2012
08.26

大っキライシリーズ「字幕とテンプレート」


 土曜の夜中に、テレビ東京でやってた『奇跡のにっぽん海百景』を録画してたのを見てたんです。
 いや、実はなんだか眠かったこともあって、どんな感じだったかちょっとだけ見てすぐ寝ちゃおうと思っていたんですけど。
 ところがいざ見だしたら、いやはや素晴らしくキレイな景色のオンパレードで。
 目なんか、たちまちパッチリ覚めちゃって、結局最後まで一気に見ちゃいました。

 内容は、与論島と隠岐、さらに北海道東部の野付半島から知床半島の羅臼側だったんですけど、いやもう3ヵ所とも素晴らしすぎでした。
 与論島っていえば、ずいぶん昔にブームになりましたよねー。
 隠岐は、実は昔っから一度行ってみたい所だし。
 野付半島から羅臼の辺りは学生時代に行ったことがあるんですけど、なんだかすごく懐かしくって。相泊の辺りなんて、もしかしてほとんど変わってないんじゃないかって…。

 いっやぁー、今回の『奇跡のにっぽん海百景』って、今までこのワクでやった中で、もしかしたらベスト1のキレイさだったんじゃないかって思うくらいでした(今回は、リポートするタレントがまともな人だったのもよかったですね。実は、その前の週も録画してあるんですけど、リポートしてる人に変なおねーちゃん(?)タレントが混ざってて…。ああいう人ってギャーギャーうるさくって、せっかくいい景色見てるのになぁってなんだか見る気なくなっちゃうんですよねぇ…)。

 とまぁ、とっても楽しい時間を過ごせてよかったんですけど、一つひっかかったのは、字幕とテンプレート。
 番組では景色のキレイな場所が出てくると、「海百景」って左下に字幕が出てくるんですけど、それがそれこそ画面の1/4くらいの大きさなんですよ。
 あの番組を見てる人っていうのは、別に「海百景」っていう文字を見たくて見ているんじゃないですよね。
 キレイな海の絶景を見たくて見てるのに、なんでその絶景のわざわざ被せるようにあんなデカデカと字幕を出すんでしょうかね?
 そのセンスがわかりません。

 そういえば、番組やってる間中番組名とサブタイトルの2つが常に上下左右、常に出てなきゃならないんでしょうかね?
 テンプレートだかなんだか知らないけど、見ていてホントジャマで。

 あと、これはテレビ東京じゃないんですけど。
 某局のニュースなんて、4月からその番組名テンプレートがやったらハデハデしくもデカくなって。
 番組やってる間中、常にそのど派手な番組名が右上に鎮座ましましているもんだから、インタビューしている人の顔が隠れちゃったり、紹介している映像の肝心なところが見えなかったり。
 テレビっていうのは、映像が見られるってことが何より重要だと思うんですけどねー。


 テンプレートっていえば、最近は仕事で見る会社の書類にもテンプレートが使われることが多いですよね。
 どのページめくっても、延々右下辺りに会社名が入ってたりで。
 それこそ、最後の白ページにも会社名だけは入ってたり(笑)
 あれを見てると、「見たいのは資料の中身であって、会社名じゃないんですけど」って、つい言いたくなっちゃうんですけど、でもまさかそんなこと言っちゃった日にゃ、たぶんヤバイでしょーね(笑)

 テレビにしても、パソコンソフトにしてもこんなに進んでいるわけですから。
 ホントもう少しなんとか、そしてセンスよくならないものなんですかねぇ…




スポンサーサイト
Comment:0  Trackback:0
2012
08.26

ケータイの電池がヤバイ!


 かれこれ6年以上使ってるケータイ(笑)の電池が、いい加減ヤバクなってきまして。
 スマートフォンは全然欲しくないんですけど、でもずっと使う(また6年以上?)ってことを考えるなら、スマートフォンも検討した方がいいのかなーって見たりしてるんですけど、やっぱり興味がわきません(笑)
 「だって便利じゃん」って言われて具体例を示されれば、「あー、確かに便利だなー」とは思うんですけど、その便利に慣れるのが「あぁっメンドくさっ!」って思っちゃうってタイプなもので。
 ゲームしないし、動画も見たくないし、SNSも興味ないし。
 というか、よくよく考えて見たらネットもそんなに好きなじゃなかったり…

 そんな中、なんだか妙に面白いと思ってしまったのがニコンのデジカメCOOLPIX S800c。
 いや、スマートフォンを既に使ってる方やその便利さを堪能している方でしたら、「これだったらスマートフォンで充分じゃん」とか、もしくはもっと鋭く「スマートフォン興味がないって言ったくせして、これを面白がる意味わかんなーい」ってことなんでしょうけどね(笑)

 うん。いやホント、まさにそうなんです。
 そうなんですけど、でも…
 確かにスマート「フォン」は全然興味ないけど、カメラや他のモノから「スマート(機能)」にアプローチするのなら、ちょっと面白いのかな?って気がして。

 まぁこのCOOLPIX S800cだと、ちょっと煮詰め方が足りないような気もするんですけどね(「スマート」な機能を使うには、ちょっと小さすぎない?というか、そもそもカメラに寄りすぎて作っちゃったような。いっそタブレット端末メーカーか、ケータイメーカーと一緒に作ったら面白かったんじゃないかって…)。
 ただ、今まで「スマートフォン」といったら、「フォン」のカテゴリーだったのを、別に「カメラ」というカテゴリーでもいいんじゃない?って言ってみせたのは(言ってはいないみたいですけど)、意外なくらい様々なメーカーにとってコロンブスの卵だったりしてって思うんですけど、どうでしょう?

 「スマートフォン」っていうのは、使っている人にとって「ケータイ」とは微妙に異なるニュアンスの物であるわけだし、それこそアップルあたりは「ケータイ」は作らなかったけど、でも「スマートフォン」は作ったわけですよね。
 つまり、スマートフォン(というかスマート機能を備えた端末)っていうのは、別に「フォン」でなくともいいってことなんだと思うんです。
 ということは、「フォン」のメーカーでないメーカーが、「フォン」以外のカテゴリーで、スマートフォン市場に進出したって全然OKって気がするんですけどね。
 まぁそれぞれ持ち味を生かして製品を作って。で、その製品に「フォン」の機能を付けるのか「通信」の機能だけにとどめておくのか、そこは判断だってことなんでしょう。

 つまり、音楽プレーヤーから「スマートフォン市場」にアプローチしたり、腕時計からアプローチしたり…(例のイメージがちょっと貧困ですね…笑)。
 携帯するものだけじゃなくてもいいわけですよね。
 クルマだったり、家だったり。
 いや、「スマート・カー」や「スマート・ハウス」っていうのは実際にあるわけですけど、そういう意味合いでなくてあくまで「スマートフォン市場」にアプローチするって意味です。

 もしくは、服や化粧品・化粧道具なんていうのもあるのかもしれないですよね。
 それこそ、「今度の資生堂のメイクアップキットって、スマートフォンの機能が入ってるんだって!」とか(!?)
 というか、スマートパソコン(!?)だってあってもいいんじゃない(もしかしてWindows8なんて、まさにそういうこと?ということは、何年後かにはスマートフォンって無くなってたりして…)。

 スマートフォンは、「フォン」のカテゴリーではかなりメーカーイメージが確立されちゃって、シェアを奪うのは難しいかもしれないけれど。
 でも、その他のカテゴリーなら日本のメーカーはブランドが確立されているものがいくらでもあるわけですから、そっちの方面から「スマートフォン」という市場を食い散らかしていくっていうのは大いにアリだと思うんですよね。
 それこそ、冗談抜きで今年のスマートフォンランキングは、「資生堂のメイクアップ・キット」が堂々1位!みたいのがあってもいいんじゃないのかなーって。

 そういう意味じゃ、今のメーカーって、なんだかスマートフォンの「フォン」にこだわりすぎてるように思いますかね。
 まぁあれかな。iPadが発売されると、買いたい人はソフトバンクの店に並ぶように。いまだにケータイキャリアによるメーカー支配が続いてるってことなんですかね?(日本のケータイが現在のような状況になってしまった原因ってそれなんじゃないのかな?)
 そういう意味じゃ、スマートフォンをめぐる日本の家電メーカーの状況っていうのは、まさに上手く回らない(回せない?)日本社会の縮図あのかもしれませんね。

 そういえ、先週はスマートフォンで操作する白物家電の新商品発表なんてニュースでやってましたけど。
 白物家電をスマートフォンで操作するなどという、スマートフォンメーカーへの敵塩商品作ってるヒマあったら、それこそ家電に付属しているリモコンにスマート(フォン)機能付けちゃえー!くらいの発想ってないんですかね?
 現場でそういう発想してないわけ絶対ないはずなんで、ゴーする側にそれだけのセンスと度胸がないってことなんでしょうかね?

 今や新興国のメーカーは技術的には世界レベルになってきましたけど。
 でもライフスタイルに変革やインパクトを与えられる商品やカテゴリーを創るってこととなると、そこは工業や現代消費社会の歴史の長さのある欧米人や日本人っていうのは1日の長が絶対あるわけで。
 それこそ、CDシングルウォークマンみたいな、消費者が「そんなモン何に使うんだよ!?」と思わず言いたくなっちゃうようなおバカな商品、堂々と売り出しちゃってたあの頃を思い出して!
元気に頑張って欲しいものですね。

 そういえば、ケータイの時点でそんなところがありましたけれど、スマートフォンっていうのは、ある意味自分のアイデンティティっぽくなっている人って結構いると思うんですよ。
 自分のアイデンティティが、「フォン」のキャリアやメーカーの枠の中だけにあるって、なんかつまんないかなーって。
 そんな意味でも、もっといろんな分野から「スマートフォン市場」ってヤツに入ってきて欲しいって気がしますね。



 で、まぁ。これは、私事なんですけど。
 ケータイも必要なんですけど、最近家のCDプレーヤーが調子悪いこともあってCDプレーヤーが欲しいなーって。
 なーんてこと言うと、「CDなんて時代遅れな…」って言われちゃうんでしょうけどねぇ(笑)
 でも、iPodに何が入っているかはすぐ忘れちゃうんだけど(ちなみに4Gちょっと越えくらい)、でもリアルにどんなCDを持っているかっていうのは置いてある場所も含めて、不思議なくらい完璧に憶えているんですよね。
 そんな、私みたいなiPodの中身を忘れちゃう人にとっては、CDプレーヤーの方が全然便利なんですよねー。
 
 つまり、スマートフォンなんてもんには手ぇ出さないで。「ガラパゴスフォン」使ってる方が無難なんでしょうね(そういえば、海イグアナと陸イグアナでは、なぜか海イグアナの方が好きだったり…!?)




Comment:0  Trackback:0
2012
08.25

40話目

Category: 怪談話

 前のプルプル同僚のお話を人にすると、私のことを知らない人は「寝ぼけてたんじゃないのー?」って必ず笑います。
 でも昔からの友人は「寝起きのいいオマエが言うんだから、寝ぼけてたってわけじゃないよなー…」って言います。
 実は私、自分で言うのもなんですけど、やたら寝起きがいい方で。
 だから、どうしても寝ぼけていたとは思えないんですよねー。
 ということで、今回もまた知らない人からは「寝ぼけてたんじゃないのー?」って笑われそうなお話です。


 友人と2人でスキーに行って、その夜のことです。
 大学時代の友人ですから、会うのも去年のスキーシーズン以来ってことで、その夜は2時近くまでぐだぐだと話していました。
 まぁみなさんも経験があるでしょうからわかると思いますけど、古い友人との会話というのは、次から次へと話題が溢れだし、話が尽きないものです。

 とはいえ、昨日は遅くまで仕事。今朝は5時くらいに起きて新幹線に乗ってゲレンデに来て、その後は昼飯を食べる間も惜しむようにスキーです。
 さすがにトローンとしてきて。
 また朝からガンガン滑るわけですし、そろそろ寝ようということになり、電気を消せばたちまち2人とも爆睡状態。


 どのくらい眠っていたのか…
 妙な気配を感じて目が覚めたんです。
 (なんだか、前のお話と同じような展開で恐縮です)

 なんだか、とってもにせわしないんです。
「!?」

 ふと隣の布団を見ると、友人が寝ながら首を左右に振っています。
 左、右、左、右、左、右、左、右、左、右、左、右…………


 最近のホラー映画で、出てきたモノが首をもの凄いスピードで振る映像がよくあるじゃないですか?
 まぁあそこまでは早くないんですけど、それでも「そんなに早く動かしたら、首痛めるんじゃないか?」っていう位の速さで首を振ってるんです。

                       延々……………………………………………………


「おいっ。オマエ何やってんだよ…。」
 そう言って友人に声をかけた途端、ピタっとその動きが止まって。
 ほら、よくイビキがうるさい時、「うるさい!」って言うと、途端にその人のイビキが止まるじゃないですか。
 もうホントあんな感じ。

 あんなにも早く左右に振っていた首の動きがピタっと止まって、あとはスースースーって、気持ち良さそうに寝息をたてているばかり。



 次の朝。
 友人に「オマエ、首痛くないか?」って聞いたら…
「ああー、久しぶりのスキーだからなー。筋肉痛かなー。
 体中あちこち痛いぜ。」って……




40話目終わり。フっ!
          ――─ 第40話目「振る振る振る振る振る……」メルマガ配信日:09.1.24
                                             *無断転載禁止


*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください。









Comment:0  Trackback:0
2012
08.25

39話目

Category: 怪談話

 出張で、同僚とあるホテルのツインルームに泊まった時のことです。
 まだ景気が良かった頃で、豪勢にもビジネスホテルでなくシティホテル。
 さすがに部屋も広いしきれいでしたねー。

 近くの店で夕食を食べて、部屋に戻ったのは10時くらいだったでしょうか。
 明日も朝早くから出張先で仕事があることもあり、早く寝ようと風呂にはいって、12時前には寝床についたと思います。


 ところが、そんな時間だというのに廊下を歩く人がやたら多くて。
 廊下には絨毯をひいてあるんですが、革靴で絨毯を歩く時にするあの独特の音が、結構耳にさわるんです。

 エレベータのある方からタク、タク、タクって歩いてきて、部屋の前を通り過ぎていく。
 なんかそれが妙に気になって。

 ホント、歩いている人の息遣いから、衣擦れの音なのか、それとも足がカーペットを擦る音なのか、タクタクの足音の後にスースーっていう音がついていくのまで、まるでベットのすぐ横を歩いているかのようにバッチリ耳に入ってくるんです。
 とはいうものの、その内慣れたんでしょう。いつしか寝入っていて…


 どのくらい眠っていたのか。
 妙な音で目が覚めたんです。

 プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプル…………

 それは甲高い音で、しかも機械が発するようにその連続音には切れ目がなく。
 いや、目覚ましアラームの音ではないんです。
 ベッドの頭のところについている目覚ましアラームの音は、寝る前に時刻をセットした時に確認したんで、それは間違いありません。
 例えていえば、そう、ウルトラマンに出てくる宇宙人の円盤の音…!?


