2013
06.30

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 月曜日はキライ なう ← おバカ~  なう






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2013
06.30

パンツネタ、おかわり~!(笑)

 いやもう。
 今日は近所で道に迷っちゃって……(爆)

 今日って、そんなに暑くないと思ったんだけど…
 意外に蒸し蒸ししてて。
 いやはや、もぉ汗だく。
 参りましたねー(笑)

 住んでる所って、町自体は古いこともあって、細い道が入り組んでて、袋小路も多くって。また、意外なくらい上ったり下ったりと高低差もあったりで。
 実は、いまだに知らない道って結構あるんですよねー。


 てなわけで、本題。
 今回は、前回書いたパンツネタで思い出したお話。
 だから、やっぱりパンツネタです。
 パンツネタで2回も書くからって、もしかしたら「コイツって、きっとパンツが好きなんだろーな」な~んて思う方もいるかもしれませんけど。
 まー、パンツ…。
 別に嫌いってこともないけど、でも特に好きってわけでもないかなー(爆)

 そうそう。
 パンツといえば、小学生の頃。
 友だちに、「ぱんつかんだことある?」って聞いて。
 友だちが、「うん」って言うと、
 「え!オマエ、パンツ噛んだことあるのかよー、エンガチョ!」って。
 で、「ない」って言った場合は、
 「え!オマエって、パン掴んだことないの?
 給食ん時、どーやってパン食ってんだよー!」
っていう遊びがあったなぁ…… ←はい。バカで~す!


 で、まぁパンツです。
 私は学生の頃、よく山に行ってまして…
 たぶんご存知だとは思うんですけど、山っていうのは、大体においてとりあえず山頂を目指すんですね。
 で、まぁ目指す山頂にたどり着いたら。
 今度は、下を目指すわけなんですけど、まぁ今回は下を目指すほうはお話に関係ないんで忘れてくださっても大丈夫です ←じゃぁ書くなよ(笑)

 で、まぁ山を登る人は大体山頂を目指すわけですが…
 で、大体の人が山頂を目指して、山頂にたどり着くと。
 その山頂にたどり着いた大体の人は、大体が山頂で休憩をするわけですね。
 休憩するっていうのは、大体の人はまぁ腰をおろして。
 ザックもおろして、中をあけて。
 とりあえずは水とか飲んで、「あーうめぇー!」って言って。
 でもって、次はおもむろにおにぎり食ったり、お湯を沸かしてカップラーメンを食ってみたり。
 ま、中には豪勢に焼肉やら何やら、ウマそうなもの食ってるヤツらもいたりもするわけですけど、それはまぁともかく。
 山頂に着いた大体の人は、そんな風に腰をおろして。ザックをあけて中身を出して、山頂で1時間か2時間くらい過ごすわけですね。

 ここで大事なのは。
 そう。山頂に着いた大体の人は、ザックを開けて、さらにその中身を出すという、そのことです。
 つまり、山頂って所は、ザックの中身を広げるところであるがゆえに、その結果落し物や忘れ物がとっても多い場所なんですね。
 それは、帽子や手袋、タオルからはじまって、カメラのキャップやカバー。さらには、ウインドブレーカーといった大物、さらには財布とか…。
 そういった比較的ポピュラーである落し物・忘れ物に混じって。時々見かけるのがパンツなんです(やっと出てきた!)。
 ちなみにですけど。
 そのパンツって、なぜだか必ず女モノと…!?

 たぶん、私自身実際に見たことは3回くらいだと思いますけど。
 友人が見た話を入れると、当然もっと多くなります。
 また、山の雑誌には「山頂に着いたら、木にパンツがはためいてたもんで。疲れも吹っ飛んで思わず元気になっちゃった~い!」てな読者の投稿(当然、はためく写真入www)が載ってたこともあったくらいです。


 ま、そんな数ある山頂の落し物・忘れ物の一つとしてパンツもあるわけですが。
 ただ…
 ちょっと変だと思いません?

 だって、パンツですよ、パンツ。
 パンツっていうのは、下着ってくらいで。
 大体の人は服の一番下に着ているものです(一番上に着てたら、かなり変態です)。
 ま、そこは山頂ですから。
 山頂でさんざんぱら飲み食いした結果、ウ○コやオ○ッコがしたくなるっていうことはあるにせよ。
 パンツが体から離れる…
 な~んてことは、普通ないはずだよなぁ~~~(爆)


 なのに、そこにパンツはある……
 不思議です。









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2013
06.30

75話目「百(-90くらい)物語」-6 下の巻

Category: 怪談話

*上の巻はこちらhttp://kaidansweets.blog.fc2.com/blog-entry-174.html

「でな、その次の年のことだったそうなんだ。
 やっぱり夏の終わりに、若い女性が1人で島にやってきて――。」
「えっ。話、終ったんじゃないんですか…」

 いやもう。
 亀山先生の怪談話は、一郎さんが行方不明になって終わったとばかり思っていた私は、思わずきょとんです。
「川口、お前ってバっカだなぁー。
 一郎さんが自殺しただけじゃ、怪談でもなんでもねーだろ。
 後があるんだよ、後が…。」
「でもほら、瀬田のことも心配だし…。」
 私がそう言った途端でした。テントにいた他のみんなが、いっせいにブーブー言い出したんです。
「川口、うっせーよ。
 で、先生、それからどうなったんです?」
 なんと驚いたことに。亀山先生にはさっさとご退散願いたい私とは裏腹に、他のみんなは先生の怪談話聞きたいみたいなんです。

「ほぉ~らみろ!
 いいからお前は黙ってろ!
 でな、管理人のおじさんな。
 若い女性が1人でキャンプっていうのも変な話だなぁーって。
 ほら、その前の年の一郎さんの一件もあるわけだろ?
 それに…
 なんかこう、雰囲気も変だったらしいんだな。
 どことなくぼぉーっとしてるっていうか、目つきが変に据わっているというか…。」

「でな。おじさんは、キャンプの受付に来た時に飲み物を勧めたりして、
 いろいろ話しかけたらしいんだな。
 そうしたらな。
 驚いたことにさ、例の一郎さんの友だちだって言うんだとさ。
 管理人のおじさん、こりゃおそらく一郎さんの彼女だって、ピーンときて。
 後追い自殺なんかされちゃった日にゃ、また大事件だよって。
 だから、女性1人でキャンプなんて危ないですよーとか、
 今はシーズンオフで管理棟に部屋空いてるから、
 そっちに泊れって勧めたらしいんだな。
 そしたら彼女、意外にも素直に頷いて…。」

「で、まぁな。とりあえずは一安心だったんだけど、
 そうは言っても、ずっと管理棟に居さすわけにもいかないし、
 かといって、1人にすると心配だしで。
 管理人のおじさんは、他に客がいないのをいいことに、
 その日は、その彼女をボートに乗せて湖を案内したり、
 夜はバーベキューをしたりでなんとかやり過ごしたそうなんだ。
 で、彼女は2泊の予定だったから…。
 次の日は、朝から応援の若いヤツ呼んでおいて、それとなく見張ってたらしいんだな。
 まぁそんなわけで、2日目も無事過ぎて。
 夜は、おじさんと応援の若いヤツと、その彼女と、
 みんなでメシ作ったり、花火やったりしてたら。
 その彼女は、来た頃とは見違えるように明るくなってきたんで、
 もう大丈夫だろって思ってたんだそうだ。」

「いや、清楚な感じの綺麗ぇな女のコだったんだそうだ。
 いい家で育ったんだろうなぁっていう素直ぉーな感じで。
 言葉遣いなんかもものすごく丁寧で…。
 応援で呼んだ若いヤツなんか、もうぽぉ~っとなっちゃって。
 明日の朝は、ボートで湖のどこそこに案内しようかな!な~んて。
 もうウキウキしながら言ってたらしい。
 そしたら、その彼女も、
 明日晴れるといいなーなんて、ニコニコ笑ってたらしいんだな……」

「ところが…。
 次の朝、彼女がいつまでたっても起きてこないんで、
 こりゃマズイって部屋に行ってみたら、案の定部屋にいない。
 もぉ大慌てで島を捜したら…。
 一郎さんが湖の底めがけて歩いてっちゃった、
 あの岩の所に女物のサンダルが揃えてあって…。
 うん。結局…
 彼女の遺体も見つからなかったんだそうだ……。」

「うぅぅぅーっ!怖いですねぇー。その話…。」
 思わずつぶやいたのは、私の前に座っていた青木クン。
 青木クンがそんな風に心底怖がって言うもんだから、亀山先生ときたら、もぉすっかり得意がっちゃって。
 「どうだ!」とばかり、私を見て皮肉な笑みを浮かべてるんです。
 なんだか、やけにシャクに触って…。
 だから言ったんです。
「先生、それだってその女の人が自殺しただけじゃないですかー。
 怪談じゃないじゃないですかぁー!」
「あーあー、まったくもうー。
 川口…。オマエって、心底バカなんだな。
 怪談はよ、これからなんだよ。これから…。
 本当に怖いのは、これからなんだよ。」
「そうだよ、バーカ!
 川口は黙ってりゃいいんだよ。
 で、先生。それからどうなるんです?」
 実は私って、そのテントの班長だったんですけど。
 亀山先生のおかげで、青木クンをはじめ、班のみんなから総スカンです。

「うん。でな、そんなこともあったんで、
 その年は、もうキャンプ場閉めたらしいんだ。
 いずれにしても夏ももう終わってたしな。
 で、次の夏が来たんだけど…
 なにせ、自殺に行方不明が2年連続だろ?
 お客、気味悪がって来ないんじゃないかって、
 管理人のおじさんは心配してたらしいんだな。
 でも、特にそういうこともなくって。
 例年通りお客はいっぱい来たんだそうだ…。」

「でな。ある時、親子連れの客が帰る時に、
 チラッと言ってたのが最初じゃないかと思うって言うんだよ。
 その親子連れが言うには、
 迷子かなんかを捜してるようなんだけど、
 なんだか唐突で、ちょっとオカシイ人なんじゃないかって、
 ちょっと気味が悪かったって…。」

「その親子連れが、迷子を捜しているなんて言うもんだからさ。
 ほら、これだけ大きいキャンプ場だろ?
 迷子なんて日常茶飯だったから、
 管理人のおじさんも聞き流しちゃったらしいんだな。
 ところが…
 その後も何度かそんなような話をお客から聞くことがあったんで、
 ある時ふと気になって…。
 おじさんは、あるお客に詳しく聞いてみたんだそうだ。
 そうしたら。
 そのお客が言うには、
 夜中に島の遊歩道を散歩してたら、桟橋の方角から、
 若い女性が1人で歩いて来るのが見えたそうなんだ。
 あっちにテントはないのに、
 こんな若い女性一人で変だなぁーって思いつつも。
 そうは言っても、まぁキャンプ場だし…
 みたいにそのお客は思ってたらしいんだな。
 で、やがて、その女性とすれ違って…。
 ふと、その女性に呼び止められたらしいんだな…

 “あのー、すみません。”
 “はいっ?えっ、なんでしょう?”
 振り向けば、お嬢さん風のきれーいな女性…。
 その、どこか憂いを帯びた目が、すーっと上がってきたと思ったら、
 そのお客の目をガッチリ捕らえて。
 まるで目の奥を見入っているように、ググッと見つめてくる。
 そして…
 聞こえてきたのは、消え入りそうな細ぉーい声……

 “ちょっとお聞きしたいのですが…
  一郎さんは、どこにいるか知りませんか?”
 “はぁ?”
 “一郎さんは、どこにいるか知りませんか?”
 “一郎さん!?”
 こくりと頷いて。
 そのお客の目を、グイっと。
 なおも強く見つめてくる、そのお嬢さん風の女性。
 “さぁ……”

 お客がそう言った途端、その女の目つき顔つきがギラリと変わる。
 お客は、その女のあまりの変容ぶりに思わずゴクリ。
 しかし、女はすぐにもとのちょっと寂しげな感じの穏やかな顔に戻って。
 “そうですか。どうもありがとうございました。
  失礼します…。”
 そう言って深々と頭を下げた女は、また向こうに歩いていく……

「そこまで聞けば、
 もぉその女って誰なのか、わかりきってるだろ?
 でも一応、その女の人って、こういう人じゃありませんでしたか?って。
 おじさん、そのお客さんに聞いたらしいんだよ。
 そしたら顔の感じや体型、服装まで、あの時の一郎さんの彼女とピタリ。
 管理人のおじさんも他のスタッフも、もう肝潰しちまって。
 例の彼女が来た時にいた若いヤツ、
 たまたま横で聞いたらしいんだけど、もうガタガタ震えちゃって。
 しばらく椅子を立てなかったらしい。
 でな、おじさんによると。
 その後も、毎年必ず何人か、
 その話をするお客っていうのがいるんだそうだ……」

 そこまで話して、話をふっとやめた亀山先生。
 黙ったまま、私たち1人1人の顔を順番にじーっと見回します。
 いやもぉ誰一人、何も言えません。
 そして…
 
「でな…。
 キャンプに来たお客が、こうしてテントの中で過ごしたりするだろ。
 それは、大体そんな時が多いそうなんだ。
 テントの入口のあたりが、
 サワサワと何かが触れるような音がして。
 なんだか、誰かが覗いたような…
 なんか、そんな気配を感じたなぁーと思っていると…
 ふいに――。」

 “あのー、すみません…。
  ちょっとお聞きしたいのですが…
  一郎さんは、どこにいるか知りませんか?”

 それは、亀山先生が一際細ぉーい声で小さくそう言った、その「どこにいるか知りませんか?」の最後のところでした。
 亀山先生は、完璧に話の中に入り込んじゃってた青木クンの顔のまん前で。
 「知りませんかっ!」
 いきなり声を最大ボリュームにしたもんだから、さぁ大変。
 青木クンは「うっ!」って声を出したっきり、そのまま固まっちゃって。
 亀山先生が、すかさず青木クンの肩をポンって叩いたら、青木クンその場にへなへな~ってなっちゃって。

 それを見た私たちは、途端に大爆笑。
 そんな最後に大爆笑をしたことで、私たちは亀山先生の怪談話をスッキリ終えたわけなんですが…。
 その反面、妙に余韻の残る怪談話だったように思います。
 私たちはその後もしばらく亀山先生とワイワイやってたんですけど。
 ふいに、どっかから「亀山先生どこですかーっ!」って呼んでる声が聞こえて。
 「おっ!ヤベっ!すっかり長居しちまった。じゃぁな!」
 そう言って、亀山先生は慌ててその声の方に行ってしまいました。


「ヤバイ!
 今、外にいる…。
 今そこを開けたら、大変なことになるっ!」
「え…。」
 いつもとは全く違う湯川クンの強張ったその表情。
「な、な、なんなんだよぉ、湯川ぁぁぁー。
 お、お、脅かすのはやめろよぉぉぉー。」
 例のこっくりさんの事件以来、いつも首からぶら下げることにしているお守りを、思わずぎゅっと握り締めた草薙クン。まるですがるように湯川クンをみつめるその表情は、不安半分、薄ら笑い半分。
 もちろん、それは他のみんなも同じ。
 しかし、湯川クンときたら、草薙クンやみんなのそんな表情にはまるでお構いなし。
 まるで頭の後ろを見ているような、そんな目でつぶやく。
「今、オレの後ろにいる…。
 外から中を覗くように、テントのまわりを歩いている。」
「お、おい。な、なんなんだよ、それぇー……。」
 草薙クンはじめ、みんなは湯川クンの顔を見入るばかり。
 いや、怖くて怖くて。とてもじゃないけど、それ以外の方は見れないんです。

「しぃーっ!
 今、入口のところに――。」
 その湯川クンの言葉が終わるより早く。
 なにやら、テントの入口の生地を何かが触るような音が。
 そして、それはかすかに揺れだして…。
 それは、まるで何者かが外から入口を開けようと、ファスナーを探しあぐねているかのように。
 上、下、右、左、また下と入口の生地が、外から押すように揺れています。
 しかし、突然テント全体がゆさゆさと揺れだして!
 それは、なおも大きくなっていって。
 まるで、それは何者かがテントの支柱を両手で掴んで、力まかせに揺さぶっているかのよう。

「……。」
「……。」
 草薙クンも他のみんなも、湯川クンさえも。
 誰も、身動きひとつ…、いや、声すらあげられません。
 次の瞬間――。
 中にいる草薙クンたちに、テント全体がウワーっと迫ってきて!
「っ!」


 これは、後で聞いて知ったんですけど。
 なんでも、草薙クンたちのテントの近くにいた生徒の話では。
 なんでも、水辺近くに一つポツンと離れてあった草薙クンたちのテントが急にワサワサと揺れだしたんで。「風が吹いてきたのかなぁー」なんて思ったんだそうです。
 ところが、そう思ったその一瞬後にはテントはペっシャンコ。

 近くにいた生徒たちはもうビックリ。
 「大丈夫かー!」って、もう慌てで草薙クンたちのテントに駆け寄ったら。
 そのペシャンコになったテントから、悲鳴とともに、もがくようにら這い出してきたのは草薙クンと何人か。
 でも、出てきたその草薙クンたちの顔ときたら、もう目ん玉剥き出し状態。何を聞いても、その目ん玉がどっか行っちゃったような顔で、ハァーハァーと息をつくばかり。
 何が何だかわからないが、こりゃ大変だと思った生徒の何人かが担任の亀山先生を呼びに走ったんだそうです(私のテントで聞いた亀山先生を呼ぶ声というのは、たぶんそれだったのでしょう)。
 なお、湯川クンとあと誰かは、つぶれたテントの中で完全に気を失ってたところを亀山先生たちに発見されたんだとか。


 その時っていうのは、かなりな大騒ぎになったんです。
 ただ、その場は亀山先生はじめ、先生たちが収めちゃったんで、離れたところにいた私は、騒ぎがあったってだけでくわしいことは全くわかりませんでした。
 当然、その渦中に友人の草薙クンがいたことも知りませんでした。
 ただ、その夜のキャンプファイヤーが始まる前に亀山先生が、その夕方の大騒ぎの経緯を簡単に説明したことで、私はテントがつぶれたことを初めて知りました。
 その後には、管理人のおじさんが出てきて、この湖ではまれに局地的な突風が起きるからそのせいだろうという説明してくれたり。
 また、先生の中には当然理科の先生もいますから。こういう山に囲まれた湖のようなところでは、積乱雲がある時には急な突風が起きやすいという補足の説明もあったりで…。
 まぁもっとも。みんな、それらの話になんとなーく納得して。
 その何分か後には、お決まりの♪燃~えろよ、燃えろ~よって歌っていたように思います。



 私が、その時の状況知ったのは、林間学校から帰ってきた後でした。
 草薙クンとは小さい頃から親しかった私は、草薙クン本人から聞いたんです。
 ただ…。
 いつもの草薙クンなら、その時々の状況を事細かく語るはずなのに、なぜかこの一件に関しては、今まで話したようなおおまかな事を言うだけで。
 おまけに、あんなに好きだった心霊現象系の話、林間学校から帰ってきてからはパッタリしなくなっちゃって…。
 もしかしたら、他にも何かあったのかなーって。
 ちょっと変な気はしましたけど、今となってはその辺については全くわかりません。

 そういえば…
 次の年、このお話では名前しか出てこなかった例の瀬田クンと同じクラスになった私は、その瀬田クンと妙ちくりんな体験をすることになるわけですが…。
 ま、そのお話については、またいつかということで。



 ところで。
 その、ちょー有名観光地「某湖」に浮かぶ島。
 ネットで検索してみたら…
 なんと、現在は島に渡る手段はなく、無人島なんだとかで(驚!)
 おまけに、“島には何箇所か桟橋が残っており…”と、もぉほっとんど遺跡扱い。
 「そーかー、あそこもそんなになっちゃったんだなー」って、ちょっと感慨に浸っていたら。
 最近は、カヌーやら何やらで遊びに行っている人もいるようで。
 その方のブログを見ると、神社も全然きれいに残ってるし(手入れされているらしい)、道も草ぼうぼうなんてことなく整備されているようで、 ちょっと安心しました。




――── 本日これまで!
                   75話目「百(-90くらい)物語-7」につづく 初出:09.9.10
                                             *無断転載禁止



*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください。




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2013
06.29

千葉県の不思議


 ま、私。産地は千葉県でして。
 まーねー。
 千葉県なんて、房総半島の南の方や東の方を除けば、東京の植民地…、じゃなかったベッドタウンですから(笑)
 東京の近郊の例に漏れず、もぉひったすら同じような光景が続くばっかりで。それぞれの街の特徴なんて、ぶっちゃけ誤差みたいなもんですけど。
 とはいうものの、誤差なりに愛着はあります。

 まー、最近じゃぁ、ライバル埼玉県に相当差をつけられちゃって。
 埼玉県からはライバルと思われてないようなところも無きにしも非ずですけど。
 とはいえ、千葉県を愛するモノからすれば、そここそが千葉県らしいとこかなーって(爆)


 そういえば、他の県の人たちに意外に知られてないというのが、千葉県は日本で一番低い県だということ。
 いや、一番低いって、バカばっかとか、貧乏人ばっかとかそういうことではなく(笑)
 標高が低いんですね。
 というか、正しくは県の最高地点の標高が一番低い県なんです。

 ウィキペディアで見てみると、1000m以上の地点がない県は、沖縄県(526m)、大阪府(959m)、京都府(972m)、千葉県(408m)だけです。
 つまり、その4県の中でも最高地点が500m未満なのは、千葉県だけなんですね。
 それこそ、昔TVのクイズ番組で“一番標高の低い県は?1.沖縄県 2.千葉県 3.大阪府”って三択問題が出て、回答者はみんな「沖縄県!」って答えてたくらいです。


 で、まぁ低いといえば…。
 これは、私が子供の頃、友だちとよく言ってた冗談なんですけど。
「千葉県っていうのは、ホント偉人がいない。
 まず、いいとこ伊能忠敬。で、次は長嶋茂雄。」
(ちなみに。伊能忠敬の次は、長嶋茂雄とハマコーっていうバージョンもありました)

 ちなみにですけど…
 この冗談のポイントって、わかりますよね?
 偉人っていったら、やっぱり織田信長とか、西郷隆盛とか。はたまた、野口英世とか、現代ならiPS細胞の山中伸弥博士とか。
 そういう人が偉人のメジャーどころじゃないですか。
 ま、伊能忠敬って、確かに偉人は偉人ですけど、でもそんなメジャーな偉人ではないですよね(たぶん、これ読んでて“誰それ?”って人、結構いると思います)。

 「千葉県の偉人は?」と聞かれて、まず出てくるのがそれほどメジャーじゃない伊能忠敬で。
 で、次にやっと出てくるのが長嶋茂雄って。
 長嶋茂雄って偉人かー!って(爆)
 いや。たぶん偉い人は、偉い人なんですよね。きっと…。
 だって、日本の戦後の復興の、ある意味立役者の一人なわけですから。
 ただ、いわゆる「偉人」というのとは、またちょっと違うよーな(笑)
 

 そんな千葉県なんですけど、行ってみたい県は?なん~んて聞くと、意外に健闘してたりするんですね。
 「地域ブランド調査2009」によると、なんでも19位なんだとか。
 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/163
(ただし、同じような他の調査を見ると順位は結構違ってたりしますけどね)

 これを見ると、千葉県は19位なのに、隣りの茨城と埼玉は最下位で、その上が栃木、群馬なんだなーとか思って、ちょっとばかし喜んでしまうわけなんですけど…。
 ただ、でも、千葉県ってなんで19位なんだろ?来たくなるようなもん、何かあったっけ?って考えてみると。
 あ、あれね。ネズミーランド!って(笑)
 つまり、あれがなかったら、千葉県も最下位を争ってたってことなんでしょう(爆)

 まー、そんな。
 特にみんながんばってるってわけでもないのに、東京の隣りってだけで、そういうモノが出来ちゃって。
 そのおかげで、なーんかそれなりに存在感が出来ちゃうっていうその展開が、千葉県の千葉県たる所以なんだろーなーって。
 それが、何よりの千葉県の不思議(爆)







付記(おヒマだったら読んでよね)

 上記の「地域ブランド調査2009」の結果は、回答者は地域別同数であるものの、“日本の縮図となるように、年齢や地域人口の分布にあわせて再集計した”とありますから。
 つまり、人口の多い所の回答の傾向が、比較的高くなる傾向になるはずです。
 どういうことかというと、人口の多いエリアの近県は、普段から「その近県」に行っている回答者が多いだけに、“観光に行きたい”との回答は低くなる傾向があるわけです。
 よって、人口の一番多い首都圏の近県である、栃木県や群馬県、茨城県の順位が最下位になるのは当り前なわけです。

 つまり。「現代ビジネス」のこの記事の最後の部分、“魅力が、各県(北関東4県)のイメージには残念ながらつながっていない”という指摘は、間違いとは言わないまでも、明らかにデータを表面的にしか読んでいない指摘といえます。
(だって、推測ですけど栃木・群馬の観光収入は相当高いはずですよね)
 そもそも、質問は“観光に行きたいか?”であって、“普段観光で行っている県?”ではないわけですから。

 とはいえ。
 これは、西日本在住の知り合い何人かに聞いて、意外だなーって思ったことなんですけど。
 (ま、あくまでその知り合いの意見ですけど)西日本の人って、東京はともかく、北関東から東北にかけての観光意欲ってあまりないようなんですよね。
 それこそ、「その辺だったら、いっそ北海道行くかなー」みたいな感じで。

 ただ…
 例えば、夏の旅行先として思い浮かべる場所(国内)って。
 まぁ海は別としても。
 関東以北(もしくは中部以東以北)の人なら、高原と湖(東京近辺だと日光や富士五湖のような所)っていうのは絶対思い浮かべると思うんです。

 でも、それは身近にそういう場所があって。
 家族なり友人知人なりとの旅行や、もしくは学校の旅行で実際に行った経験があるからなんですよね。
 たぶん、経験があるからこそ、“夏の旅行先は?”と聞かれて、そういった場所を思い浮かべることが出来るんじゃないかって思うんです。

 つまり。もしかしたら、西日本の人が「その辺だったら、いっそ北海道かなー」みたいに言ってしまうのは。栃木や群馬、あるいは東北の魅力の一つである「高原と湖」の場所が身近になく…。
 身近にないがゆえに、行ったことがなく…。
 行ったことがないがゆえに、「行ってみたい場所」としてイメージできない。
 よって、行かない。行こうとも思わない。
 という面が相当あるんじゃないかって思うんですけど、どうなんでしょう。

