2014
03.30

パンの話



 パンの話です。
 パンツの話じゃありません。


 以前、マヨタマトーストのことを書いた時。
 http://kaidansweets.blog.fc2.com/blog-date-20140317.html

 その時、コメントの中である方が書いていた、朝食の「なんちゃってピザ」の話がミョーに面白くって。

 ていうか、面白いっていうか?
 あー、そんな風に、毎朝なんちゃってピザを食べ食べ、子供を学校に見送ったり、奥さんと話をしたりしてるんだろうなーって。

 作り方が書いてあったってことは、ご自身で作ってたりすることもあるのかなーとか。
 食べている朝食のことを聞いただけで、なんだかその方の家の朝食の光景が見えてくるような気がして、なーんかほほえましくっていいなーって(笑)



 というわけで。
 そんな、その家その家の朝食やオリジナルのパンの食べ方をコメントしてくれないかなーっていうのが今回のブログ記事です(笑)


 で、まぁそうなるとウチはどうなんだ?ってことになるわけですが、ま、私は一人暮らしなんで。普段は、まぁいわゆるNatto riceってヤツです。

 いえ。Natto riceとか言ったって、別に北大西洋条約機構軍で採用されている朝食じゃなくってね(笑)
 ま、たんに、ご飯に納豆をかけただけと、わびしいと言っちゃったらわびしいかもしれなけど、でも、無っ茶苦茶ウマくって、かつ毎日延々食べても不思議と絶対飽きないメニューです。


 まぁ関西文化圏で育った方の中には、思わず、

“納豆ライスぅおすかぁ~
 そりゃ人間の食べ物じゃぁあらしまへんぇ~
 うちは、絶対あきまへんぇ~”


な~んてのたまっちゃう方もいるかもしれませんけど(爆)

でも千葉県生まれの千葉県育ちの私としては、

“てやんでぇっ!
 うめぇったら、うめぇんでぃっ!
 このべらぼうめ!!”


な~んて。

 とはいえ、ま、江戸っ子じゃないんでー。
 ま、言いません(笑)
 (というか、今時そんなしゃべり方する人いません!爆)



 てなわけで、オリジナルトーストでいきます。

まずは、「な~んちゃってコーンパン」
 あ、ちなみに、名前はパクりました(笑)

 ま、これはカンタンです(ていうか、手の込んだトーストってないか?笑)。

 ①パンにマヨネーズを、ぷにゅぷにゅぷにゅーって出して
 ②そこに、納豆で余ったカラシをぷちゅっと垂らす
 ③バターナイフでかき混ぜつつ、均等になるように塗って
 ④その上に冷凍コーンを敷き詰め、上から塩をさっと
 ⑤マヨネーズに軽く焦げ目がつくくらい、オーブンで焼いて完成!

ってとこですか(笑)

 このパンの場合、マヨネーズは多めが好きかな~♪

 あ、ちなみに。
 私、マヨネーズは、絶対味の素派なんですけどー。
 ていうか。
 シェアは、キューピーの方が圧倒的って聞きますけど、でも、キューピー派っていう人、見たことないなぁ…



 でも、まぁ。
 上のは、オリジナル度、ちょっと低かったかな?
 な~んて(笑)
 ていうか、他の家でも結構やってそうな気がしますよね。
 他の家だと、玉ねぎの薄切りやら、ベーコンやらのっけたりして、もっと豪華だったりするのかなーなんて(笑)

 まぁそんな。
 “ウチではこうやってるよ~ん”とかコメントしてもらえると、とってもウレシイんだけどなぁ~(笑)



 てことで。
 今度こそは、やってる人、たぶん少ないんじゃないかなーっていう、ややオリジナル度高そう(?)なトーストに移ります。

 いや、実はコレ、今まで名前なんてなかったんですけど、今回を機に名前をつけました。
 名づけて、 「なんちゃってカツパン」!

ってまぁ、そんなご大層に言うほどの名前じゃなかった気もしますけど、それは横に置いて、早速作り方。

 ①パンにマヨネーズを、ぷにゅぷにゅって出して
  前のは、ぷにゅぷにゅぷにゅーね(つまり量は少な目)
 ②そこに、納豆で余ったカラシをぷちゅっと垂らす
 ③バターナイフでかき混ぜつつ、均等になるように塗って
 ④パンがマヨネーズとカラシに覆われたら、その上に、
  とんかつソースをスプーン一杯くらい垂らす
 ⑤バターナイフでかき混ぜつつ、均等になるように塗って
 ⑥その上から、パン粉をパラパラ、パラパラ…
  パン粉を均等にふりかけ、オーブンで焼く
 ⑦パン粉に軽く焦げ目がつくまで焼けたら完成!



 ま、つまり。
 「なんちゃってカツパン」というよりは、「肉なしカツパン」って言った方がわかりやすですかね(笑)

 でもね、コレ、パンの上で焼けたパン粉の食感がミョーにいいのと。
 あと、ソースの味がミョーにやみつきになるっていうか(爆)
 

 ま、今日みたいな、暴風雨の休日の午後。
 おやつにワイワイ作るのがおススメ~♪(かな?笑)



 てなわけで、朝食とか、オリジナルのトーストとか。
 はたまた、マヨネーズはどっち派?みたいなことも含めて、コメント楽しみにしてますんで、お願いしま~す(笑)






    あ!ここで止まった映像見たら、コレ、前にも載っけたなーって。ま、いいやね。この曲、好きなんだも~ん!


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2014
03.30

今週の怪談話はお休みにします



今日のオバケIMG_2558


 なーんか、今週は疲れちゃったんで。
 怪談話はお休みにしま~す。

 密かに楽しみにしてた、そこのアナタ!


 ごめんなさ~い(爆)





 
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2014
03.30

ゆるキャラってさー



 ゆるキャラってさー……

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

 まー、なんというか(爆)

 まーね。
 別に、そんなに溜めるほどのことでもないとは思うんですけどね。

 まー、どっちかというとキライ…
 あっ、いや、キライってこともないんですけど(笑)


 ぶっちゃけ、見てるとメンドくさくなってくるみたいな… 

 …って、あっはっは!


 だって、アレって。
 手振ったりとか、カワイイ仕草とかしたりしてますけど、
 でも、中に入ってのは、フツーのおじさんだったり、学生のバイトだったりなわけでーwww



 ま、いいですよね。
 たまには、ゆるキャラってメンドくさいからイヤ!なんて、
 そーいう人がいても(爆)


 だって、人類には多様性が必要なわけで… ←そーいう問題か?





 ま、そんな私ですけど。
 あ、意外といいじゃん!って思っちゃったゆるキャラがコレ。 
 http://www.coconuts-shin.com/saipan/topics/news_id-1257.html

 カワイイっていうよりは、なーんかどこかおバカっぽいっていうか…
 そこが、ショッカーの怪人っぽいっていうか…
 ていうか、ダークのアンドロイドの方が近いっていうか(爆)
 ←古っ!


 ま、ダークのアンドロイドなんて言っても、今となってはわかる人の方が少ないんでしょーけどね。
 ていうか、齢バレますよね(爆)



 サイパンだ!を知ったのは、確か先週くらいのニュースだったかな?
 最近は、なんでもブームにのって、各国の在日大使館がゆるキャラでアピールしてるんだとかで。

 紹介してたのは、
 アフガニスタン大使館の「バハール(春)ちゃん」
 イスラエル大使館の「シャローム(平和)ちゃん」
 上海の環境汚染の数値を示すキャラクター「宝宝(バオバオ)ちゃん」
 フィンランド大使館の「フィンたん」

 
 *それぞれのリンクを載せようと思ったんですけど、バハールちゃんがどうもうまくいかないんで、見たい人はそれぞれ検索してください(笑)


 しっかし、アフガニスタンのゆるキャラって、なーんかシブくっていいなーとか思っちゃいますよねー。 

 ま、ゆるキャラに“シブい”っていう言葉が褒め言葉になるのかはともかく(笑) 
 (ちなみに、バハールちゃんそのものはカワイイ感じですよ)




 で、ゆるキャラ。
 最近は大使館でもつくっちゃう、そんなご時勢なんだなぁーと思っていて、ふと、思っちゃったのは。
 そーいえば、某お隣りの国の大使館は、
 ゆるキャラ作んないんだろーか?って(爆)



 ウケ狙いで、
 「キンペーちゃん」とか、「クネ婆」なんて出てきたら、
 ちょっとくらいは親しみ湧くのかなぁ~なんて(笑)




 両国大使館の職員の方、ぜひご検討くださいませー!(笑)  





               映像に、つい影響されちまった~い!(爆)



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2014
03.23

パンツの話3



サクラだねー


 上の写真は、(駄洒落じゃないんですけど)上野の桜です。
 ま、全部見たわけじゃないんですけど、入り口のとこに3本だけ咲いてた1本でありんす(笑)

 ほら、あとちょっとすると、みーーーんな桜だらけになっちゃうと思うんでー。
 ちょっとだけ先どりしちゃいました!

 あー、ちょっといい気分(笑)



 で、まぁ。
 桜はどーでもよくって、性懲りもなくパンツの話です。

 前回がパン2(ツー)だったわけでー。 
 となると、今回はパン3(スリー)なわけですけど、でも、それだと面白くもなんともないですよね。
 
 てことで、やめます!

     ・
    ・
    ・
    ・
    ・
    ・
 
 でも、ま、それも、ちょっと剣呑ですよね?(笑)

 ていうか、
 結局やるんですけどね(爆)


 というか、このパン3(スリー)。
 実は、やたら小ネタなんです。
 だから、この際だから、ついでにやっちまっとけ!みたいな(笑)

 ま、小ネタだけに、読むのは皆さまの勝手ですし。
 ついでに言っちゃうと、拍手するのも、コメントするのも勝手なんですけど。
 ただ…
 そんな風に書いちゃった日にゃぁ、な~んかコメントしてくんなきゃ、ちょっと立つ瀬がないよなぁ~って。
 
 あ、別に強制してるわけじゃなくってね(爆)



 って、まぁそんな風に、グダグダいつまでも書いてると怒られそうなんで。
 だって、皆さまお待ちかねなのは、パンツネタですもんね(爆)

 でもね。
 さっきも書いたように、今回はホント小ネタなんで。
 本題のパンツネタが始まっちゃったら、あとはスグなんでご安心を(笑)


 ほら、パンツっていうと、変な人から電話がかかってきて。

 電話に出ると、
「はぁー、はぁー、はぁー……(以下、繰り返し)
 今日のパンツ…、何色?」


 っていうのがある…
 ていうか、あるらしいじゃないですか。

 いや。
 それが、ホントにあるかどうかは知りませんよ。
 だって。
 私んとこにはかかってきたこと、ないんだもん!(爆)


 で、ね。
 その、パンツの色を聞く電話。
 実は、友だちにやってみたことがあって(爆)
 あ、もちろん女性の友だちね(笑)

 いえいえ。
 もちろん私だって、その「パンツの色電話」が、いけないことなんだってくらいは知ってるんですって。

 だから…
 「パンツの色電話」をやっちゃダメなのは、聞くのが「パンツの色」だからしょ?(え?違う?www)
 あとは、見ず知らずの人に、イタズラ電話するからですよね。

 てことは。
 友だちに、「パンツの色」じゃないのを聞くのは、別にワルいことでも何でもないんじゃないかなーって。


 てなわけで。
 ある夜、それを実行したわけですね。

プルルー、プルルー
「はい。もしもし。」
「はぁー、はぁー、はぁー
 はぁー、はぁー、はぁー」
「もしもし?
 え?誰?」
「はぁー、はぁー、はぁー
 今日のご飯、何色?」
「白!」



 もぉーっ!
 小ネタだって、だから言ったじゃん!(笑)


 ていうか、その電話の後。
 もー、思いっきりアホバカ扱いされましたねー(笑)

 めでたし、めでたし…





 あ、そういえば。
 パン3だとか書いたんですけど。

 よくよく考えてみたら。
 パンツネタって、去年も2つくらいやってたなーって。
 
 てことは、ホントはパン5?


 ま、どーでもいーやね。



 今週末は、何だかミョーにバタバタしてて。
 皆さまのとこ、ご訪問出来なくてすみませんでした。
 週明け、少しずつ訪問させてもらいますのでよろしくです(笑)


         もぉー誰?来なくてもいーよ!とか言ってる人!(爆)



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2014
03.22

パンツの話2



 パンツの話。 
 
 今回は、“2”ってことで、
 これぞホントのパンツーなんて。

 はっはっは…
    ・
    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

 そうそう。
 今、パンツ、穿いてます?