「何の音?」
 私は起き上がります。
 カーテンに隙間があったのか外の明かりが洩れていて、ライトを点けなくとも部屋の中はよく見渡せます。

 プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプル………
 音はまだ続いています。

 でも、そんな音がするような物は、この部屋には見当たりません。
「いったい何の音なんだろ?」
 それは、さすがに薄気味悪くなってきて、同僚を起こそうと隣のベッドを見た時でした。

 プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプル………
 その音に合わせ、なんと同僚の口元が動いている。

 プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプル………
 そのプルプル音の正体は、同僚の寝言(なのか…!?)。

 その時は、「なんだよー!変な寝言言いやがって!」って思って寝てしまったんです。
 でも後になって思うと、どうやったらあんな風に切れ目なく延々とプルプル言えるんだろ?って……


 その何年か後、そのプルプル同僚は結婚しまして。
 奥さんに、「彼、夜中にプルプル言わない?」って聞いたんですけど、「聞いたことなーい!」って大笑いしていました。




39話目終わり。フっ!
         ――─ 第39話目「プルプルプルプルプル…… 」メルマガ配信日:10.1.22
                                             *無断転載禁止


*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください。









Comment:0  Trackback:0
2012
08.18

38話目

Category: 怪談話

 それは、ある冬の夕暮れ時のこと…。
 いつものように練習が終わって、後片付けのあとは部室でダベって、そろそろ帰ろうと部室を出たときは、もうすっかり暗くなっていた。

 4人とも2年生で、入部した時から一緒に練習してきた仲間達。
 でも、こうしてこの仲間達と思いっきりバスケットして楽しくダベっていられるのもあと何ヶ月あるのか?
 来年の今頃は4人とも高校受験の真最中。こうしておしゃべりするどころか、もしかしたら顔を合わすことすらほとんどないのかもしれない…。

 北風が吹き抜けていく校舎と校舎の間の通路。
 今日は部室で少しはしゃぎすぎたのかもしれない。どの部の生徒ももう帰ってしまったみたい。
 いつもなら、いろいろな運動部の男子が集まってエロ談議に夢中になっている野球部の部室を横目にしながら帰るのに…

 教室のある校舎には灯りひとつ見えない。
 それとは対照的なのが職員室のある建物。
 キーンと黒く、そしてかすかに青い澄んだ空気の中で、その窓から洩れてくる黄色味がかった光はやたらと明るい。
 しかし、そのクッキリとした明るさは、外の寒さをより実感させる。

 ふいに、妙に醒めた感じの風が吹き抜け、落ち葉がいっせいにカラカラと音をたて転がっていく…

「ちょぉーっと、M美っ!もうっ、なぁーに1人黙ってんのよ!」
 いきなり背中を叩かれビクッとするM美。
「きゃぁ!もーっ!驚かさないでよー。」
「M美はね、またあの片思いの彼のことで物思いにふけってたのよ。
 ねー!わかったぁ?Y実、だからジャマしちゃダメよー。」
 そう言ってキャッキャと笑っているのはT子。
「えっ!何?
 M美、アンタ、まだあの彼のことあきらめてなかったの?」
と驚くY実にN子が言う。
「Y実ぃー、M美はね、アンタと違って1人をずっと想い続けるタイプなの。
 ねー、そうよねー!M美ぃー!」
「コラっ!オマエらぁー、勝手なことばかり言ってんなーっ!」
「キャハハハー!」

 そんな風に、ふざけて笑いながら校内の道を歩いているM美達4人。
 煌々とした職員室から洩れる明かりはいつしかはるか後ろとなり、灯りといえば、校舎と校舎の間の通路の所々で点っている薄ボンヤリとした外灯のみ。

 とはいえ、学校の敷地に植わっている木の間越しには付近の家々の明かりが見えていたし、学校の前を通る国道ではひっきりなしに光とエンジン音が行き交っていた。


 通路は、体育館へと通じる渡り廊下を横切ると、体育館を大回りに回るようにして左に折れ、その渡り廊下に沿うように通じていた。
 体育館の出入口はそこから少し先にあるのだが……

「それでね、Y実ったらさ。
 全然気がつかないもんだからボールがもろにお尻にあたってさ、ギャー!って叫んでさ。
 キャーじゃないわよ、ギャーっ!よ。もう、おっかしくてさ。」
「もーっ。だからあん時は、ボールじゃなくって誰かに叩かれたような気がしたんだって。
 だから…。もういいじゃん、その話ぃー。」
 4人が、そんな練習中にあったY実が起こした大騒ぎで大笑いしていると。

「あれっ?なに、あの子…。」
 4人のうち、一番外側を歩いていたN子が、体育館の方を指さした。
「えっ何?」
 N子が指をさす方をいっせいに見る3人。
「あれっ?なんでドア開いてるの?私達、最後に閉めたよね?」

 間違いなくドアは閉めた。体育館のドアは、左右のドアが微妙にズレていて鍵がかけにくいのだ。鍵をかけるのにN子と何度もドアをバタンバタンとやっていたので、M美はハッキリと覚えていた。
「うん、間違いなく閉めたよ。ねぇN子。」
「うん。わたしも覚えてる。間違いなく閉めた。」
「じゃぁ、なーに?あの男の子が開けちゃったの?まさかぁー。」

 M美達がそんなことを言っている間も、何がそんなに面白いのか、その男の子はじーっと体育館の中を覗き込んでいるばかり。
 開いた左のドアのガラスがはまっている枠に左手をかけ、その手にぶら下がるような感じに体を斜めにして。
 左側のドアだけが開いている体育館の中は、見たところ外よりも真っ暗。電気が点いているようには見えないのだが……


 下は白い半ズボン。細い足がその下に伸びているのが見える。
 上に着ているのも白い半袖で、どうやらどこかの小学校の体操着のよう。
 ということは小学生なのか?
 しかし、いくら小学生の男の子が元気だとはいえ、この北風吹きすさぶ中、半袖半ズボンで寒くないのだろうか?


「ちょっとヤバイよー。」
と言ったのは、4人の中でも一番気が強いT子。
「今日、体育館のドア最後に閉めたのわたし達なんだから…
 ドア開いてたら、明日の朝先生にまたドヤされるよ。
 ちょっとさ、あの子に注意してとっとと帰ってもらってさ、
 鍵をかけ直しとかないと。」
「えぇー、また職員室、戻るのぉー。」
と、素っ頓狂な声をあげるY実。


 体育館の鍵は、その日最後まで体育館を使っていた部が鍵をかけて職員室に戻しておく決まりだった。
 閉めたはずの鍵がなぜ開いているのかわからないが、鍵をかけ直すということは、また職員室に鍵を取りに行って、体育館のドアの鍵をかけた後、再度職員室に戻って鍵を返しておくということだった。

「そんなこと言ったってしょうがないじゃん。
 じゃぁ、わたしと誰かが職員室に行って鍵取ってくるから、
 残った2人はあの男の子に注意する?」
「えぇぇー。注意するのはさ、4人でやろうよ。ねぇー?」
 そう言いながら3人の顔を見回すY実に、M美もN子もうなずく。
 いくら小学生の男の子とはいえ、こちらは女。それに、体育館の中にあの男の子の仲間がいないとも限らない。
 M美がそう言うと、強気だったT子も「そう言えばそうか…」とうなずき、M美達4人は、その場所から男の子に声をかけ注意することにした。

「ねぇー!キミさぁー!」
 声が聞こえないはずはないと思うのだが、その男の子よっぽど体育館の中に夢中なのか全然振り返る様子もない。
「なんなんだよ、あのクソガキはさ…。」
 気の強いT子は、早くもカッカときちゃったのだろう。1人つかつかつかと歩み寄りながら怒鳴った。
「キミさ、どこの小学生?
 こんな時間に何してるの?早く帰りなさいよね!」
 それは歩きながら言っていたから、T子は男の子のいる体育館の入口のすぐ傍まで来ていた。

 体育館の入口は渡り廊下から4、5段階段になっていて高くなっている。だから、いくら相手が小学生とはいえT子にとっては、見上げるくらいの高さ…

「ひィっ──」
 最初に悲鳴をあげたのは、そのT子だった。
 M美達3人は、なによりそのT子の悲鳴に驚いた。それは、おおよそ普段から気の強いT子が出す声ではなかったから。
 それくらい異常な声…。
 見れば、T子はのけ反るように後ろにひっくり返って、半分四つん這い状態でM美達の元に逃げてくる。

「ひィィー、ひィィー」
 そんなT子の後ろ、体育館のドアの所。
 例の男の子が、左手をドアのガラスの枠にかけたまま体をひねるようにこちらに向き直る。

 M美達の方を向いたその体操着姿の男の子。
 首から上が、夜に滲んで真っ暗。
 どこをどう探したって首から上が見あたらなくて……

 その男の子は、
 こちらに向かって、1歩、2歩、3歩…
 ぶらん、ぶらんと上体が左右に揺れるような感じの変な歩き方。

 その瞬間、左右から、そしてM美の体の奥底から、つんざくような悲鳴が響いて、それがずっと聞こえ続けていたのだけは憶えている。
 でもそこから先は……


 気がついた時、M美保健室でベッドに腰かけ、先生に傷の手当てをしてもらっていた。
 体中がヒリヒリ、ズキズキ。
 擦り傷やら、痣やら…。
 耳にはまだ残響感が残っていて。

 後ろから聞こえるすすり泣く声。
 見れば、先生に抱きかかえられている背中を震わせているT子の姿。
 N子とY実はベッドで眠っているのか。ピクリとも動かない。

 手当てをしてくれている先生のすぐ後ろ、入口の側、それ以外にも保健室のあちこちで、先生達がなにやらヒソヒソと話していて……



 お気づきになった方もいるかもしれませんが、このお話は前のお話(37話目)の続きとなっているお話です。
 37話目の少年の交通事故が起こった場所は、このM美さん達の通っていた中学校の校門の前を通る国道をちょっと行った所だったそうで、当然先生達はもとよりM美さん達もその事故のことは知っていました。

 ただ、M美さん達は事故があったことは知っていても、亡くなったのが来年この中学に入学予定の小学校6年生の男の子だとは知らなかったらしいです。
 でも、先生達は、亡くなった男の子が来年入学予定の子で、しかもその事故の時というのが、この中学校まで来る途中だったということまで知らされていたんだそうです。

 このM美さん達が見てしまったモノ…。
 実はすでに先生の何人かが見ていたとかで、先生たちの間で「たぶん、あの事故で亡くなった男の子では?」と密かな噂になっていたということです。


38話目終わり。フっ!
              ――─ 第38話目「行きたかった場所」メルマガ配信日:10.1.17
                                           *無断転載禁止


*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください。







Comment:0  Trackback:0
2012
08.18

37話目

Category: 怪談話

 実は私、怪談話は大好きなんですけど、スプラッター系のホラーっていうヤツはどうも苦手です。
 もちろん気持ち悪い(ていうか、痛そ…)っていう理由からなんでしょうけど、それよりも、ただただとにかく苦手というのが強い気がします。
 そう。それと同じような感じなんですけど、「血まみれ」「生首」「落武者」みたいな単語や、「禍々」「呪」「怨」「忌」みたいな文字がやたらめったら出てくる怪談話やホラー小説も同様に苦手です。

 中学生くらいの頃、エッチな言葉を辞書でひいちゃ、ウホッホホ喜んでたって経験、男だと結構あるんじゃないかと思うんですけど(女性の方もやっぱり?)。
 なんだか、それに限りなく近い気がしちゃってー(笑)

 ま、そんなわけなんですが、はてさて……



 Kさんは外回りを終え、会社へと自転車をこいでいた。
 辺りが薄青く染まってきた夕方の国道。狭いわりには、上り下りともクルマの往来がひっきりなし。
 それでもまだ、Kさんが自転車に乗っているこっち側は狭いながらも歩道があるからまだマシ。
 向こう側ときたら、道の脇に白い線が引いてあるだけ。
 歩道を走っていても、脇をダンプカーが通り過ぎると恐怖を覚えるのに、向こう側なんか走ってたらどんな気分だろう。

 道に落ちているゴミを避けるのに、ちょっとでも道路側にはみでようもんなら、たちまちガァーってダンプの下に引きずり込まれて……。
 Kさんがそんなことを考えていた時だった。


 道の向こう側をスーッと走っていくスポーツタイプの自転車。
 見れば、半袖半ズボンの体操着を着た小学校高学年くらいの少年。
 買ってもらったばかりなのだろうか?自転車はこの薄暗くなってきたなかでもピッカピカに光ってて…

 その少年の乗ったスポーツタイプの自転車は、道の向こう側を軽快に走って行ったはずだった。


 一瞬なにがなんだかわからなかった。
 とにかく、いろんな音がいっぺんにガーッとやってきたのは憶えている。
 通り過ぎていったダンプカーの、ドドドドド!っと路面に叩きつけるようなエンジン音。
 無数の急ブレーキの音。
 クラクションの音。
 そして、それ以外にも判別できない音がグワーン!って、破裂でもしたかのように一斉に放出されて──。

 音は全てが一斉だったのに、見えたものは全てがスローモーション。
 少年の頭の上を、コマ送りの映像のように通り過ぎて行くダンプカーの巨大なタイヤ…
 少年の頭は、タイヤと道路の間でスーっと掻き消え…
 でもそれは、ダンプカーが通り過ぎた後、急にプクンって現れ──―

 まるでそれは手品でもしてるかのようで。

 タイヤに弾き出され、勢いよくゴロンゴロンっと、弾むように跳ねるように転がっていく少年。
 さっきまでピッカピカだった男の子の自転車の残骸…
 はるか向こうで停まったダンプからは、運転手がこっちに向かって駆け出そうと……


 そして。目を戻したそこには、ひしゃげたような恰好で転がっている少年の姿。
「っ!」
 映像やら音やらが急に正常に戻って、「大変だ!」って慌てた時。

 少年が動く…
 ムクッって上半身を起き上がらせたかと思うと、すぐヨロヨロって立ち上がって……。

 ホッ…
 その場にいた誰もが、その目の前の奇跡に安堵のため息を洩らした。
はずだったのに。

 ヨロヨロと立ち上がった男の子の頭が、まるで破裂でもしたみたいに。
 ありとあらゆる所から赤黒いものが溢れだして……
 あとは道にコテンと倒れて、それっきり。


 後で聞いた話では、あのピカピカのスポーツタイプの自転車は、やっぱり買ってもらったばかりだったらしい。
 来年は中学生だからって、お父さんとお母さんにやっと買ってもらった自転車。
 少年はその自転車で、自分が来年から通うはずの中学校を見に行く途中だったんだそうだ。


 その事故からしばらくして…
 Kさんは、薄暗くなってからはその道を通るのを一切やめた。
 いや、昼間だってなるべく通らないようにした。
 あんな危険な道を通っていたら、いつ自分だってあの少年のようにならないとも限らない。
 あの少年は、立ち上がった時何を考えていたのか?何を見ていたのか?
 いや、あの時はもう意識なんてなかったんだろうとは思う。思うのだけれど……

 Kさんが、そう考えるのを止められなかったのは、あの時ダンプに巻き込まれ死んだのが、自分だったとしたらと考えてしまったから。
 もし自分だったとしたら、あの瞬間何を見て何を思ったのだろう?
 そして今頃、何を見て何を思っているのだろう?と、考えずにはいられなかった。


 考えまいとしても、いつの間にかまたそのことを考えてしまうのは、たぶんその事故の何日か後の夜、あの場所をフラフラ歩いていた1人の少年を見てしまったからだろう。
 まだ数日前の記憶も生々しい、その場を自転車で通りかかって…
 道の向こう側の電柱の下には、萎れかけた花束、泥埃にまみれた缶ジュース…

 ふと見れば、その場所を所在無さげにウロウロしている1人の少年。
 首から上が、まるで夜の暗がりに溶け出してしまったかのように、どこにも無くって……


 不思議と怖さみたいなものは感じなかった。
 ただひたすら、なんともやりきれない思いと、絶対拒否の思い。
 その相反する思いが、Kさんの心の中をとめどもなく行きつ戻りつするばかり。

 それは、
 首から上が見あたらないあの少年の佇まいにどこか似ていて……




37話目終わり。フっ!
                       ――─ 第37話目「事故」メルマガ配信日:10.1.15
                                            *無断転載禁止


