2013
05.29

いよいよヤツがやってくる!


 なんでも関東地方も明日辺り梅雨入りの可能性大だそうで。
 ついにこの季節がやってきやがるんですねぇ…。
 砂漠大好きの私にとって、梅雨は何よりイヤ~な季節です。

 梅雨って言うと、まぁやっぱり誰もが真っ先に思い出すのは、毎夜カラ~ンコロ~ンの音とともにやってくるお露さんですかねー(笑)
 もっとも、最近のユーレイさんときたら、テレビ画面から自由に出入りですから、下駄なんてもんはいらないのかもしれませんね。
 というか。
 昨今は夜に下駄なんてもん履いて歩いてた日(夜)にゃぁ、「うるさい!」って怒られちゃいそうですけどね。

 そういえば、前にブログにログインしようとした時。
 ほら、このFC2ブログって、冒頭の画面に新着記事だか人気ある記事だかのタイトルが必ずいくつか並んでるじゃないですか/並んでるんですよ。
 その中で、「貞子(さん)が出てくる時、TVの画面にラップを貼っておいたらどうなるか?」っていうタイトルが目に入って…

 いや、うん。
 すっごく面白いとは思うんです。
 思うんですけど、な~んか発想の根幹のとこで相当微妙にハズしてな~い?って(笑)
 あ、もしあのブログ書いてる人が、もしかしてたまたまこれ読んじゃってたらゴメンナサイです(まぁそんなことないよなー)。
 いや。ホント、そういう発想って、私は大好きなんですよ。ホントすっごく。
 好きなんですけどねぇ…… ←微妙にフォローになってない(笑)

 ま、そんなわけでそろそろ梅雨入りなわけですけど。
 まぁね。
 梅雨ってぇのはね、あれはあれで、意外に風情があったりするものなんですよね。
 雲が低~く垂れ込めた、真っ暗な夜。
 聞こえてくるものといったら、雨音とカエルの鳴き声だけ。
 な~んて時に、布団の中で怪談本(やっぱ岡本綺堂がかな!)を読むのはホント至福のひとときといえますもんね(爆)

 ま、そんなわけで、考えてみれば梅雨も悪いことばっかりじゃないんですよね。
 だから、まぁこれでね。ホント、雨さえ降んなきゃねぇ~~~


 ……って。
 思い起こせば、毎年この時期になると同じこと言ってるなーって。








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2013
05.29

三浦さんと林さん(?)


 7時のニュース。
 まぁいつもだったら、天気予報目当ての流し見なんですけどね。
 昨日(月曜)の朝は、なんだかやけに興味深い話題が多くって。
 三浦雄一郎のエベレストの登頂後の話とか…

 そういえば、三浦雄一郎のエベレスト登頂のニュースは、登頂するまでは毎日のようにやってたのに。
 登頂した途端、全くニュースじゃやんなくなっちゃって。
 いつも思うんですけど、なんでテレビって、山っていうと頂上に着いたとこで必ず終りになっちゃうだろーなー?
 テレビ朝日で毎週やってる山の番組ですら、だいたいは頂上に着いて終りですもんね。
 かつて、山は下りが一番楽しかった私としては大いに不満です(笑)

 で、まぁ三浦雄一郎。
 ニュースがないってことは無事ってことなんだろうなとは思ってたんですけど。
 まさかC2(第2キャンプ)まで降りたところで、ヘリで下山だったというのはちょっとなんだかなぁ…。
 まぁ安全が何より第一っていうのはあったでしょうし。
 それより何より、ベースキャンプまで自分の足で戻れなかったことは、三浦雄一郎自身が一番残念だったろうなって気はしますけどねー。

 とはいえ、三浦雄一郎。
 記者会見で、“人生、人は自分で夢を見て諦めなければ、夢を実現できる”なーんて。
 思わず、スティーブ・ジョブズか!ってツッコミ入れたくなっちゃいました(爆)
 とはいうものの、ま、結局そういうものなんでしょうね。
 そういうものであるがゆえに、三浦雄一郎だろうと、スティーブ・ジョブズだろうが、同じような言葉になるってことなのかもしれません。
(ま、あの記者会見は、ちょっとプレス向けすぎない?っていうのはあったけど)

 で、三浦雄一郎。
 なんでも、次の夢は8000m峰の頂上からのスキー滑降だとかで、次も楽しみです。
 ニュースの中でも、その夢に対して好意的なコメントがされていました。


 で、その後。
 ま、カンヌの受賞の話もあったんですけど、それはまぁともかく。
 その後の林真理子の本『野心のすすめ』の話題。
 ま、内容としては、その『野心のすすめ』が若い世代に読まれていて。
 つい最近、林真理子がある大学で4年生数人と「野心」について語り合う場面と、林真理子単独のインタビューだったんですけど(どちらも一部)。
 で、その話題が終わった後、“野心っていうとちょっとギラギラしたような…”みたいなコメントが入ったんですけど…

 いやもぉ
 え?「夢」と「野心」って同じものじゃないの…!?
って、思わずきょとんとしちゃって…

 まぁたぶん。
 視聴者ウケがいいように、アナウンサーの方も、ついそういう風に言っちゃったんだとは思うんですけどねー。
 ただ、それにしてもちょっとなんだかなーって。
 現在の日本の普通の感覚って。つまり、「夢」を持つのはいいことだけど、「野心」を持つのはよくないことってなっちゃうのかなー???


 そういえば、先週だったか石田三成をテーマした番組をやっていて。
 その番組の中で、“石田三成というと悪役のように描かれることが多いですが…”って何回かコメントが入っていたんですけど。

 そう。あの時も、やっぱりきょとんとしちゃったんです。
 石田三成が悪く描かれるようになったのって、つい近年の話(それもいくつか)じゃなかったっけ?って。
 石田三成というと、私が子供の頃なんて、世間一般的には秀吉亡き後豊臣家を守るために徳川家康と闘った正義の味方みたいなイメージだったと思うんだけどなー(笑)

 というか。私が子供の頃と比べて、世間一般のイメージが最も変わった人物といえば、実はその石田三成の親分である太閤殿下こと、豊臣秀吉ですよね。
 豊臣秀吉といったら、前はそれこそ歴史上の人物ベスト3には間違いなく入るくらいの人気だったのに、現在はあんまりそんなイメージないですもんねー。
 出世のためにはなんでもやるヤツとか、好色ジジイとか…。
 まぁまさに。そう考えると、豊臣秀吉って現在の日本で嫌われるキーワードのオンパレードですよね。
 出世、好色、ジジイ…。おまけに、醜い猿顔(まぁ猿よりはネズミに似てたらしいけど…)。

 まぁ評価っていうものは、時代時代で変わるものなんでしょうけどね。
 豊臣秀吉の人気の凋落ぶりっていうのは、もしかして某隣国のロビー活動とかがあるの?な~んて(爆)
 つい、疑っちゃうくらいです(でも、やってそうですよね 笑)。

 で、まぁ。
 かの太閤殿下と比べても劣らないくらい、野心に満ち満ちてたスティーブ・ジョブズは、そんな日本でなんであんなに人気があったんだろ?って思っちゃうわけですけど。
 ま、スティーブ・ジョブズって親父だけど、でも見た目、結構カッコイイもんね。
 よくは知らないけど、女好きだったって話も聞いたことないし…。


 そう、豊臣秀吉がまた人気出るようになったら…
 日本は、再びみんなが「夢」を持てるような国になるのかもしれませんね。







                 ↑
      何がどーなると、こんなコワい映像になっちゃうのー!?
      (プレビューした時、思わず目が点になってしまいました 笑)




蛇足:
 そういえば、林真理子と学生の対話の中で出てきた、ある学生の発言はホントびっくりさせられました。
 でもまぁあそこまで言っちゃえるって、ある意味素朴な人なのかな?とも思ったり。
 まぁテレビカメラがまわっていたことで、舞い上がっちゃって、つい…っていうのもあるのかもしれませんしね(笑)




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2013
05.26

ウォンバット…(それは有袋類)、じゃなくってウォンテッド!!


 前のネタが「木」の話だったんで、「木」つながり(あれ?なんか、やけにヘビのイメージが残ってるけど、違うよな?)。
 木っていえば、近所に今くらいになると花が咲き始める木がありまして。それが、今年は昨日咲いたんです。
          
                  ちなみに、こんなヤツ

kinohana


 その木、実は前々っから気になってたんです。
 というのも、今くらいになると咲き始めるその大きくて白い花がホント見事なんです。
 で、また匂いがスッゴクよくって。
 ウチからまぁざっと20mくらい(?)のとこにあるんですけど。
 花が咲いている時に風向きがそっち側だと、甘~いいい香りがウチまでやってくるんです。

 そして花もさることながら、葉っぱがまたなーんかいいんですよね。
 椿の葉っぱみたく濃い深緑ってほどでもなく、でも黄緑でもない。
 ちょうどいい色合いのグリーンで、しかも照葉樹特有のツヤがあって。
 これからの季節にみょ~に合うっていうか…(←文人墨客気取り)

 ただ、なんていう名前の木なのかわからないんです。
 ま、気になるなら、そこの家の人にちょっと聞けばいいんでしょうけどね。
 でも、たまたまなのか何なのか、なぜか花が咲く季節になるとそこの家の人に出くわさなくって。
              ↑
         もしかして、イジワルされてる?


 そうそう。その木って、
 そういえば、前に、近くのスーパーの催事で植木を売ってた時。
 その木と似ている木があったんで見たら、クチナシって札がぶら下がっていて。
 まぁ花も似てたし、葉っぱも似てたし。
 そうか。あの木ってクチナシだったのかって家に帰ってネットで見てみたら、クチナシは樹高1~3mの低木って書いてあって。
 でも、あの木は7、8mは軽くある(その家の2階の屋根より高い)し。
 花だって、たぶん直径20cmくらいありそうだし。
 てことは、クチナシとは違うんだろうなぁーって。
 ちなみに、そこの家以外にも近辺に同じ木が2本あって、どれも同じくらいの高さなんで、あの木だけが異常発育ってことはないと思います。

 ま、そんなわけで。
 この木の名前をご存知の方がいたらぜひ教えてください。

 樹高は、7~8mくらいの照葉樹
 直径20cmくらいの真っ白い花。強く甘い芳香
 花が咲くのは、5月下旬から7月くらい
 ただし、真夏でも雨が続くと一輪二輪くらいポツポツ咲く
 花も葉っぱも木全体も、クチナシをでっかくしたような感じ

 教えていただいた方には、お礼としてもれなく「拍手」いっぱいさせていただきま~す(笑)









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2013
05.25

怪談話/番外:その4

Category: 怪談話-番外

 L子さんのアパートは、東京近郊のちょっとローカルな雰囲気のある私鉄のとある駅が最寄駅。
 付近は、おおよそ東京近郊ならどこにでもあるような、住宅街やらマンション・アパートが立ち並ぶ街並み。
 それらは、古くは60年代70年代に建った物から、つい最近に建った物まで。
 駅前には、大きく枝を張り出した木のある、ちょっとした広場があって、その横にはどこか昭和の匂いのするスーパーが。
 スーパーといえば、真新しく大きいのが近くを通る国道沿いにもあったが、そこにはファミレスやら、カラオケ店も併設されていた。

 L子さんが、そのアパートに引っ越してきたのは2年ほど前。
 仕事の配置換えで、勤務地が変わったことがきっかけだった。
 L子さん、住み始めて2年経ったとはいえ、普段はアパートと会社の往復だけ。土日は都心に出ちゃうか、もしくは家でゆっくりしてるかってことが多かったとかで。
 店なんて、駅前のスーパーと近くのコンビ二、あとはレンタルDVD屋くらいしか使ってなかったらしい。

 L子さんは映画を見るのが好きで、金曜日の夜は遊びに行かない限りは、帰りにレンタルDVD屋に寄るのがほぼ習慣になっていた。
 その週末も、やっぱりレンタルDVD屋に寄って、目についたDVDを借りたとかで。
 すっかり馴染みになっちゃったバイトの女の子──ギャルっぽい感じの──と、いつものようにちょっとおしゃべりして帰ってきて。
 明日は土曜日。特に予定もないからゆっくり寝ていられるぞって、借りてきたDVDをつらつら眺めつつ、メールしてみたり、ネットしてみたり。

 そんな気ままな夜更かしを楽しんだ、次の土曜日。
 L子さん、普段だったら借りたDVDは、月曜日の朝会社に行くついでにちょっと寄り道して返したり、もしくは次の金曜日に返すことが多かったらしいのだが。
 でもその時は、続きがどうしても見たくなっちゃって。
 その土曜日の午後に、ふらっと出かけた。