 で、まぁパンツ…(笑)

 こないだTV見てたら。
 なんでも、パンツをタダでくれる会社があるんだとか。

 いいなー、パンツ。
 オレもタダでほしいよなーなんて、思うわけですけど(←ケチ)


 ま、ていうか。
 番組の流れ的には、そういう展開ではなかったんですけどね。

 だって、
 その会社が無料で配ってるモノはなぁ~に?っていうクイズだったわけですから。


 でもまぁこの際、番組の内容はどうでもよくって(ゴメンネ)。

 要は、そのタダでくれるパンツ。
 穿いた右の辺りに、大きく広告がプリントされてるんですね。
 つまり、それでタダ。


 
 ま、パンツですから。
 番組では、
 トイレに行くたんび、そのパンツ(広告)を見たって話になっていて。

 また、実際にパンツ見て、その店に来たっていうお客もいて。
 なおかつ、
 他の店や会社も広告を依頼しているらしいってことでー
 
 どーも、そのパンツ、結構広告効果があるらしいんですけど…。


 でもさぁ思ったんですけど…
 パンツ、見る?
 トイレに行くたんび……
 …!?


 そりゃあ洗濯して、洗濯ハンガーに干す時とかは見るだろうけど……
 個人的には、パンツって。
 トイレでは、いちいち見ないけどなぁ…(笑)
 (他の人は見るんだろうか?トイレで…。パンツ!?)



 思うに。
 パンツ(の広告)を見て店に来たって言う人は。
 パンツの広告を見て、店を思い出して、来店したっていうよりは。

 その店の広告が入ったパンツを貰ったこと(インパクト)で、
 店の存在が意識づけられて。
        ↓
 その店のサービスの必要が発生した時。
        ↓
 「あ、パンツの店に行くか!」
ってなるってことなんじゃないのかなーって。

 つまり、広告入りのパンツを貰ったというインパクトで、
 来店の動機付けが出来ちゃってるんじゃないかなー。


 うーん、どうなんだろ???



 要は、その「広告入りタダ・パンツ」が、街頭で配っている「広告ティッシュ」くらい、当り前のモノになった時。
 それでも広告効果があるかどうか?
 だと思うんですよね。

 私は、「広告入りタダ・パンツ」が
 広告ティッシュくらいに当り前のモノになって。
「ただでパンツが貰える!」
っていうインパクトがなくなった時点で、広告効果はなくなる(街頭ティッシュ程度の広告効果になる)気がするんだけど……
 …???


 ただーね。
 もし、そうだとしたら、
 「ソレ」は、パンツじゃなくてもよくて。
 “「ソレ」をタダで貰える”ってことにインパクトさえあれば、
 「ソレ」は何でもよい!
ってことになるんじゃないのかな。

 そう考えると、
 むしろ、可能性は無限大なのかもしれませんね(笑)







 そうそう。
 その、「広告入りタダ・パンツ」。
 男モノだけで、女モノはないんですって。

 その会社の人の話によると、
 「女性は広告の入ったパンツなんて穿かないと思った」
からなんだとか…。

 ま、確かに!(笑) 
 (ただ、全然いないってこともないと思うけどな!爆)


 でもね。
 それは、広告がプリントされているのが表側だからであって。
 意外と裏側なら可能性あったりして?
って思っちゃったのは私だけ?(爆)
 
 いや、変な意味じゃなくってね。
 ほら、女性って、やっぱり男と違って。
 洗濯した後に、ウ○コ汚れとかがちゃんと落ちてるか、チェックするんじゃないのかなーって気がするんだけど(笑)
 

 うふふふ…
 パンツをブログネタにする時って。
 やっぱり、ちょっとデリケートな領域がありますよね(爆)
 
 
 え?そこが好きなの?あー、そぉー ←パンツだけにって?(爆)



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2014
03.22

百ポ:14話目

Category: 怪談話


 L子さんは、都内の小さな広告代理店に勤めている30代の女性。
 元々デザイナーなんだけど、営業に引っ張り出されることも多くって。

 ただまぁそれは、もしかしたらL子さんの性格によるところが多いのかもしれない。
 というのは、このL子さん、やけにサバサバした性格で。
 いや、もちろん。デザイナーだけに、そっち方面の仕事をやらせればそれなりに粘着質なんだけど。

 ただ、いったんそっち方面の仕事を離れちゃえうと…
 あとは、あっけらかーんと拘らない、そんなタイプ。
 
 その、L子さん。
 サバサバした性格ゆえなのか何なのか、結婚する前は引っ越し魔だったとかで……


 といっても。
「契約期間内に引越ししたのは、1回だけかな?
 引っ越すのはさ。
 別に、それまで住んでいた所がイヤだとか、そういうんでなくってね。
 たんに、引っ越しをして気分が変わるのが好きだったのね。」

 そんなL子さんが、20代の後半の頃に住んでいた、あるアパート。
 いや。別に曰く因縁があったとか、やけに家賃が安かったとか。
 はたまた、寝ているとよく金縛りにあったとか、常に誰かに見られているような感じがあったとか、特にそういうことがあったわけでなかった。

「仕事場まで、電車で30分弱くらいのさ。
 東京の周りなら、どこにでもあるような街でね。
 アパート自体は、新築でもなく、特に古いってわけでもなく。
 大きくもなく、小さくもなくね。
 外観もごくごく普通でね、
 ホンっト、どこにでもあるって感じのアパートだったな…。」


 それは、L子さんがそのアパートに引っ越してきて、もう何回目の週末だろ?ってくらいになったある日のこと。
 その日はL子さん、約束とか特に用があるってわけでもなく。買い物にでもブラリ出かけようかって思ってた、そんなタイミング。
 シャカキコーン!
 ドアのポストにチラシが入れられた、その音を聞いて、L子さんは思わず顔をしかめた。

「そのアパートって、ポストのチラシがやけに多かったのよ。
 ううん。チラシくらい、別にかまわないんだけどね。
 でも、そこ、ホンっト、チラシが多くってさ…。」

「ほら、チラシって。
 あんまり多いと、郵便物とか、光熱費の領収書とか、肝心なものが紛れちゃってさ。
 ポストの中に入ってたもの、一応チェック入れないと捨てられないじゃない。
 だから、その時は、気づいた時に捨てちゃおって、玄関に行って。
 ポストの蓋、開けたのね…。」


“あっれぇー!?”
 ポストの中は空っぽ。
 ポストの中を下から覗くようにしてみても、やっぱり何もない。
 外の空気が入ってくるのが、すーすーと感じられるだけ。

“変ねぇ…。
 チラシが入った音だと思ったんだけど…。”

 うん。確かに、ポストにチラシが入れられる時に聞こえる、あのシャカキコーンって音を聞いた。
 チラシが、ポストの中に押し入れられ…
 右左と、ポストの中をまさぐるように落ちてきて…
 最後に底にあたり、コンっと音をたてる。
 まるで、そんな光景が目に浮かんでくるような音。

“あれは、ポストにチラシが入れられた音のはずだけど…”
と、L子さん。
 とはいえ、そんなひとり言を言ってみても…
 ないものはない。

「まーね。
 チラシなんて、ゴミでしかないわけじゃない。
 ないなら、ない方がいいから。
 気のせいか…って、すぐに忘れちゃったの。」


 でも…
 ポストにチラシが入れれる、そのシャカキコーンって音は、その後もちょくちょくあった。

「あ、もちろんね。
 ホントに、チラシが入っていた時もあったよ。
 ていうかさ、チラシが入ってたことの方が多いんだけどね。
 でもね、音だけで何もない時も時々あったのよ…。」

 とはいえ、たかがチラシのこと。別に無くても困るわけではない。
 というか。
 L子さんは、平日は会社に行っているわけで。
 それが時々あったといっても、あくまで休日に家にいる時に気がついた範囲内のことだったのだろう。

 だから、L子さん。ポストのシャカキコーンって音がしたのに、チラシが入ってなかったとしても。別に首を傾げるくらいで、そのたんびすぐ忘れていた。


 ただ…。
「あれって、いつ頃だったっけかなぁ…。
 よく憶えてないんだけどさ。
 夜中、そのシャカキコーンって音で、目を覚ましたことがあったの…。」

 シャカキコーン!
「っ!」
 その音を感じたその瞬間、ハッキリ目が覚めてしまったL子さん。
 反射的に見た、目覚まし時計のある枕元の方。
 そのほとんど真っ暗の中。
 ぼんやり薄緑色に光っていた、3時ちょっと前を示す時計の針。

「……。」
 目覚まし時計の薄緑色から、無意識に窓の方に移ったL子さんの目。
 そのカーテンの上、かすかにこぼれていた暗い外の光。
 それは、真夜中のそんな時間。

「……。」
 何の音も聞こえない。
 そんな、テレビや壁にかけた服が黒く滲んだように見える、暗い部屋の中で。
 L子さんは、布団の中で胸から上を捻るように起こした状態のまま、しばらく目を見開いているばかり。
 
「なんだか、わからないんだけどさ。
 あの時は、もぉすんごく怖くなっちゃってね。
 そうだ。新聞配達の人が、
 お試しにって新聞を入れてったのかも…って。
 無理やり、そう思い込んでさ。
 とにかくさ、頭から布団かぶって寝ちゃったの…。」

 
 目が覚めた時には、外から鳥の声が聞こえていた。
 カーテンの上からこぼれた天井の光は、今朝はいい天気ってこと…。
 うーん…
 眠いよー。
 身も心も眠りにもどりかけた、その瞬間──。
「わっ!」
 L子さん、ヤバイ!今日は会社だっけって、思わず叫んで飛び起きた。

 
「ううん。夜中の音のことって、朝、目が覚めた時は忘れてたの。
 でも、顔洗った後さ。
 何気に、玄関のドアのポストに目がいって思い出したのよ。
 うん…
 いや…、ね。
 その玄関のドアにあるポストに目がいって、夜のことを思い出した瞬間っていうのはさ。
 いっきなり、背中からぞわーって。
 その後は、もぉっ、ホント恐々よ……。」

 恐る恐る開けたポストの蓋。
 覗き込むように見れば…。
 お試しの新聞なんて、もちろん入ってなかった…


「その日ってさ、会社…。
 なんだか、無茶苦茶忙しい日だったの。
 なんとか最終で帰ってきた…
 っていうか、電車がなくなっちゃうから、帰ることにしたって感じよね。
 ううん。仕事が片付いたわけじゃないからさ。
 次の日だって、早い時間に行かなきゃなんないわけ。
 もぉクッタクタだし、残りの仕事のことで憂鬱だしで…。
 ま、いま思えば、あの日は忙しくてよかったんだろうなって思うのよ。
 おかげで、前の夜のシャカキコーンって音のことなんか、完全に忘れちゃってたの。」



 その後も、ポストにチラシが入れられる、そのシャカキコーンって音はあった。
 ただ、それはL子さんが家にいる休日の昼間に家にいる時だけで、夜中にその音がしたのはあれっきり。
 そんなもんだからL子さん。やっぱり、そのことがあるたんび首を傾げるくらいで…。
 そのたんび、すぐに忘れてしまった。


 ま、そんなシャカキコーンなアパート(?)も、引っ越し魔のL子さんにとっては、数々のアパート遍歴(?)の一つにすぎなかったということなのか。

 それは、L子さんが、また新たなアパートに引っ越した次の日の朝。
「朝起きてさ。
 何気に、ドアのポストを見たの。
 いや、なんだかわかんないけどさ、はっとしてね。
 思わず、ポストの蓋をあけたの。
 うん…。
 中…、チラシも何もなかったんだけどね…。」

 違うアパートに引っ越した次の日。
 そんなタイミングで、なぜそんなことを思ったんだかはわからない。

 あの引っ越す前のアパートで聞いた、ポストのシャカキコーンって音。
 L子さん、その時ふいに、あれって、もしかしたらとっても変なことだったのかも…って。

「ていうかさ。
 あの音って、ホントにチラシの音だったのかな?って…。
 だってさ、ポストにチラシが入れられる時、シャカキコーンなんて音する?
 だって、チラシよ。
 ペラっペラの紙よ…
 …………。
 そりゃ、ピザ屋さんとかは、結構厚め紙使ってるけどさ。
 それだって、ガサガサガサよ。
 シャカキコーンなんて、そんな音、聞いたことないのよ…」




 ──── 本日これまで!
       第14話目 「L子さんの耳袋ぉーなお話:第一夜(笑)」〈了〉/第二夜につづく 
                                       メルマガ配信日:12.12.8
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本日のそろそろバケネコ画像
  本日の、そろそろこの企画もやめよーかなぁ…的バケネコさん画像


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2014
03.17

ふと、思い出して検索してたら、思い出しちゃったんでー



 昨日の夜、ふと、思い出したんです。

 ずいぶん前に、同僚が教えてくれたパンの作り方…


 食パンの上にマヨネーズで四角く土手を作って
 そこにタマゴを落として、オーブンで焼くとウマイ!!

 “でも
  なかなか上手く出来なくってさ
  パンはコゲてるのに、タマゴは固まらないんだよー

  でも、最近やっとコツがわかってきてさ
  要は、事前にオーブンを十分熱くしておくってことみたい”
 


 それを聞いた時は、帰ってから、早速作ってみましたねー(笑)

 なるほど、確かにウマイ!!