*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください。









Comment:0  Trackback:0
2012
08.18

Still A Weirdo …

Category: guchitter

 最近はとんと行ってないんですけど、海外に遊びに行くのはもともと大好きなもので、外国の方と話をするのは大好きです。
 といっても、日本語以外の言葉は使えませんけど。
 でも、怪しげな日本語英語と、身振り手振り。さらには会話本や筆談、その他考えられる術全てを駆使して、(まぁどこまで通じているのかは別として)異国の人と楽しく会話をするっていうのは、なにものにも変えがたい体験だって気がします。

 お互い、お互いの言葉が全く通じない時でも(それこそ、アラビア数字すらわからない人でも)、お互いが本当に意思を通じ合わせたいと思うなら、ある程度はそれは可能なんだなっていうのは、実際に体験して実感できましたし。
 また、1週間くらいその国にいると、時々ではあるもののその国の人が言っていることがストレートに伝わってくることがあるっていうのも、体験して初めて実感しました。

 また、子供の頃。なぜだかはよくはわからないんですけど、一時期家にミャンマー(当時はビルマ)の人がいたりっていうこともあって。
 そんなことも関係あるのか、まぁ外国の方と接するのは違和感がない方だと思います。
 というよりは、外国の方に接するのって、とにかく楽しいんで大好きな方ですかね。
 東アジアの人たちは、それこそ日本人となんら変わらないですから全然違和感ないし、東南アジアの人たちは基本的に日本人にフレンドリーだし。
 南アジアの人は、笑っちゃうくらい楽しい人もいる反面、すっごく大人な人も多かったり。イスラム諸国の人は、礼儀正しく親切な人が多いし、また秩序をとっても大事にしますよね。
 アフリカの人たちは、もぉとにっかく陽気ですよね。一緒にいると自然にゲラゲラ笑っています。
 ヨーロッパ人は、フランス人しか知りませんけど、すっごく親切ってイメージがあります。アメリカ人は、陽気でフレンドリー反面、どこかにキリっとした大人な部分がありますよね。でもカナダ人はその大人の部分がソフトな感じで。個人的にはカナダ人の方が、付き合いやすいかもってイメージがあります。
 残念なことにラテンアメリカの人とは知り合ったことはないんですけど。
 でも、それは他の国々の人、さらには日本人と同じように、いいヤツもいればいやなヤツもいるんだろうなって思います。
 ちなみに。それらの国々全てに行ったわけではないです。日本で知り合った外国の方の印象も含まれます。また、上に書いたことはあくまで私が知り合った人の印象です。

 そういえば、サハラ(砂漠)のど真ん中にタマンラセットという町があって。
 サハラはトゥアレグ族という遊牧民が住んでいるんですけど、タマンラセットもたぶんトゥアレグ族の町なんだと思います。
 でも、そこでは3種類の肌の人々が普通に仲良く暮らしてるんです。
 つまり、サハラに住むトゥアレグ族と、サハラの北に住むアラブ人(マグレブの人たち)、サハラの南に住むブラック・アフリカンの人です。
 タマンラセットという町で、あの3つの肌の人たちが普通に仲良く暮らしているのを見た時はちょっと驚いたんですけど、でもなんかいいなーって。
 ニューヨークには行ったことないんですけど、ニューヨークにいる人たちもあんな感じなのかなーって思いました。


 とはいえ、あえて言いますけど韓国って国はよくわかりません。
 いや。あくまで「国」の話です。「人」の話ではありません。
 最近、やたらと露出の激しい李明博大統領っていう方。
 いや、私はどっちかというと好きです。少なくとも嫌いではありません。
 それは、政治家として優れた人であるということ(だって、今の日本にはあの人の十分の一も優れた政治家いません)。
 さらにはなんと言っても、大統領就任時に日本のTVに出て日本の若者たちと「未来志向の関係を築いていきましょう」と笑顔でいっていたこと。それと、APECの横浜会議でお互い煙たい当時の菅総理と胡錦濤さん、二人の手を無理やり取って握手させたあの素晴らしい行為(あれを見た時は、あんな人が国のリーダーになった韓国の方々を心底からうらやましく思いました)、それにつきます。

 李明博大統領が就任してからこのかた、韓国は経済的にも、世界に対する影響力でも飛躍的に躍進しています。
それらのことを見ても、いかに李明博大統領がいかに優れたリーダーであるかっていうことがわかります。
 亡くなった方をとやかく言うのはよくないことなんでしょうけど、李明博大統領の前任者とはとてもじゃないけど比べものになりません。

 李明博大統領が、そんな優れたリーダーであるにも関わらず。
 なぜか、次の選挙では再選される見通しはないんだとかで。
 そう。韓国って国がよくわからないって書いたのは、まさにその部分なんです。

 今の日本の元首が李明博大統領みたいに優れた政治家だったら、再選にケチつける人はほとんどいないと思います(まぁその反面、何が何でもケチをつける人はいるんでしょうけどね)。
 現に、庶民には全然恩恵のなかった(というか、むしろ弊害だらけだった)実感なき景気といわれた「いざなみ景気」の時の首相だった小泉さん。あの人はいまだに人気があります。
 それは、もし次の衆議院議員選挙の時に小泉さんが総裁に返り咲いたら、自民党が大勝する可能性は大いにあるじゃないかってくらい。
 なのに、おそらく小泉さんと比べて、あらゆる面でリーダーとしての資質に恵まれている李明博大統領には再選の芽はない……!?

 なんでなんでしょう?
 さっぱりわかりません。


 ただ、ふと思ったのは…
 いや。あくまで推測です。
 思ったのは、大統領就任時に日本のTVに出演して日本の若者たちと「未来志向の関係を築いていこう」と笑顔で語っていたあの姿…
 これからの日韓関係っていうのはビックリするくらいいい方向に向かっていくんだろうなって思ったのに…!?
 李明博さんって人は、あの時はあんな風だったのに、現在はなんでああなんだろうって思った時、ふっとそのことに思いあたりました。

 そうそう。話はちょっと横にそれますけど。
 あの頃、やっぱり中国人の友人と李明博さんが大統領に就任したことについて話をしたことがあって。
 「これから日本と韓国仲良くなっていくよー。どうするの中国ぅ~?」って冗談口調で言ったんです。
 そしたら、その中国人の友人。
 冗談の会話のはずなのに、その時は妙にマジになっちゃって。
「そうなんだよねぇ…」って。
 いやもう、あの時は思わず大爆笑してしまいました。

 ま、話はそれましたけど、李明博さんの韓国大統領の就任っていうのは、それくらいの明るい方向でのインパクトがあったわけです。
 それは、日本人にとっても、外国の方たちにとっても。
 以下は、あえて書きます。普通なら書くようなことはしません。その理由は、当然「今」だからです。
李明博さんの韓国大統領就任は、日本人にとっても外国の方たちにとっても明るい方向で大きなインパクトがあった。
 でも、おそらく「韓国という国家」にとっては、インパクトはなかった。もしくは、あったとしても、それは明るい方向のインパクトでなくネガティブな方向のインパクトだった。

 どうでしょう?
 そう考えれば、韓国にあれほど多大な貢献した李明博大統領が在任時から再選の芽はないとされるわけがなんとなく見えてきます。
 さらに言えば、李明博大統領が就任時の親日から極反日に舵を切ったわけもわかります。
 ハッキリ書いてしまうならば、現在の「韓国という国家」では、親日の大統領はどんなに善政をしたとしても酷評され、再選されない。
 そう。まさにそういうことでしょう。

 と言うと、おそらく「日本は過去にそれだけのことをしたんだ」と返してくるのでしょう。
 それは、もしかしたらそうなのかもしれません。
 でも、これもあえて書きます。それは、先ほどと同じように、「今」だからです。
 かつての大日本帝国が何をしたとしても、それは私とは何ら関係ありません。
 ついでに言うならば、現在の日本とも関係ありません。
 いまだに中世のような法律がまかり通っている国ならともかく、おおよそ現代の法治国家で親の罪(まぁとりあえず「罪」とします)が子に引き継がれることはありません。

 まぁそんなことを書いてしまったら、「韓国という国家」のみならず、韓国の方々も気を悪くするとは思います。
 ただ、あえてそう書いたのは、少なくとも現在の「韓国という国家」を見る限り、日本人および日本が両国の不幸な歴史に配慮するのは、両国民の友好のスムーズな構築の明らかな阻害になっているとしか思えないからです。
 これは何度も書きますけど、私たち日本人が求めているものは「友好」です。なら、その何より求めている「友好」の阻害になることをすべきではないし、また必要もない。
 そのことは前々から思っていましたが、最近一連の「韓国という国家」の行動や言論を見て、私は完全にそう確信しました。


 少なくとも大多数の「日本人」が望んでいることは、韓国の方々との対等な「友好」です。
 でも「韓国という国家」が現在日本につきつけていることは、過去の不幸な両国の歴史を盾にして、日本人がうしろめたく思う気持ちを、大統領の支持率拡大に利用しているにすぎません。
 そういえば、それと同じことを北朝鮮も発信していましたよね(そのことを知った時は、「北朝鮮という国家」は意外と(失礼)まともなんだなって、とっても親しみを感じました)。
 韓国の大統領が誰であるか?ということは、日本や日本人に関係がありますが、その大統領の支持率が高いか低いかということは、少なくとも個々の「日本人」は全く関係ないことです(大統領の支持率等、その国の中の事情が個々の「日本人」に影響があるのだとしたら、それはまともな国とはいえません)。

 李明博大統領のおっしゃっている「正式な謝罪」って何ですか?
 「責任ある措置」って何ですか?
 李大統領は、最近その2つの言葉を頻繁に口にされていますけれど、我々には李大統領が何をおっしゃっているのか、何を要求しているのかさっぱりわかりません。
 その意味不明さは、言っていることが具体的に何なのかさっぱりわからない日本の政治家やお役人以上です。
(まったく優秀な李大統領とも思えない…)

 もしかしたら、李大統領はそのことについて具体的なことを言及したのかもしれません。韓国語から日本語に翻訳される途中で、日本のマスコミがその具体的なことを勝手に略しちゃっただけなのかもしれません。
 もしそうなのだとしたら、李大統領にお願いがあります。
 二度手間で申し訳ないですが、あらためて李大統領が具体的に何を求めているのかをきちんと教えていただけないでしょうか。
 李大統領直接でも、韓国大使館からの直接発信という形でもかまいません。それから、日本人全員がわかるように日本語でお願いします。
 日本人と韓国人は違う言語を話しています。
 普通、日本人は韓国の言葉はわかりません。「韓国という国家」が発信することは、「日本政府だったりマスコミだったりが翻訳した日本語」でしか知る術はありません。
 日本政府はともかくも、マスコミというのはたんなる一私企業です。
 当然、反韓感情の強い私企業だってあるわけです。
 現に「韓国という国家」から発信された主張を日本側が日本語に翻訳した中には「遺憾」という言葉が含まれていたりします。はたして、韓国語に「遺憾」などという、何を言っているのかわざと曖昧にする言葉が本当にあるのでしょうか?

 そういう意味も含めて、「韓国という国家」が日本に言いたいこと、求めていることがあるのなら(それは、李大統領の言う「日本を諭している」ということも含めて)、「韓国という国家」自らそれを納得のいく日本語に翻訳して、日本人全てに向け「韓国という国家」の言う「正式な謝罪」「責任ある措置」、さらには「諭す」ということは具体的に何を示しているのか発信すべきだと思うんです。
 なぜなら。
 私には、李大統領がしきりに言っている「正式な謝罪」「責任ある措置」、さらには「諭す」も含めて、それらが具体的にどういうことなのかってことが李大統領自身にすらなく、ただこの期におよんでグチュグチュ愚痴を言っているようにしか聞えないからです。

 それと、李大統領は、盧泰愚前大統領が訪日した際の宮中晩さん会で、天皇陛下が「『痛惜の念』などという単語一つを言いに来るのなら、必要ない」と言ったという話ですけど。
 そう思うのなら、李大統領は、大統領就任時に日本に来て「未来志向の関係を築こう」と述べた時。なぜ、同時に「でも、天皇陛下が『痛惜の念』って単語一つ言ってるだけじゃダメだ」と言わなかったのでしょう?
 その時にそれが言えないで、いまさらグチュグチュ言ってるのなら、李大統領ご自身こそ、就任時に来日したことは「必要ない」ことだったってことじゃないでしょうか?

 そもそも。なら、天皇陛下は具体的にどういう謝罪をしたらいいんでしょうか?
 そりゃ李大統領からすれば、「そんなことは『日王』が自分で考えろ!」ってとこなのこかもしれませんけど。
 でも、少なくとも李大統領が就任時に「未来志向の関係を築こう」とおっしゃった気持ちの欠片でも残っているのなら、さらに言えば今でもとって付けたように言う「日本は重要なパートナー」ということを本当に思っているのなら、「韓国という国家」が求めているその謝罪というものがどんなものなのか述べる必要(義務?)があるんじゃないでしょうか。

 なんなら、かつて元という国が日本に戦争を仕掛けてきた時に先兵として日本を攻めた朝鮮半島の国の謝罪を、李大統領が自ら見本としてしてみせるというのはどうでしょう?
 いや、すみません。ちょっと感情的になってしまいました。
 日本人は、あの元の時代朝鮮半島の国のおかれていた状況を充分に理解しています。
 また、そんな昔のことをグチュグチュ言っても「友好」の阻害にしかならないということもわきまえています。


 噂では、李大統領は天皇陛下が土下座すればいい話していたという話もありますけど。じゃぁ仮に要求がそうだとして、それは誰に何回土下座すれば李大統領がかつておっしゃられていた「未来志向の友好関係」を築く作業に入ることが出来るんでしょうか?
 言っておきますけど、韓国の国民全員にとか、独立の戦士全員一人一人に納得がいくまでとかワケがわからないことはおっしゃらないでくださいね。
 天皇陛下だって、天皇陛下であると同時に一人の人間です。そして、心臓の手術をしたばかりのご病人でもあります。
 仮にも一国の国家元首たる者が、そんなような一人の人間に対して人間の尊厳を真っ向から否定するようなことを言っていいんですか?
 それを大真面目で言っているのだとしたら(まぁ否定するでしょうけど、まぁ間違いなく言ったんですよね)、李大統領はもとより、その国、さらにそんな元首を選んだ国民も、世界中の国々と人々から軽蔑されますよ。
 まぁそれ以前に韓国の方々もあきれかえるとは思いますけど。

 というか、もし本当に天皇陛下が土下座したら、李大統領はどうするんです?韓国という国家はどうするんです?
 それで嬉しいんですか?
 それで満足なんですか?
 「韓国という国家」がずっと叫んでいる、日本人への憎しみって、そんな安っぽいものだったんですか?
 それですっかり満足して、「未来志向の関係」作りに入っていくんですか?
 日本人は、そういう子供じみたメンツの張り合いをこう言います。
 暴走族のタイマンレベルだって。
 まぁというよりは。
 土下座して謝ったら謝ったで、またさらなる難癖をつけるだけですよね。だって、それは今までが証明していますもの。