 とはいえ。
 ま、現在の旅行は「いい景色」よりは、「食う」「温泉」「ご利益スポット」、でなければ「ゆるキャラ」みたいなところがなきにしもあらずですけどねー(爆)
 とはいえ、いくら「食う」「温泉」「ご利益スポット」「ゆるキャラ」が充実していても、「いい景色」という大前提がなければ「観光地」というカテゴリーとしてはイメージされないっていうのもあるわけで。
 まぁ個人的には、人がウジャウジャいる所に好き好んで行くヤツの気が知れない!っていうのはあるんですけどぉー(笑)
 でも。もしかしたら、日本人の国内旅行って、やり方次第じゃもっと伸びる余地はあるんじゃないかなーって(今は、LCCなんてもんもあることだし!)。

 まー、現在はネットが生活の中心になってしまった世ですから。
 それこそ、この「現代ビジネス」の内容じゃないですけど、手近にネットで得られるこんな情報こそが世の常識として流通してしまうわけですよね。
 各観光地は、少なくともこういった表面的な情報によるイメージに潰されてしまわないよう、様々な手段を講じて情報発信をしてほしいなーって。

 だって、その場所の観光客がゼロになってしまうということは…
 交通手段や宿泊先もなくなっちゃって、その場所に遊びに行きたくとも行けなくなっちゃうってことなんですから。





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2013
06.29

75話目「百(-90くらい)物語」-6

Category: 怪談話

 ま、前のお話が修学旅行のお話だったんで。
 なら、林間学校のお話も載せなきゃダメだろーって。
 てことで、本来ならメルマガ通りに75話目「百(-90くらい)物語」-6のお話に行かずに、ここでは別のお話を「6」としちゃいます。
 もっともこのお話って、あるサイトで紹介されたお話でして。もしかしたら読んだことがある方もいらっしゃるかもしれません。
 ま、そのあたりはご勘弁を。



 林間学校っていやぁ、怪談。怪談っていやぁ、林間学校っていうくらい林間学校と怪談は切っても切れない関係なわけで。
 ま、言ってみりゃ林間学校の怪談は、怪談話の定番中の定番って感じですよね。
 しかも、その舞台ときたら、ちょー有名観光地「某湖」に浮かぶ小さな島と…。
 とはいえ。煽っちゃったはいいけど、読んだら大したことなかったっていうのは怪談話にはつきものなんで(爆)、これくらいにして。


 まぁ島といっても、そこは湖の中にある島ですから、ホント小っちゃなもので。でも、そんな小っちゃな島のわりには、キャンプ場の規模は結構なものでした。
 松の木が鬱蒼と立ち並ぶ中に、三角形のテントがズラーっと並んでいる光景を見たときは、ちょっと圧巻だった記憶があります。

 テントというと、今は薄い生地で設営だって簡単にできるドーム型テントやオートキャンプ用のテントをイメージするかもしれませんが。
 でも、そのキャンプ場のヤツは常設の屋根型テントです。
 生地なんか分厚くって相当ごっつい代物で。支柱やフライシートからは太い張り綱がピーンと、これまたごっついペグ(というよりはたんなる鉄の杭)に結わえてあり、もう頑丈そのものって感じでした。

 島の真ん中は、小山のように高くなっていて。
 ごつごつした岩と背の高い松の林に覆われたそこは、上には意外にも平らな空間があって、そこには古い神社が建っていました。
 さらに島の周囲には、湖岸に沿って島を一周できる遊歩道のような整備された道があって。テントが並んでいるのはその道から湖側、炊事場等の施設は小山側という風になっていました。
 島ですから、当然船でしか出入りできません。
 キャンプ場からちょっと離れたところに、遊覧船をつけることのできる大きな桟橋があって。そこには、貸しボートなんかもあったように記憶しています。


 さて、林間学校2日目の行事であるハイキングも終わった、その夕方。
 それは、飯の準備の前のぽっかり空いた自由時間。
 本来なら、一番楽しい時間であるはずなのですが。
 でも、豪雨の中のハイキングで全身びしょ濡れになって。やっと乾いた服に着替えられたばかりというその状況では、たとえ小雨でも散歩という気にはなりません。
 そんなわけで、その時私たちは、それぞれのテントの中でバカ話をして過ごしていました。

 まぁそんな林間学校という場面で、中学生が話すことといったら大体決まっています。
 皆さんも覚えがあるかと思いますが、まぁ好きなコの話かエッチな話、でなけりゃ怪談話と。
 というわけで、ご他聞にもれず私たちのテントは、怪談話で盛り上がっていました。
 昼の豪雨はおさまったというものの、空の低い所にまだまだ黒雲がたちこめ、それでなくとも暗いというのに、そのキャンプ場は鬱蒼といってもいいような松林の中。
 その時私たちは、テントの出入口を閉めてしまうと暗すぎるのと暑っ苦しいのとで、前後とも全開にしていました。

 私たちのテントの前を、亀山先生がぶら~り通りかかったのは丁度そんな時でした。
 ところで、この亀山先生というのは、私たちのクラスの担任ではないのですが、私にとっては所属する部の顧問の先生で。
 また、亀山先生のクラスには、川田クンや瀬田クン、はたまた草薙クンといった親しい友人がゾロゾロいたせいもあって。私は、この亀山先生と顔を合わせると、ヒマつぶしにおちょくられるか、でなければ無っ茶苦茶怒られるという関係になっていました。

「おっ!川口。お前、瀬田見なかったか?」
 その時私はテントの入口のとこ座っていたこともあり、すぐ目についたのでしょう。亀山先生が声をかけてきました。
「え、瀬田ですか?
 さぁー。ハイキングの時は見ましたけど…。
 どうかしたんです?」
「いやよー、またアレやってんじゃないかって思ってよ。
 ちょっと注意しとこうと思ったんだけどな。
 でも、瀬田の班のテントにはいねーんだよ。」
「じゃ、草薙んとこでしょ。
 草薙と湯川クンは一緒の班ですから。
 3人でアレやってんでしょ。ハハハ…。」

 アレというのは、別に煙草やシンナーみたいなヤバイ遊びではなくって。
 まぁ簡単に言っちゃうと、「こっくりさん」のことです。
 1学期に、亀山先生のクラスの瀬田クン、草薙クン、湯川クンとその他何人かが、その「こっくりさん」をやっていた時のこと。
 瀬田クンに霊がとり憑いたようになって、もぉ大騒ぎという事件がありまして。
 それ以来、亀山先生のクラスでは「こっくりさん」の類の禁止令が出されていたんです。

「いや、草薙んとこは今見てきたんだ。
 草薙と湯川が一緒のわりには、まぁ真面目にスケベ話で盛り上がってたな。
 そうかぁー、どぉこ行きやがったのかなぁー。
 ところでお前らは何だ、怪談話か?
 おい、まさかアレやってんじゃねーだろうなー。」
「やってませんってぇー。
 この班は、臆病モンばっかなんですから。」
「なんだよお前らぁー。幽霊なんて怖いのかぁ?
 ちぇっ。しょーがねぇーなー。
 じゃオレが、この島であった、とっておきの怖い話してやるか!」
 な~んて。
 亀山先生がニヤリと笑うものですから、私はもう大慌てです。
 だって、この亀山先生をテントの中に入れたら、何をされるかわかったもんじゃありませんから。
「せ、先生っ。瀬田を捜してたんじゃないんですか?
 瀬田、今頃アレやってそうだなぁー。」
「いいよ、もう瀬田は。
 まぁよ、草薙や湯川と一緒じゃなきゃ大丈夫だろ…。
 ほらっ、お前ら!奥につめろ!
 雨降ってて、冷てぇんだからよ。さっさとオレを中に入らせろ!」


 さて、そんな風に亀山先生が私たちのテントで怪談話を始めたちょうどその頃。
 そこは、草薙クンと湯川クンがいる班のテント。
 亀山先生の指導の下で無理やり始めさせられたエッチ話は、その頃にはすっかり話題がつきちゃって。
 漂ってきたのは、なんとなーくしらけたムード。
 いくらエッチなお話には目がない男子中学生とはいえ、そこは中学1年生です。経験ゼロじゃ続けようがありません。
 ましてや、そのテントにいるのは草薙クンや湯川クンみたいな、心霊現象の知識なら何でもござれだけど。でも、エッチ方面となると幼稚園児レベルばかりの班なわけです。
「なぁ…。亀山(先生)、もぉ来ねーんじゃねーのー。」
「キャンプファイヤーの準備だってあるだろうしさ…、大丈夫だろー。
 なぁやろーぜー。順番に入口で見張りしてさ。」
「そーだよ。せっかくの林間学校だぜ。
 これ、やんなきゃつまんねーよ。」
 ま、悪い相談というのはすぐまとまります。


 一方、私たちのテントでは、テントの真ん中にどっかと座りこんだ亀山先生が怪談を熱演中です。
「ある夏の終わり、司法試験だかなんだかで浪人中のヤツ…。
 まぁ浪人中だから、とりあえず一郎さんとでもしとくか。
 その勉強に疲れきった一郎さんが、1人でこの島にキャンプに来たわけだ。」
「ちょっと先生…。それってホントの話なんですかぁー?
 普通1人でキャンプ来ないでしょー。」
 相変わらずテントの入り口に座っていた私がそう言うと。
 テントの真ん中に座っていた亀山先生の目が、私の前に座っていた青木クンの頭の横をすり抜けるようにギロ~リ。
「あっ、川口。お前、疑うわけ?
 ふぅ~ん…。そうなんだー…。」
 そう言っている亀山先生の、もったいぶった変な頷きかたと、斜めがちに私を見る目つき…。
 その瞬間私が思い出したのは、1週間後から始まる部の合宿のこと。
「だ、だから…。
 別に疑ってるってわけじゃ――。」
「じゃぁよ。お前、今すぐ、(キャンプ場の)管理人のおじさんのとこ行って聞いてこいよ。
 俺だって、去年管理人のおじさんに聞いたんだからよ。」
 まぁお話の出所がこの亀山先生ではなく、キャンプ場の管理人さんということであればそれなりに信憑性も出てきます。
 というわけで、私は(不承不承ながらも)大人しく聞くことにしました。

「えーと、そうそう。
 その一郎さんはだな、1人でキャンプに来たんだ。
 それは夏の終わり頃。
 観光客なんかほとんど来なくなった頃のことだったそうだ…。」
「おっ!なんだか怪談っぽくなってきたじゃないですか。」
「お前な、そんなこと言ってられんのも今のうちだぞぉぉ~っ!」

「でな、1日2日と一郎さんは、湖を眺めたり、ボート漕いだり、
 島を散歩したりして過ごしていたらしいんだが…
 それは3日目のことだったそうなんだ。
 管理人のおじさんな、その時っていうのは偶然見ちまったらしいんだけど…。
 ほら、このテントの横の道(遊歩道)あるだろ?
 あれをずーっと桟橋の方に向って行くと、島の形に沿って曲がるようになってんだろ。
 あそこん所に、岩が湖に突き出してるとこあるの知ってるか?」

 それは、キャンプ場からはちょっとはずれたところで。
 岩といっても、断崖みたく切り立っているわけではなく。
 岸から5メートル位の長さで岩が突き出していて、先端にいくにつれ徐々に湖の中に没していくような感じになっていました。

「管理人のおじさんな、夕方、片づけをしている時。
 その岩の所に、一郎さんが、ぼーっと突っ立てるのが見えたらしいんだ。
 その日は、天気はまぁ曇りだったらしいんだけど、風はなくて。
 湖面にも波はなかったんで、
 おじさんは、まぁ特には心配もしなかったらしいんだな。
 ところがだよ。
 おじさんが何か作業をしてて、ちょっと目を離したその後。
 何気にその岩を見たら、一郎さんの姿がないのに驚いて。
 慌てて、辺りを見回したんだそうだ。」

「そうしたらな。その岩の先、7、8メートル位の湖面に、
 腰から上だけが見えている一郎さんの姿が見えて…。
 そうこうしている間にも、一郎さんはどんどん沖に進んでいく。
 今、腰から上が見えてたのに、あっという間に首から上だけ。
 そして、その首から上も湖面の下に見えなくなって…。」

「管理人のおじさんは、もう大慌てでボートを出したらしいんだけど、
 一郎さんは見つからない。
 その後警察に連絡入れたりして、捜索が行われたらしいんだけどな。
 何も見つからず、結局は行方不明ということになってしまったらしいんだな…。」
「えっ、それって自殺なんですか?」
「まぁそれ以外考えられないよな。
 駆けつけた家族が言うには、
 試験勉強に疲れきってたみたいだったって言ってたらしいし…。
 まぁノイローゼによる自殺ってことなんだろ。」


 一方、草薙クンたちのテントです。
 学校で「こっくりさん」を禁止されてからというものの(まぁ学校以外では楽しんでいたらしいのですが)、クラスのメンバーだけっていうのは久しぶりで、一同気合タップリ。
 松の木が鬱蒼と生い茂る、それでなくとも薄暗い島のキャンプ場。
 空には黒雲が頭がつっかえるように低く、夏の夕方だというのにこの湖の辺りだけ真っ暗。
 まだ昼だというのに、対岸の灯りがやけにキラキラ浮き立って見えます。
 おまけに、なぜかおあつらえ向きに草薙クンたちのテントだけ湖岸近くにちょこんと離れていて。
 傍では、岸に寄せる波が、ちゃぽん、ちゃぽんと静かに音をたてています。

 ところで説明を忘れていましたが。
 「こっくりさん」の類を学校で禁止された原因に、瀬田クンに霊がとり憑いたみたいになった事件があったと言いましたが。
 実は、その時狂乱状態で暴れていた瀬田クンを鎮めたのが、その時草薙クンと一緒にこっくりさんをしていた湯川クンでした。
 狂乱した瀬田クンが、そういう霊感みたいなものが異常に強いというのは以前から知られていたらしいのですが。でも、湯川クンも同じように強いというのは、みんなその時初めてわかったんだそうです。
 以来、草薙クンはその湯川クンと急速に仲良くなって、お互いの家に遊びに行ったり。
 草薙クンの家というのは、実は私の家の近所なんですけど。
 そんなせいもあって、草薙クンからは、湯川クンの家に行くと本棚に心霊関連の本がズラリと並んでいるとか、いろいろウワサは聞いていました。
 ただ、私自身はその湯川クンとは不思議と縁がなくって。
 顔こそは学校で何ども合わせていましたけど、その前も後も、話をしたことはないように思います。


 さて、そのテントの中…。
 10円玉に指を置いた草薙クンと、霊感の人である湯川クン。それとあともう一人。
 やがて、いつものごとく10円玉が紙の上を滑り出します。
「あなたはこっくりさんですか?」
 10円玉は、するっするっと「はい」を往復。
 みんな思わずフーっと息を吐き、顔を見合わせます。
 鳥居のマークにもどった10円玉に、草薙クンが質問をします。
「今夜、雨でキャンプファイヤーは中止になりますか?」
 すると、10円玉は再び「はい」。
「やったー!」
 草薙クンたちは大喜びです。
 キャンプファイヤーはかったるかったんで、中止になんねーかなーって、みんなで言ってたんです(ちなみに、実際には中止にはなりませんでした)。
 まぁ、そんな感じに。草薙クンたちのテントで、「こっくりさん」は進んでいってたわけです。
 そして…

「なぁ、草薙。
 この島ってさ、暗くってなんか不気味じゃん?
 霊がいるか聞いてみようぜ。」
 1人がそんなことを言いました。
「おー、それいいな。それ聞こうぜ。
 こっくりさん、こっくりさん、この島に霊はいま――。」
「シーっ!」

 それは、いきなりでした。
 ふいに湯川クンの左手がポンと。草薙クンの肩を軽く叩いたかと思ったら。
 湯川クンはその左手を、すかさず自らの口のところに持っていって。
 口元に指をあてて、草薙クンやみんなを黙らせたのです。
 しかし、その湯川クンの一連の動き。草薙クンたちは、亀山先生が来たんだと思ってしまったらしくって。
 もぉみんな、大慌て。
「ヤベっ!おい、外見てみろ!」
 草薙クンのその言葉に、見張り役が入口のファスナーに手をかけようとしたその時――。
「やめろ!ダメだ!
 今、そこ開けるな!」
 それは、テントの中にピシーンと飛んだ湯川クンの叫び声。
 入り口を開けようとファスナーに手をかけた見張り役をはじめ、そこにいた全員の目がさーっと、再び湯川クンの顔に走ります。
「ヤバイ!
 今、外にいる…。
 今そこを開けたら、大変なことになるっ!」
 ほの暗いテントの中の、湯川クンの押し殺すような声。
 一つだけ点けていた懐中電灯の橙色の灯りがぼわ~んと照らしていたのは、今までに見たことがないような緊張しきった湯川クンの顔。




                             ──── 下の巻に続きます 初出:09.9.10
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2013
06.29

犬神家の一族/横溝正史著

Category: R&R

 高3以来の『犬神家…』は、ホント『犬神家…』で。
 あらためて読んだら、実は猫神家だったなんてこともなく…
 ただまぁ。
 思ってたより、おどろおどろしくなかったんだなーって。

 いや、タイトルを「鈴木家の一族」とか「山田家の一族」にしてたら、それこそ全然イメージ違うんじゃないかって。
 ま、そもそも作者自身がおどろおどろ好きなのか、それとも時代の求めるままにあの手のエログロ趣味を添えたのか。
 まぁその辺はなんともですけど、横溝正史って誰もが思い浮かべるあのイメージほどおどろおどろしさはないですよね。
 おどろおどろしいってことじゃ、むしろ現代の「嫌ミス」の方がよっぽどおどろおどろしいし。
 また、必要以上に定番的展開というか、ワイドショー的展開というかで煽りまくってると思うけどなー。

 横溝正史は、タイトルと(映画の)イメージのおどろおどろしさで敬遠しちゃってる人は多いみたいですけど。
そんなイメージは取っ払って、とりあえず一冊読んでほしいかなーって(ま、古いちゃ古いけどねー笑)。


 しかし、今回読んであらためて気がついたのは、この『犬神家…』って、話の筋そのものは『獄門島』とほとんど一緒なんですね。
 終戦して、ある人が復員するかしないかという状況に、先代の遺言が絡んできて。
 いくつかの偶発的な条件が重なった瞬間、ある人がある人を殺さざるをえなくなる状況が発生してしまうと。
 後は、もうホント、殺し方の演出が違うか、犯人が違うかってくらいで(爆)
 それでいて…、というよりは、だからこそ面白いんだから、なんだか笑っちゃいます。 

 いやぁー、もぉホント。
 感想なんて、「あー面白かった」。
 そのひと言しかありません(笑)
 ホント横溝正史には、このパターンであと10作くらい書いて欲しかったよなーって。
 横溝正史って、そういう意味じゃミステリー小説であってミステリー小説じゃないんだろうなーって。 ←ホメ言葉です

 なんだか、そんなことを思ってしまいましたとさ。
 めでたし、めでたし。







 そういえば、この『犬神家…』って。
 実は、高3の時に横溝正史の一連をざーっと読んでいた時、唯一犯人がわかった小説でして(いや、ホント。トリックも含めて8割くらい当たってましたー!)。
 当時、そのことで嬉しくなっちゃって、某友人に話したら。
「なんだ、犬神家だけかよ。
 オレなんて全部わかったぜー。あんなもん簡単だわ」って。

 私、今でもあれは絶対ウソだって思ってます(爆)




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2013
06.26

長年の素朴な疑問

 ほら、梅雨時とか、雨の日が続いて洗濯物が乾かないと。
 「パンツ、裏返して穿かなきゃ」ってぇ冗談を言う人っているじゃないですか。
 昔知っていた人で、よくそれを言っていた人がいたんですけど。
 実は、その人がそれを言うたんび。私は、あるツッコミ(というか素朴な疑問)がのど元まで出かかってたんです。
 でもまぁその人って、女性だったってこともあって、一応自粛(?)してたんです(笑)

 で、まぁ今日のことなんですけど。
 たまたま、ある人がその「洗濯物乾かないから、パンツ裏返して穿かなきゃ」っていうのを言っていて(ちなみに、その人も女性)。
 いや。特に深い意味はなかったし、それより何より深くも考えてなかったんだと思うんですけど。
 長年言いたかったツッコミ(というか素朴な疑問)が、つい口から出ちゃって。
 つまり…
「それって、外側が汚れたからひっくり返すの?
 それとも、内側が汚れたからひっくり返すの?」

 いやもぉ。
 すんごい、イヤぁ~な顔されちゃいましたとさ(爆)
 めでたし、めでたし











 で、結局どっちなんでしょーね?
 おしえて、湯川センセぇぇぇ~~~! ←ファンにお~こられる!(爆)




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2013
06.26

容疑者Ⅹの献身/東野圭吾著

Category: R&R
 「Ⅹ」と言ったって、仮面ライダーⅩじゃぁーなく ←古っ!
 「献身」と言ったって、上杉謙信でもない ←もっと古っ!
 かの、『容疑者Ⅹの献身』です。
 やっと読みましたー!
 てことで、さっそくブログネタ(笑)
 なお、以下は『容疑者Ⅹ…』を読もうかどうしようか迷っている人にとっては、全っ然、これっぽっちも参考になりませんのでご注意を(爆)

 いやもぉ参考にならないどころか。
 ドラマの『ガリレオ』、ぶっちゃけ私は好きじゃありません。
 現在やっているのはわかりませんけど、何年か前にやっていたのは何回か見てやめちゃいました。
 それは、主人公が数式を書き出と事件が解決されるあのシーンが、私にはあまりに陳腐に感じられちゃったからです。
 ドラマの『ガリレオ』は、オカルト的な事件を物理学者が解明するって設定で、ホント期待したんですけど。
 陰陽師だとか魔法使いが呪文唱えると何でも解決!っていうのと全然変わらないように感じちゃったんです。
 主人公の口癖を借りるならば(ただしちょっと捻って)、「面白くない」のひと言でした(笑)

 とまぁそんなわけで、『容疑者Ⅹ…』も全然興味ありませんでした。
 なのに、ふっと読んでみよっかな…と思ったのは。
 日本の小説の海外での可能性についてTVでやっていて、その中でこの『容疑者Ⅹ…』が取り上げられていたのを見たのがきっかけでした。

 とまぁ長々と書いてきたわけですど。
 東野圭吾。
 まぁホント、ミョーに縁がなくって。
 また、やっと読んでもミョーに引っ掛かってこなくって(面白く読めるって意味じゃ、ホント面白く読めるのにねぇ…)。
 まぁ相性の悪い作家ってことなんだろなーって思ってたんですけど、今回ばっかりはあっさり兜を脱ぎました(笑)
 どのくらい兜を脱いだかっていうと。
 実は、この『容疑者Ⅹ…』って、『犬神家の一族』と一緒に買って、同時並行で読み始めたんですけど。
 『犬神家』が100ページくらいのとこで、先に読み終わっちゃったくらいです(ちなみにページ数はどっちも400ページ前後)。

 で、まぁ『容疑者Ⅹの献身』。
 まぁ単純に面白いってぇのもあったんですけど、なにより真相に“なーるほどー、そうきたかー!”って。
 あれにはホント、冗談抜きで“唖然…”としました。
 
 あと、登場する人物のキャラがいいんですよね。
 ある意味主人公ともいえる、石神先生って人が味があっていいなーって(ストーカーなんて言ってる人、だ~れ?)。
 事件の発端である、富樫を花瓶で殴りつける娘の花岡美里の激情もいいし。また、恩義に背を向けても自ら求める愛に気持ちを向けてしまう母親の花岡靖子も妙にいい。
 弁当屋の夫婦や飲み屋のママ、さらには花岡靖子に好意を寄せる工藤等、花岡靖子の周りにいるごくごく普通の人たちの暖かさもいいアクセントになってるし。
 職務と友情に葛藤する草薙刑事もいいし、お互いが認め合えるがゆえの友情と、感じてしまう疑問に葛藤する主人公湯川もいい(なにより、いきなり数式を書きださないのがいいーっ! 爆)

 ただ、その「よさ」って、何なのかなーって考えてみると。
 つまりそれは、残り数ページってところで、“心底自分ことを大切に思っている、こんなにも愛してくれる人がたくさんいるのに、なぜ自分は幸せになれないのか”と思ってしまう、ある登場人物の気持ちがまさに象徴してるのかなーって。
 そう。このお話って、出てくる人全員が全員“哀しい”で終わるんですよね。
 それは、あの“歯車”にされてしまった人や、たんなる脇役である岸谷刑事も含めて。
 ホント、誰もがやりきれない…


 ただ…。
 こっからは、ぶっちゃけ難癖なんですけどー(爆)
 石神先生がやったことって、はたして本当に必要だったのかなぁ…。
 というか。
 だって、たぶん根本的には「正当防衛」ですよね。
 まぁ判例とか詳しいことは知らないけど、あの状況ならそんな重い刑にはならないだろうし。
 執行猶予の可能性だってあると思うんだけど。
 石神先生って人が本当に心底合理的な考えをする人であるなら、むしろ自首を勧めたんじゃないかのかなーって。
 ま、それについては東野圭吾は、ちゃんと抜かりなく説明付けをしてますし。なにより、自首を勧めちゃったら本にならないだろー!っていうのもあるわけですけどねー(笑)

 ま、石神先生が「天才」といわれるほど才があるがゆえに、策士、策に溺れるっていうのはあるんだろうし。
 ずっと続いている寂しさや不遇感が、石神先生からまっとうな(合理的な)判断をする力(機知?)を奪ってしまったというのもあるのかもしれない。
 ただ、だとしたら、作者はその部分を書ききれてないような気がするかなー。
 最後の方の石上先生の独白の中で触れられているだけだと、ちょっと弱いように思うかなー。
 そういう意味も含めて、ラストはもうちょっと書いて欲しかった気がします。

 というか、一番の難癖ポイントはタイトル。
 『容疑者Ⅹの献身』って、ある意味“全て”じゃん(笑)
 東野圭吾って、どうしてもイマイチのりきれないのは、タイトルがあまりにズバリすぎるような気がするんですよねー(笑)
 ま、5冊しか読んでないんで、その辺はなんともなんですけどねー。
 結局。作者的には、あくまで“トリックが売り”ってことなのかなぁ…。
 まぁそのうち。
 次の長編か、でなければ例の『白夜行』とか読んでみよっかな。
 そうそう。『夏の方程式』ってヤツは絶対読んでみたいんだよなー。
 だって、“夏と少年”ていったら、永遠のテーマでしょ?