 次の日、同僚にそのことを言ったら…

 “えー、夜中に食ったの?アレ…
  それ、ぜ~ったい体にワルイと思うなー”って(笑)


 ま、確かに。
 ちょー高カロリーそうですよね(爆)

 特に、夜中に食うものとしては…



 でね。
 つまり、タイトルの前半、
 “思い出して検索したら”っていうのはソレ。


 昨日の夜、なぜか、ふっと思い出して。
 アレって、
 世間一般的な食べ物だったんだろーか?
って(笑)



 ま、名称がわからないんで。
 マヨネーズ 土手 パン タマゴ(って、ほぼ作り方じゃん!)
 で、検索してみたら…


 あ、まぁ普通の食べ物…

 ていうか。
 えっ!アレって、
 ジブリ映画に出てきたメニューだったんですか?


 いやはや。
 全然知りませんでした(笑)
 (ジブリは、どーも苦手で…。ほとんと見たことないんです)



 ま、以上がタイトルの“思い出して検索したら”。


 てことで、
 “思い出しちゃったんでー”に移りま~す(笑)


 その、マヨネーズ 土手 パン タマゴで検索した中に。
 「カフェモカの作り方」というリンクがあったんです。

 カフェモカって、スターバックスのあのカフェモカ?って。

 ただ、それは。
 カフェモカはカフェモカでも、
 ま、言ってみれば、「インスタント・カフェモカ」みたいな…(笑)


 ふーん…って思いながら、それを見てたら。

 じゃ、ホントのカフェモカのレシピってどんななんだろ?って。

 てことで、検索してみたら。

 なんだ。
 それこそ、スターバックスが紹介してたりして(笑)

 でも…
 ホイップクリームなんて、
 そんなもん常備してねーよっ!
って(爆)



 あと、例のメシの作り方サイトはで、インスタントコーヒーを使ったヤツを紹介したりで。
 みんな、いろいろやってるんだなぁーって、感心したり、クスクスしたりしながら見てたんですけど。


 あー、でも、これならよっぽどさーっていうのが、
 つまり、今回の本題“思い出しちゃったんでー”(爆)
 ←長いっ!

 いや…、ね。
 私、こう見えても(って、見えないけどさwww)。
 学生の頃、コーヒー屋のバイト、結構びっちりやってたんで(って、昔すぎ?)
 コーヒーは、ちょっとうるさいんだなぁ~ ←あ、感じワルっ!(爆)



 ま、そんな、感じワルっ!なんて言うのはおいといて。
 その、「これなら、よっぽど(というか、カンタン!)」の作り方。

 ①マグカップ(大きめのカップ)にザラメをティースプーン1杯  
   ザラメがなかったら、普通の砂糖(ただし、量は1/3~1/2位に)
 
 ②それに、コーヒーを淹れて  
   このメニュー、店では (なぜか)浅煎りを使ってたんですけど、
   深煎りでも全然ウマイと思います。
   ただ、インスタントだったら濃い目がいいかも?

 ③底のザラメを、軽く3回くらい掻き混ぜる
   ザラメは、絶対全部溶かさないこと!!(味の変化が楽しいんで)
   普通の砂糖の場合なら、掻き混ぜない方がいいと思います。

 ④アイスクリームをディッシャーですくって、コーヒーの上に浮かべる
   アイスクリームは、乳脂肪分の多いものを使うこと。
   ディッシャーですくったアイスクリームは、スプーンで押し付けるようにして、
   中央がえぐれた形にすると、丸い方が上に浮かんでカッコイイ。
   ディッシャーがない場合は、なるべく大きなスプーンか、それこそおたまですくって、
   とにかくいっぺんに入れること。
   小さなスプーンですくって入れてると、
   アイスクリームが入れるそばから溶けてっちゃいます(笑)

 ⑤コーヒークリームをアイスクリームを覆うようにかけて、完成!!     
   コーヒークリームがなかったら、牛乳でも、ま、いいかな?
   (ただし、量は少なめに)


 と、まぁ。
 簡単に言っちゃうと、
 温かいコーヒーにアイスクリームを浮かべただけの代物ですな。



 なんですが…
 アイスクリームが徐々に溶けてきてコーヒーと混ざるのを、
 カップとアイスクリームの隙間から飲むのがウマくって。
 (ていうか、楽しー!)。

 

 
 とはいえ。
 いやもぉ、ミョーにやみつきになっちゃって。

 夜中に、例のマヨネーズ/土手/パン/タマゴ・トーストと一緒に食ったり飲んだりしちゃった日にゃぁ、
 どーなっても知りまへ~ん(爆)


 



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2014
03.15

72話目 ~3話中3話目

Category: 怪談話


 言い方は悪いですけど、怪談、それも実話怪談っていうものは。
 ある意味、体験者本人に、そのお話(体験)への「酔い」みたいなものがあって、初めて語れるものなんじゃないかって気がします。

 というのは、ナニカを見た/体験したとしても。
 ソレを幽霊とか何か不可思議な存在or出来事と思わなければ、ソノコトを他人には語ろうとは思わないだろうって気がするんです。
 つまり。
 そのお話のソレが、幽霊等何か不可知な存在であるという「思い込み(酔い)」があるからこそ、他人に語りたい/聞いてもらいたいって思うものなんじゃないでしょうか。

 いや、上で言ってるのは。
 その「酔い」というものが、所詮は“勘違い”や“幻”だとか。
 はたまた、“(その人が怪談好きであるがゆえに)不可知なナニカであってほしいという願望”だとか、そういう身も蓋もないことを言っているんではなくって(笑)
 たんに、「思い込み(酔い)」があるからこそ、ソレを語りたくなるんじゃないだろうか?
 あるいは、「思い込み(酔い)」があることで、初めてソレを語れるんじゃないだろうか?っていうことなんです。


 って、そんなことを思ったのは。
 ま、私はここまで、他の人が体験したいろいろなお話を、第三者の視点──ソレを、極力「超自然」なコトとして見ない──で怪談話としてまとめてきたわけなんですが。
 でも、いざ自分の体験──当然「酔い」が入っている──を語る時、ソレをどうまとめたらいいんだろうって考えてしまったからなんです。

 もっとも。
 すでに何話かは、私自身の体験を語っているんですけどね。
 ただ、それらには、体験への「酔い」入っている──というか、きわめて主観的に語っているんですね。
 (他のお話のように)第三者の視点では語ってないわけです。

 でも、他人から聞いたお話を怪談話としてまとめる時っていうのは違います。
 体験した人の体験を、私という第三者の視点というフィルタを通した上で、一つの「お話」になっているわけです。

 つまり、私自身の体験だって客観的な視点で書かないと、他のお話と整合性がとれなくなってしまいます。
 まぁね。「ていうかさ、怪談って時点で整合性ないじゃん!」って言われちゃった日にゃぁ、「うーん、賢い!」って、笑ってごまかすしかないんですけどねー(爆)


 ただ、「自分の体験」というのは、“(過去の)記憶”にすぎないっていうのは事実なわけですよね。
 「記憶」というものは、所詮は“脳が体験を主観的に整理したもの”であるわけです。
 主観的に整理するということは、“体験を(脳が)リライトする”ということであり、それには当然、少なからずの“脚色”や“創作”が無意識に行われているはずです。

 そんな、意外とあてにならない「自分の体験の記憶」。
 自分は、それを妄信しきっているわけです。
 そんな妄信しきっている「事実(=実話)」を、どこまで客観的に書けるか?なんて、ちょっとワクワクしますよね。
 実際、今回のお話というのは、一度主観的に書いて某怪談サイトに投稿したお話(の一部)なんです。

 そういえば、一度書いてしまった(完成と決めてしまった)お話を書き直すというのって、実は意外にやっかいでして。
 書き直しているつもりが、気がついたら、てにをはを校正してただけってこと、意外と多いんです。

 というわけで。
 そういう意味でもこのお話、いったいどうなることやら…



 そのことって。
 Cクン、誰にも話したことがなかった。
 いや、特に理由があるわけではなく。
 というか、そのことって。
 考えてみたら、その後、思ったり、考えたりすることも一切なかったような……


 それは、今でも語られるほど寒かった、ある冬のこと。
 その夜も、強いからっ風がゴーン、ゴーン音をたてて吹いて冷え切っていた。

 当時Cクンは大学生。
 昼間は学校に行って、夕方から夜中まではバイトという毎日。
 そんなCクンがバイトを終えた後のことだから、たぶん12時半とか、1時とか、そんな時間のことだったのだろう。


 その時Cクンは、キーコ、キーコと自転車をこいで、家に帰るところだった。
 点々と連なっている街灯の明かり。
 風にぶらんぶらん揺れている電線。
 こんな寒い夜。
 誰一人も歩いているわけないのに、自動販売機の明かりだけは律儀に点いている。
 だからこそ、よけい寒々しく見える。
 そんな、からっ風が吹きすさび、ますます凍えていく夜の住宅街。


 どこからか聴こえてくる空き缶の転がる音…。
 電線の鳴る音…。
 空はキーンと。
 意識しなくともオリオン座の三ツ星が見とめられる、どこまでも透き通った藍色の空。
 黒々と沈み、連なる屋並。そして、その向こうのさらに真っ黒い林。
 その手前で、そのすべての窓ガラスに藍色の夜を冴え冴えと映している小学校は青黒い。
 そんな、真冬の町並みのありとあらゆるところを、微細洩らさず舐めるように冷たい風が吹きぬけていく……


 ハンドルを握る、剥きだしの手が冷たかった。
 あまりに冷たいから、左右交互にポケットに入れるんだけど全然暖まらない。
 道のりは、ちょうど半分くらい。
 もう少し行くと、Cクンの住む住宅街のはずれにある小さな商店街の通りが右に見えてくるそんな場所。
 もっとも。
 商店街といっても、こんな時間に開いている店なんて一軒もないのだが…。

 そこは、商店街の通りにさしかかる、ちょっと手前だった。
 Cクンの自転車が走る、斜め前。
 商店街のアーケードが始まる曲がり角へと続く歩道に……

「…!」
 いきなり目に入ってきた。
 道は真っ直ぐだから、見通しはずっときくはずなのに。
 いや、今になって思えば。
 夜の藍色に染まった住宅街の中、しかもそれは動いていたのだから、かなり遠くからでも目につくと思うのだが…
 あまりの寒さに気をとられていたから?
 それとも、藍に染まったその真冬の夜の町並み見とれていたから?
 いや。たんに、その人がその辺りの家から出てきたところだったからか…

 それは、丈がすねの下まである白い薄物の服を着た女性。
 たぶん、ネグリジェ…。
 あるいは、ネグリジェのような薄物の服といったら一番イメージしやすいのか?

 でも、ここは深夜の住宅街の中の通り。
 しかも、この凍える風が吹きすさぶ中、それはものすごい違和感。
 こっちは、厚手のセーターにダウンジャケットだって、寒くてしょうがないっていうのに…。
 なのにその女性は、寒がっている様子なんて、これっぽちもない。
 なんだか、まるで5月の宵に散歩でもしているような、そんな感じ。

 違和感は、その歩き方にもあったのかもしれない。
 その一歩一歩が、ふわっふわっした歩き方と言ったら適当なのか…。
 明らかに、ふらふらした歩き方というのではなかった。
 ましてや、酔っぱらって歩いているっていう感じではない。

 心持ち急ぎ足な感じだが、でもごくごく普通の歩き方だった。
 変な言い方だけど、自分の行こうと思う方向とか、そして左右の足を出す位置とか、ちゃんとその意思が感じられるそんな歩き方。

 それなのに、なぜか全体にふわっふわっとした感じがある。
 ゆったりとしたその薄物の白いネグリジェのような服が、歩調に合わせ揺れるせいなのか。
 あるいは、揺れている豊かな髪のせいなのか…


 その髪は、肩より少し長いくらいストレートで。
 揺れているのは、歩いているからか、それとも風に吹かれているからか。
 それに合わせるように、すねより長い裾のゆったりとした薄物の白い服も、歩く体の動きについていくように揺れている。
 その揺れは、ネグリジェのような白い薄物の服の下の、決して太っているというのではない肉感的な身体を浮き出させていた。


 夜の色が黒ではなく、藍色のそんな明るい夜。
 今となっては記憶はないが、もしかしたら月も出ていたのかもしれない。
 もちろん住宅街だから、街灯もあちこちにあった。
 それこそ、見ようと思えばアスファルトの上の砂粒だって見える、それくらい明るい夜だったのではないか?
 真冬の深夜とはいえ、そんな明るい夜の光に満ちた住宅街の中の道。
 そんな場所で、白いネグリジェのような薄物一枚だけ纏った女性が、何を気にすることもなくまったく普通に歩いていた。

 Cさんの乗った自転車は、その女性をそう見ている間にも、どんどん近づいていた。
 その女性の様子が、さらによく見えてくる。


 いや。こんな風に文章にしてしまうと、かなり長い時間、そしてかなり遠くからその女性を見ていたように思ってしまうかもしれない。
 でも、時間にしたら長くても1分か、そこらのことだったのではないか?
 距離にしたって、最初にその女性に気がついたのは20メートルも離れてなかったように思う。

 もちろん、「記憶」なんていうものがいかにデタラメかってことは、充分にわかっているつもりだ。
 でも、その場所は子供の頃からずっと見てきた場所。
 頭の中に、どの家の次にどんな家があって、その次にはどんな家。
 そしてその次には…、その向かいには…って、そういう位置とか距離とかの空間の記憶っていうのは、意識下に焼きついている。
 その女性を見た記憶が、わずかな時間のことであったとしても。
 空間的な光景をくるめての記憶というのは、その頼りない記憶を十分補って余りあるものなのではないだろうか?