 天気のよい日だったとかで、L子さん、いつもは通らない、塀と塀の間を通る細い道を何の気なしに入っていって。
 もっとも、道はすぐ普通の住宅街の中の道に出た。
 そこがどの辺りか、位置もすぐにわかったらしい。
 そうして、L子さんがレンタルDVD屋の方角に歩いていたら…。
 いや、その時っていうのは、もちろんお天道さまピッカリコの真っ昼間。しかも、ホントいい陽気の午後。
 そんな陽気だっていうのに、L子さん、それを見た時は一瞬だけギョっとしちゃったという。
 
 いや、それはただの木。
 アパート…、といっても木造モルタルで金属の階段が横についているヤツじゃなく、蜂蜜色の壁のちょっと小洒落た感じの鉄筋3階建ての建物──でもマンションっていうにはちょっと小さい──のちょっとゲートのようになった入口の脇。
 道側にちょっとしたスペースが造ってあって、そこに植わっているその1本の木。

 高さにして、そう2メートルくらい。
 松の葉のような細い葉で、ただ普通の松葉よりずっと長くて色も灰色っぽい緑色。そしてそれは葉が長いせいか、木全体がだらーっと垂れ下がっているような、なんだかそんな感じだったとかで。

 もっとも。L子さん、よくよくあらためて見てみれば、それは特にどうってこともなかった。
 ただ、何気なく歩いていて、それが目に入ってきた瞬間、なんだか妙にギョっとしちゃったらしい。
 なに?なんだか、お化けでも出そうな木…って。

 でも、そんなことすぐ忘れちゃってたって、L子さん。
 レンタルDVD屋さんでは、お目当てのヤツを借りて。
 帰りもその木のある道を通ったらしいのだが、その時にはそんな木のことなんて、もうすっぱり忘れていたと。

 実はその木のある道っていうのは、L子さんのアパートから駅に行くのにも近道だったんだとかで。
 そのことに気がついたL子さんは、毎日の行き帰りは、その道を利用するようになって。
 例の木にギョっとしたのは、もうホント最初に見た時だけ…。
 というよりは、その木もその小洒落た3階建てのアパートも、もう空気みたいな存在になってしまっていた。
 その前を通っても特に目にもとまらない物になっていたって、L子さんはいう。
 
 
 それから少し経ったある夜。
 残業で、帰りがすっかり遅くなっちゃったL子さんは、足早にいつものその道を自宅に向かって歩いていた。
 そして、ふっと。視界の端に感じた、何か光るもの。
「っ?」
 思わず立ち止まると、そこはあの小洒落たアパートの前。
 その前の道に──それは例のだらーんと葉を茂らせた変な木の前──何か小さく光るものが……

 いや、そんな風に書くと。その時にL子さんが、アパートや例のだらーんと葉を茂らせた変な木を意識していたようになってしまうが、全然そんなことはなかったとかで。
 というか、そのアパートの前に植わっているだらーんと葉を茂らせた変な木を最初見た時にギョっとしたことなんて、その頃にはL子さんの頭の中には完全になかったらしい。

「え、なに…」
 L子さんは、なんだか妙に気になって。家に向かって急いでいた足を、その光る物の方に向けた。
「あ、100円(玉)…。」
 道の端に──例のだらーんと葉を茂らせた変な木のほとんど前だったらしい──100円玉が落ちていたとかで。

 光ってたの、これか…
 L子さん、さすがにネコババしようなんて思いはしなかったのだが。
 でも、道の端に落ちていたその100円玉を見ていたら…。
「あ…。」
 目の前に植わっている、例のだらーんと葉を茂らせた変な木の根元にも、小銭がたくさんあるのに気がついた。
 10円玉、5円玉、1円玉、50円玉、100円玉……。
 L子さん、ぱっと見「あ、結構ある…」って思ったと。

 え?なにこれ…
 もしかかして何かのお賽銭なのかな?と見まわしても、そこには例のだらーんと葉を茂らせた変な木がある以外は、そのアパートの塀があるばかり。
 ふと上を見上げれば、その変な木の針のような葉っぱ越しにある、明かりの灯っている部屋、その隣りの真っ暗な部屋…。
 で、その変な木の根元にはたくさんの小銭……
 それらは、L子さんがそれに気がつくきっかけになった道にあった100円玉のようにまだピカピカしたのから、泥埃にまみれたり、緑青で錆びたものまで。
「…!?」

 L子さん、その瞬間っていうのは、特に何も考えなかったらしい。
 何気に、道の端に落ちていたあの100円玉を拾って、それを木の根元にぽーんと投げた。
 チャリン──
 そのかすかな音……

「えっ…!?」
 その時、急に。L子さん、誰かに見られているような、なんだかそんな気になったんだとか。
 思わず、その目の前のアパートを再度見上げて……。
 さらに、「えぇぇっ?」って後ろを振り返って。
 とはいえ、そこはまもなく明日になろうかという時間の住宅街。
 どの家も明かりこそ点いているものの、夜の色の中で黒くたたずんでいるだけ。
 L子さんが駅から歩いてきた道も、街灯がずーっと点々と灯っているのが見えるだけで、人の気配なんてまったくない。

 いや。別にゾクっとしたとか、変な気配を感じたとか、そういうようなことは全くなかったとL子さんはいう。
 ただ、ここでこんな風に立ってると、ここのアパートの住人に変な人に思われちゃうかも!って思って。
 ちょっと慌て気味に、自分の家へと駆け出したんだと。
 とはいうものの。
 そんなことなんて、自分のアパートに着いた頃にはやっぱり忘れちゃってたらしい。


 その時のそんなことをL子さんが思い出したのは、その何ヶ月か後。
 それは夏も終わりかけた、ある金曜日の夜。
 L子さんは、やっぱりその夜もレンタルDVD屋さんに寄って。
 なんか面白そうなのないかなぁ…って棚を見ていたら。
 例のよくおしゃべりするバイトの女の子──ギャルっぽい感じの──が、向こうの棚で商品の整理をしているのに気がついて。
 L子さんは、そのバイトの子に、「なんか面白そうなのなぁーい?」って聞きながら、しばらくおしゃべりをしていたんだとか。

 きっかけは、「暑いしさ、ちょっとコワくて面白そうなのは?」ってL子さんが聞いた時だったらしい。
 そのバイトの女の子、なにやら辺りをさっと見回したかと思うと。ふいに、ちょっと声を潜めるようにして。
「あれっ。L山さん(L子さんの苗字)ってぇ、確かP町の2丁目でしたっけぇぇ?」
 レンタルDVD屋の店員だし、今まで結構いろいろおしゃべりしていたから、L子さんの家がどの辺りにあるか知っていても不思議はないんだけれど。
 ただそうはいっても、店員とお客という接点以外は他人という人の口から、自分の住んでいる場所を言われると、ちょっとドキっとしたってL子さんいう。

「えっ…。え、えぇぇ…、まぁその辺…。」
「てぇことはぁ、ここ来るのってぇ、どの道通って来ますぅぅ?」
「えっ!?」
「この店出てぇ、左曲がってずっと行って…の道を通ってるとかぁぁ?」
 L子さん、バイトの子の言っている道は、確かに自分が毎日通っている道。そして、今日これから通って帰ろうと思っている道…と脳裏に思い浮かべながら。
「えぇ、えぇ。近道だから…。」
「っ!」
 
 L子さんがそう言った途端だった。
それは、まるでその動作を準備していたかのように。バイトの子は、声にならない驚きの声をあげながら、身を引くように肩をすくめてみせた。
 その、どこかで見たことがあるような仕種は…。
 バラエティ番組に出ているような若い女性タレントよくやっているのを真似しているのか、それともいつも見ているから無意識に出てしまうのか。
 それはなんだか劇画でも思わせる、必要以上にオーバーな仕種で。
 L子さん、若い子のこういう仕種って、最近見てるとなんか疲れるのよねぇ…なんて、ちょっとイライラ。

「ちょっと…。なに?」
「えぇっ。L山さんってぇ、もしかしてぇ、駅の行き帰りにもぉ、
 その 道を通ってたり…、とかぁぁ?」
「え、えぇぇ…。そうだけど……。」
「えぇーっ!それで、今まで何もないぃぃぃぃ……。」
「ちょ、ちょっとぉ!
 アナタ、そんな思わせぶりな言い方って──。」

 思わず声をちょっと荒げちゃったんだけど、バイトの子はL子さんのそんな様子には全く意にも介さず、さっと言葉を遮って。 
「ウチのぉ、バイトのぉ、男の子のことなんですけどぉぉ。
 彼ってぇ、自宅がP町の4丁目なんですよぉぉ。
 わかりますぅ?4丁目ってぇ、
 L山さんの家のある所のぉ道挟んで向こうのぉ──。」
「4丁目?うん、わかるけど?」
 L子さんも、かまわず相手の言葉を遮ってそう言った。

「彼もぉ、ここに来るのに近道だからってぇ、
 その店出て左曲がって…の道を毎日通ってたんですよぉぉ。
 でさぁ、先月ぅ…。
 ほら、3日くらいぃぃ、ずっと雨が降った時、あったじゃないですかぁぁ?」
「先月?雨が3日くらい降り続いてた?
 あ、あぁあぁ…。あった、あった…。
 えーと、あれはいつ──。」
「その日の夜ぅ、彼が帰る時にぃ…。
 あ、そぉ…。
 あのぉ、L山さんってぇ、
 店出て左曲がって…の道をちょっと行った所にぃ、
 かわいいマンションがあるの知ってたりしませんかぁぁ?」
「か、かわいいマンション?」
「ほらぁ。3階建てでぇ、小っちゃいぃぃ…。
 あれってぇ、なんて言うかぁぁ?
 あの、ああいうのみたいなのをぉ、南欧風とかってぇいうんですかぁぁ?」
「あぁ、わかった。あれでしょ?
 蜂蜜色の壁の…。入口んとこがゲートみたいになってて。
 で、その脇に松の木みたいな、なんかちょっと変わった木が植わっているアパートでしょ?
 うん、そうね。確かに南欧風って言えば、そうかも。」

 バイトの子は、L子さんがそのアパートを知っていたとわかると、一瞬安心したような表情を浮かべたのだが。でも、すぐにはっとした顔に変わった。
「えぇぇー!L山さんってぇ、
 もしかしてぇ、この話ぃ、聞いたことあったりするんですぅぅ?」
「いや、だからぁ。この話って何?
 わたし、全っ然わかんないんだけど。」
「あっ、よかったぁぁー。
 あたしぃぃ、L山さんがぁ、知ってたら
 つまんないなぁってぇぇ。」
「もう、わかったから。だから早く先言ってよ。」
 L子さん、その思わせぶりな言い方にも、だらだらした口調にも、いい加減焦れてきちゃったとかで。
 とはいえそのバイトの子、L子さんのそんな様子なんて、全く意に介す様子もないらしくって。
 それどころか…。

「えぇっ!聞きたいんですぅぅ?
 スッゴい怖いんですよぉぉー。
 あたしぃ、この話聞いてからぁぁ、
 もぉスッゴク怖くなっちゃってぇ──。」
「もうっ、だから何よ?」
「えぇーっ。L山さんってぇ、もしかしてぇ、
 今、怒っちゃったりしてたりとかぁぁ?」

 もうブチ切れ寸前のL子さん。
 「もういい!」って咽喉まで出掛かった瞬間、やっとそのバイトの子は話し始めたとかで…

「ウチのバイトの彼がぁ、バイトから帰る時ぃ、
 あのかわいいマンションの前まで来たんですよぉぉ。
 そしたらぁ、あのマンションの前にある木ぃ…。
 あ、L山さんもあの木ぃ、知ってるんですよねぇぇ?
 それでぇ、木のところにぃ、
 髪の長い女の人がしゃがんでたってぇぇー。
 その彼ぇ、実はぁ、前の日もぉ、
 そこにその女の人がいたのぉ、見てたんですよぉぉ。
 それがぁ、L山さん、すっごい怖いんですよぉぉおー。
 髪の毛をぉ、こんな風に前に垂らしてぇ、
 顔がぜんぜん見えないんだってぇ──。」