 で、まぁ。
 ストーリーとは直接関係はないんですけど、個人的には石神先生の高校での授業っぷりがとっても興味深かったですね。
 いわゆる、ごくごく普通のアホバカな生徒が、例によって例のごとく「微積分なんて将来何の役に立つんだよー!」って言うと(はい。私も言ってましたー!)
 そのごくごく普通のアホバカな生徒が好きな、バイクを運転する時ののカーブに微積分が使えると説明してくれたり。
 いや、もちろん。その説明で、ごくごく普通のアホバカな生徒が微積分を教えられることを納得するわけではないんだけど。
 ただ、それっていうのは、ごくごく普通のアホバカな高校生の頃には全然わからなくとも。でも、ごくごく普通のアホバカな大人になって、実感する時があるもんなんだよなーって(笑)

 私は、いわゆる「詰め込み教育」世代で。で、その「詰め込み教育」のテストで散々な点数とって、当時はウンザリしてた口ですけど(爆)
 まぁ詰め込もうとしても、詰め込めなかったものがほとんだったわけですけど、それでもかろうじて詰め込めたこともあって。
 例えば、古文の読解を教わったことで、古典を何冊か読めたのは、日本に来ている外国人と会話する時にスッゴク役に立ったりで。
 まぁそれも現在となっては無理ですけど、でも現在は無理なだけにあの時無理やり詰め込んでくれた、あのちょーおっとろしー先生(笑)にはホント感謝してますねー。
 そういう意味じゃ、微積分だってちゃんと勉強してたら、何かしら楽しいことに役立ったんだろうなーって(爆)

 そういえば。
 お話の中では、50年か100年に一人と言われた逸材である石上先生みたいな人が研究に携われない、現在の日本の状況がさらっと描かれてましたけど。
 役に立つor役に立たないみたいな、何の根拠もない視点でしか物事を計れない、計ろうとしない現在の日本の教育や会社ってどうなのかなーって。
 だって、役に立つ人ばっかり集めたはずの日本の会社って、どれ一つとってもリーマンショックを予測出来なかったわけでしょ。
 後になってみれば、誰がどう考えたってヤバイってわかるのにもかかわらずさ…。
 ていうか、失われた20年やデフレの元凶って、猫も杓子も“即戦力”とか言ってる日本の会社であるのは明らかですよね。
 ホント、ぶっちゃけ…。

 そういう意味じゃ、湯川が学生に「(レポートは)感想を書いても意味がない、考察を書かなきゃ」みたいなことを言うシーンがありましたけど。
 現在の日本の会社やそこにいる人の多くって、世の中の表面的な感想を追っかけまわしているだけみたいな。いわゆる「大学生のレポート」みたいな仕事をしてますよね(笑)
 いや、もちろん。そういう私もなんですけどねー(爆)


 とまぁ、そんな辛気臭いことはともかく。
 それまでの生活に満足といえないまでも、不満は感じていなかった(感じさせないでいた)石神先生が。
 隣りに越してきた花岡母娘の存在に、ときめき(生活の中の新たな満足)を得てしまった、そのことって。
 石神先生の人生において、それっていったい何だったんだろう……

 人の幸せって、ホント何なんだろうなぁーって。 ←ば~か(爆)
 というか。
 本1冊読んでそこまで考えられんなら、それは「名作」ってことか!!
 いやはや、おっそれ入谷の鬼子母神!ってか ← 古っ!












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2013
06.23

日曜の夜の恒例


 なんだぁ、明日は月曜だぁ。
 聞いてねーよー、そんなこと…(汗)

 ふん!認めねー。
 明日が月曜だなんて、絶対認めねーから…


 月曜日の馬っ鹿ヤロー!

                ↑
               おバカwww







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2013
06.23

ICの季節!!


 グルメ記事でICって、ITが世の中心になってしまった昨今では「集積回路なんか食えるか、バぁーカ!」とか言われちゃうかもしれませんけどねー(笑)
 それとも、「IC?あぁ、半導体ね…」的に。
 ICって、もしかしてある意味死語に近かったりとか?
 だって、集積回路って言葉、最近聞きませんもんねー。

 もっとも、私は「IT」 って聞くと。
 いわゆる「IT」よりは、むしろキングの「IT」を先に思い出しちゃって。あれ、もう一度読みたいんだけど、長いんだよなぁ…とか、思っちゃう方なんで、「IC」が死語かどうかなんてよくわかりましぇ~ん(爆)
 というわけで。
 「IC」といったら、私としてはアイスコーヒーを真っ先に思い出します。


 アイスコーヒーと言えば…。
 なんでも、コーヒー大好きのアメリカ人は、「ぬぁにぃぃ~。冷やしたコーヒーだぁぁ~~っ!?」って怒りだすんだとか(それも、歌舞伎の見得さながらの形相で…爆)。
 でも、そのアメリカ人が大好きなアイスティーを、紅茶大好きなイギリス人は、「ぬぁにぃぃ~。冷やした紅茶だぁぁ~~っ!?」って怒りだすんだそうですね(笑) ← たぶん見得さながらの形相で
 そうそう、そういえば。
 中国で売っているペットボトルのウーロン茶に砂糖が入っていると聞くと、大概の日本人は、「ぬぁにぃぃ~。ウーロン茶に砂糖だぁぁ~~っ!?」って怒りだしますよね(爆)  ← 歌舞伎の本家だけに、ホントに見得きって言ったりして(笑)

 ま、食文化の違いっていうのは、「ケンミンショー」じゃないですけど、ホンっト面白くって大好きで~す。


 てことで、ICことアイスコーヒーです。
 アイスコーヒーって、なんでも本当はアイスカフェか、アイスドコーヒーって言わなきゃ文法的に間違いなんだとか。
 …って。学生時代にバイトしていたとこの屁理屈大好きのマスターがよく言ってたっけなぁ…(思わず感慨www)

 実は、そのバイトをしていた店のアイスコーヒーっていうのが、すんごいウマくって。
 その店へは、高2の時くらいからよく行ってたんですけど(まぁよくっていっても高校生ですから。月2回とか、いいとこ3回くらい)。
 大学に入ってから、あそこでバイトすれば毎日タダであのアイスコーヒー飲めるよなーって考えて。
 ま、コーヒーの淹れ方から、怪談話からその他諸々教わったわけですな(笑)


 てことで、アイスコーヒーですね(爆)
 ま、おいしいアイスコーヒーを作る方法は、ネットで“おいしいアイスコーヒーの淹れ方”って検索すると色々出てますんで。
 例によって、詳しいことはそっちを参照してもらうとして(笑)
 とはいえ、それではブログの記事にならないんでー。
 まぁあくまでウン十年前のことですけど、一応お客さんにアイスコーヒーを淹れていた私が思うコツを一つ、二つ……(三つ、四つ、五つ…)

①まずは、煎りの深い豆を使う
 アイスコーヒーですから、氷が入ってるわけで、おまけに氷ってヤツは溶けます。
 よって、煎りの深い豆を使わないと、たちまち水みたいなアイスコーヒーになっちゃいます。
 水っぽいアイスコーヒーって、なぜかハラがガボガボになるんですよねー(笑)

②豆は、とにかく細かく挽く
 私が知る限り、最近の豆を売ってる店って、デッティングっていうメーカーの機械を使ってることが多いようなんで。
 *ディッティングhttp://ditting.wataru.co.jp/lineup/

 こんな機械を使ってるようなら、「アイスコーヒー用の豆を3番(くらい)で挽いてくれ」って言ってみてください。
 ちなみに。
 ディッティングを使ってる店で「3番で挽いて」って言ったら、「エスプレッソ用ですか?」って聞かれたことがあったんで。
 ディッティングを使ってない店だったら、「エスプレッソ用に挽いて」と言っても大丈夫かもしれません(ただし未確認)。

③粉はケチらない
 粉はたっぷり。ケチっては絶対ダメです。
 てことで、以下はあくまで大体の目安です(グラム数までは憶えてないんで)
 1杯どり(1人分)だったら、(ドリッパーに装着した)101のペーパーフィルターに、粉の量は大体半分の高さまで
 2杯どり(2人分)だったら、102のペーパーフィルターに、粉の量は大体半分の高さまで
 3杯どりなら、102のペーパーフィルターに、粉の量は6分目くらい
 で、4杯どりなら102で7分目くらいだったと思うんですけど…
 ただ、アイスコーヒーは1度に何杯もとらない方がいいように思います。
 ていうのは、1度に何杯もとると水っぽくなりがちだし、また粉が細かいので抽出にやたらと時間がかかるんです(コーヒーは抽出に時間をかけると不味くなります)。
 バイトやってた頃も、一度にICのオーダーが4つ入った時は、2杯どりを2つ同時に淹れるようにしてました。

④お湯の温度
 お湯の温度は、ぶっちゃけ忘れました(笑)
 確か97度か98度だったと思うんだけど…。
 目安は、ポットのお湯の表面にさざ波がたっている状態です。
 あぶくがたってたら、温度は高すぎです。

⑤粉を蒸らす
 コーヒーを淹れる時に、まずお湯で「粉を蒸らす」っていうのは、最近はコーヒーの本なんかに書いてあるんでご存知の方も多いですけど。
 (とってもエラそうなこと言うようで恐縮なんですけど…笑) 「粉を蒸らす」っていうのは、相当練習しなきゃ出来ません。
 なぜなら「粉を蒸らす」というのは、粉全部に完全にお湯が行き渡っていて、かつその時点でドリッパーからお湯は1滴たりとも垂れていてはダメだからです。
 というのは、蒸らした状態でお湯が1滴でも垂れたコーヒーって、誰でもわかるくらい水っぽいんです。
 それこそ、蒸らした状態でお湯が1滴垂れたコーヒーと、垂れてないコーヒーを飲み比べたら、10人中10人が垂れたコーヒーの方を「水っぽい」って言うと思います。
 でも家庭で、蒸らしてお湯を垂らさないっていうのは、まず無理です。
 挽き立ての粉じゃないと、それこそプロの方だって無理だと思います。
 とはいえ、「蒸らす」というのはやっぱり必要なわけで。
 ということで。
 インチキだし、それで完全に水っぽくなく出来るわけではないんですけど、「蒸らす」ためのお湯を少量注いだら、そこで出てきたコーヒーは捨てちゃってください。

⑥お湯の高さ
 お湯の高さというのは、(ドリッパーに装着した)ペーパーフィルターに注ぐお湯の高さ(どのくらいの高さまで注ぐか)の目安です。
 必要以上にお湯を高く注いでしまうと、その分水っぽくなっちゃいます。
 1杯どり(1人分)だったら、(ドリッパーに装着した)101のペーパーフィルターの8分目の高さ
 2杯どり(2人分)だったら、102のペーパ7分目
 3杯どり(3人分)だったら、102のペーパ8分目

 ところが、この8分目、7分目の高さにお湯を注ぐっていうのはホント難しいんです。
 最初はその位置にお湯を注げても、大体どんどん高くなってしまいます。
 なぜなら、アイスコーヒーの場合は粉の量が多いからです。
 とはいえ「蒸らし」同様、これも結構難しいんで。極力高くしないように意識するってことしかないですかねー。

⑦コーヒーの抽出量
 これも、曖昧な記憶で申し訳なんですけど、確か1杯分(1人分)60mlだったような。
 ま、家庭でそこまで厳密にやるかどうかは別として、店だと60mlキッカリ抽出したら、残り(ドリッパーに残っていても)は捨ててしまいます。
 そうそう。アイスコーヒーの場合は、ドリッパーの下はサーバーでなく、計量カップ(耐熱性のもの)を使うと便利です。
 ただし、計量カップの大きさによっては、3杯どりなんかしたら熱くて持てなくなりますのでご注意を(笑)
 (もっとも、最近の計量カップは取っ手がついてるみたいですねー)

⑧氷が丸々いっぱい詰まったグラスを用意しておく
 作業工程的には前後してしまいましたが、コーヒーが抽出出来た時点で、氷が丸々詰まったグラスを用意しておいて。
 そこにコーヒーを注ぐ前に、手のひらでグラスを塞いでひっくり返して溶けた水を捨てて。 ←コレ絶対!
 で、抽出したコーヒーを一気に注いで、一気に掻き混ぜて完成!
 ちなみに。氷を割ることが出来るのなら、割った方が(割らない氷より)一気に冷えるので絶対おいしいです。
 それと。
 私は、普段特に耐熱グラスは使ってはいないですけど。
 でも、氷を入れたグラスに熱いコーヒーを注ぐと、グラスが割れることがあるのでその点は注意してください。 ←ホント注意!

⑨砂糖を入れるタイミング
 スターバックスの店員さんなんかに聞くと、アイスコーヒーは砂糖やガムシロップを入れない(甘くしない)って言いますけど。
 私は、アイスなら甘い方が好きかなーって。
 というか、アイスコーヒーは、(砂糖を適量入れて)上手く淹れると、チョコレートに近いような味わいがあって、ホントにウマいんです(ガムシロップでは薄くなっちゃうのでダメです)。
 といっても、いったん冷やしてしまったら砂糖は溶けませんから。
 (甘味をつけるのなら)コーヒーを抽出する前か後に1杯分(1人分)につき、砂糖をティースプーンに軽く山盛り2杯分強くらい入れて、コーヒーが熱いうちに掻き混ぜて溶かしてください。
 ただし、砂糖の量は豆の性質や良し悪しにもよって変わってきますし。
 また好みもあると思いますので、その辺りは何杯か淹れて適量を探るしかないということかもしれません。



 アイスコーヒーのウマさっていうのは、チョコレートにも似た、あのズーンとくるコクだよなーって、ずーっと思ってたんですけど。
 何年か前にホント驚いたのは、スターバックスの店員さんに「ケニア」のアイスコーヒーを紹介されて飲んだ時です。
 というか。
 普通、ケニアみたいに酸味の強いコーヒーって、絶対アイスにしないものなんです。
 だって、アイスコーヒーは“コク”ですから。
 というより何より、酸味の強い豆を深煎りにすること自体、たぶん常識外だと思います。
 ケニアみたいな豆を深煎りにしちゃったのは、たぶんスターバックスの創業者シュルツさんの「コーヒーは、深煎り以外は本格じゃない」という、一種狂信的ともいえる思い込みによるものだと思います(爆)

 しかし、そういう思い込みっていうのは、時折コロンブスの卵を産むことがあるってことなんでしょうね。
 「コーヒーって、果物だったんだなー!」
 ケニアのアイスコーヒーを飲んで、思ったのがまさにそれでした。
 それまでアイスコーヒーっていうと、何よりあの「コク」が魅力だったわけですけど。
 「さわやかさ」が魅力のアイスコーヒーっていうのもあるんだなーって(笑)

 ちなみに、スターバックスの店員さんは、「砂糖入れたら、ケニア(のアイス)のあのさわやかさがなくなっちゃうんじゃない?」って言うんですけど。
 私は、砂糖をいれて甘味をつけつつ、レモンの薄切りを入れるのがウメぇんでぇい!って(笑)

 ま、ケニアってちょっと高いかなーって気がしないでもないんですけど。
 ま、ささやかなゼイタクってぇヤツも、ちょっとはあってもいいのかな?ってことで(笑)








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2013
06.23

75話目「百(-90くらい)物語」 ~ネタの虫干し~ 5話目:下の巻

Category: 怪談話
 上の巻はこちら
 http://kaidansweets.blog.fc2.com/blog-entry-167.html

 いや、もちろん。
 R先生は、それが幽霊だとかそんなモノと思ったわけでなくて。
 ただ、その足音。どうも一人の足音ではなく複数の足音。
 R先生、もしや生徒が何人かで外に出ようとしているのかと、焦り気味に立ち上がりかけたんだけど…。
 どうも、そういう感じの足音ではないような。
 それは、足音を殺して歩いているというよりは、足音がするのなんてかまわず早足で歩く、そんな音。

 ふと見れば。
 それは、R先生の顔のすぐ傍で、やっぱり耳をすましている同僚の先生の目玉が上にいっちゃった顔。
 お互い、何も言わずうなずき合い、そーっと立ち上がると。
 出入口のドアの方に向かって、2歩、3歩──。

 ダーンっ!
 いきなり大音響で開いたドア。
 それはまさに、ソロリソロリと出入口の方に向かっていたR先生たちの目の前。
「うわっ!」
「センセ、センセ、センセ、センセーーーーっ!」
 急に開いたドアに、思わずおよび腰になったR先生と同僚の先生。
 その2人に、ドーンって勢いよくぶつかってきた何か!
「うっ!ふぅわっ!」
 ぶつかってきたモノに、素っ頓狂な悲鳴をあげて後ろにひっくり返ってしまったR先生。
 しかしそのぶつかってきたモノは、なおも叫んでいる。
「センセ、センセ、センセ、センセーーーーっ!」

「なんだよ、オマエ。W子じゃねぇかよ。
 おどかすんじゃねーよ。まったくもぉー!」
 それは、R先生のクラスの女子生徒W子さん。さらに、その後ろにいたのは、やっぱりR先生のクラスの女子生徒4、5人。
 それが、揃いも揃って、涙をぽっろぽろこぼしている!?

「センセ、センセ、センセ…、
 で、で、出た、出た、出た、出た……。」
「バっカ…。
 また始めやがったよ。」
「センセ、センセ、センセ…、
 ほんと、ほんと、ほんと、ほんと……。」
「お、お、お、お、おんな、おんな、女の人、人、人、人……。」
「かが、かが、かが、かが、鏡、鏡、鏡のとこ……。」
「か、か、か、髪、髪、髪の毛、髪の毛、髪の毛…、
 こ、こ、こ、こ、こうやって、
 とか、とか、とか、梳かしてて……。」
「何言ってっか、わかんねーよ。ばぁーか。
 落ち着いて、ちゃんと言えってーの。」

 R先生は自分のクラスの生徒ということや、そのベソかいた様子に、しょうがねーなーこいつら…って感じで話していたんだけど。
 いきなりものすごい勢いで怒りだしたのは、例の学年主任のG先生。

「オマエら、夜中に先生たちをからかって遊んでるのか!
 この大馬鹿者ぉーっ!」って。
 もぉ怒鳴るのが早いか、引っ叩くのが早いかっていう電光石火の早業。
 そこにいた全員が、ピシャン!ピシャン!って音にハっとしたと思ったら、飛び込んできた女子生徒たちの気もシャンとしていたんだとか。

 ただ、シャンとしたのはいいんだけど。
 今度はその女子生徒たち、みんな怒り出しちゃったとかで。
「嘘じゃないです。本当です。本当に出たんです!」
「本当です。私たち、みんな見たんですから!」
「目が覚めたと思ったら、わたしたちの部屋の鏡台の前に、
 浴衣を着た女の人が座ってて──。」
「鏡を見ながら、こうやって長い髪を梳かしてたんですって。
 本当なんですよ、先生っ!」
「もう、ビックリしちゃって。
 私たち、大慌てで部屋を飛び出してきたんですよー!
 それを…。ヒドイじゃないですかー!」

 女子生徒たちはそう真剣に怒ったものの、学年主任のG先生ときたら。
 そんな5人や10人の女子生徒づれが怒ったくらいじゃ、蚊がとまったほどにも感じない様子。
 「まだ言うか、この大馬鹿ものどもーっ!」って、また手を振り上げたもんだから、R先生は大慌てで間に入った。
 R先生、それが自分のクラスの生徒だけに、自分たちをからかったり、騒ぎを起こして面白がろうとしているんではないとわかったとかで。
 それに、よくよく考えてみれば騒ぎを起こすにはいくらなんでも時間が遅すぎる。

「まぁまぁ…、G先生。
 こいつら…、いくらなんだって、
 ふざけるにしちゃぁ時間が遅すぎますよー。
 まぁ、たぶん寝惚けて夢と現実をごっちゃに──。」
 しかし、そのR先生の言葉は、同時に発せられたG先生の怒鳴り声と、女子生徒たちからの抗議の声に遮られ…。

「いや、R先生。
 こいつらはね、こんな時間だからこそ騒ぎを起こして、
 寝ている生徒たちをパニックにしてやろうと企んでるに違いないんだよ。」
「そんな、先生!わたしたち、寝惚けてなんかいません。
 ホントなんですって!」
「夢なんてヒドイです、先生。ホントなんですよー。
 女の人が鏡台の前で、髪の毛梳かしてたんですよー!」


 そのどうにもならなさに見かねたのか、それともその騒々しさにウンザリしたのか。
 やっと他の先生がG先生と女子生徒たち、それぞれをなだめてくれて。
 多少は静かになったものの、いまだ興奮冷めやらぬ部屋の中。
 ふと、双方をなだめていた先生の中の一人が、
「寝惚けて、夢と現実がごっちゃになっちゃったこの子たちもこの子たちだけど…。」
 その言葉を聞いて、また勢いよく口を開きかけた女子生徒。
 R先生、慌ててそれらをまぁまぁ…ってなだめて止める。

「──この子たちもこの子たちなんだけど…。
 でもG先生も、なんだかちょっと妙に興奮しすぎてません?
 いえ、だってこの子たち…。
 この子たちは、私も教えているからよく知ってますけど、
 普段から考えたって、そんな騒ぎ起こして面白がるって生徒じゃないでしょう。
 ねぇそうですよねぇ、R先生?」
「えぇ、そうなんですよ…。
 まぁW子とかは、ちょっとオッチョコチョイなとこありますけど…。」
「ちょーっと、先生っ!」

 そんな中、やっと静かな口調で語りだし始めたG先生。
 まずは、女子生徒たちの方を見て。
「オマエら…。」
「はい?」
「オマエら、その話…、
 鏡の前で浴衣姿の女が髪の毛を梳かしてたって話、
 いったい誰から聞いたんだ?部活の先輩とかか?」
「聞いた?聞いたって…。
 だから先生、わたしたちは今部屋でソレを見たんだって言ってるじゃないですか!
 もー、なんで信じてくれないのぉー…。」
 また半べそになっちゃった女子生徒を、慌ててなだめるR先生。
 でも、ふと「うん!?」って。
 いや。そう思ったのは、他の先生も同じだったのだろう。

「え?ちょ、ちょ、ちょっと…。
 え?G先生。その話、誰から聞いたんだって…!?
 それって、どういう…!?」
 G先生を除いた先生たち、それからやっと気がついた女子生徒たちも「え!?」って。誰もが、変にきょとんとした顔で、そこにいるみんなの顔を見回していて…。

「鏡台の前で浴衣姿の女が髪の毛を梳かしているなんて、
 そんなことあるわけがないんだ…。」
 と、つぶやいたG先生。R先生は、そのG先生の様子にどこか違和感を覚えながらも、
「いや、だからこいつらは寝惚けてるわけで…。」
 そう言って。もちろん、途端にこっちを見た、女子生徒たちのギロリとした視線は無視。
「いや、R先生。寝惚けているとか、それ以前の話なんだな。
 だって、現在この宿の部屋に鏡台はあるわけないんだから。」
「い、いや…。だって、旅館っていったら、普通鏡台はある……
 あれ?ないや…。えぇー!?」

 R先生も他の先生も、部屋の中をキョロキョロ見回すんだけど、旅館の部屋には普通付き物の鏡台がどこにもない。
「だって、わたしたの部屋にはありましたよ、鏡台…。
 わたし、部屋に入った時、すぐ気がついたもん。ねぇ?」
「うん…。そう…。そうよ。
 部屋入った時に、確かW子だったかなぁ?
 鏡台を指さして、珍しいとか言ってて。
 わたしが旅館っていったら、普通あるじゃないって言って…。」
「あ!うん。それ、わたし憶えてる。」
「オマエら、それ本当か?」
 部屋の鏡台のことで、また口々に話しだした女子生徒たちをピシャリと遮るよう言ったG先生。
 そんなG先生の言葉の強さに、女子生徒たちは一瞬黙ってしまったんだけど。
 でもすぐに。
「本当ですって。間違いないです。ねぇ?」
 女子生徒たちのキッパリうなずいていた顔を、じっと確かめるように見ていたG先生は、なにやら苦虫でも潰したような顔になって。
 今度は、「うーん…。」ってしばらく唸っている。

 何がなんだかさっぱりわからないけれど、どうやら何か事情があるらしい…と察したR先生たち。
 そしてそれは、女子生徒たちにも伝わったのか。
 いつの間にか、その部屋にいる全員の視線は、何やら考えているG先生の顔に……

 その視線にやっと気がついたのか?
 G先生が一瞬見せた、ちょっとばかし慌てふためいた顔。
 でも、またすぐにいつもの怖い顔に戻って。
 そして、女子生徒たちの顔を一人一人見ながら言った。
「鏡台は、ホントに部屋にあったんだな?」
「はい。」
「うーん…。鏡台があった…。そうかぁ…。」
「G先生…。なんだかよくわからないんだけどさ。
 そんなに部屋に鏡台があるのが信じられないなら、見に行けばいいんじゃないの?」
 そう言ったのは、G先生と比較的齢の近いF先生。
「うん…。はい…。いや、見に行きますけどね。
 というか、それはちゃんと確認しとかないと、後々問題になるかと…。」
「後々問題になる?えっ、どういう…!?」
「いや…。うん…。実はね、えぇーっと…。
 あれは、もう20年以上前になるのかなぁ…。
 この子たちが言ったことと、全く同じことが前にもあってね…」
「はいぃ?」


 それは、G先生が先生になって数年が経った頃。
 G先生、先生になって最初の学校がその学校だったとかで。
 そのG先生が最初の担任のクラスを持った、修学旅行の時。
 夜中に、先生たちの部屋に女子生徒が数人飛び込んできて。
 やっぱり、「出た!」ってベソかいていたんだと……

 それは、R先生のクラスの女子生徒たちが見たモノと全く同じ。
 鏡台の前で、髪を梳かす浴衣姿の女の人。
 その時は、かなりな大騒ぎになったということもあり、旅館の責任者に問いただしたところ。
「普通のお客だと何も起こらないんだけど、
 なぜかその部屋に修学旅行の女子生徒が泊まった時だけ、そういうことが起こる。
 てなことが、極々たまぁーに。
 いや、ホント、稀にあることも…、
 うん。まぁ、あるかなぁーくらいっていうか……。」
と、なんとも煮え切らない返事が返ってきたとかで。

 まぁそれが事実であるにせよ、ないにせよ(先生という立場からすると、まぁ「ない」と言うしかないというのはあるのだが)。
 それはともかく。本来なら、そういうトラブルが起こる可能性がある旅館は、以後使用しないとなるはずだったんだけれど。
 時間が経つにつれうやむやになってしまったのか、旅館のオーナーがどこか上の方に手を回したのか何なのか。その後も修学旅行というと、相変わらずその旅館は使われていたんだとか。

 もちろんG先生やその場に居合わせた先生からすれば、それは納得できないし。さらには、修学旅行に連れて行かなければならない先生たちからしてみれば、それってたまったもんじゃない。
 上に言ってみてもどうにもならないからと、今度はその旅館のオーナーと再度話をしてみたところ。
「実は、あれからお祓いをしまして。
 それによると、鏡台を片付けてしまえば、それはもう起こらないはずだとかで。」と。