 それと。何かを発言されるたんび、とってつけたように「日本は重要なパートナーと考えている」おっしゃるのは、頼みますからやめてもらえませんか。
 申し訳ないですけど、日本人である私は少なくとも今「韓国という国家」とパートナーになるのだけは御免被りたいというのが、真っ正直な気持ちです。
 いや、ついちょっと前まで。李大統領が就任された時、さらにはAPECの横浜での会議で菅前首相と胡錦濤さんの手をとって無理やり握手させたあの時。
 あの時までは、日本は、日本人は、韓国と、韓国の方々とパートナーにならなければならないって、私は思っていました。  
 でも今はそんなことは全く考えていません。
 だって、大統領の就任時と任期前で主張が180度違う現在の「韓国という国家」なら、主張の方向性が一貫している「北朝鮮という国家」の方がよっぽど付き合いやすいように思えるからです。
 一貫して反日感情がある国家なんだと最初から思って付き合うのであれば、そちらの方がよっぽど安心して付き合えます。
 人間なんて、いざ付き合ってしまえば、お互い自然と情が湧いてくるものです。
 情が湧いてくれば、その国の人々が幸せな暮らしが送れるように「様々な支援」をしたいと思うのは自然なことです。

 考えてみれば、「冷戦」なんてもんはとうの昔に終わってるわけです。
 朝鮮半島にある国が、かたや自由主義、かたや社会主義だから、友好国は自由主義の韓国を選ぶというのは、冷戦時代ならともかく。冷戦が終わった現在もそれを継承しなければならないっていうのは、考えてみればおかしな話ですよね。
 それこそ、冷戦の終わった現在の利害で考えるならば、ロシアと地続きである北朝鮮と友好を深める方が、もしかしたら日本にとって全然メリットがあるんじゃないかって気がするんですけどどうでしょう?
 そういえば、思い出しましたけど。
 北朝鮮の正式国名は「朝鮮民主主義人民共和国」ですよね。
 その国名に入っている「民主主義」も「人民」も、そして「共和国」も。その3つの言葉は、れっきとした日本語(日本語に翻訳した言葉)です。
 そう考えると、冷戦ということがあったがゆえに北朝鮮=反日国家という図式になってしまいましたけど。実際のところは、(反日闘争を旗印に国家を樹立したとはいえ、)国の根本に反日思想がある国家ではなかったんじゃないでしょうか?
 だとしたら、これから日本と北朝鮮で友好関係を築いていけば、そんなイメージも国家の有り様も、ガラリと変わっていくということなのかもしれませんよね。
 北朝鮮は、ロシアと中国に国境を接していますし、また地下資源も豊富ということですし。さらには、長年にわたる社会主義政策で儒教の呪縛から逃れられている可能性も高いですから、まっとうな国家運営さえ出来れば相当な経済発展が出来るはずです。
 今は、ミャンマーがアジア最後のフロンティアと騒がれてますけど。北朝鮮は、それ以上のフロンティアになるポテンシャルは充分に秘めていそうです。

 そう、話は横にそれますけど。
 尖閣諸島に香港の活動家(なの?あれが…)が上陸・逮捕された件でも中国の報道官は「日本は経済面での重要なパートナーと考えている」って付け加えてましたよね。
 そういえば、プーチンさんも大統領に再び就任した後、やっぱり「日本との北方領土問題を解決したい」とおっしゃってました。まぁプーチン大統領が「重要なパートナー云々」を言ったかどうかはわかりませんけれど。
 つまり、日本の経済力、さらには技術力っていうのは、いまだに「外交カード」としての力を保持しているってことなんでしょうね。いや、あらためてそれがわかりました。

 日本政府もその辺りをもう少し上手く扱えないものなんでしょうかね?
 さらに言えば、現在の日本の大企業経営陣っていうのは、雇用は出来ないは、賃金は上げられないは、商品のシェアばかり奪われているはの全くのダメダメなわけですから。
 政治(外交)に泣き言を言っているヒマがあったら、60年代から80年代の経営を見習ってほしいものですね。


 ま、例によって話がそれましたが。
 何度も言いますけど、私が望んでいることは、韓国の方たちとの友好だけです。
 サハラのど真ん中の町タマンラセットで見たような、もしくはニューヨークのような、日本人も韓国人も北朝鮮人も中国人も、その他世界中の人たちが一緒に仲良く暮らし、そして競い合えるそんな日本、そんな韓国、そしてそんな世界です。
 現在の「韓国という国家」が持っている、「日本さえ自分たちの国より下なら、あとは何でもOK!」的な考え方は、ハッキリ言って「友好」の邪魔です。何より目障りです。
 「韓国という国家」がそれでも友好の邪魔をするのなら、「日本人」は北朝鮮の人たちと友好を深め、そして国民が豊かな暮らしが出来るように「支援」するだけです。
 もしかしたら、それは韓国の方々には申し訳ないことなのかもしれません。
 でも、「韓国という国家」が子供じみたメンツを張って両国民の友好の邪魔をするのなら、まっとうな友好をするための「回り道」になるようですがやむを得ません。その道を選ぶだけですし、またそうするべきです。


 かつて。日本(大日本帝国)と朝鮮半島の国の間で不幸な歴史があって、私たちの何代か前の人たちが多大な迷惑をかけたってことはわかりますし、現在朝鮮半島に住む方々はそれを被った側であるだけに、日本人には到底わかり得ない生々しい記憶となっていることとは思います。
また、そのことについて「歴史」として様々なことを学ばれていることとは思います。
 ただ、その学ばれた「歴史」のさらに外側の歴史というものを見たことはありますか?
 
 ズバリ言ってしまうなら、当時というのは、欧米列強が他国を侵略して植民地とすることが「正義」だった時代です。
 いや、だからって日本(大日本帝国)が朝鮮半島にあった国を併合したことが「正義」だったなんて、もちろん言いませんよ。
 でも、当時はそんなクソったれな「正義」をしていかなければ、自国の国民を守れなかったんです。
 ぶっちゃけ言っちゃえば、他国を食い物にするようなことでもやらなければ自国は他国の食い物にされていた、そんな時代だったんです。
 あの「不幸な歴史」というのは、そんな今とは価値観が全く違う時代に起こった事なんだということは、まず頭に入れて歴史を紐解かなければならないはずです。

 だって、そうでしょう?
 先史時代には「人食い」というのは、どこでも普通に行われていました。
 それは日本人の先祖だって同じですし、まぁ詳しくは知りませんけど朝鮮半島に住んでいた先祖でも同じだったでしょう。
 でも、その今では最悪なタブーである「人食い」という行為した先祖を批判する人はいません。それは、「人食い」という行為が当時は普通のことだったし、また生き残るためにはそれをするしかなかったと「理解」しているからです。
 あの「不幸な歴史」があった時代も、それは同じです。
 あの「不幸な歴史」があった時代の世界は、力こそが唯一の正義だった時代です。
 さらに言えば、その時代は、「国家」が他国に攻め入ってその国を侵略するのが「国是」だったり、「国家」が他国の商船を襲う為にならず者である「海賊」をある意味国家公務員として雇っていた時代と、直接つながっていた時代でもあるわけです。
 
 そんな時代に、日本(大日本帝国)は朝鮮半島の国を併合しました。
 それは、それこそ古代から続く日本と朝鮮半島の国々との関係が要因の一つとしてはあるような気は薄々します。
 でも、それ以上に「もし、朝鮮半島が列強の植民地になってしまったら、日本は直接攻撃を受けることになる」という恐怖が大きな理由になったことも確かです。
 当時、日本にとって一番恐ろしかったのは、自国が欧米列強に植民地にされるのでは?ってことでした。
 その恐ろしさゆえに革命が起きちゃったのが、つまり明治維新です。

 明治政府が政務を行う国家となってわかったのは、実は欧米列強は日本を植民地にする意図はなく(というか、植民地にする価値がなかった)、たんに他の植民地経営のための足がかりと、ついでのお金儲けだってことがわかってきました。
 ただし、ただ一国「帝政ロシア」だけは別でした。

 帝政ロシアは位置的な要因から自国領の不凍港がないため、「南下政策」という不凍港を得るための侵略を国策としていました。
 いや。帝政ロシアが本当にそういう国策をとっていたのかはわかりまさせん。もしかしたら、他の列強である英仏等が自らの権益を確保するためにそういう噂を流していただけなのかもしれません。
 でも、帝政ロシアがその南下政策を国策としているのは、当時の常識だったし、現に今の中国東北部に進出してきました。
 例えば、黒龍江省の省都であるハルビンは、帝政ロシアが造った街です。(朝鮮半島に住む方々にはお馴染みの街ですね。もっとも安重根氏に暗殺された伊藤博文は朝鮮併合に反対していたんですけどね。そのことはご存知ですか?)

 当時の日本(大日本帝国)は、帝政ロシアは次は朝鮮半島、さらに対馬、九州まで野心を伸ばしてくると予測しました。というか、朝鮮半島には実際に進出してきましたよね。
 そのため、大日本帝国は自国を防衛するためにも朝鮮半島がロシア領になっては困ると、朝鮮半島に進出(まぁそれは朝鮮半島に住む方々からすれば侵略ですけど)していったわけです。

 これは、別に朝鮮半島の方々のせいにするわけではないですけど。
 その時の朝鮮半島に、帝政ロシアの脅威に対処できる「国家」がもしあったとしたら、その後の日本と朝鮮半島の国との不幸な歴史は間違いなくなかったでしょう(そのかわり、朝鮮半島の人々は、帝政ロシア、さらにそれに代わったソ連との戦争は免れなかったでしょう)。
 でも、清がそうであったように、当時朝鮮半島にあった国家もたまたま国の衰退期だった。
 その結果、アフリカ、インド、東南アジア、アメリカ大陸等がそうであったように、よってたかって朝鮮半島と清を食い物にした。
 もちろん、その中には私たちの国の前身である大日本帝国もありました。


 19世紀の終わりから20世紀全般歴史の流れの中で、当時の日本が大日本帝国という国家を興して、列強の軋轢の中で朝鮮半島に進出。その後、満州帝国を造ったり、辛亥革命後の中国の国家と戦争したり。やがて、それは帝政ロシアから変わったソ連との戦争へと拡大して。
 その戦争のための資源を得るために、今度は東南アジアに進出して行って、やがてそれらを妨害するアメリカとも戦端を開いて。
 結局、国中が焼け野原になって、たくさんの一般庶民が亡くなった末、連合国に無条件降伏。

 でも、日本人にとっては、そここそが不幸のどん底でした。
 一方、朝鮮半島の方々にとっては、それはあらたな不幸の始まりだったわけですよね。
 それは、言うまでもなく朝鮮戦争、そして南北分断。
 朝鮮戦争はいまだ終戦していなく「休戦」ですし、南北分断にいたっては言うに及ばずでしょう。
 朝鮮戦争という事態に直面した、敗戦後の日本を統治したマッカーサー元帥が、「日本(大日本帝国)が大陸と戦争をした理由がやっとわかった」と言ったという話。
 いや、これはどこまで事実かはわかりませんけど。でも、そのことは日本の近代史をかじったことのある人間なら誰でも知っていることです。

 地図を見ていると争いが絶えない場所や、なぜか大きな戦争が何度も行われる土地というのがあります。
 バルカン半島なんてまさにそうだし、エルサレムの周辺なんていうのもそうでしょう。
 その戦争が起きたり、紛争が絶えない理由は、宗教や経済等様々な理由があるわけですけど、たびたび戦争が起きた場所といえば、九州と朝鮮半島の間もまさにそうです。
 それこそ、太古の白村江の戦いから、元との戦争、豊臣秀吉の朝鮮出兵と…。

 90年代に終結した「冷戦」というのは、自由主義陣営の国々と共産主義陣営の国々との対立ですが、その「冷戦」が「冷」でなく本当に戦争が起きたのが朝鮮戦争です。
 つまり、冷戦が自由主義陣営の国々と共産主義陣営の国々との対立であるように、韓国と北朝鮮の国境付近を舞台に、自由主義陣営と共産主義陣営が直接戦争をした。それが朝鮮戦争です。
 それは朝鮮半島の方々にとっては、迷惑なんてもんじゃないとんでもない不幸です。
 それゆえに朝鮮半島の方々が、朝鮮戦争が起きたのは大日本帝国の朝鮮併合にあると恨みの感情を持つのはとても理解できます。
 でも、それは明らかな間違いです。
 たとえ、日本が朝鮮半島を併合しなくとも、朝鮮半島を巻き込む形での戦争は絶対に起きました。
 それは、朝鮮半島で起こったか、中国東北部で起こったか、もしくは日本の降伏のタイミングが遅れて北海道をソ連が攻めていたら日本で起きていたかも知れません。
 それらのどこが戦場になったかはわかりません。
 でも、それがどこで起こったにしても、朝鮮半島を巻き込む形になったのは間違いありません。

 つまり、それが中国東北部が戦場だったとしたら、朝鮮半島は自由主義陣営の前線です。
 反対に日本が戦場になっていたとしたら、朝鮮半島は社会主義陣営の前線です。それは、中国東北部から朝鮮半島にかけては、全てソ連領になっていたということを意味します。

 いずれにしろ、当時の朝鮮半島と中国東北部というのは、まさにそれが起こりうる場所であったということです。
 つまり、北から進んでくる帝政ロシア(ソ連)と、現在の中国の場所での自分の権益を確保したい英国。さらにはそれと同盟関係にある米国。
 そこに、ソ連の社会主義思想と、英米の帝国主義・重商主義から生まれていった資本主義の対立。
 あの時代、その二つの対立構造がぶつかった場所、それが朝鮮半島から中国東北部だからです。
 朝鮮戦争をせざるを得なくなった時、マッカーサー元帥が「日本(大日本帝国)が大陸と戦争したわけがやっとわかった」と言ったとされるのは、つまりそれ故です。


 朝鮮半島を食い物にした国々の中に、日本(大日本帝国)があったのは事実だし、調子にのって直接的に朝鮮半島の方々にとんでもない迷惑をかけた人間がいたのも確かです。
 でも、だからといって日本人が全部そうではありません。
 そういう不埒な日本人もいれば、恥や他者への思いやりを持っていた日本人もいます。
 それは、どこの国の国民だって同じです。
 それこそ、スポーツの試合に勝ったことに興奮して我を忘れて、度を越えたパフォーマンスをしてはしゃぎまわっていた愚か者もいれば、それに顔をしかめた良識ある大人もいたであろうということと同じです。


 話がそれましたが。
 20世紀のあの時、日本が朝鮮半島に進出したのは(もしくは、進出する絶好の口実を与えてしまったのは)、直接的な理由ではないかもしれませんが、欧州列強の大航海時代から始まる帝国主義が原因の根本です。
 その流れで、朝鮮を併合した日本(大日本帝国)に恨みを持つのは理解出来すぎるくらいに理解できます。
 でも、恨むんならもっと道理を持って理路整然と恨むべきではないでしょうか。現在の日本という国家に恨みを言うのは、それはそれでわからなくはないです。でも、ならそういう原因の根本をつくった他の国々も同様に恨んでください。
 日本だけを恨むのは、それは第二次大戦で日本は敗戦国になった。たんに、そのことに乗じているだけにすぎません。
 そのことに喜び、利を得ているのは、現在国連で常任理自国とか称してふんぞり返って世界の支配者ごっこをやっている国だけだってことがなぜ理解出来ないんでしょうか?
 もうひとつ言えば、朝鮮半島に儒教国家があった時代に宗主国としていた国への恨みは何で言わないんです?
 つまり「韓国という国家」の言う恨みとは、あくまで「国家の恨み」であって、「国民の恨み」ではないってことなんでしょうか?
 まぁそういう日本人も、国家の尊厳や誇りと国民の尊厳や誇りをゴッチャにしてるところがありますしね。もしかしたら、それは言ってもどうにもならないことなのかもしれませんけど。
 ただ、欧米人っていうのは、東アジア人と比べるとその辺りを区別しているような節がありますよね。


 いや、もちろん。国家というものが、そういった「過去の恨み」を外交カードとして使うのは、外交手段としてアリなんでしょう。
 でも、それはお互いの国民からすれば迷惑きわまりない話です。
 それこそ、「国家」が国民の迷惑を顧みず、勝手に朝鮮戦争をやったのとある意味同じです。