 実はL子さん、そこまで聞いていて急に可笑しくなっちゃったんだとか。
 たぶんこのバイト子って、バイトの男の子にそうやってからかわれたんだろうなぁーって思って。
 でも、そのバイトの女の子は、自分がからかわれたなんて全く気がつきもしないで、今こうして一生懸命話している。
 それは、たぶん自分だけじゃなく、顔見知りのお客全員にそうしてるんだろうなーって。
 たぶん、今やっているみたいに、自分の髪の毛を前に垂らしたりして……。

 L子さん、そう思ったら、そのバイトの女の子のことが「あぁ、そうか。そういう年頃なんだよねぇー」って、なんだか急に可愛く思えてきたんだと。
 イライラさせられる、そのだらだらした話し方も、わたしもこのバイトの子くらいの頃は、こんな風な話し方だったのかなぁーって思っちゃったり。

 L子さんがそんなことを思っている間にも、そのバイトの女の子は話し続けていた。
「あたしぃ、なんか貞子みたいって言ったんですよぉぉ。
 あ、L山さんってぇ、貞子ぉ知ってますかぁ?リングのぉぉ。
 あ、知ってるんですかぁぁ。
 そうですよねぇぇ、DVDとかあるしぃぃ。
 あ、それでぇ、あたしがそう言ったらぁ、
 彼もぉ、貞子みたいだったって 言っててぇぇ。
 そしたら、あたしぃ、ちょー怖くなっちゃってぇぇー。」
「で?その彼は、その貞子みたいな女を見てどうしたのよ?」
 いやもうL子さん。とにかく笑いを堪えるのに必死だったらしい。

「そぉ。で、彼ぇ、
 前の日はそれほど変に思わなかったんですよぉぉ。
 でもぉ、その日はぁヤバイって思ったらしいんですよぉぉ。
 すっごく怖くなっちゃたってぇぇ。
 それでぇ、走って逃げたんですよぉぉ。
 でも彼ぇ、振り返っちゃったんだって…。
 そしたらその女の人ぉ、最初見た時はぁ、
 ずぅーっとぉ、こんな風に髪の毛垂らして下を見てたのにぃ。
 今度は彼のことぉ、じっと睨んでたってぇぇえ。
 彼ぇ、その目とぉバッチリ合っちゃったってぇぇえ。」

「え、それで…?それから、どうなったの?」
 急に止まってしまったそのバイトの女の子の話に、L子さんは思わず目を白黒。
 え、まさかそれで終わり…なの?って。
「えぇっ?それでお終いですよぉぉ。
 彼ぇ、ちょー怖くっなっちゃてぇぇ。
 ちょーダッシュで逃げたってぇぇ。」


 そんな、妙に可笑しかった会話を楽しんだ帰り道。
 L子さんが歩いていたのは、もちろんレンタルDVD屋のバイトの子の言うところの「南欧風のかわいいマンション」がある道。
 その時っていうのはL子さん、なんだかやけに青臭い感じの想いにとらわれていたとかで。
 心が妙にワクワクしているのに、そのくせなんだかキュンとくる。
 今この瞬間、何かをつかめそうな気がするのに、でもそれをなす術がわからない。
 はぁーって大きくため息をついて、思いっきり走ってみたいような、そんな自分でもなんだかさっぱりわからない心のさざめきが、どうしても抑えられない。
 なんだか…。
 だんだん居ても立ってもいられなくなってきて──
 
 L子さん、気がついた時は、その夜の住宅街の道を思いっきり走ってたらしい。
 「馬鹿よね…」って、心の中で苦笑いしながら。
 なんだかさっきの話に出てきたバイトの男の子みたい…とも思ったら、走りながらフフっって笑いがこみ上げてきて。
 そして気がつけば。
 L子さんは、あのレンタルDVD屋のバイトの子の言うところの「南欧風のかわいいマンション」の前を走っていて……

 いやもう…。
 あれには、驚いたなんてもんじゃなかったって、L子さん。
 もう心臓が、爆発したかと思ったって。
 つい今の今まで、「わたし、こんな走ったのって何年ぶりぃ?」なんて心の中でゲラゲラ笑っていたのに、いきなり「うわ!」って。
 それこそ話に出てきたバイトの男の子のように、猛ダッシュになっていたんだとか。
 L子さんは、結局そのまま家まで突っ走って帰ったらしい。


 いや。L子さん自身、確信は持てないんだと…。
 ただ、あの変な木の植わっているアパートの前を、ダーって走り抜けていった時。
 そう。それはそこを走り抜ける瞬間。
 視界の端で、あの変な木の根元に女の人がうずくまっているのを見たような…。

 それは、後になって思うと…
 レンタルDVD屋のバイトのあの子が言っていたように、長い髪の毛を前に垂らして顔は全然見えない──
 ううん。わからない。
 もちろん、そんなこと…
 でも…
 わからないけれど、何かそんなようなモノを見たような気がしてしょうがない……

 
 L子さん、それ以来その道を通るのは一切やめたんだとか。
 それこそ、あのレンタルDVD屋さえも行くのがなんだか嫌で…。
 月曜日の朝。別の道を行ってDVDを返した以外は、どちらも二度と行ってないという。




番外:その4終わり。フっ!
                           ――――「どっちも怖い……*無断転載禁止


*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください




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2013
05.25

ニっカニカの夢

 昨日、昼間に山手線に乗っていたら。
 向かい(やや斜め)に、20歳くらいのおにーちゃん座っていて。
 そのおにーちゃん、上向いて気持ちよさそうに寝てたんですけど。
 でも、顔はニカニカ笑ってるんですよ。

 そのニカニカ笑った顔ときたら、いやもぉホント楽しそうで。
 いったい、どんな楽しい夢見てるんだろう?って、こっちまでニカニカ楽しくなってきちゃって。

 でね、そのおにーちゃんの感じもまたいいんですよ。
 そのニカニカ顔のイメージ通りっていうか。
 なりは大きい方なんですけど、でも大きい分プックリもしていて。
 寝ながらニカニカ笑っているその顔も、どこかほわ~んとしてて(笑)
 着てるものも、上はTシャツによれよれのスエットのパーカーを羽織って。下はスエットパンツ……、うん!?

 いやもぉ「うん!?」って、一瞬目が点になってしまいました。
 そのおにーちゃん、スエットパンツはいてるのはいいんですけど。
 そのスエットパンツ、
股の辺りの生地だけがやけにピーン!って張り詰めてるんだもん!(爆)

 そのやたら目立つ大きさ(!)に。
 オマエ、どんな楽しー夢見とるねん! ←なぜか関西弁
 思わず噴いてしまいましたとさ。


 いやはや、なんともまぁ。
 青春ってぇやつは……
って、あんなこと、こんなこと思い出しちゃたり……(笑)







 よかったら、ダメ押しにもう一曲
 http://www.youtube.com/watch?v=NRJJxaiP06g



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2013
05.21

今日のネタは蛸と大根


 まぁ私自身も七不思議の仲間入りをしちゃってるような、今日この頃ですけど(笑)
 数ある世界の七不思議(といっても七つか…)の中で一番不思議なのは、やっぱり蛸が畑の大根を盗むお話ですよね。

 ……って。
 最近は、なんかこんな風に無理やり同意を押し付けちゃう求めちゃう文章が多いのは困りものなんですけど、まぁそれはともかく。
 私がその話を知ったのは、西丸震也の『食物の生態誌』という本の中でした。
 その本によると、なんでもタコは夜、海から陸地に上がってきて。
 陸地を、うねうねぬらぬら這い回って、大根畑にたどりつくと。
 蛸は、目ぼしい大根の上から覆い被さると、大根の頭(葉っぱってことか?)をくわえるのか、一本の足でつかむんだかして。
 で、足でうーんとばかり伸び上がるようにして踏ん張ると、大根はスッポンとばかり抜け、タコはそれを持って、やっぱりうねうねぬらぬら海に帰っていく。
 うろ覚えですけど、大体上記のような内容だったと思います。
 (本は押入れの奥にあるんで、出して確認するの面倒なんです)

 ま、つまり。
 元々各地の海辺にそういう話があって。
 それを、水産庁(現農林水産省)OBであり、官能研究という味覚を研究する学者でもある西丸震也氏が『食物の生態誌』という本に書いたことで、世間一般にも広まったというのが経緯なんだろうと思うわけですが。
 そんなわけで現在、「蛸」「大根」で検索すると、ひたすら蛸と大根のレシピのオンパレードですが(笑)
 でも、それに「盗む」をプラスすると、いくつか面白そうなのがヒットします。

 その中で興味深かったのは「人力検索はてな」というサイトの回答にあった、“大根の含め煮にタコを入れると、身が柔らかくなる”、“むいた大根でタコを叩くと、身が柔らかくなる”というくだりですね。
 たぶんそれって、昔から言われる“大根は消化を助ける”、つまり大根に含まれるジアスターゼの作用ってことですよね。

 ということは、つまり…。
 もしかしたら、蛸が大根を盗むのは、胃もたれしちゃった時に大根を食べて消化を促進するため…なぁ~んて仮設が成り立っちゃったりして(爆) ←え、ヤバイ?

 ただまぁ。
 普段海にいる蛸が、なんで陸の大根に含まれるジアスターゼを知ってるのか?という疑問が残りますし。
 また、蛸が盗むとされるのは大根だけでなく芋もそうらしいんで、じゃぁ芋はなぜ?という疑問も湧いてきます。
 もっとも、ジアスターゼは山芋にも多く含まれるということらしいですから。
 もしかしたら、普通の芋(ちなみにこの話に出てくる「芋」って何芋なんでしょ?)にも多少は含まれているのかもしれませんよね。


 蛸が大根を盗むというお話が面白いのは…。
 その絵柄を想像するのが楽しいってこともさりながら。
 基本的に誰も信じないってところも、とっても面白い気がします。それこそ 「どう考えたって冗談だろー!」っていうのが、ごくごく当り前の反応なんですよね。
 実は、今日。ある人にたまたまそのことを話したんですけど(笑)
 いやもぉその人。話し終わるなり、大爆笑で。
 「なんでタコが…。なんでタコが…。ゲラゲラゲラゲラ…。ひぃ~。」って、全然言葉にならない有様でした。

 ただ、逆に考えると変な気もしません?
 なぜ誰も彼も、世の人はほぼ余すことなく“タコは陸地に上がって大根を盗んだりしない”って思うんでしょう。
 変な話、タコという生物自体は知ってはいても。
 でも、生きているタコなんて水族館以外じゃ見たことないって人、都会や内陸部で住んでいる人なら普通ですよね。

 考えてみれば、魚が陸地に上がることで両生類に進化して、それが私たちに繋がっているわけです。
 もしかしたら、蛸だって、これからウン千億年かけて陸生動物へと進化しようとしているのかもしれないわけです。
 つまり、蛸が陸地に上がって大根を盗んでいるんだとしたら。
 我々人類は、自らの歴史のウン十万年だかの間で、今まさに蛸が進化しようともがいているその様を目撃しているってことなのかしれない…って(笑)

 …ってなこと書くと、怪談なんて好きなヤツは何でもかんでも「トンでも」にしちゃうんだから…って言われちゃうんでしょうけどねー(爆)









               ♪Only get short time on the earth~


 

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2013
05.19

ブタQぅぅぅ~~~!