 ということで、その女の幽霊云々はともかく。学校だけに、トラブルは絶対まずいんだから。とりあえずは、その鏡台を片付けるってことだけは徹底してくれよってことで。
 その後は特に何事もなく、ここまできたはずだったのだが……


 その後、R先生たちみんながその部屋に行ってみると。
 もちろん、怖々と入ってみても、今さらその部屋に髪を梳かしている女の幽霊なんているわけもなく…。
 ただ、部屋に入るなりすぐ目についたのは、件の鏡台。
 G先生が、「これはどういうことなんだ!」って、宿の責任者を問い詰めてみても。
 その宿の責任者は、
「ここに鏡台があるんなんて、そんなはずはない。
 昼過ぎに自分自身が、鏡台が片付けられていることを全部屋確認したんだから。
 ホント、ホントなんですって!信じてくださいって!」
 と、ムキになって言うばかりだったとか。



 ちなみに。
 次の年の修学旅行からは、さすがに他の宿を利用するようになったらしいんですけど。
 ただ、その旅館自体はまだ営業しているはずだと、R先生は言います。







――── 本日これまで!
             75話目「百(-90くらい)物語」-6につづく メルマガ配信日:11.7.7
                                             *無断転載禁止



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2013
06.22

75話目「百(-90くらい)物語」 ~ネタの虫干し~ 5話目:上の巻

Category: 怪談話

 まぁ学校っていうのは、ある意味異界なんでしょう。
 それは、通常の人間の世界には存在しない人間関係やルール(というか人間関係の甘えから生じる、ルールの勝手な拡大解釈)があるのをみても明らかです。
 昨今大流行のモンスターペアレントなんていうのも、学校外じゃ意外と普通の人なんじゃないかって気がするんですけどねぇ…(いや、実際のところは知りませんよ 笑)。

 モンスターペアレント(以下、妖怪モンペさん)だって、元はといえば異界の住人(つまり学校の生徒)だったことがあったわけで。
 ゆえに学校に来ると、つい人間界のルールをふっと忘れて、異界ルールで行動しちゃうんじゃないのかなぁーって(爆)

 ほら、大人っていうのは「成人」っていうじゃないですか。
 成人というくらいですから、人に成ったわけですよね。
 つまり、「成人」の前は、人に成ってない=学校という異界の住人だったということなんでしょう。
 
 まぁねぇー。
 大人は、学校に来て妖怪モンペさんに異形変化しちゃうわけですけど、困ったことに先生ってぇーのもあれはあれで異形が多いんですよねー(爆)
 中でも私の卒業した高校の体育教官ってぇーのは、もう揃いも揃って異形…、というよりは悪鬼羅刹みたいな奴ばらで…


 ある朝、私の前の席のCクンが浮かない顔をしていて。
 まぁ例によってハラが減ってるんだろうなーって思ったんです。

 Cクンって、野球部なんです。
 私の卒業した高校は、野球ではまぁそこそこ名門ってことになっていまして。部員は、入部と同時に全員寮生活です。
 高校生の男で、なおかつ野球部で寮生活ですから、もぉのべつ幕無しハラが減ってるんです(もっとも、私は帰宅部で自宅から通ってましたけど、やっぱりのべつ幕無しハラが減ってましたねー)。

「弁当でも買って来ればいいじゃん。」
 Cクンに気安く声をかけると。
 私の声に、よろよろとこっちを向いたCクン。
 なぜか、その動作とは裏腹にキッとした口調。
「メシの話なんてすんじゃねーよー…。」って。
 いやもう、それはCクンとも思えない言葉で、ビックリです。
 そういえばCクン、今朝はやけに青い顔をしています。

「え?何?ハラの調子でも悪いとか?」
「違ぁーよ。」
「カゼとか?」
「そんなわけねーだろ!違ぁーんだよ!
 昨日の夜、ブタにイヌを料理させられたんだよ!
 もー、気持ち悪くってよぉー。」
「はぁ!?」

 私、その時Cクンが何言っているか全然わからなくて。
 いや、ブタっていうのは誰のことかすぐわかったんです。
 Cクンはじめ野球部の連中はよく「ブタに殴られた」とか「蹴っ飛ばされた」。あるいは、「練習の後、ブタに肩もみさせられた」とか言ってましたから。
 でもイヌって……
 誰だろ?

「だからよ、あのイヌだって…。
 最近学校にいるだろ。白い…。」
「あぁーあぁー、あれ!」
「昨日の夜よ、練習終わったら、寮の脇でブタと他の体育教官たちがニヤニヤ笑っててよ。
 オレたちのことを見て、おいオマエら、これ料理しろ!って…。」
「はいぃぃーっ!?
 だってあの犬…、
 昨日、校庭にいなかったっけ?」
「だから、ブタと教官が今夜酒飲むのに、肴にして食っちまおうってことになって、
 ぶち殺しちゃったんだって。」
「食うっ…!?
 ウッソぉ!」

 Cクンの話がやっと理解できた私は、ここ何日か前に校庭に紛れ込んできたあの白い犬の姿を思い浮かべます。
 それは、小さな白い──でも薄汚れた──犬で。
 野良だけに、満足に食べてないのかやせ細っていて。
 食べ物をやると、喜んで食べてシッポ振っていて…。
 でも、あっという間にマジックでいたずら書きだらけ……

 私、ブタの授業は受けたことないんですけど、でもその野良犬を酒の肴に食っちゃった体育教官に授業受けたことがあるのは、1人、2人…。
 えー、アイツらって…
 あの犬、食っちゃったんだぁ……

 いや、戦後すぐの食べ物がない頃の話じゃないですよ。
 ついウン十年前の話です。
 思うんですけど、あの体育教官たちって、別にあの野良犬が特に食べたかったわけじゃなくて。
 たぶん、その時のノリで「食っちまおう」ってことになったんだろうなぁーって。
 
 ただまぁ一応言っときますと。
 このお話、どっちかと言えば、私の頭の中では「笑い話の箱」の中にしまってあります(爆)


 ってまぁ、学校なんてもんがいかに異界かってお話なんですけど。
 でも、怪談ってぇーのはそういうお話じゃぁないですよね。
 ま、「怪」談っていえば、まさに怪談なんでしょうけど(笑)
 でも、そういうグロっぽいっていうか、元寇との時の蒙古軍の飛び道具みたいな攻め方っていうのは怪談として卑怯千万だろうと。 ←もぉほっとんど意味不明



 で、まぁ。
 学校といえば、林間学校か修学旅行ということで…

 中学校で先生をやっているR先生が言うには。
 子供っていうのは、基本的に怪談話や不思議なお話が大好きですから。
 そういう意味じゃ学校っていうのは、その手のお話の宝庫なんだそうです(もちろん、大人なら思わず噴いちゃうのようなお話も含めて…)。
 
 そうは言っても、中には「うーん…。なんとも…」というのもあるっちゃあるんだそうで。
 ただまぁそれは、R先生からすると、それを話す生徒への自分の信頼の微妙な温度差も関係しているような気がするんだとか。
 そんなわけでR先生、その手の話をするとちょっとうしろめたい気持ちになるんで、基本的にはあまりしたくないんだそうですが…


 それは、ある年の修学旅行、2日目の夜。
 明日はいよいよ最終日。
 この2日間、特に何事もなく無事過ぎたのだけれど…
 
 R先生たちが、なんかおかしな感じだなって思ったのは、2日目のその旅館に着いた直後。
 生徒をそれぞれの部屋に入れて、先生たちがやっと一息ついた時だった。

 「わーん」って。
 館内が、変に騒がしい。
 いや、もちろんそれはケンカしている声が聞こえるとか、興奮した囃し声や笑い声が聞こえるってわけではなく。
 当時まだ若手だったR先生が、「ちょっと見てきます」と部屋の外に出た、その途端だった。 
 そのなんとも言いがたい異様な空気感…。
 何だかはわからないのだが、何かがピーンと張りつめているような、そんな感じがビシビシ伝わってきた。
「…!?」
 廊下に出るなり立ち止まってしまった、R先生。
 そんなR先生の前を足早に通りすぎていく、男子生徒が二人。
「おい、オマエら。」
「えぇぇっ!何ですー?」
 振り返った2人は、見覚えのある1組の男子。
 その妙にそわそわしていて落ち着かない様子。
 そのくせ、R先生の顔を見てへらへらした笑みを浮かべている。

「オマエらどこ行くんだ?」
「え、どこって…。部屋に帰るとこですけど…。なぁ?」
 そう言ってお互いうなずき合っているその2人。
「帰るところ?じゃぁどこ行ってたんだ?」
「えっ…。えーと、特に…。」
「さ、散歩…。」
「そ、そう。散歩…。」
「散歩だぁ?散歩って、オマエら。どーこまで行ってたん──。」
「きゃーっ!」
 ふいに廊下の向こうから聞こえてきたのは、女子の悲鳴。しかも、その声ときたら一人じゃない。

「な、何だ?えっ、何があった?」
 声が聞こえたのだろう。R先生がつい今出てきた部屋から、学年主任のG先生が飛び出してきた。
 さらには他の部屋からも、ドアから飛び出すように生徒が出てきて、声が聞こえてきた方を見てキョロキョロしている。
「R先生、何が?」
「いや、まだちょっと…。とにかく見てきます。」
 そう言ってそっちに向かおうとしたR先生。が、ふと、今話していた男子2人の方に振りかえった。
「オマエら、今すぐ部屋に戻れ!いいな。」

 しかし、そうこうしている間にも、悲鳴が聞こえてきた方からは、何人もの生徒の騒ぐ声が聞こえてくる。
 例の男子2人も、悲鳴を聞いて廊下に飛び出てきた生徒たちも、その大騒ぎの方に行きたくてしょうがないんだけれど。でも、そこにR先生たちがいるから、かろうじてそこにとどまっているような、そんな状況。

 しかし…
「オマエらは、とにかくいますぐ部屋の中に入れ!
 今部屋出てるヤツは、1時間正座させるからな。わかってんだろうな!
 ほらっ、早く部屋に入れ!」
 学年主任のG先生の一括には、興味津々で廊下に出てきた生徒たちも部屋に戻らざるをえない。
 とはいえ、中には物見高いお調子者もいて。
 誰もが部屋に入ったというのに、何人かは部屋から顔だけだして様子を窺っている。
「このヤロっ。部屋に入ってろって言ってんだろうが!」
ってG先生、手近にあった生徒の頭からポンポン引っ叩いていく。
 引っ叩きながらもG先生。R先生や他の先生に、騒ぎを収めに行く先生は誰、他の部屋を見回る先生は誰と手早く指示を出していた。


 R先生は、G先生と騒いでいる部屋に向かった。
 それは、探すまでもなかった。
 廊下には生徒がわんさと鈴なり状態。その騒々しさときたら、もう耳をつんざくよう。
 しかしそんなの騒々しさだっていうのに、その部屋の中からハッキリと聞こえてくる、なんとも異様な声。

「オマエら、なに騒いでんだ!ほらっ、早く部屋に戻れ!
 今すぐ部屋に戻らないヤツは、廊下で1時間正座させるからな!
 ほら、早く戻れってんだろうが!この、バカタレ!」
 ここでもG先生、先頭に立ってその鈴なりの生徒を掻き分ける。
 しっかしまぁそんな奇声の、何が面白いのか知らないが…。
 学校で一番怖いと評判のG先生がすぐ後ろに迫っているというのに、未だ気づかず夢中で部屋の中を覗き込んでいる生徒が数人。
「どけ、ほら!部屋に戻れつってんのが聞こえねぇのか!」
 それらの生徒の頭をG先生、ホント小気味いいくらいポカスカ引っ叩いてどかせば、案の定……

「何やってんだ?オマエら…。」
 それは、G先生のホント呆れきったという声。
 R先生、その後ろから部屋の中を見てみれば…。
 あぁーあ、やっぱり…というか、またこれかというか…。
 部屋の中では、一方には髪を振り乱し奇声を発している女子生徒。
 もう一方には、怯えきった女子生徒が数人。
 部屋の中央にあるのは、例のお馴染みの用紙……
 
「先生ーっ!
 Qちゃんに、こっくりさんがとり憑いちゃったぁーっ!」
「馬鹿ヤロっ!こっくりさんは禁止のはずだろ!」
 G先生ときたら、そんな女子生徒たちの修羅場には全くおかまいなし。
 部屋の中につかつか入るなり、半ベソの女子生徒の頭をパカンパカンって順番に引っ叩いていく。

「きゃー!きぇー!うわぁぁぁーっ!」
「うるせっ!オマエも黙ってろ!」
 くるっと振り返ったG先生。今度は奇声を発している女子生徒の頭を、やっぱりパカーン!
「うっ…、うぐうぐ…。
 きゃー!きぇー!うわぁぁぁーっ!」
 一瞬声が詰ったのは、やっぱり痛かったんだろうか?
 しかし敵もさるもの、なおも奇声を発している。
「うるせーって言ってんのが、わかんねぇのか!」
 G先生のその一喝と一発には、さすがのこっくりさんも退散しちゃったとかで……


「すげーよ。Gのヤツ。
 こっくりさんとタイマン張って、勝っちゃったってよ!」
 夕食の時間は、生徒たち、もうその話で持ちきり。
 さっきまでの生徒たちの興奮はすっかり収まって、そんな話題で笑いながら食事をしていたのだが…

 先程のコックリさん騒ぎが起こった時、R先生が部屋を飛び出した瞬間感じた、あの一種異様な空気感はいまだ残っていた。
 そのことは、夕食後に大広間を出た生徒たちも敏感に感じ取ったのだろう。
 全員部屋に戻ったというのに、廊下をはじめ館内のあちこちに残っているざわざわざ感。
 消灯前の班長を集めたミーティングでも、それは同じだった。
 集まってきた班長は、ある者は変にそわそわしていたり、またある者は必要以上におどけていたりで。

 そんな中、またどこからか聞こえてきた女子生徒の悲鳴と騒ぎ声。
 廊下はその騒ぎ声のした部屋に向かう生徒に溢れ、ずっと漂っていた異様な空気感は、一瞬にして興奮の渦へと変わる──。


 その3時間後。
 いや。騒ぎは20分ほどで、意外なくらいあっさり終息した。
 というよりは、G先生を先頭に先生たちが、強引に終息させちゃったと言った方がいいのだろう。

 騒ぎの元は、ある部屋の女子生徒がガラスに映った自分の顔を幽霊と勘違い。思わず洩らした悲鳴に、その部屋の他の女子生徒が驚いて騒いでしまったこと。
 しかし、その騒ぎは他の部屋に飛び火……

 騒ぎが大きかっただけに、犠牲となった生徒は相当な数になった。
 まぁ生徒からすれば、修学旅行の夜に旅館の廊下に正座させられたり、もしくは引っ叩かれたりと、それはそれで後々のいい思い出に変わってくんだろうな…。
 R先生は、そんなことを考えながら、やっと静かになった廊下を見回りしていた。
 騒いだだけ騒いだから、生徒たちの興奮は収まっていた。
 が、そうはいっても、どの部屋も表面的には大人しくしていても、まだまだ全員起きている様子。
 まぁそれは、R先生だってつい何年か前は生徒だったから、そんなことはわかりきったことだったし。また、何より声こそ聞こえないものの、さざめいているようなそんな気配がずっとあった。

「どうやら…。
 今夜は、ゆっくり寝てるってわけにはいかなさそうですねぇ…。」
 それは、半分ため息をつくように。
 見回りから戻って部屋に入るなり、言葉を洩らしたR先生。
 

 そして…。
 さらに時間が過ぎて、さすがに生徒たちのどの部屋からも、本当の寝息が聞こえるようになった頃。
 さすがにR先生や先生たちも、部屋でウトウトしていた。
 
 トントントントン…。トントントントン……
「…!?」
 廊下からのかすかな足音に、ピクっと目を覚ましたR先生。
 トントントントン…。トントントントン……
 それは、目が覚めた時よりもわずかに大きく。
 トントントントン…。トントントントン……
 間違いない。
 その足音は、こっちに向かってきていた。




                       ──── 下の巻に続きます メルマガ配信日:11.7.7
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2013
06.22

75話目「百(-90くらい)物語」 ~ネタの虫干し~ 4話目

Category: 怪談話

 前のお話は、電話のベルが次々に鳴ったってお話でしたけど。
 ベルと言えば、私の通っていた小学校には「夜に鳴るチャイム」っていう、いわゆる学校の怪談ってヤツがありましたっけ。
 ただ、その話が出るたんび、必ず「いや、チャイムっていうのは夜も鳴るようになってるんだ」って言う友達がいて。
 子供の頃は、「あー、なんだ。そういうものなんだ」って、それで全然納得していたんですけど。
 でも、今になってみると、夜にチャイム鳴らしてたら近所から苦情がくるだろうー!って(笑)
 ということで、今度はそんな学校怪談ネタをひとつ。


 学校は学校でも、中学校のお話なんですけどね。
 ところで、中学校の嫌ぁーな思い出といえば、やっぱり合唱コンクールかなぁーって(爆)

 中学校の先生って、なんであんなに生徒に合唱させるのが好きなんでしょうね?
 コンクール(ていうか、ある意味クラス対抗歌合戦!?)とかになると、もう先生同士で張り合っちゃって。
 私は、まぁ基本的に素直な質なんで(笑)、大概の先生とは良好な関係を保っていたんですけど(爆←いやホント)。
 でも、合唱コンクールの時の先生というのは、みんな嫌ぁーな感じでしたねー。


 で、Dクンもやっぱり中学校の時、合唱が大嫌いだったとかで。
 なにかって言えば、僕たちだの、私たちだのって、(歌詞が)馬っ鹿じゃねぇーって(いやー、握手!)。

 Dクンたち、基本教室で練習していたらしいんですけど、時々コンクールの本番で使う体育館の壇上で練習するってこともあったんだそうです。
 Dクン、それがまた嫌で…。
 いえ。それはDクンだけじゃなくって。
 クラスの中には、合唱が好きなんていう珍奇なヤツもいたそうなんですけど。
 でも、そんな珍奇なヤツも含めて、みんな体育館の壇上での合唱の練習というのは嫌がっていたんだとか。

 というのは、体育館の壇上で合唱の練習をしていると、決まって嫌ぁーな気分になるからなんだそうです。
 落ち込んでくるっていうか、練習していると妙なくらい嫌なことばかり考えるようになって、気持ちがずぅぅーんと沈んでくる。
 いえ。それがあるのは、合唱の練習の時だけなんだとかで。
 コンクールの本番では特にそんなことはないし、ましてや合唱以外の普段の時は全くそんなことはない。

 それが、ホント全員なんだそうです。
 Dクンのクラスの生徒、他のクラスの生徒、先輩のクラス・後輩のクラスの生徒、卒業してった生徒も、新たに入学してきた生徒も、全員が全員、体育館の壇上で合唱練習すると、嫌ぁーな気持ちになるんで大嫌いだったって。 
 もちろんDクンたちは、体育館の壇上で合唱の練習をするとなぜ嫌ぁーな気持ちになるのか知っていたそうなんです。
 それは……


「まったく土曜日だっていうのによ…。」
 ゾロ、ゾロ、ゾロ…と重い足取りで体育館に向かうDクンたち。
「アンタたちねぇー、今度こそは3組に勝ちなさいよねぇーっ!」
 一人、担任のA先生だけがニコニコ張り切っていて。
 まぁいわゆる女同士の意地の張り合いってことなんだろうか?
 Dクンのクラスの担任のA先生と3組のB先生は、年に2回(も)ある合唱コンクールが近づいてくると、露骨(というか、わざとか?)に相手のクラスをライバル視していた。

 B先生なんか、そのいかにも肝っ玉母さん的容貌から、どちらかと言えば生徒から好かれるタイプの先生のはずなんだけど。
 だが、合唱コンクールが近づいてくると、もういけない。
 二言目には、自分のクラスの合唱の自慢ばかり。
 さらに、ことDクンのクラスに限っては、先生同士がライバル視していることもあって、授業に来るたんび嫌味や文句たらたら。

 いや、合唱が大のお嫌いなDクンたちからしてみれば、どっちのクラスが合唱コンクールで勝とうがどうでもいいことなのだけれど。
 ただ、そうはいっても、嫌味や文句ばかりではムカついてくるというもの。
 もっとも3組の連中は3組の連中で、Dクンたちの担任のA先生のことをそう思っているらしい。


 Dクンたちの学校の体育館は、やけに明るい。
 それは体育館の周りには北側にしか建物がないからで、午前中でも午後でもとにかくよく光が入ってくる。
 なのに、合唱の練習をする壇上は不思議なほど暗い。
 もちろん壇上のある北側だけは小さな窓しかないからなのだが、それにしたっていつも暗い。
 それは、天気のいい日でも、明かりを点けていても……

 いつものごとく、高音と低音に分かれて並んだDクンのクラスの生徒。
 指揮は、クラシックオタクのC。
 何がいいんだか、指揮棒ひらひら振り回して、目瞑ってうっとりした顔しやがって。
 ムカつくから、今度ぶん殴ってやろうかな?
てなことを思っているDクン。
 
 ほら、言うぞ、言うぞ。
 Cのバカ、あのいつものおマヌケなセリフ…。
「最初の音をお願いします」
 うわっ。ホントに言ったよ、あのバカぁっ!
 たまには、「最後の音」とか言ってみやがれってんだ。バぁーカ!

 いつも同じことばかり言ってやがるCもバカでムカつくなら、そう言われていつも同じ音をピアノで弾く女子のEもバカでムカつく。
 そもそもよ、あの変な声はオマエ──。

「よぉDっ。
 おめぇ、さっきから一人で何イラついてんだよぉっ!」
 いきなりDクンに突っかかってきたのは、Dクンとはケンカ友達のFクン。
「イラついてなんかいねーよ。
 つうか、おめぇは合唱の練習だっていうのにイラつかねぇのかよ!
 この、バぁーカぁっ!」
「イラつかねぇなんて言ったくせして、イラついてんじゃねーか。
 この、バぁーカぁっ!」
「うっせー!このバぁーカぁっ!」
「うっせぇえ?
 上等じゃねぇか、このバぁーカぁっ!」

「こらDっ!Fっ!
 バカ、バカうるっさいてぇーの!この、バカタレっ!!」
 すかさず飛んできたA先生の鋭い声。
 いやもう。飛んできたと思った時には、DクンとFクンはゲンコツで思いっきりぶん殴られていた。
「うっうーん…。痛っぇぇ……。」
 その痛さに、思わず頭をおさえて呻るDクンとFクン。
「まったく、この虫けら二匹は…。
 合唱の練習っていうと、必ずケンカ始めるんだから…。」

 そのA先生。念押しでもするように、もう一度DクンとFクンをギロンギロン睨めまわしていたんだけど、急にニコっとした顔になって。
「じゃ、Cぃ~ぃ。練習初めて。」
 結局、合唱の練習は始まってしまう……

 イヤイヤながらも口を開けているDクンとFクン。
 A先生にぶん殴られた頭がまだ痛い。
 その頭の上では、Cクンが指揮棒振ってうっとり顔。
 壇上の端。壁のすぐ横のアップライトピアノの前にはEさんが座っていて、ポンポンとリズミカルに手を動かしていて……

 ♪~ ♪~~ ♪~~~~ ♪~ ♪~ ♪~ ♪~~~
 そのDクンたちの歌う合唱とピアノの音。

 やっぱり聞こえてきたその音。
 それは、合唱の声とピアノの音に紛れ込むように…。
 というよりは、まるでその背景となって覆いかぶさるように……

 ♪~ ♪~~ ♪~~~~ ♪~ ♪~ ♪~ ♪~~~
 ♪ポロロ~ン ♪ポロロ~ン ♪ポンポンタンタン~~
 グわぁぁぁー… グわぁぁぁー… グわぁぁぁー…  
 ♪~ ♪~~ ♪~~~~ ♪ポロロ~ン ♪ポンポンタンタン~~
 グわぁぁぁー… グわぁぁぁー… グわぁぁぁー… 
 その重っ苦しく陰陰滅滅とした低い音は、地鳴りのようにも。また、聞きようによっては人のうめき声のようにも聴こえるような。

 うん、まぁたんなる音といってしまうなら、それまでなのだけれど。
 合唱の声とピアノに混ざって聞こえてくるその音を聞いていると、Dクンたち生徒の気持ちは不思議なくらい、どんどん、どんどんと沈んでいってしまう……


 体育館の壇上で合唱の練習をしていると、そんな異様な感じの音が耳に入ってくるっていうのは、もちろん先生たちも知っていたんだそうです。
 もうかなり前のこと。
 ある女子生徒が、「その音を聞いていると、ホント死にたくなってくるんです」って、先生に泣いて訴えたことがあったんだとか。

 その音は、実は先生たちも気にはなっていたらしい。
 それがきっかけで、理科の先生が中心になって音の原因を調べたことがあったのだと。
 その結果、アップライトピアノが壁に近すぎるから、音が壁に伝わって反響してそんな風に聞こえるのだろうということになったらしいのだが。

 なのに、相も変らずピアノがその場所にあるのは…。
 一度はピアノを真ん中寄りに移動させたんだけど、それでも音が止らないから、辻褄を合わせる為に仕方なく元の位置に戻したって……
 なんだ、それ!?

 で、それ以来…
 Dクンの中学校には、体育館の壇上で合唱をする時には必ずピアノが伴奏をしなければいけないという、(全然意味のない)変な決まりができた。
 
 いや、もちろん。
 その声については、まことしやかないろんなウワサがあった。
 体育館が出来たばかりの頃に、そこで亡くなった女子生徒がいた。あれは、その女子生徒の声だとか…
 ううん。亡くなった生徒がいたこと自体は本当で、Dクンがいた当時も職員室に写真あったらしい。
 それ以外では、中学校が出来る前そこは墓地だったみたいな、そんなありがちな話だとか……

 
 あの音ってさ…。
 オレは、「嫌だぁー…。嫌だぁー…」って言ってるような気がしてさ。
 だから、体育館の壇上のあの場所にはさ。
 長年にわたって合唱の練習を嫌々させられてきた、オレたち生徒の思い?っていうか、怨念が溜まりに溜まっててさ。
 だから、合唱の練習をする時だけ「嫌だぁー…。嫌だぁー…」ってあの音がするんじゃないのかな。
 と、合唱嫌いのDクンは言います。




――── 本日これまで!
             75話目「百(-90くらい)物語」-5につづく メルマガ配信日:11.7.5
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2013
06.21

“夏至”と“べし”


 今日(6/21)は、夏至なんですねー。
 でも、夏至の日に太陽を見たことって、何回あるんだろ?