 今や、日本も韓国も、そして中国もG20、つまり世界を代表する20カ国です。
 李大統領が、「日本は今や世界最高の国家ではないか。それなのに加害者と被害者の立場をよく理解できていないので、諭そうとしている」おっしゃるのなら、韓国だってもはやG20の一員です。
 それこそシリアじゃ毎日何十人何百人単位で人々が殺されているというのに、一方的なケンカの押し売りをして許される国家ではないはずです。
 ましてや、日本を、日本人を批判しないと再選出来ないからなんて、そんな情けない事情を他国に押し付けられては迷惑です(ま、その推測があたっているかどうかは知りませんよ。でも、ほとんどの日本人はそうだと思っていますよ)。


 現在朝鮮半島に住む全ての方々に言いますが、現在の日本という国家、そして私たち日本人に朝鮮半島への野心はこれっぽっちもありません(野心云々以前に、他国の侵略がいかに割に合わないことかは、あらゆる歴史が証明しています)。
 日本人、および日本という国家も望んでいるのは、韓国の方々、および貴国との友好だけです。
そ れは、韓国という国家の指導者たちは、絶対誰よりもわかっているはずです(ゆえに、外交カードとして気軽に弄んでいるわけですものね)。
 とはいえ、李大統領。
 オリンピックの試合に勝ったことで度を忘れ、見苦しくはしゃぎまくた末、メダルを剥奪されるかもしれない選手がいたように。
 私には、李大統領も同じように調子にのって、とんでもないことを言っているように思えてなりません。
 それは日本人でなく、もはや「日本という国家」の神経を逆撫でしているレベルにまで達しています。
 「日本人」ではなく、「日本という国家」が起きてしまうことは、誰よりも私たち日本人が一番望んでいません。
 もちろん21世紀のこの時代に、「日本という国家」起きてしまったとしても、どれほどの力をおよぼせるものなのかはわかりません。
 でも、だからって試しに起こしてみようなんて気にはなれません。
 それは、「日本の歴史」をある程度かじったことのある者なら誰でも知っていることです。
 「脅し」のように聞えてしまったのなら心から謝ります。でも、これは正真正銘、脅しでもなんでもありません。
 むしろ、私たち日本人の心からのお願いですらあります。


 「友好」というのは、あくまで対等の関係から生まれるものではないでしょうか?
 少なくとも私なら、やたらと謝罪を求めてくる人、さらにはやたらと謝罪してくる人とは、これっぽっちだって友好を持ちたいとは思いません。
 また、それを「友好」と考えるような人は、顔も見るのも嫌です。
 なぜなら「友好」というのは、人間を人間たらしめている要素の一つであるからです。
 「友好」ということの意味は、日本人も韓国人も同じであるはずです。
 その友好に、「韓国という国家」が変な茶々を入れるのはやめてください。
 それでなくとも現在の日本人は、自国の与党と野党のくだらないメンツの張り合いごっこ(まさにクソガキのタイマンレベル)にもういいかげんウンザリしてるんです。
 それとも、李大統領まで日本の政党レベルだったんでしょうか?
 だとしたら、我々の住む東アジアをはじめ、世界中の国々が列強と呼ばれた国々の植民地になってしまったあの時代に逆戻りです。
 21世紀の植民地主義者たちは、こうしている間にも着々と準備しているっていうのに……





 ってまぁ。
 怪談のブログでこんなこと書いてたら意味ないじゃんね。
 怪談ってのは、受け手の心を「もしかしたらそんなことってあるのかな?」ってもっていかすってことが何より大事なわけで。つまり、受け手がお話を読む/聞いてる最中に「考えさせない」ってことが、最大の留意点だっていうのにさ。
 http://www.youtube.com/watch?v=zqADjtAPi1Y 
 なんていうのかな…
 東アジアの国々は、どこもかしこも豊かになっちゃって…
 誰も彼も、平和ボケしてるってことなのかな…
 衣食足りて礼節を知るどころか、衣食足りてメンツの張り合い…ってうか、相手の嫌がることして日常のうっぷん晴らし……
 ホンっト、オレだけじゃなく、いつまでたってもStill A Weirdo…



 その反面。
 今、日本人に利があるように解決出来ないのなら、戦後頑張ってここまでやってきたけど、所詮「日本って国」は3流国、4流国の器でしかなかったってことなのかもな?って気もしますね。
 そういう意味じゃ、李明博さんは日本人と日本にいい機会を与えてくれたってことなのかも?ってことなのかもしれませんね。





2012.8.25付記

 韓国の大統領制っていうのは、再選がないんですね。
 まぁとはいえ、その点が当たるとも遠からずってことですかね。

 それと、いくつか思い出したことを。
 まずは、例の「韓国起源説」ってヤツ。「ウリジナル」ともいうらしいですね。
 いわゆる、世界中の文明・文化、歴史上の人物や有名人などを、価値を認めると無理やり韓国起源や韓国人にしてしまうあの行動ですね。
 つまり、「竹島は韓国領」っていう主張や考え方も、その「韓国起源説」の延長なんでしょうね。

 あと、呉善花さんという方のこと。
 呉善花さんは、済州島の生まれの日本文化(というか、日朝文化)の評論家で、現在は日本に帰化されたみたいですね。
 ずいぶん前に何冊か著作を読んだことがあるんですけど、なるほどなーと思う部分もありつつも、なーんかこうどうなんだろ?みたいな、そんな部分があったんです。
 それは、書かれている内容の傾向があまりに日本礼賛朝鮮卑下で。
 それこそ、戦後の日本に現れた、戦前の日本・日本人を批判すれば自分だけは正しくて、かつ戦争をしてしまったうしろめたさから逃れられるみたいな発想の「進歩的文化人」ってヤツみたいな人なんじゃないのかなぁ…って気がしてしまって。
 ただ、今回の李大統領の天皇陛下の訪韓をめぐる発言を、韓国政府の高官が「悪気はなかった」みたいなこと言ってお茶を濁しているのを見ると、呉善花さんが本で書いていることっていうのはまるっきり正しいのかもしれないって気がしてきましたね。
 親書受け取り拒否にしたって、もう近代国家とは言えないと思うんですよね。
 まさに、李氏朝鮮そのまんまの律令制国家ですよ。
 来週は、呉善花さんの本を読み直してみたいですね。

 そういえば、ヤフーのニュースに出ていましたけど。
 KARAとかいう韓国の女性アイドルグループの帰国会見で、記者の一人が「竹島はどこの領土か?」って質問して言葉を濁したら、たちまち韓国国内からバッシングの嵐なんだとか。
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120824-00000006-jct-ent
 そもそも、おねーちゃんアイドル(いえ、馬鹿にしてるんでなく)に政治を向ける記者っていうのも、大人気ないっていうか、根本的にどうかしてると思いますけどね。
 答えないとなると、たちまちバッシングする人たちっていうのも人としてどうなんでしょうね。
 たぶん、こういう部分っていうのが、まさに律令制とその律令制国家が権力を維持するために「儒教」を捻じ曲げて使ったがゆえの「歪み」ってことなんじゃないでしょうか。

 3つ目は、竹島に上陸した李大統領の姿を映したあの映像。
 実はあれって、なんか最初に見た時から変な既視感があって。 
 なんだろうな?って思ってて、ニュースで再度流れてた映像を見ていてやっと思い出しました。
 あの映像に映っている李大統領の行動や仕種って、金正日氏が国内を見回ったりした時の映像の行動や仕種と、どこか妙に似てるんです。
 まぁつまり。結局、同じ民族なんだなぁーって。


 こうしてみると、1週間経ってみて私の「韓国という国家」印象というのは、明らかに悪くなっていますね。
 反面、日本政府の行動っていうのは、相変らず煮え切らない部分もあるものの、まぁとりあえずは「日本らしいね」って思わせてしまうっていう意味では、まぁまぁなのかなぁーって(苦笑)
 そういえば、世界各国の反応も、微妙で面白いですよね。
 対岸の火事とはいえ、意外なくらいちゃんと見てるんだなぁーって(笑)
 



Comment:0  Trackback:0
2012
08.12

36話目

Category: 怪談話

 友人のマンションに遊びに行って、泊めてもらった時のことです。
 レンタルしたDVDを見て、それに茶々入れながらクダラナイ話をして、結局寝たのは夜中の3時前くらいだったように思います。


 私は、寝つきも寝起きもあっという間という至極便利な質で、布団を敷いてもらった玄関から入ってすぐの横の部屋で、灯りを消すなりすぐ眠りに落ちてしまいました。

 実は、寝つつも、なにやら壁側の下、つまり階下(斜め下の部屋の方)から時おりドンドン音がするのには気がついていました。
 でも、寝ている時って、遠くから電車の音が聞こえてきたりとか、風雨の音が聞こえたりする方が、いま安全な場所で幸せに寝てるんだって実感できて、なんだか睡眠の幸福感が増すような気がするっていうのありません?
 だから、その時。階下の住人がたてているのであろうその音は、私には幸せな眠りを実感させてくれるBGMだったわけでなんですが……


 ガッシーン!
 その激しい音はいきなりでした。
 いやもう、地震かと思って、もう慌てて飛び起きましたよ。
 布団の上に座って、「さぁデカイのか?」って身構えてたんですけど。
 でも、その後揺れは全然なし。
 友人がトイレに起きてつまづいたのかな?とも思ったんですけど、音は隣の部屋に面した壁の方(さらにその下?)からです。

 変だなぁと思いつつ、一応友人の名を呼んでみます。
 しかしまぁ、友人であるはずもなく、真っ暗なその部屋はシーンとしたまま……。
 しょうがないから、また寝ようと布団にもぐりこんで間もない時でした。

「hлroθpppкo! nзeдdжdiиe---keq cpзpдеpгo?」
「lep nзdжdiopweиe bdoeдdewnc лrdepoθencpзpдo!」
「cзpд…、cзpд…、ёbdbdiopweиeoeo?」
「nenзжeиe bdдd лθdo nfkaiqpt!」
「………」
「………」

 どこからか話し声が聞こえてきます。
 何を言っているのかはわからないのですが、あきらかに2人、あるいは2人以上の人が会話しているんです。
 おそらくは、隣の部屋の壁の向こう(さらにその下?)から…。

 これが実はやっかいで…
 何を言っているかわからない程度の話し声っていうのが、一番たちが悪いんです。何を言っているんだろう?と、無意識に意識を集中させてしまって。
 さすがに眠ることができません。

 こりゃマイッタなぁ…って思ってたら、ふいに話し声が止んで。
 で、ふと時間を見たらまだ4時前…。
 布団に入ってから、ずいぶん時間がたっていたようですが、眠りについてからまだ1時間くらいの間のことでした。


 目が覚めた時には、もう日が昇っていました。
 それから先は、なんだかお決まりみたいですが、友人に夜のことを話したら、なんと隣は空き部屋だって言うじゃないですか。
 「なんだかイヤだなぁ…。それ…。」って、しきりに言う友人夫婦。
 友人夫婦にしてみればこれからもずっとこの部屋に住むわけですから、つくづく浅はかで悪いことしちまったなぁーって後悔したんですけど、もう遅い。

 ただ、まぁね。
 ウチなんかもそうなんですけど、マンションとかああいう集合住宅って、結構遠くの部屋の物音が壁を伝わって共鳴するように聞こえたりすることってよくあるじゃないですか。
 そう言ったんですけど……


 その何日か後。
 また、その友人に会った時に聞いたら。
「あぁあぁ、あれ?
 いっやぁー、うーん、特になんともないけどな…。」
って、そもそもそんなことなんて忘れてたみたいな口調。
 でも、あの時はあんなに嫌がっていたのに…

 ただ、そう話す友人の表情…
 どこか私の知っている友人とは、どこかが違うような気が……



 まぁ。「私の知ってる友人とはどこか違う気が…」っていうのは、全くの大ウソなわけですけど。
 でも、どこかが違うような気がしたからって――そんなの気のせいに決まってるんだけど――そこで切ってしまえば立派な怪談話になってしまうわけで。
 世に流通している怪談話の中にはそんな「仕立て上げ怪談」って、実は相当ありそうですよね(笑)

 つまりはまぁ。怪談って、「怪しいお話」ってこと!?




36話目終わり。フっ!
                   ―――─ 第36話目「話し声」メルマガ配信日:10.12.28
                                            *無断転載禁止 


*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください。





Comment:0  Trackback:0
2012
08.12

パンク!パンク!パンク!

Category: guchitter

「社会保障の安定財源を確保し、財政健全化を同時に達成することを
 今から歩み始めていくということが大事だということについてもご理解いただきたい」
って言われたって、ご理解いただくための方策は「後で考えるからねー」じゃ、理解なんかできるわけないじゃんね。
 というか、増税を理解しちゃう「納税者」ってどうかしてるんじゃない?って思うし、そもそも「納税者」は為政者の納税を絶対理解をしてはいけないというのが、「納税者」の正しい態度なんじゃないだろうか。

「政党間で調整のつかなかった社会保障の課題を調整する
 有識者20人くらいの委員を任命して『国民会議』で議論する」
 その有識者ってどんな人かは知らないけど、そんなたかだか20人くらいの人の会議を「国民会議」とは言ってほしくない。
 というか、そもそも「政党間で調整のつかなかった…」って何?
 国の様々な取り決めについて議会を開いて調整をつけるのが、国会や国会議員の仕事なんじゃないの?
 「国民会議」なんてもんがなければ調整がつかないなら、国会も国会議員も必要ないってことなんじゃない?