 藍色に染まった夜の中、さらに近くなってきた女性のその後姿。
 その豊かな髪のせいか、顔は全く見えない。
 ただ、考えてみればそれも不思議というか。
 その時Cクンが乗っていたのは、小学6年の時から乗っていた自転車だった。
 冒頭でも書いたように、それはペダルをこぐ度キーコ、キーコと耳障りな音をたてていた。

 前を歩いているのは女性。
 後姿だけとはいえ、充分魅力的に見える…。
 そこは、家々の建ち並ぶ住宅街の中の道。
 そして、深夜という時間。
 たとえその付近に住んでいたとしても…、いや、それこそ外出用の服を着ていたって、あたりに気をはらうのが普通のような気がする…

 いや、もちろん。
 その時は、そこまでは考えていなかったと思う。
 ただ、そういった全てを、無意識に感じていたのだろう。
 だから、その女性を見とめた途端、強い違和感を持った。
 そういうことではないのか?


 そして、さらなる違和感が…
 えっ…、裸足?
 うっそー
 Cクンの目にとまったのは、その女性の着ている例のネグリジェのような白い薄物の服の裾から伸びた剥きだしの踵。
 それとも、よっぽどペッタンコのサンダルのようなものでも履いているのだろうか?
 にしたって、この寒さだっていうのに……


 もはやその女性の位置は、Cクンの乗る自転車のすぐ斜め前。
 深夜という時間。
 ましてや女性、しかも薄物一枚の…

 Cクンは、その女性から距離をとるように、道の左側を自転車で走っていた。
 きーこ、きーこと耳障りな音をたてながら。
 どんなに風の音が強かったとしても、絶対気がつかなきゃおかしい距離。
 女性、薄物一枚、深夜。
 どれ一つ考えたって、この距離を走っている自転車の音に振り向かない方がおかしい。

 とはいえ、ここまで近くなると。
 今度は、それが女性で、しかも薄物一枚で深夜ということだけに、Cクンもその女性に無遠慮な視線を向けるわけにもいかなくなってくる。
 それこそ、この齢となっちゃ、そんなことかまわずジロジロ見ちゃうんだろうけど。
 なんだかんだ言っても、その時のCクンときたら、まだまだ純情さが残っている大学生だった。


 とはいうものの。
 いろんな意味で、こんな気になものはないわけで。
 だからCクン、その女性のことは、ちらっちらっ横目でずっと追っていた。

 いったい、どんな人なんだ?
 すごい違和感があったとはいえ、たぶんそれはあくまで意識下のことだったのだろう。
 この寒さで、こんな深夜でっていう違和感よりも、薄物一枚で歩いている(しかも充分魅力的に見える)女性ってだけで、好奇心の方が勝っていたのだ。
 当然、「怖い」なんて感情は、その時一切なかった。
 それは、そうだろう。
 ちょっとでも怖さを感じていたら、(それこそ幽霊か何かだと思ったら)たちまち吹っ飛んで逃げていたはずだ。


 そして…。
 今まさにCクンが、その女性と並んだ瞬間。
 その白いネグリジェのような薄物一枚だけ纏った女性は、Cクンの真横を歩いている。
 長い髪と白い薄物の服を揺らしながら、あのふわっふわっとした独特の歩き方で。
 いやもぉ、その女性がどんな人なのかって好奇心を、Cクンは抑えられない。
 その顔を見ようと、顔をその女性の方に向け──。

 それは、まさにそのタイミングだったというしかない。
 Cクンが、それを見ようともろにその女性の方に顔を向けたのと、その女性が右に曲がったタイミング。
 それは、ピッタリ……

 そこは、寂れた商店街のアーケードの連なる道。
 いくら明るい夜とはいえ、いや明るい夜だからこそアーケードの下はその影で真っ暗。
 その暗がりに見えなくなっていく、その女性の白い後姿。
 すーっと……


 一方、そのまま道を真っ直ぐ自転車で走っているCクン。
 その脳裏に残像のように残る、あのふわっふわって歩き方。
 同じようにふわっふわっと揺れていたあの白いネグリジェのような薄い服と、その下の身体……



 そのことって。
 Cクン、誰にも話したことがなかった。
 いや、特に理由があるわけではなく。
 というか、そのことって。
 考えてみたら、その後、思ったり、考えたりすることも一切なかったような…


 それは、大学生だったCクンが社会人になって、さらに何年も過ぎたある日。
 Cクンが某怪談サイトに自分の体験を投稿したのがきっかけで、いろいろなネタを整理していた時。
 あの夜のあの女って…
 今、考えてみれば、すっごく変だよなぁーって、初めて気がついた。




72話目終わり。フっ!
           ──── 72話目 「真冬の夜の夢」 〈了〉 メルマガ配信日:11.2.13
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 あとがき

 ま、怪談話に「あとがき」って、何だか野暮だよなぁ~とは思うんですけど(笑)

 このお話…、というか私の体験談。
 ま、お話としては、“すっごく変だよなぁーって、初めて気がついた”と怪談話的に終わらせたわけですが。
 でもまぁ、ホントのこと言うと。
 “あれって、怪談話(のネタ)にもなるんだなぁーって、初めて気がついた”と言った方が正確な気がします(爆)
 あの時のあの女性は、心を病んだ人っていうのが、まぁ妥当なところなんじゃないでしょうかねー。

 ただ、そうは言いつつも。
 “(あの女が)すっごく変だよなぁーって、初めて気がついた”みたいに怪談話っぽく終らせてしまう、語り手の「茶目っ気」みたいなもの。
 ある意味、それこそが「怪談」の本質(正体?)なんじゃないのかなーって(爆)

 それこそ、あの女性を見たのが、よっぽどの怪談かぶれだったとしたら、あの女性の姿は、血まみれ等とんでもなく恐ろしい姿になっていたかもしれないですし(笑)
 逆に、怪談なんて全く興味のない人が見たとしたら、案外エロ話か何かになっていたのかもしれない。
 つまりはまぁ。
 そういうことなのかなーなんて(笑)

 ま、怪談なんてものは。
 頭に「実話」とくっつけようが何しようが、所詮は、その体験の記憶を怪異的なパターンに「あてはめ」ただけにすぎないってことなのかもしれませんね。
 それは、『リング』(映画)以降、「実話怪談」に出てくるソレがミョーに貞子さんっぽいお話がやたら増えちゃったっていうことから見ても確かなんじゃないでしょうか。

 ただ、そうは言いつつ。
 「本当のこと」と称する、無数の怪談話の中には、うーん…と唸るしかないお話も少なからずあるのは確かなんです。




本日の、もしこんな顔だったら…なユーレイさん画像2602
本日の、“アレが、こんな顔でこっち向いたらコワかったろーなー”的ユーレイさん画像



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2014
03.15

なんでも世間一般的には…



 なんでも、今日(正しくは昨日3/14)って、
 世間一般的には、ホワイトディらしいですね。



 ホワイト…
 で、ディ。

 それってつまり、“どっちらけの日”みたいな……(笑)



 
                 “白”っていったら…

ニセコアンヌプリ


霧氷


ゲレンデ①


エビのシッポ


羊蹄山

               あぁー、なんてホワイト!(爆)



 まぁーね。
 バレンタインディも、ホワイトディも、
 関係ない人からしたら、両方ひっくるめて、

       てやんでぃ!ってさ。
            ・
            ・
            ・
            ・
            ・
          
 来週から暖かくなってくるらしいよー(笑)








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2014
03.12

まーさ、たまには、こういうのも…

Category: guchitter


 思い切って、信じたくないことを信じてみる勇気。
 それと、
 信じたいことを妄信しない勇気。

 下手な“情報”、休むに似たりってさ!

 だって、
 “絶対”なんてことは、
 これからだって存在しないんだもん!




)



 ここ1週間くらいのTVを見ていて、ふと思ったことなんですけど。
 でも、
そーいうのを“下手な考え、休むに似たり”って言うんじゃい!
とか、言われちゃったりして(爆)
 (似合わねーこと、書くんじゃないってことかな?www)



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2014
03.09

パンツの話



 パンツ(下着の方ね)って、アレ、皆さんはどのくらいの頻度で買ってるのかなぁー。

 ていうか、アレって、年に1度とか、3年に1度とか。
 ある時期が来たら、「あ、パンツ買う時期だ」っていう感じに買っているものなんでしょうか?
 
 うーん…。
 なんとなくですけど、そんな風じゃない気がしますよね。
 日々、パンツを穿きかえる時に「あー、最近。パンツ、全体的に古くなったかもな。そろそろ買い換えるか?」みたいに。
 在庫一掃的か、もしくはそこまでいかないまでも、複数枚をバーって買っちゃう人が多いような気がします。
 いや、なんとなくですけど(笑)

 検索してみても、やっぱり、そんな風に買う人が多いみたいですね。
 ま、タテマエは!(爆)


 ていうか。
 「よっしゃ!今度の週末は決めちゃうか!」とか。
 「もぉ。今夜は迫っちゃうんだからぁ~~」用に(笑)
 「あのさ、それ、アボリジニの狩猟道具と勘違いしてない?」みたいなパンツとか、「それって、パンツ本来の用、達してるの?」的なパンツを買う時っていうのは、また別なんでしょうけどねー(爆)

 ていうか、ていうか。
 もしかして、最近のパンツの買い方って。
 休日、買い物ついでにウニクロ・サンボとかに、なんとなーくヒマつぶしに寄っちゃって。
 店内をブラブラしていて、つい、なんとなーくパンツ買っちゃったみたいなパターンが多かったりするのかな?



 って、まぁ。
 パンツの買い替え頻度の話じゃなくってね。
 いや。これは、前々からずーっと思ってたことなんですけど、
 男モンのパンツのデザインって、
 もぉーちょっと何とかなんないもんなんですかね?


 まぁーねー。
 パンツなんて、やたら人に見せたり(or見せびらかせたり?)するもんじゃないんで。
 履き心地がよければ、別に何でもいいじゃん!っていうのは、もちろんありつつも。
 でもまぁ毎日穿くわけですし。
 また、パンツだって、少なからずお金を出して買うわけですもん、
やっぱり気に入ったの穿きたい!じゃないですか(爆)


 あー、いや。
 何も、やったらセクシーなデザインのが欲しい!
ってぇーんじゃなくってね(笑)
 ていうか、男モンのパンツで、やったらセクシー(ま、どういうのがセクシーなのかはさておき)なデザインって。
 他人がそれをどう評価するかは横に置いて、
 ぶっちゃけ、ソレを穿いた自分を見て、自分が一番おぞましいって思っちゃうみたいな。

 ってまぁ、それには異論がある人も、多々いらっしゃるのかな?(爆)


 ていうか、根本的な不満としては。
 もぉ少し楽しくなるような色とかデザインとか、
 あってもいいんじゃないかなーって。
 

 それでなくとも、ここ数年(ていうか、もう10年以上)服は黒が流行で、誰も彼も、アレもソレも黒ばっかなわけですから。
 パンツくらい、パーってウキウキ楽しくなっちゃうような色とかデザインのヤツ、穿いてもいいんじゃないのかなーって思うんです。
 ていうか、個人的な希望として、とっても穿きたいわけですね(笑)

 なんでも、今年はビビットカラーが流行りだとかいう話ですし。
 黒とかグレーとか。はたまた「何でその色?」って、思わず首を傾げちゃいそうな、わけのわからないくすんだ色でないヤツ、デザインしてくんないかなぁー。


 あ、それと。
 パンツのデザインで、もう一つ言いたいこと。
 ていうか、これって、もぉ声を大にして言いたいくらいなんですけど。
 男モンのパンツって、
 何でヘソのところにデカデカとブランド名が入ってるの?

 
 アレ、なーんかダサいっていうか、イモくさいっていうか。
 すっごく恥ずかしいんだよなぁ…(爆)



 メーカーさん、デザイナーさん。
 パンツだって、服なんだから。
 手ぇ抜かないで、もうちょっといいデザインしてね!(笑)




  
    このボーカルの人の顔と声って、ミョーにジャパネットなんちゃらの人を思い出しちゃいません?(笑)



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2014
03.09

“痔”になっちゃいましたけど、元気です!! ~その3



“痔”になってから(医者でそう言われてから)、もうすぐ2週間になりますけど。
そういえば、“痔”になって、何がツライって。
香辛料や刺激物を摂っちゃダメ!っていうの、それが一番ツライですねー(笑)
  

 いや、なんでも。 
 香辛料は、なんといっても唐辛子にコショウ、カレー。
 あと、生姜やワサビとかもよくないんだとか。

 そして、さらにツライのが、刺激物がダメってこと。
 チョコレート(ココア)にコーヒーって、普段やたらめったら食ったり飲んだりしてるものばかりじゃん!