 さて、グルメ記事第5弾。
 しかし、ブログネタで、グルメな記事を5つも書くなんて、すごいグルメみたいですよね。
 ま、食べる量だけなら、その辺のグルメが束になってかかってきても勝つ自信ある…
 いや。ないか…(笑)


 今年は4月からやけに気温がやけに低かったんですけど、ここにきてやっと普通の年っぽい気温になってきたようで。そんなわけで、八百屋に行くと、安いんでつい買いすぎちゃったり、もしくはいつもの調子で買うと量が多かったり、または巨大だったりで。
 ホント冷蔵庫の中が、や~たら密度高すぎになります。
 そんなわけで、通常のゆうに2.5倍はある巨大ぶっころりを2つも買ってしまって、今週はひたすら毎日ぶっころりを食べ続けなければならないわけですけど。
 でも、昨日の夕食はブタQでした。
 ま、つまり。
 キュウリとブタを炒めただけですな(笑)

 ブタQのいいとこは、手早く簡単に出来て、ウマくって(ま、自分で言うのはなんですけど)。
 そして何よりいいのは、材料がブタとキュウリだけに、その時の気分でオーソドックスにしょうゆ味やミソ味。酢を強くしたり、麻婆味にマヨネーズ味、もしくは納豆ぶっ込んだりといろんな味付けに出来るんで、週2回くらいブタQでも飽きないんですねー(それ以上やると、たぶん飽きると思います)。

 ということで、まぁ普通なら作り方を書くんでしょうけど。
 ブタを炒めて、そこにキュウリぶっ込んで、酒としょうゆで味付けするだけなんで省略します(笑)
 それだけじゃ不安だっていう方は検索してみてください。結構出てきます。

 ちなみに。
 検索で出てきた作り方は、やっぱり正しい作り方が多いんで。
 大体、「キュウリの種はそぎ取るって」って書いてあるんですけど。
 私は、メンドくさいし、もったいない(食べる量が減る)んでいつもそのままです。
 大体どのレシピにも「種をそぎ取らないと水分が出る」って書いてありますけど、それが気になるならブタを炒める前に、キュウリだけ軽く炒めて皿に取っておいて。
 ブタに火が通った後、キュウリを投入して炒める時間を短くすれば、水分の件はクリア出来るようですね(なにより、食べる量が減りませんしー!笑)

 そうそう。
 ブタQは、私は河田吉功って人の本を読んで知ったんですけど。
 その本に書いてある、“ブタを炒める前に、赤唐辛子と花椒(中国山椒)を油でゆっくり炒めて香りを出す”は、結構ポイントのような気がしますね(他のレシピだと花椒は使わないみたいなんですよねー)。
 花椒のあのビリビリ感があるだけで味にパンチが出るんで、絶対入れた方がいいと思います(笑)
 まぁその辺はとにかく。
 キュウリに火を通しすぎないってことさえ守れば、ホント簡単でウマいです。






 で、そのブタQ。
 実は、嫌がる人、意外と多いんですよねぇ…。
 「キュウリを炒めるぅぅ~!!」なんて、最後がやけに巻き舌になっちゃったりで(笑)




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2013
05.18

怪談話/番外:その3

Category: 怪談話-番外
 「幽霊っていうのは、なんで女が多いんだろ?」っていうのは、昔っから言われてきたことですが。
 でも、確かに髪が長くて白いワンピースを着た女の幽霊っていうのは、幽霊さんの定番中の定番ですよね。

 それ以外の幽霊さんの定番というと、おかっぱ頭の女の子とか、またこれは男ですけど、落武者・鎧武者なんていうのがあるでしょうか。
 まぁもちろんそれ以外にもいろいろあるんでしょうけどねー。
 でも、もし日本の幽霊3大コスチュームなんていうのを選ぶとしたら、この3つが選ばれる可能性は高いんじゃないかって気がします。
(まぁそんなの選ぶこと、絶対ないと思いますけど…笑)

 でも、ちょっと変な気がしません?
 だって、白のワンピースを着た女の人なんて、(生きてる人では)最近あまりいないですよね(それこそ、TVCMくらい?)。
 おかっぱ頭の女の子にいたっては絶滅危惧種に近いし(まぁワカメちゃんくらい?)、落武者や鎧武者(こちらは絶滅種)にしたって、武者よりは雑兵の方が絶対数的に多いわけです。なら、雑兵の幽霊話の方が多くないとおかしいはずです。
 さらに言うなら、武者以外の階級の人々(農民とか商人とかお坊さんとか…)の幽霊さんのお話ってないの?とか。はたまた、武士の時代以外の幽霊さんっていうのは?気がするんですけど、どうなんでしょう?

 まぁこんなこと言っちゃうとね。
 霊否定論者が怪談すんじゃねーよ!
 なぁ~んて。
 やったらコワい顔でスゴまれちゃいそうですけど、いえいえそんな気は全然なくって(笑)
 まぁ次のお話を読んでみてください。



 私の中学生時代の夏休み。
 前々から行ってみたいと思っていた、古墳の出土物を展示している某博物館に行った時のことです。
 その博物館には、展示館が2つあったんですけど。
 その時っていうのは、私はその内の1号館を見終わっって。
 さて、次は2号館を見ようかなってところだったんですけど、1号館の展示物の圧倒的な量にさすがに疲れてしまって。
 博物館っていう所は、意外なくらい気力体力が必要なんです。
 というわけで、私は1号館を出たところにあったベンチに座って休んでたんです。

 古墳の出土物の博物館なんて、まぁその当時でも全然流行ってなかったんでしょうね。夏休みだというのに、入館者は私だけで。
 アブラゼミだけはやたらジリジリ鳴いているのに、それ以外は物音ひとつしない、そんな暑い夏の昼下がりでした。

 そんな中…
「暑いねー。」
 ふいに声をかけられたこともあって、私はちょっと慌て気味にそちらの方に向くと。
 この博物館や園内を整備する方なのでしょう。作業着に麦藁帽子という格好のお爺さんが、タオルで汗を拭きながら微笑んでいました。
 ま、お爺さんとしては、あまりの暑さにひと休みがてら、たまたまそこにいた入館者とちょっとおしゃべりでも…みたいな感じだったんでしょう。
 というか、あまりに客がいないんでヒマだったというのもあったのかもしれません。
 とはいえ、私だって夏休み中の中学生なわけで。
 別に急ぐわけでもなし、知らない人ということでちょっと照れくさいのもありつつも、そのお爺さんとしばらく話をしたんです。

 その時っていうのは、お爺さんと結構長々と話をしていた記憶があるんですけど、その間もお客の姿はまったくなくって。
 アブラゼミがしきりと鳴いていたというのは先ほども言いましたけど、そんな風に座ってゆっくりと話をしていると、それ以外にも動いているものの音がすることに気がつきました。
 それは、バッタの跳ぶキチキチという音。ハチなのか甲虫なのか、ブーンという羽音。
 とはいえ、この暑さです。
 さすがに、それら昆虫たちの気配以外は何もありません。
 風なんてそよとも吹かないし、さらに周りの濃い緑の上には見事なまでの入道雲が立ち上がっていて。
 ホント、いやまさに盛夏!って感じの光景でした。

「まぁなんと言ってもな、ここは古墳。
 つまり、昔の人のお墓なわけだ。
 だから、結構気味が悪いこともあってな…。」
「へぇ。そんなもんなんですかねー。」
 「古い墓」って言っちゃうと、なんかちょっと薄っ気味悪いイメージになっちゃいますけど。
 でも、同じ古い墓でも「古墳」と言っちゃうと、あまりそんなイメージはありません。
 ましてや私、その頃っていうのは無っ茶苦茶考古学オタクだったもので。
 古墳なんて、それこそ今で言う“萌ぇ~”以外何ものでもなかったくらいだったんです。

「1号館は埴輪や土器ばかりだし、建物も新しいから全体に明るい感じだったろ?
 だから、別にどうってことないんだけどさ…。」
 お客がいないせいもあるんでしょう。このお爺さん、そんな風になんだかやけに饒舌なんです。

「でも、2号館の方は出土した骨とかも展示しててな。
 だからなのかなぁ…。
 時々、不思議なこともあったりしてなぁ…。」
 お爺さんはそう言いつつ、視線をすーっと向こうの方へやります。
 つられて、思わずそっちに目をやると、そこにあるのは2号館。
 ついさっきまではそんなこと思いもしなかったのに、今は心なしかその建物がちょっと陰気な感じに見えてくるから不思議です。

「2号館の脇に木が茂った小山があるだろ?
 実は、あそこも古墳の墳丘でな…。
 もっとも、この辺は、もぉそこいら中、古墳だらけなんだけどな…。」
 お爺さんのその視線に合わせるように見ると、2号館の右側6、7mくらいの所から広葉樹が密生した小山があって。
 ところが、その小山ときたら…
 手入れの行き届いている芝生など、博物館の敷地がとってもよく管理されているのとは対象的に、木々がザワザワ、ザワザワとやたら生い茂っていて。
 その緑の密度が、なんだかちょっと異常なくらいなんです。
 いや。確かに小山の広葉樹の茂り方もスゴイのですが、そのスゴイをよりスゴイ!って感じさせるのが藤の蔓でした。
 そこに生えている木々の幹や枝に、のたうつように巻きついているその蔓は、ごつごつと太くって。
 そして、さらに巻きつく先を求めて、風もないのに中空でゆらゆら揺れている無数の蔓の先っぽ……

 それは、どこにでもあるようなガサ藪なのに、なんだか妙に馴染めない風景なんです。
 ちょっと、凄愴な感じがするっていったらいいのか…

「スゴい藪ですね。なんだか、ジャングルみたい…。」
 そう言った私に、お爺さんは視線を戻して、また口を開きます。
「そう…、本当は少し切ればいいだろうけどなぁ…。
 ただ、なんかなー、ううん……」
「え、なんかって…。」
 このお爺さんって、何だか妙に引っかかる言い方をよくするよなっていうのは私、実はずっと思ってました。


「そう、あれは何年前のことだったかなぁ…。
 やっぱりこんな風に暑い日で……
 俺は、そこんとこで草むしりをしててな…。」
 そう言って、お爺さんは今座っているベンチの傍らの花壇を指差します。

「あの日っていうのは、やっぱりこんな風にお客のいない日でな。
 俺はさ、こう、こっち向いてな、草むしりをしてたのさ…。」
 お爺さんは、そう言いながら体をちょっと捻ってみせて。
 それは、ちょうど2号館に背を向けた格好になってました。

「なにせ、あの日は暑くって…。
 そう。もしかしたら今日より暑かったかもしれないなぁ…。」
 お爺さんのその視線につられて、思わず私も空を見上げます。
 しかし、太陽の眩しさに一瞬何も見えなくなって…
 おかげで、周りの景色も、お爺さんの顔も全て青のモノトーンです。

 そんな私のことを見つつ、なぜかストンと話を止めたお爺さん。
 その途端、聴こえてくるアブラゼミの大合唱…
 それは、ものすごい騒々しさなのに。逆に、辺りには私とこのお爺さんしかいないということを感じさせます。

「こう、あっちに背を向けてな。
 あの時、俺はせっせせっせと草むしりをしていてな。
 なにせ、草ってやつは、こう陽気がいいと毟っても毟ってもすぅぐ生えてくるんだから…。」
 お爺さんは、また2号館に背を向け気味にして、しきりと草を毟る動作をしてみせます。

「でも、疲れてきてな、
 ここが終わったら休もうかって思った時だったな。
 なんていうのか、人がざわめいているような、そんな感覚があって。
 あぁお客が来たんだなって思ったのさ。」
 お爺さんはそう言いながら、しゃがんでいた腰を伸ばすような格好をして私を見ます。

「お客が来たんなら、ここをどいて道をあけなきゃって思ったんだが、
 たまたまキリが悪くってな。
 ついつい草むしりを続けてたのさ。
 ま、お客が来たら、その時どけばいいやって思ったんだろうな。
 ほら、ここって細かい砂利が敷いてあるだろ。
 だから、人が来れば音がするから、すぐわかるからさ…。」
 そう言ったお爺さん。今度は、踵で砂利を蹴ってザッザッザと音をたてます。

「でな。そうやって、俺は草むしりを続けていたんだけどな。
 でも、お客なんていつまで経っても来ないのさ。
 俺はさ、おっかしいなぁ。もしかしたら、先に2号館に行っちゃったのかなぁ…?
 な~んて、思ってたわけよ。」
 またそこでいったん話を止めたお爺さん。一瞬、まるで何かを確認するかのように向こうを振り返って。
 そして、また私に視線を戻します。

「でな。たぶん、その時だったんだと思う。
 急に背中が、ゾクゾクゾクゾクーっときて。
 えっ!?って思ったんだよ。
 いやさ、その時っていうのは、え、なんだ!?って感じさ、もう…。」
 背中を向けたお爺さんは、その右手を背中に回して。背筋に沿って、その手を小刻みに揺らしながら腰の方に下ろしつつも、その眼は私をじっと見つめてきます。
「こんな風にさ。
 何か、背中をすーっと冷たいものが
 落ちていく感じって言ったらいいのかなぁ…。」

「でな、その後さ。いやもぉ、それに気がついたのはすぐだったな。
 今度は、俺の右耳の下辺りだった。
 そこを、細ぉーく、すーっと。
 何かが、真ぁっ直ぐ通り過ぎていく感触があってな。
 うん。視線、視線…。
 それは、視線なんだな。
 視線が、すぅぅーってさ、俺の右耳の下辺りの頬を撫でていくのが感じられるって、
 そう言ったらいいのかなぁ…。
 ま、わかんないよ。もちろん…。
 わかんないけど、そんな風に感じられたわけさ。」
 わたしの目をガッチリ捉えたお爺さんその目。
 お爺さんは、自らの指をその視線になぞらえているのでしょう。
 その右目の下、頬の中ほどを、後から前にすーっと移動させていきます。