 韓国大統領が竹島を訪れたことに対する、8/10夕方の首相会見。
 その話が終わった直後。記者の質問の時間で、真っ先に手をあげて衆議院解散について質問をした記者の方。
 あなたは、自国の領土を一方的に踏みにじられた悔しさよりも、衆議院議員の解散の方が関心が高いのでしょうか?
 まぁその質問に淡々と答えていた首相もちょっとどうかしているんじゃないの?とは思いましたけど。まぁ野田さんは、いわゆる増税オタクなんで。そっちの方に政治生命を賭けるなんてことはしないんでしょう。
 ただ思ったのは、日本の記者の方々っていうのはいつもそうですよね。
 海外で首相等が会議をしてその後の記者会見でも、質問することといえばその会議についてでなく、必ず内政や政党間のゴタゴタのことだけ。
 それを、「仕事だからしょうがない。仕事だからやっている」と言うのなら、それは視聴者に対しても、そして私たち日本国民に対してもいささか無礼であるように思います。
 それは、いくら自分の主張とはいえ隣人の家の前に非礼な物を一方的に造ったり、スポーツの試合に勝った興奮で相手チームに対して非礼なパフォーマンスをしても何とも思わない行為となんらかわりないんじゃないでしょうか。

 ただ、一方的で竹島に行った李明博さんその人については、実はなぜかそれほど憤りを感じてないんですよね。
 まぁ野田さんとの会見時、ずっと従軍慰安婦問題しか話さなかったという件、さらには日本大使館前に立てられた像をそのままにしているということでもう別に驚かなくなっているだけなのかもしれないですけど。

 大統領就任時、日本のテレビ(ニュース23だったか?)に出演して、スタジオに集った日本の若者たちと「未来志向の関係を築いていこう」と語っていたあの笑顔。
 それと、一昨年のAPECの横浜での会議の時。尖閣諸島中国漁船衝突問題でお互い煙たかった当時の菅首相と胡錦濤さん二人の手を取って、無理やり3人で手を握ったあの度量。
 オバマ大統領が各国のトップの中でも特に親愛の情を抱いてるというのをみても、韓国経済がここまで躍進している現状をみても、現在の日本にあれだけの「政治家」はいないってことなのでしょう。

 李明博さんに憤るというよりも、むしろ李明博さんにそんな行動をとっても特に大事がないと、タカをくくらせてしまうような現在の日本という国と私たち自身にこそ憤りを感じなければならない。憤りを感じて、李明博さんのような人にそういう行動をとらせないような仕組みに一刻も早く作り治していかなければならない。そんな風に思います。
 ただ、李明博さんという人について言えば。
 大統領就任時に日本のテレビに出て、「未来志向の関係を築いていこう」と一緒に語ったあの日本の若者たちの真心を踏みにじったことだけは確かなんでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=mj_xKA5C2vU

 現在のシリアという国が、国連常任理事国5カ国が全てが賛成でなければ何も決めることが出来ないという仕組みゆえに、毎日のように何百人と死んでいるという状況がまさに象徴しているように。
 第二次世界大戦が終わって67年。その67年前の戦勝国(そもそも戦勝国って何?英仏は米国が参戦しなければ戦勝国にはなりえなかったろうし。ソ連は確かに戦勝国かもしれませけど、当時ロシアという国はなかったし。中華人民共和国は本当に第二次大戦の戦勝国といえるのか?戦勝国って、実質的には米国だけなんじゃない?)による、ある意味世界支配。さらには、かつて日本が植民地支配をした国々への不必要かつ、悪影響ばかりな「遠慮」や「うしろめたさからくる自虐」はもういい加減やめるべきだし、やめさせるべきなのではないでしょうか。
 理由はただひとつ。
 いいかげん馬鹿馬鹿しくなった!
 だって、それがあるがゆえに、世界も、日本人と隣国の方たちとの関係も上手くまわらないんだもん!
 それにつきます。

 これからは、かつて日本が植民地支配した「国家」が何を言おうと一切無視する。かつ、無視しても痛くも痒くもない力をつける。それにつきるように思います。
(その点に関して言えば、小泉さんって人はまさに優れた「政治家」だったんでしょうね)
 ただ、それと同時に忘れてならないことは、我々日本人もかの国の人々に対しての偏見や差別をなくしていかなければ、それこそ昔に逆戻りだということも肝に銘じなかればならない。そういうことなのではないでしょうか。
 かの国の人たちというのは、隣人であるわけです。
 隣人であるなら、お互い気持ちよく過ごせるようにお互いが気を使わなければならないはずです。

 現在の日本人は、いつのまにか忘れていることが多いですけど。
 私たち国日本において、国民が一定水準の活をおくることが出来るなんていうのは、戦後初めて実現出来たことです。
 日本の歴史を遡ってみれば、為政者がのうのうと遊び暮らしている一方で、庶民なんて食うや食わず、病気になったら医者にもかかれない。そんな生活がごくごく普通だったわけです。
 それが、国民みんなが苦労して、やっとここまでの生活をおくれるようになった。
 そのことは絶対終わらしてはならないし、また終わらすような何かが存在するのなら、それはたとえ命を賭してでも戦わなければならないんだと思います。

 最後に、一つだけいやらしいことを。
 今後は、むしろ北朝鮮と仲良くしていく。
 という方向性もあるのでは?
 そんなことを言うと非難する人もいるのかもしれませんけど。
 ただ、それ(自国の煙ったい国を牽制するために、その煙ったい国が煙ったい国と友好関係を結ぶ)っていうのは、外交の手段としてどこの国でも当たり前にやっていることですよね。

 北朝鮮という国とは数々の問題があるとはいえ、冷戦なんてはるか昔に終わった現在、北朝鮮=敵国という通念にはかなりズレが生じてきているのではないでしょうか?
 つまり北朝鮮という国と、日本が友好関係を結んでもなんらおかしなことはないのではないでしょうか。
 それどころか、友好関係を結ぶことで諸問題の解決にはプラスになるはずだと思うんですけがどうでしょう?

 最後の最後に。
 誤解しないでほしいんですけど。今まで書いたことは、あくまで国家対国家のことです。隣人の個々人との付き合いとは、絶対切り離して行動しなければ、それこそスポーツの試合で身勝手なパフォーマンスをしているような人たちと同じレベルに成り下がるということです。このことは、絶対肝に銘じておかなければならないように思います。
 私たちは、「恥と名誉を重んじる日本人」であるはずです。

 がんばろう日本!なんて寝言言ってる場合じゃない。
 がんばらなきゃ日本!でしょ。

 http://www.youtube.com/watch?v=_dEJCIYhWAQ




Comment:0  Trackback:0
2012
08.11

怪談って何?~その5


 最近はなんだか、夏に怪談は合わないっていうのが口グセのようになってまして。
 まぁそもそも怪談=夏っていうのは、元々は江戸時代に歌舞伎の興行の事情から始まったことらしいんですね。
 ま、ある意味うなぎ=土用=夏のスタミナ源と似たような経緯で、常識になっているらしいんです。

 とはいえ、面白いなーって思ったのが、TVをたまたま見ていて知った高知県香南市赤岡町の「絵金まつり」。
 http://www.youtube.com/watch?v=jP-1XM9qFGE&feature=fvwrel

 絵は歌舞伎のシーンらしいんですけど、いやもう結構ホラーっていうか、血しぶきドバーだの、生首抱えてたりだのと、ほとんどスプラッターと言ってもいいのが多いんですよね。
 でもそれが、南国の夏の夜の空気と変にマッチしてるところが面白いし、また妙にいいんですよねー。
 絵は、基本的に日が暮れてからロウソクの明かりででしか見せないらしいんですけど、まぁその辺り含めてある意味昔のスプラッター映画、つまり怖い系エンターティメントなんでしょうね。

 まぁつまり。スプラッターホラーを人々がエンターティメントとして求めるっていうのは、何も最近だけの傾向じゃないってことなんだろうなぁーって(もっとも。私、アレは苦手でして。痛そうで…笑)。
 『東海道四谷怪談』も、鶴屋南北が当時噂された猟奇事件のいくつかを盛り込んで、人の関心を煽るようにしたらしいですし。
 そういう意味じゃ、現代の実話怪談のここ何年か前までの傾向だったグロさやえげつなさの追求っていうのは、怪談の伝統だったってことなのかなーって。

 ただ…。
 その反面思うんですけど、それっていうのは、伝統であるがゆえに、怪談の送り手(それはお話だけでなく、お化け屋敷や肝試し等の含めて怖い系エンターティメント全て含んで)が、怖がらせの手段として、一番陥りやすい「穴」でもあるようにも思うんですよねー。
(ついでに言えば、そのことっていうのは、受け手自身も自らが怪談系エンターティメントに求めていると勘違いしやすい部分であるように思います)

 ぶっちゃけ、普通の肝っ玉の人にとっては、幽霊なんてモンはそれだけで充分に怖いわけじゃないですか。
 充分怖いというのは、怖さ度マックスなわけですから、そこに血まみれだのグチョグチョだの怖い「お化粧」したって、あまり意味ないんじゃないかって思っちゃうんです(笑)

 まぁ百歩譲って意味があったとしましょう。
 ただ意味があるんだとしたら、なおさら今度はそれの上をいく怖い何かを、受け手から求められるちゃうわけですよ。
 そりゃぁもしかしたらその次、さらにその次くらいはさらに怖い何かを提供出来るかもしれません。でも、それを永遠に続けることなんて絶対出来るわけないじゃないですか。
 つまり、その「怖い」ってことをこだわり・追求し続けた結果が、まさにかつて隆盛を極め、そして現在では見る影もない「Jホラー」とくくられたいろんな怖い系エンターティメントなんだと思うんですよ。
 それは、映画・本をはじめ、お化け屋敷や肝試しイベントその他諸々全て含んで…。

 わかりやすく言っちゃうなら、例えば夏にキャンプに行って怪談話なんかした時。
 たんに怖さを味わいたいだけなら、お話よりも適当なタイミングを見計らって「ワーッ!」って絶叫を上げるのが一番いいわけです。
 その効果のほどは、おそらく誰もが一度くらいは経験があってご存知なんじゃないでしょうか。
 でも、それを何度もやったら逆にしらけますよね。怒り出す人だっていると思います。
 「怖くなければ意味がない」っていうのは、某通販サイトにあった怪談本のレビューですけど。
 ただ、それはそうなんだろうなと思う反面、「怖さにこだわってばかりいても、それはそれで意味はない」という気もするんです。

 まぁつまり。怪談に限らず、怖い系のエンターティメントに「怖さ」というものは、当然のごとく必要条件なんだとは思います。
 でも、それはあくまで必要条件にすぎなくて、受け手に満足してもらう為にはそれ以外の充分条件(何かの+α)が必要なのではないのか?
 つまり、「怖さ」ってことは大事ではあるけれど、その「怖さ」にのみこだわりすぎることは、逆に怪談(は言うにおよばず怖い系エンターティメント全て)というものを、早々に陳腐化させてしまうってことなんじゃないですかね。
 それは、先ほども書いた「Jホラー」もしかりですし、また「怖さ」にこだわりすぎた怪談本を普通の人は鼻で笑って終わりなのもしかりです。

 まぁ「怪談」なんてもんは、「ハーレクインロマンス」とか、はたまたエッチビデオみたいなもの。あーいう決まりきったワクの中でのエンターティメントの一つにすぎないんだよって割り切っちゃうっていうのも、それはそれでアリなのかもしれませんけどねー。
 とはいえ。ま、怪談、卒業し損ねちゃったんで…(笑)
 割り切るのもシャクにさわるってことなんでしょうかね。






Comment:0  Trackback:0
2012
08.11

35話目

Category: 怪談話

 その日、Bさんはツーリングに行く予定でした。
 特にどこっていう行き先があったわけではなかったのですが、なんとなく奥多摩の方に行こうかなぁくらい思っていたんだそうです。


 起きたのは5時半。外はまだ真っ暗。
 真冬がそのまんま沁み入ってくるような、そんな気温。
 Bさん、朝食はどこか外で食べればいいやと思っていたので、顔を洗ったらすぐ出かけるつもりでいた。

 愛用のヘルメットとグローブ、そして前夜適当に荷物を入れたデイパックを持ち、部屋の戸をそーっと開ける。
 休日の朝。誰もまだ寝ているのだろう。家の中はおろか、外もシーンと静まり返っている。
 Bさんは、目覚めたばかりで暗がりに目が慣れていたこともあり、電気もつけず階下に降りた。

 パチっ!
 洗面所の電気のスイッチを入れると、その明るさに眼が眩んで一瞬何も見えない。
 とはいえ、毎日暮らしている自分の家。目が眩んだまま洗面所の脇のトイレに入った。でも、その後顔を洗って電気を消すと、今度は逆に真っ暗で何も見えない。
 しかし、Bさんはかまわずに廊下を玄関に向かった。
 その玄関。
 ドアの上のくもりガラスから、外の街灯の灯りが入ってきていて。
 その明りが、ボンヤ~リと框と土間の境を浮き立たせている。


 それは、Bさんがヘルメットとディパックを玄関の框の手前に置き、何か飲もうかと真っ暗な廊下をキッチンに向かった時だった。

 ガサっ!
 後ろから聞えてきた、かすかな音…
「……。」
 Bさんは、何気に玄関の方を振り返る……

 でもそこは、框の手前に置いたヘルメットとディパックのシルエットが黒く浮かびあがっているだけ。
 しかし…。
「!」
 おもむろに、そのシルエットが沸き立つように大きく膨らみだして。
 シーンと静まり返った家の中、Bさんが自身以外の気配を感じたのはその瞬間!
 そうしている間にも、なおも大きく立ち上がるヘルメットとディパックのシルエット!
 もう、何がなんだかわからないBさん。
 声をあげ台所の方に逃げようとしても、あまりの驚きで腰が抜けたみたいに尻餅をついてあとずさることしかできない。

 そんな時。
 ダンっ!ダンっ!ダンっ!ダンっ!ダンっ!
 真っ暗な廊下に轟きわたる足音。
 大きくなったシルエットは、真っ黒な人の姿となってBさんに駆け寄ってくる。
 何やら叫びながら!

 ソレは、Bさんに覆いかぶさるようにのしかかってきて。
 むせび泣くような声をあげ、Bさんに体を荒々しく摺り寄せる。
「うゎーっ!」
 Bさんは、驚きと恐怖で、ただただ叫ぶことしか出来ない。

「なんだ!なんだ!何があったんだ!Bっ!大丈──。うっ!!」
 そのただならぬ声と物音に、2階から大慌てで駆け下りてきたBさんのお父さんとお兄さん。
 しかし、その二人も廊下で繰り広げられている状況に、思わず声は止まってしまう。
 それは、あまりにわけのわからない状況。
 2階から降りてきたお父さんもお兄さんも、思わず階段の下三分の一あたりの場所で固まってしまった。

「うわっ!うわっ!うわっ!うわっ!」
「助けてよー!助けてよー!お願いっ!助けてよー!」

「なんなんだコイツはっ!?おいっ!大丈夫か!Bっ!」
 やっと我に返るBさんのお父さんとお兄さん。
 その二人が見たその光景……

 廊下に倒れているBさんの腰の辺りにむしゃぶりついている何者か。
 ソレは、むせび泣くようにも、慟哭しているようにも聞こえる声を発しながら、両手でしきりとBさんの体を掻き毟るように掴み、そして揺すっていて。
 泣き叫んでいるのか?
 それとも、なにかわめき散らしているのか?
 髪が長いところをみると女?
 なんなんだコイツは!?
 一瞬だけ顔を見合したBさんのお父さんとお兄さん。
 しかしすぐ──

「なんなんだ!お前はっ!」
 Bさんのお兄さんは、その女を後ろから羽交い絞めするようにしてBさんから引きはがすと、そのまま玄関の方に放り投げた。
 ドッシーン!
「ぐぇっ!」
 家の根太を揺るがすような音と、女のうめき声とも悲鳴ともつかぬ声。
 しかしそれもつかの間…
 玄関に転げ落ちたその女は、手を框にかけ這うようにして廊下に上がってこようとしている。
 その間にも、なおもなにやらわめき続けているその女。
 しかし、Bさんはもとより、お父さんもお兄さんもその女がわめいている言葉は聞こえていても、現在のあまりの事態に注意をはらう余裕がなんてなかった。

 兎にも角にもその女を引き離して、Bさんに駆け寄るお父さんとお兄さん。
 そのことで少しだけ安心した二人の耳に、その女がわめき声が、ふいに言葉として意味を成して……

「痛い。痛い。痛いよぉー…。た、助けてよぉぉー…。
 た、助けてよぉぉー。お、お願いよぉー…。
 助けてよぉぉー。うっぅぅぅぅ…。痛いよぉー。
 こ、殺される。主人に殺されるよぉー。
 た、助けてよぉぉー…。痛いよぉー。」

「…!?」
「…!?」
 驚きと恐怖で茫然自失のBさんはともかく、お父さんとお兄さんは思わず「…!?」。

 「助けてよー!」って、思わず「そりゃこっちのセリフだろ!」って言いたいくらい。
 おおよそ明け方に忍び込んだクセモノが言うセリフとは思えないそのセリフに、なにがなんだかわからなくなってきた。

「お、お前はいったいなんなんだ!?」
 なんだか妙にトーンダウンした声でそう怒鳴るしかないお父さん。
「助けてよぉぉー!助けてよぉぉー!
 殺されるよぉぉー!殺されるよぉぉー!」
 そんなお父さんの気の抜けた怒鳴り声にも、女は框に顔を擦りつけちゃ、そのように泣き叫んでいるばかり。
 見れば、中年くらいの女のよう…。
 服装からしたって、普通の家の普通の主婦という感じ。

 異常な事態ではあるものの、どうやら気が変になった女らしいと状況がやっと飲み込めてきたBさんのお父さんとお兄さん。
 Bさんのお母さんの警察を呼んだという言葉を聞いて、多少は安心して落ち着いたものの、警察が来るまではその女を遠巻きに見てるくらいしか、何の手立ても思い浮かばない。

 女の方も、玄関に上がろうとしていたのは諦めたのか、玄関にうずくまったままあのわけのわからない「助けて!殺される!」とむせび泣いているだけで……



 以下は、駆けつけた警察の方から聞いた話だそうです。
 Bさんを襲ったその女、実はBさんの家と同じ町内に住んでいるということなのですが、精神を病んでいて、時々見ず知らずの家に入り込んでは「主人に殺されます。助けてください」と訴えることがあるのだとか…。
 入られた家にしてみれば災難以外なにものでもない話なのですが、その女が見ず知らずの家に入り込む時間帯というのはなぜか必ず早朝。それも夜明け前の真っ暗な時間だというのです。
 もちろん旦那さんが虐待しているなんて事実は全くなく「助けて!殺される!」と訴えるのは、どうもその女の精神的錯乱ゆえなのだとか。

 そのような説明したくれた後、警官は言ったんだそうです。
「ところで、玄関の鍵はちゃんとかけてあったんですよね?」
 Bさんの家はお父さんが戸締りに神経質だったこともあり、家族全員、鍵は常にかけるっていうのが習慣になっていました。

「ええ、もちろん…。あっ!B、お前、出かけるんで鍵開けたのか?」
 慌てて首を振るBさん。
 そして、警官に起きてからの状況を最初から話します。
 それを聞いていた警官は、ふーっとため息をひとつ漏らし。
「一応、戸締りを全部確認してもらえますか?」

 やはり戸締りは万全。
 しかし…。
 だとするとこの女、どこから入ってきたのか?