 夏至って、なぜなんだか不思議と虫のイメージが付き纏うような…
 それって、やっぱり“ベシ”の語感からかなぁ…
 あ、でも“べし”ってカエルか…
 http://www.koredeiinoda.net/manga/s_besi.html
 虫は、ケムンパスだよなぁ……


 て、ことでまぁ。
 おヒマなら、夏至の日のお話でも読んでみたりな~んて(笑)
 http://kaidansweets.blog.fc2.com/blog-date-201210.html









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2013
06.21

「3」の年


 「何かというと天気の話をするのは、イギリス人と日本人だけ」って言うらしいですけど。
 そういう意味じゃ、「ブログで、やたら天気のことをボヤくのは私だけ」かもしれませんね(爆)

 朝起きて最初にするのは、録画しておいた天気予報を見ることだし…
 天気が定まらない時は、天気予報や天気図やらをやたらめったらチェックしないではいられないですし…
 そういえば、やたら天気予報をチェックしちゃぁ悪態ついて、「何怒ってんのー」って笑われたりすることが時々あるよーな(爆)

 そうなんですよねー。
 周囲を見回すと、他の人ってあまり天気って気にしない人が多いみたいですよね。
 それこそ、どう考えたって今日は雨降るだろー!みたいな空模様の日でも、「え、今日って雨降るって言ってたっけ?」なんてケロリとしている人も結構いたりで。
 こんなに天気を気にするって、ある意味今日の星占いとかをやたら気にする人と同じなのかなーなんて、ちょっと反省したりで(だって、“当たらない”ってことじゃ、その二つが双璧でしょ…爆)。


 とはいえ、今年は「3」のつく年なわけで。
 思い返せば、2003年、93年と、「3」のつく年は不思議と冷夏だったわけです。
 さらには、83年だって冷夏だったかどうかは別として、確か雨の多い夏だったような記憶があります。
 そういう目で見てみると、今年はなーんか心なし大陸の高気圧の勢力が強そーな(?)
 寒気がやたら降りてくるのは、まぁ去年と同じとしても…。
 何より、気象庁の長期予報が「今年の夏は暑い」と言っているのが怪しいですよね(気象庁の長期予報って、真逆になることが多いんですwww)。
 確かに、やたら暑い夏っていうのも困りものではあるんですけど。
 でも、冷夏は困るなんてもんじゃないわけで……
 (米は高くなるし、ピーマンには虫がつくし…)

 と、まぁ。
 「3」のつく年の夏なんて、所詮ジンクスでしかないわけですけど。
 とはいえ、来年は「4」のつく年。
 「4」のつく年の夏は暑いという、ジンクスもあるわけで(爆)
 ね?そうでしょ。
 2004年、94年。84年の夏だって、暑かったですよね。

 ……って、言ってることが、何だかホント星占いレベル(爆)







 しっかしまぁ…
 関東地方は、今週もずっと雨でしたねー。
 とはいえ、一昨日のニュースだと利根川水系のダム貯水率は例年の52%で、統計を取り始めて過去最低の数字なんだとか。
 まーなんと言うか。
 夏にシャワー浴びれなくなっちゃったら、死ぬよなぁ……って。
 つまり、今のうちに雨降ってくれないと困る…ってことなのかもしれませんね(泣)

 ま、被害の出ない程度でお願いしたいものですよねー。





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2013
06.21

本陣殺人事件/横溝正史著

Category: R&R

 高3以来の『本陣…』は…
 やっぱりイマいちだったかなぁ…(笑)
 面白いのは、面白いんですけどねー。

 あらすじは、戦前の地方の名家で婚礼の夜に起こった「密室殺人(?)」ってことですかね(いやホント、まさにそれで全て!)。
 付け加えるならば、そこに名家ゆえの事情や怨恨、偶然が重なったことで、事態も事件そのものもやたらめったら複雑怪奇(笑)にこんがらがっちゃって。
 そんな事件を、なんだかミョーにええかっかこしーな金田一耕助(笑)が見事解決しちゃうと。
 (なんと、真相を明かすのに演出しちゃったり!?)


 で、まぁ。
 いや、ホント面白く読めたのは、読めたんです。
 読めたんですけど…
 なーんかこう、横溝正史が当時書きたかったことにつき合わされた感が漂っちゃうって言ったらいいのかなー(笑)
 「日本家屋を舞台に、海外ミステリのような密室殺人を書きたーい!」
 という、その気持ちや、当時ならではの意気込みはとってもよくわかるんですけど。
 な~んだか、それに本人が振り回されちゃったみたいな……
 (まぁ本人は、きっとまだまだ試行錯誤の頃だったのかな?というか、書かないと先に進めなかったっていうのもあるのかな?)

 トリックが、何だかとってもデジタルなんですよね。
 それこそ、ここが○なら、こうなって…。
 で、そこが○になると、あれがああなって…。
 だから○になるからこうなったみたいな…。
 なんだか、とっても横溝正史的じゃなーい!って感じで(笑)
 といっても、横溝正史って結局有名どころの長編しか読んだことがないんで、実際は何が横溝正史的か的じゃないかわかんないのかもしれないですけどね。

 ただ、個人的なイメージの横溝正史の持ち味っていうのは、やっぱり長大な「物語性」ってことにあるんじゃないのかなーって。
 人や人の社会の歪みの中で、ある出来事が起きて。
 それが長い時(世代だったり、戦争だったり)を経るうちに、思わず因縁と思い込んでしまう偶然が生じて、結果、誰かが哀しい事件を起こしてしまう…みたいな。

 横溝正史っていうのは、もし「怪談」作家だったら、思わず「ばぁーか」って言いたくなっちゃうような、おどろおどろ煽り症なところがあるわけですけど(爆)
 でも、そのおどろおどろに煽ったのが全然気にならずに、むしろ読み終わってみると妙に哀感が漂うっていう、あの後味のよさはやっぱり「物語」があってこそなんだと思うんです。
 つまり、横溝正史には、いかにもトリックトリックした人為的なトリックはいらなくって。
 長い時間や多くの人が関わることで生じる、いろんな「ズレ」の組み合わせという人知の及ばないことこそが横溝正史テイストのトリックってことなのかなーって。

 横溝正史っていうのはジャンルで言うと、一応いわゆる「本格派」の大家ってことになってるわけですけど。
 でも、「本格派」というジャンルからは、ビミョーにハズれてる人なんじゃないのかなぁ?って(いや、これホメ言葉です。まぁ本人からすれば不本意かもしれませんけど…)。
 私としては、ジャンル分けにおける、いわゆる「本格派」でもなく、いわゆる「社会派」でもないところこそが横溝正史のいいトコなのんかなーって、そんな気がした「本陣…」でした。


 角川文庫版の『本陣殺人事件』には、その「本陣…」以外に「車井戸はなぜ軋る」と「黒猫亭事件」が入ってまして。
 まぁ「本陣…」も含めてどれも面白い(のは面白い)んですけど、個人的には「車井戸はなぜ軋る」が、まさに先に書いたようなジャスト横溝正史ってテイストで一番好きです。
 「黒猫亭」は、そういう意味で言ったら横溝正史的じゃないってことになっちゃいますけど、まぁたぶんこれも横溝正史の一面なんでしょうね(ただ、私がその類を読んでないだけで)。
 トリック的なお話が好きな人なら、もしかしたら「黒猫亭」が一番面白く感じるんじゃないかって気がします。
 





                      ↑
 
     そんな変な踊り踊ってっと、金田一さんに解決されちゃうちゃうよ~(爆)




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2013
06.16

うぎゃ~お!


 さ、また週明けだ!
 頑張ろっ!!

 




 
 ったくもぉ、今日も雨だったし。
 クソったれな渡世よのぉ~~
 面白き、ことなき世を面白く 住みなすものは
 ……うーん。なんだ?(笑)





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2013
06.16

75話目「百(-90くらい)物語」 ~ネタの虫干し~ 3話目

Category: 怪談話

 これはちょっと昔のお話で、70年代の前半か中頃のこと。
 E子さんの当時の家は、公団住宅の団地。
 団地といっても、何階建てっていうんでなく平屋の長屋。
 1つの長屋に3世帯入っていて、それが縦にも横にもずらーっと並んでいた。
 そんなずらーっと並んでいても、表側にも玄関側にも狭いながらも庭がついていたから意外にゆったり住めたらしい。
 ただ、昔のことだから防音はほとんどなくて。同じ長屋は言うに及ばず、表や玄関側の長屋、時にはそれこそ向こう隣りの長屋の物音や声まで聞こえたっていいます。

 それがいつの季節のことだったか、E子さんさすがに憶えていないらしいんですが。
 ただ、変な天気の日が続いていたように思うとかで、まぁ季節の変わり目のことだったのでしょう。
 なんでも、台所でお茶を飲んでいたら(小さいながらも家族4人が食事できるテーブルがあったそうです)、いきなりのどしゃ降り。
 表側の庭じゃ洗濯物を干しっぱなし。
 こりゃ大変とばかり、子供二人に「洗濯取り込むの手伝いなさい!」って怒鳴りつけ、大慌てで表側の庭に飛び出したら。

「え!?」
 外は、どしゃ降りどころか、お日さまが出ている。
 空には、雲が勢いよく動いていて、洗濯物が風になびいていて。
 えー!何これ?確かに、雨が降ってきたスゴイ音がしたんだけど…!?
 E子さん、キョトンとそのお日さまを見ていたら。
「お母さん、お母さん、雨!雨!雨、スゴイって!」
ってお姉ちゃんが大騒ぎで、洗濯物を取り込んでいる。
「あんた、何言ってんのよ、雨なんて──。」
 E子さんが言ってるそばからチビの弟が、
「お母さん、後ろ!後ろ!スゴイよ雨が!」
 E子さんって、「えぇ?」て振り返れば。
 まず目についたのは、E子さんの家の屋根の上に直接覆いかぶさるようあった真っ黒い雲。
 それにも驚いたんだけど、もっと驚いたのはその下。
 E子さんの家の向こう側は、もの凄いどしゃ降り。
 なのに、(振り返れば)こっち側は晴れている。
 はい…!?

「な、何なの、これ?」
「お母さん、そんなことよりも早く!早く!
 洗濯物、早く取り込まないと!」
と、一人大慌てで走り回っているお姉ちゃん。

 結局、洗濯物はお姉ちゃんが全部取り込んで。
 そして、それはまさに家の中に入った途端。
 つい今の今までいい天気だった庭を、ザー!っとどしゃ降りの雨が走り抜けていく。
 聞こえてきたのは、向かいの家の向こう側からの「わー!」だとか「雨降ってきた!」といった叫ぶ声。



 と、そんな狐に化かされたような変な天気の多かった頃の、ある日曜日の夕方。
 その時っていうのは、E子さんの旦那さんも家にいて。家族みんなでTVを見ていたんだそうです。

 ジリリリーン!ジリリリーン!
 どこの家の電話なのか、電話の鳴っている音が聞こえた。
 当時は、電話といえば黒電話。電話の呼び出し音といえば、ベルのジリリリーン!と決まっていた。

 ジリリリーン!ジリリリーン!
 電話が鳴っている家は留守なのか、ベルの音は鳴り続いている。
 それは、決してうるさいってわけではないんだけど、E子さんとしては妙に落ち着かない。
 早く出ればいいのに…って、やきもき、やきもき。
 とはいえ。電話の主は誰も出ないことにやっとあきらめたのか、それはピタっと止んだ。
 E子さん、なんとなく「ほっ…」。

 ところが、その電話の主ときたら、ちょっと往生際の悪い性格なのか、電話はまたすぐに鳴り出して。
「もー。いい加減留守だってわかりそうなもんだけどねー。」
 さっきから電話の音に落ち着かなかったE子さんとしては、思わずそんな言葉が思わず口に出てしまう。

「どっこの家の電話だろうなぁ…?Kさんち辺りかぁ?」
「Kさんなら、さっき家にいたけど…。」
「じゃぁ、Fさんちか?」
「Fクンちは、今日はお父さんもお母さんもいるよー!」
 E子さんの下の息子は、Fさんちの下の子と同じ齢。そういえば、さっきまでFさんちに遊びに行ってたんだった。
「じゃぁ、Kさんちの向こうの家か?」
 電話の音がどこ家で鳴っているかなんて、どうでもいいことなんだけれど。E子さん、その時は家族と「どこだろ?」「あそこの家かな」って話していた。

 とはいえ、その電話のベルも止んで。
 一同、ほっと…。
 と、思うまもなく、またジリリリーン!って。
「うるっさいわねー!」
 いや、E子さん。そう言いながら、何となくそれを感じていた。
 なんだか、ベルの音が前のベルの音より大きいような…。

 その電話のベル、今度はすぐに止った。
 しかし、すぐにまた鳴り出すベル。
 そう。それは、あきらかに今鳴っていたベルの音よりも大きい。
「っ!」
 見れば、寝っ転がってTVを見ていた子供二人も、いつの間にか起き上がっていて。
 その目は、E子さんとE子さんの旦那さんの間を行ったり来たり。
 その二人のどこか怯えた表情…。

 やっぱりベルはすぐに止んだ。
 しかし、ちょっとの間をおいて、またそれは鳴り出す。
 今止ったベルよりも大きく!
 何がなんだかわからない。
 しかし、電話のベルの音は間違いなくこっちに向かってやってくる。

 そうしている間にも、ベルの音は徐々に大きく鳴っては、止まって。
 また、鳴って。
 ジリリリーン!ジリ──。
 その音の感じからすると、それはたぶん隣りの隣りのAさんち。
 Aさんの家は、すぐに電話を取ったらしく、ベルの音はすぐに止ったんだけど。
 でも、取った受話器の向こうって……。

 ジリ──。
 隣りのBさんちのベルは、もう間髪入れずって感じで止った。
 Bさんちの旦那さんって、職人さんで気が短いから…。
 そんなことを思っている場合じゃない。次はいよいよ、E子さんちの電話のベルが鳴る……、のか?
 お互い顔を見合わせ、ゴクリと唾を飲み込んだE子さんと旦那さん。
 E子さんの目を見てうなずいた旦那さんは、受話器のすぐ上で手を構える。
 E子さんはといえば、いつの間にか傍に来ていた子供二人を両腕に抱きしめて、またゴクリと唾を飲み込んで息を殺している。

 ジリ──。
「はい!もしもし!どなたっ?もしもし!もしもし!もしもし!
 あれっ!なんだ。切れてら……」
 ベルが鳴った途端、受話器をひっつかんだE子さんの旦那さん。
 受話器に向かって、叫ぶようにそう言ってたんだけど……。
 ウンともスンとも言わないで切れちゃった電話に首を傾げて。さらに、その受話器をE子さんに向けて、また首を傾げていたら。

 ジリリリーン!ジリ──。
 やっぱり鳴ってすぐに止まったベルの音は、隣りのCさんの家。


 結局、その変な電話のベル。
 E子さんの長屋の並びを、一番は端から端まで。次から次へと鳴らして行ったということなのだが……
 どの家に聞いてみても受話器を取った途端、プツって言うばかりだったんだとか。


「こういうのを、狐に化かされたっていうのかなぁ…」
 なんて、長屋のみんなで話していた中。
 E子さんの娘が、ポツリと言った。
「ベルが鳴る前に、受話器取っちゃってたらどうなってたの?」

 いやもう。
 E子さんはじめ、そこにいた大人たち、ただただ苦笑いするしかなかったとかで。




――── 本日これまで!
             75話目「百(-90くらい)物語-4」につづく メルマガ配信日:11.7.5
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2013
06.16

Pカレー


 まぁ、おおよそグルメとはかけ離れたことを書いたり、手抜き&インチキ料理を紹介してきたグルメ記事ですけど。
 まぁそんなインチキをしつつ、もう第7弾です(爆)
 で、第7弾は、やっぱりこう暑くなってきましたしね。
 季節柄、カレーだろー!ってことで、Pカレーです。

 まぁPカレーって何やねん?ってことなんでしょうけど、Pカレーっていうのは、別にAから順番に、Aカレー、Bカレー、Cカレー……Pカレーってあるわけでなく。
 単純に略称です。
 カンタンに言っちゃうと、ピーマンのカレーだからPカレーです。
 (なら、キュウリのカレーはQカレーか?ってなりますけど、それは作ったことないんでー笑)
 てなことを書くと、前もピーマンだったこともあって、「あー、コイツはピーマンが好きなんだな」って思われる方も多いかもしれませんけど、まぁぶっちゃけその通りでして、ホントピーマンは大好きです。
 なんでも聞くところによると、子供のキライな野菜のランキングでは、ピーマンはダブルスコアくらいのダントツ1位らしいですけど。
 個人的には、まったくもって信じられましぇ~ん(笑)

 てことで、Pカレーですが。
 実は「Pカレー」などと言ってますけど、水野仁輔って人の本に載っているメニューなんですね。
 いつもながら、パクリです(爆)
 で、この水野氏っていう人は、カレーは煮込んで作るんじゃなく、炒めて作っちゃおう(炒カレー=チャー・カレー)って言っているってことで、まぁたぶんインドな人なんでしょう。
 だって、インドのカリーって、どっちかというと炒め物ですから。
 そういう意味でも、長時間火で煮込まない(=暑くない)、鍋でなくフライパンで少量作る(=暑い中の保存を気にしなくていい)と、まさにこれからの季節に便利なわけです。
 真夏にカレー煮込むのって、ホント一種地獄ですもんね(爆)


 ほいでもって、まずはPカレーその1です(その1ってことは、その2もあります)。
 その1は、カンタンに言っちゃうと、チンジャオロースーにカレールーを絡めただけです。
 もっとわかりやすく言っちゃうと、チンジャオロースーを作って(チンジャオロースーの作り方は、味の素のホームページか何か見てください)。
 で、味付けを、合わせ調味料やクックドゥの代わりに、お湯で溶いたカレールーを使うってことですね(笑)

 水野氏の本によると、材料はウシのロースの細切りにピーマンとニンジンの細切り。あと、カレールーってなってますけど。
 ま、そんなこと言ったって、ぶっちゃけチンジャオロースー(のカレー炒め)ですから(笑)
 チンジャオロースーの「ロースー」は細い肉って書くわけですら、ウシじゃなくてもなんでもいいわけです(って、中国人が言ってました)。
 野菜も、チンジャオロースーは竹の子がなきゃダメって人は竹の子も入れればいいと思います。
 ただ、そうは言っても「カレー」なんで。
 カレーのあの色合いを考えた時、ニンジンのオレンジ色とピーマンのグリーンは確かに合うよなーって。
 ま、さすがにその辺は水野氏考えてます(パチパチ)

 ちなみに。
 水野氏の本では、カレールーの量は少なめにして、まさに「カレー味のチンジャオロースー」(つまり、チンジャオロースー風のドライカレーみたいな感じ)っていう風の写真が載ってましたけど。
 個人的には、ルー多めで、カレーライスなんだけど具材はチンジャオロースーみたいな方が、やっぱりカレーって感じで好きかなーって。
 あと、そうそう。
 いわゆる「普通のカレー」のように、具材がくたくたになるまで火を通さずに。
 この場合は、具材の触感が残っている程度の火の通し具合がいいように思います。
 特に、ピーマンはグリーンの色が鮮やかに見えるくらいじゃないと、見た目おいしそうじゃないような気がします。 ←これ結構大事!


 てことで、次。Pカレーその2。
 Pカレーその1は、チンジャオロースーのカレー風でしたけど。
 その2は、豚の生姜炒めのカレー風って感じです。

 材料は、豚の薄切り肉、ピーマン、しょうが、カレールー。
 作り方は、その1と同じです。
 豚の薄切り肉とピーマンで生姜炒めを作って(生姜炒めの作り方はネット検索参照www)。
 お湯で溶いたカレールーを混ぜるだけです。

 これも、ピーマンに火を通しすぎずに、グリーンの鮮やかな色を残す、これは絶対ポイントだと思います。
 あと、水野氏の本では、
生姜はせん切りにして、フライパンで弱火で炒めて油に香りを移すみたいなことを書いてますけど。
 ま、これもそれぞれのやり方でいいんじゃないでしょうかねー。
 それこそ、タモリなんかは、豚の生姜焼きの生姜は、合わせ調味料にすった生姜を混ぜて。最後に合わせ調味料と一緒に肉に混ぜ合わせた方が絶対ウマイって言ってますしねー。

 あと、水野氏の本では、「豚の生姜焼き風(その2)」では、しょうゆとおろしりんごを加える。「チンジャオロースー(その1)」では、XO醤を入れるって書いてありますけど。
 まぁそういうのは、それぞれのやり方でいいんじゃない?って、私は思っちゃう方なんで(笑)
 よって、省いちゃいました(爆)


 って、まぁ。ここまで読むとわかると思うんですけど。
 Pカレーって、要は既存の料理をカレールーで味付けをしただけなんですね。
 つまり、カレールーの量が少なければ、カレー風○○(つまり、ドライカレー風)になるし。反対に多くすれば、具材が○○のカレーライスになると。
 前にも書きましたけど、実は、具材に合わせ調味料やクックドゥを混ぜるか、カレールーを混ぜるかだけの違いってことです。
 わかりやすく言っちゃえば、豆腐とひき肉に麻婆豆腐の素を混ぜれば「麻婆豆腐」になって、カレールーを混ぜれば「豆腐とひき肉のカレー」になるってことですかねー。

 いや、実はそれって、この水野氏の「炒カレー」の本を見るまで全然気がつかなくって。結構、目からウロコでした(笑)
 そういえば、ルーにしたって、カレー以外にもハヤシのルーやシチューのルーがあるわけで。
 さらにその量を多くしたり少なくしたりすれば、あんがい違う料理になっちゃったりで。
 実はコレ、かなり重宝してたりします(笑)


 ただ、これをするようになってつくづく思ったのは…
 食品メーカーって、なんで麻婆ソースのルーを作らないんだろ?って。
 (ま、ルーは高く売れないって単純な理由なのかな?)









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2013
06.15

雨の一週間


 関東地方(南部)は、今週はもう雨、雨、雨、また雨の一週間で。
 今日は、まぁちょびっとだけお日さまも顔出したりで、まぁまぁ(まぁまぁまぁまぁまぁまぁくらいか?笑)の天気だったんですけど、また夜から明日の朝にかけて雨なんだとか(泣)

 まぁーねぇ…。
 確かに、以前ほどは今頃の雨の季節ってイヤではなくなってきてはいるんですけど。
 とはいえ、こんだけ毎日雨、雨、雨、また雨だと…。
 ニュースの映像で、西日本や日本海側の猛暑で「あっつい…」とか、「夏が思いやられますね」な~んてぬかしくさってる人に、「うっせーバカ!」とか思わず言いたくなっちゃいます。
 というか。
 ぶっちゃけ、言ってました(爆)
 ゴメンナサイ。


 しかしまぁこんだけ連日雨だと、裏の池のカエルだとか、例の巨大クチナシがやたらめったら元気です。
 ま、雨でいいのはそのくらいかな?
 こんだけ雨だと、ブルースもサンバも逆に聴きたくなくなってきますね。
 というか。ブルースなんかは、じめってしていても雨そのものは降らない方が雰囲気かなーって気がしますかね。
 てことで、今週よく聴いたのはネオアコ。
 こんな雨、雨、雨、また雨だと、やっぱり爽やか~なのがいいで~す~~~
                          ↑
                    って、爽やかっぽく書いたつもり(力ない“笑”)













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2013
06.15

75話目「百(-90くらい)物語」 ~ネタの虫干し~ 2話目

Category: 怪談話

 下の部屋には、今では別の家族が住んでいて。休みの日なんかは、子供の遊んでいる笑い声がよく聞こえてくるって、Kさんはいいます。
で終わったKさんのお話。
 で、お次のお話は、これまった東京近県の、とある地方都市に住んでいるFさんのお話。

 そのFさんの住まいっていうのは、モダンなたたずまいの3階建てのアパートの3階。
 1階と2階は2LDKで、若い夫婦、あるいは小さな子供がいる世帯が借りていて、Fさんの住む3階は1Kの部屋で単身者ばかりが住んでいたそうです。
 Fさんが入居した時っていうのは新築で。駅も近いし家賃も手頃だしで、Fさんは2年目に契約を更新。
 それは、それから何ヶ月か経った、夏の終わりのある日曜日の夕方。

 夏の終わりのありがたくない風物詩といえば台風。
 いわゆる、日本列島の上には秋雨前線が長々と居座っていて。その秋雨前線を南西諸島の方からじわじわ近づいてきた台風が、湿った暖かい空気を次々と送り込んでくるという、一番イヤなパターン。
 ご他聞に洩れず先週の中頃から、ずっと雨。
 せっかくの週末も、結局ずっと雨続き。Fさん、考えてみれば金曜日に会社から帰ってきてから一度も外に出ていない。

 まったく…。せっかくの休みだっていうのになぁ…。
 そんなことを思いながら、Fさんは一人ベッドに寝っ転がり、ぼーっとテレビのニュースを見ていた。

 明日も雨かぁ…。
 明日が月曜日ってだけで憂鬱なのに、しかも雨。
 あぁ~あ…。
 外は、雨風が強まってきたみたいで。そういえば、窓から見える雲はやけに真っ黒く、そして早い。
 いつのまにか、雨の音は玄関の方からも聞こえてきていて。
 一応通路には屋根はあるのだが、こんな強い雨風ではあまり関係ないのだろう。

 あぁ~あ、まったく。いつまで降ってんのかなぁ…。
 通路の方から雨が吹き込んでくる時っていうのは、玄関のドアを開けた途端雨が吹き込んでくるので、びっしょりと濡れてしまう。かと言って、玄関でカサをさしたら外に出られない。
 そう。Fさんが思い描いているのは明日月曜日の朝のこと。
 あぁ~あ。明日、せめて朝だけでも止んでてくれねーかなぁ…。
 なんて思いながらFさん、ぼーっと天井を見上げていて。
 すっかり薄暗いのは、あの外の黒い雲のせいなのか、それともいつのまにかこんなに日が短くなっていたのか。

 あぁ~あ…。
 いったい、さっきから何度目のため息か…。


 そんな中。
 うん!?
 それは、玄関の外の方から聞こえてくる子供の騒ぎ声。
 それも、かなり騒々しい。
 あ、下の階の子どもかなぁ…。
 この雨で、外で遊べないものだから、たぶん通路で騒いでいるのだろう。
 その声は、ふいに大きくなって。
 えっなんだよ、この階まで上がってきやがったのかよ…。

 今までも時々子どもの騒ぐ声が聞こえてきたことはあったのだが、Fさんの部屋のある3階まで上がってきたことは一度もなかった。
 まぁ子供もこの雨にいい加減ウンザリなのだろう…。
 いや。それはそんなこと言ってられないくらい騒々しい。
 うるさいクソガキどもだなぁ…。