 とか何とか言って。
 お医者さまも、「気にしすぎても、あまりよくないんだけどねー」って言ってたんで。
 普段より、気持ち少なめくらいを心がけつつ(笑)、結構フツーに食べたり飲んだりしちゃってるんですけどね(爆)

 でもさー。
 それらを食べたり飲んだりするたんび。
 なーんか、変にうしろめたい気持ちになっちゃうの、あれってイヤだよなぁ…

 あぁ~もぉ早く治んないかなー(笑)







 そうそう。
 チョコレートって、私はブラックチョコレートが大好きなんですけど。
 ここ1週間くらい、ミョーにミルクチョコレートが食べたいんですよ。
 あれは、もしかしたら、お尻が「ブラックチョコは刺激が強すぎるよぉぉぉー」って言ってるのかな?(笑)



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2014
03.08

いっやぁ~、特に…



 いっやぁ~、特に何がなんだってわけじゃないんですけど。

 日差しが春めいてきましたよねぇ~
 考えてみたら、関東じゃ、今年はちょうどあと1ヶ月後に桜満開って感じですよね。

 それって、なんだかちょっと不思議なような…?


 
 でも、よくよく考えてみたら。
 私、春って季節は、あまり好きじゃないんですよね(爆)
 天気悪いし、寒いし…

 てことで。
 早く夏になんないかなー!
 




   なんだか、ビミョーにエッチ!て思っちゃう場面で止まってるよね、このビデオ(笑) 


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2014
03.08

72話目 ~3話中2話目

Category: 怪談話


 32話目のお話って。
 私の家の近所が舞台だったんですけど、まぁ憶えてないですよねー(笑)
 って、まぁドロン系のお話(「実話怪談」ならぬ、「実は…、怪談?」なお話)だったんで、特に憶えてなくてもいいんですけどね。
 ていうか、今回のお話には、ほっとんど関係ないんでー(笑)

 ただ、今回のこのお話。
 その32話目に出てきた場所が舞台で、なおかつそのお話に出ていた私の友人(Bさん)の体験したことなんです。



 それは、何年か前の、やっぱりとっても寒かった冬のこと。

「うぅぅ~、寒みぃなー。」
 思わずつぶやいちゃったそれ。
 ふと、思ったら、それをさっきからずっとつぶやいていたことに気がついたBさん。
 いや。その日は真冬の曇天で。朝からずっと寒かったのだが、それにしても寒い。
 あ、そうか。どうせまた、エアコンの温風が出る真下の席の誰かが、暑いって設定温度下げちゃったんだろって思ったBさん。仕事場の暖房の設定温度を見に行ったんだけど、そこに示されている温度はかなり高め。
 なのに背中の真ん中に冷たさが染み入ってくるような、なんだかそんな…。

 おかしいなぁ…って、首を傾げながら席に戻ったBさん。
 すぐに仕事をするでもなく、ぼーっとパソコンの画面を見ていたら。
「ねぇ。急に寒くなった気がしない?」
 声のする後ろを振り返れば、それはパソコンの画面を見つめたままのLさんの背中。
 いや、Lさんだけでなく。その背中越しに、同僚たちが「何だかやけに寒い」って話しているのが見えた。


 それは、いわゆる雪の降る前にある「底冷え」ってやつだったのか。
 それとも、ありがちなエアコンの温度設定を上げすぎて、サーモスタットが働いて温風が出なくなっていただけなのか。
 そんな、誰も彼もが「寒い」とか、「うぅぅー」だの「すぅぅー」なんて口にしながら仕事をしていた、その午後。
 何かを感じて、ふと窓の外に目をやれば…。
 それは、辺り一面、白く舞っていた大粒の雪。

「げっ!雪!」
「えっ?雪。あっ、ホント…。」
「わぁ、キレイ!」
 その華やかさは、まるで優勝パレードの紙吹雪のよう。
 白くちらっちら舞いながら空から落ちてくるぼたん雪。
 街中、どこもかしこも。街の向こう、そしてそのまた遥か向こうの灰色の空までも、無数の粒々舞っているのが見える。
 窓から見下ろす道路の路面は、まだ濡れたアスファルトの黒い色だけど、歩道の端などところどころは早や白くなり始めていて。
 でも、雪は。
 その白さゆえに、目の前の風景からみるみる色を奪ってそれらを黒く沈ませていく…。

「どおりで寒みぃと思ったよ…。」
 半分ため息をつくようにBさんが言えば。
 やはり隣の窓から外を見ていたLさんも、
「積もるのかなぁ…。」って。
 それは、降る雪を見つめながらBさんに言うともなく、つぶやくともなく。
「ぼたん雪は積もらないっていうけど…。」
「でも、ほらっ。
 あそこのビルの屋上なんて、
 ちょっと白くなってきてるじゃない。」
「えっ!あ、ホント…。」
 Bさん、そのビルの屋上に積もり始めた雪を見たことで、やっと現実に気がついた。
「うわっ!まっずい。
 今日って俺、仕事、まだ全然片付いてないよ。
 帰り、電車大丈夫かなぁ…。」
「そっか……。
 そうだよね。もしかしたら帰りの電車ヤバイよね……。」
 Lさんは、そう言ったっきり、しばしBさんの顔を見ていたのだが。
「仕事しよっ!」
 ドタバタ、いきなり机に戻ったかと思うと。
 パコパコ猛烈な勢いでパソコンを叩きだした。


 結局、その日。
 雪は、都内およびその近郊で積もることはなかった。
 午後に感じた寒さのわりには意外に気温が高かったのか、夕方にはみぞれに変わったのだ。
 とはいえ、東京郊外までは積もっていなくとも、その先は積もった所も多かったのだろう。
 多くが近郊、さらにその先まで直通運転をしている都心を走る電車。
 Bさんの心配は見事的中。
 その日、ダイヤは夜が進むにつれどんどん乱れていった…。



 その夜、日にちが変わる頃。
 Bさんは、都内の某ターミナル駅のホームにいた。
 こんな時間だっていうのに、ホームにはたくさんの通勤客。
 それもそのはず、ホームには乗客でいっぱいの電車が、ずっと停まったまま。
 駅のアナウンスによれば、あちらこちらの駅で電車が停まっている団子状態ということなのだが。
 でも、その電車がいつ動き出して、いつ次の電車がホームに入ってくるか全然わからないから、誰もが寒いホームで待っているしかない。

 そんなホームでBさん。電車の動かない状況にため息をつきながら、奥さんにそのことをメール送って、またため息をついて。
 いきなり首筋にヒヤッしたものを感じて、驚いて見上げれば。
 それは、雪の降った後特有の、まるで氷が吹いてくるみたいな風。
 途端、ホームのあちこちから聞こえてきた、その寒さに「すぅぅーっ」て無意識に口から洩れてしまう空気をすするような音。
 そんな体の芯に染み入ってくる寒さに、ホームにいる誰もが、やっぱり震えるようにして体を縮こまらせている。

 そんな時、ホームの向こうから聞こえてきた怒鳴り声。
 さっきから全然動かない電車にイライラした誰かがが、駅員に文句を言っているのか。
 ま、駅員に文句を言ったからって、電車が急に動きだすものではないのだが…。

 とはいうものの。
 文句のひとつも言いたいその気持ちは、Bさんだってよく理解る。
 今日一日、朝からこんな時間まで身をすり減らすように働いていたっていうのに、なんでこんな寒いホームに立たされなきゃならないんだろう?って。
 雪で電車が動かないのはわかる。
 それはどうしようもないこと。
 でも鉄道会社だって、もう少し状況のアナウンスのしようがあるんじゃないのか?
 だって、スピーカーから流れてくることといったら。
「本日、降雪の為、大変ダイヤが乱れております。
 なお、11番線に停車中の電車は
 信号が変わり次第発車の予定です。」って。
 Bさんがそこに立って、かれこれ1時間近く、ずっと同じことを繰り返しているだけ。

 まったく鉄道会社っていうのは、いつになってもCSってことがわからない会社だ。普段の仕事で自分たちはあんなにも努力していることなのに、なぜそれができないのかなぁ?って。
 ま、そこにいるのほとんどがサラリーマンだけに、行き着くのはそのあたりなんだろう。

 …って。
 結局、積み重なっていた日常の鬱積を、これ機会と、鉄道会社のせいにしているのにすぎないのか?
 それとも、指先のクリックひとつで作業が進んでいく、あまりに効率化された日常に慣れすぎてしまったってことなのか……


 そんな愚にもつかない考えごとに熱中していたBさんだったのだが。
 ガタンという音に我に返って、見れば。
 それは、そこに並ぶ前からずっと停まっていた電車のドアが、音をたてて閉まったところ。
 すかさず、ワーンっていう警笛が向こうから聞こえてきて、Bさんの目の前のそれがスルスルと動き出して…。

 なんにせよ動きがあるっていうのは、少しはほっとしてくるっていうもの。
 そして、その期待は裏切られることはなく。
 その電車が出て行くと、すぐにホームに入ってきた次の電車。

 まぁ座れこそ、しなかったのだが。
 とはいえ、あの氷のような風が吹くことのない車内でほっと一息つきながら、曇ったメガネを拭いているBさん。
 そのぎゅうぎゅう詰めの中、なんとかケータイで奥さんにメールを送って、ふと。

 さて、やっと電車に乗れたはいいけど。
 つい今までずっとホームに停まっていた電車を思えば、この電車っていつ動き出すことやら?って。
 ところが、意外にもすぐに動き出したその電車。
 とはいえ、Bさん。
 どうせ、次の駅でしばらく停まるだろうななんて思っていたら、意外や意外、次の駅もその次の駅でも順調に走っている。
 なんだよ…
 こんな風に動くなら、
 さっさとそうアナウンスすればいいじゃねーかよ
 なんて、心の中で毒づいているBさん。

 …って。
 たぶんそれは、その夜の乗客、誰もが思ったこと……


 しかし、そんなギュウギュウ詰めの車内は…
 ついさっき、あんなに寒くて凍えていたがまるで嘘のよう。
 気がつけば、額から流れ落ちてくる汗。
 いやもぉ、今度は熱すぎる。

 結局。車内はBさんが降りる間際になっても、ほとんどギュウギュウ詰めのサウナ状態のままだった。



 いつ帰れるのか?とホームで立っていた時は、あの冷たい風があんなに恨めしかったのに。
 最寄り駅に着いて、電車内のあの不快な熱さからやっと開放された今は、それが心地いい。
 後は、家までたらたら歩いたって20分くらいっていう、気分的なものもあったのだろう。
 駅の階段を降りた所で、また奥さんに「今駅着いた」ってメールを入れたBさん。
 もっとも、メールを送った後。
 とっくに日付が変わったケータイの画面を見て、もう寝てるか…って苦笑い。
 みぞれ混じり雨の落ちてくる、真っ黒な空を見上げて。
「ふぅー…。」
 ため息を一つついて歩きだした。

 Bさんが歩き出したそこは、東京近郊のベッドタウンの真冬の1時すぎ。しかも、みぞれ混じりの冷たい雨の夜。
 駅前でたたひとつだけ煌々と明るいコンビ二も、お客がいる様子はまったくなく、その明るすぎる光が逆にうら寂しさを倍加させているだけ。
 駅の階段を降りたところまでは、電車を降りた人たちがあんなにいたのに。
 数分も歩いた頃には、Bさん以外誰も歩いていないその通り。
 駅入口の交差点を見回せば、前後左右どの道も遥か向こうまでガラーンと。
 みぞれ混じりの雨に濡れた路面が、点滅する信号や街灯に照らされているだけ…

 つい今さっき、サウナ状態のあの電車から解放された時は、あんなに心地よかったのに。
 みぞれ混じりのに打たれ、さらにはあの氷のように冷たい風に吹かれ、たちまち凍えるような寒さ。
「うぅぅーっ、寒ぶっ…。」
 傘を持つBさんのむき出しの手は、歩き出してまだ5分も経ってないっていうのに、もう感覚がなくなっている。
「手袋持ってくればよかったなぁ…。」


 Bさんの家は、駅のある辺りからは一段低い場所にあった。
 そこまで行くには、長い坂を降りていかなければならない。
 自宅の辺りに通じている坂は、遠回りするのも含めれば何本もあって、Bさん、帰り道はその日の気分で坂を使い分けていた。
 それこそ、春の夜なら桜のトンネルがある坂とか。
 会社で嫌なことがあって気がふさいでいる夜は、遠回りになるけど拓けた道の坂。もっと気がふさいでいる時は、細くて暗い墓地沿いの坂とか。
 とかなんとかいってBさん、オーソドックスに比較的大きな通りの坂を利用することが多いのだが。