「ち、ちょっと…。えぇぇっ!?
 じゃぁこの女、いったいどこから入ったっていうんです?」
 警官に降り注がれるBさんの家族全員の視線。
 その全員の視線の圧力にちょっとたじろいだのか、警官は視線を件の女に向け、そして首をひねるように……
「それなんですよ…。それがわからないんです。
 どうやって入ったんだ?って聞いたってああでしょう…
 本人が答えるわけはなし。
 実は我々もちょっと参っちゃってるんですよねぇ…。」


35話目終わり。フっ!
               ―――─ 第35話目「ツーリングの朝」メルマガ配信日:10.1.8
                                           *無断転載禁止


*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください。





Comment:0  Trackback:0
2012
08.11

34話目

Category: 怪談話

 ある秋のこと。
 R夫妻が、東北のとある山の中の温泉宿に泊まった時のお話です。

 Rさんは夫婦揃っての温泉好きで、時間が出来るとあっちこっちの温泉へと出かけてるんです。
 ただ、Rさん夫妻にはこだわりがあって…。
 それは、混浴でなければダメというもの。
 といっても別に変な趣味があるわけでなく。せっかく行くのだから別々に入るのではなく、一緒に入りたいというのが理由なんだそうです(いいですね、仲良くって…ケッ。笑)。

 でも、貸切風呂みたいなせまい風呂じゃイヤ。
 かといって、他の客が大勢いるのは恥ずかしいしということで、自然とあまり知られていないような温泉宿を探しては、平日を狙って行くというのが常になっているようなんです。
 その時も、うまい具合に有給が取れたのを幸い、以前から目をつけていた東北地方のとある山の一軒宿にクルマで向ったんだそうです。


 到着した宿は木造2階建。
 といっても、特に趣深いって感じでもなく、中途半端に古びたって感じ。
 しかし、狙って行っただけあって、風呂は内湯も露天も貸し切り状態。
 おまけに紅葉がちょうど見頃だったとかで、景色もバッチリ!
 着くなり2人でたっぷり堪能した後は、次のお楽しみは夕食。
 とはいえ、良い事ばかりとは限りません。
 ま、そっちの方は値段並みだったなぁーって言ってました。


 さて、夕食も食べて一息ついて、寝る前にまたひとっ風呂とばかり、R夫妻は風呂へ。
 夕食は部屋出しだったとかで、他にお客がいるのかいないのかわからないわけですが。まぁR夫妻、この宿の静けさを考えれば泊り客なんてほとんどいないのだろうなって、廊下を歩きながら話していたといいます。

 風呂は、内湯は男女別で、露天に出たところで混浴になっていたとかで、R夫妻、「じゃぁ中で」と入口のところで別れます。
 Rさんは脱衣所を見ても脱いだ衣服は見えないし、また貸切状態だろうと、さっさと浴衣を脱ぐと、あとはスッポンポンで一路露天へ。


 露天に出るドアを開けた途端、
「サァミィーっ!」
 秋の東北の山の中です。そりゃ寒いでしょう。
 でも、ジャッポンと湯船に浸かればその寒さが逆に心地よくって…。

「さぁーむーいっ!」
 でも、すぐに奥さんもバシャバシャ音をたてて湯船を歩いてきて、あとは2人で湯船でのーんびり。
「あれ。空、曇っちゃったのねー。」
「まさか明日雨じゃないだろうなー。」
なんて…

 夜になって雲が出たようで空は真っ黒。
 湯船の下は、木々の生い茂る谷になってますから、そっちは真っ暗。
 灯りといえば、小さな橙色の電球が宿の建物の軒先にひとつだけ。
 下からは沢の音が結構大きく響いてきて、かなり幽玄な雰囲気。

 そんな深山の雰囲気に飲まれちゃったのか、しばし2人とも黙っちゃって。
 聞こえてくるのはお湯の音と、ゴーゴーいってる沢の音だけ……


 そんな中、Rさんが、奥さんがお湯の中でわき腹をしきりとつついてくるのに気がついたのは、どのくらい経った頃だったのか…
「なーんだよ?」
 奥さんの方を見ると、奥さん、Rさんの顔に顔を寄せてきます。
 何を勘違いしたのか思わず手を伸ばしたRさんに、奥さんの指がRさんのたるんだわき腹をギュッ。
「痛ぇぇっ!な、な~んだよぉ~!」
 思わず飛び上がっちゃったRさんの腕をつかんで引き戻した奥さん。
 すかさずRさんに顔を寄せてきてヒソヒソ声。
「ねー、ねー。あの人って、いつ入って来たの?」
「えぇっ?」

 見れば、湯船の一番向こう。最も谷側のところにお湯に浸かっている人が一人。
 見たところ……、男性!? たぶん…。
 その場所、軒先の電燈から一番遠い場所で、それだけわかるのがやっとです。

 奥さんの方を見て「さぁ?」と首をかしげたRさん。
 すっかり自分達だけだと思っていたので、今の騒ぎも含めちょっと気恥ずかしくもあります。
 そこで、Rさん。
「こんばんは。いいお湯ですね。」
と、その人に声をかけたんだそうです。
 そしたらその人、顔を振り返えらせちょこんとおじぎをしてきて。
 でも、暗くて顔とかは全然わからない……


 なんだか間が持たない感じで湯船につかっているRさん夫妻。
 それは、気まずいからもう出ようかと思った時。
 その人が声をかけてきたのだそうです。

「どちらからですかー?」
 年齢不詳ながらその快活な感じにず安心して、Rさんが答えると、
「それはずいぶん遠い所から…。私はQ市なんですよ。
 ここのお湯が昔から好きでねー。
 暇を見つけちゃ、よく来るんですよー。」
と、その人が言います。
 Q市といえば、ここの県庁所在地の街。そう言われてみればこの人、東北訛りがあるなーとRさん。

「ああQ市にお住まいなんですかー。
 Q市あたりはいいですよねー。おいしい物いっぱいあるし。
 温泉もいっぱいあるし。」
「いやー、それだけですよ。あるのは…。
 それより冬は寒いし、夏は暑いしでいやになっちゃいますよー。」

 その人、そう謙遜してみせるものの、自分の住む所を褒められてやはり嬉しかったのでしょう。口調に籠もる親しげな感じが明らかに変わってきて。
「しかし、そんなことより、
 ご夫婦で温泉旅行とはうらやましいですなー。
 私も行きたいけど、ウチのはもう駄目だなぁー。ハハハー!」
「なに、おっしゃるんですかー!
 声なんか全然お若い感じじゃないですかー!
 きっと奥様も若くておきれいなんでしょうねー。」

 先ほど言いましたようにその人、すごく快活に話しますし時々混じる東北弁が純朴な感じで、Rさんだけでなく奥さんもすっかりリラックスしちゃって。
 しばらく3人でそんな風に話していたそうです。

 そうして話している内にRさんふと思い立って。
 地元の人なら他にもいい温泉を知っているんじゃないかと、聞いてみたんだそうです。
「私達は温泉が好きなもので、
 こうしてあちこちの温泉を訪ねているんですけど、
 この辺でほかにいい温泉知ってたら教えてもらえませんかねー。」

 するとその人は、少しの間考えている様子で。
「えーとね。いったん山を降りなきゃならないんだけどね、A温泉。
 あそこは静かでいいですよー。
 あと、その近くのB温泉もいいかな。
 それ以外だとC温泉。
 あぁ、でもあなたらは夫婦だからなー。
 なら、その先のD温泉の方が入りやすいかもなぁー。」

 それらの温泉、どれもRさんは全然知らなかった温泉で、さすがは地元の人だなぁって2人して喜んでいると…。

「どうれっ!私は先に退散させてもらいますよ。
 奥さんごめんねー。すっかりオジャマしちゃってー!
 今夜はこの宿お客いないから、あとはお二人だけでごゆっくり~!
 ハハハー。」
 その人は、快活に、でもちょっとスケベ親父風な感じも笑いに滲ませつつそう言ったかと思うと、スーっと立ち上がり内湯の方に行ってしまったんだそうです。


 また、2人きりになって…。
「いい情報教えてもらったねー!
 でも、もう出ない?のぼせそう。」
「うん。でも、あの人も俺達夫婦2人っきりのところに
 入ってきちゃって、きまりわるかったみたいだぜ。
 だから、そうっと入ってきて一番端っこにいて、顔合わせないようにしてたんじゃないかな?
 だから、脱衣所で顔合わさないように、あと少しだけ待ってようぜ。」
と、まぁ。すっかりごゆっくり~しちゃったR夫妻。



 そして次の朝。
 いつもの休日なら昼まで寝ているのに、こういう自然豊かな場所にくると体も自然に返るのか、R夫妻早くから起きて、また2人で湯船に。

 その日は、昨夜の黒い雲もすっかり晴れ、朝日に照らされた紅葉がそりゃまぁ見事。
「あー!いいなぁー!」
「ねぇ、この次は昨日の人が言っていた温泉、行ってみようよー。」
「ていうか、うまくいけば帰りがてら、寄り道できるとこもあるんじゃないか?
 あ、そういえば朝食は食堂だとか宿の人言ってたよな。
 あの人もいるだろうから、もう少し詳しく聞いてみるか。」


 R夫妻、すっかりポカポカになって、そのまま食堂に向かったんだそうです。
 食堂にはもう二人の食事が用意してあって。

「あー、風呂入ったらハラ減ったぁー!」
 そんなことを言いながらテーブルにつくと、宿の女の人が笑いながらご飯とお味噌汁を持ってきました。
「おはようございますー。いい天気でよかったですねー。」
 その挨拶に笑いながら答えつつ、Rさんは昨夜の人がいないかとまわりをきょろきょろしてみるものの、食事がのっかっているテーブルはR夫妻のところだけ。
 なんだあの人、もう食べ終わっちゃったのかなと、Rさんは奥に戻ろうとする宿の女性に声をかけます。
「すみません
 昨日の夜、風呂で男性のお客さんと話ししたんですけど、
 ちょっと教えてもらいたいことがあって…。
 あのお客さん、もう出かけちゃったんですかね?」

 しかし、宿の女性は怪訝な顔。
「男性のお客さん?
 いや、昨夜からお泊りいただいているのはお客さん達だけですけど…。」
「えっ、だって昨日の夜風呂で……。
 なぁ?話したよなー?」
 奥さんの方を見ると奥さんも強くうなずきます。
「えぇぇっ!本当ですか?何時頃ですか?」
 そんな話し声が聞こえたのか、奥から宿の主人も出てきて。

「じゃぁ、宿の方だったのかなぁー?」
「いや、それはないですねー。
 そりゃ確かに従業員が入ることが絶対ないとは言いませんけど、
 昨日は男の従業員は私しかいませんでしたから…。」

 宿の人たちがそう話しているのを聞いていたら。
 Rさんも奥さんも、ふいにゾクっとくるものを感じて…。

 最初、その人がいつの間に湯船に入ってきたのか気がつかなかったこと…
 最初から最後まで顔が見えなかったこと…
 さらに、その人が湯船から立ち上がった時の映像が甦って……

「どうれっ!私は先に退散させてもらいますよ。
 奥さんごめんねー。すっかりオジャマしちゃってー!
 今夜はこの宿お客いないから、あとはお二人だけでごゆっくり~!
 ハハハー。」
 その快活な、でもちょっとスケベ親父風な感じが滲んだ笑い…
 でも、その後はなんだかやけにスーッと…
 そう。そういえばあの時のあの人って、湯船の中を歩いているのにお湯が波立つ音が全然しなかった……



 あとで調べてみたら、その湯船にいた男性が言っていた温泉。全部何十年も前につぶれた温泉宿ばかりだったということです。




34話目終わり。フっ!
                      ―――─ 第34話目「温泉宿」メルマガ配信日:10.1.7
                                             *無断転載禁止


*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください。





Comment:0  Trackback:0
2012
08.04

33話目

Category: 怪談話

 現代の怪談において、電話というのは重要なアイテムですよね。
 最近ではケータイの出現により、オバケさんの方も手を変え品を変えあらゆる手段で怖がらせてくれているわけですが。
 ケータイにまつわる怪談話っていうのは、やっぱりパーソナルな物だけに、本人(だけに直接)にダイレクトに来るという怖さがありますよね。
 ただ、その反面。固定電話にあるような、家の人だったり、同僚だったり間に取次ぎの人が介在することで、「えぇっ!?その電話って…」みたいに、想像をかきたてる怖さみたいな面は薄れたようにも思います。

 ま、どっちがいいとかよくないとか、怖いとか怖くないとか、そういうことを言いたいわけでなくって。
 つまり、このお話はそんなダイレクトにつながらない固定電話しかなかった頃のお話です。



 N子さん、実はその夜、相当イライラしてたらしいんです。
 というのも、原因は彼氏のQクン。
 といっても。
 はたして彼氏といっていいのか…?
 そう、N子さんのイライラの根本は、まさにそこ。

 その彼氏、バイトで知り合ったんだそうです。
 去年の夏に知り合って、はや10ヶ月。
 時々思い出したように電話がかかってきちゃ、延々3時間くらいおしゃべりしたり、近くの喫茶店でやはり4、5時間も話したりすることはあるものの、そこから先にいくこともなく、次の約束をするということもない。

 特に話題があるというわけでもないのに、話だけで3時間も4時間も楽しく過ごせるっていうのは、そりゃ仲のいい証拠なんだろう。
 でも、やっぱりちゃんと「つきあって」と言ってもらえば安心するし。まぁそれはともかく、もっとデートらしいデートをするとかあってもいいんじゃないかと。

 もっとも、N子さんとその彼氏、お互いバイトが忙しいっていうのもあったんだそうです。
 N子さん自身、当時は2つから3つくらいバイトをかけもちしてたということですし、その彼氏もバイトの休みは月に2日か3日ぐらいしかなくって、まずまる1日2人とも空いている日なんてなかったらしいんです。
 それこそ、現代のようにケータイでもあれば、メールしたり電話したりと、もっとスムーズなつきあいが出来たのかもしれません。