「……。」
「何かが俺のことを見てる!
 って思ったのと、後を振り返ったのは同時だったな。
 とにかくな、俺は急いでサッて振り返ったんだ。
 そしたら、もろにその視線とぶつかってな……。」
 一瞬口を閉じたお爺さん。
 その目は、じっと私を見つめていたんですけど。
 でも、ふいにその視線をはずして、そして後を振り返ったんです。

「そこ、そこだよ…。
 あそこに2号館の入り口があるだろ?
 そこんとこから、つーっと横に行ってさ。
 あの、木がいっぱい生えている古墳と、ちょうど真ん中くらいのとこ…。
 そう、あの辺り…。」
 そう言って、身を乗り出すようにしてその場所を指し示したお爺さん。
 それは、今私とお爺さんがいるベンチから10mくらいのところ。
 とはいえ。
 そこは今、ギラギラした夏の太陽の下、青々とした芝生がツヤツヤと光っているばかりで…。

「そこに、白い服を着た何かがぼぉーっと立っててな。
 俺のことをじーっと見てるんだな。
 うん。いや、睨んでるとかそういうんではなくってな。
 なんというか、こぉただ見てる…、そんな感じだった…。」 
「え…。それって、ゆ、幽霊…。だったんですか!?」
 いくら、ギラギラと照りつけている真夏の太陽の下とはいえ、今私がいるこの場所で「出た」なんて聞くと、やっぱり怖くなります。
 ましてや、それは今日と同じような陽気の日のことだったというのですから…。

 しかし、お爺さんときたら、私の「幽霊だったんですか」には全く答える気がないみたいで。
「それは、体は、こう、あっちの古墳の方に向けてな。
 顔だけが、俺の方を向いていてな。
 その姿勢のまま立ち止まって、俺のことをぼんや~り見てるって…
 そう、そんな感じだったな。」

「でな。ソレはぼんや~り、俺のことを見てたんだけどな。
 ソレは、今度は足元の方からすぅぅーって。
 ゆ~っくり、ゆっくり霞んでいってな。
 それは、足、腰、腹、胸…って。
 だんだん…、だんだん…、こぉ見えなくなっていくんだな。
 そのうち、顔も消えちゃって見えなくなって。
 結局、何もなくなっちまったんだけど…。
 でもな、そんな状態でも、あの視線だけは残ってるって感じでな…。」
「えっ?えっ?えっ?
 それって、やっぱり幽霊ってことですか?」
 そんな、ちょっとアセり気味の私の言葉にも、お爺さんときたらさらっと無視で。

「でな。ソレが消えてからさ、気がついたんだよ。
 俺のことを見ていたソレの格好っていうのが、ここに展示してある埴輪と同じだってことにさ。
 両脇の髪の毛を、こぉ結った“みずら”だってことに……」

                                  *みずら 古墳時代の男性の髪型




 というわけで、どうでしょう?
 古墳時代の人の幽霊(?)のお話。
 
 え、怖くない?
 やっぱり、落ち武者の霊の方が怖くて面白い?

 まぁー、確かにねー。
 みずら姿の幽霊さんって、落ち武者の幽霊さんに比べると、なーんかイマイチ迫力に欠ける気もしますよねぇ…。
 まーねー。
 このご時勢、オバケなんてもんは…
 ある意味、生者が怖いって思うことで、初めて存在価値(というか、ズバリ商品価値?)が出てくるってことなのかもしれませんね(笑)

 とはいえ、たまにはいいんじゃないかと思うんだけどなぁ…。
 大河ドラマじゃないけど、戦国時代(のオバケ)って、なんかもう食傷気味っていうか…(笑)



 ということで。
 ま、めでたし、めでたし。




番外:その4終わり。フっ!
                  ―――― 「たまには変わったヤツもいる*無断転載禁止


*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください。



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2013
05.16

“蒸しっ”としてくると…(その2)

Category: R&R

 “蒸しっ”としてくるとブルースも聴きたくなりますけど、でもサンバも無性に聴きたくなるものですよね。

 とまぁ、そんななんだかやけに押し付けがましく同意を求める口調はともかく(笑)
 ま、サンバっていうと、普通は着てるんだか着てないんだかほとんどわからないコスチュームのおねーさま方がノリノリで踊りまくってる、とにかくやったら騒々しい音楽ってイメージがありますけど。
 あれは、カーニバルのサンバらしいんです。

 普段のサンバは、楽器も少人数編成(パゴージというそうです)で楽しむものだとかで、まぁホントほんわかリラックスのノリがあって、ワクワク楽しくて。
 そのくせ、とっても哀感(いわゆるサウダージってヤツ)のある音楽で、もっと日本で聴かれてもいのになーって、ホント思います。

 まぁサンバですから(笑)
 テンポがいいこともあって、何か作業しながら聴くのにもいいですし。
 メシ作る時のBGMなんかには最高!って思うだけどなぁー(笑)
 (ただ、踊りすぎて鍋や皿をひっくり返さないよう要注意!)





 途中でやる、あの変な顔はどういう意味があるんでしょうね?











 そういえば、サンバの生演奏を聴きたくって、プラッサ・オンゼという店に行った時。
 その時は同僚(ちなみに男)と行ったんですけど、たまたま隣りに素敵なおねーさま二人連れが座っていらして(ブラジル風の“素敵”でなく、普通の日本の感覚で“素敵”ね)。
 なんとなーく意識しつつも(笑)、でも話しかけづらくって。

 でも、サンバの生演奏が始まったら、
 そのおねーさま達が、「踊らないんですかー?」って(爆)


 いや、私も同僚も。
 そこって、サンバを聴くつもりで行ったんですけど、まさか踊る場所だとは全然知らなくって。
 「お、踊る!?」って、一瞬ポカーンだったんですけど。
 とはいえ、誘ってくれた手前踊らないわけにもいかず。
 で、つい踊っちゃったら…

 いやもぉ楽しいのなんのって! ←浮かれバカ


 結局、私も同僚もおねーさま二人のことなんかすっかり忘れて、20分だか30分だかの演奏中踊りまくっちゃって(笑)
 で、演奏が終わって、クッタクタになって(そりゃまぁサンバですから)席に戻った時には、おねーさま二人はとっくに帰っちゃった後。
 同僚と二人で、思わず「あぁぁ~~~」って。
 つい、次のステージも踊りまくっちゃったと(笑) ←ヤケくそバカ

 そんなことがあったせいなのか何なのか。
 その後、その店にはずいぶん通いましたねー(爆)



 今思うと、あのおねーさま二人ってサンバの精だったのか?
 いやぁー、やっぱりたんなる店の販促要員だったのかもなー!?




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2013
05.15

“蒸しっ"としてくると…

Category: R&R
 関東地方、今日はかなり暑くって…。
 それもただ暑いんじゃなくって、大気がどこか“蒸しっ"としてきた感がありましたね。
 でも、普通の年だったら、ゴールでウィークにこんな日が1日2日あってもおかしくないんですけどねぇ…。
 まぁ札幌でやっと桜が開花ってくらいで、やっぱり今年の春(っていうかもう初夏)は気温が低いってことなんでしょうね。

 とはいえ、今日みたいに大気が“蒸しっ"としてくると、なぜか無性にブルースが聴きたくなります(いえ。別に淡谷のり子じゃなくって…笑)。

 あれは何年前だったか?
 音楽が、すっごくつまんなくなっちゃった時期があって。
 その時期っていうのは、この初夏から夏にかけての時期だったんですけど。
 その時唯一聴けたのが、ずいぶん前に買って、ほとんど聴かずにそのままになってたブルースのCDだったんですよねー(あの時って、なんでブルースのCDなんて引っ張り出したんだろ?)。














 ま、これって、どう考えたってカテゴリーとは、「どーでもいい!」なんでしょうけどねー。
 一応、おススメってことで、「R&R」のカテゴリーに入れておこーっと!(笑)

 まぁもっとも。
 今時、こんな見目麗しくないおじさんが歌う音楽を聴いて、シブがりたい人もいないって気がしますよね~(爆)



 あぁ~あ…
 もっと楽しいブログ記事を書けるように精進しなきゃだなぁ…
                          ↑
                       お相撲さんか!




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2013
05.12

たまには怖いお話など…


 いつも「怪談話」ばかりなんで、たまには怖いお話をひとつ(笑)

 今年は春先こそやけに暑い日もあったりしたんですけど、4月に入ってからはやけに気温の低い日が多くって。
 それこそ、連休中でもコタツを出していたくらいだったんですけど。
 まぁ先週くらいから、やっと暖かい日も出てきて。
 この機を逃すと、コタツを片付けるタイミングを逃しかねないとばかり、今日やっとコタツをしまったんです。
 でまぁついでに掃除もして。

 それは、その掃除の最中のことでいた。
 キッチンの横にある棚の下に、缶詰が転がっているのを見つけて…。
 いや、缶詰っていったって、別に中にオバケが入っているとか、中身が全然わからない怪しげな缶詰っていうんではなくって。
 それは、たんなるパイナップルの缶詰でした。
 ラベルだってしっかりしているし、蓋の消費期限だって2005年(ワォ!)ってしっかり印字されてあるヤツ。
 実は、見つけたと言っても、その缶詰がそこにあることはずっと知っていました。
 ところが…

 何気に手に取った途端「あな恐ろしやー」って、もぉ一龍斎貞水さん状況です。
 だって、円筒形の缶詰が、微妙に球体っぽい形に変化しているんですから。
 つまりそれって、中身が腐って発酵し、ガスが発生しているってことなわけで。さらに言えば、円筒形が球体っぽく変形しているってことは、場合によっちゃ、ちょっとした衝撃で破裂する可能性があるってことです。

 まぁ破裂といっても。まさか、破片が粉々に飛散するってことはないんでしょうけどね。
 でも、中身は腐ってるわけですから、たぶん中身はぐちょぐちょのドロドロで――おっ!なんか怪談好きの人が喜びそうな表現!――おまけに相当臭いはずです(もぉ、ほっとんどシュールストレミング状況!)。
 そんなもんが部屋中に飛び散った日にゃぁ、もう目も当てられません。
 今後、一生涯パイナップルが食べられなくなっちゃう可能性だって無きにしも非ずです。
 
 そうそう。そういえば、パイナップルが食べられなくなっちゃうかもしれないで思い出したんですけど。
 去年だったか一昨年だったか、夏に八百屋さんで傷んだ桃が3つ100円で売っていたので買ってきて。
 ま、いわゆる「傷桃」ってヤツですな。

 で、その傷桃。ちょっと泥がついていたので、水をはった容器に放り込んでおいて、しばらくして見たら…。
 白い色の幼虫みたいなのが、にょろ~んって(笑)
 桃の中から出て、溺れ死んでいたんです。
 いやもぉびっくりで。
 「えっ、桃の実って虫がつくの!?」って大慌てで検索してみたら。
 なんと、世の中には、桃に齧りついたら、中から虫がびろ~んって人が結構いるようでして。
 しかも、それを体験しちゃった人は、みんな異口同音に「もう桃は食べられない」って…

 まぁ私は、食べる前に虫が出ちゃったんで。幸いなことに、それからも桃は食べられるわけですけどね(笑)
 とはいえ、パイナップルだって大好きなわけで、缶詰の破裂ごときでパイナップルが食べられなくなってしまったら、これからの人生とっても困ります。

 というわけで、意を決し、急遽爆発物処理隊が結成して。
 腐ってぐちゃぐちゃになったパイナップルを浴びてもいいように上はTシャツ一枚になって。
 流しの中で缶詰の下の方から、「1、2、3!」の掛け声で、缶切で穴を開けたんです。

 その途端!
 プッシュゥゥゥゥゥ~~~~~~って。

 まぁほんの1秒くらいでしたか?
 液体が勢いよく出たのは…。
 でも、ホントそれだけ(笑)
 その液体も、まぁ多少色はついてましたけど、特に臭いってこともなく。
 恐る恐る、鼻を缶詰に近づけてみましたけど、まぁパイナップルみたいな匂いかな?って(当り前か?)。

 缶を開けてみても、色がやけにオレンジ色になってた以外は、ホント普通にパイナップルの輪切りで。
 まぁさすがに食べてみよっかな?とは考えもしなかったですけどね。
 でもまぁ特に恐ろしげな様相を呈してはいませんでした(笑)


 とはいえ…。
 思い起こせば、もらってそのままになってるキムチ鍋の素が、もぉかれこれ8年くらい食器棚の奥にとり憑いてるはずだよなぁーって。
 いやもぉそれって、ホント怖すぎます。











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2013
05.12

アジアの東は、Wicked World?(大爆笑!)