 Bさん、その夜もその坂を下りるつもりだったのだが。
 ふと、途中で気が変わった。
 そうだ…。
 あのお屋敷沿いの坂なら、上を木が覆ってるから濡れないし。
 ずっと塀が続いているから風も来ないだろう…

 その、お屋敷沿いの坂というのは…。
 それは、この街に古くからあるお屋敷を沿うように通っている坂で。
 元々はそのお屋敷の私道だったのか?人がすれ違える程度の幅の石段状の坂で。
 最初は、ゆるやかな傾斜を真っ直ぐ降りて行くのだが。
 途中で急角度に左に曲がり、その後は緩やかに右にうねるように下へと通じていた。
 駅の向こうに住んでいるBさんの友人なんかは、Bさんの家を行き来する時なんかは近道になるんでよく使うらしいのだが。
 Bさんは、不思議とあまり使わなかった。
 
 たぶん、暗すぎるからなのだろう。
 片側にずっと続いている、人の背より高い塀。
 さらに、その塀の上から枝を伸ばし、坂を通る人の頭上を覆うように鬱蒼と茂る、常緑樹の樹木。
 塀の反対側は、急傾斜に落ち込んでいるから、ひらけてそうなもんだけれど。
 でも、そちらにも木々が鬱蒼と生えていて、なおかつそれらも坂の上を覆いつくしているから、曇りの日なんてそれこそ昼なお暗きって感じ。
 もっとも、夜は所々足元に、行灯状の明かりが灯るのだが…。


 いつもなら真っ直ぐ行く道を、右に折れたBさん。
 そこは、どこの街にでもあるような、ちょっと古めの住宅街の中の緩やかに曲がっている道。
 どの家ももう寝てしまったのか、街灯以外は明かりがない。
 そんな音のない道の正面に見えてきたのは、古くからあるお屋敷のぼわーんと真っ暗な庭木のかたまり。
 坂は、その庭木のかたまりを折れるようにして始まっていた。


 それは、最初の緩やかな傾斜を下りだした途端。
 ぴしゃぴしゃ音をたてて降るみぞれ混じりの雨も、凍える風もピタリとやんで。
 Bさんが歩くその先にずーっと続く、急激な弧を描きながら坂に沿って下っていく、ひんやり暗い古びた土塀。
 所々に灯る、例の行灯状の明かりがそこにあるのか、曲がった先の濡れた石段に、暗い橙色の光がぼんやり映っているのが見える。
 坂を覆う木々の上からは、たえずパシャパシャ雨音が聞こえてくるが、その木々のお陰で、Bさんのところまではほとんど雨は落ちてこない。
 でも、その木々は時折風にざわざわと揺れ、ピチャピチャと坂を濡らす。
 それは、目の高さより、ちょっと上辺り。
 いきなり目に入ってきたのは、夜目にも白い椿の花…
 そんな暗い坂道を、Bさんは一人とぼとぼ下りていた。

 しかし、その場所の静けさときたら…。
 いや、木々にあたる雨音がたえず聴こえているから、音がないってわけじゃない。
 というか、それこそ木々の間ごしに下を通る通りの明かりが見え、そこを通るクルマの音だって聞こえてくるのだ。
 なのに、「なんだろ?この静かさ…」と思っちゃう。
 そんな坂…


 坂は左に曲がると、後は緩やかにうねりながら下へと続いていた。
 木の間越しに見える坂の下の家々の明かりを見れば、それはすぐそこのはず。
 なのに、木々に隠れているせいなのか、今Bさんのいる位置からは未だ下の道が見えてこない。

「えー、この坂ってこんなに長かったっけ…。」
 つぶやくというよりは、自分に話しかけるといった方が適当なBさんのその声。
 そういえば…
 このお屋敷って、今って誰か住んでいるのかな?
 そんなことを思った時だった。

 ぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱた……
 いきなり下の方から聴こえてきたソレ。
 でも、Bさんはそれが何だかわからない。

 ぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱた…………
 ざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざ…………
 急に雨が強くなったのか?それとも風か?と、さっと上を見上げたBさん。

 ぱたぱたぱたぱたぱた……。ざざざざざざざざざ……。
 ぱたぱたぱたぱたぱた……。ざざざざざざざざざ……。
 最初、下のほうから聴こえてきたソレは、こっちに上ってくるにつれ次第に大きくなる。
 ソレは、階段を上ってくるっていうよりは、階段の周囲も含めた空間いっぱいを上ってくるような、何だかそんな…

 ぱたぱたぱたぱたぱた……。ざざざざざざざざざ……。
 ぱたぱたぱたぱたぱた……。ざざざざざざざざざ……。
 もはや音は、Bさんの耳を覆わんばかり。

 Bさんの視線は、今、下を見たかと思うと、すぐに真上を。
 かと思うと、周囲を見回していたり。
 そしてまた、真上。
 下、周囲。下、周囲、真上…と、ソレがなんなのか必死で探ろうと、あちらこちら目晦滅法に視線を向けるBさん。

 ぱたぱたぱたぱたぱた……。ざざざざざざざざざ……。
 ぱたぱたぱたぱたぱた……。ざざざざざざざざざ……。
 坂を上がってきたソレを追おうと、Bさんはやたら周囲に視線を走らせんだけど──。
 ぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱたぱた…………
 ざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざ………………………


 ふひゅぅぅーー…
 いや、実際にはそんな、風が過ぎ去ったような音はなかった。
 でも、その時っていうのは、どうしてもそう表現したくなるような、何かそんな…
 坂の下からやってきた、ぱたぱた…ざざざざ…っていうアレ。
 気がつけば、始まりがそうだったように、何も無くなっていた。
 ふひゅぅぅーー…っていう余韻の音が感じらるように…

 Bさんは、ただただ茫然自失。
 そして、ふと…。
 あちらこちらを見ていた自分の視線が、遥か坂の上の向こうで止っていることに気がついた。
 Bさんの立つその位置からは、その古びた土塀とその上にそびえる鬱蒼とした樹木の群れしか見えないっていうのに。



 もっとも、Bさんの意識に残っているはそこまで。
 後は…
 正直よくわからない。
 その後、Bさんが憶えているのは、傘も持たずに、びしょ濡れの体で自宅の玄関にたどり着いたことと。
 いや、その時は、傘を持ってなかったことなんて気がつきもしなかった。
 駅から歩き出した時は、間違いなくさしていたのに…

 それと、もう一つ憶えているのは…
 それは、Bさんがドアにカギを差し込みかけた途端、勢いよく開いたドア。
 もちろん、ドアの向こうにいたのは奥さんだった。
 奥さんだったんだけど…
 でも、いつもならとっくに寝ているはずの時間。
 いや、Bさん。その時はそんなこと、悠長に思っている間もなかった。
 奥さんは、Bさんを見とめるやいなや。
 パジャマ姿だというのに、濡れるのも厭わず、Bさんを抱きかかえるようにして、素早く中に入れたかと思うと。
 ドッスッーン!
「うわっ!」
 それは、思いっきり勢いよく閉まったドアの音。
 こんな深夜だっていうのに、そんな音たてたら隣りや下から苦情がくるぞって、Bさんは気が気じゃない。
 ただ、びっくりして声をあげたことで、やっと意識がシャンとした。

「な、なんだよ?
 どうしたんだよ?」
「いいから…。
 いいから、そんなとこ、いつまでも突っ立ってないで、早くこっち入ってよっ!」
 その様子を怪訝に感じたBさんが、奥さんの顔を見ようとしても。
 奥さんは顔を背けるようにして、Bさんの手を部屋へと引っ張っるばかり。
 その暖かさに、Bさんのメガネはたちまち曇っちゃって……


 熱い風呂に入って、やっと人心地がついて出てきたBさん。
 ポッカポカな我が家の空気に身も心も浸りきって。
 頭をタオルで拭き拭き、リビングに入ってきたその目がいきなりぶつかったのは、Bさんのことをじっと見つめる奥さんの怖い顔。
「な、なん――。」
 奥さんの怖い顔。でも、それは、その瞬間ふわっと笑顔に変わった。

「もぉー…。
 口唇が紫色になった人を見たのって、わたし、小学校のプールの時以来かも…」
 そんな奥さんは「ほっ…」とため息をひとつ洩らした後、すとんと視線を落として。
 そして、それは視線を落としたまま。
「ううん。
 あんな顔した人、わたし、初めて見た……」
「…?」
 その、つい今しがた見た怖い顔とも違う、奥さんの怯えた目。

 なんでも、その夜ドアを開けた瞬間に見たBさんの顔ときたら…
「なんて言ったらいいのかな…。
 表情が全然ないっていうんでもないし…、
 魂が抜けちゃったみたいっていうのとも違う…。
 なんだか、顔の中心がボコッと窪んじゃったみたいな…。
 ううん。ホントに窪んでるじゃなくってね。
 何だかそんな風な感じに見え――。」
「な、なんだよ、それ?
 よくわかんねーよ。
 ていうか、オマエだってさ。
 あのドアを開けた時って。
 うーん、なんて言ったらいいんだろ?
 とにかくさ、すんごい顔して――。」
 そう言いながらBさん、やっとそのことに気がついた。

「あっ、そう!そうだよ。
 それにさ、オマエ、俺が鍵、差し込むより早くドア開けたしさ…。
 あれって、どういうこと?
 たまたま玄関にいたってこと?
 えぇーっ?
 でも、こんな時間……!?」
 その途端。
 なぜか、急に顔をすーっと向こうを向けてしまった奥さん。

「う、うん…。そう…。
 たまたま…。
 たまたまなのよ……」
って、奥さん。それ以上は、Bさんが何を言っても、口をにごすばかり。

 激しい家鳴りの音に、飛び起きたこと。
 目が覚めた途端忘れちゃったんだけど。でも、今まで見たことないような嫌ぁーな夢を見ていたことに気がついたら、急に胸騒ぎがして。
 いてもたっていられない気持ちになって、自分でもわからぬまま玄関に駆けつけ、何気に覗き窓を見たら。
 何をするでもなくぼーっと立ったまま、そこにいるあなたが見えて、慌ててドアを開けたんだって話をBさんが奥さんから聞かされたのは、その夜が明けた朝のことだった。




 ──── 本日これまで!
         72話目「真冬の夜の夢:3話中2話目」 〈了〉 メルマガ配信日:11.2.12
                                             *無断転載禁止



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本日のゆるキャラにも恨みつらみがあるなユーレイさんIMG_2633
本日の、ゆるキャラの世界にも恨みつらみがある(爆)、ユーレイさん画像



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2014
03.02

灯りを点けましょ!

Category: 怪談話-番外


 明日、3月3日はひな祭りですね。

 で、ひな祭りといえば。
 ちょっとワケあって、ひな祭りにまつわる怪談話がないかと、友人知人に聞いてまわったことがあって。

 で、まぁ。
 な~んだって言われちゃいそうですけど、結局なかったんです(笑)
 ただ、唯一あったのが…


 なんでも、ずいぶん前の3月の中旬ころのある日曜日のことだったらしいんですけど。
 庭の犬小屋の中を何気に見たら、犬小屋の奥に何だか見慣れぬ物があるんですって。

 何だろう?って、手を突っ込んで取ってみたら。
 なんと、お雛さま!!

 いや、お内裏様とかその他諸々はなく。
 お雛さまだけが、それこそ犬小屋の奥に飾ってあるみたいに鎮座ましましてたんだそうです(笑)


 絶対あるはずのないモノが、よりによって犬小屋にある、その違和感。
 さらには、それが犬小屋の中にあったというのに、あまり汚れていない雛人形ってことに、何だか思わずゾゾゾーってしたって言ってました。

 ていうか、そのゾゾゾーもありつつ。
 もしかしてこのバカ犬、近所のお雛さまを持ってきちゃったってことなんだろうか?って、それが無っ茶苦茶コワかったらしいです(笑)


 ま、その人。
 結局袋に入れてわからないようにして、捨てちゃったらしいんですけど。
 なんでも捨てる時、犬がやたら怒ってたんだとか(爆) ←犬、よっぽどお気に入りだったのかな?



 しっかしまぁ、このお話。
 どこぞの(実話)怪談オタクとか、オカルトマニアの家で起きてたら、もぉあんな因縁、こんないわくをくっ付けちゃって。
 ムッチャクチャおどろおどろしい「実話怪談」に仕立て上げちゃってたんだろうなーって(爆)

 とか何とか言って、ちょっと聞いてみたかった気もするかな(笑)





 ニュースで、最近よくウクライナ情勢を流すんで。
 そういえば、ウクレイニアンズってバンドあったなーって思い出して。
 唯一憶えている曲がこの曲だったんですけど、これって元歌があったんですね。
 (ていうか、大元はロシア民謡…。というか、この人たちが演ってたってことはウクライナ民謡だったのかな?)