 Fさんは、その時。なぜか急に、その騒いでいる子供たちが、Fさんの部屋の中に入ってくるんじゃないかって心配になったとかで。
 ヤバイって、慌ててベットから飛び起きると。
 大急ぎで玄関に行けば。
 案の定、鍵はかかってなくて──。

 ドアの外から聞こえてくる子供たちの声は、相変わらず騒々しい。
 Fさん、ふと…
 何の気なしに、玄関のドアを…
 片足だけサンダルをつっかけ、ゆっくりゆっくりノブのバーを下ろして、そーっと外を窺うように…。
 カチャっとかすかな音がした瞬間、肌に感じられたのはほんのわずか室温よりは冷たい空気。ただ、それはべチャっと纏わりつくように湿っている。
 途端に大きくなったザーっという雨の音と、ドアの隙間から見上げた黒っぽいまだらのグレーがせわしげに動く空。
 そして──。

「っ…。」
 Fさん、もうビックリしたなんてもんじゃなかった。
 それこそ、声も出なかったくらい。
 それは、そーっと開けた、ドアのわずかな隙間の向こう。
 まず目がいった視線よりずっと下。それこそ、足元とも感じられるような低い位置にあったのは、Fさんをじっと見上げていた小さな女の子の目。

 いやもう、それはドアを開けたその一瞬。
 Fさん、その女の子の目と、もろにぶつかってしまったんだとかで。
 そのわずかに開けたドアの隙間で、Fさんの視線とその小さな女の子の視線は、ほんのわずかな間ぐっと絡み合って……

 すぐに我に返ったものの、それでも動揺はおさまらないFさん。
「な、なんだ、お前…。」
 Fさんが、そう声を発した瞬間──。
 わずかなドアの隙間からぱっとどこかに行ってしまった、小さな女の子の姿。
 ドアの隙間外から聞こえてくるのは、何人もの子供たちのはしゃぎ声。
「わぁー!きゃぁー!わーい!」
 それは、あっという間に遠ざかっていく。
 ガタンと大きな音をたててFさんがドアを開けると、もうそこには声すらなくて……


「うっ!」
 それは、開けたドアから上半身だけ出して呆然としていたFさんの顔にいっせいに降りかかってきた雨。
 その大粒の雨は、みるみる間にFさんの髪と顔をびしょ濡れにしていく。
「うわっ!わっ。ひっでー雨っ。」
 そのあまりに強い雨に、Fさんは今の小さな女の子のことなんてどうでもよくなって、ほうほうの体でドアを閉めた。
 いつも通りパチン!って鍵をかけ、ドアチェーンもかけて。
 なぜか、ふと…。
 Fさんは、ドアノブのバーを下ろして鍵がかかっていることを確認。
 さらに、ドアチェーンも同じように…。

「ふぅー…。」
 部屋に戻ったFさん。またため息をつきながら、タオルで顔と髪を拭っていて。
 連日の雨でまともに洗濯もできないっていうのに、着ていたTシャツと短パンを濡らしてしまった。
 ったく、あのくそガキどもめ…。

 そんなことを思っていた時だった。
 Fさんの脳裏にふっと浮かんだのは、ドアを開けた一瞬に見た雨にびしょ濡れになっていた通路の光景。
「えぇっ…!?」
 そう。通路は、完全にびしょびしょだった。
 それは、あのほんのわずかな間ドアを開けただけだっていうのに、自分がこんなにびしょ濡れになっているのをみても確か。

「あのガキ連中って、あんな強い雨の中、通路を駆け回って遊んでたのかよ……
 ったく。うん。ガキってぇーのはよ、ホント元気だよな。」
 Fさん、わざとこと無げにそうひとり言を言ってみたんだけど、何かがすごく変だっていうのは気がついていた。
 あのドアの向こうにいた女の子、どう思い返してみても全然濡れてなかったような気がしてしょうがない。
「えぇっ…。
 そんな馬鹿なことって…。」

 いや、それより何より。
 Fさん、やっとそのことに気がついた。
 えっ、なんで鍵が開いてたんだ?
 Fさん、実は引っ越してきたばかりの頃に、とんでもないくらいしつこい新聞の勧誘員に悩まされたことがあって。以来、ドアは鍵もチェーンロックも必ずかけるよう習慣づけていた。
 それこそ寝る前なんかは、どんな疲れて帰ってきた時でもドアの鍵を確認しなきゃ眠れないくらい。

 思い返してみても…。
 間違いない。この土日は、金曜日の夜帰ってきてから一度も外に出ていない。
 昨夜の寝る前だって、鍵を確認した記憶、間違いなくある。

 はっ!
 急に不安になったFさん
 もう大慌てで玄関にふっ飛んで行った。
 すっかり暗くなって、色がなくなってしまった玄関、そしてドア。
 うん。鍵もチェーンロックも間違いなくかかっている…。
 なのにFさん、妙に不安になって明かりをつけてそれらを確認。
 部屋に戻りかけ、ふっとまた玄関に戻ってドアのノブを回し、そしてドアを揺すって、さらにチェーンをつまんでカチャカチャ。
 ついでにドアの覗き窓も見て。
 その、わずかにぼわんと丸くゆがんだ外の光景。
 ドアを通して聞こえてくるのは激しい雨風の音だけ……


 なんだか変に胸が騒いで仕方がない。
 それでもやっと落ち着いてきて、ベッドに腰かけたFさん。
 点けっ放しのTVにやっと気がついた。
 そのTVをぼーっと見ていたら、ふっと…。

 オレ、あの時…。なんで外で騒いでいる子供たちが部屋の中に入ってくるんじゃないかなんて思ったんだろう。
 普通、そんなことあるわけないだろうに…。

 Fさんの脳裏にふいに浮かんだのは…
 玄関のドアのわずかな隙間から、Fさんの顔を見上げるようにして見ていた、あの女の子の目。
 顔立ちとか、髪型とか、どんな服だったとか、一切記憶はないんだけど、あのじっと見つめてきた目だけはやけにハッキリ憶えていた。

 急に背中にゾクっときたFさん。
 慌ててケータイを手に取ると。
 しばらく友だちと話することで、その夜はやり過ごしたんだとか。


 Fさんによると、それからはそんなFさんの部屋の前に子供がいたりなんてこともなかったし、3階の通路で大勢の子供が騒いでるなんてこともなかったらしいのですが…。
 ただ、考えてみればそれもちょっと変。
 だって、ならなぜあの日だけあんなに子供が騒いでいたのか?
 ううん。もちろん、たまたまあの日だけ下の部屋のどこかの家に子供が遊びに来てたのかもしれないし、また親戚が子供連れで遊びに来てたということも考えられる。
 そう。そうなんだけれど、でも……

 Fさんは、「あの時はたまたま…」、「気のせい、気のせい…」って思いつつ、その後も何ヶ月かそのアパートに住んでいたそうなんですけど。
 結局、引っ越したんだそうです。




――── 本日これまで!
              75話目「百(-90くらい)物語-3につづく メルマガ配信日:11.7.3
                                             *無断転載禁止



*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください。





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2013
06.14

横溝正史ブーム(笑)


 マイブームって、思い返してみるとあるパターンがあったりしません?
 まぁ例えば音楽なんかだと、あるミュージシャンとかジャンルを聴きたくなる時って、身の回りの状況とか、心理状態が同じようなパターンの時が多いとか。
 あと、これは前にこのブログにも書きましたけど、毎年ゴールデンウィークが終わって大気が蒸しっとしてくるとブルースやサンバが無性に聴きたくなるとか…。

 それ以外にも、正月になると無性にお年玉が欲しくなるとか、節分になると何だか妙に豆を撒きたくなるとか。はたまた、クリスマスが近づくとやたらプレゼントを貰いたくなるとか等々。
っていうのは、たぶんまぁマイブームとは言わないんでしょうけどね(笑)

 まぁ冗談はさておき、最近私は人生何度目かの横溝正史ブームでして(爆)
 いや。きっかけは、たぶんちょっと前に読んだ本のせいだと思うんです。
 その本は、英国貴族の館に起きた殺人事件の話なんですけど、読んでいて、なんだかミョーに『悪魔が来たりて笛を吹く』を思い出しちゃって。
 いえ、お話の展開も、登場人物も特に似てるってわけじゃないんですけどねぇ…。
 でも、なぜか久しぶりに横溝正史が無性に読みたくなって。

 てことで、読み出したわけなんですけど……
 ふと、思い起こせば。
 今まで横溝正史を読んだ時期って、いつもこの時期だったなぁーって。

 前は、確か7年前。
 仕事で岡山県の笠岡市ってところに行って。
 笠岡市は瀬戸内海に面した街なんですけど、その時は市街地から山の方にクルマで1時間くらい行ったところにある某会社に用があったんです。
 そこに行く途中、外を見ていたら丘の中腹にあった、映画の『八ツ墓村』に出てきた田治見家の屋敷みたいな家(お屋敷)を見てしまった途端でした。
 なんだか、無性に『八ツ墓村』を読みたくなっちゃって。
 帰りの電車に乗る前に、本屋で『八ツ墓村』を買って、久しぶりに読んだらもう完全にハマっちゃいました(笑)

 で、『八ツ墓村』が終わったら。
 次はやっぱり『獄門島』だろー!って読み始めたら。
 全然忘れてたんですけど、『獄門島』の舞台っていうのは、なんとその私が仕事で行ってた笠岡市だったんです。
 ま、正しくは笠岡から船に乗って行く瀬戸内海の笠岡諸島の一つ「六島」がモデルらしいんですけど、冒頭では笠岡の港が出てきます。

 そういえば、これはあとで知ったことなんですけど。
 笠岡に行った時、用のある会社に行く途中に見たお屋敷が田治見家の屋敷を思わせる建物だったのも、実は当り前だったんです。
 映画『八ツ墓村』のロケは、岡山県の高梁市にある広兼邸という保存建造物で行われたんだとかで。
 つまり、私が見たお屋敷が映画の田治見家の屋敷と似ていたのは当り前だったんですね。あれは、あの辺りの庄屋とか名主のお屋敷の造り(様式?)ってことだったんでしょう。

 とまぁそんなわけで。
 前は、直近に岡山に行ったこともあって、岡山物(磯川警部物)ばかり読んで、私だけの横溝正史ブームは終わったわけですけど。
 なら、今度は東京物(等々力警部物)か?ってことになるのなーって。
 でも…、横溝正史は岡山物の方が全然面白かったっていう記憶があるんですよねー(ま、『悪霊島』はイマイチだった記憶が…)。

 じゃぁ何読もっかってことで、ネットで他の人の感想を見ていたんですけど。
 驚いたのは、横溝正史って現在でも評価高いんですね。
 というか、たぶん若い世代もかなりの高評価をしているような…。
 ま、もちろん『八ツ墓』『獄門』『手毬歌』等の岡山物や、『犬神家』『悪魔が来たりて』あたりはまぁわからなくはないんですけど。
 でも、『病院坂』あたりまで、評価高いっていうのはどうなんだろ?って。
 ま、横溝正史って、意外に後味は悪くないからっていうのもあるのかなぁ…。

 そういえば、思い起こせば『病院坂』なんかは、高3の時に友人に借りて1回読んだっきりなんですよね。
 今読めば、また違うのかなーって。
 そういえば、高3で読んだ時は『本陣』も全然だったしなぁ…。
 『犬神家』も高3で読んだ時は面白かったんだけど、考えてみたらそれ以来一度も読んだことないんですよね。
 はたして今読んだらどうなんだろ?って(笑)

 ってまぁ。
 横溝正史に興味がない人には、ホントどーでもいい…、
 ていうか、つっまんねー話!ってことなんでしょうけどね(爆)
 ま、“祟りじゃ~”ってことで ←かなりイマひとつなオチ!









 プリファブスプラウトも、不思議と今くらいの季節になると聴きたくなるなぁ…
 最初に聴いたのが、今くらいの季節だったからだろーか? 


 とはいえ、横溝正史ネタですから、やっぱこっちですかね(笑)
 http://www.youtube.com/watch?v=hOMzuz_JYwE
 http://www.youtube.com/watch?v=NHjX21kyzKk
 個人的には、『手毬歌』のテーマの方が好きですね。
 しっかし『手毬歌』はなんで季節を冬にしちゃったのかなぁ…

 http://www.youtube.com/watch?v=HO5TvKb76_4
 これはオマケ。
 関係ないですけど、『犬神家』を聞いたら思い出しちゃって(笑)
 昔の映画やドラマのテーマって、歌じゃないからその雰囲気に沿っていて、余韻に浸れたり、ワクワクしたり。さらには、うるさかったりしないんでいいですよね。




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2013
06.14

75話目「百(-90くらい)物語」 ~ネタの虫干し~ 1話目

Category: 怪談話

 「番外:その6」となんとなく似てるような、そんなお話。
 というか、つい最近「番外:その6」のお話を聞いたこともあって、75話目に飛ぶことにしたわけなんですけど。

 と、始める前に。
 実は、「番外:その6」のお話のPさんからメールが来まして。
 なんでも、例の塩がまかれているその家の前。
 今週、たまたまPさんがまだ明るいうちに帰ってきた時、その家の前を通ったら。
 他の場所は、路面が濡れているのがすっかり乾いていたのに、その家の前だけ、黒ーく染みてるんですって。
 その染みの形が、なんとなーく人の上半身(胸から)から上の姿に見えるんだとか……

 まーね。塩を撒くことで、湿り気が残りやすくなってるっているのはあるでしょうし(塩って、確か水分を吸いますもんね)。
 また、人の胸から上の形ってことは、たまたまそこが傾斜していて(窪んでいて)水分が残っていたかもしれないわけですけど。
 とはいえ、Pさん。それを見た時は、「ドキ」っとしちゃって。
 思わず、跳びのけるようにそこをよけて歩いたって。

 まぁそういうのっていうのはねー。
 いったん気にしちゃうと色んなことがどんどん怪談じみてきちゃうわけですけどねぇ…。
 とはいえ、確かになぁ~んか薄っ気味悪いって気はしますよね(笑)



 てことで、Pさんのお話はそれくらいにして、Kさんのお話。 
 Kさんは、東京からさほど遠くない某県の県庁所在地で生まれて、ずっとそこで育って(もっとも、大学の時だけは東京に住んでいたそうですが)。
 現在は、その某市で奥さんと二人暮らし。家は、なんでも何年か前にマンションを買ったとかで。
 
 まぁ景気の加減なのか、そのマンション。その1、2年は住民の出入りが結構あったそうなんです。
 巨大ってほどではないけど、まぁそこそこ大きめのマンション。
 あまり住民同士の交流とかもなく、詳しくはわからないということですけど。Kさんの部屋の真下の部屋も、その半年前くらいに住人が入れ替わったらしいんです。

 ある夜のこと…(まぁ大体怪談話っていうのは、「ある夜」ですよね。朝日まぶしい爽やかな朝のこと…な~んてお話は滅多にありません。ま、当り前か…笑)。
 その時っていうのは、Kさん、隣りで寝ている奥さんが起きた気配で、目を覚ましたんだとかで。
 まぁトイレに行くとか、咽喉か乾いたとか、寝ていて起きるってことは普通のことです。
 だからKさん、奥さんが起きた気配で目を覚ましたものの、それは一瞬のことで、またすぐ眠り戻ったらしいんです。
 とはいえ。なんかこう微妙な気配みたいなものを感じて、すぐに「うん?」って目を覚ましちゃったんだといいます。

 それは、部屋の暗がりの中。
 ぼんやりと目を開けたKさんが見たのは、隣りの布団で上半身だけ起こして、なにやらぼーっとしている奥さんの姿。
「なぁにやってんだよぉぉー。こんな夜中にぃぃ…。」
 Kさん、そう言ってから、うーん…って布団の中で寝返りをうつように体を動かして。
 その途端ぐわーんと感じた、引っ張り込まれるような強い眠気。
「うーん…。もぉ~、なぁ~にやってんのぉ~……。」
 そう言いながらも、もう半分以上眠りかけているKさんの意識。
 そう言っている間にもストーンと……

「ね…。
 あれ、なんなの?」
 ストーンと落ちかけたKさんのあまりに気持ちいい眠りは、その奥さんの声にぱっと引き戻され。
「えっ!何っ?えっ……。
 あっ!もぉ~。何だよぉ~、眠いんだからさぁ~…。」
 Kさんは、あの心地よい眠りに戻りたくて、また体をもぞもぞ。
 それは、Kさんがうーんって呻りながら、何気なく開けた目の前!

「うわっ!な、なんだよ…。
 あーっビックリし──」
 Kさんの目の前にあったのは、部屋の暗がりに滲んだような奥さんのどアップ顔。
 Kさんは、もうビックリで思わず声を上げちゃったんだけど。しかし奥さん、そんなKさんの寝惚け声をピシャっと遮って。
「しぃっ……。
 ほら、また……。」
 Kさん、奥さんのその声にまたビックリしちゃたんだけど。
「だから何なんだよぉー。オレ、眠いんだっ──。
 あ…。」
「ね?」
「う、うん…。何だ?何の音だ?」

 それは、おそらく下の部屋。
 ドッタン、バッタン。ドッタン、バッタン。
 何か重いものが部屋のあちこちにぶつかっているような音が、ずっと続いている。
 しかし、続いていたかと思うと…。
 今度は、バタバタ部屋の中を走るような音が。
 それはどう考えても、掃除をしているって音ではなく…。
 というか、今は真夜中……!?

「ここ、1、2週間くらいかなぁ…。
 ううん。もちろん毎日ってわけじゃないんだけどね。
 時々夜中にこうなのよねぇ…。」
 と、暗がりの中で奥さんが首をかしげている間にも、その音は続いている。
「いったい何やってる音なんだ?夫婦ゲンカか?
 いっやぁー…、違うよなぁ……。」
「ケンカならいいんだけど…。
 ほら、ドスメティック・バイオレンスとかだったら…
 ちょっとヤバイんじゃないのー。」
「あぁ、DVってヤツかぁ…?
 てことは、おい。児童虐待って可能性だって…。
 おい!下って子供いるのか?」
「いやー、知らなーい。どうだろう…。」

 それは、Kさん夫妻がそんなことを言っていたまさに最中。
 ふいに聞こえてきたそれは……
 たぶん悲鳴。
 もちろん下の部屋(たぶん)から聞こえてくるんだから、くぐもっていて確かじゃないんだけど、その高い感じからすると女性か、子供か…。
 その驚きは、それを聞いた瞬間、Kさんと奥さんは思わず息が止まってしまったくらい。
 でも、音はそれっきり。
 ピタリと止まってしまって……

「音…、しなくなったな。」
「うん。いつもそう。急に止まる…。」
「そりゃ、止ればそれは全部急だろー。
 こっちは音しか聞こえないんだから、下の状況なんてわかんねーんだもん。」
「だから!
 そういうこと言ってんじゃないでしょ!
 まったくもう…。」
 苛立たしそうにそう言いながら、なにやら布団から出ようとしている奥さん。
 Kさんは、それを見て慌てて言った。
「馬鹿っ。オマエ、下に行くつもりかよ?」
 そう言ったKさんを、ギロっと睨みつけた奥さんの目。
 暗がりの中だというのに、ハッキリわかったその目の白い部分が妙に怖い。
「そんなわけないでしょ!おトイレよ!
 ったくアナタって、もう…。」

 プンプン怒ってトイレに行ってしまった奥さん。
 一人部屋に残ったKさんはぼーっと、今の音のことを思い出していて…。
 
 やがて、ドスンと(Kさんのいる部屋の)ドアの閉まる音。
 隣りを見れば、奥さんがゴソゴソ布団に潜り込んでいる。
 それは、そのゴソゴソが収まってからすぐ…

「なぁ…。」
 暗い部屋に、Kさんの声がぽつりと。
「なによ…。」
 ほんのわずか間があって返ってきた奥さんの声。
 それは、布団にもぐっているのか、それとも向こうを向いているのか、くぐもった声。
「なぁ、ほら、下って…。
 もしかしてさ。ほらっ、SMが趣味とか…。」
 結局。
 その夜は、それから下の部屋の物音も、奥さんの返事も一切なく……


 とはいえ。
 それからも、夜中にそんな物音がすることは時々あったとかで。
 やっぱり夫婦ゲンカって感じじゃぁなく…。
 かといって、掃除というにしては音が激しすぎる。
 Kさんと奥さん、うるさいのもうるさいんだけど、それよりもDVだの児童虐待だったらと思うと、なんだか気が気じゃなくて。
 とりあえず管理人さんに相談してみようか…なんて言ったりもしたのだけれど。
 そんなことを言ってると、急に二人とも仕事が忙しくなってそれどこじゃなくなったり、もしくは音がしなくなったり。
 そのくせ、忘れた頃にまたガタン、バタバタバタ…って始まる。


 それは、そんな音がしたり、しなかったりで、何ヶ月かが過ぎた夏の初め。
 梅雨がやっと開け、暑い日が続いていた。
 夜になってもやっぱり暑くて……

 Kさんの奥さんって、実はエアコンが苦手なタイプなんだそうです。
 でも、そこはまぁうまくしたものでKさんの部屋は7階。
 しかも街外れってこともあり、付近は高い建物がほとんどないので、暑い夜は寝室の窓を開けっぱなし。
 マンションの前は田んぼ。その向こうには川が流れていて、風向き次第では結構涼しい風が入ってくる。ただ田んぼと川が近いせいか、カエルの大合唱が騒々しいくらいなのが、難点といえば難点だったとかで。

 真夜中になっても、蒸し蒸し気温の下がらない夜。
 こういう暑い時にかぎって風はさっぱり。
 それでも、奥さんが仕事から帰ってきたばかりの頃は、そこそこいい風が入ってきていたというのだが。

 Kさんの「なぁ、ちょっとでいいからさ、エアコン…」って言葉は、奥さん「ダメ!」って言葉で、言いかけたそばから却下され。
 Kさん、もう暑いし蒸すわで、もう息も絶え絶え。
「もーダメ。オレ、リビングで涼んでくる…。」
 Kさんが、眠いのに眠れないそのボーっとした頭で、立ち上がろうとした時だった。

 ズゥゥーン!
「うおっ!」
「きゃっ!」
「じ、地震っ?」
 突き上げてくるようなその振動。
 いや、それは揺れではなく、音…!?
 どう考えても、下の部屋の住人が、天井に何か重い物をぶつけているとしか……!?

「い、いつものあれか…。」
「でも、なんかいつもより激──。きゃ!また。」
 ズゥゥーン!ズゥゥーン!ズゥゥーン!
 鉄筋コンクリートだけあって、さすがにぶつかっている部分が直接音をたてているって感じではなく。
 床全体からというか、壁を伝ってくるというか。
 その後も何回か、ズゥゥーン!ズゥゥーン!という音は続いていて。

「ちょ、ちょっと何なの?これ…。」
「いったい何やってんだ?下の馬鹿ヤツらっ!」
 夫婦ゲンカだか、SMだかしらないが、いくらなんでもこの時間にこの物音は度を越していた。
 しかし、それは急に止って――。
 いきなり床を通して伝わってきた、またもやくぐもった悲鳴のような声。
 しかも、今回はさらにバタン、バタンと戸を勢いよく開けるような音が続いたかと思うと。
 その音にやや遅れて、バタバタバタバタ…と部屋を走り抜けていくような音が──。
 
 カラカラカラ…。ガタン!ガタン!
 そう。その音は、間違いなくKさんと奥さんのいる部屋の真下の部屋。
 その真下の部屋のベランダに面したサッシが、勢いよく開け放たれた音。

 外からの光に青く照らされた、不安そうにこちらを見ている奥さんの顔。Kさんは、その顔に指でしィーって。
 布団から抜け出し、抜き足差し足でベランダのサッシの方に歩いていったKさん。そして、音の出ないようにそーっと網戸を開け、ベランダの外に……

 いや、ベランダの上から覗き込むなんてことは、さすがに出来なかった。
 Kさんは、とにかく気づかれないようにと、サンダルも履かずにベランダの上から、そのすぐ下の気配を窺う。

 外は、相変らずうるさすぎるくらいのカエルの大合唱。
 ゲコゲコゲコゲコゲコ…。ゲロゲロゲロゲロゲロ…。
 それは、あまりに多すぎてもうわーんって感じ。
 でも、そんな中。カエルの大合唱に混じって、下のベランダからかすかに聞こえてきたのは2つの音。
 ううん。音でなく、それは声……

 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……
 すすっ…。すすっ…。すすっ…。 
 それは、どうも荒くついている呼吸の音(男?)と、すすり泣き(女?)のようで……

「…!?」
 うん?下の部屋の夫婦(?)二人、今、オレの真下にいるってことか!?
 何が何だかわからなくて首を傾げているKさん。
 そんな時、ふと振り返ったKさんの目に飛び込んできたのは、そーっとこっちに来ようとしている奥さんの姿。
 Kさん、もう大慌て。奥さんに、手を振ったり、下を指さしたりして「こっち来るなって。今、下!下!真下にいるんだから!」って知らせる。
 すぐに察したのか、大きく何度もうなずいた奥さん。
 その不安そうな目は、Kさんを見ているようでもあり、でも下の気配を窺ってもいるようでもあり…。

 相変らずのカエルの大合唱に混じってかすかに聞こえてくる、荒い呼吸音とすすり泣きはまだ続いていた。
 でも、それからはそれだけで…。
 Kさん、首を捻りつつも「なんだか知らねーけど、いつまでも付き合ってらんねーや」って部屋に戻ろうとして。また、そーっと網戸を閉めていた時だった。

「もう嫌っ。こんなの…。」
「っ!?」
 網戸を閉める手が、思わず止ってしまったKさん。
 かすかに聞こえてきたその声は、どうもあのすすり泣きの主の声のよう……


 Kさん、その後もしばらくそのまま耳を澄ませていたんだそうです。
 実は、その女性のつぶやきの後、男の何か言っている低い声を聞こえたような気もしたんだけど、それは定かではないっていいます。
 ただ、思うにそれは、怒っているみたいな口調ではなく、なんとなくつぶやいた女性をなだめているような、そんなイントネーションだったと。

 本来なら、そんな夜中の物音に管理人さんなりを通じて文句を言ってもよかったんでしょうけど。
 でも、Kさんも奥さんも何だか妙にそんな気にならなかったとかで。
 というか…。
 実は、Kさん夫妻の下の部屋から聞こえてくる音、その夜が最後で、以来一切聞こえることはなかったんだそうです。
 ほどなくして。
 マンションの入口の所にあるポストからは、下の部屋の家の名前が消えていて……


 Kさん、それに気がついた時、何の脈絡もなくふっと。
「下の部屋のアレって…。
 もしかしたら、幽霊だとかそういうことだったとか…」
って思ったんだとか。

 ところで、その下の部屋。
 今では別の家族が住んでいるそうで。
 休みの日なんかにベランダにいると、子供の遊んでいる笑い声がよく聞こえてくるって、Kさんはいいます。




――── 本日これまで!
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2013
06.12

UFOときたもんだ! ~つづき


 「UFO」をテーマにした日曜日(6/9)『サイエンスZERO』。
 いやー、面白かったです。

 まず、『サイエンスZERO』で、Eテレ(つまり、教育テレビ)で、「UFO」を“未確認飛行物体”としてでなく、“宇宙人(番組では「地球外知的生命体」)の乗り物”としてやっていたのがビックリでした。
 ただ、出演者が「UFO」を“いるorいない”という言葉で話していたの、あれはアドリブだったのか台本通りだったのか。
  “未確認飛行物体”にしても、“宇宙人の乗り物”、「UFO」をどっちとして考えるにせよ、それは「物」であるわけですから、“いるorいない”ではなく“あるorない”なんではないのかなーと。
 ま、テレビ番組(に限ったことじゃないですけど)っていうのは製作の裏がよくわかんないっていうのは、それが『サイエンスZERO』(Eテレ)であっても同じなんでしょうかね?