 しっかしまぁ。
 トップが替わっても「正しい歴史認識」とか、言っていることが相変わらず非具体的で。何を求めてるのか、さっぱりわかんない「国家」も困ったちゃんなんですけど。
 トップが替わっても、沖縄は自分のものなんて、言っていることが具体的すぎる(というか露骨すぎ?)の「国家」っていうのも、まった困ったちゃんですよねぇ…。

 まったく。衣食足りて礼節を忘れちゃったぁ~ってわけで、ホントあの二つの国がお互い「孔子はオレの国の人間だ!」って争っているのが、ホント信じられませ~ん!
(あれ?衣食足りて…は、もしかして孔子じゃないのかなぁ~!?)

 まぁねー。
 人間なんてもんは、つい、ないものを欲しがっちゃいがち…
 ってことなんでしょーかねー(爆)
    
                   *衣食足りて礼節を知るは、なんでも『管子』だそうです(笑)


 しっかし。まったく、東アジアのこのWicked World(邪悪な世界)ぶりってぇのは、ホント哀しいやねぇ…。
 でもまぁさ。
 とりあえずその2つ無視しちゃえば、まぁそこそここの世界も悪くないんじゃないかなぁーって?(笑)

 まぁさ。内政対策としてのいがみ合いや、くだらないメンツの張り合いは、おエラい「国家」の方々に好きなだけ延々やってもらうことにして。
(あの方たちの大好きな、「戦略的互恵関係」だの、「重要なパートナー」だの、そんなもん未来永劫絶ぇっ対ーぇ無理だって!!)。


 ま、国は違えど、我々一般庶民は一般庶民同士。楽しく仲良く遊びましょ!
 だってさ、『ロミオとジュリエット』を否定する一般庶民なんていないでしょ?












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2013
05.11

57話目-8

Category: 怪談話

*57話目-8は続き物です。57話目-1から読んでいただければ幸いです
http://kaidansweets.blog.fc2.com/blog-entry-119.html


 はぁー、はぁー、はぁー
 はぁー、はぁー、はぁー

 ふとAさんの目に映ったのは、向こうの建物の上。藍色の夜空をバックにしたゴプラム(南インドの寺院特有の塔状の門)の黒いシルエット。
「な、ウィリアム。
 あのゴプラムが見えるってことは、通りは逆だよな?」
「うん?ゴプラム…。」
 ウィリアムの動きが止まってしまったのは、頭の中の地図で位置を確認していたのだろう。しかし、すぐにうなずいた。
「うん。それで間違いないな。」

 そう言って歩きだして曲がった角の向こう。そこは、蒼黒い家並みの通りのすこし先。
 そこに見えたのは、またもや、あのちろちろ揺れるあの橙色の火。
 それは、例の行進の黒い人影、人影、人影。
 ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ……
 ささっ、ささっ、ささっ、ささっ、ささっ……
 そこは、二人が今まさに向かおうとした通り。そこを横切る道を、あの行進が粛々と通り過ぎて行く。

「っ!」
 それを見て、声にならない叫びをあげて立ち止まる二人。
 ヤツらに気づかれないようにと、そーっと道の端に寄る。
「ホントに何なんだ?あれは…。」
「わからん。あんなもの、インドで初めて見た。」
「でもまぁ、もう行っちまったようだ。今のうち急ごう。」

 そう言った二人は、再び人気のなくなった蒼黒い家並の中を小走りに進んでいく。
 しかし、その二人は、またあの橙色の火の列が横切っていくのに出くわして。
「ま、まただ…。」
 しかも、今度はその誰もが顔をこちらに向け二人の方を見ている。
 その、すーっと肌の表面を撫でていくようなその視線たちに、たちまちぞわっと粟立っていく背中。そして、首筋。
 でも、その行進は二人をただ見るだけ。
 そして、そのままただ通りを粛々と横切っていくだけ……

 三たび、人気のなくなったその通り。
 視線に釘付けされたかのような二人の足は、やっと動き出す。
「……。」
「……。」
 もはや、何か話す余裕もないAさんとウィリアム。
 ただただ、この道を向こうに行けば、最初の通りに戻れると思って歩いているだけ。
 それは、恐る恐る…。

 そんな二人の後ろから、近づいてくるのはあの音。
 ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ……
 ささっ、ささっ、ささっ、ささっ、ささっ……
 静かなざわめきと、人々のサンダルの踵が道を擦っていく足音。
 ちろちろ揺れるあの橙色の火。そして、行進の黒い人影の列。
 しかし、二人にその気配を気づく余裕はなく。

 三たび、前をあの行進が横切るのを見て立ち止まる二人。
 やはり、その誰もが歩きながら顔を横に向け、二人に視線を送ってくる。
 その恐ろしい数の視線にたじろぐように、体を横にして避けた視界の端に映ったのは、ちろちろと揺れる橙色の火と、その後ろの黒い人影の群れ。

 ジャーンっ!ジャーンっ!ジャーンっ!
 ジャーンっ!ジャーンっ!ジャーンっ!
 道の真ん中で立ち竦んでいる二人を追い立てるように鳴らされる、先頭の老人の鉦。
 まるでそれが合図でもあったかのように、後ろに迫ってくる行進から押し寄せてくるあの醒めたような視線、視線、視線…。
 その冷たさときたら…

 前にも後ろにもあの異様な行進。
 もはや、何がなんだかわからなかった。
 目の前、いや周り360度で起こっている全ての映像が、頭の中を混沌に染めていく。
 そんな中、まるでそこだけにパーっと光が射したかのように。
 それは、建物と建物の間の人一人がやっと通れるような細い路地。
 気がついた時には、Aさんはウィリアムの手をぎゅっとつかんで、その路地を突っ走っていた。

 はぁー、はぁー、はぁー
 はぁー、はぁー、はぁー

 暗闇のように深く沈んだその蒼い路地を駆け抜けていくAさんとウィリアム。
 その道が、どこに出るのかなんて考えてなかった。
 でも心なしか、路地の向こうが明るいような…。
 いや、それを見とめたからこそ、迷わず走っていたのかもしれない。
 まるでトンネルのように暗く細いその路地を…
 はぁー、はぁー、はぁー
 はぁー、はぁー、はぁー


 急に、その暗がりから、辺りがパァーッと明るくなって。
「あっ!通りだ!」
 点々と連なる街灯。家々の灯り。通りを行き交うクルマのヘッドライト。
 そして、家路を急いでいるインド人たちの姿。
 なにより伝わってくるのは、日常の気配。

「通りに出たぜ。おい、ウィリアム!」
って言って、後ろを振り返るAさんの目には。
 なぜか、驚愕の表情を浮かべたウィリアムが。
「おい!危ないぞっ!」
 それは、なんだかやけに遠くの方から聞こえてくるウィリアムの声。
 でも、それって…。
 そのことに気がつく前だったのか?後だったのか?

 つんざくような音とともに、みるみる大きく迫ってくる光!
 迫ってくる黒い塊はクルマ?
 その丸っこいシルエットは、間違いなくアンパサダー。
 ヘッドライトがぐんぐんと迫ってくる。
 エンジンの爆音!急ブレーキの音!
 あぁぁ…、もう駄目──。
「うわぁぁぁぁぁーっ!」



 Aさん。気がついた時は、トリヴァンドラムの街のメインストリートの歩道に座り込んでいたらしいです。
 そして、横にはウィリアム。気がついたAさんを見て、どっと大きく息を吐いて。
 まわりには、何人ものインド人が二人をのぞき込んでいて。なにやら口々に言っている。
 さっぱりわけのわからないAさん。
 そのAさんに、ウィリアムは説明してくれたといいます。

 あの細い路地をひたすら駆けて、ふいに明るいメインストリートに出た二人。
 先に通りて、「通りに出たぜ」って振り返ったAさん。
 ウィリアムが、そんなAさんにうなずきながら辺りを見回した、ほんのわずかの間。
 ウィリアムが見たのは、ふらふらっと車道に歩きだすAさんの後姿。
 「あっ!」って思う間もなく、そこに真っ直ぐ向かってくる黒と黄色のアンパサダー(黒と黄色のツートンのアンパサダーは普通のタクシー)の姿。

「危ないぞ!」とウィリアムが叫んだその声に、やっと気がついたのか?
 動きがピタっと止まったAさんの後姿。でも、その場に立ち竦むばかりで…。
 あとは、ウィリアム自身、もうその時自分が何をしていたのかわからない。
 我に帰った時には、Aさんの腕を抱えるようにして歩道に倒れていたんだと。


 そして、その2日後。
 Aさんは、帰路につくためにマドラスに。そして、いまやAさんの命の恩人となったウィリアムは、何かの「理由」を求めて自分の旅を。
 そして不思議なことに、Aさんを悩ますあの夢も、ウィリアムを襲う黒い靄のような人影も、そのトリヴァンドラムの夜以来、一切無くなってしまったんだそうです。

 ま、それはともかく。
 お話はいよいよ最後の舞台であるマドラス(現在はチェンナイ)に移るわけです。
 それは、マドラスの空港でのことだったといいます。


 中継地である東南アジア行きの飛行機に乗り込んだAさん。
 いよいよ、3ヶ月以上を過ごしたこのインドともお別れ。
 機内に響いているジェットエンジンの音。
 飛行機は、今まさにランディングバーンに向かって、ゴトゴトと進んでいるところ。
 窓の外は、もう真っ暗だった。
 インドに着いたのも夜だったけど、出発も夜か…。
 窓の外に見えるのは空港の明かりだけ。
 ガクンと停まった機体。
 プン!と鳴った、シートベルト確認の音。
 ふいにジェットエンジンの音が大きくなったかと思うと、後を追いかけてくるように近づいてくるゴォォーっという音が。
 体がシートに押し付けられる感覚、なおも加速していく機体。
 今まさに、Aさんは自分がインドから去ろうとしているのを感じていた。

 ふわっと機体が浮いた瞬間──。
 まるで、後ろ髪を引かれるようなと言ってしまうなら、あまりにそのまんますぎる触感。
「うっ!」

 機体はさらに上昇を続けている。
 マドラスの街が…、インドが下に見える。
 オレンジ色の無数のまたたき。それをつないでいる光の線。
 しかし、それ以外は…。
 街というものがこんなに暗いものなのか?って問いたくなるくらい、あまりに暗い巨大な空間がぽっかりと、そこに空いていた。

「うっ!」
 なぜかまた、後ろ髪を引っ張られるような触感を感じて、Aさんは小さく呻く。
 それは、いきなり脳裏で再生されだした生々しい記憶。
 3ケ月より前。念願のインドに到着したAさんと友人のBさん。
 そう、最初は友人との二人旅だった……

「おい!出口はこっちみたいだぜ」
「しかし暗い空港だなぁー。
 これがインドってヤツかぁー。ハハハ!」
 あの時、オレたちはゲラゲラ笑っていた
 でも、それは可笑しかったからではなく、本当は緊張しきっていたから…
 インドは油断していたらたちまち騙される。その一番危ない場所が空港だって聞いていたから
 それこそ、背負ったバックパックにまで神経を張り巡らせるように、気持ちがピーンと張りつめていた

 真夜中の気配がターミナルの中にも漂う中、そのワーンという音は絶えずしていた
 それは、確かに体では気がついていたはずなのに、あまりにずっと聞こえているものだから、意識として感じることが出来なかった
 オレとBは、空港の建物から外に出ようと、スモークガラスのドアに手をかけ…
 そのガラスの向こうに見える外ときたら、ホント真っ暗で
 灯りなんて、ぽつんぽつんとあるくらい

 ホントにこれが国際空港なのか…
 でも、現にオレ達は今インドに着いたんだし…

 ドアの取っ手を引いて、外に出た途端──
 ワーンという音が、一気に耳を覆わんばかりに押し寄せてきた
 それに気がついた時は、戦慄さえ感じた
 いや、それは全然オーバーじゃない
 ずっと聞こえていたワーンの正体が、実はとんでもない数のインド人の客引き達の口々の叫び声だったんだってことに気がついて
 その、暗闇にずらりと並んだ無数の血走った目、目、目…
 手招きと言うには、あまりに暴力じみた手の動き
 そして、声、声、声、声、声、声、声、声………………
 わーん!わーーん!わーーーん!わーーーーん!わーーーーーん!!