 そういえば、「実話怪談」って。
 お盆にまつわるお話とか、あと大きな事故や事件に関係する日はやたら多いんですけど。
 でも、それ以外のセレブレートな日や、アニバーサリーな日がかかわるお話(例えばクリスマスとか)となると、ちょっと不思議なくらい皆無なんですよね(笑)

 ま、怪談好きな私としては。
 やっぱり怪談話っていうのは、体験する本人がソレを意識することで初めてそういうお話が生まれるのかなぁ~なんて。
 ちょっと寂しい気もしちゃうかな?(爆)



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2014
03.02

“痔”になっちゃっいましたけど、元気です!! ~番外編



 “痔”といえば、お尻ですが…。

 もぉかれこれずいぶん前ですけど、私、スキーでスッテンして入院したことがありまして。
 いや。怪我したのはお尻じゃなくってね、足(笑)


 ま、入院した先は、とりあえずは東京の某病院としとこうかな?
 で、その病院の整形外科病棟って。
 当時は、若くてやたらカワイイ看護婦さんばっかだったんです(爆)


 で、まぁ。
 そんな整形外科病棟に、私は3週間ほど入院してたわけですけど。
 あれは、そう、確か3週間目に入った日曜日でしたねー。

 午後も遅くなった頃。
 私がいた病室(8人部屋)に、交通事故に遭った20歳前後くらいの男が運ばれてきたんです。

 ただ、その運ばれてきた時っていうのは。
 若い先生と、あと看護婦さん数人でドヤドヤ運んできて。
 私のいる斜め向かいのベッドに運ばれた後は、もぉカーテンがシャーでしたから。
 どんな人が運ばれてきたのかは、全然わかりませんでした。

 ただ、ああいうとこっていうのは不思議なもので。
 その斜め向かいのベッドにいる彼が、バイクで事故って運ばれてきたっていうのは、なぜだかすぐ知れちゃうんものなんですね。


 で、まぁ。
 それは、処置もひと通り終って、看護婦さんもナースステーションに戻っちゃって、しばらく経った頃。
 例の斜め向かいのベッドの彼、やっと意識が完全に戻ったんでしょう。
 きっちり引かれたカーテンの向こうから、「痛いよー、痛いよー」って叫びだしたんです。

 ま、たぶん病室の誰かがナースコールしたのかな?
 看護婦さんが飛び込んできて、カーテンの向こうで「どうしました?」とか言っていて。
 その病室にいる私たちは、看護婦さんが入ってきた時点でもう安心と思ってたんですけど。
 カーテンの向こうの彼ときたら、怪我の痛みがよっぽど酷かったのか、いきなり絶叫をあげだしちゃって。

 ちなみに、その時ナースコールでやって来た看護婦さんっていうのは、比較的新人の人で。
 すぐ、これは自分の手には負えないって感じたんでしょうね。
 呼びにいったんだか、ナースコールで呼んだんだか、その辺は憶えてないですけど、すぐに応援が来ました。
 ていうか、病室って、ナースステーションのまん前だったんですけどね。

 そん時っていうのは、確か4人か5人の看護婦さんがいたように記憶してるんですけど。
 でもって。
 その中の一人っていうのが、この若くてやたらカワイイ看護婦さんばっかの整形外科病棟の中でも、とびっきり美人でして(笑)

 で、ちなみに言うと。
 ナースコールで最初に呼ばれた看護婦さんっていうのも、かなりカワイイ人だったんですけど、応援で駆けつけた他の看護婦さんも負けず劣らずカワイかったり、美人だったり、スタイルバツグンだったりだったと(爆)


 で、まぁ状況はわかりますよね?
 ベッドの周りをカーテンが引かれた、一種密室ともいえるその狭い空に男(若い)が一人。
 それに対して、キレイな看護婦さんが4、5人、よってたかって手当てしてくれているという、なんともうらやましくなっちゃうというか、何というか(爆)

 でもまぁ。
 それっていうのは、あくまで客観的に見た状況……
 というか。
 日曜の夕方、ヒマしきっている、怪我した箇所以外は(文字通り)ピンピンしている整形外科病棟の患者たちから見た状況に過ぎなかったってことなんでしょう(笑)

 だって、想像してみてください。
 カーテンの向こうの彼っていうのは、何かしらの事故に遭って、意識を失って。
 で、気がついた時には、全身を襲う痛みと、何がなんだか全然わかない中、どこともわからない場所(病院)にいるわけですから。


 で、その後。
 カーテンの向こうから、彼の悲鳴に混じって、例のとびっきりの美人の看護婦さんの声が聞こえてきたんです。
「○○さんね。痛いのよね。
 わかるわよ。だって、背中ズル剥けなんだもん。
 だから、痛くないように軟膏を塗ってるの。
 だから、ちょっと大人しくしてて!」

 いやもぉ。
 同じ部屋の外野のヒマ人患者たちときたら…
 たちまち、隣りのベッドの人と目配せしあって。
 うわっ!背中ズル剥けなんだってよー
 なんて、もぉ目を白黒させちゃって(笑)

 とはいえ、そんなヒマ人たちとは大違いで、カーテンの中はもう完全に修羅場になってるようで。
「わー!ぎゃー!
 痛ぇっ!
 わー!ぎゃー!」
「ちょっと、誰々さん、体しっかり押さえて!
 軟膏塗れないから!」
「痛ぇー!ぎゃー!ぐわー!」
「キャっ!」
「だから、ちゃんと押さえててって!」

 例のとびっきり美人の看護婦さんがテキパキ指示を出すのですが、今日は日曜日。日曜日の看護婦さんっていうのは、比較的新人の方が多いんです。
 そんな中、またとびっきり美人の看護婦さんの声が聞こえてきました。

「軟膏は塗ったから。
 あと、痛み止め。
 痛み止め、入れといた方がいいね。」
「はい。」
 
 いや、もちろん。
 その間も、カーテンの向こうの彼の「わー!ぎゃー!」は続いてました。
 だから、中の看護婦さんたちの声も、つい大きくなっちゃって。
 よって、私たち外のヒマ人たちに筒抜けだったわけですね(笑)

 で、ちなみに。
 これは、そのことがわからないと、その後のカーテンの向こうの彼がおかれた状況が実感しにくいと思うんで、あらかじめ言っときますと。
 その病院で「痛み止め」っていうのは、座薬でして
 つまり、「痛み止めを入れる(入れられる)」っていうのは、経験したことがない人も多いことなわけですね(笑)


 カーテンの向こうからは、相変わらずワーギャー絶叫と、看護婦さんたちの声が聞こえてました。
 そんな中。
 いきなり、今までのワーギャーって声を、さらに1オクターブくらい大きくした絶叫があがったんです。
「な、何をするんだーっ!
 わーっ!や、やめろー!やめろーっ!」
「誰々さん、しっかり押さえててよ!」
「はい!」


 さらに大きくなったカーテンの向こうの彼の絶叫の中、例のとびっきり美人の看護婦さんのテキパキした声が聞こえてきます。
 しかし…
 カーテンの向こうの彼の絶叫が、ふいに、絶叫というよりは、悲鳴に近い声に変わって。
「や、やめろぉぉー!
 やめてくれぇぇぇー!」
「さ、早く入れて!」
「やめろぉぉぉー
 やめてくれぇぇぇー
 やめてくれぇぇぇー
 はっ、はっ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~」


 って、字にしちゃうと、そのトーンが伝わらないんですけどねー。
 でも、そのカーテンの向こうの彼の絶叫から、悲鳴。
 そして、断末魔。
 さらに、いきなり腑抜けになっちゃったみたいな声の変化ときたら(爆)

 でも、まさか同じ部屋で大爆笑するわけにもいかなくって。
 顔を枕に押し付けて「くっくっく…」って、いやもぉ苦しいのなんの。


 でも、カーテンの向こうの彼の状況っていうのも、まぁわからなくはないですよね。
 楽しくバイクに乗ってたら、事故ってふいに意識を失って。
 気がついたと思ったら、無茶苦茶キレイな看護婦さんによってたかって下を脱がされちゃって。
 で、問答無用とばかりお尻に初体験ですもん(爆)


 とはいうものの。
 そのカーテンの向こうの彼って、かなり変な人だったみたいで。
 その後、お漏らししてから、いきなり脱走しちゃって(笑)
 結局、どっかに運ばれてっちゃいました。


 次の日の朝、脈をみてもらう時。
 カーテンの向こう修羅場にいた看護婦さんが、「昨日はまいったわよー」なんて、もうほとほと疲れたって口調だったんで。
「気がついたら、キレイな看護婦さん数人に囲まれてて。
 いきなりお尻に何か入れられちゃうんだもん、
 彼も怖かったんじゃない?
 だって、想像してみてよ。
 もし自分がそうなったら怖いでしょ」って笑いながら言ったら。
「そんなもんかなぁ…」なんて、看護婦さん、顔が全然不承不承で。
 その看護婦さんには申し訳なかったですけど、その表情を見てたら、思わずちょっと笑っちゃいました(笑)


 まぁ病院、それも手術とか入院とかっなっちゃうと、恥ずかしいあんなこと、こんなこと、そんなことだってされまくりなんで(爆)
 仕事としてそれをしている方からすればイメージしにくいっていうのはあるんでしょうねー。

 あ、そういえば、2回目に入院した時。
 って、それはまた別のブログネタにしよーっと(笑) 






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2014
03.01

72話目 ~3話中1話目

Category: 怪談話


 お寒い日が続いていますが……
 
 しんしんと冷え込む夜といえば、やっぱり怪談・奇談の世界に静か~に浸るに限ります。
 現在あなたがパソコンを見ている、明るくほかほか暖か~い、その部屋。
 でも、そんな幸せな部屋を一歩外に出れば…

 そこは、染み入るような冷たい風が吹きぬける、あるいは雪がしんしんと降り積もる真冬の夜の世界。
 そこは、今この時も怖ぁ~いこと、不思議ぃ~なことが起きているのかもしれない世界…

 えっ。寒い日に怪談なんて、ゾクゾクしちゃってよけい寒いじゃねーかよって?
 いえいえ。
 ゾクゾクするのはお話のせいじゃなくって。
 (だって、そんな怖いお話をする気はありませんし…)
 それは、もしかしたら今あなたの家の窓の外に、身も心も凍えさせたナニカがいるからなのかもしれませんよ。

 冬の夜っていうのは、外にいる「誰」もが凍えているもんだから…
 ぽかぽか暖かそうな部屋を見かけると……

 ふっと中を覗きたくなるってもんなんです。




 それは何年か前のとっても寒かった冬のこと。
 その夜、Aさんは残業で一人会社に…

 オフィス街っていうのは夜。それも深夜になると、東京のど真ん中でも、ちょっとびっくりするくらい静まりかえっているもの。
 クルマなんて、時々タクシーが通り過ぎていくくらい。
 たまに通る人も、コートの襟を立てたりマフラーを口元まで巻いて。
 むっつり足早に、なぜだか妙に薄暗く見える明かりの点く地下鉄の出入口に消えていくばかり。

 ビルが高いせいなのか。
 それとも、オフィス街であるため店があまりないせいなのか。
 そこは、大都会のど真ん中だっていうのに変に暗くて。
 いや。遠くに目をやれば、あちこちのビルの窓に、ぽつんぽつんと明かりが灯っているのが見えるのに。
 でも、それが明るい分、まわりの窓が暗ーく沈んでいるような、なんだかそんな錯覚を覚える…。

 そして、それは建ち並ぶビルの根元がある地上も同じこと。
 エントランスや、ビルとビルの間のベンチがあったり木々が植わっていたりするわずかなスペース──そこは、昼間はサラリーマンやOLの憩いの場だったりするのに──は、不思議なくらい光が届いてこない。
 そこにだって、明かりはあるのに。
 それなのに、そこはなぜかとても暗く感じてしまう。

 そう。
 そこは昼間…
 そこにある、そのベンチで、恋人を横取りされたOLが、戻ってきて欲しいという希求と未練の思い、それと自分をこんな目に合わせることの怨嗟の思いのこもったメールをその彼氏に送った場所だから…?
 あるいは、最後の最後の土壇場で契約を他社に奪われ、けんもほろろに追い返された営業マンが悔し涙を流した場所だから…?
 あるいは、社内の出世競争の中、ライバル社員を蹴落とすための罠を仕掛ける計画を練った場所だからか……

 様々な黒く、そしてその黒さゆえに強い思いが滲みこんだ、そんな暗い場所を、からっ風が音をたてて吹きぬけていく、そんな真冬の夜。


 とはいえ、Aさん。
 その時、Aさんがそんなことを考えていたってわけではなく。
 というか、そんなこと考える余裕なんて全く皆無な状態。
 ま、つまり。
 だから、残業しているわけでー。

 ていうか、そもそも。
 そんなことに気を散らされる程度の忙しさなら、とっとと家に帰っちゃって。
 明日の朝ちょっと早めに出てきて、一気に片付けたほうがよっぽど効率的ってもの。