 番組は、まずおなじみのUFO映像から始まって。
 出演者の女性タレントが、“この番組で、まさかUFOですか”みたいなことを言った後。解説役のサイエンスライターの人の“UFOは99.9%信じてないけど、でもいたら面白い”的な言葉で、まぁ順当な滑り出し(笑)
 次にアナウンサーの人の“おなじみのあの事件を”で、例のロズウェル事件の紹介映像。

 しっかしまぁ絵に描いたような順当な流れ!って見ていると、ロズウェルの町並みが映って。
 ロズウェルって、イメージだと砂漠か荒地みたいなだったんですけど結構緑豊かな住宅街って感じの町並みで。 例のエイリアンの看板を掲げた店だとか映ってたんですけど、意外だったのが看板に「UFO」の文字があったこと。
 いわゆる「ロズウェル事件」っていうのは、郊外に宇宙人の乗り物であるUFOが墜落したってことになってるわけですけど、墜落しちゃった物であっても「UF(Flying)O」(未確認“飛行”物体)っていう捉えかたをするものなんでしょうか?
 また、UFOっていうのはあくま英語で未確認飛行物体の頭文字っていう認識だったんですけど、アメリカ人も「UFO=宇宙人の乗り物」っていう認識なんでしょうか?
 その辺りが、発見(笑)でした。

 「ロズウェル事件」の説明では、おなじみの牧場主が破片を発見して、それがUFOの残骸って話になって。翌日、あれは気球って訂正が発表されたんだけど、それはおかしいということとなって、大騒ぎ。結局、政府に情報開示請求…みたいな経緯を説明して番組は進行していくわけなんですけど。
 で、その政府の再調査による情報開示っていうのは、1994年のことだったんですね。
 それは知らなかったんで、なーるほど!ってすごく納得いきました。

 これは、70年代半ばくらいのオカルトブームから始まるUFO番組が好きだった人なら恐らくわかると思うんですけど。
 宇宙人って、現在ならおそらく100人に聞いたら99人が例の「グレイ・タイプ」ってヤツをイメージすると思うんです。
 でも、70年代80年代って、例の「グレイ・タイプ」のイメージはあまりなかったですよね。
 もちろん、あの「グレイ・タイプ」の宇宙人も(TVや本で)知っていたし、「ロズウェル事件」も聞いたことはありましたけど。でも、70年代80年代だと、宇宙人といえば『宇宙戦争』のタコ型火星人のイメージが強かった記憶があります。
 それが、気がつけば宇宙人(ま、最近は「エイリアン」って言葉を使うことが多いようですけど)というと、あの「グレイ・タイプ」が一般的になっている。
 つまり、1994年の「ロズウェル事件」の情報開示が、タコ型火星人と「グレイ・タイプ」の転換点だったということなんでしょう。

 考えてみれば、70年代80年代は「ロズウェル事件」というのは名称や大まかな出来事がTVや本で見知っていても。どっちかというと、アダムスキーの話とか、ヒル夫妻の事件の方が全然ポピュラーでしたよね。
 また、考えてみれば「グレイ・タイプ」の宇宙人を知ってはいても、それの名称が「グレイ」って言われるようになったのは、たぶん90年代以降ですよね。
 それは、Jポップで「グレイ」っていうのが流行ってた頃、宇宙人とごっちゃになった記憶があるんで、たぶん間違いないと思います(笑)
 つまり。
 宇宙人にも、流行り廃りがあるもなんだなーって(爆)

 そういえば、『未知との遭遇・特別編』で最後に出てくる宇宙人は、(今から思えば)「グレイ・タイプ」だったわけですけど。
 ネットで見てみると『未知との遭遇・特別編』は1980年となってますが、あれだけ話題になった映画ですら、それに出てきた宇宙人が一般的宇宙人のイメージとして定着しないのに。
 でも、それが政府が発表したとなると途端にイメージが変わっちゃうっていうのはスゴイですよね。
 というか、ある意味気味が悪いくらいです(爆)


 さて、『サイエンスZERO』に戻ります。
 番組上は、「ロズウェル事件」は、“ま、信じたい、あったら楽しいだろうなっていう一種のファンタジーなんでしょうね”的なコメントで締められるわけですけど。
 その次に紹介されるのが、これまた一時有名になったベルギーの三角UFO事件。
 とはいえ、これまでの番組の流れは“UFOはファンタジーだ”ですから。
 そのベルギーのUFO事件の一連の流れは一切説明されずに、最近わかったという「実はあの写真はウソでしたよ~ん」的な証言の紹介と、“結局、みんなUFO見たいんですよ”的なコメントに終わります(笑)

 ちなみにですけど。
 このベルギーのUFO事件については、あの大槻教授(大槻義彦氏)がその顛末を書いた本を翻訳したんだか、それとも自ら書いたんだか忘れましたけど、本を出しているはずです。
 それも、“これは本物”という大槻教授のコメントが入っているとかで。
 まぁ、その“本物”がどういう意味のコメントかはわかりませんけど。
 たんに、「未確認な飛行する物体」という意味での“本物”かもしれません。
 UFOは絶対あると信じ込んでいる人や、「霊」というものが絶対死者の魂だと信じ込んでいる人は、何かというと大槻教授を批判しますけど。
 個人的には、本気で科学という視点で(ムキになって)それらを論じてくれる科学者ってことで、むしろ評価すべきだと思うんだけどなー。
 だって、その人だけが“感じる”とか“視える”のお話だったら、それはその人だけのお話でしょ(笑)
 客観的に見てもホントにホントって思えることで、それは初めて面白くなるんだと思うんだけどなぁ…。

 だって、(宇宙人の乗り物としての)UFOは絶対あると信じ込んでいる人や、「霊」というものが絶対死者の魂だと信じ込んでいる人だって、まさか世に出回っているお話や体験の全部が全部本物だとは思ってはいないと思うんです。
 そういう意味でも、それこそプラズマというものが人魂のように見えることがあるという見解や、いろんな話に科学的な解釈をしてくれて、お話をふるいにかけてくれる大槻教授という人は歓迎すべきだと思うんですけどねぇ…。
 大槻教授が書いたその手の本は今ではほとんど手に入らないんですけど、批判する前にせめて『大槻教授の最終抗議』(集英社新書)の火の玉研究の経緯のくだりは読んでほしいなーって(笑)


 で、まぁ『サイエンスZERO』です(笑)
 ここで番組の流れがちょっと変わります。
 つまり、「ロズウェル事件」や「ベルギーの三角UFO」は、人がUFOを見たいんだというバイアスによるものとして一区切りつけたところで。
 “じゃぁ、そのバイアスをはずして、最後に何が残るのか?”という流れになるわけです。
 この辺が、まさに『サイエンスZERO』であり、Eテレってことなんでしょうね。
 間違っても“信じるか信じないかはあなた次第です”なんてことは言いません(爆)

 つまり、国をあげてUFOを研究している機関があると。
 それは、フランスの国立宇宙研究センターの一角にある「GEIPAN」(未確認大気宇宙現象情報研究グループ)という組織。
 その「GEIPAN」は、もう30年以上にわたってフランス各地から集められたUFOに関する情報を研究しているということで、例えば2011年に撮影された夜空に浮かぶいくつもの光はフランスで最近流行っている気球型のランタンだと分析したり。

 ま、あくまで状況証拠ではあるんでしょうけどね。
 とはいえ、そういった出来事に対して、科学的にはこう解釈出来るよと見解を示してくれるのはホントに面白いなーって。
 もっとも、UFO、つまり「未確認な飛行する物体」は、絶対宇宙人の乗り物であって、気球や錯覚ではダメ!って人には受け入れられないのかもしれないですけどねぇ…(笑)
 とはいえ。
 番組の趣旨は、あくまで「余計なものを排除した末に、最後に何が残るか?」ですから。
 100の目撃例中99例は科学的解釈が出来ても、残り1例は何だかは説明出来ないってなれば、UFOは絶対宇宙人の乗り物じゃなきゃダメって人にとってもむしろ満足出来るんじゃないかって思うんだけどなー。
 だって、それこそ“わー、まるで映画みたーい!”な、映像を延々見せられるよりは全然いいと思うんだけどなぁーって(爆)

 つまり、例えばノルマンディーで目撃された「教会の上の空にサッカースタジアムのライトのような巨大な光がいくつも並んでいた」という出来事は、その「GEIPAN」でも説明がつけられないんだと。
 なんでも、その「GEIPAN」に寄せられた1000件以上のUFO目撃情報のうち、正体が突き止められないものは22%あるのだとか。
 さらには、1950年代にUFOの目撃が多発したアメリカでも政府が調査した結果で見てみると…。
 天文現象22%、航空機22%、気球15%、情報不足11%、その他(幻覚等)11%、そして、正体不明が20%。
 つまり、
 “どちらの政府の調査でも、UFO目撃例の2割くらいは「正体不明」という結果になった。
  UFOというものがいる(存在する)のだとしたら、この2割の中にいる(存在する)はず…”
というコメントで次の展開に進むわけです。

 ちなみに、ちょっと異論を挟んでおくと。
 いつだったか、英国政府が発表した割合では、“正体不明”は確か約1割だったよーな(笑)
 とはいえ。
 ま、増える分には楽しいやねーって(爆)


 で、この後番組ではその2割の正体不明に属するとされる、2枚の写真が提示されます。
 ただ、2割に属するといっても、そのフランスの「GEIPAN」が正体不明とした2割の内なのか、アメリカ政府が50年代に不明とした2割なのかは示されません。
 ま、たぶん。その辺は(番組進行上の理由で)多少曖昧に“科学的に正体不明”ってことなんでしょう。
 というか、それを言っちゃったら50年代アメリカ政府の発表した中の、「情報不足」と「その他(幻覚等)」って項目って、「正体不明」とニアリーイコールじゃねーのかよ!って気もしますけどねー(笑)
 ま、50年代と現代では科学が全然違いますからね。あまり厳しいこと言ってもしょうがないのかもしれません。


 で、まぁ横にばっかそれて話がよくわかんなくなってますけど、正体不明に属する2枚の写真です。
 1枚目は、夜空に光の筋がニョロニョロ、ビシビシ走っている写真。
 2枚目は、青空の下飛んでいるグライダーの左斜め下から右斜め上を尾を引くすごい速度で突っ切る白い雲(?)の写真。
 ただ、1枚目の写真については、最近解明された(状況証拠的には科学的説明がついた)んだそうです。
 それは、ノルウェーのヘスダレン村という所で30年以上にわたっている見られている「ヘスダレンの光」という現象と同じものなのではないかと。
 ちなみに、番組ではその「ヘスダレンの光」の動画が出てきたんですけど、1枚目の写真がヘスダレン村で撮影された「ヘスダレンの光」の写真なのかどうかは言明していません。

 で、その「ヘスダレンの光」の動画ですけど、これが面白いんです。
 まぁ白黒なせいもあって、よけいに神秘的に見えるっていうのもあるんでしょうけど。
 たぶん夜空を相当高感度のカメラで映しているんでしょう。家の明かりがかなり眩しく映ってましたから。
 夜空も、雲の黒い部分と白い部分があって。
 その空を光がゆっくり回転するような動きをしながら、左から右に移動していく。
 番組では“鳥みたい”ってコメントも入ってましたけど、私はむしろレジ袋が風に飛ばされてるようなといった方が近いかなーって思いました。
 回転しているような、でも違うような不確定な動きをしている光が常に変形するのも、まるで風に飛ばされたレジ袋って感じです(笑)
 ただ、バックの黒い雲は動いているようでしたけど、その光とは逆向きなんですね。何より、レジ袋にしちゃデカすぎるって気もしますし。
 その後は、ヘスダレン村の住人の証言もあって、その人は“葉巻型の光だった”って言ってました。

 とはいえ。
 こっちは、状況証拠とはいえ科学的に解釈出来たわけですね。
 ま、簡単に言っちゃうと、信じたい派がブーブー文句たれそうな電磁波によるプラズマ発光現象だと(笑)
 なんでも、ヘスダレン村は昔鉱山だったとかで。地下にある石英が圧力を受けると電磁波が発生して。
 さらにヘスダレン村は谷合いであることもあり霧が発生しやすい。そのため、霧で空を塞がれることで電磁波が溜まりやすいのだとか。
 まー、確かに電磁波が異常に高いっていうのは数値で確かめられるんでしょうし。プラズマ発光の実験映像も出てましたけど(ちなみに、動画と似ているかは微妙)。

 いや。電磁波によるプラズマ発光なら、私はそれで全然OKな方なんです。
 ただ、説明がつけられるならそれで全然OKな方(というか、説明をつけて欲しい方)だけに、もう少し納得感のある説明が欲しかったかなーって。
 石英に圧力がかかるっていうのも、じゃぁその圧力って何?って気もしますねぇ…。


 で、問題はもう一枚の、青空の下飛んでいるグライダーの左斜め下から右斜め上を尾を引くすごい速度で突っ切る白い雲(?)の写真です。
 その写真は、いまだ説明がつけられないと。
 番組では、そのグライダーに乗っていたパイロットのインタビューが出てきます。
 なんでも、グライダーを操縦していたら、金属のようなボール状のものが目の前を横切っていったのだと。

 実は、そのような飛行機のパイロットが遭遇した謎の物体というのは、「全米航空異常現象報告センター(NARCAP)」という政府機関に、50年間で3500件以上報告されているのだとか。
 それは、飛んでいる飛行機の真正面から飛んできて目の前でパッと消えてしまったり。
 あるいは、飛行機の目の前をジグザグ(近づいたり、遠ざかったり)しながら横切ったり。さらには、飛行機の後から近づいてきたかと思うと、その飛行機のまわりをらせん状に飛びながらどっか行っちゃったりと…。

 そんなのを聞いちゃうと、まさに「UFO」。つまり、中に宇宙人が乗っていて、飛行機に興味があったんだか、それともからかったんだかっていう、何らかの「意思」があるのでは?って思ってしまいますよね。
 だって、プラズマ発光には、興味だったりからかうという「意思」はないわけですから。
 とはいえ、飛行機という物体があることで、それに反発する力が働いてなんらかの物理的な力が働いて、そんな動きをしたとも考えられるのかもしれない…。

 つまりは、“わかんない”んですね(笑)
 番組も、“UFOをつかまえでもしない限り、グレーゾーンのまま”ってコメントとなります。
 で、結局。番組は、物理学的な視点で、(宇宙人の乗り物としての)「UFO」を見てこうっていう風になるわけです。
 そこで、ゲストとして日本の宇宙物理学の大御所と呼ばれる(らしい)「自然科学研究機構」の佐藤勝彦氏の(UFOからの)登場です。
 番組の流れは、宇宙人がいるかいないかは60年前から科学者の中で議論されてきた。
 それは、イタリア人の物理学者エンリコ・フェルミという人によって疑問が投げかけられ、その結果3つの回答のグループに別れた。
 つまり、
 ①地球外知的生命体はいる。すでに地球に来ている
 ②地球外知的生命体はいる。でも地球には来てない
 ③地球外生命体はいないの、3つだと(というか、その3つ以外にあるんだろうか?)。

 で、その佐藤勝彦氏の考えとしては②。
 その理由として、まず最近太陽系外惑星が大量に見つかってきたこと。
 その見つかった中でも50個くらいの惑星には、水が水として存在しているらしいからだと。
 ただ、そこでサイエンスライターの人が口を挟みます。
 それは、以前『サイエンスZERO』でも放送した土星の衛星タイタンには、メタンの海の存在が確認されており、そこには生命がいる可能性が極めて高いと。
 つまり、水というのは絶対必要なものなのか?と。
 そうそう、まさにそこですよね。

 それに対して佐藤勝彦氏は、タイタンのメタンの海に生物がいたとしても、それは単細胞生物なのではないかと。
 単細胞生物っていうのは、むしろ宇宙に満ち溢れている(←ワォ!)。
 しかし、人類のような知的生命体となると、多様な進化を経ないと発生出来ないため、水がある場所でないと無理なのではないか。我々(科学者)は、地球型の生命体を考えるがゆえに「水」「水」と言うのだと。

 ま、そうなっちゃうと、ある意味「思想」なんですかねー。
 個人的には、「人類」の進化方向性っていうのは、たまたま「知性」って方向で進化して、その結果「知性で進化した生物で一番繁栄している生物」にすぎなくって。
 例えば、「運動能力」の方向で進化した中の、さらに「飛行能力」の方向で進化して一番繁栄しているは鳥で。
 他者に頼って生きるっていう方向で進化した中で一番繁栄しているのは、牛や豚等の家畜ってことなのかなーって思う方なんで(あるいは、乳酸菌等の動物に寄生する微生物?)。
 「水」のない環境で知的生命体に進化することがないとはいえないのでは?(少なくとも、それを明確に否定する根拠はないのでは?)。
 または、知的な方向でなく運動能力的に進化、あるいは精神感応的に進化(つまり超能力ってヤツですな笑)で、乗り物を利用せずに地球に来るってことだって可能性としてはありえるんじゃないのかなーって思っちゃうわけですけど。
 ま、そこまでいっちゃうと「現代科学」ってぇヤツからは外れちゃう。つまりは、「オカルトレベル」ってことなんでしょうかね(爆)
 でも。だとしたら、オカルトにもまだ日の目を見るチャンスはあるってことなのかなーって。

 で、まぁ。流れとしては、『サイエンスZERO』的には(あるいはEテレ的には)順当という流れになってしまったわけですけど。
 その佐藤勝彦氏、面白いことも言っていて。
 それは、“地球外知的生命体はいる。でも地球には来てない”の理由としてあげた次の話に出てきたんです。
 つまり、地球外知的生命体がいるにしても、距離的な制約で地球には来ることが出来ないのではないか?ということ。
 ま、それについては、我々素人しては(SF的な話になるんでしょうけど)光の速さでとべば?とか思っちゃうわけです。
 でも、佐藤勝彦氏によると“光の速さでとぶ”というのは、物理学的には非常に危険なことなんだと。
 というのは、光の速度で飛んでいて例えば水素ガスの中なんかに飛び込んでしまうと、光の速度でぶつかったことにより水素ガス等が放射線となってDNAを傷つけてしまうのだと。
 それって、つまり。この間東海村かどっかでおきた被爆事故と同じことが、人間の身に直接的に起きるってことですよね。

 なーるほどねぇ…。
 いや。実は私、この番組はそこから見だして。
 その話が面白くって、最初から見ることにしたんですけど。
 そう。まさにそういうことなんですよね。
 物理的にというか、論理的にというか。「UFO」みたいなことには、そういう納得感のある説明をしてもらえるのが一番面白いんですよね。

 これは、何で知ったんだか忘れたんですけど。
 それは、宇宙人がいたとしても、人類と出会う可能性っていうのは相当低いんじゃないかって。
 それは、何より“タイミング的な問題”なんだと。
 つまり、人類が宇宙に行くようになったのはここ50年くらいのこと。
 電波とかそういったものを知ったのは、100年か150年くらいの間のこと。
 人類の進化からみれば、それはほんのわずかな時間にすぎないわけで。
 さらに言えば、人類の出現というものを地球の歴史から見て1年間にたとえると、それは大晦日の23時59分ももう終りの頃っていうはよく聞きますよね。
 その時間というものを考えると、宇宙人がたくさんの星にいたとしても、今このタイミングに地球に来れるまで進化した宇宙人がどれだけいるのか?そして、たまたまそれがいたとしても、その宇宙人が行く星に地球を選ぶ可能性はどのくらいあるのか?と考えると、地球に宇宙人が来る可能性は相当に低いと言わざるをえないんだと。

 やっぱり、そんな風に納得感のある説明が欲しいんですよねー。
 宇宙人が存在するかしないかなんて、少なくとも現代では絶対わからないわけですから。
 いると“思う”にせよ、いないと“考える”にせよ、それについて第三者からみて納得出来る何かがないと、やっぱり面白くないわけです。
 そういう意味じゃ、UFOをテーマにした『サイエンスZERO』。
 とっても面白かったです。どのくらい面白かったかというと、終わった後、思わずもう1回見ちゃったくらい(笑)
 この調子で、夏くらいに、ぜひ「オバケ」をテーマにやって欲しいですねー(爆)

 ま、番組の方はその後、宇宙人が地球に来る方法として、ワームホールを利用する話とかもやってたんですけど、ま、それはね。
 ワームホール自体、理論的に論じられてはいても現実に確かめられたわけでなないってことなんで。

 ということで、興味を持たれた方は、ぜひ土曜日の再放送を見るのをおススメしまーす。
 「ヘスダレンの光」なんかは、やっぱり映像を見なきゃ面白くないですし。
 http://www.nhk.or.jp/zero/re_bc/index.html

 しっかし、「ヘスダレンの光」。
 あんなに面白そうなネタ、今までどのUFO番組でも取り上げてないのはなぜ?



 てことで。
 これを下敷きにして、久しぶりに「怪談って何?」をやってみたいなーとか思っちゃいましたねー(爆)














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2013
06.09

UFOときたもんだ

 
 今日のサイエンスZEROは、なんでもUFOがテーマらしいですね。
 
 ま、UFOっていうと、今じゃ“=宇宙人の乗り物”って意味になっちゃうんですけど。
 そこは、サイエンスZEROですからあくまで“未確認飛行物体”として番組作るんでしょうけどね。

 といってる間に、もうすぐ開始時間です。
 でも、大丈夫。
 録画予約してるし、それがもしダメでも今度の土曜日の昼くらいに再放送するし。

 てことで、この記事終り(爆)
 








 しっかし、これだけの内容って、いくらなんでもサボりすぎか?
 といーか、この顔2つ並ぶとちょっと濃すぎな気も…

 ま、いっか。
 だって、そーいう季節だもんね(笑)


 
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2013
06.09

番外:その6

Category: 怪談話-番外

 知り合いのPさんから聞いた話です。
 Pさんの近所に、前々から「…?」って、ちょっと怪訝に思っていた家があったんだとかで。
「最初に気がついたのって、もういつのことだったか憶えてない…」
ってPさんは言いますから、もうそれなりに前からのことなのでしょう。

 なんでも、その家はPさんのウチから駅に行く途中にあるらしいのですが。
 いや、当り前ですけど見たところは全然普通の家なんだそうです。
 当然、それに気がつくまではPさん、その家のことを意識したことなんて全くなかったんだそうです。
 それなのに意識するようになったのは……

「いつの事だかは憶えていないけれど、
 たぶん朝にその家の前を通った時だったんだろうと思う。」
 歩いていて、急にクツの下にジャリっとした触感を感じたPさん。
「…?」
 何気に足元を見ると、辺り一面大量の塩がばら撒かれてあった。

 その時っていうのはPさん、なんとなく「その家の誰かが葬式にでも行ったのかな?」って思ったくらいで。
 ま、当り前といえば当り前ですけど、そんなことすぐ忘れちゃったらしい。
 その夜も当然その家の前を通ったはずなんだけど、その時もジャリっていったかなんていうのも全く憶えてないと。

「次に気がついたのって、その次の日だったのか、
 それとも2、3日後だったのか全然憶えてないんだけどさ…。」
 そうPさんが言うように、それはやっぱり朝のこと。
 クツの下がジャリっていう触感に気がついて足元を見てみると、そこには大量の塩。
 ふと見れば、それはこのあいだの家。
 …………。
「いやーさ。その時っていうのはさ。
 なんか、思わずその家をじーって見ちゃってさ。」
と、Pさん。

 とはいえ、人なんてそんなこといちいち気にはしていられません。
 Pさんも、駅に着いた頃にはすっかり忘れていたそうです。
 ところが、クツの下がジャリっていうの木がついて、足元を見れば辺り一面に撒かれた大量の塩。見れば、いつものあの家ってことは、それからもちょくちょくあったとかで。

 もちろん、朝気がついて、帰りにもクツの下がジャリっていって。おまけに次の朝もジャリっていう。でもそれは、昨日の塩がまだ残っていただけっていうこともあったそうなんです。
「それはもちろんあった…。
 でも、気がつくとまた大量に撒かれててさ…。」
 Pさんのその言葉のように、どうもその塩は不定期ながらも繰り返し繰り返し撒かれているよう。
 その内Pさんは、「もしかしたら、この家の人が葬儀屋か何かに勤めてるってことなのかな?奥さんか何かがそういうこと気にする人で、旦那が帰ってくるたんび塩で清めてるってことなのかな?」って思うようになったとかで。

 まぁそんな、その家の前を通ると大量の塩が撒かれてあるっていうのがすっかり日常になってしまった、そう。それはつい最近のこと。
 Pさん、その日は休みで。
 お昼ちょっと前くらいに犬を散歩させていて、たまたまその家の前を通ったんだとかで。
「犬を散歩させていたからなのかな?
 道の脇に塩がたまっているのに気がついてさ…。」
 Pさんによると、それは撒かれてからもう何日か経ったものだったと。
 砂埃に混ざってしまうのか、それとも変色なのか、それは赤みがかっていて。何より、撒かれてすぐの場合のように、辺り一面大量という感じではなかったらしい。

 ただPさん、その時は「あ、そうかあの塩の家か…」って思って、何気にその家に視線を向けたんだとか。
 見れば、その日の陽気のよさのせいなのか何なのか、門のすぐのところにある玄関の戸が大きく開けっ放しになっていて。
「別にさ、見ようと思ったわけじゃなんだけどさ。
 なんとなく見えちゃってさ…。」