 その目、叫び声、そして手の動き…
 それら全てがオレとBに向かってくる、その時の怖さときたら――


 ある意味、それは軽いトラウマみたいになってしまったのだろう
 それ以来、オレもBも。インド人たちの無遠慮な目が妙に怖くなってしまって

 いや、そんなこと、後になってみればなんということなかったのだ
 彼らインド人たちからしてみれば、自分達の街に現れた異邦人をじろじろ見るのは、考えてみれば至極当たり前の反応。
 ましてや、それでなくとも娯楽の少ないインドでの毎日
 インド人からしてみれば、見かけないヤツがいれば、ちょっと話してみたいってだけなのだ
 なにより、ツーリスト相手に商売しているヤツだっていくらでもいるわけだし
 だから、彼らインド人たちはツーリストを見かける度、声をかける
 でも、そのことに気がついたのは、オレたち二人がケンカ別れしてずいぶん経った頃
 そう。それは、オレがインドの旅にやっと慣れてきた頃だった


「オマエさ、なんか知らんけど、
 さっきからずっと怒ってるよな?」
「ふーん。わかるんだ…」
「おいぃー。なんだよ、それぇー?」
「わかんねぇんなら言ってやるよ。オマエはよ──」

 それは、インドで過ごして2週目に入った時だった。
 オレは、その日泊まる宿を探していて、インド人の客引きとの交渉につい夢中になっていたみたいで…
 いや、もちろん意識はしていなかった
 意識なんてするわけない
 この広いインドで、唯一信じることが出来る友人のB
 でも、オレはその時インド人達と交渉するのに必死で、そのBが言っていることをずっと否定したり、無視していたらしい

 そのことで、ついに話しをしなくなってしまったB
 怪訝に思ったオレが、Bにそのことを聞いてみた時にはもう遅かった
 たちまち言い合いみたくなって…
 気がつくと、オレたちは別々の宿にいた


 今から思えば、オレもBも初めての海外、始めてのインドで心身ともに疲れはてていたのだろう
 オレとB、それぞれの中で、張りつめた気持ちと旅に出ているという浮かれた気持ちは、絶えずぶつかりあっていた
 そんな二人が、ずっと一緒にいる状態
 そう。衝突するのは、時間の問題だったのだろう


 オレとBは、もともとその小さな町に何日か滞在する予定をたてていた
 初めて一人でインドの夜を過ごした、そのホテルの部屋で
 いくら人の多いインドとはいえ、こんな小さな町。お互い1日か2日冷却期間を持てば、この町のどこかで出会って。また元通り、二人で旅を続けられるって、オレは思っていた

 でも、そう思って、気がつけば3ヶ月以上が過ぎていて…
 そして、今。オレは独り帰りの飛行機に乗っている
 アイツは…、Bは、今どこにいるんだろうか?
 もう、とっくに日本に帰っているのか?
 それとも、まだインドから離れる理由を見つけられずに、あの広い大地を彷徨っているのか……

 もはや、飛行機は雲の上
 インドは、もうどこにも見えない



「でね、そんなAさんを日本で待っていたのがね…。」

 そして場面は。一番最初に戻るわけです。
 私がインドを旅行していて、とある海岸で何人もの日本人ツーリストたちと出会った場面に…

 ビーチハウスで話し始まった、そのAさんというツーリストの話で、私たち日本人ツーリストたちは盛り上がっていました。
 意外に長いその話を、みんなでフンフンと聞いていて。
 時々、「それはあそこのことじゃないかなぁ?」なんて推測したり。
 現に、別行動をしていて、このビーチで偶然再会してしまった友人同士のツーリストが目の前にいるわけです。ある意味、他人事とも思えなかったというのもあったのでしょう。

「でね、そんなAさんを日本で待っていたのがね…。」
「えっ、なに?まだ続きがあるの?」
 この話しを知らなかった私と、ずっとこのビーチハウスに泊まっていたツーリストの彼からすれば、ちょっと「おいおい」ってな感じがあったのを憶えています。

「成田にね、そのAさんの両親が来てて…。
 もうビックリだったらしいすよ。
 そりゃ、いつ着の便で成田に着くって、葉書は出してたらしいすから、
 帰りの日時はわかってたわけですけどね。
 でも、まさか迎えが来てるなんてって。」

「でね。
 その成田に来ていた両親から聞かされた話っていうのが…。
 なんと、その友人のBさんっていう人がインドで交通事故に遭って亡くなっていたと…。」

「もちろんね、このインドでのことでしょ。
 詳しいことはわからないんすよ。
 ただ、わかっていることというのが、Bさんを轢いたクルマはタクシーだったということ。
 その運転手の話だと、
 夜中走っていたら、いきなりそのBさんが道にフラフラととび出して来たんだとか。
 つまり…、タクシーっていえば、
 このインドじゃ、アンパサダーしかないわけでしょ。」

「それとね。まぁこっちの話はその時じゃなくって、
 後でBさんの家族から聞いた話らしいんすけど…。
 Bさんの持ち物の中に、何本かのハッシッシがあったとかで…。
 しかも、バックパックのポケットとかにも、
 たぶん大麻の葉のくずらしきものがあったってことで。
 まぁどうやら。
 たぶん、ずっと吸ってたんだろう…って。」

「ふぅー…。
 まぁ、なんですかねー。
 無理に話しを繫げようっていうんじゃないんですよ。
 ないんですけど…。
 ただまぁそういうこと…
 なんでしょうね。きっと……」




57話目終わり。フっ!
                ―――─ 第57話目「天竺で見た夢」 メルマガ配信日:10.4.29
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2013
05.06

サザエさん・ブルー

 今日あたりは、もぉサザエさん・ブルーになっちゃっている人、多いでしょうねー(哀!)
 まぁ月曜なんで、サザエさんやってないけど(寂!)
 (ていうか、サザエさんって今でもやってるんだろーか?)

 てなわけで、怪談話。つづき載せようと思ってたんですけど、私もサザエさん・ブルーなんで来週に延期しま~す(笑)




 ♪楽しい時っつうんは、なんともまぁあっという間に過ぎちまうもんだこと……






 ま、♪Just The Way You Areぁぁぁ~~~ですな(笑)



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2013
05.05

満月/原田康子著(新潮文庫)

Category: R&R

 なにやら、ホント久しぶりのR&R(Review & Recommend)です。
 いや、決して本とか、読んでないわけじゃないんですけどねー。
 でも、感想を書くってどーにもこーにも苦手で(笑)
 て、ことで…


 そういえば、古本で45000円(!)もする、例の『たんぽぽ娘』。
 いよいよ、今月末に別の出版社から発売されるわけで、出た途端古本の価格がどれくらい下がるのか、今からとっても楽しみで~す(笑)

 あれは、もう10年以上前(20年前くらい?)になりますかね。
 キャロル・キングが在籍していたシティがCDで発売された途端、それまでウン万円で売られていた中古LPが途端に二束三文になっちゃったっていうことがありましたけど。
 それによって楽しめる時間と価格のつりあいってことを考えれば、本だのレコードだの価格がウン万円につり上がっちゃうっていうのは、それを楽しみたい人にとっても、本やレコードにとってもすごく不幸なことだと思うんですよねー。
 だって、本にしてもレコードにしても、読んだり聴いたりしなきゃ意味ないわけですし…。
 ま、高いからこそ買いたいなどという、「ちょっとMっ気強くなぁ~い?」って思わず言いたくなっちゃう人もいるんでしょうけどねぇ…(笑)

 とまぁ、そんな話はともかく。
 『たんぽぽ娘』が出るこの5月だからこそおススメしたいのが、この原田康子の『満月』です。

            manngetsu

 個人的には、タイムトラベル物(タイムスリップ物?)の名作だと思ってるんですけど、意外に知られてないような…。
 もちろん、知ってる人は知っているし、好きだっていう人もそれなりにいるようなんですけど…、
やっぱり、「SF」じゃないってことが、あまり評価されない理由なのなかなぁ…。


 ちなみに、91年に原田知世・時任三郎主演で『満月-Mr.Moonlight』というタイトルで映画化もされているんですけどねー。
 http://cinema.pia.co.jp/title/804750/
 90年代というDVDが出るちょっと前というタイミングの映画のせいか、いまだにDVD化されてないんですよね(あら、もったいない!)。
 それこそ、今となっては映画の内容は全然憶えてないんですけど。
 でも、「原作が良くて期待しけど、映画はダメだった」みたいな記憶は全然ないんで、そこそこよかったと思うんですけどねー。

 話は脱線しますけど、90年代の映画でいい映画なのにビデオしかなくて見ることが出来ないのって、他にもたくさんありますよね(完璧に個人的な趣味で言わせてもらうと、『愛と野望のナイル』を是非見たいんですけど…)。
 まぁ現在っていうのは、映画を見るっていうよりは話題という情報を見るみたいな傾向が強いんで(まぁ昔もそんなもんだったけか?笑)、いい映画ってだけじゃ売れないからDVD化しないんでしょうね。

 そんなわけで、原田康子の『満月』も今となっては古本でしか手に入らないみたいですけど(しつこいようですけど、あぁホントもったいない…)。
 でも、今月『たんぽぽ娘』を買って読んでみて、よかったと思う人なら、ぜひ古本で買って読んでみてほしいなーって思います。
 ただ、SFの要素は完全に皆無なんで。
 SFのタイムトラベル物を期待する人は、絶対止めといた方がいいと思います。
 むしろ『満月』は、普段SFを読まない人や、SFがあまり好きでない人の方が楽しめるような気がします。


 まぁあらすじは、上記の映画のサイトに書いてある内容にほぼ近いんで省くとして(ただ、マスコミに追われるとか、エンタメ性が強そうなエピソードは映画オリジナルのようです)。
 ストーリーは中秋の名月の夜に始まり、中秋の名月に終わるわけで、まる1年間のお話ということもあり、猛吹雪の夜の場面もあるし、夏祭りの夜(弘前のねぷた祭り)の場面もあるんですけど。
 でも、全体のトーンというのは、ホント中秋の頃の、あのふんわりくっきりした穏やかな秋の夜そのものなんですよねー。
 この本の魅力は、何よりそこなのかなぁーって気がします。
 読んでいて、それから読み終わって。
 ホント気持ちが落ち着くっていうか、穏やかな気持ちになれるっていうか…。


 さぁーて!
 今月末は、ウワサの『たんぽぽ娘』(楽しみ♪)と『満月』、読み比べだーっ!(笑)







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2013
05.03

初・麻婆茄子


 「初」といっても、まさか「今年初」です(笑)
 先週末に八百屋に行ったら、このところの低い気温のせいなのか、はたまたゴールデンウィーク前ってことなのか、な~んか全般に高くって。
 そんなわけで、困ったなーって思ったら。
 スーパーで茄子が比較的安かったんです(安いといっても、夏の時期と比べたら結構高かったー!)。

 と、そんなこんなで、やっと今年初・麻婆茄子!食べちゃいました。
 (そういえば、江戸時代。江戸っ子も初・茄子は珍重したんだとか)

 麻婆茄子、大好きなんですけど…。
 そのくせ、毎年夏になって茄子が安くなってくると、
1週間に何度も茄子なんでちょっと飽きてくるんですよねー(笑)
 「ナスは、やっぱりシンプルに焼いてしょうがとしょうゆが一番ウマいかもな…」
とかのたまわっちゃったりで(笑)


 そういえば、今週は八百屋も休みなのかなぁ……











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2013
05.03

57話目-7

Category: 怪談話

*57話目-7は続き物です。57話目-1から読んでいただければ幸いです
http://kaidansweets.blog.fc2.com/blog-entry-119.html

 Aさんとウィリアムは、街外れにある公園に向かったといいます。
 Aさんが、あの時見たウィリアムにのしかかかっていた黒い靄のようなモノ。ソレは日本人で、しかもAさんの友達で、だからもうかまわないように言ってくれと頼んでくるウィリアム。
 しかし、それが日本人だから日本人であるAさんに何とかしてくれって言われても、Aさんに何か出来るわけがないし、そもそもそれが何なのかすらわからないわけで。
 もっとも、それはウィリアムもわかっていたのでしょう。
 Aさんに、ひとしきりそう言った後は、急にいつもの感じに戻って。
 そして、Aさんを公園に誘ったらしいです。


「しかし不思議な建物だな。これは何なんだ?コロニアルなのか?
 なぁウィリアム、イギリスにはこんな建物があるのか?」
 公園の真ん中にデーンと建っていたのは、赤茶をベースにしたなんとも形容し難い建物。
 その赤茶色が、この南インドのギラギラした太陽の下、やたら暑苦しいようでもあり、反面部分部分を見ていくと涼しげにも見える。
「いや、こんな建物、オレの国にはないな。
 確かにコロニアルっぽい気もするんだが、基本はこっちの様式じゃないのか?」

 黒い靄のアレの話は、2人ともあえて避けていた。
 お互い、いくらそれを話してもどうにもならないとわかっていたのだろう。
「この街は、どこかきれいな街だな。なんだか、インドっぽくない…。」
「うん。オレも、昨日来て思った。
 インド特有の雑然とした感じがないんだよな。」
「あぁなんだ、ウィリアムも昨日来たんだ。
 どこ泊まってるんだ?オレもそっちに移ろうかな…。」
「そいつはやめておいた方がいいだろう。
 Aには、ちょっと泊まれないくらいの高級ホテルに泊まってるからな。」
 そう言って、笑いだしたウィリアム。
 そんなウィリアムに、何か言おうとするんだけど、結局何も言葉が出てこないAさん。

「なぁA。で、やっぱり帰るのか?日本に…。」
「ああ。明後日マドラスに飛んで帰るつもりだ。」
「そうか。それはおめでとう。」
 そう言って、Aさんの前に右手を突き出したウィリアム。
 Aさんは、その手を少しの間じっと見つめていたのだが…。
 でも、すぐにぐっと握り返して、そしてちょっと寂しげに笑った。
「フフ…。ありがとうと言うべきなんだろうな。」
「そうさ。そう言うべきさ…。」
 そう言うウィリアムの顔もどこか寂しげで。
 それは、別れの寂しさなのか?それとも、置いてかれる者の寂しさなのか?