 で、お話は冒頭に戻るわけですが、N子さんがイライラしていたその日は、彼氏の数少ないバイトの休みの日だったんだそうです。
 N子さんは、お互い昼間は学校があるので、まる1日はムリにしても午後からどこかで待ち合わせして…とか思ってたらしいんですけど。
 でも、そのような約束もないままついにその日が来て……

 そして、あっという間に夜。
「せめて電話くらいかけてこいよーっ!この大バカヤローっ!」
って、電話に毒づいてみても電話はウンともスンとも言わない。
 N子さん、もしかして電話が壊れてるのかも?って、受話器をとっちゃプーっていう音を確認してみたり、時報を聞いてみたり、はたまた回線のジャックを1度引っこ抜いてはまたしっかり入れてみたり……


 そんな、イライラそわそわな姉をじっと見ていて、ニヤぁーと不気味な笑みを浮かべたのは、N子さんの妹のU子さん。
 不気味な笑みを浮かべたそのままの表情で、N子さんの部屋のドアを、トントンとノック。
「ねぇお姉ちゃん。例の彼からの電話待ってるんでしょ」って。

 その後、N子さんの部屋では、ほんの2、3分くらい「うるさい!」とか「黙れ!」とか怒声が響いていたらしいんですが。
 そんなことはともかく、妹のU子さん、N子さんに妙な知恵を授けたらしいんです。

 それは、おまじない。
 U子さんの高校に代々伝わっている(?)という、「彼氏から電話がかかってくるおまじない」。

 N子さん、思わず鼻で笑っちゃったそうです。
 でも、妹のU子さんの表情はいつになく真剣。
「実はね、わたし、こないだやってみたんだ……。」
「ふーん…。で、どうだったのよ?」
 鼻で笑っちゃったN子さんも、実際にやったと言われると結果を聞かずにはいられない。

「バッチリっ!!かかってきちゃって…。もう、ウフフよ。」
 妹のU子さんの、やけに自信満々な表情。
 N子さん、その時はなんだか不思議と「おっ!こりゃやってみてもいいかも!」って、トライする気になったといいます。

 というのも。
 N子さんも知っているような、よくある「緑色のボールペンで何回相手の名前を書く」とか、「消しゴムをどうこう」とかいうんでなくって。
 ミルクで紅茶を沸かして(水でなくミルク)、そこにハチミツやらハーブやらその他諸々入れて飲むというもので、このムシャクシャした状態でなにより気休めになると思ったからなんだそうです。
 とはいうものの、効果への期待ももちろん忘れてはいません。
 さっそく下に降りていって、妹のU子さんと2人、台所でああでもないこうでもないとやりだしたといいます。


「ほらっ!お姉ちゃん、そこでハチミツ入れてっ!
 あー、もうタイミング悪いなぁー。
 お姉ちゃん、ホントに喫茶店でバイトやってるのぉー?」
 なんでも、ミルクが沸きあがってきたタイミングがポイントとかで、U子さん、なかなか口うるさい。
 しかし。そんな口うるさいわりには、U子さんも肝心なことを忘れていて…。
 それは、やっとその「おまじないのミルクティー」が出来上がった時だったそうです。

「あっ!○○印のリップクリームがない!」
「なによ、それ?」
「最後に○○印のリップクリームで、
 ミルクティーの表面をハートになぞらなきゃならないのよ。
 でも、○○印のリップクリームないよ!」
「リップクリームでミルクティーの表面んんーーっ!
 それ、なんかイヤだなぁー。体にワルそーっ!」
「大丈夫だって。サッサッてやるんだから…。
 さ、お姉ちゃん、しょうがないから今から買いに行こ!
 早く!早く!」

 N子さん、妹のU子さんにのせられるがままに、リップクリームを買いに出かけようとしたらしいんですけど。 でも、台所が散らかしっぱなしだったのをお母さんに見つかっちゃって。
 結局、U子さんが片づけるフリをしている間に、N子さんが1人で近くのコンビ二に買いに行くことになったらしいです。


「もう、まったく面倒臭いなぁー」
 なんてブツクサ言いながら、近くのコンビ二に入ったN子さん。リップクリームは、幸い売っていた。

 それは。
 N子さんが、「ふー、あった。あった。よかったー。」なんて、やはり喜び半分でブツクサつぶやきながら、その○○印のリップクリームを手に取った時のこと。
「さ、買ってとっととっとと帰ろう」ってレジの方に歩きだしたら。
 ふいに後ろから、ささやくような変な声。
「大丈夫、電話かかってくるわよ…」

「電話かってくるわよ」って何なのそれっ?って、思わずドキっと振り返ったN子さん。
 はたしてそこにいたのは…
「はいっ!?」

 それは、全身緑色の服を着たおばさん…!?
 いや、おじさんかも!?
 でも、スカートはいてるんだから、たぶんおばさん……

 N子さん、とにかく振り返った瞬間頭に浮かんだのは、
「うわっ!ひたらすら全身緑色ーっ!」
 そのおばさん(?)ったら、クロッシェのような感じの丸い帽子から、ジャケット、スカートまで、濃淡こそあるものの上から下まで見事なまでに全部緑色。
 そして、そのおばさんともおじさんともつかない声、顔、そして体型(!?)

 そんな変な人が後ろで微笑んでいるってどういうこと!?
 しかし、そんな変な状況に追い討ちをかけるように、その緑色のおばさん(?)は、またそれを言った。
「大丈夫、電話かかってくるわよ…」
 その、ニヤぁ~リと笑った顔……


 N子さん、一瞬何がなんだかわからなくなったそうです。
 幸いレジにはお客が誰も並んでなくて、お金を払って後も見ず飛び出すようにそのコンビ二を出て、あとは走って、走って……

 N子さん、走っている間も、あの緑色の人が追いかけてきたらどうしようって、もう怖くって、怖くって。
 妹のU子さんが開けてくれた玄関のドアから、家の中の灯りがさーって目に入ってきた時は思わずその場にへたり込みそうになったといいます。


「もー、あんたのせいで、とんでもない目にあったわよ。
 緑色の変な人が現れ──。」
って、まくしたてたN子さんの言葉は、途中でお母さんの呼びかけに遮られる。

「N子、あんたどこ行ってたの?
 つい今、Qさんから電話あったのに――。
 って、どうしたの?N子。そんな変な顔して…。」
「もう、どうもこうもないわよ。
 コンビ二行ったら、変な──。
 えっ?Qクンから電話あったのぉ~?」
「うん、ほんの2、3分前…。
 U子に聞いたらすぐ帰ってくるっていうからそう言ったら、
 じゃぁまたちょっとしてかけてみますって言ってたけど…。
 でも、どうしたの?N子。あなた、顔変よ。真っ青…。」

 N子さん、その時「真っ青じゃなくて、真っ緑よ!」って言ったかどうかはともかく。
 たった今の怖い思いもキレイさっぱり忘れて、ニコニコしながら彼氏のQクンに電話したんだそうです。

「もしもし、○○ですけど──。」と電話をすると、
「えぇーっ!ビーっクリ!Nちゃん?」
と、いいタイミングで彼氏のQクンが出て。

「電話してくれたんだって。
 いやね、妹が変なこと言いだしてさ──
 あっそれはこっちのことなんだけどね。」
「えぇっ!?電話?いやー、してないぜー。
 だって、オレも今帰ってきたところだもん。
 いやー、Nちゃんタイミングよかったよー!」
「えっ!なに?ウソー!
 だって、お母さんがQさんから電話かかってきたって言ったよ。
 ちょっと待って。
 ねぇー!お母さん、Qクンから電話かかってきたんだよねっ?」

 N子さんは、そう言ってドアから顔だけ出してもう一度確認したんだそうです。
 もちろんお母さんはうなずいるんだけど、でもその隣りには、妹のU子さんのニヤニヤとも、ウヒャッヒャともつかぬ顔も……


 一方彼氏のQクンは「今日は電話してないよ。」というばかり。
 N子さん、なんだか狐につままれたような気持ちになってしまって。
 つい、電話が来ないからムシャクシャして、妹のいうままにおまじないを始めて。その後、コンビ二にリップクリームを買いに行ったこと。そして、そこで緑色の変な人に遭ったことまで全部話しっちゃったんだそうです。

 そしたら、彼氏のQクン。しばらく黙っちゃったとかで。
 そして「ゴメン。」って。
 まぁその後の展開は、怪談話からは相当大きく外れてしまうので省いちゃいますけど、その長~い長~い電話のおしゃべりの最後に、彼氏のQクンはボソッとつぶやいたんだそうです。

「ねぇ、もしかして…。
 その緑色の変な人って、キューピッ──。
 いやぁー、まさっかなぁー。」




33話目終わり。フっ!
                ――― 第33話目「キューピット…?」メルマガ配信日:10.1.5
                                            *無断転載禁止


*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください。







Comment:0  Trackback:0
2012
08.04

32話目

Category: 怪談話

 ハーフパンツっていうヤツが、どうしても馴染めなかったんですよね。
 (とか言ってたのは09年のことですけど。でも最近はクロップドパンツとかいう言葉も出てきちゃったりで。もしかしてハーフパンツって死語だったり?)
 アレってどう見たって、かつて山で穿いていたニッカーボッカーにしか見えなくって…(つまり、だっさーって)。
 でも、今年の夏は買っちゃいました。ハーフパンツ!
 折り返して膝上の長さで金属のボタンで留められたりも出来て、なかなか機能的。
 何より涼しいのがGood!でした。
 ということで今年最後のお話は、このハーフパンツを初めて穿いた日に起こった出来事で締めたいと思います。



 その日は午後の遅い時間に家を出て、近所の友人の家に行って、飯を作ってワイワイ食べて楽しんで、夜中に友人の家を出たんです。
 友人の家を出たのは午前1時過ぎくらいだったと思います。
 暑い夏の夜とはいえ、土曜日の夜ですからこんな時間に歩いている人はほとんどいません。
 近所とはいうものの友人の家から家までは、歩いて20分以上はかかります。おまけに友人の家からは上り坂になっているので、結構汗をかかされるのです。
 坂は何本かあり、そのどれを通るかということなのですが、その日は一番人通りのない坂を通って帰ることにしました。

 その坂は、街に古くからあるお屋敷の敷地にそった階段状の長い坂なんですけど。
 最初は左に緩やかにうねるような弧を描いた後、今度は急角度に右にぐるりと曲がるという、普通にはなかなかないような坂でして。
 階段状ですから、当然歩行者しか通れない坂です。
 幅はそう、人が余裕を持ってすれ違えるくらい。
 左側は、そのお屋敷の塀がずーっと連なっています。
 その塀の向こうは庭木が鬱蒼と生い茂っていて、それら樹木はその坂の上を覆いつくしています。
 また右側は、緩やかに落ち込んでいるのですが、やはりそちら側も木々が生い茂って…。
 つまり、昼間でも暗い坂なんです。
 ただ、夜は階段状になった坂の所々に行灯型の明かりが灯され、その点々とした灯りが坂の暗さに映え、なかなかしっとり趣深いんです。
 まぁ、そんな感じを味わいたくて、その坂を選んだのかもしれません。



 それは、その坂の途中まで来た時。
 なにやらかすかに音が聞こえてきて…。

 カーン…カーン…といったらいいのか、キーン…、キーン…といったらいいのか?
 なんだろう?と思わず足を止め、耳を澄ますと。

 でも、何も聞こえない。
 気のせい…?

 と、また歩き出すと、どこからともなくかすか聞こえてくる……
 カーン…カーン…、キーン…、キーン……
 そういえば
 この音、友人の家に行く時にも聞いたような…

 そう。それは、家を出て歩き出してすぐ。
 鉦を叩くような金属質の音を聞いて、思わず足を止めたのを思い出した。
 そうだよこの音、行く時も聞こえた……

 さすがにちょっと薄気味悪くなってきて。
 こんな寂しい道じゃなくって、向こうの大通りの方を通ればよかったなぁなんて、今さら思っても遅すぎる。
 しょうがないから薄気味悪い気持ちを抑えつつ、早足に坂道を登り始めた。

 すると、やはりまた聞こえてくる。
 カーン…カーン…、キーン…、キーン……
 それは、まるで後をつけてくるようで……

 自然に早まる足。
 でも、
 カーンカーン、キーンキーン
 音は、まるでその歩調に合わせるように早くなる。

 こりゃマジヤバイのかも?と思いつつ、頭では必死にいろいろ考えを巡らせる。
 そもそも、金属がぶつかるカーンとか、キーンという音というのは、魔除けの音であるはず。
 なら、幽霊だとか妖怪だとかそんな連中が発する音であるわけがない。
 とかなんとか……
 いや、本人は必死。


 怖さを抑えようと、そんな考えで頭をイッパイにして必死に歩くのだけれど、この坂ときたらいかんせん長い。
おまけにぐるりとカーブしているから、先も後も見通せない。
 この見通せないというのが、怖さを倍加させる。

 気味悪いなぁー
 そんなことを思ってる間にも、その音は聞こえてくる。
 それはまるで、あえて何歩か後をピタリとつけているかのよう……


 そして…
 やっと見えてきた大通りの街灯。
 ここまでくれば家は、線路をくぐってすぐ。
 大通りは、こんな時間だというのにクルマが結構走っていた。
 こんな時は逆にそれが心強い。おまけに例の音も聞こえなくなって、一安心。
 とはいえ、こんな時はさっさと家に帰るに限る。


 ところが、線路の下の隧道に入った時、また聞こえてきたあの音…
 カーン…カーン…、キーン…、キーン……
 カーン…カーン…、キーン…、キーン……
 結局、その音は家の中に入る寸前まで付き纏ってきた。


 とはいえ、家に入ればもう安心。
 冷蔵庫を開け、冷たい飲み物をグイッと飲んで。
 気がつけば、あの音のおかげで走ってきたから、全身汗ビッショリ。
 それは、シャワーを浴びようとハーフパンツを脱いだ時!

 キーン…、キーン……

 えっ!家の中まで!!
 変な話だけれど。
 こういう状況の時にパンツ一丁というのは、やはり心細いのだろう。
 脱いだそのハーフパンツを、無意識にまた穿こうとしたその時。

 キーン…、キーン……
 えぇぇっ!?


 正体は…
 ハーフパンツの下についている、裾をまくった時に止める金属のボタン。
 よくよく見ればそのボタン、お坊さんが叩く鉦を小さくしたみたいな形をしていて。
 それがぶつかると、キーン…、キーン…



 ま、つまり。
 怪談話なんて、ほとんどはこんなもんなんでしょーね。
 ボタンがぶつかって鳴らしてたって気がつかなかったり、もしくは気がつかなかったことにしちゃったり(意外とありがちな気が…)
 さらには、そのことを後で思い返しているうちに、途中で追ってくる白い影(もしくは、もっと具体的に髪の長い白いワンピースの女、おかっぱ頭の少女、血まみれの鎧武者等々…)を見たような気がしてきちゃったり(さらには、ソレに尾鰭やら眉唾やらつけまくっちゃって……笑)

 いや。大半はそんなもんなわけですけど、でも中には「うんっ!?」って思わせてくれるものもある。
 そこがまぁ「怪談話」の面白さってヤツなのかもしれませんね。




32話目終わり。フっ!
            ――― 第32話目「音に付き纏われる」メルマガ配信日:09.12.31
                                           *無断転載禁止


*ブログの無断転載は、呪い・祟り等ご自身に大過を招くこととなりますのでご注意ください。








Comment:0  Trackback:0
back-to-top