった。
 うん、じゃぁ。荷物置いたらまた来るから…。」
 未名子と夕美さんはそう言うと、宿のおじさんと一緒に笑いながら部屋を出て行った。



「ふぅぅー…。」
 それは二人と宿のおじさんが出ていった途端だった。
 いきなり、畳にドサっと大の字になった尾宮は、寝転がったままと伸びをして。
 そのままの格好で天井をじっと見つめている。
 そんな尾宮が、ちょっと離れた所に座っていたオレの顔を見た。
「いやぁー、最初はホント行き当たりばったりで、一時はどうなるかと思ったけど…。
 でも、結構どうにでもなっちゃうもんだなぁー。」
「うん…。しっかしまぁ何て言うか。
 今ここにいることが考えられないって言うのかなぁ…。」
「そう!ホントそれだよ…。
 なぁ大場さ。
 オマエ、今日オレたちがQ町に来て、ここでこうしてるなんて、今朝、思ったか?
 思わねぇよなぁー、そんなこと…。」
 その時には、やっぱりオレも畳に大の字になっていた。
「うん。そう、まぁなんとかなっちゃうもんなんだな。
 まーよ。明日もこの調子でさ、よろしくな!」
「おぅ。こっちこそ…。」

 そう。あの時オレたちは、そうやってしばらく天井を見ながらずっと笑っていた。



「あっ!いけねっ…。」
 尾宮がいきなり起き上った。
 しかし、そんな慌てたように起き上がったくせして、その後はぼーっと壁を見ているだけ。
「どうしたんだよ?」
「うん…。」
 返事こそ返ってきたものの、その視線はやっぱりぼーっと壁を見たまま。
「なんだよ?なんかあんのかよ?」
 そう言ってオレが体を半分起こしかけると、尾宮は慌てたように振り返った。
 そして、思い出し笑いのような顔で言った。
「うん、違うって…。
 アイツにさ、カメラ渡したままだって思い出してさ…。」
「カメラぁ?カメラって…。
 えっ?それって、なんかマズイことでもあんのか?」
「いや…。別にそういうことじゃないんだけど…。」
「なんだよそれぇ。よくわかんねぇよー。」

 そう言っている間も尾宮は、まだ何か考えている風。
「!?」
「うん。いいや。ちょっと取ってくるわ。」
 そう言っていそいそと立ち上がりかけた尾宮に、オレは言った。
「あっ、オマエ…。
 なんだかんだ言って、夕美さんの顔を見たくて
 しょうがないだけなんじゃねーのー。
 いやだねー、このどスケベっ!
 どさくさ紛れにキスとかしてくんじゃねぇぞ!」
「ハッハハハ…。するか、バぁーカ!
 ていか、キスするんならさ。
 せっかくだし、未名子さんにしてくるよ。ハハハーっ。」
「おいっ!テメっ!」
「ハハハーっ。うん、ちょっと行ってくるわ。」
 そう言って立ち上がった尾宮は、そそくさと引き戸を開けて廊下に出て行ってしまった。

 オレは、それを寝転びながら笑って見送った。
 でも、ふと思い立って、起き上って。
 四つん這いのままズルズルと部屋の戸を開ければ──。
「っ……。」
 それは、あの遠近法の見本のような廊下の線の中で、どんどん小さくなっていく尾宮の後姿。
 
「おい!なぁ、おい、尾宮!尾宮ってば!」
 変な話だけれど、どのくらいの声を出せば尾宮の後姿に届くのか、感覚がつかめなかった。
「おいっ!尾宮!尾宮ってばっ──。」
 それは廊下のどの辺りなのか、やっと振り返った尾宮。
「あのさーお茶!お茶、みんなで飲もうぜぇー。
 だから湯呑み、4人分貰って来いよぉー。」
 オレが言ったことがわかったのだろう。
 廊下の四隅の線の中で、尾宮が何度もうなずきながら手でOKサインしている。
 しかし、すぐにそれは後姿になって、OKサインは手を振る仕種に変わった。
 そんな、天井と廊下、4本の線がすぼまっていくように小さくなっていく尾宮の後姿……

 いや…。
 この廊下はそんなに長くはない。
 尾宮の姿がだんだん小さくなるように見えるなんて、そんなことあるわけない。
 なのに、その時。
 オレは、すっかり小さくなった尾宮の姿が廊下の奥を曲がるまでずっと見ていた。




 ── 本日これまで!
                     74話目-その3〈了〉 /その4に続きます
                              メルマガ配信日:11.5.9




注!無断転載禁止
  断りなく転載されるのは非常に不愉快です。やめてください
  ブログの記事は全て「著作物」であり、著作権法の対象です。
                ↑
          ちょっと剣呑で、ゴメン(^^;)



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2014
08.02

パン!パン!パンツの日っ!!




 今日8/2は、なんでも「パンツの日」なんだとか。
 


 ま、ぶっちゃけどーでもいい気もしますけど、でも「パンツの日」って、な~んか音感がいいし(笑)

 あと、「パンツの日」なんて聞くと、なぜだかワケもなくはしゃぎたくなっちゃいますよね(爆)



 ただまぁ「パンツの日」といっても、はしゃいでいる(イベントする)のはワコールとか、女物パンツメーカーだけみたいで。
 http://www.wacoal.jp/pantsgift/#p1
    8/2はパンツの日/ワコール


 「パンツの日」でこれって、あー、ニッポン人って、つくづくユーモア感覚ねーよなーって失望した人、きっと私以外にもいますよね?(爆)


 いえいえ。
 ワコールという会社のイベントとしてやるなら、これはこれで全然OKだとは思いますよ。

 
 ただ、なーんていうのかなぁ…

 ほら、せっかくの「パンツの日」なわけじゃないですか?

 せっかくの「パンツの日」なんだから、みんなでパンツ脱ごうとは言いませんけど。
 (でも、それはとっても楽しそうだー!)

 なーんかこう、もうちょっとハチャメチャなイベントがあってもいいんじゃないかなーって(笑)
 (ま、それをワコールという一企業に期待するのは筋違いですよね)



 しっかし…。

 パンツの花って、花(パンツ)をとった残り(茎)は、どーすんだろ?とか…
 (もしかして、どっかに差し込んじゃって、はふーんとか言って楽しんじゃったり? ←おバカ)

 Tバックとか極端に布が少ないパンツだと花じゃなく、つぼみになっちゃわねーのかなーとか…

 男が女にパンツをプレゼントするとして、店で花にラッピングしてるその時間って死ぬほど恥ずかしーだろーとか…


 と、まぁいろいろ疑問は湧いてくるわけですけど。
 ま、私は関係なさそーなんで、どーでもいいかな?
 なんて。

 ていうか、みんなガンバって!(爆)








 やっぱり、「パンツの日」といえば、銀座でパンツ大行進とか。
 じゃなきゃ、旗竿に持ってるパンツ全部パンツくくり付けて、振り回しながらみんなで大行進とか。

 まー、なんていうか、
 最近は、そーいうのしか興味ない!(笑)



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