「なぁ、ウィリアム。オマエももう帰ったらどうだ。」
「帰る?なに言ってるんだ。
 オレは、インドに来てやっと1ヶ月なんだぜ。
 オレの旅はまだこれからさ。」

 そして、2人は公園に併設された動物園に。
 2人とも、お互いの国の動物園に行けばいくらでも見ることのできそうな、特に珍しくもない動物を順々に見ては、何か冗談を言いあって笑っていた。
「しかし、インドの旅の最後が動物園とはな。思いもよらなかった。」
「でも、マドラスにも1日2日はいるんだろ?」
「うん、でも…
 マドラスじゃ、家族や友人の土産探しでもしてようかと思ってる。
 何を見たい何をしたいとか言ってたら、この国は本当にキリがないからな。
 なんだか、飲み込まれちまいそうで…。」
「ハハハっ!いや、おめでとう。」

 そんなことを言っているAさんとウィリアムに、「もうすぐ閉園の時間だ」と告げる係員。
 もうそんな時間かと見上げれば、空はどこか優しげな色を纏っている。


 公園を出て、メインストリートを歩き出した頃には、街も空もすっかり赤く染まっていた。
 その赤は街の中心部に向かうにつれ濃く、さらに青味を帯びていって。
 そんな中、二人は食事でもしようってメインストリートを曲がった時だった。
 急に青味が濃くなった街並みは、建物と建物の間の影が深い。
 そんな町並みの向こうから…

「なんだ、あれ…。」
「なんかの祭りか?それともデモか?」
 それは、異国人の二人にはなんとも理解できない光景だった。
 二人の歩く向こうから、歩いてくる大勢の人々。
 先頭を歩くのは壮年の男たち。しかしその後には、若いのも老人も、男も女も。小さな子供の手をつないで歩いている母親っぽいの女。
 小学生、中学生くらいの少年少女…。
 長くて太い木の蔓を4、5人くらいの単位で持って、その端にはちろちろと揺れている橙色の火。
 まるでそれは、青と黒のトーンしかないこの周囲で、唯一の色であるかのよう。
 なによりわからないのは、その集団が祭りやデモのように声をあげるでもなく、かといって無言というわけでもないということ。
 思い思いになにかボソボソ言いながら、道の真ん中をこっちに向かってくる。

「……。」
 二人とも、その得体の知れなさに自然と道の端に寄ってしまう。
 粛々と近づいてくる、その異様な集団を目で追うばかり。

 それは、今まさにAさんとウィリアムの真横を通り過ぎてゆくところ…。
 ゆっくりというわけでもなく、かといって早足というわけでもなく、本当に普通の足取り。
 火のついた蔓を持っているのをのぞけば、服装も見た感じもほんとごくごく普通のインドの人達。
 男はほとんどがインドのルンギ姿だし、女は着慣れた感じのサリー姿。
 年をとった人から、中年くらい。若者、子供…。男、女…
 それらが、雑然としかし粛々と、目の前を通り過ぎていく。
 空の赤みが完全に消え去り、すっかり濃い蒼の色に包まれた街並みの中を…

 それは、不気味…というのではない。
 かといって日本やイギリスでのこういう集団に見られるような、陽気さとか、熱気とか、はたまた笑い嬉しさ、怒り憤り……。そういうものがいっさい感じられない。
 あるものといったら、粛々と通り過ぎていく得体の知れなさだけ。
 ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ……
 ささっ、ささっ、ささっ、ささっ、ささっ……
 その人々の歩みとともに、静かなざわめきと、サンダルの後ろで道を擦る無数の音が、二人の目の前を通り過ぎてくだけ。

「なんなんだ?今のは…。」
「……。」
「デモにしちゃ静かすぎるし、
 祭りにしちゃあまりに地味すぎるし…。」
 Aさんも、そのウィリアムの言う言葉にうなずきつつ、とにかく首を捻るしかなかった。
 そう。今の行進(?)には、それくらい理解しがたい雰囲気があった。

「なぁ…、こっちに食事できるようなとこあるのか?」
「うん、こっち行くと中心街に近道なんだけどな…。
 うん。そうだな。戻るか…。」
 今の行進に、なんともいえない思いにとり付かれたのはウィリアムも同じだったのだろう。二人は、大通りに引き返そうと歩き出す。
 そんなウィリアムは、歩きながらポケットをゴソゴソ。
 取り出したのは、やっぱりハッシッシ。
「なぁ、もうやめとけって。」
「ああ。」
 そううなずいているそばから、ハッシッシに火をつけるウィリアム。
 たちまち、ふわぁーっとあの独特の色と匂いのする煙を吐き出す。
 そんな二人の歩く青黒く染まった街並みの中。
 ふと、前から来るのは橙色のちろちろした火に気がついて。
 それは、いくつも…。

 それは、先ほどの行進だった。
 ぞろぞろ、ぞろぞろ…。
 また、Aさんとウィリアムの方にやってくる。
「なんだ、ヤツら、この道を行ったり来たりしてるのか?」
 なんとなく足が止まってしまって、前から来るそれを見つめている二人。
 しかし、それは、なぜか先ほどとは何かが違うような…。
 「うん…?」って思っていて、先頭を歩くその顔が認識できる距離までその行進が近づいてきた時、それがわかった。

 オレたちを見ている。
 みんな…。
 みんな、オレたちのことをじっと見ながら歩いて来る。

 ざわざわ、ざわざわ。ざわざわ、ざわざわ……
 ささっ、ささっ、ささっ、ささっ、ささっ……
 ざわめきと、そのサンダルの後ろで道を擦る無数の音は、ますます迫ってきて。
 そして、それらよりもいち早く近づいてくる視線の群れ。
「な、な、なんなんだよ、おい…。」
 顔を見合わせるAさんとウィリアム。
 その間にも近づいてくる、ざわめきと足音、橙色の火。
 すーっと飛んでくる、なにか醒めたような視線の数ときたら…。

 後ずさるようにして、何気に振り返ったそこ。
 それは、ずぃーっと、はるか向こうまで続く濃い蒼に沈んだ家並の路地。
「ウ、ウィリアム、こっち。こっち…」
 Aさんは、ウィリアムの肩をつかんで後を向かせて、その道を半ば駆けるように歩きだした。

 そんな蒼く染まった細い路地を急いでいるAさんとウィリアム。
 その耳に、あのざわめきとサンダルが道を擦る音は、本当はずっと聞こえていのだろう。
 ざわざわ、ざわざわ。ざわざわ、ざわざわ……
 ささっ、ささっ、ささっ、ささっ、ささっ……
 いや、その橙色の火だって見えていたはずだった。
 しかし、二人がそれに気がついたのは、鋭く鳴ったその音の後だった。

 あの異様な行進から逃げるように、濃い蒼に沈んだ屋並が連なる道を歩き出して数十メートルも行かない時──。
 ジャーンっ!ジャーンっ!ジャーンっ!
 目の前に出現した、いきなりの激しい金属音!
「っ!」
 立ちすくんだ二人の前に現れたのは、またもやあの異様な行進。

 ざわざわ、ざわざわ。ざわざわ、ざわざわ……
 ささっ、ささっ、ささっ、ささっ、ささっ……
 そして濃い蒼の中、その蒼よりももっともっと濃い蒼の人影達の手にちろちろと点っている橙色の火。

 その前に立ちすくんでいるAさんとウィリアム。
 そんな二人を、まるで脅すかのように、先頭を歩く背の高い老人が鉦のようなものを、また鳴らす。
 ジャーンっ!ジャーンっ!ジャーンっ!
 先頭の男達から、そしてその後ろからも、やっぱり二人目がけて醒めたような視線が飛んでくる。

「ど、どうなってんだよ?」
「知、知るかよ。」
 二人が元の方向に駆け出したのは、それ以外考えられなかったから。
 その二人にまた聞こえてくる、あの気配。
 ざわざわ、ざわざわ。ざわざわ、ざわざわ……
 ささっ、ささっ、ささっ、ささっ、ささっ……
 ちろちろと揺れる橙色の火。

 しかし、二人が前から来るそれに気がついたのは、その音でもなく、橙色の火でもなかった。
 二人に無数に飛んでくるその視線に、わっ!と立ち止まって。
 それを見とめるやいなや後ろを振り返った二人の目に飛び込んできた、数知れない視線。

 ジャーンっ!ジャーンっ!ジャーンっ!ジャーンっ!
 ざわざわ、ざわざわ。ざわざわ、ざわざわ。ざわざわ、ざわざわ……
 ささっ、ささっ、ささっ、ささっ、ささっ、ささっ、ささっ……


 その時、Aさんの脳裏を駆け巡ったのはフラッシュバックだったのか?
 それは、3ケ月前の光景。
 Aさんにとっての始めての海外であるインド。
 その空港に到着した深夜……

「おい!出口はこっちみたいだぜ」
「しかし暗い空港だなぁー。
 これがインドってヤツかぁー。ハハハ!」
 絶えず聞こえていたワーンという音…
 空港の建物から外に出るガラスのドア
 外は真っ暗。灯りがほとんどない
 本当にこれが国際空港なのか…
 しかし、現にオレたちは、たった今インドに着いたんだし…
 それは、ドアの取っ手を引いて、外に出た途端──
 ワーン!
 音が、一気に耳を覆わんばかりに押し寄せてきて
 驚くより早く気がついた
 ずっと聞こえていたワーンという、もはや音とも感じていなかった音が、とんでもない数のインド人の客引き達の口々の叫び声だったんだって
 おおよそ国際空港のターミナルの外とは思えない真っ暗闇の中
 ずらっと並んだ無数の血走った目と、手招きと言うには乱暴すぎる手の動き。
 そして、声、声、声、声、声、声、声、声……
 ワーーーン!ワーーーン!ワーーーン!
 それらの全てが、自分たちに向けられている……
「っ!──」


 何がなんだかわからなかった。
 我に返った時には、Aさんはウィリアムと二人、互いに肩をつかんだり、腕を握ったりして、もはや黒に近くなった蒼い街並みを駆け、彷徨っていた。
 あの2つの変な行進に挟まれて、どこをどうやって擦り抜けてきたのか?


 小さな街のはずなのに、不思議とあの大通りに出ることが出来ないAさんとウィリアム。
 インドとは思えないくらい静まり返っている古い家並を、ただただ歩きまわって…。

 暑いインドでは、どんなに夜中でも外に人の気配があった。なのに、あの変な行進を除けば、先ほどから全然人に会っていない。
 いったいこんなことって…って思いつつ、なぜかAさんもウィリアムも何も言わず、荒い息を吐きつつただただ彷徨っている。

 はぁー、はぁー、はぁー
 はぁー、はぁー、はぁー ……………………




――── 本日これまで!
               57話目-7〈了〉/57話目-8につづく メルマガ配信日:10.4.29
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