 だから、当然。
 その夜のAさんの頭の中には、同僚たちの間でなにかの折に話題になる、出張先で亡くなったある社員にまつわるあの話…。
 あるいは、行き先のない不倫の果てに結局死を選ぶしかなかった、例のOLの話なんて、これっぽちだってなかった。

 そう、Aさんの頭にあったのは…
 とにかくこの仕事を終電前に片付けて、一刻も早く帰って寝たいってことだけ。

 とはいえ、Aさん。
 今日一日、打合せやら何やらで飛び回って疲れていたわりには、仕事は着々と片付いて。
 そんなわけで、会社の裏口の重い戸を開けて出たのは、午前0時まであと15分か20分くらいという頃だった。


 電話がかかってこない分、夜は仕事がはかどるよなぁーなんて思いながら、あの暗いオフィス街を一人歩いるAさん。
 もちろん、そこはAさん以外誰も歩いてなかった。
 思わずうぅぅーって口から出ちゃうような、冷たいからっ風が吹きぬけていくばかり。
 今、Aさんの背中を竦ませたばかりのその風は、今度は葉っぱが一枚もない街路樹をぐらんぐらん揺らしている。
 それを見るともなく見上げて、足を早めたAさん。
 ま、寒いのは寒いのだが。
 予定の仕事をちゃんと片付けたこと。そして、その出来具合にもAさんは充足感と安堵を感じていた。


 そんなAさんの歩く先に見えてきた、地下鉄の駅の入口の灯り。
 でもそれは、虚ろに薄暗い。
 ビルが建ち並ぶ場所のせいなのか、それともわざと暗めにしてあるのか。
 もっと明るく感じられる地下鉄の入口だってあると思うのだが…

 階段も、やっぱりAさん以外誰もいなかった。
 そんな階段を降りていくと。
 出たのは、やっぱり人っ子一人いない地下の通路。
 そんなガラーンとした空間を、Aさんは今日の仕事のこと、明日の午前中やらなきゃならない仕事のことを考えつつ。
 灯りだけが妙に眩しい、がらんとした改札を横目に見て、さらに歩く。

 誰もいない長い通路…。
 そこは、何の音もなくて。
 ただただ、黙々と歩いているAさん……

 Aさんの歩く通路は、いきなり直角に折れて。
 と、そこに現れたのは、さらに地下深くへと降りていく長い階段とエスカレーター。
 その、やっぱりAさん以外誰もいないその空間。
 Aさんから見て、一番手前には階段。
 その向こうは、下に向かって降りていくエスカレーターが一基。
 さらに向こうには、上ってくるエスカレーターが2基。
 一番向こうのエスカレーターは、もう止っているのか……

 下りのエスカレーターのステップに足を下ろすと、ガタンという音がした。
 徐々に下に降りていく、Aさんの体。

 うぉんうぉんうぉんうぉんうぉんうぉんうぉんうぉんうぉん……
 するするするするするするするするするするするするする……
 それは、延々と続いているエスカレーターが発する音。
 それ以外、何の音もなかった。


 その、ガラーンとした空間は、天井がエスカレーターの傾斜と平行しているから下が見えない。
 そのくらい、はるか下まで続いている、長い長いエスカレーター。

 周りがあまりに静かなせいか、エスカレーターのうぉんうぉんうぉん、するするするするというかすかな音が、やけに耳にはいってくる。
 Aさん、普段ならそんなことないのに。
 なぜだか、ふと後ろが気になって…。
 何気なく振り返っても、もちろんAさん以外誰もいない。

 そこは…
 うぉんうぉんするするという音とともに、次々に降りていくエスカレーターのステップと手すりのベルト。
 そして反対に。その右側にある上りのエスカレーターベルトが、するする上がってくるのが見えるだけ。
 そんな、がらーんとした巨大な斜めの空間……


「ふぅー…。なんか、疲れたな…。」
 Aさんの口から、思わずこぼれ落ちたひとり言。
 その長いエスカレーターはやっと半ば。
 4基並んだエスカレーターと1つの階段。
 真夜中のそんな空間の中ほどに、Aさんはたった一人。

 うぉんうぉんうぉん…。するするするする…。
 Aさんしかいないのに、動き続けているエスカレーター……

 その時。ステップにずっと立っているだけだったAさんがエスカレーターを歩いて降り出したのは、いいかげんそのエスカレーターの長さに飽きたからなのか。
 それとも、歩きださければならないような何かを感じたからなのか。
 ガタン、ガタンと1歩2歩。3歩4歩と、エスカレーターを降り始めたAさん。
 でも、そんなAさんとは関係なく、エスカレーターも動き続けていた。

 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。
 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。


 ガタン、ガタン…。
 特に急ぐでもなく、下っているエスカレーターとともに降りているAさんの足。
 そのAさんの視線の先ににやっと見えてきた、エスカレーターの終点の向こうに広がる踊り場の床。
 普段は人で行き交うそこも、今はやっぱり誰もいなくて、ガラーン…。

 何気に上を見ても、いつも通りのはずなのに。
 不思議とうすっ暗く感じるのは、やっぱり誰もいないからなのか?
もっとも。
 そこまでたどりつけば、Aさんが乗る地下鉄のホームまでは短い階段がひとつあるだけ。


 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。
 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。

 でも、エスカレーターはまだ続いている。
 その時っていうのはAさん、気持ち足を早めようとしたはずなのに…。
 なのに、その足は、逆にふっと止ってしまった。

 真下にあるエスカレーターの終点を見ていたはずのAさんの視線。
 それが、ビクッとやや右にすっと動いて。
 うぉんうぉん、するする…という音ともに下っていく、Aさんの乗ったエスカレーター。
 そして、やっぱり同じ音ともに上がってくる、隣のエスカレーター。

 そのエスカレーターの動きとともに、やや右を見たAさんの視線は、さらに右に…。
 それは、さらにさらに右に…。
 少しずつ、少しずつ。右に右にと向いていく、Aさんの視線のその動きに合わせるように。
 やっぱり、少しずつ、少しずつ手前に寄ってくる視線の先。
 それは、Aさんの乗るエスカレーターの隣りを、するする上ってくるエスカレーター。
「…………。」

 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。
 粛々と下りていく、Aさんの乗ったエスカレーター。
 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。
 それは、粛々と上ってくるエスカレーター。
 いつの間に乗ったのか?
 Aさんの視線の先に立っていた一人の女性。
 それは、エスカレーターの動きとともに、どんどん近づいてくる……

「…………。」
 今はもう、ただただその女性に釘付けになっているAさんの視線。
 下っていくエスカレーターに立つAさんと、上がってくるエスカレーターに立っているその女性。
 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。
 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。
 
 その女性の立つエスカレーターが上がってくるにしたがって、どんどん右に右にと向く、Aさんの視線。
 その目の焦点も、どんどん手前に手前にやって来る。

 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。
 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。
 今、その女性が立っている場所は、Aさんの右斜めすぐ前。
 それが、真横を上って行って…
 そして、さらに上に……

 それでも、その女性から片時も外れないAさんの視線。
 それは、どんな鈍感な人だって絶対怪訝に思う、そんな視線だっていうのに。
 エスカレーターとともに上がっていったその女性は、Aさんに一瞬たりとも視線を寄こさなかった。
 何を見ていたのか、どこを見ていたのか…。
 その双眸は、ただ前を見ているだけで。
 それはまるで、すぐ隣りをすれ違っていったAさんが別の世界の人間であったかのような……

うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。
うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。
「…………。」

 はるか上になってしまったいたというのに、その女性の後姿から視線が離すことができないでいたAさん。
 後になって思えば、エスカレーターの終点によく気づいたものだと…。


 唖然という感覚は、その長いエスカレーターが終わったところにある踊り場を直角に折れ、その下にある階段を降りている時もずっと続いていた。
 Aさんは、変にぼーっとしている頭をふりふりしつつ。
 そんな時、階段の下からふわぁーっと上がってきた風。
 その生暖かいような、それでいてすーっと冷えるような風を感じたAさんは、電車がホームに近づいていることに気づいた。

 駆け足で降りたホームにも、やっぱり誰もいなかった。
 いつものこの時間なら、今のAさんと同じようにぼーっとした目の会社員の男性、そしてたまに女性が、ホームにぱらっぱらっとはいるのだけれど…。
 でもまぁ今夜のこの寒さじゃ無理もない。
 誰も、今夜はとっとと帰ってしまったということなのだろう。

 それは、やって来た地下鉄の車両の中も同じだった。
 最終の2本か3本か前の電車だっていうのに、今夜はやけにガラガラ。
 ぽつぽつと立っている人もいたが、あちこち空いている席もあった。
 これ幸いと席に座ったAさん。
 両脇に座っていた、どちらも中年の男性が「ううん…」って、ちょっとだけ目を覚まして。
 横に座ったAさんにちらっと視線を送って、また眠りに戻っていく。

 座れたことで、思わずほっとひと息吐いたAさん。
 寝ちゃおって。
 何気に目をやったそれは、まだ開いているドアの外の光景。
 がらーんと誰もいないそのホーム…
 その虚ろな明るさのホームの灯り…
 そして、やっぱり虚ろな明るさの駅名や黄色の出口案内……

 その時、Aさんの脳裏にふっと蘇った、あのエスカレーターの女の姿…
 Aさんの乗ったエスカレーターが下がっていくにしたがって、どんどん近づいてきたその顔…
 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。
 上りのエスカレーターの乗ったあの女がAさんの真横を過ぎて、さらに上へと上がっていくその光景…
 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……。
 そして。
 はるか上にいっても、何一つ変わらないままの姿勢で立っていた、その後姿…
 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……
 うぉんうぉんうぉん……。するするするする……


「あ…。」
 あれが、この世のものじゃないってことなのか……
って、Aさんが思ったのはその瞬間。

 でも…。
 もうAさんの視線の先に見えたものは、真っ暗闇が走り去っていくドアの窓ばかりだった。




 ──── 本日これまで!
          72話目「真冬の夜の夢:3話中1話目」〈了〉 メルマガ配信日:11.2.11
                                             *無断転載禁止



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本日のひな祭りで浮かれてるユーレイさん画像_2584
    本日のひな祭りで浮かれているユーレイさん画像


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2014
03.01

“痔”になっちゃっいましたけど、元気です!! ~その後



 ま、私の“痔”の経過なんて知りたくもないでしょうけど(笑)

 とはいえ、まぁ。
 ある意味、特に知りたくもないことを知らなきゃならないのが、ブログってもんなのかなーなんて(爆)


 てことで、今日は“痔”の治療の薬の紹介(笑)

 まずは、飲み薬「乙字湯(オツジトウ)」
 

オツジトウ


 「オツジトウ」なんて、ネーミングからして、もしかして便秘の薬なのかなぁ…って。
 “痔”のサイト、どれ見ても、治療にはウ○コを柔らかくする薬を飲むって書いてありますしねー。
 毎食前に飲むっていうのからして、そんな気がするなー。

 ただ、説明書きには“病状がそれほど激しくない痔の症状に効果がある”って書いてあるんで。
 “痔”そのものにも効くのかなぁーって。

 あ、ちなみに漢方薬みたいです。
 お世辞にも「ウマイ」とは言い難い味ですが(ていうか、マズイ!)、不快なマズさじゃないとこが面白いですね。


 でもって、次が「ネリプロクト軟膏」


ネリプロクト


 ま、形状を見れば想像がつくと思いますけど。
 ご期待通り(爆)、キャップをはずし、先端をお尻にブチュっと差し込んで。
 で、中身をぶにゅぅ~って注入しちゃいます(笑)

 いやもぉ最初やる時は、ムッチャクチャ怖くって(笑)
 恐る恐る…。
 ていうか、そもそもお尻の方の差込口がどこにあるかわかんね~よ~!(爆)

 ま、差込口もやっと定まって。
 先端を差込口にブチュっと差し込むのが、いやもぉコェ~のなんのって!!

 でもまぁそこはよく出来たもので。
 特に痛いって感覚もなく差し込んで、チューブを押すと。
 ぶにゅぶにゅ~って、冷たいモンが中に入ってきます。

 とはいえ、特に不快な感じは全然なく。
 というか、特に快感っていうのもないかな(爆)
 (ソコが感じやすい人なんかは、どーなんだろ?)


 困るのは(というか不便なのは)、一日一回の注入なんですけど。
 でも、ウ○コをする前に注入しちゃうと、ウ○コとともに薬が出てっちゃうんで。
 日々、ぶにゅぶにゅ~って注入するタイミングをいつにするか、とっても迷います(笑)


 で、まぁ肝心の経過なんですけど。
 今んとこは、特に何とも…… 
みたいな感じですねー。


 あ、不幸中の幸いっていうのか、特に痛いわけでもなく、血が出るわけでもないんですけど。
 でも、なーんかイヤなんで(何だか、変に力が抜けてイヤ…)。
 早く治んないかなーって思いま~す(笑)







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