 それは、ドアが開いた玄関の中。
 薄暗く、ちょっと殺風景ともいえるその玄関のクツ棚の上にあったのは、四角い陶器の線香立て。
 たぶん2/3ほどになった一本の線香から、煙が一筋昇っているのが見えた。




番外:その6終わり。フっ!
                                ――――「怪訝な家*無断転載禁止


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2013
06.08

この世には知らない方がいいこともある……


 ま、私。自慢じゃないですけど、子供の頃からの札付きの怪談好きです。
 どのくらい好きかっていうと、最近は好きが高じてなんだか好きじゃなくなっちゃったなぁ~ってくらいです(!?)
 だからよぉーくわかるんですけど…
 実は、怪談が好きな人って、周囲の人たちからキラわれモノだったりします(爆)

 というのは、怪談話が好きな人っていうのは、面怖い怪談話を新たに仕入れちゃうと嬉しくなっちゃって。もぉ周囲の人に話さずにはいられないんですね。
 とはいうものの、周囲の人っていうのは、実は怪談話なんて特に聞きたいなんて思ってないわけです。
 というよりは、怪談話は聞きたくないんですね。
 もっとわかりやすく言っちゃうと、怪談話なんてもんは怖いから大っキライだと(笑)
 ま、そういう聞きたくない人に無理やり(こっちは嬉々として)聞かせるわけですから、嫌われるのも無理はないかなーって気はします。


 つまり、今回のネタっていうのはその手のネタなんですね。
 読んじゃったが最後、以後2、3日くらいは(人によっては一生?)とってもコワ~い(嫌ぁ~な?)思いをしなきゃならないかもしれないネタってことなんですねー(ワクワク…)
 ま、そんなわけで。
 以下を読むのは、自己責任ってことで……

 いやー、冗談抜きで以下は読まない方がいいと思います。
 つまり、この世には知らない方がいいこともある……
ってことなんですって(笑)


 “““あれ?これだけ言ったのに読んでます?
 いや、ホント。マジ、読むの止めた方がいいですよ。
 これだけ言って、読むの止めたんですからね。
 何がどうなっても、私のせいじゃないですからねー(イヒヒ…)

 昨日の夜のことです。
 私は、絹さやを食べるのに、筋を取ろうとしていました。
 ちなみに、金曜日の夜のことです。
 八百屋が開いているのは土曜日ですから、つまり丸1週間冷蔵庫に入っていた絹さやです。
 といっても、別に腐ってたなんてことはありませんでした。
 まぁヘタのところが、ちょっと黒っぽくなってたくらいです。ヘタは筋と一緒にとっちゃうんで、黒っぽくなっていたって特に関係はありません。

 それは、10個くらい筋を取って。次の絹さやをつまんだ時でした。
 ふと、その絹さやに穴が開いていているのに気がついて。
 まぁたぶん、何かにぶつかったんでしょう。開いた穴のけずれた部分が横についていましたから。
 いやもうその時は。
 そんなこと、特に気にもしませんでした。何よりハラも減ってたし……

 そうそう。
 ちなみに説明しておきますと、私はヒドイ乱視です。
 何でも医者によると、人の十何倍もヒドイんだとか。
 だからコンタクトレンズやメガネがないと、みんなぼや~んとしか見えません。
 月なんか、5つくらい見えるくらいです。
 去年の金環食は、おかげで輪っかが5つ見えたんで「オリンピックやぁ~」なんて言ってたくらいです。

 話を戻しますが。つまり、その時っていうのは、コンタクトもメガネもしないで絹さやの筋を取ってたんで、よっぽど目の前以外はぼや~っとしか見えてなかったんです。
 で、例の穴が開いていた例の絹さやですが。
 穴の横についてた削れた部分が、なんか微妙に動くような……
「!?」
 思わず「なんだこれ!?」って、その絹さやを目の前に持っていくと。
 なんと、そこにいたのは小さな青虫ちゃん(!)
 なんと、絹さやの中から体を半分だけ出して、頭をもぞもぞ動かしてるんです。

「えぇーっ!
 絹さやって、虫がいるのぉぉー!」
 いやもぉ。子供の頃、親が家庭菜園で絹さやを作っていましたから、葉っぱには虫がつくのは知っていましたけど。
 まさか、サヤの中にも虫がいらっしゃるとは存じ上げませんでした。

 しかし…。
 虫がついていたとはいえ、その絹さや、やけにウマそうです(ま、虫も喜んで食ってたくらいですから、ウマいのは間違いないでしょう)。
 てことで。


「ま、気にしないことにしよう…。」

 そんなわけで、虫がモニョモニョしていた絹さやだけはとりあえず捨てて(1匹見たら、その何十倍いるです)。
 残りの筋をさっさと取っちゃって。
 あとは、さっさと煮えたぎるお湯の中にポイ!(合掌)

 結局、おいしく食べちゃいましたとさ。
 めでたし、めでたし。



以下、おまけとして、虫がついていた野菜の記録でーす(爆)
ここまで読んじゃえば、後はもう毒食らわば皿までです。
ぜひ、じっくりお読みいただければ幸いです。

・桃(の実) 
 3、4センチくらいの白い虫がいる時があります。
 ネットを検索すると、知らずに食べちゃった人の体験談が出ています。
 あくまで私の経験だと、虫がいたのは皮に穴が開いていました。
 よって、水をはった桶かなんかにしばらく浸けておけば、虫は苦しくて穴から出てきて溺れ死んじゃいます。

・ぶっころり
 最近はとんと見なくなりましたけど。
 前は、茎のところにベージュ色のやけに気持ち悪いイモムシがよくついていましたねー。

・ピーマンの類(ピーマン、甘とん、ししとう等)
 ピーマンの類(ピーマン、甘とん、ししとう等)は、
 秋口になると中に2、3センチくらいの青虫が入るようです。
 真夏でも、去年みたく一時的に涼しくなったりすると入るみたいです。
 それを知らなかった頃、三角コーナーにピーマンの中身をほったらかしにしたことがあって。
 どうも、そこに小っちゃいのがいたのか、それとも卵があったのか。
 翌朝、3匹ほど(見つけた数)部屋の中を這い回っていて、大いにパニックしたことがあります(爆)

・ネギ(長ネギ)
 青い部分の中にいたことが一度ありました(ちなみに真冬)。
 買ってきた時から、青い部分に虫が齧ったような穴があいていて。
 とはいえ、ネギなんてあんなピリピリする野菜に虫はつかねーだろーって思ってたら。
 次の日冷蔵庫から出したら、穴が明らかに拡大していて。
 「げっ」てよくよく見てみたら、ちょっとナメクジに似たイモムシがいました。


 で、まぁ。
 それらの野菜を食べるのに、私一人が怖い思いをするのもシャクなんで。
 ぜひ、皆さんにも教えてさしあげようと(爆)
 まぁつまり。
 私って、怪談を話しても嫌われ…
 野菜につく虫のことを話しても嫌われ…
 そーいう星のものとに生まれたんだなぁ……
 ””” 

 てことで。
 ま、めでたし、めでたし(泣)








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2013
06.02

すーちーちんじゃお


 すーちーちんじゃおって、なんのこっちゃ?って。

 いや。別に、スッチーがチンして、ジャオしちゃうってわけじゃなく(←意味不明)。
 「ちんじゃお」は、いわゆる“ちんじゃおろーすー”の「ちんじゃお」。
 つまり、青椒(ピーマン)ですね。
 で、「すーちー」は、素炒。
 つまり、ピーマンを炒めただけっていう、超カンタンな食べ物ですな(笑)

 そんな、もぉ料理以前の料理みたいな食べ物ですけど、これまったみょーにウマいんですね。
 個人的には、この素炒青椒があればご飯いくらでも食えるんじゃないかってくらい好きなんですけど。
 でも、酒のツマミにもとってもいいみたいで、友人が来た時なんか、結構好評だったりします(ちなみに、もっと手の込んだものを作ると不評だったります 爆)。

 ただ…。
 ピーマン嫌いの人にも好評かどうかまでは知りません(一度でいいから、ピーマン大っ嫌いの子供かなんかに、夕食のおかずコレだけって出してみたいですね。どんな反応が返ってくるんだろ?って考えただけで笑っちゃいます)。


 で、まぁ。
 料理以前の料理といっても、さすがに包丁とまな板くらいは使います。
 ニンニクを、まな板の上で包丁で潰す。
 はい。これで、包丁とまな板はお役御免です。
 お役御免ってことは、つまりしまっちゃってOKってことです。
 潰したニンニクは、ま、中華鍋にでも放り込んでおいてください(ついでに油も入れておくと、あとあと手間がはぶけるってもんです)。

 で、次。
 ピーマンをへたの方から、親指でブスっと差し込んで。
 ピーマンを指で縦裂きにしながら、種とへたをとっちゃいます。
 あとは、ひと口大にちぎって…

 ほんでもって、中華鍋で油を熱してつぶしたニンニクを放り込んで。
 香りがたったら、ピーマンを鍋にぶっ込み。
 全体に油がまわったら、塩を振って炒めて…
 最後にコショーを振って完成!
 で もって、あとはガバガバ食うだけですな(笑)

 ちなみに。
 ピーマンの炒め具合、パリパリか、しんなりかはお好みですかねー。


 今年は4月がやたら寒かったせいか、ピーマンが結構高かったんですけど(というか、そもそも小っちゃかった)。
 土曜日八百屋に行ったら、やっとデカくて安いピーマンが売ってて。
 今週は心おきなく、スッチーをチンしてジャオ出来ちゃいそうです(笑)

 そーいえば、この素炒青椒。私は、ウー・ウェンという人の本を見て知ったんですけど。
 初めて作った時、あまりのウマさに感動しちゃって、思わずクリスマスの夜にも作ったくらいです。
 ご丁寧にも、普通の緑のピーマンと赤ピーマンミックスで、クリスマスカラーやぁ~って。
                                     ↑
                                   なぜか関西弁


 ただまぁ…。
 クリスマスの夜に、赤と緑のピーマンを炒めただけって、なんだかさすがに侘しい気もしましたかねー(爆)
 でもまぁウマかったんで。
 めでたし、めでたし。












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2013
06.02

番外:その5

Category: 怪談話-番外


 それは、もうずいぶん前。私がまだ実家にいた頃。
 その日私は、終電かその1本前くらいで帰宅して。
 風呂にはいって頭を洗おうとしていた時でした。
 シャンプーを泡立て頭をゴシゴシしだしたら、なにやら怖いっていう感情に襲われて。

「え…。」
 どういうことなんだかわかりません。
 とにかくわけもわからず、ただただ堪らなく怖い…
 慌ててシャワーで泡を洗い落とし、周囲を見回しました。

 何もありません。
 自分の家です。何もあるわけありません。
 目が見える状態になって、辺りを確認してみれば先程の怖さなんてどこへやら。きれいさっぱり胡散無償です。
 型板ガラス(型模様をつけたガラス)の窓も、外の暗さを透かして、ただ真っ黒なだけ。
「なんだったんだ、今のは…?」

 ところが、また目を瞑って頭をゴシゴシやりだすと…

 怖い!
 もう堪りません。
 言いよう知れないのない怖さが、次から次へと湧き出してきて。
 どうにもこうにも気持ちがおさえられないんです。
 それこそ、もうシャワーで泡を落とすなんて、まどろっこしいことやってられません。
 風呂のお湯を適当にザバザバ何杯かかけ、風呂から飛び出して。
 脱衣場で着替えとバスタオルをひっつかむと、びしょ濡れのまま一目散で台所へ。

 台所に逃げ込んでホッと一息…。
 ふと、廊下を振り返れば、そこには風呂から続いている濡れた足跡…
 相当慌てていたのでしょう。
 電気は点けっぱなし。おまけに、風呂の戸まで開けっぱなしにして、きてしまったのでしょう。
 風呂場からモワモワと滲み出してきた湯気が、薄暗い廊下に台所のに照らされていました。

「あー、ヤバイなぁ…。」
 濡れた足跡って、そのままにしておくと染みになります。
 風呂の戸だって閉めないと湿気てしまうのでマズイのですが、でも今すぐというのはちょっと…。
 風呂場に行くの、どうしてもイヤなんです。

 私は、とりあえず落ち着こうと椅子に座って。
 冷蔵庫から冷たい飲み物を出して、それを飲んで一息ついて。
 タオルで頭を拭きながら、何なんだろ?今の感覚は…?って思っていた時でした。

 ふと、台所の窓が気になって…

 台所の窓は、風呂の窓と同じく家の裏庭に面していました。
 私の家は丘の斜面にひな壇のように広がる住宅街の一番下にありました。
 そのため、裏の家の土地はウチよりも一段高くなっているのと、庭木やら物置やらもあることもあり、裏庭は夜になると真っ暗になるんです。
 実は、裏にある家というのは、何度か泥棒に入られているのですが、その度どうも泥棒はまず私の家の裏庭に忍び込んで、裏の家の様子を窺った上で侵入していたふしがあるのです。

 もしかしたら、あの怖さの正体は、泥棒(の気配)…!?
 ゲッ!

 私は、そぉーっと窓のそばに移動して、なにか物音がしないかと耳を澄ませます。
 しかし、窓からはシンと真夜中の静けさが伝わってくるばかりで…

 その時、窓に虫が…、そう、ちょっと大きめ蛾か何かが貼り付いたような気がしたんです。
 ほら、型板ガラスみたいな模様入りのガラスって。
 遠くは見えないんだけど、それが窓に貼りついたり、近くにくるとボンヤ~リと見えるじゃないですか。
 私は、その虫を追い払おうと思って、何気に窓を叩いたんです。

 こぶしで、けっこう力入れて。
 ドンって…。

 いきなり。
 ギィェェェーーーーーっ!
 窓の外で、野太い野卑な感じの女の絶叫があがって!

 その予想もしない展開に、もうその場で固まってしまった私。
 でも、その後の展開は、さらに予想だにしないものだったんです。

 その、台所の型板ガラスがはまった窓のすぐ向こうにボンヤ~リ見えたのは…
 額のところでまっすぐ髪を切りそろえた日本人形。
 そんなモノが、中空で長い髪と着物の袖を振り乱して、のたうちまわっている!

「っ…!?」
 それは、何がそんなに苦しいのか。中空でのたうちまわりつつ、窓ガラスにカツンカツンとぶつかってくるんです。
 窓にカツンカツンと当たる度、その人形の表情がガラス越しにはっきりと見えて。
 それはもう、表情というより形相と言ったほうがぴったりな、苦しそうな、そして憎々しげな表情で。
 そうしている間にも途切れることもなく続く、野太い野卑な感じの女の絶叫!


 さて。
 ここから先はちょっとお話しにくいのですが、まさかここで終わらすわけにもいかないでしょう。
 よって最後までお話しますと、それは、その窓ガラスの向こうでもがき苦しんで野太い声をあげている人形を見たまさにその時でした。
 その到底信じられないような異常な事態に、私はもう堪らず大声をあげていたんです。
 もう、それは、ホント無意識だったんでしょう。

「わぁぁぁーーーーーっ!!!」。
 それはもう、自分でもビックリするくらいの大声でした。

 そのあまりの大声に、飛び起きちゃったんです。
 気がついた時には。布団を剥いで立ち上がっていたってくらいですから、その声がいかに大きかったかです。


 いやぁー。
 あんなにリアルに怖い夢をみたのは、後にも先にもあれっきり。
でしたねぇ…。




 まぁそんな禁断の「夢オチ」の後に、また就寝中の怪異を語るというのは、大いに気がひけないでもないのですが、それはある蒸し暑い夏の夜の、夜明けまであとわずかという時刻のことでした。

 寝ていて、ふと意識が半覚醒したんです。
 いや、ふとというのは間違っているかもしれません。
 半覚醒したのは、明らかに異常を感じたからでした。
 というより、身の危険を感じたからと言ってもいいかもしれません。

 そう。それは、まさに身の危険といっていい事態でした。
 つまり…
 さっきから、冷たい何かが私の顔を撫でてるんです。
 ぬらぁ~、ぬらぁ~、ぬらぁ~って…

 そして、それはこうしている今も撫でて続けている…。
 ぬらぁ~、ぬらぁ~、ぬらぁ~って…

 手です。
 顔に力なくあたる感じでわかるのです。
 ぬらぁ~、ぬらぁ~って、冷たいそれが、私の口元、鼻、目、額へと力なく撫でていく度、一本一本の指が顔の輪郭に沿ってわずかに動くのが感じられるんです。

 いやもぉ、そのとんでもない恐怖ときたら。
 とてもじゃないけど怖くて目なんか開けられません。
 でも、開けて逃げないと、さらに何をされるのか……

 意を決した私は、体を横にスライドするようにすばやく動かして、顔を撫でるその冷たい手から逃れようとしたんです。
 そして、必死で勇気を奮い起こして、目を開けようとしたんです。
 でも…。
 何も見えないんです。
 だって、そのぬらぁ~、ぬらぁ~って顔を撫でる手は、私の顔にペタンと貼りついて。私のことを逃すまいとピッタリくっ付いてくるんですから。

「うっぅぅぅー。」
 もう、反射的にその手を、右手でパッと払ったんです。
 右手でソレに触れた時の、そのなんとも表現のしようもない冷たさときたら…

 ところが…。
 ソレは、顔からは離れたものの、今度は私の左肩を掴んでいて。
 その、左肩にズッシリと感じられるその重み…。
 そう。その重みは、手だけの重さではありません。
 おそらく腕も…、いや、もしかしたら、その上もくっついているのか……

 あまりの恐怖で声なんか出やしません。
 「ハぁあーっ、ハぁあーっ」って、声にならない声が喉の下の方で擦れるばっかりで。
 私は、必死に左肩を掴むその冷たい手を右手で払いのけつつ、寝転んだままの姿勢で壁の方に逃げます。
 しかし、その冷たい手ときたら。
 私の左肩とガッチリと掴んだまま離そうとせず、私の動きにピッタリとついてくるのです。

 それは、私の背中が壁について、もうこれ以上後ろには逃げられないってとこまで来た時でした。
 私は、追ってくるモノをきっちり見極めようとしたんです。

 それは、障子から透けるとぼんや~りとした外の光の中に青白~く浮かび上がる部屋の中…。
 その青白いモノトーンの中に浮かんでいたのは、グシャグシャになった布団、暗~く沈む部屋の隅。
 部屋の中は、不思議なくらいシーンと静まり返っていて……

「…!?」
 あの冷たい手の主は、消えたのか?
 私は、右手で掴まれていた左肩をさするように、無意識に触れたんです。
 でもそれは、ひんや~り冷たい。
 …!?

 えっ!?まさか……
 右手で、左肩から腕を触っているのに、左腕はその感覚がまったくない…!?
 慌てて左手を見ると、ちゃんとあります。
 私の右手が、私の左腕をちゃんと触っています。
「…!?」


 まぁ寝相が悪かったってことなんでしょうねぇ。
 どうも、寝ているうちに左手が体の下になってしまい、左手の血がずっと止まった状態になってしまったみたいなんです。
 血が止まって感覚が無くなるくらい冷えきった私の左手は。
 たまたま、寝相が仰向けになって自由に動かせるようになった時。
 血が戻るにつれ、勝手に動いていたようなんです。
 それは、動くことで血の流れを戻そうとする体の反射的な動きなんでしょうか?
 何やらわかりにくくて申し訳ないんですが、どうもそういうことだったようなんです。
 しかしまぁ、これで寝ぼけ半分で金縛りもセットだったりしたら、恐怖度レベル相当高い恐怖体験になっていたに違いありません。

 怪談なんてもんは、腕一本でも起こりうるもんなんだなぁ…って、思わず感慨にふけってしまった夏の朝。
 というおバカなお話。



 それは、13日の金曜日でした。
 といっても。
 正しくは、その時すでに夜中の1時をまわっていたはずですから、14日の土曜日になっていました。
 季節は、冬だったか春だったか?
 いすれにしても、暑いという季節ではなかったように思います。

 その日は仕事が忙しく、帰りは結局最終電車になってしまいました。
 その日が13日の金曜日だったと気がついたのは、その最終電車の椅子に腰かけた時でした。
 何気なく時計を見たのです。
 14 SAT
 ああ…、今日って13日の金曜日だったんだ…。

 時計は14日の土曜日になっても、意識はどうしたってまだ13日の金曜日です。
 まぁ、そうはいっても、13日の金曜日だからって特にナンだってこともないのですが。
 だから、そんなことはその場ですぐ忘れました。
 疲れていましたから、電車が動き出す前にはもう寝入っていました。
 
 気がついたのは、自宅のある駅の1つ手前の駅でした。
 あぶない、あぶない…
 車内はもうかなりすいていました。
 といっても、空いている席はひとつもなく、立っている人もチラホラいるくらい。
 誰もが疲れきっているのかうつらうつらしている、話し声ひとつない車内に電車のガタガタした音がひときわ大きく響いています。

 駅に着きドアが開くと、乗客はパラパラと降りていきます。私も含め車内の1/3位が降りたでしょうか?
 しかし、それだけの乗客が降りたというのに駅から2、3分も歩いた頃には、夜道を歩いているのは私一人になっていました。
 空き地もまだまだ多いとはいえ、住宅が建ち並ぶ住宅街です。
 途中、大きな公園もありますが、一晩中灯りが煌々と点いていることもあり薄気味悪さなんて露ほどにもありません。
 向こうの通りからクルマが走るシューという音が聞こえてきます。
 静かな夜で、疲れきった体と心には心地よいかぎりです。

 角を曲がるとアパートがあります。
 アパートといっても、普通にイメージする木造2階建て、外にコンコン音のする鉄の階段がついているようなやつではありません。鉄筋2階建てのなかなか立派な建物です。
 アパートの住人達は、もう寝てしまったのか、まだ起きているのか?どの窓もカーテンがキッと引いてあります。
 そのアパートの前には、道に沿うようにアパートの住人専用の駐車場があります。もう、真夜中ですからみんな帰ってきているのか、開いているスペースはひとつもありません。


 いつも通りの光景………
 の、はずでした。

 私の視界の中に、いつも通りの光景…ではないモノがいるのに気がついたのは、どの辺りだったのか?
 それは、駐車場の中ほどに停めてある一台のクルマ。
 その屋根に、何やら黒い大きなモノがのっています。

 猫…!?
 猫です。
 形は …………


 そのクルマの屋根には、一匹の猫が座っていました。
 ちょこんと。
 いや、それはどっしりという方がしっくりくる感じ…
 というのは、その猫、やけに大きいのです。

 見た感じ、座った姿勢で頭まで7、80センチくらいはあるか…
 しかもその猫ときたら、全身真っ黒。

 13日の金曜日の夜に黒猫。
 ちょっとデキすぎです。
 しかし、デキすぎはいいんですけど、それはやけにデカくて…
 というか、デカすぎです。
 いくらなんでも……

 そんな猫が、アパートの前に停めてあるクルマの屋根に、背筋をすっくとのばした姿勢でどっしり座っています。
 身じろぎひとつしません。
 何をしているのか?
 私が見ているのは斜めからの後姿で、顔は見えないのですが。
 でも、アパートのある部屋をジーっと見つめているような…
 どうも、そんな風に見えます。

 猫というのは、人の存在を非常に気にするものです。
 現に、そのアパートの近辺には猫がよくいるのですが。でも、それらは人が近づくとクルマの下などにさっと隠れ、こちらを覗っていることがほとんどです。

 それが、この大きな黒猫ときたら…
 私がアパートの前を通り過ぎる間中、ずっと私に背を向けたそのままの姿勢で身じろぎひとつせず、アパートのある部屋を見つめていました。




番外:その5終わり。フっ!
                             ―――― 「オバケを出せー!オバケを!
                                             *無断転載禁止


*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください。





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2013
06.02

怪談「やたらせわしい…」

 それは、ついこの間の木曜日の夜のこと…。

 その日も残業で、深夜自宅のある最寄り駅に降り立ったM氏は、もう早く寝たい!と自宅へと急いでいた。
 梅雨に入ってまもないその夜は、強い雨が降っていて。
 駅を出て間もないというのに、M氏はもうびしょ濡れになっていた。

 黒く屋並みが連なる、その住宅街の中の道。
 それは深夜という時間帯のせいなのか、はたまたその土砂降りの雨のせいなのか。
 M氏以外にそこを歩いているものはいなかった。

 そんな時だった。
 M氏の歩く、はるか前方に人の姿が……

「え!?あの人って、なんで傘さしてないんだろ…。」
 真っ黒な低い雲がたちこめる、やけに暗い夜とはいえ。街灯は点々と点いていたから、なんとなくは見えた。
 そう。その前から来る人は、この土砂降りだっていうのに傘をさしていない。

「あ、なんだ。ランニングしてんのか…。」
 前から来る人がランニングしているんだと気がついて、納得したM氏。
 とはいえ。
 しかし、ランニングが趣味の人って…
 こんな土砂降りでも走りたいもんなのかなぁ…
 M氏は、そんな風にそのランニングしている人に呆れながらも、やっぱり家路を急いでいた。

 おりしも、その土砂降りの雨はM氏の前から吹き付けている状態。
 まぁ、前から来る人がたんなるランニングの人って思ったからなのだろう。M氏は、雨を避けるため、無意識に傘を前に倒して歩いていたらしい。

 それは、びしょ濡れの道を走る足音だったのか…
 それとも、変な気配を感じたのか。
 前に傾けていた傘を上げたM氏の目に飛び込んできたソレ……

 その、とにかくやたらせわしく動いていたモノ…
「っ!」
 M氏の目が、まず捉えたものはソレだったらしい。


 M氏によると…
 ソレを見てしまった時は、もう例のランニングの人はM氏の横を通り過ぎようとしているところだったと。
 慌てて…
 というか、思わず振り返っちゃったM氏が見た例のランニングの人の後姿は、やっぱりすっぽんぽんだったらしい……



 まー、確かに。
 M氏の言うように、木曜の夜~金曜の明け方にかけての雨はすごかったですね。
 雨の音で目を覚ましたなんて、ずいぶん久しぶりだったような気がします。

 ところで、そのM氏。
 その話をしてくれた後、何気に私が「オレ、前にその逆なら体験したことあったなぁ…」的なことを言ったら。
 「オレも、そっちの方がよかったー!」って、なにやら、とっても悔しそうにしていました(笑)

 どーも、そーいうことっていうのは。
 怪談的な出来事とは違って、なにやら生まれついての星みたいなものがあるようですね。
 つまり、出遭う人は時々出遭うけど…
 出遭わない人は、まったく出遭わない。



 あ、ちなみに。
 忘れずに言っておきますけど、私はそーいう趣味はありませんので、誤解のなきよう(爆)







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